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Patent Searching and Data


Title:
WINDING INDUCTOR AND PROCESS FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136383
Kind Code:
A1
Abstract:
Using a core based on an Fe alloy there are provided an inductor with enhanced current superposition characteristics and a process for manufacturing the same. There is disclosed a winding inductor including a core for winding inductor obtained by compression molding a mixed magnetic substance powder containing a magnetic substance powder and a binder and grinding the molded item and including a metal conductive wire wound in a core section of the core for winding inductor. One form of the winding inductor is characterized in that the magnetic substance powder in component proportion consists of 4 to 13 wt.% Si, 4 to 7 wt.% Al and the balanceFe and unavoidable impurities and has a particle diameter distribution such that 90% or more of the magnetic substance powder has a particle diameter of 75 μm or less.

Inventors:
OTSUKI ETSUO (JP)
KANEDA AYAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058025
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOHO ZINC CO LTD (JP)
OTSUKI ETSUO (JP)
KANEDA AYAKO (JP)
International Classes:
H01F27/255; H01F1/147; H01F1/22; H01F1/26; H01F30/00; H01F41/02
Foreign References:
JPH10212503A1998-08-11
JP2006186195A2006-07-13
JP2006332245A2006-12-07
JP2000030925A2000-01-28
JPS62247005A1987-10-28
JP2004111756A2004-04-08
Attorney, Agent or Firm:
ISONO, Michizo (Sabo Kaikan Annex7-4, Hirakawa-cho,2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 93, JP)
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Claims:
 磁性体粉末とバインダとを含む混合磁性体粉末を圧縮成形した圧縮成形体からなり、全周にわたり溝部が形成された巻線インダクタ用コアと、前記巻線インダクタ用コアの前記溝部を巻回する金属導線とから構成される巻線インダクタであって、前記磁性体粉末の成分比は、Siが4~13重量%、Alが4~7重量%、残部がFeと不可避的不純物からなり、前記磁性体粉末の粒径分布は、前記磁性体粉末の90%以上が粒径75μm以下の分布であることを特徴とする巻線インダクタ。
 磁性体粉末とバインダとを含む混合磁性体粉末を圧縮成形した圧縮成形体からなり、全周にわたり溝部が形成された巻線インダクタ用コアと、前記巻線インダクタ用コアの前記溝部を巻回する金属導線とから構成される巻線インダクタであって、前記磁性体粉末の成分比は、Siが4~18重量%、Bが15~20重量%、残部がFeと不可避的不純物からなり、前記磁性体粉末の粒径分布は、前記磁性体粉末の85%以上が粒径75μm以下の分布であることを特徴とする巻線インダクタ。
 磁性体粉末とバインダとを含む混合磁性体粉末を圧縮成形した圧縮成形体からなり、全周にわたり溝部が形成された巻線インダクタ用コアと、前記巻線インダクタ用コアの前記溝部を巻回する金属導線とから構成される巻線インダクタであって、前記磁性体粉末の成分比は、Siが4~8重量%、残部がFeと不可避的不純物からなり、前記磁性体粉末の粒径分布は、前記磁性体粉末の80%以上が粒径45μm以下の分布であることを特徴とする巻線インダクタ。
 請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載された巻線インダクタにおいて、前記巻線インダクタ用コアの形状が、円柱形、或いは、多角形柱であることを特徴とする巻線インダクタ。
 請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載された巻線インダクタにおいて、前記巻線インダクタ用コアに形成される溝部の深さが、前記巻線インダクタ用コアの幅に対し2/3以上であることを特徴とする巻線インダクタ。
 請求の範囲第1項から第5項のいずれかに記載された巻線インダクタにおいて、前記磁性体粉末が、金属粉砕、或いは、アトマイズ法によって得られた磁性体粉末であることを特徴とする巻線インダクタ。
 請求の範囲第1項から第6項のいずれかに記載された巻線インダクタにおいて、前記添加するバインダが、5重量%以下であることを特徴とする巻線インダクタ。
 巻線インダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線インダクタ用コアに対し金属導線を巻回する工程とを含んでなる巻線インダクタンスの製造方法において、前記巻線インダクタ用コア製造工程は、成分比が、Siが4~13重量%、Alが4~7重量%、残部がFeと不可避的不純物からなる磁性体粉末を製造する工程と、前記磁性体粉末の粒径を調整する工程と、前記磁性体粉末に対して、バインダを添加する工程と、前記添加された磁性体粉末を圧縮し、圧縮成形体を成形する工程と、前記圧縮成形体を機械的研削する工程とを含む工程を有し、前記調整工程は、前記磁性体粉末の粒度分布を、前記磁性体粉末の90%以上が粒径75μm以下の分布に調整することを特徴とする巻線インダクタの製造方法。
 巻線インダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線インダクタ用コアに対し金属導線を巻回する工程とを含んでなる巻線インダクタンスの製造方法において、前記巻線インダクタ用コア製造工程は、成分比が、Siが4~18重量%、Bが15~20重量%、残部がFeと不可避的不純物からなる磁性体粉末を製造する工程と、前記磁性体粉末の粒径を調整する工程と、前記磁性体粉末に対して、バインダを添加する工程と、前記添加された磁性体粉末を圧縮し、圧縮成形体を成形する工程と、前記圧縮成形体を機械的研削する工程とを含む工程を有し、前記調整工程は、前記磁性体粉末の粒度分布を、前記磁性体粉末の85%以上が粒径75μm以下の分布に調整することを特徴とする巻線インダクタの製造方法。
 巻線インダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線インダクタ用コアに対し金属導線を巻回する工程とを含んでなる巻線インダクタンスの製造方法において、前記巻線インダクタ用コア製造工程は、成分比が、Siが4~8重量%、残部Feと不可避的不純物からなる磁性体粉末を製造する工程と、前記磁性体粉末の粒径を調整する工程と、前記磁性体粉末に対して、バインダを添加する工程と、前記添加された磁性体粉末を圧縮し、圧縮成形体を成形する工程と、前記圧縮成形体を機械的研削する工程とを有し、前記調整工程は、前記磁性体粉末の粒度分布を、前記磁性体粉末の80%以上が粒径45μm以下の分布に調整することを特徴とする巻線インダクタの製造方法。
 前記成形工程において、成形される圧縮成形体の形状が、円柱形、或いは、多角形柱であることを特徴とする請求の範囲第8項から第10項のいずれかに記載される巻線インダクタの製造方法。
 前記研削工程において、前記圧縮成形体の幅に対して2/3以上研削することを特徴とする請求の範囲第8項から第11項のいずれかに記載される巻線インダクタ用の製造方法。
 前記磁性体粉末を製造する工程において、合金を金属粉砕又はアドマイズ法によって、前記磁性体粉末を製造することを特徴とする請求の範囲第8項から第12項のいずれかに記載される巻線インダクタの製造方法。
 前記添付工程において、添加されるバインダが、5%重量以下であることを特徴とする請求の範囲第8項から第13項のいずれかに記載される巻線インダクタの製造方法。
Description:
巻線インダクタ及びその製造方

 本発明は、Fe系合金コアを用いた巻線イ ダクタ、及び、巻線インダクタの製造方法 関する発明であって、特に、欠け、ヒビが ない良質なコアを用いた巻線インダクタの 造方法の提供、かつ、直流重畳特性に優れ 巻線インダクタに関するものである。

 現在、携帯電話、コンピュータ等の小型 子機器において、多くのチップインダクタ 電源回路等に用いられている。従来のチッ インダクタは、フェライト製のコアが多く いられてきた。その理由は、フェライトは 密な焼結体にできるからである。つまり、 密な焼結体であるために研削加工しやすく 磁気抵抗の原因たるコアの鍔部分等の欠け ヒビが入りにくいからである。

 ところで、大電流を必要とする小型電子機 が増えている。この小型電子機器の大電流 はインダクタンス値の急激な低下を引き起 し、電源回路の暴発を誘引するという問題 なっている。従って、インダクタは、この 電流を必要とする電源回路として、飽和磁 値が大きく直流重畳特性に優れたインダク が求められるようになっている。
 しかし、フェライト製コアを用いたインダ タは、大電流に耐え得るほど飽和磁化値が きくなく、直流重畳特性に優れたインダク ではなかった。

 一方で、直流重畳特性の良いFe系合金を利 するインダクタの製作を試みられてきたも の、Fe系合金の磁性体粉末を用いたインタグ タ用のコアでは、硬さ、粗さ等の原因から、 成形体の研削加工に際して、鍔部分の欠け、 ヒビ、ワレ等が生じ、Fe系合金を用いたイン グタ用コアの製作が困難であった。

特開2000-012345号公報

 そこで、本発明においては、Fe系合金を 用する、従来にない新しいコアであって、 部分の欠け・ひびが少なく、また、溝中心 ら割れるおそれが少ないコアを提供するこ を可能とし、フェライト焼結体を用いたイ ダクタよりも、飽和磁化値が高く、直流重 特性に優れた巻線インダクタを提供するこ を解決しようとする課題とする。

 前記課題を解決する手段として、請求の 囲第1項に係る発明は、磁性体粉末とバイン ダとを含む混合磁性体粉末を圧縮成形した圧 縮成形体からなり、全周にわたり溝部が形成 された巻線インダクタ用コアと、前記巻線イ ンダクタ用コアの前記溝部を巻回する金属導 線とから構成される巻線インダクタであって 、前記磁性体粉末の成分比は、Siが4~13重量% Alが4~7重量%、残部がFeと不可避的不純物から なり、前記磁性体粉末の粒径分布は、前記磁 性体粉末の90%以上が粒径75μm以下の分布であ ことを特徴とする。

 また、請求の範囲第2項に係る発明は、磁 性体粉末とバインダとを含む混合磁性体粉末 を圧縮成形した圧縮成形体からなり、全周に わたり溝部が形成された巻線インダクタ用コ アと、前記巻線インダクタ用コアの前記溝部 を巻回する金属導線とから構成される巻線イ ンダクタであって、前記磁性体粉末の成分比 は、Siが4~18重量%、Bが15~20重量%、残部がFeと 可避的不純物からなり、前記磁性体粉末の 径分布は、前記磁性体粉末の85%以上が粒径75 μm以下の分布であることを特徴とする。

 請求の範囲第3項に係る発明は、磁性体粉 末とバインダとを含む混合磁性体粉末を圧縮 成形した圧縮成形体からなり、全周にわたり 溝部が形成された巻線インダクタ用コアと、 前記巻線インダクタ用コアの前記溝部を巻回 する金属導線とから構成される巻線インダク タであって、前記磁性体粉末の成分比は、Si 4~8重量%、残部がFeと不可避的不純物からな 、前記磁性体粉末の粒径分布は、前記磁性 粉末の80%以上が粒径45μm以下の分布である とを特徴とする。

 請求の範囲第4項に係る発明は、請求の範 囲第1項から第3項のいずれかに記載される巻 インダクタにおいて、前記巻線インダクタ コアの形状が、円柱形、或いは、多角形柱 あることを特徴とする。

 請求の範囲第5項に係る発明は、請求の範 囲第1項から第4項のいずれかの記載される巻 インダクタにおいて、前記巻線インダクタ コアに形成される溝部の深さが、前記巻線 ンダクタ用コアの幅に対し2/3以上であるこ を特徴とする。

 請求の範囲第6項に係る発明は、請求の範 囲第1項から第5項のいずれかの記載される巻 インダクタにおいて、前記磁性体粉末が、 属粉砕、或いは、アトマイズ法によって得 れた磁性体粉末であることを特徴とする。

 請求の範囲第7項に係る発明は、請求の範 囲第1項から第6項のいずれかの記載される巻 インダクタにおいて、前記添加するバイン が、5重量%以下であることを特徴とする。

 請求の範囲第8項に係る発明は、巻線イン ダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線イ ンダクタ用コアに対し金属導線を巻回する工 程とを含んでなる巻線インダクタンスの製造 方法において、前記巻線インダクタ用コア製 造工程は、成分比が、Siが4~13重量%、Alが4~7重 量%、残部がFeと不可避的不純物からなる磁性 体粉末を製造する工程と、前記磁性体粉末の 粒径を調整する工程と、前記磁性体粉末に対 して、バインダを添加する工程と、前記添加 された磁性体粉末を圧縮し、圧縮成形体を成 形する工程と、前記圧縮成形体を機械的研削 する工程とを含む工程を有し、前記調整工程 は、前記磁性体粉末の粒度分布を、前記磁性 体粉末の90%以上が粒径75μm以下の分布に調整 ることを特徴とする。

 請求の範囲第9項に係る発明は、巻線イン ダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線イ ンダクタ用コアに対し金属導線を巻回する工 程とを含んでなる巻線インダクタンスの製造 方法において、前記巻線インダクタ用コア製 造工程は、成分比が、Siが4~18重量%、Bが15~20 量%、残部がFeと不可避的不純物からなる磁 体粉末を製造する工程と、前記磁性体粉末 粒径を調整する工程と、前記磁性体粉末に して、バインダを添加する工程と、前記添 された磁性体粉末を圧縮し、圧縮成形体を 形する工程と、前記圧縮成形体を機械的研 する工程とを含む工程を有し、前記調整工 は、前記磁性体粉末の粒度分布を、前記磁 体粉末の85%以上が粒径75μm以下の分布に調整 することを特徴とする。

 請求の範囲第10項に係る発明は、巻線イ ダクタ用コアを製造する工程と、前記巻線 ンダクタ用コアに対し金属導線を巻回する 程とを含んでなる巻線インダクタンスの製 方法において、前記巻線インダクタ用コア 造工程は、成分比が、Siが4~8重量%、残部Feと 不可避的不純物からなる磁性体粉末を製造す る工程と、前記磁性体粉末の粒径を調整する 工程と、前記磁性体粉末に対して、バインダ を添加する工程と、前記添加された磁性体粉 末を圧縮し、圧縮成形体を成形する工程と、 前記圧縮成形体を機械的研削する工程とを有 し、前記調整工程は、前記磁性体粉末の粒度 分布を、前記磁性体粉末の80%以上が粒径45μm 下の分布に調整することを特徴とする。

 請求の範囲第11項に係る発明は、請求の 囲第8項から第10項のいずれかに記載される 線インダクタの製造方法であって、前記成 工程において、成形される圧縮成形体の形 が、円柱形、或いは、多角形柱であること 特徴とする。

 請求の範囲第12項に係る発明は、請求の 囲第8項から第11項のいずれかに記載される 線インダクタの製造方法であって、前記研 工程において、前記圧縮成形体の幅に対し 2/3以上研削することを特徴とする。

 請求の範囲第13項に係る発明は、請求の 囲第8項から第12項のいずれかに記載される 線インダクタの製造方法であって、前記磁 体粉末を製造する工程において、合金を金 粉砕又はアドマイズ法によって、前記磁性 粉末を製造することを特徴とする。

 請求の範囲第14項に係る発明は、請求の 囲第8項から第13項に記載される巻線インダ タの製造方法であって、前記添付工程にお て、添加されるバインダが、5%重量以下であ ることを特徴とする。

 本発明によれば、Fe系合金によるインダ タ用コアの鍔部分の欠け・ひびが少なく、 つ、大きい飽和磁化値を有する巻線インダ タ用コアを用いて、優れた直流重畳特性を す巻線インダクタ、及び、その製造方法を 供することができる。

実施形態に係る巻線インダクタの全体 斜視図である。 実施形態に係る巻線インダクタの製造 程を示す図である。 実施例1に係るコア1Aの表面を電界放射 走査電子顕微鏡により、観察した図である 実施例1において説明する比較例である コア1Dの表面を電界放射型走査電子顕微鏡に り、観察した図である。 実施例1と比較例の直流重畳特性を示す 図である。 実施例2と比較例の直流重畳特性を示す 図である。 実施例3と比較例の直流重畳特性を示す 図である。 実施例4と比較例の直流重畳特性を示す 図である。 実施例5と比較例の直流重畳特性を示す 図である。 実施例6と比較例の直流重畳特性を示 図である。 実施例7と比較例の直流重畳特性を示 図である。

符号の説明

 1   巻線用インダクタ
 2   巻線インダクタ用コア
 3   金属導線
 4   溝部
 10  磁性体粉末
 11  バインダ
 12  合金
 13  篩
 14  混合磁性体粉末
 15  圧縮成形体
 16  一軸式プレス
 17  ダイヤモンドカッター
 18  回転体
 20  磁性体粉末
 30  磁性体粉末

 次に、本発明の実施形態について、添付図 を参照して詳細に説明する。なお、実施形 の説明において、重複した説明は省略する のとする。
 尚、図1は、本発明の実施形態に係る巻線イ ンダクタについての斜視図である。図2は、 発明の実施形態に係る巻線インダクタの製 工程を示す図である。具体的には、図2(a)は 粉末製造過程工程を示す図である。図2(b)は 、磁性体粉末の粒径調整工程を示す図である 。図2(c)は、バインダの添加工程を示す図で る。図2(d)は、圧縮成形工程を示す図である 図2(e)は、圧縮成形工程にて成形された圧縮 成形体の斜視図を示す図である。図2(f)は、 削工程を示す図である。図2(g)は、巻きつけ 程を示す図である。図2(h)は、完成した巻線 インダクタの斜視図を示す図である。以下、 具体的に説明する。

 (巻線インダクタ)
 本発明の実施形態に係る巻線インダクタ1の 斜視図を図1に示す。ここで、図1に示された 線インダクタ1の形状は、円柱形の形状であ る巻線インダクタ1であるが、本発明は当該 状に限定するものでなく、多角形柱の巻線 ンダクタであってもよい。また、巻線イン クタ1は、巻線インダクタ用コア2と、金属導 線3からなる。巻線インダクタ用コア2に溝部4 が形成されており、その溝部4に金属導線3が 回されている。金属導線3に電流に流れると 、電磁誘導によって、巻線インダクタ用コア 2内に磁場が発生する。

 (巻線インダクタ用コア)
 巻線インダクタ用コア2の原材料は、磁性体 粉末10とバインダ11である。磁性体粉末10に5 量%以下のバインダ11を添加し、十分に攪拌 た混合磁性体粉末14を圧縮し、製造された圧 縮成形体15を研削して、巻線インダクタ用コ 2が製造される。これらの原材料および製造 工程については、後記にて詳しく述べる。
 巻線インダクタ用コア2の形状は、図1等に 示されるように円柱形に限定するものでな 、多角形柱であってもよい。但し、多角形 の場合は欠けが主に角部分に発生し易くな 。従って、多角形柱の形状である場合には 用いる磁性体粉末10が、Fe-Si-Al系合金粉末、F e-B-Si系アモルファス粉末であるとき、粒径75 m以下磁性体粉末10の含有率が高ければ高い ど望ましい。
 また、巻線インダクタ用コア2は、前記金属 導線3が巻回する溝部4を有する。当該溝部4は 、圧縮成形体15を機械的に研削し、製作する そして、研削する溝幅、深さは、特に限定 れるものでなく、用途にあわせ適宜調整す 。
 ただし、前記巻線インダクタ用コア2の幅に 対して、溝部4の深さの占める割合が小さい ど、望ましい。機械的研削による巻線イン クタ用コア2の鍔部分等に欠けやヒビが生じ くくなるからである。

 (磁性体粉末)
 磁性体粉末10は、巻線インダクタ用コア2の 材料となるものであって、Fe-Si-Al系合金粉 、Fe-B-Si系アモルファス粉末、Fe-Si系合金粉 である。
 ここで、前記したFe-Si-Al系合金粉末を使用 る場合にあっては、直流重畳特性の観点か 、成分比は、Siが4~13重量%、Alが4~7重量%、残 がFeである。
 また、前記Fe-Si-Al系合金粉末の粒径は、少 くとも75μm以下のFe-Si-Al系合金粉末を使用す ことが必要である。粒径75μm以上の粉末を んでいると、巻線インダクタ用コアの溝を 削する際に、前記巻線インダクタ用コア2の 部分にヒビやカケが生じ易くなるからであ 。

 磁性体粉末10として、Fe-B-Si系アモルファス 末を使用する場合にあっては、直流重畳特 の観点から、成分比はSiが4~18重量%、Bが15~20 重量%、残部がFeである。
 前記Fe-B-Si系アモルファス粉末の粒径は、少 なくとも75μm以下のFe-B-Si系アモルファス粉末 を使用することが必要である。

 磁性体粉末10として、Fe-Si系合金粉末を使用 する場合にあっては、直流重畳特性の観点か ら、成分比はFeが4~18重量%、Siが15~20重量%、残 部がFeであることが望ましい。
 前記Fe-Si系合金粉末の粒径は、少なくとも45 μm以下のFe-Si系合金粉末を使用することが必 である。

 また、前記したFe-Si-Al系合金粉末等の磁性 粉末10は、Fe、Si、Al等の原料を、加熱溶解し て得られた合金12を粉末化し、篩掛け等によ 粒径を、例えば75μm以下に調整したもので る。
 ここで、合金12を粉末化する方法は、機械 砕、またはアトマイズ法が挙げられるが、 れに限定はされない。

(バインダ)
 バインダ11は、磁性体粉末10に添加して圧縮 成形し、圧縮成形体15を製造する際に、磁性 粉末10を結合させる役割を果す。従って、 インダ11であれば種類は特段制限されるもの ではなく、例えばシリコン樹脂、水ガラス、 エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、パラフィン 、ポリビニルアルコール、またこれらの変性 体・共重合体・混合物などが挙げられる。
 また、添加するバインダ11が5重量%以下であ ることが望ましい。5重量%以上であると、磁 特性が劣化するからである。

(金属導線)
 金属導線3は、エナメルコートされた銅線等 が挙げられるが、原材料、線径等の形状の点 につき、特に限定はされない。

(巻線インダクタの製造方法)
 以下、図2を用いて巻線インダクタ1の製造 法について、説明する。
 ここで、篩掛け等により粒径を調整した磁 体粉末を磁性体粉末10とし、合金を粉末化 て得られた磁性体粉末を磁性体粉末20と、ま た、篩の中に残った粉末を、磁性体粉末30と 別して説明する。

(磁性体粉末を製造する工程)
 磁性体粉末20を製造する工程を、図2(a)に例 する。図2(a)は、合金12を機械粉砕し、磁性 粉末20を製造する工程を示す図である。こ で、合金12から、磁性体粉末20を製造する方 は、金属粉砕に限らず、アトマイズ法が挙 ることができる。また、機械粉砕する場合 は、ジョークラッシャーによる粗粉砕段階 、前記粗粉砕したものをボールミルによる 粉砕段階と、2段階に分けて粉砕しても良い 。
 また、本工程で製造される磁性体粉末20の 径は、合金12が、Fe-Si-Al系合金粉末、及びFe-B -Si系アモルファス粉末である場合には、粒径 75μm以下であることが必要である。また、合 12が、Fe-Si系合金粉末である場合には、粒径 45μm以下であることが必要である。上記粒径 上の磁性体粉末20では、次の調整過程を経 も、上記粒径下の磁性体粉末10を得ることが 出来ず、鍔部分等の欠け、ヒビの少ない巻線 インダクタ用コア2を製造することが出来な からである。
 一方で、粉末化された磁性体粉末20の全て 上記粒径以下である必要はない。次の調整 程にて、上記粒径以上の磁性体粉末30を排除 することが出来るからである。
 また、機械的粉砕において、粉砕する時間 長いほど製造された磁性体粉末20の粒径は 全体的に小さくなるため、粉末化された磁 体粉末20の全てが、製造する巻線インダクタ 用コア2に用いる粒径以下である場合には、 の調整工程を省略できる。

(磁性体粉末の粒径を調整する工程)
 磁性体粉末20の粒径を調整する工程を図2(b) 例示する。本工程は、磁性体粉末20を篩掛 等することにより、巻線インダクタ用コア2 製造に用い磁性体粉末10の粒径を例えば75μm 以下に調整する工程である。磁性体粉末10の 径が一定以下の大きさに調整すれば、ヒビ 欠けが生じにくい巻線インダクタ用コア2の 製造が可能となるからである。従って、磁性 体粉末10の粒径を調整することができれば、 2(b)に例示する篩13に掛けることによる分級 限られるものではない。
 ここで、篩13に掛けることによって分級す 場合には、磁性体粉末10の粒径と同一の大き さである目開き又はメッシュの篩13を用意す 。篩13の目開きの大きさを調整することに って、巻線インダクタ用コア2に使用する磁 体粉末10の粒径を選択することができる。
 そして、磁性体粉末20を篩13の中に入れ、篩 13の目開き以下の磁性体粉末20が篩13の下に落 ち、磁性体粉末10が得られる。
 ここで、磁性体粉末20がFe-Si-Al系合金粉末、 又は、Fe-B-Si系アモルファス粉末である場合 は、篩13の目開き又はメッシュは、75μmであ ことが必要である。また、磁性体粉末20がFe -Si系合金粉末である場合には、篩13の目開き はメッシュは、45μmであることが必要であ 。
 一方で、篩13中に残った篩13の目開き以上の 粒径の磁性体粉末30を、巻線インダクタ用コ 2の製造に使用する磁性体粉末10に添加して よい。但し、磁性体粉末30を磁性体粉末10に 添加する際、前記磁性体粉末10の原材料がFe-S i-Al系合金粉末である場合には、90%以上が粒 75μm以下の磁性体粉末10であることが必要で る。磁性体粉末10がFe-B-Si系アモルファス粉 である場合には、85%以上が粒径75μm以下の 性体粉末10であることが必要である。磁性体 粉末10がFe-Si系合金粉末である場合には、少 くとも80%以上が粒径45μm以下の磁性体粉末10 あることが必要である。
 尚、前述したが、粉砕する時間を長くし、 性体粉末20の全てが、一定以下の粒径であ 場合には、本工程を省略することができる

(バインダを添加する工程)
 前記磁性体粉末10にバインダ11を添加する工 程を、図2(c)に例示する。ここで、使用する インダ11は前記したとおりであるが、磁性体 粉末10に対して、5質量%以下を添加すること 望ましい。また、添加した際は、攪拌機に いて、十分に攪拌し、磁性体粉末10とバイン ダ11とよく混ぜ合わせる必要がある。以下、 性体粉末10とバインダ11とを攪拌したものを 混合磁性体14という。

(混合磁性体を圧縮成形し、圧縮成形体を成 する工程)
 混合磁性体14を圧縮成形し、圧縮成形体15を 成形する工程を図2(d)に例示する。本工程は 混合磁性体14を加圧することが必要であるが 、加圧する力は1000MPa以上あればよい。また 圧縮する方法として、製造しようとする円 形の巻線インダクタ用コア2の型に、前記混 磁性体14を入れ、一軸式プレス16等により、 圧縮する。これにより、図2(e)に示す圧縮成 体15が製造される。また、例えば、多角形柱 型のコアを製造する場合、多角形型の穴が設 けられている金型に、前記混合磁性体14を入 、前記穴の大きさと同一形状の部材等の押 手段にて、加圧することにより、多角形柱 圧縮成形体15が出来上がる。

(圧縮成形体を機械的研削する工程)
 圧縮成形体15を機械的研削する工程を図2(e) 例示する。本工程は、金属導線3を巻回する 溝部4を圧縮成形体15に形成する工程である。 ここで、研削する砥石としてダイヤモンドカ ッター17が挙げられる。具体的には、圧縮成 体15が円柱形である場合、まず、モータ等 回転動力源と連結したダイヤモンドカッタ 17と回転自在の回転体18との間に圧縮成形体1 6を挟み、ダイヤモンドカッター17を回転させ 、研削する方法が挙げられる。この際、ダイ ヤモンドカッター17の回転速度に比例して、 縮成形体にヒビ・カケ等が生じやすい。そ ため、ヒビ・欠け等は生じにくくするため は、ダイヤモンドカッター17の回転速度が さい方が望ましい。
 具体的には、圧縮成形体15に溝部4を形成す 際の研削速度は生産の効率を考えると毎秒0 .2mm以上が実用的な範囲であるが、更に生産 率を上げるために溝の研削速度を毎秒0.2mmよ りも速くする場合がある。本発明は、生産効 率を低くせずに、巻線インダクタ用コア2を 作可能とする発明であるため、磁性体粉末10 が、例えば、Fe-Si-Al系合金粉末であるならば 粒径が75μm以下ではなく、さらに小さい例 ば、粒径50μm以下の磁性体粉末10のみで、圧 成形体15を製造するのが望ましい。
 ただし、本発明は、研削速度を毎秒0.2mm以 の場合に限ったものではない。また、本発 は、研削速度を毎秒0.2mm以下であれば、ヒビ ・欠け等が生じる可能性がさらに低くなるこ ともいうまでもない。

(金属導線を巻線インダクタ用コアに巻きつ る工程)
 金属導線3を巻線インダクタ用コア2に巻き ける工程は、図2(g)に例示するが、前記金属 線3の一端を固定し、他端を巻線インダクタ 用コア2の溝部4に所定回数、回すことによっ 、金属導線3が溝部4に巻きつき、図2(h)に示 巻線インダクタ1が完成する。
 以上、本発明に係る実施の形態について説 したが、本発明は上記説明に限るものでは い。

(実施例1)
(1-1)
 実施例1にかかる巻線インダクタ用コアにつ いて、説明する。

(磁性体粉末の準備)
 実施例1は、磁性体粉末として、Fe-Si-Al系合 粉末を用いた。この磁性体粉末は、Fe、Si、 Alを原料とし、加熱溶解して得られた合金を ョークラッシャーによる粗粉砕し、これを ールミルによる微粉砕を90分間行い、得ら たものである。また、Fe-Si-Al系合金粉末の成 分比は、Fe:Si:Alの成分比は、85:9.5:5.5である。

(磁性体粉末の粒径の調整)
 Fe-Si-Al系合金粉末を、目開き75μmの篩で篩掛 けすることにより、Fe-Si-Al系合金粉末の粒径 全て75μm以下に調整した(以下、磁性体粉末1 Aとする)。また、磁性体粉末1Aとは別に、粒 の調整工程にて、篩掛けせずに、ボールミ による微粉砕を180分間行った磁性体粉末1Bも 用意した。

(比較例の磁性体粉末の粒径の調整)
 比較例として、磁性体粉末1Aとは、粒径の 整方法が異なる磁性体粉末1C、磁性体粉末1D 用意した。磁性体粉末1Cは、目開き106μmの 掛けにより粒径の調整を行った磁性体粉末 あり、また、磁性体粉末1Dは篩掛けを行わな かった磁性体粉末である。

(異なる調整工程の結果)
 表1は、異なる方法で粒径の調整した結果の Fe-Si-Al系合金粉末の粒径分布である。

 篩掛けにより、粒径を調整した磁性体粉 1Aと磁性体粉末1Cは、各々目開き以下の粒径 のFe-Si-Al系合金粉末を得ることができた。一 で、磁性体粉末1Dは、粒径が106μm以上の粉 が10%、粒径75μm以上の粉末が30%と占めた。ま た、磁性体粉末1Bは、磁性体粉末1Dと同様に 掛けを行わなかったが、粉砕時間を長くす ことによっても、Fe-Si-Al系合金粉末の粒径が 全て75μm以下になった。

(巻線インダクタ用コアの製造)
 前記磁性体粉末1Aと1Bと、比較例である磁性 体粉末1Cと1Dの4つのFe-Si-Al系合金粉末に対し 、添加工程において、シリコン樹脂を3重量% 添加し攪拌した。
 また、成形工程では、前記シリコンを添加 た混合Fe-Si-Al系合金粉末を47kNにて加圧し(1.6 ×1030MPa)、6mmφ×4mmHの円柱形の圧縮成形体を製 造した。
 また、研削工程では、圧縮成形体は側面を イヤモンドカッターにて毎秒0.2mm、毎秒0.5mm 、毎秒1.0mmのそれぞれの速度にて研削するこ によって、幅3mm、深さ1mmの溝を形成し、巻 インダクタ用コアを製造した。
 磁性体粉末1Aを用いて製造されたコアをコ 1Aとし、磁性体粉末1Bによって製造されたコ をコア1B、磁性体粉末1C、1Dのそれぞれを用 たコアをコア1C、コア1Dとし、以下説明する 。

(コアの試験方法)
 試験方法は、研削後目視にて外見を確認、 部分の欠け、ヒビ、中芯部分の折れ等が見 れないものを良品とし、圧縮成形コア100個 研削試験の結果から良品率を求めた。

(機械的研削の試験結果)

 表2は、コア1A等の試験結果である。粒径75μ m以下に調整された磁性体粉末1Aと1Bを用いた ア1A、コア1Bでは、研削速度が実施例では、 研削速度が毎秒0.2mm、0.5mm、1.0mmのいずれの場 合でも、比較例よりも高い良品率を示し、優 れた結果を示した。
 研削速度を毎秒0.2mmの場合において、粒径 調整をしないコア1Dの良品率は20%を示した。 一方で、粒径を調整したコアA~Cの良品率が80% 以上と高い良品率を示した。従って、磁性体 粉末の粒径を調整した方が、優れた良品率を 示す結果となった。
 また、研削速度が毎秒0.5mmと早くなった場 には、粒径75μm以下の粉末のみで製作された コア1Aと、コア1Bの良品率が100%を示した。一 で、コア1Cとコア1Dは0%を示し、粉末の粒径 75μm以下に調整することにより、研削速度 上げた場合であっても、巻線インダクタ用 アの製造が可能である結果を示した。
 研削速度が毎秒1.0mmと、さらに早くなった 合は、コア1Aと、コア1Bの良品率は、50%と70% 示し、研削速度を上げると良品率が下がる 果を示したが、比較例のコア1C、1Dの良品率 は0%を示し、実施例であるコア1Aと、実施例 ア1Bは、比較例用コアのコア1C、1Dに比べ優 た良品率を示す結果となった。
 比較例用コアである、粒径を調整しない磁 体粉末1Dを用いたコア1Dは、研削速度が遅く ても低い良品率を示した。一方で、粒径を調 整したとしても、粒径75μm以上の磁性体粉末 含む磁性体粉末1Cでは、研削速度が遅くて 、良品率が100%となることはなく、常に実施 よりも低い良品率を示した。
 以上より、研削することによるヒビ・欠け 発生することは、原材料となる磁性体粉末 粒径に依存することがわかった。そして、 径75μm以下の磁性体粉末を用いれば、高い 品率を示す巻線インダクタ用コアの製造が 能であることがわかった。

 また、コア1Aと、比較例であるコア1Dを、電 界放射型走査電子顕微鏡により、加速電圧15k V、倍率30倍で観察した。図3が実施例粉末1Aに よるコア1Aの、図4が実施例粉末1Dによるコア1 Dの機械研削した、コアの溝部である。コア1D の表面は、コア1Aに比べ、ヒビや欠けが多い 特に、コアの鍔部分は、コア1Aは、緩やか 曲線を描いているが、コア1Dは、大きな欠け が見られる。
 以上、本実施例1によって、コア1Aのほうが コア1Dに比べ、優れているのがわかった。 ア1Aの方が、カケやヒビが少なく、コアの磁 気回路として抵抗が少ないことがわかった。

(巻線インダクタの測定)
 実施例1として、コア1Aの溝部に銅線を20回 いた巻線インダクタの直流重畳特性を測定 た。また、比較例としてコア1Aと同一形状の Ni-Cu-Znフェライト焼結体の溝部に銅線を20回 いた巻線インダクタの直流重畳特性を測定 た。測定結果を図5に示す。図5において、破 線の比較例は、電流が2~3Aから急激にインダ タンス値の低下が始まり、電流が1A流れてい る時、インダクタンス12μHを示していたのが 電流が3A流れている場合にあっては、4μHま 急激に低下した。
 一方で、直線が実施例1であるが、電流値が 1Aと低い場合には、9.3μHとフェライト焼結体 よるコアを用いた巻線インダクタより、低 インダクタンス値を示した。しかしながら 電流が大きくなっても、インダクタンス値 変化量は少なく、電流が2~3A以降から、比較 例よりも、高いインダクタンス値を示してい る。
 以上より、実施例である巻線インダクタは フェライト焼結体によるコアを用いた巻線 ンダクタよりも、優れた直流重畳特性を示 ことがわかった。

(実施例2)
 実施例2では、実施例1にて使用したFe-Si-Al系 合金粉末の成分比を変更したFe-Si-Al系合金粉 の実施例を示す。また、成分比を変更したF e-Si-Al系合金粉末毎に、粒径75μm以下の磁性体 粉末の含有率をも変化させた。

(磁性体粉末の準備)
 実施例2においては、実施例1に用いた磁性 粉末1A(Fe-Si-Al系合金粉末、Fe:Si:Alの成分比は 85:9.5:5.5)の成分比を変更した磁性体粉末2Aか ら2Fを用意した(表3参照)。尚、実施例2におけ るFe-Si-Al系合金粉末は実施例粉末1Aと同様に 械粉砕により得られたものである。

(磁性体粉末の粒径の調整)
 磁性体粉末2Aから2Fまでの粒径は、実施例1 おける磁性体粉末1Aと同様な調整工程にて得 られた粒径75μm以下の粉末である。
 また、磁性体粉末2Aから2Fに対して、粒径75 m以上の磁性体粉末を混入し、磁性体粉末2A ら2Fのそれぞれの粉末中、粒径75mm以下の磁 体粉末の含有率を変化させた。ただし、こ 場合、含有率80%以下は、比較例となる。

(コアの製造)
 添加工程等のコアの製造過程は、実施例1と 同様である。また、磁性体粉末2A~2Fを用いて 造されたコアをコア2A~コア2Fとする(詳しく 、表4を参照)。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は、実施例1の試験方法と同様であ る。試験結果は、実施例1と成分比、含有率 点を変更したコア2Aから2Fの試験結果は以下 表4で示す結果となった。

 Fe-Si-Al系合金粉末を用いた場合において、 ア2Aから2Fのいずれの成分比であっても、含 率、研削速度を変化させてみても、似たよ な良品率を示した。また、全体的に、研削 度が遅くなれば、良品率は高くなった。
 具体的に、比較例用コアである含有率が70~8 0%の場合、研削速度が0.2mmであっても、良品 は40%を超えることはなかった。また、研削 度が1.0mmの場合には、良品率は0%と全く製造 ることはできなかった。
 一方で、実施例である含有率が90%の場合、 削速度が0.2mmの場合は85~95%を示し、比較例 りも優れた良品率を示した。
 特に、含有率が100%の場合、研削速度が0.2mm 0.5mmの場合、100%と非常に優れた良品率を示 、また、研削速度が1.0mmの場合であっても コアの製造が可能であることを示した。
 以上より、粒径75μmの磁性体粉末の含有率 90%以上であると、優れた良品率を示すこと わかった。

(巻線インダクタの測定)
 そして、実施例2として、磁性体粉末2D(含有 率90%)を用いたコア2Dの溝部に銅線を20回巻い 巻線インダクタの直流重畳特性を測定した 測定結果を図6に示す。また、比較として、 実施例1にて引用した比較例(コア1Aと同一形 のNi-Cu-Znフェライト焼結体の溝部に銅線を20 巻いた巻線インダクタ)の直流重畳特性も図 示した。図6において、実線が実施例2で、破 が比較例であるが、実施例2は電流値が0~1A 低い場合、9.0μHを示し、比較例より、イン クタンス値は低い。その後、電流を5Aまで大 きくしていくと、インダクタンス値が徐々に 減少していった。比較例のように、電流が2~3 A辺で、インダクタンス値が急激に減少する とはなかった。
 以上より、実施例である巻線インダクタは フェライト焼結体によるコアを用いた巻線 ンダクタよりも、優れた直流重畳特性を示 ことを証明できた。

(実施例3)
 実施例3において、実施例1にて使用した磁 体粉末1AであるFe-Si-Al系合金粉末を得る工程 変えた。つまり、合金を機械粉砕ではなく アトマイズ法によって得た磁性体粉末を使 した。また、実施例3においても、実施例2 同様な成分比によるFe-Si-Al系合金粉末を用意 した。

(磁性体粉末の準備)
 Fe-Si-Al系合金をアトマイズ法によって、Fe-Si -Al系合金粉末を得たが、成分比は、以下の表 5で示す通りである。

(磁性体粉末の粒径の調整)
 実施例粉末3Aから3Fを、実施例2と同様な方 により、粒径75μm以下に調整した。実施例2 同様に、粒径75μm以上の磁性体粉末を混入し 、Fe-Si-Al系合金粉末中、粒径75mm以下の粉末の 含有率を変化させた場合の実施例を示す。た だし、この場合、含有率80%以下は、比較例と なる。

(コアの製造)
 コアの製造過程は、実施例1と同様である。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は、実施例1の試験方法と同様であ る。磁性体粉末3Aから3Fの試験結果は以下の 6で示す通りである。

 金属粉砕(実施例2)ではなく、アトマイズ法 よって得られたFe-Si-Al系合金粉末を用いた 、コア3Aから3F間の比較において、Siの成分 が大きくなるほど、全体的に良品率は小さ なった。一方で、FeとAlの成分比が大きくな と、全体的に良品率が良くなった。
 具体的に、比較例用である含有率70%では、 ア3A以外のコア3B~3Fは、製造することができ なかった。実施例用コアである含有率90%では 、良品率50%以上を示し格段に良品率が上がっ た。
 特に、研削速度が毎秒0.5mm以上の場合にあ ては、比較例用コアにおいて、ほとんどが0% を示すところ、含有率が100%であれば、40%以 と、比較例用コアよりも優れた良品率を示 た。
 金属粉砕ではなく、アトマイズ法によって られた磁性体粉末でも、粒径75μm以下に調 された磁性体粉末を用い、かつ、含有率が 90%と以上であれば、巻線インダクタ用コア 製造が可能であることがわかった。

(巻線インダクタの測定)
 実施例3として、磁性体粉末3D(含有率100%)を いたコア3Dの溝部に銅線を20回巻いた巻線イ ンダクタの直流重畳特性を測定した。測定結 果を図7に示す。また、比較として、実施例1 て引用した比較例(コア1Aと同一形状のNi-Cu-Z nフェライト焼結体の溝部に銅線を20回巻いた 巻線インダクタ)の直流重畳特性も図示した 図7において、実線が実施例3で、破線が比較 例であるが、実施例3は電流値が0~1Aと低い場 、10.4μHを示し、比較例より、1A程度低いイ ダクタンス値を示した。また、電流が大き なるにつれて、徐々にインダクタンス値は さくなっていったが、その変化の度合いが さかった。また、実施例3において、比較例 のようにインダクタンス値が急激に減少する とこはないため、電流が2~3A以降では、比較 よりも、高いインダクタンス値を示してい 。
 以上より、実施例である巻線インダクタは フェライト焼結体によるコアを用いた巻線 ンダクタよりも、優れた直流重畳特性を示 ことを証明できた。

(実施例4)
 実施例4は、実施例1~3にて用いた磁性体粉末 であるFe-Si-Al系合金粉末ではなく、Fe-Si-B系ア モルファス合金粉末を用いた実施例を示す。

(磁性体粉末の準備)
 Fe-Si-B系アモルファス合金粉末をアトマイズ 法により得た磁性体粉末である。以下の表7 表す成分比にした試料4-1から4-4のFe-Si-B系ア ルファス合金粉末を用いた。

(磁性体粉末の粒径の調整)
 磁性体粉末4Aから4Dは、実施例1で用いた実 例粉末1Aと同様で、目開き75μmの篩掛けによ 粒径を整えた。
 また、実施例粉末4Aから4Dには、実施例2,3と 同様に篩掛けした粉末に篩に残った粒径75μm 上の粉末を加え含有率を変更した。ただし この場合、含有率80%以下は比較例となる。

(コアの製造)
 コアの製造過程は、実施例1と同様である。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は、実施例1の試験方法と同様であ る。磁性体粉末4Aから4Dの試験結果は以下の 8にて示す。

 Fe-Si-B系合金粉末を用いた場合において、コ ア4Aから4Dの原材料となった磁性体粉末4Aから 4D間における成分比の相違は、良品率に与え 影響は少ない結果を示した。
 具体的に、研削速度毎秒0.2mmの場合、比較 用コアは、含有率が80%の場合には、コア4Aか ら4Dのいずれもが良品率が30~50%を示したが、 施例用コアは、含有率が85%の場合には、良 率が70~80%と飛躍的に上昇した。また、含有 は90%以上になると、良品率は100%となり、優 れた良品率を示した。
 特に、研削速度毎秒1.0mmの場合には、含有 90%の場合には、良品率が70~90%と飛躍的に上 し、含有率100%の場合には、コアDにおいては 、良品率が80%を示したものの、コアA、コアB コアCにおいては、良品率100%と優れた結果 示した。
 粒径75μm以下の磁性体粉末の含有率は、85% 上であれば、巻線インダクタ用コアの製造 可能であることがわかった。また、研削速 が1.0mmと速くなっても、含有率が100%であれ 、良品率が80~100%と特段に優れていることが かった。

(巻線インダクタの測定)
 実施例4として、磁性体粉末4D(含有率100%)を いたコア4Dの溝部に銅線を20回巻いた巻線イ ンダクタの直流重畳特性を測定した。測定結 果を図8に示す。また、比較として、実施例1 て引用した比較例(コア1Aと同一形状のNi-Cu-Z nフェライト焼結体の溝部に銅線を20回巻いた 巻線インダクタ)の直流重畳特性も図示した 図8において、実線が実施例4で、破線が比較 例であるが、実施例4は電流値が0~1Aと低い場 、6.3μHを示し、比較例より5A程度、低いイ ダクタンス値を示した。電流が4A、5Aと多く っていった場合に、インダクタンス値は徐 にだが小さくなっていくが、変化の度合い とても小さかった。また、実施例4は、比較 例のインダクタンス値のように、急激に減少 することはなく、電流が2~3A以降では、比較 よりも、高いインダクタンス値を示してい 。
 以上より、実施例である巻線インダクタは フェライト焼結体によるコアを用いた巻線 ンダクタよりも、優れた直流重畳特性を示 ことを証明できた。

(実施例5)
 実施例5は、アトマイズ法により得たFe-Si系 金粉末を用意した。

(磁性体粉末の準備)
 前記したように、本実施例はアトマイズ法 より得たFe-Si系合金粉末であるが、成分比 、以下の表9で示す。

(磁性体粉末の粒径の調整)
 磁性体粉末5Aから5Cは粒径調整工程において 、目開き45μmの篩掛けを行い、粒径45μm以下 調整した試料である。
 磁性体粉末5Aから5Cに篩上にある粒径45μm以 の粉末を混入し、含有率を表10にて示すよ に変更した。ただし、この場合、含有率60% 下は、比較例となる。

 (コアの製造工程)
 コアの製造過程は、実施例1と同様である。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は実施例1と同様な試験方法である 。
 磁性体粉末5Aから5Cの試験結果は以下の表10 て示す。

 Fe-Si系合金粉末を用いた場合において、コ 5Aから5C間の比較をすると、Feの成分比が5Cよ りも大きいコア5Aの方が、全体的に高い良品 を示した。
 また、他の実施例と同様に粒径45μmの磁性 粉末の含有率が、高いほど、良品率があが た。
 特に、研削速度毎秒1.0mmの場合には、実施 用コアである含有率80%以下でのコア5Aから5C いずれもが良品率0%と、全くコアを製造す ことができなかったが、含有率90%の場合に すべてのコアが良品率60%を示し、含有率100% 場合にあっては、コア5Aとコア5Bは良品率が 70%と、高い良品率を示した。
 磁性体粉末が粒径45μm以下の磁性体粉末の 有率が80%以上であれば、巻線インダクタ用 アの製造が可能であることがわかった。

(巻線インダクタの測定)
 そして、実施例5として、磁性体粉末5B(含有 率90%)を用いたコア5Bの溝部に銅線を20回巻い 巻線インダクタの直流重畳特性を測定した 測定結果を図9に示す。また、比較として、 実施例1にて引用した比較例(コア1Aと同一形 のNi-Cu-Znフェライト焼結体の溝部に銅線を20 巻いた巻線インダクタ)の直流重畳特性も図 示した。図9において、実線が実施例5で、破 が比較例である。実施例5は電流値が0~1Aと い場合、8.2μHを示し、比較例より、インダ タンス値は低い。また、電流を増加しても 急激にインダクタンス値が減少しない。そ ため、急激にインダクタンス値が小さくな 比較例に比べ、電流が2.5A以降から、比較例 りも、実施例5の方が高いインダクタンス値 を示している。
 以上より、実施例である巻線インダクタは フェライト焼結体によるコアを用いた巻線 ンダクタよりも、優れた直流重畳特性を示 ことを証明できた。

(実施例6)
 実施例6では、実施例2にて示した、磁性体 末2Dを用いたコア2Dの製造工程、具体的には 研削工程を変えた実施例を示す。

(磁性体粉末の準備及び粒径の調整)
 実施例6の磁性体粉末は、実施例2において いた実施例粉末2D(Fe-Si-Al系合金粉末、Fe:Si:Al 成分比は、85:9.5:5.5)を使用した。また、磁 体粉末2Dの粒径75μm以下の含有率についても 実施例2と同様に100%~70%の混合磁性体粉末を 意した。ただし、この場合、含有率80%以下 、比較例となる。

(コアの製造)
 添加工程、圧縮工程は、実施例1と同様な工 程により、6mmφ×4mmHの円柱形の圧縮成形体を 造した。
 しかし、研削工程では、圧縮成形体の研削 る深さを、1mm、1.5mm、2mm、2.5mmとした(それ れをコア6A、6B、6C、6Dとする)。
 そのほか、圧縮成形体は側面をダイヤモン カッターにて毎秒0.2mm、又は、毎秒0.5mm、毎 秒1.0mmのそれぞれの速度にて幅3mmを研削する 程は、実施例1と同様である。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は、実施例1と同様であり、試験結 果は以下の表11の通りである。

 コア6Aから6D間の比較を行うと、コア6Aに対 、研削する溝が深いコア6Dは全体的に良品 が低い。従って、研削する溝が深いほど、 品率が下がることがわかった。
 また、研削速度が毎秒0.5mmの場合において 比較例用コアである含有率70%、80%の場合に 、良品率は0%を示し全くコアを製造すること が出来なかった。
 一方で、実施例用コアである含有率90%の場 には、良品率40%を示し、含有率が100%であれ ば、良品率は90~100%と格段に優れた良品率を した。
 以上より、粒径75μm以下のFe-Si-Al系合金粉末 が、90%以上であれば、巻線インダクタ用コア の製造が可能であることがわかった。

(巻線インダクタの測定)
 そして、実施例6として、磁性体粉末6C(含有 率100%)を用いたコア6Cの溝部(深さ2mm)に銅線を 20回巻いた巻線インダクタの直流重畳特性を 定した。測定結果を図10に示す。比較とし 、実施例1にて用いた比較例(コア1Aと同一形 のNi-Cu-Znフェライト焼結体の溝部(深さ1mm)に 銅線を20回巻いた巻線インダクタ)の直流重畳 特性も図示した。図10において、実線が実施 6で、破線が比較例である。
 実施例6は電流値が0~1Aと低い場合、8.7μHを し、比較例より低いインダクタンス値を示 た。そして、3A、4A、5Aと電流を多くした場 、インダクタンス値は徐々に減少している のの、比較例のように、急激な減少という 化はない。そのため、電流が2.5Aでは、比較 よりも実施例6の方が比較例に比べて、高い インダクタンス値を示した。
 以上より、溝部が深い場合であっても、実 例である巻線インダクタは、フェライト焼 体によるコアを用いた巻線インダクタより 、優れた直流重畳特性を示すことを証明で た。

(実施例7)
 実施例7においては、実施例2において用い 磁性体粉末2Dの圧縮工程及び研削工程を、変 えた実施例を示す。
(磁性体粉末の準備及び粒径の調整)
 実施例6の磁性体粉末は、実施例2において いた磁性体粉末2D(Fe-Si-Al系合金粉末、Fe:Si:Al 成分比は、85:9.5:5.5)を使用した。また、磁 体粉末2Dの粒径75μm以下の含有率についても 実施例2と同様に100%~70%の混合磁性体粉末を 意した。ただし、この場合、含有率80%以下 、比較例となる。

(コアの製造)
 添加工程は実施例1と同様であるが、成形工 程において、6mmφ×4mmHの円柱形(コア7A)、4mmφ 3mmHの円柱形(コア7B)、3mmφ×2mmHの円柱形(コア 7C)、6mm角×4mmHの四角柱(コア7D)、一辺3mm×4mmH 六角柱(コア7E)の圧縮成形体を製造した。
 研削工程においては、実施例1とほぼ同様で あるが、研削する溝幅を各コア毎に変えた( 12を参照)。

(機械的研削の試験結果)
 試験方法は、実施例1と同様であり、試験結 果は以下の表12の通りである。

 多角形柱の形状のコアは、円柱形のコアと 較して、研削速度が毎秒0.2mmで、含有率が10 0%であっても良品率が100%を示すことはなかっ た。
 一方で、円柱形のコアであるコア7A~7Cにお て、含有率が100%の場合、研削速度毎秒0.5mm あっても、良品率は100%を示し、円柱形のコ のほうが欠け、ヒビが生じにくいことがわ った。
 しかし、多角形柱の形状であっても、研削 度が毎秒0.2mmの場合、含有率が100%であれば 良品率が90%を示し、比較例である含有率70% 場合に比べ、良品率が75~80%向上した。
 一方で、含有率が80%となると、研削速度が 秒0.5mmとなると、良品率が0%を示し、全くコ アを製造することが出来なかったが、含有率 90%であれば、良品率が20%を示し、コアを製造 することができた。
 従って、コアの形状が多角形柱の場合、粒 75μm以下の磁性体粉末の含有率が90%以上で れば、研削速度が速くなっても製造可能で ることわかった。

(巻線インダクタの測定)
 そして、実施例7として、磁性体粉末7E(含有 率100%)を用いたコア7Eの溝部に銅線を20回巻い た巻線インダクタの直流重畳特性を測定した 。測定結果を図11に示す。また、比較例とし 、実施例1にて用いた比較例(コア1Aと同一形 状のNi-Cu-Znフェライト焼結体の溝部に銅線を2 0回巻いた巻線インダクタ)の直流重畳特性も 示した。図11において、実線が実施例7で、 線が比較例であるが、実施例7は、電流値が 0~1Aと低い場合、8.2μHを示し、比較例より、 ンダクタンス値は低い。また、電流を増加 ても、急激にインダクタンス値が減少しな 。そのため、急激にインダクタンス値が小 くなる比較例に比べ、電流が2.5A以降から、 較例よりも、実施例7の方が高いインダクタ ンス値を示している。
 以上より、本発明に係る巻線インダクタ用 アの形状が多角柱の場合であっても、実施 である巻線インダクタは、フェライト焼結 によるコアを用いた巻線インダクタよりも 優れた直流重畳特性を示すことを証明でき 。

 本発明は、携帯電話、コンピュータ等の 型電子機器において、電源回路等に用いら ている巻線インダクタである。