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Title:
VACUUM INSULATING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175503
Kind Code:
A1
Abstract:
This vacuum insulating material comprises an outer covering material that is a film layered product including a gas barrier structure as a gas barrier film. In the gas barrier structure, a composite material layer containing an inorganic filler and a resin material is formed on a substrate. The resin material is a nylon resin. The inorganic filler is an inorganic layered compound. The content rate of the inorganic layered compound in the composite material is in the range of 30-90 wt%. Furthermore, the gas barrier structure has a water vapor permeability of 1.0 g/m2·day or less in an environment of 40°C with a relative humidity of 95%.

Inventors:
KOMURA AKIKO
HASHIDA TAKASHI
AKEYAMA YUKAKO
UMEDA AKIHIRO
EBINA TAKEO
YOSHIDA HAJIME
Application Number:
PCT/JP2020/007575
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC IP MAN CO LTD (JP)
International Classes:
B32B27/34; F16L59/065
Foreign References:
JP2009085255A2009-04-23
JP2015193141A2015-11-05
JP2018177634A2018-11-15
JP2018189163A2018-11-29
JP2018135995A2018-08-30
JP2018176741A2018-11-15
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175503 34 卩(:170? 2020 /007575

請求の範囲

[請求項 1 ] 芯材、 水分吸着剤、 および外被材を備え、 前記芯材および前記水分 吸着剤は前記外被材に内包され、 当該外被材の内部は減圧封止されて いる真空断熱材であって、

前記外被材は、 基材上に、 無機フィラーおよび樹脂材料を含有する 複合材料層が形成された、 ガスバリア構造体をガスバリアフィルムと して含むフィルム積層体であり、

前記樹脂材料がナイロン系樹脂であり、

前記無機フィラーが無機層状化合物であり、

前記複合材料層中の前記無機層状化合物の含有率が 3 0〜 9 0重量 %の範囲内であり、

さらに、 前記ガスバリア構造体における 4 0 °〇、 相対湿度 9 5 %環 境下での水蒸気透過度が 1 . 〇 9 / 2 - 〇1 3ソ以下であることを特 徴とする、

真空断熱材。

[請求項 2] 前記無機層状化合物がスメクタイ トであることを特徴とする、 請求項 1 に記載の真空断熱材。

[請求項 3] 前記スメクタイ トが、 モンモリロナイ ト、 スティーブンサイ ト、 サ ポナイ ト、 へクトライ トからなる群から選択される少なくとも 1種以 上であることを特徴とする、

請求項 2に記載の真空断熱材。

[請求項 4] 前記スメクタイ トが、 前記モンモリロナイ トおよび前記スティーブ ンサイ トの混合物であるとともに、

当該混合物中における前記モンモリロナイ トの含有率が 6 5重量% 以上 1 0 0重量%未満であることを特徴とする、

請求項 3に記載の真空断熱材。

[請求項 5] 前記スメクタイ トが、 層間陽イオンとしてアンモニウムイオン (

1~14+) およびプロトン (!~1 +) の少なくとも一方を含有することを特徴 \¥0 2020/175503 35 卩(:170? 2020 /007575

とする、

請求項 2から 4のいずれか 1項に記載の真空断熱材。

[請求項 6] 前記複合材料層は、 水分の含有量が 2 . 5重量%以下であることを 特徴とする、

請求項 1から 5のいずれか 1項に記載の真空断熱材。

[請求項 7] 前記複合材料層は、 アンモニアの含有量が 1 . 0重量%以下である ことを特徴とする、

請求項 1から 6のいずれか 1項に記載に記載の真空断熱材。

[請求項 8] 前記樹脂材料には、 分子量が 2 0 0以下の水溶性の低分子量アミン 化合物が添加されていることを特徴とする、

請求項 1から 7のいずれか 1項に記載の真空断熱材。

[請求項 9] 前記複合材料層の厚さが 1 O n m以上 5 〇以下であることを特徴 とする、

請求項 1から 8のいずれか 1項に記載のガスバリア構造体。

[請求項 10] 前記基材が、 無機蒸着層を有する樹脂フィルムであることを特徴と する、

請求項 1から 9のいずれか 1項に記載の真空断熱材。

Description:
\¥0 2020/175503 1 卩(:17 2020 /007575 明 細 書

発明の名称 : 真空断熱材

技術分野

[0001 ] 本発明は、 良好なガスバリア性を有するガスバリア構造 体を外被材として 備える真空断熱材に関する。

背景技術

[0002] 真空断熱材は、 外被材の内部に芯材 (コア材) および水分吸着剤等を減圧 密閉状態 (略真空状態) で封入 (減圧封止) した構成を有している。 外被材 は、 内部の略真空状態を維持するためにガスバリ ア性を有している。 外被材 としては、 _般的には、 ガスバリアフィルムを備えるフィルム積層体 が用い られる。 このような外被材において、 そのガスバリア性を向上させる手法の —つとしては、 層状粘土鉱物を用いたガスバリアフィルムを 用いることが知 られている。

[0003] 例えば、 特許文献 1 には、 真空断熱材の外被材が、 溶着層およびガスバリ ア層を有し、 このガスバリア層が、 層状粘土質材 (層状粘土鉱物) と高分子 材とを含有する構成を開示している。 このように、 外被材が層状粘土鉱物を 含有するガスバリア層を有していれば、 真空断熱材の外面から内部に向かっ ての気体の透過侵入を有効に抑制することが 可能である。

[0004] ただし、 一般的な層状粘土鉱物は親水性であるため、 層状粘土鉱物を含有 するガスバリア層は、 湿度の高い環境下ではガスバリア性が低下す る。 そこ で、 特許文献 1では、 高温 ·高湿度条件でも長期間に亙ってガスバリア を 実現するために、 層状粘土質材 (層状粘土鉱物) および高分子材としていず れも疎水性のものを用いている。 このような疎水性の層状粘土質材は一般的 でなく、 例えば、 特許文献 1の実施例では、 モンモリロナイ ト等に含まれる 無機カチオンを有機カチオンにイオン交換す ることで、 層状粘土質材に疎水 性を付与している。

先行技術文献 \¥0 2020/175503 2 卩(:17 2020 /007575 特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 0 9— 0 8 5 2 5 5号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] ところで、 例えば、 一年中高温多湿の蒸暑地域でも、 近年、 省エネルギー 化の進展が想定されるため、 真空断熱材の需要が見込まれる。 また、 温暖化 の進行によって地域によっては湿度が上昇す る可能性がある。 しかしながら 、 真空断熱材の外被材のガスバリア性が層状粘 土物質に由来するものであれ ば、 このような真空断熱材を多湿環境で用いると 、 前記の通り、 層状粘土鉱 物の含水によりガスバリア性が低下して真空 断熱材の断熱効果が低下する。

[0007] そこで、 蒸暑地域のような多湿環境に対応するために 、 特許文献 1のよう に、 ガスバリア性の低下を抑制するために疎水性 の層状粘土鉱物を用いるこ とが考えられる。 しかしながら、 このような疎水性の層状粘土鉱物は、 一般 的な層状粘土鉱物に対して特別な加工が必要 になるため、 真空断熱材が高コ スト化する。

[0008] 本発明はこのような課題を解決するためにな されたものであって、 高温多 湿の条件下であっても良好に使用することが 可能な、 真空断熱材を提供する ことを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009] 本発明に係る真空断熱材は、 前記の課題を解決するために、 芯材、 水分吸 着剤、 および外被材を備え、 前記芯材および前記水分吸着剤は前記外被材 に 内包され、 当該外被材の内部は減圧封止されている真空 断熱材であって、 前 記外被材は、 基材上に、 無機フィラーおよび樹脂材料を含有する複合 材料層 が形成された、 ガスバリア構造体をガスバリアフィルムとし て含むフィルム 積層体であり、 前記樹脂材料がナイロン系樹脂であり、 前記無機フィラーが 無機層状化合物であり、 前記複合材料層中の前記無機層状化合物の含 有率が 3 0〜 9 0重量%の範囲内であり、 さらに、 前記ガスバリア構造体における \¥0 2020/175503 3 卩(:170? 2020 /007575

4 0 °0, 相対湿度 9 5 % (以下 9 と記載する) 環境下での水蒸気透 過度が 1 . 〇 9 / 2 - 〇1 3ソ以下である構成である。

[0010] 前記構成によれば、 ガスバリア構造体の基材をナイロン系樹脂製 とすると ともに、 前記複合材料層に含有される無機層状化合物 の含有率を 3 0〜 9 0 重量%とすることにより、 高温多湿条件下での水蒸気透過度の上限を低 下さ せることができる。 これにより、 無機層状化合物を含有するガスバリア層を 備えるガスバリア構造体において、 高温多湿の条件下での良好なガスバリア 性を実現することができる。 それゆえ、 このようなガスバリア構造体を備え るフィルム積層体を、 真空断熱材の外被材として用いることにより 、 当該真 空断熱材は、 高温多湿の条件下であっても良好な断熱効果 を実現することが できる。

[001 1] 本発明の上記目的、 他の目的、 特徴、 および利点は、 添付図面参照の下、 以下の好適な実施態様の詳細な説明から明ら かにされる。

発明の効果

[0012] 本発明では、 以上の構成により、 高温多湿の条件下であっても良好に使用 することが可能な、 真空断熱材を提供することができる、 という効果を奏す る。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]図 1 八, 図 1 巳は、 本発明の代表的な実施の形態に係るガスバリ ア構造 体の一例であるガスバリアフィルムの構成を 示す模式的断面図である。

[図 2]図 2八~図 2〇は、 図 1 に示すガスバリアフィルムを備えるフィルム 積 層体の代表的な構成を示す模式的断面図であ る。

[図 3]図 2に示すフィルム積層体を外被材として備え 真空断熱材の代表的な 構成を示す模式的断面図である。

[図 4]本発明の代表的な実施例の結果である、 ガスバリア構造体の複合材料層 における無機層状化合物の含有率と、 当該ガスバリア構造体の水蒸気透過度 との関係を示すグラフである。

[図 5]本発明の代表的な実施例の結果である、 ガスバリア構造体の複合材料層 \¥0 2020/175503 4 卩(:170? 2020 /007575

におけるモンモリロナイ トの含有率と、 当該ガスバリア構造体の水蒸気透過 度との関係を示すグラフである。

[図 6]本発明の代表的な実施例の結果である、 ガスバリア構造体の複合材料層 における水の含有率と、 当該ガスバリア構造体の水蒸気透過度との関 係を示 すグラフである。

[図 7]本発明の代表的な実施例の結果である、 ガスバリア構造体の複合材料層 におけるアンモニアの含有率と、 当該ガスバリア構造体の水蒸気透過度との 関係を示すグラフである。

[図 8]本発明の代表的な実施例の結果である、 ガスバリア構造体の複合材料層 における低分子量アミン化合物の添加率と、 当該ガスバリア構造体の水蒸気 透過度との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0014] 本開示に係る真空断熱材は、 芯材、 水分吸着剤、 および外被材を備え、 前 記芯材および前記水分吸着剤は前記外被材に 内包され、 当該外被材の内部は 減圧封止されている真空断熱材であって、 前記外被材は、 基材上に、 無機フ ィラーおよび樹脂材料を含有する複合材料層 が形成された、 ガスバリア構造 体をガスバリアフィルムとして含むフィルム 積層体であり、 前記樹脂材料が ナイロン系樹脂であり、 前記無機フィラーが無機層状化合物であり、 前記複 合材料層中の前記無機層状化合物の含有率が 3 0〜 9 0重量%の範囲内であ り、 さらに、 前記ガスバリア構造体における 4 0 ° 〇、 相対湿度 9 5 % ( 9 5 3ソ以下である構成で ある。

[0015] 前記構成によれば、 ガスバリア構造体の基材をナイロン系樹脂製 とすると ともに、 前記複合材料層に含有される無機層状化合物 の含有率を 3 0〜 9 0 重量%とすることにより、 高温多湿条件下での水蒸気透過度の上限を低 下さ せることができる。 これにより、 無機層状化合物を含有するガスバリア層を 備えるガスバリア構造体において、 高温多湿の条件下での良好なガスバリア 性を実現することができる。 それゆえ、 このようなガスバリア構造体を備え \¥0 2020/175503 5 卩(:170? 2020 /007575

るフィルム積層体を、 真空断熱材の外被材として用いることにより 、 当該真 空断熱材は、 高温多湿の条件下であっても良好な断熱効果 を実現することが できる。

[0016] 前記構成の真空断熱材においては、 前記無機層状化合物がスメクタイ トで ある構成であってもよい。

[0017] 前記構成によれば、 無機層状化合物としてスメクタイ トを用いることで、 外被材であるフィルム積層体において、 高温多湿の条件下におけるより良好 なガスバリア性を実現することができる。

[0018] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記スメクタイ トが、 モンモリ ロナイ ト、 スティーブンサイ ト、 サポナイ ト、 ヘクトライ トからなる群から 選択される少なくとも 1種以上である構成であってもよい。

[0019] 前記構成によれば、 スメクタイ トとして前述したいずれか 1種を少なくも 用いることで、 外被材であるフィルム積層体において、 高温多湿の条件下に おけるより良好なガスバリア性を実現するこ とができる。

[0020] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記スメクタイ トが、 前記モン モリロナイ トおよび前記スティーブンサイ トの混合物であるとともに、 当該 混合物中における前記モンモリロナイ トの含有率が 6 5重量%以上 1 0 0重 量%未満である構成であってもよい。

[0021 ] 前記構成によれば、 スメクタイ トとして、 モンモリロナイ トおよびスティ —ブンサイ トの混合物を用いるとともにモンモリロナイ トの含有率を特定す ることにより、 外被材であるフィルム積層体において、 高温多湿の条件下に おけるより良好なガスバリア性を実現するこ とができる。

[0022] また、 前記構成の真空断熱材においては前記スメク タイ トが、 層間陽イオ ンとしてアンモニウムイオン (1\1 1 ~ 1 4 + ) およびプロトン (1 ~ 1 + ) の少なくとも一 方を含有する構成であってもよい。

[0023] 前記構成によれば、 スメクタイ トの層間陽イオンをナトリウムイオンから アンモニウムイオンまたはプロトンに置換す ることになる。 それゆえ、 従来 のリチウムイオンのような相対的に高価な材 料 (イオン) を用いることなく \¥0 2020/175503 6 卩(:170? 2020 /007575

、 複合材料層の耐水性を向上することができる 。

[0024] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記複合材料層は、 水分の含有 量が 2 . 5重量%以下である構成であってもよい。

[0025] 前記構成によれば、 乾燥後の複合材料層における水分の含有量の 上限を規 定することにより、 複合材料層が十分に乾燥していると判断する ことができ る。 それゆえ、 外被材であるフィルム積層体において良好な 水蒸気バリア性 を実現することができる。

[0026] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記複合材料層は、 アンモニア の含有量が 1 . 〇重量%以下である構成であってもよい。

[0027] 前記構成によれば、 複合材料層におけるアンモニアの含有量の上 限を規定 することにより、 アンモニウムイオンの存在による多湿環境下 での水の誘引 を抑制することができる。 それゆえ、 外被材であるフィルム積層体において 良好な水蒸気バリア性を実現することができ る。

[0028] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記樹脂材料には、 分子量が 2

0〇以下の水溶性の低分子量アミン化合物が 加されている構成であっても よい。

[0029] 前記構成によれば、 低分子量アミン化合物を添加することで、 外被材であ るフィルム積層体において、 水蒸気バリア性が向上することに加え、 複合材 料層における基材からの剥離強度の改善も期 待することができる。

[0030] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記複合材料層の厚さが 1 〇门

[0031 ] 前記構成によれば、 複合材料層の厚さを前記の範囲内に限定する ことで、 外被材であるフィルム積層体において、 高温多湿の条件下での良好なガスバ リア性を実現することができる。

[0032] また、 前記構成の真空断熱材においては、 前記基材が、 無機蒸着層を有す る樹脂フィルムである構成であってもよい。

[0033] 前記構成によれば、 基材が、 無機蒸着層を有する樹脂フィルムであるので 、 外被材であるフィルム積層体が備えるガスバ リア構造体は、 良好なガスバ \¥0 2020/175503 7 卩(:170? 2020 /007575

リア性を実現できるとともに、 基材上に形成される複合材料層の密着性を向 上させることができる。

[0034] 以下、 本発明の代表的な実施の形態を、 図面を参照しながら説明する。 な お、 以下では全ての図を通じて同一又は相当する 要素には同一の参照符号を 付して、 その重複する説明を省略する。

[0035] [ガスバリア構造体]

本開示に係るガスバリア構造体は、 基材上に、 無機フィラーおよび樹脂材 料を含有する複合材料層が形成された構成で ある。 言い換えれば、 本開示に 係るガスバリア構造体は、 基材の層と複合材料層とを備える少なくとも 2層 の構成であればよい。 したがって、 本開示に係るガスバリア構造体は、 基材 および複合材料層以外の層を備えてもよい。

[0036] ガスバリア構造体の具体的な構成は特に限定 されないが、 図 1 八, 図 1 巳 に示すように、 フィルム状のものすなわちガスバリアフィル ム 1 0八, 1 0 巳を挙げることができる。 本実施の形態では、 ガスバリアフィルム 1 0八,

1 0巳を挙げて、 本開示に係るガスバリア構造体について具体 的に説明する 。 図 1 八に示すガスバリアフィルム 1 〇八は、 基材 1 1、 複合材料層 1 2、 および無機蒸着層 1 3を備えており、 図 1 巳に示すガスバリアフィルム 1 0 巳は、 基材 1 1および複合材料層 1 2を備えているが、 無機蒸着層 1 3は備 えていない。

[0037] 基材 1 1の形態は特に限定されず、 フィルム状、 平板状、 容器状等のさま ざま形態をとり得る。 また、 基材 1 1の具体的な種類は特に限定されず、 ガ スバリア構造体の用途に応じて、 様々な種類のものを用いることができる。 前記の通り、 ガスバリア構造体がガスバリアフィルム 1 〇八, 1 0巳であれ ば、 基材 1 1 としては樹脂フィルムを用いることができる 。

[0038] 代表的な樹脂フィルムとしては、 例えば、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリエチレンナフタレート ( 巳 1\!) 、 ポリ トリメチレンテレフ タレート ( 丁丁) 、 ポリプチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプチレ ンナフタレート ( 巳 ) 等のポリエステル;ポリエチレン ( 巳) 、 ポリ \¥0 2020/175503 8 卩(:170? 2020 /007575

プロピレン ( ) 、 ポリメチルペンテン (丁 乂) 等のポリオレフィン; ナイロン 6、 ナイロン 1 1、 ナイロン 1 2、 ナイロン 6 6、 ナイロン 4 6、 ナイロン 6 1 0、 ナイロン 6 1 2、 ナイロン 6丁、 ナイロン 6 丨、 ナイロン 9丁、 ナイロン IV! 5丁等のナイロン (ポリアミ ド) ; トリアセチルセルロー ス (丁八〇) 等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリ レート ( 1\/1 1\/1八 ) 等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル ( V〇) ;ポリカーボネート ( 〇 ) ;等が挙げられるが特に限定されない。 また、 これら樹脂 (プラスチック ) 材料を 2種類以上組み合わせたもの (ポリマーアロイ) が用いられてもよ いし、 公知の添加剤等を含有してもよい。

[0039] 基材 1 1 としての樹脂フィルムの厚さは特に限定され ず、 ガスバリアフィ ルム 1 〇八, 1 0巳の用途等に応じて適宜設定することがで る。 また、 樹 脂フィルムは単層であってもよいが、 2層以上の複数層であってもよい。 基 材 1 1が樹脂フィルムであれば、 通常は柔軟性を有するが、 基材 1 1が板状 であれば剛性を有する。 基材 1 1が種々の容器状であれば、 容器の形態によ って柔軟性を有してもよいし剛性を有しても よい。 基材 1 1が板状または容 器状であるときの厚さについても特に限定さ れない。 また、 基材 1 1 におけ る厚さ以外の諸条件または物性についても特 に限定されない。

[0040] 基材 1 1 としての樹脂フィルムには、 図 1 に示すように、 複合材料層 1

2を形成する側の面に無機蒸着層 1 3が形成されてもよい。 すなわち、 本開 示においては、 複合材料層 1 2の形成面に無機蒸着層 1 3を有する樹脂フィ ルムが基材 1 1 として用いられてもよい。 もちろん図 1 巳に示すように、 基 材 1 1 における複合材料層 1 2の形成面に無機蒸着層 1 3が形成されていな くてもよい。

[0041 ] 無機蒸着層 1 3の具体的な種類としては、 例えば、 シリカ (酸化ケイ素)

、 アルミナ (酸化アルミニウム) 、 マグネシア (酸化マグネシウム) 、 チタ ニア (酸化チタン) 、 酸化スズ、 酸化セリウム、 酸化亜鉛、 スピネル (IV! 9 八 I 2 4 等の酸化物;窒化アルミニウム、 窒化ケイ素等の窒化物; フッ化カル シウム、 フッ化セリウム等のフッ化物;酸窒化ケイ素 等の酸窒化物; アルミ \¥0 2020/175503 9 卩(:170? 2020 /007575

ニウム等の金属;等が挙げられるが特に限 定されない。 代表的には、 シリカ またはアルミナ等の酸化物の蒸着層が好適に 用いられる。

[0042] 無機蒸着層 1 3の厚さは特に限定されないが、 厚さが大きすぎると、 基材

1 1 としての柔軟性等に影響を及ぼす恐れがある ため、 例えば 2 以下で あればよく、 好ましくは 1 以下であればよい。 樹脂フィルム (基材 1 1 ) に無機蒸着層 1 3を形成する方法も特に限定されず、 例えば、 真空蒸着法 、 スパッタリング法、 イオンプレーティング法等の物理気相成長法 ( 〇 法) ; プラズマ化学気相成長法、 熱化学気相成長法等の化学気相成長法 (〇 〇法) ;等の公知の方法を好適に用いることができ る。

[0043] 複合材料層 1 2は、 前記の通り、 無機フィラーおよび樹脂材料を含有する ものであればよいが、 本開示においては、 樹脂材料がナイロン系樹脂であり 、 無機フィラーが無機層状化合物である。 複合材料層 1 2は、 基本的には、 樹脂材料であるナイロン系樹脂をバインダー 成分とし、 このバインダー成分 中に無機フィラーである無機層状化合物が分 散している構成である。 したが って、 複合材料層 1 2は、 無機フィラーおよび樹脂材料から少なくとも 構成 されていればよいが、 これら以外の公知の成分を含有してもよい。

[0044] 複合材料層 1 2を構成する無機フィラーは、 前記の通り無機層状化合物で あればよいが、 具体的には、 例えば、 粘土鉱物、 合成ヘクトライ ト、 変性べ ントナイ ト等の層状ケイ酸塩; アルミニウム鱗片、 酸化鉄鱗片、 チタン酸ス トロンチウム鱗片、 銀鱗片、 ステンレス鱗片、 亜鉛鱗片等の金属または金属 化合物の鱗片状 (フレーク状、 薄片状) 粒子; アルミニウム箔、 スズ滔、 青 銅箔、 ニッケル箔、 インジウム箔等の金属箔;層状シリカ、 六方晶窒化ホウ 素、 グラファイ ト、 シリコン鱗片、 層状ニオブ ·チタン酸塩等の層状非金属 系無機化合物;等を挙げることができるが、 特に限定されない。 これら無機 層状化合物は単独で用いてもよいし、 2種類以上を適宜組み合わせて用いて もよい。

[0045] 特に本開示では、 無機層状化合物としては、 粘土鉱物が好適に用いられる 。 具体的な粘土鉱物としては、 例えば、 リザーダイ ト、 アメサイ ト、 カオリ \¥0 2020/175503 10 卩(:170? 2020 /007575

ナイ ト、 ディツカイ ト、 ハロイサイ ト、 パイロフィライ ト等の 1 : 1層型; モンモリロナイ ト、 スティーブンサイ ト、 サポナイ ト、 へクトライ ト、 バイ デライ ト、 ノントロナイ ト、 ソーコナイ ト、 3八面体型バーミキュライ ト、

2八面体型バーミキュライ ト、 タルク、 金雲母、 黒雲母、 レピドライ ト、 イ ライ ト、 白雲母、 パラゴナイ ト、 クリントナイ ト、 マーガライ ト、 クリノク ロア、 シャモサイ ト、 ニマイ ト、 ドンバサイ ト、 クツケアイ ト (クーカイ ト ) 、 スドーアイ ト等の 2 : 1層型; アンチゴライ ト、 グリーナライ ト、 カリ オピライ ト等のミスフィツ ト類;等を挙げることができるが、 特に限定され ない (クリントナイ トは、 2 : 1層型だけでなくミスフィツ ト類にも分類で きる) 。 これら粘土鉱物は、 無機層状化合物として単独で用いてもよいし 、

2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよ し、 粘土鉱物以外の 1種類以上 の無機層状化合物と適宜組み合わせて用いて もよい。

[0046] 本開示では、 無機層状化合物としては、 2 : 1層型の粘土鉱物を好適に用 いることができ、 中でもスメクタイ トを特に好適に用いることができる。 ス メクタイ トは、 層間に陽イオンを交換可能に保持しており、 この層間陽イオ ンにより水分子が層間に取り込まれることで 層間が拡大して膨潤する性質を 有する。 具体的なスメクタイ トとしては、 例えば、 モンモリロナイ ト、 ステ ィーブンサイ ト、 サボナイ ト、 ヘクトライ ト、 バイデライ ト、 ノントロナイ 卜、 ソーコナイ ト等を挙げることができる。 これらスメクタイ トは 1種類の み用いてもよいし 2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい

[0047] 本実施の形態では、 これらスメクタイ トの中でも、 モンモリロナイ ト、 ス ティーブンサイ ト、 サボナイ ト、 へクトライ トからなる群から選択される少 なくとも 1種以上が好適に用いられる。 代表的には、 例えば、 モンモリロナ イ トおよびスティーブンサイ トの組合せを好適に用いることができるが、 モ ンモリロナイ トのみであってもよいし、 他のスメクタイ ト 1種類のみであっ てもよいし、 モンモリロナイ トおよびスティーブンサイ ト以外のスメクタイ 卜の組合せであってもよい。 このスメクタイ トの組合せは 2種類に限定され ず 3種類以上であってもよい。 \¥0 2020/175503 1 1 卩(:170? 2020 /007575

[0048] 無機層状化合物がスメクタイ トである場合、 層間陽イオンの種類は特に限 定されない。 一般的には、 スメクタイ トの層間陽イオンはナトリウムイオン (N 3 + ) であるが、 このナトリウムイオンが他の陽イオンに置換 されてもよ い。 置換し得る他の陽イオンとしては、 例えば、 参考文献 1 :国際公開 〇 2 0 1 1 / 1 5 2 5 0 0号明細書に開示されているように、 リチウムイオン (!_ 丨 + ) を挙げることができるが、 本開示においては、 特に好ましくはアン モニウムイオン (1\1 1 ~ 1 4 + ) を挙げることができる。

[0049] 参考文献 1 に記載されるように、 層間陽イオンをナトリウムイオンからリ チウムイオンに置換して熱処理することによ り、 耐水性を向上することがで きる。 ただし、 リチウムは相対的に高価であるとともに、 リチウムイオンに 起因する、 水分の誘引を抑制するためには、 熱処理温度も比較的高めに設定 する必要がある。 これに対して、 アンモニウムイオンを含む化合物はリチウ ムよりも安価であり、 また、 置換後の熱処理温度を相対的に低くすること が 可能である。 そして、 熱処理によって、 置換されたアンモニウムイオンから アンモニア が脱離することにより、 層間陽イオンは最終的にプロト ン (1 ~ 1 + ) となるため、 良好な耐水性を実現することが可能となる。

[0050] したがって、 本開示に係るガスバリア構造体 (ガスバリアフィルム 1 0八 , 1 〇巳) では、 複合材料層 1 2中の無機層状化合物 (無機フィラー) がス メクタイ トであるときに、 層間陽イオンは、 アンモニウムイオン (1\] | ~ 1 4 + ) お よびプロトン (1 ~ 1 + ) の少なくとも一方であることが好ましい。 ガスバリア構 造体の用途等によって要求される耐水性に応 じて、 熱処理の条件を適宜設定 することにより、 層間陽イオンをアンモニウムイオンからプロ トンにする比 率を調整することができる。 それゆえ、 複合材料層 1 2中のスメクタイ トに おける層間陽イオンとしては、 アンモニウムイオンおよびプロトンが共存し てもよい。 もちろん、 熱処理前であれば層間陽イオンのほとんどが アンモニ ウムイオンであり、 十分に熱処理すれば層間陽イオンのほとんど がプロトン となり得る。 また、 元々の層間陽イオンであるナトリウムイオン が一部残存 してもよいことはいうまでもない。 \¥0 2020/175503 12 卩(:170? 2020 /007575

[0051 ] 複合材料層 1 2を構成する樹脂材料であるナイロン系樹脂 具体的な種類 は特に限定されない。 本開示において好適に用いることのできるナ イロン系 樹脂としては、 例えば、 前述した基材 1 1の一例として挙げた各種ナイロン (ポリアミ ド) を好適に用いることができる。 これらナイロン系樹脂は 1種 類のみを用いてもよいし 2種類以上を適宜ブレンドしたポリマーアロ とし て用いてもよい。

[0052] 複合材料層 1 2を構成するナイロン系樹脂の代表的な一例 しては、 水溶 性ナイロンを挙げることができる。 水溶性ナイロンの具体的な構成は特に限 定されないが、 例えば、 モノマーとしてアミン化合物を用いたもの、 あるい は、 モノマーとしてアルキレンオキサイ ド化合物を用いたものを挙げること ができる。 アミン化合物を多く用いた水溶性ナイロンで あれば、 複合材料層 1 2のガスバリア性をより良好なものにするこ ができ、 アルキレンオキサ イ ド化合物を多く用いた水溶性ナイロンであれ ば、 複合材料層 1 2の耐剥離 性をより良好なものとすることができる。

[0053] また、 複合材料層 1 2を構成するバインダー成分としては、 ナイロン系樹 脂以外の樹脂材料を含有してもよい。 つまり、 本開示においては、 バインダ —成分の主成分としてナイロン系樹脂が用い られればよいが、 諸条件に応じ て、 ナイロン系樹脂に他の樹脂材料がブレンドさ れてもよい。 他の樹脂材料 は特に限定されないが、 例えば、 ユリア樹脂、 メラミン樹脂、 フエノール樹 月旨、 エポキシ樹脂、 ブロックイソシアネート等を挙げることがで きる。 これ ら他の樹脂材料は 1種類のみを用いてもよいし 2種類以上を適宜組み合わせ て用いてもよい。 これら他の樹脂材料とナイロン系樹脂とを混 合して熱処理 することで、 複合材料層 1 2に架橋構造を形成することができるので、 得ら れるガスバリア構造体の耐湿性を向上するこ とができる。

[0054] ナイロン系樹脂に対する他の樹脂材料の添加 量は特に限定されず、 複合材 料層 1 2によるガスバリア性を妨げない範囲内であ ばよいが、 例えば 1 0 重量%以下を挙げることができる。 バインダー成分がナイロン系樹脂を主成 分とするのであれば、 他の樹脂材料は 5 0重量%未満とすることもできるが \¥0 2020/175503 13 卩(:17 2020 /007575

、 ナイロン系樹脂に由来する良好な物性を実現 する観点では、 バインダー成 分が含有するナイロン系樹脂は例えば 9 0重量%以上であることが好ましい

[0055] また、 ナイロン系樹脂には、 公知の添加剤が含有されてもよい。 具体的な 添加剤は特に限定されないが、 酸化防止剤、 光安定剤、 帯電防止剤、 難燃剤 、 可塑剤、 滑剤、 着色剤、 増粘剤、 無機層状化合物以外の公知のフィラー等 を挙げることができる。 複合材料層 1 2のバインダー成分である樹脂材料を 第一の成分とし、 無機フィラーである無機層状化合物を第二の 成分と見なし たときに、 これら添加剤は、 複合材料層 1 2を構成する第三の成分と見なし てもよい。 言い換えれば、 前記の通り、 複合材料層 1 2は、 少なくとも無機 フィラーおよび樹脂材料を含有しているが、 公知の添加剤等をさらに含有し てもよい。

[0056] 本開示においては、 前述した第三の成分の代表的な一例として増 粘剤を挙 げることができる。 増粘剤は、 単に粘度を上昇させるだけでなく糸曳性 (長 く糸状に伸びる性質) を付与できる材料であることが好ましい。 具体的な増 粘剤は特に限定されないが、 例えば、 ポリビニルアルコール ( 〇) 、 力 ルボキシメチルセルロース 、 ポリエチレンオキサイ ド等を挙げる ことができる。 これら増粘剤は 1種類のみを用いてもよいし 2種類以上を適 宜組み合わせて用いてもよい。 これらのうち 〇は、 複合材料層 1 2 (ガ スバリア構造体) の耐湿性の観点から完全けん化品を用いるこ とが望ましい

[0057] 本開示においては、 ガスバリア構造体の水蒸気バリア性をより良 好なもの とする観点では、 ナイロン系樹脂に対して、 分子量が 2 0 0以下の水溶性の 低分子量アミン化合物を添加することができ る。 具体的な低分子量アミン化 合物としては、 例えば、 1 , 2 -シクロヘキサンジアミン、 1 , 3 -シクロ ヘキサンジアミン、 1 , 4—シクロヘキサンジアミンの低分子量ジア ン; 2 , 6 -ジアミノアブロン酸等の低分子量ジアミノ ルボン酸;ジエタノー ルアミン等の低分子量アミノアルコール;等 を挙げることができるが、 特に \¥0 2020/175503 14 卩(:170? 2020 /007575

限定されない。 これら低分子量アミン化合物は 1種類のみを用いてもよいし 2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい

[0058] ナイロン系樹脂に対する低分子量アミン化合 物の添加量は特に限定されな いが、 ナイロン系樹脂の重量を基準として添加量を 設定することができる。 具体的には、 ナイロン系樹脂の重量を とし、 低分子量アミン化合物の重量 としたときに、 低分子量アミン化合物の添加率 は、 ナイロン系樹脂 の重量 と低分子量アミン化合物の重量 との和に対する低分子量アミン 化合物の重量 の百分率 ( 8 / (I +1) X 1 〇〇) で表すこと ができる (単位:重量%) 。 なお、 前記の通り、 ナイロン系樹脂以外の樹脂 をバインダー成分として含む場合には、 バインダー成分 (樹脂成分) 全体の 重量を基準として (ナイロン系樹脂の重量 をバインダー成分全体の重量に 置き換えて) 低分子量アミン化合物の添加率 を設定してもよい。

[0059] 低分子量アミン化合物の添加率 は特に限定されず、 良好な水蒸気バリア 性を発揮できる範囲内であればよいが、 例えば後述する実施例 4 (および図 8) に示すように、 2 0〜 7 5重量%の範囲内を挙げることができ、 好まし くは 4 0〜 7 0重量%の範囲内を挙げることができる。 低分子量アミン化合 物の含有量がこの範囲内であれば、 得られるガスバリア構造体において水蒸 気バリア性が向上することに加え、 複合材料層 1 2における基材 1 1からの 剥離強度の改善も期待することができる。

[0060] 低分子量アミン化合物が良好な水蒸気バリア 性を実現できるとともに、 剥 離強度の改善にも寄与する理由は現時点では 明らかではないが、 (1) 無機 層状化合物に含まれる対イオンであるアンモ ニウムイオン (1\] | ~ 1 4 + ) がプロト ン (1 1 + ) を放出し、 低分子量アミン化合物のアミノ基が、 より疎水的なアン モニウム型の対イオンを形成することで、 複合材料層 1 2の水和が抑制され ること、 並びに、 (2) 樹脂材料の主成分であるナイロン系樹脂の親 水基 ( 例えばアミノ基) と低分子量アミン化合物のアミノ基とが水素 結合を形成す ることで、 バインダー成分 (樹脂材料) の凝集力が増大するとともに、 前記 の疎水的なアンモニウム型の対イオンによる バインダー成分と無機層状化合 \¥0 2020/175503 15 卩(:170? 2020 /007575

物との凝集力も増大すること、 という 2つの理由が推測される。

[0061 ] 本開示に係るガスバリア構造体 (ガスバリアフィルム 1 〇八, 1 〇巳) に おいては、 複合材料層 1 2が含有する無機層状化合物の比率 (含有率) は、

3 0〜 9 0重量%の範囲内であればよいが、 例えば後述する実施例 1 (およ び図 4) に示すように、 4 5〜 8 5重量%の範囲内であってもよく、 5 0〜

8 5重量%の範囲内であってもよく、 6 0〜 8 0重量%の範囲内であっても よい。 高温多湿の環境下で良好な水蒸気バリア性を 実現する観点では、 6 0 重量%を超えて 8 0重量%未満となる範囲内であってもよいし 6 5〜 7 5 重量%の範囲内であってもよい。 無機層状化合物温含有率は、 使用環境に求 められる水蒸気バリア性に応じて、 その上限値または下限値を適宜選択する ことができる。

[0062] 複合材料層 1 2が含有する無機層状化合物がスメクタイ トである場合であ って、 例えば、 高温多湿の環境下で良好な水蒸気バリア性を 実現する観点で は、 スメクタイ トとしては、 例えば、 前述したモンモリロナイ トおよびステ ィーブンサイ トの混合物を好適に用いることができる。 このとき、 当該混合 物中におけるモンモリロナイ トおよびスティーブンサイ トの配合比は特に限 定されず、 種々の条件に応じて適宜の範囲内に設定する ことができる。

[0063] 代表的な一例としては、 後述する実施例 2 (および図 5) に示すように、 混合物中におけるモンモリロナイ トの含有率が 6 5重量%以上 1 0 0重量% 未満となる配合比を挙げることができる。 言い換えれば、 混合物におけるス ティーブンサイ トの含有率は 0重量%以上 3 5重量%未満であればよい。 モ ンモリロナイ トの含有率が 6 5質量%を超えることにより、 4 0 °〇9 5 % [¾

! !環境下という高温多湿の環境下でも良好な 蒸気バリア性 (例えば、 〇.

0 7 9 / ^ - 〇1 3ソ以下) を実現することができる。 なお、 モンモリロナイ 卜の含有率が 1 0 0重量%すなわちスメクタイ ト (無機層状化合物) として モンモリロナイ トのみが用いられても、 良好な水蒸気バリア性を実現するこ とができる。 また、 ガスバリア構造体の使用条件等によっては、 後述する実 施例 2に例示するようにスティーブンサイ トの含有率が 1 0 0重量%であっ \¥0 2020/175503 16 卩(:170? 2020 /007575

てもよい。

[0064] 本開示に係るガスバリア構造体 (ガスバリアフィルム 1 〇八, 1 〇巳) に おける複合材料層 1 2の具体的な条件は特に限定されず、 当該ガスバリア構 造体の用途等に応じて好適な条件を適宜設定 することができる。 例えば、 複 合材料層 1 2の厚さは特に限定されないものの、 代表的には、 乾燥後の厚さ が 1 0 1^ 111 (〇. 0 1 〇〇 以上 5 01以下の範囲内であればよく、 上限値 は 3 以下であってもよいし、 2 以下であってもよい。 複合材料層 1 2の厚さが 1 O n m未満であると、 諸条件にもよるが当該複合材料層 1 2が 薄すぎて十分なガスバリア性を実現できない 場合がある。 一方、 複合材料層 1 2の厚さが 5 を超えると、 諸条件にもよるが厚さに見合ったガスバリ ア性を実現できないだけでなく、 例えば基材 1 1が樹脂フィルムであれば、 複合材料層 1 2が厚くなり過ぎて十分な柔軟性が得られな なる可能性があ る。

[0065] 複合材料層 1 2の形成方法、 すなわち、 ガスバリア構造体 (ガスバリアフ ィルム 1 〇八, 1 〇巳) の製造方法は特に限定されず、 基材 1 1上に、 無機 フィラーとしての無機層状化合物と、 樹脂材料 (バインダー成分) としての ナイロン系樹脂とを含有する複合材料層 1 2を公知の方法で形成すればよい 。 代表的には、 無機層状化合物およびナイロン系樹脂を含有 する塗工液を公 知の方法で調製し、 この塗工液を公知の方法で基材 1 1の表面上 (無機蒸着 層 1 3を有する場合には、 基材 1 1 における無機蒸着層 1 3の上) に形成し 、 乾燥すればよい。

[0066] 代表的な塗工液としては、 無機層状化合物およびナイロン系樹脂を公知 の 溶剤に分散させて調製した分散液を挙げるこ とができる。 塗工液における無 機層状化合物およびナイロン系樹脂の濃度 (塗工液の組成) は特に限定され ず、 塗工方法または乾燥方法等の諸条件に応じて 適宜設定することができる 。 塗工液には、 必要に応じて無機層状化合物およびナイロン 系樹脂以外の成 分が含まれてもよい。 また、 溶剤 (分散媒) の種類も特に限定されず、 無機 層状化合物およびナイロン系樹脂の種類に応 じて適宜設定することができる \¥0 2020/175503 17 卩(:170? 2020 /007575

。 後述する実施例に示すように、 溶剤 (分散媒) としては少なくとも水が用 いられ、 これ以外に、 アルコールまたは他の水溶性有機溶媒等を併 用するこ とができる。

[0067] 塗工液の塗工方法としては、 バーコーティング、 口ールコーティング、 ス プレーコーティング、 ディップコーティング、 スピンコーティング、 ラミナ —フローコーティング、 ダイコーティング、 グラビアコーティング、 ナイフ コーティング、 力ーテンコーティング、 ロッ ドコーティング、 エアードクタ —コーティング、 ブレードコーティング、 コンマコーティング等の公知のコ —ティング方法を挙げることができるが特に 限定されない。

[0068] 塗工された塗膜の乾燥方法としては、 加熱乾燥、 減圧乾燥、 またはこれら の組合せ等を挙げることができるが、 特に限定されない。 加熱または減圧の 条件 (例えば、 温度、 時間、 圧力) も特に限定されず、 塗工液の組成または 基材 1 1の種類等の諸条件に応じて適宜設定するこ ができる。 なお、 前述 したように、 無機層状化合物がスメクタイ トであり、 層間陽イオンがアンモ ニウムイオン (1\1 1 ~ 1 4 + ) である場合には、 熱処理によりアンモニウムイオンか らアンモニア を脱離させるが、 この熱処理工程と塗膜の乾燥工程と をまとめて 1工程で実施してもよい。

[0069] 複合材料層 1 2を塗工液により形成する場合には、 乾燥前の塗工液の厚さ は、 乾燥後の厚さとの間に相関関係を有する。 例えば、 塗工液の固形分、 す なわち、 少なくとも無機層状化合物およびナイロン系 樹脂 (他の無機フィラ —または他の樹脂材料を併用する場合には、 これら他の成分も固形分に含む ) の濃度が、 後述する実施例 1〜 4に示すように約 3重量%または実施例 5 に示すように約 2重量%であれば、 乾燥前の塗膜の厚さ (膜厚) は、 乾燥後 の膜厚 (溶剤/分散媒が実質的に除去された厚さ) に比例する。

[0070] 後述する実施例では、 例えば約 3重量%の固形分濃度で実測 1 〇〇 の 膜厚で塗膜を形成したときには、 乾燥後の膜厚 (複合材料層 1 2の厚さ) は 、 1 . 3〜 2 . 8 の範囲内程度となり、 約 2重量%の固形分濃度で実測 1 〇〇 の膜厚で塗膜を形成したときには、 乾燥後の膜厚は〇. 9 ~ 1 . \¥0 2020/175503 18 卩(:170? 2020 /007575

9 01の範囲内程度となることが明らかとなって る。 したがって、 本実施 の形態では、 塗工液の固形分濃度 (重量%濃度) の数値に基づいて、 複合材 料層 1 2の乾燥前の膜厚から乾燥後の膜厚を近似す 計算値を算出すること ができる。

[0071 ] 形成された複合材料層 1 2においては、 水の残存量およびアンモニアの残 存量も規定することができる。 すなわち、 乾燥後の複合材料層 1 2において 、 水の残存量の上限値を規定することで、 当該複合材料層 1 2が十分に乾燥 していると判断することができる。 また、 前述したように、 無機層状化合物 がスメクタイ トであり、 層間陽イオンがアンモニウムイオン (1\1 1 ~ 1 4 + ) である 場合であって、 熱処理工程と乾燥工程とをまとめて実施する 場合には、 乾燥 後の複合材料層 1 2において、 アンモニアの残存量の上限値を規定すること で、 当該複合材料層 1 2においてアンモニアが十分に脱離している 判断す ることができる。

[0072] 複合材料層 1 2における水の残存量の上限値としては、 例えば、 後述する 実施例 3 (および図 6) に示すように、 2 . 5重量%以下であればよい。 複 合材料層 1 2における水の含有量がこの数値以下であれ 、 複合材料層 1 2 が十分に乾燥していると判断することができ る。 また、 複合材料層 1 2にお けるアンモニアの残存量の上限値としては、 後述する実施例 3 (および図 7 ) に示すように、 1 . 0重量%以下であればよい。 複合材料層 1 2における アンモニアの含有量がこの数値以下であれば 、 アンモニウムイオンの存在に よる多湿環境下での水の誘引を抑制すること ができる。 なお、 複合材料層 1 2における水またはアンモニアの含有量の測 方法は特に限定されないが、 後述するように、 水の含有量は力ールフィッシャー水分計で測 定する方法を 挙げることができ、 アンモニアの含有量はイオンクロマトグラフ ィーにより 測定する方法を挙げることができる。

[0073] このように、 本開示に係るガスバリア構造体としてのガス バリアフィルム

1 〇 , 1 〇巳は、 図 1 巳に示すように、 基材 1 1および複合材料層 1 2の 少なくとも 2層を有する構成であり、 好ましい一例として、 図 1 八に示すよ \¥0 2020/175503 19 卩(:170? 2020 /007575

うに、 基材 1 1および複合材料層 1 2の間に無機蒸着層 1 3を有する構成を 挙げることができる。 しかしながら、 ガスバリアフィルム 1 〇八, 1 0巳 ( ガスバリア構造体) の具体的な構成はこれらに限定されず、 基材 1 1、 複合 材料層 1 2および無機蒸着層 1 3以外の他の層を有する構成であってもよい

[0074] 本開示に係るガスバリア構造体 (ガスバリアフィルム 1 〇八, 1 〇巳) は 、 前述した構成を有しており、 高温多湿の条件下での良好なガスバリア性を 実現することができる。 本開示に係るガスバリア構造体の水蒸気透過 度は、 高温多湿の条件下である 4 0 °〇 9 5 % [¾ 1 ~ 1環境下で、 少なくとも 1 . 0 9 /

6 aソ以下であればよく、 好ましくは〇. 1 9 / ^ 2 - 6 aソ以下であ り、 より好ましくは〇. ソ以下であればよい。

[0075] なお、 後述する実施例 1 (および図 4) では、 複合材料層 1 2において無 機層状化合物の含有率が 0 %であるときの水蒸気透過度は〇. 2 0 9 / ^ - 以下であるが、 水蒸気透過度は、 複合材料層 1 2だけでなく基材 1 1のガスバリア性にも影 響を受ける。 したがって、 実施例 1では、 無機層状化合物の含有率が 0 %で ある実験結果は、 実施例 1 における基材 1 1の影響を考慮するための 「参考 例」 と位置付けられ、 本願発明の範囲内には入らない。

[0076] このように、 本開示に係るガスバリア構造体は、 基材 1 1 をナイロン系樹 脂製とするとともに、 複合材料層 1 2に含有される無機層状化合物の含有率 が 3 0〜 9 0重量%とすることにより、 高温多湿条件下での水蒸気透過度の 上限を低下させることができる。 そのため、 高温多湿の条件下で良好なガス バリア性 (特に水蒸気バリア性) を発揮することができる。

[0077] [フィルム積層体]

次に、 本開示に係るガスバリア構造体をガスバリア フィルム 1 〇八, 1 0 巳として備えるフィルム積層体について、 図 2八~図 2〇を参照して具体的 に説明する。 図 2八〜図 2〇に示すように、 本実施の形態に係るフィルム積 層体 2 0八~ 2 0〇は、 前述したガスバリアフィルム 1 〇八を 「ガスバリア \¥0 2020/175503 20 卩(:170? 2020 /007575

層」 として備える積層構造を有している。

[0078] なお、 図 1 八に示すように、 ガスバリアフィルム 1 〇八は、 基材 1 1、 無 機蒸着層 1 3、 および複合材料層 1 2の 3層構造を有しているが、 図 2八〜 図 2〇では、 積層される他のフィルムとの区別を明確にす る便宜上、 ガスバ リアフィルム 1 0八を網掛けした 「単一のフィルム」 として図示する。 また 、 図 2八~図 2〇においては、 ガスバリアフィルム 1 0八を、 図 1 巳に示す ガスバリアフィルム 1 0巳または他の構成のガスバリアフィルムに き換え 可能であることはいうまでもない。

[0079] 例えば、 図 2八に示すフィルム積層体 2〇八は、 保護フィルム 2 1、 熱融 着フィルム 2 2およびガスバリアフィルム 1 0八を備えており、 保護フィル ム 2 1および熱融着フィルム 2 2の間にガスバリアフィルム 1 0八が挟持さ れた 3層構造となっている。 保護フィルム 2 1は、 当該フィルム積層体 2 0 八を袋体に構成したときに、 当該袋体の外面になり、 熱融着フィルム 2 2は 、 当該袋体の内面になる。 なお、 説明の便宜上、 保護フィルム 2 1の側すな わち袋体の外面となる側を 「上側」 とし、 熱融着フィルム 2 2の側すなわち 袋体の内面となる側を 「下側」 とする。

[0080] また、 図 2巳に示すフィルム積層体 2 0巳は、 保護フィルム 2 1、 熱融着 フィルム 2 2、 および 2層のガスバリアフィルム 2 3およびガスバリアフィ ルム 1 0八を備えており、 保護フィルム 2 1および熱融着フィルム 2 2の間 に 2層のガスバリアフィルム 2 3 , 1 0八が挟持された 4層構造となってい る。 フィルム積層体 2 0巳は、 上側から下側に向かって、 保護フィルム 2 1 、 ガスバリアフィルム 2 3、 ガスバリアフィルム 1 0八、 および熱融着フィ ルム 2 2の順で積層されている。

[0081 ] 図 2巳に示す例では、 下側のガスバリアフィルム 1 〇八が本開示に係るガ スバリア構造体であるが、 上側のガスバリアフィルム 2 3は、 本開示に係る ガスバリア構造体とは異なる構成であればよ い。 なお、 ガスバリアフィルム 1 〇 は、 下側 (熱融着フィルム 2 2に接する側) ではなく、 上側 (保護フ ィルム 2 1 に接する側) であってもよい。 また、 図示しないが、 保護フィル \¥0 2020/175503 21 卩(:170? 2020 /007575

ム 2 1および熱融着フィルム 2 2の間には、 3層以上のガスバリアフィルム が挟持され、 そのうち少なくとも 1層がガスバリアフィルム 1 〇八 (ガスバ リア構造体) であってもよい。

[0082] 図 2八に示すフィルム積層体 2 0八および図 2巳に示すフィルム積層体 2

0巳は、 保護フィルム 2 1、 熱融着フィルム 2 2および 1層以上のガスバリ アフィルム 1 0八を備える構成であるが、 フィルム積層体の具体的な構成は 、 これらに限定されない。 例えば、 図 2〇に示すフィルム積層体 2 0〇のよ うに、 上側がガスバリアフィルム 1 0八であり下側が熱融着フィルム 2 2で ある 2層構造であってもよいし、 図示しないが上側が保護フィルム 2 1であ り下側がガスバリアフィルム 1 0八であってもよいし、 保護フィルム 2 1、 熱融着フィルム 2 2、 ガスバリアフィルム 1 0 以外の構成のフィルムが積 層された 4層以上の構成であってもよい。

[0083] また、 図 2八~図 2〇に示すフィルム積層体 2 0八~ 2〇〇では、 ガスバ リアフィルム 1 0 として本開示に係るガスバリア構造体を 1層備える構成 であるが、 フィルム積層体の具体的な構成はこれに限定 されない。 例えば、 図 2八に示す構成のフィルム積層体 2 0八において、 本開示に係るガスバリ ア構造体を 2層以上積層したものをガスバリアフィルム 1 0八として用いて もよい。

[0084] 保護フィルム 2 1は、 袋体の外面 (表面) を保護するための層 (外面保護 層) であればよく、 その具体的な材料は袋体の用途に応じて適宜 選択され、 特に限定されない。 袋体の用途が後述する真空断熱材の外被材で ある場合に は、 代表的には、 ある程度の耐久性を有する各種の樹脂であれ ばよい。 具体 的な樹脂としては、 例えば、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ナイ ロン (ポリアミ ド、 八) 、 ポリカーボネート ( 〇) 、 ポリイミ ド ( I ) 、 ポリエーテルエーテルケトン ( 巳巳 ) 、 ポリフエニレンサルフアイ ド ( 3) 、 ポリサルフォン ( 3 ) 、 超高分子量ポリエチレン (11 - 等を挙げることができるが、 これらに 特に限定されない。 \¥0 2020/175503 22 卩(:170? 2020 /007575

[0085] これら樹脂は単独で用いられてもよいし、 2種類以上を適宜組み合わせた ポリマーアロイとして用いられてもよい。 ポリマーアロイには、 保護フィル ム 2 1 として好適な樹脂以外の樹脂が含まれてもよ い。 さらに、 保護フィル ム 2 1 には、 前述した樹脂以外の成分 (各種添加剤等) が含まれてもよい。 つまり、 保護フィルム 2 1は、 前述した樹脂のみで構成されてもよいが、 他 の成分を含む樹脂組成物で構成されてもよい 。

[0086] 図 2八〜図 2〇に示すフィルム積層体 2 0八〜2 0〇では、 保護フィルム

2 1は1層 (単層) の樹脂フィルムとして構成されているが、 複数の樹脂フ ィルムを積層して構成されてもよい。 保護フィルム 2 1の厚さは特に限定さ れず、 袋体の外面を保護できる範囲の厚さを有して いればよい。

[0087] 熱融着フィルム 2 2は、 フィルム積層体 2 0八~ 2〇〇同士を対向させて 貼り合わせるための層 (接着層) であるとともに、 袋体の内面を保護する層 (内面保護層) としても機能する。 接着層としての熱融着フィルム 2 2につ いて説明すると、 例えば、 図 2八に示す 3層構造のフィルム積層体 2 0八で あれば、 当該フィルム積層体 2 0八の熱融着フィルム 2 2同士を対面させて 加熱することにより、 フィルム積層体 2 0八の内面同士を熱融着することが できる。 それゆえ、 対面させたフィルム積層体 2 0八の周囲を熱融着するこ とで、 当該フィルム積層体 2 0八を袋体に構成することができる。

[0088] また、 内面保護層としての熱融着フィルム 2 2について説明すると、 前述 した例と同様に図 2八に示す 3層構造のフィルム積層体 2 0八であれば、 ガ スバリアフィルム 1 0八の一方の面 (外面) は、 保護フィルム 2 1で保護さ れているが、 他方の面 (内面) は熱融着フィルム 2 2により保護されること になる。 したがって、 ガスバリアフィルム 1 0八から見れば、 保護フィルム 2 1は 「外面保護層」 として機能し、 熱融着フィルム 2 2は前記の通り 「内 面保護層」 として機能する。

[0089] フィルム積層体 2 0 を袋体に構成したときの用途が真空断熱材の 外被材 であれば、 真空断熱材の内部には芯材等が封入される。 それゆえ、 熱融着フ ィルム 2 2がガスバリアフィルム 1 〇八の表面 (内面) を覆うことにより、 \¥0 2020/175503 23 卩(:170? 2020 /007575

内部の封入物によりガスバリアフィルム 1 0八に与えられる影響を抑制また は回避することができる。

[0090] 熱融着フィルム 2 2として用いられる材料は、 加熱により溶融して接着可 能な熱融着性を有する材料であれば特に限定 されないが、 代表的には、 各種 の熱可塑性樹脂 (熱融着性樹脂) であればよい。 具体的な樹脂としては、 例 えば、 高密度ポリエチレン (1 ~ 1 0 ?巳) 、 低密度ポリエチレン (!_ 0 巳)

、 直鎖状低密度ポリエチレン (!_ !_ 0 ?巳) 、 超高分子量ポリエチレン (II — 巳, ポリプロピレン ( ) 、 エチレ ンー酢酸ビニル共重合体 (巳 八) 、 ナイロン (ポリアミ ド、 八) 等を挙 げることができるが、 これらに限定されない。

[0091 ] これら樹脂は単独で用いられてもよいし、 2種類以上を適宜組み合わせた ポリマーアロイとして用いられてもよい。 ポリマーアロイには、 熱融着フィ ルム 2 2として好適な樹脂以外の樹脂が含まれても い。 さらに、 熱融着フ ィルム 2 2には、 前述した樹脂以外の成分 (各種添加剤等) が含まれてもよ い。 つまり、 熱融着フィルム 2 2は、 前述した樹脂のみで構成されてもよい が、 他の成分を含む樹脂組成物で構成されてもよ い。

[0092] 図 2八~図 2〇に示すフィルム積層体 2 0八~ 2 0〇では、 熱融着フィル ム 2 2は、 保護フィルム 2 1 と同様に 1層 (単層) の樹脂フィルムとして構 成されているが、 複数の樹脂フィルムを積層して構成されても よい。 熱融着 フィルム 2 2の厚さは特に限定されず、 フィルム積層体 2 0八〜2〇〇同士 を貼り合わせたときに十分な接着性を発揮で きる厚さを有していればよく、 望ましくは、 内面保護層としてフィルム積層体 2 0八〜 2〇〇の内面を保護 できる範囲の厚さを有していればよい。

[0093] 図 2巳に例示する他のガスバリアフィルム 2 3は、 ガスバリアフィルム 1

0八とは異なる構成であって、 好適なガスバリア性を有する公知のフィルム であればよい。 代表的には、 例えば、 アルミニウム箔、 銅箔、 ステンレス箔 等の金属箔;基材となる樹脂フィルムに対し て金属または金属酸化物を蒸着 した蒸着層を有する蒸着フィルム; この蒸着フィルムの表面にさらに公知の \¥0 2020/175503 24 卩(:170? 2020 /007575

コーティング処理 (ただし本開示に係る複合材料層 1 2を除く) を施したフ ィルム等が挙げられるが特に限定されない。

[0094] 蒸着フィルムに用いられる基材としては、 本開示に係るガスバリアフィル ム 1 〇八, 1 0巳の基材と同様の樹脂フィルム等を挙げる とができるが特 に限定されない。 また、 金属または金属酸化物としては、 アルミニウム、 銅 、 アルミナ、 シリカ等を挙げることができるが、 特に限定されない。 また、 他のガスバリアフィルム 2 3は、 1層のフィルムまたは箔で構成されてもよ いし、 複数のフィルムまたは箔を積層して構成され てもよい。

[0095] 本開示に係るガスバリアフィルム 1 〇八, 1 0巳 (ガスバリア構造体) は 、 高温多湿の条件下で特に水蒸気について良好 なバリア性を有するが、 他の 条件で他の気体に対して好適なバリア性を有 するフィルムを選択して、 ガス バリアフィルム 1 〇八, 1 0巳と併用することで、 フィルム積層体 2 0巳に おける総合的なガスバリア性をより一層向上 することができる。

[0096] [真空断熱材]

次に、 本開示に係るガスバリア構造体の代表的な用 途として、 前述したフ ィルム積層体 2 0 〜2 0(3を外被材として備える真空断熱材を例示 て説 明する。 図 3に示すように、 本実施の形態に係る真空断熱材 4 0は、 芯材 3 1、 水分吸着剤 3 2、 および外被材 2 0を備え、 芯材 3 1および水分吸着剤 3 2は外被材 2 0に内包され、 当該外被材 2 0の内部は減圧封止されている 。 そして、 外被材 2 0として、 前述したフィルム積層体 2 0八~ 2 0(3が用 いられている。

[0097] 外被材 2 0は、 前述したフィルム積層体 2 0八〜 2〇〇により構成される 袋状の部材であり、 本実施の形態では、 例えば、 2枚のフィルム積層体 2 0 八~ 2〇〇を対向させてその周囲を封止すること 、 袋状に形成されている 。 周囲の封止した箇所 (封止部) は、 内部に芯材 3 1が存在せず外被材 2 0 (フィルム積層体 2 0八~ 2〇〇) 同士が接触している状態であり、 真空断 熱材 4 0の本体から外周に向かって延伸するヒレ状 なっている。

[0098] 芯材 3 1は、 断熱性を有するものであれば特に限定されな い。 具体的には \¥0 2020/175503 25 卩(:170? 2020 /007575

、 繊維材料、 発泡材料等の公知の材料を挙げることができ る。 例えば、 本実 施の形態では、 芯材 3 1 としては、 無機繊維を用いている。 無機繊維は、 無 機系材料からなる繊維であればよく、 具体的には、 例えば、 ガラス繊維、 セ ラミック繊維、 スラグウール繊維、 ロックウール繊維等を挙げることができ る。 また、 芯材 3 1は板状に成形して用いてもよいため、 これら無機繊維以 外に、 公知のバインダー材、 粉体等を含んでもよい。 これら材料は、 芯材 3 1の強度、 均一性、 剛性等の物性の向上に寄与する。

[0099] 無機繊維以外で芯材 3 1 として用いることができる材料としては、 熱硬化 性発泡体を挙げることができる。 熱硬化性発泡体は、 熱硬化性樹脂またはこ れを含む樹脂組成物 (熱硬化性樹脂組成物) を公知の方法で発泡させて形成 されるものであればよい。 熱硬化性樹脂としては、 具体的には、 例えば、 エ ポキシ樹脂、 フエノール樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂、 ユリア樹脂、 メラ ミン樹脂、 ポリイミ ド、 ポリウレタン等を挙げることができるが、 特に限定 されない。 また、 発泡方法も特に限定されず、 公知の発泡剤を用いて公知の 条件で発泡させればよい。 また、 無機繊維および熱硬化性発泡体以外で芯材 3 1 として使用可能な材料としては、 公知の有機繊維 (有機系材料からなる 繊維) を挙げることができるが、 その具体的な種類は特に限定されない。

[0100] 水分吸着剤 3 2は、 水分または水蒸気を吸着除去できる公知の吸 着剤であ れば特に限定されない。 具体的な水分吸着剤 3 2としては、 例えば、 アルカ リ金属の酸化物、 アルカリ土類金属の酸化物、 アルカリ金属の水酸化物、 ア ルカリ土類金属の水酸化物等を挙げることが できるが、 特に限定されない。 ただし、 アルカリ金属またはアルカリ土類金属等のよ うな周期表第 1族の金 属元素、 または、 周期表第 2族の金属元素の化合物であれば、 水分を化学的 に吸着して固定化することができる。 そのため、 物理的な吸着に比べて水分 を良好に固定化できるため好ましい。

[0101 ] また、 図示しないが、 芯材 3 1および水分吸着剤 3 2とともに、 公知の気 体吸着剤が外被材 2 0内に封入されてもよい。 さらに、 真空断熱材 4 0は、 外被材 2 0 (フィルム積層体 2 0 〜2〇〇 、 芯材 3 1、 水分吸着剤 3 2 \¥0 2020/175503 26 卩(:170? 2020 /007575

、 および公知の気体吸着剤以外に、 真空断熱材の分野で公知の他の部材等を 備えてもよい。

[0102] 真空断熱材 4 0の具体的な製造方法は特に限定されず、 公知の製造方法を 好適に用いることができる。 本実施の形態では、 外被材 2 0すなわちフィル ム積層体 2 0 〜2 0(3を袋状に構成した上で、 その内部に芯材 3 1、 水分 吸着剤 3 2、 必要に応じて他の部材等 (例えば気体吸着剤等) を挿入し、 減 圧環境下 (略真空状態) で袋状の外被材 2 0を密閉封止する製造方法を採用 している。

[0103] 外被材 2 0を袋状に構成する方法は特に限定されない 、 外被材 2 0であ るフィルム積層体 2 0 ~ 2 0(3を 2枚準備し、 それぞれの熱融着フィルム 2 2同士を対向配置した状態で、 周縁部の大部分を熱溶着することで、 袋状 に構成する方法を挙げることができる。 具体的には、 例えば、 外被材 2 0が 矩形であれば、 4辺のうち 1辺のみを開口部として残しておき、 開口部を除 いた周縁部の残部を、 中央部分 (芯材 3 1が収容される部分) を包囲するよ うに熱溶着すればよい。

[0104] その後、 開口部から芯材 3 1等を袋状の外被材 2 0の内部に挿入し、 例え ば、 減圧チャンバ等の減圧設備内で減圧すればよ い。 これにより、 開口部か ら袋状の外被材 2 0の内部 (袋内部) が十分に減圧され略真空状態となる。 さらにその後、 他の周縁部と同様に開口部を熱溶着により密 閉封止すれば、 図 3に示す真空断熱材 4 0を得ることができる。

[0105] なお、 熱溶着、 減圧等の諸条件については特に限定されず、 公知の種々の 条件を好適に採用することができる。 また、 袋状の外被材 2 0は、 2枚のフ ィルム積層体 2 0八~ 2〇〇を用いる構成に限定されない。 例えば、 1枚の フィルム積層体 2 0八〜2 0(3を半分に折り曲げて、 両方の側縁部を熱溶着 すれば、 開口部を有する袋状の外被材 2 0を得ることができる。 あるいは、 フィルム積層体 2 0八〜2〇〇を筒型に成形して、 一方の開口部を封止して もよい。

[0106] このようにして製造された真空断熱材 4 0は、 内部が減圧密閉状態 (略真 \¥0 2020/175503 27 卩(:170? 2020 /007575

空状態) にあるので、 非常に優れた断熱性能を発揮することができ る。 特に 、 外被材 2 0であるフィルム積層体 2 0八〜 2〇〇は、 本開示に係るガスバ リア構造体であるガスバリアフィルム 1 〇八, 1 0巳を少なくとも 1層含ん でいる。 それゆえ、 外気に含まれる水蒸気が真空断熱材 4 0の内部に侵入す ることが十分に抑制され、 内部の略真空状態を良好に維持することがで きる 。 その結果、 真空断熱材 4 0は、 優れた断熱性能を継続的に実現することが できる。

[0107] また、 このような真空断熱材 4 0は、 さまざまな断熱用途に好適に用いる ことができる。 代表的な断熱用途の一例として家電製品を挙 げることができ る。 家電製品の具体的な種類は特に限定されない が、 例えば、 冷蔵庫、 給湯 器、 炊飯器、 またはジャーポッ トのいずれかを挙げることができる。 また、 他の断熱用途の一例として住宅壁を挙げるこ とができる。 さらに他の断熱用 途の一例として輸送機器を挙げることができ る。 輸送機器の具体的な種類は 特に限定されないが、 例えば、 タンカー等の船舶、 自動車、 航空機等を挙げ ることができる。

[0108] 特に、 本開示に係る真空断熱材 4 0は、 外被材 2 0 (フィルム積層体 2 0 八~ 2 0〇) が前述したガスバリア構造体 (ガスバリアフィルム 1 〇八, 1 〇巳) を備えているため、 標準的な湿度環境だけでなく蒸暑地域のよう な多 湿環境下でも良好に使用することが可能であ る。 それゆえ、 本開示に係る真 空断熱材 4 0は、 多湿環境での使用が想定される住宅壁、 家電製品、 または 輸送機器に好適に用いることができる。

実施例

[0109] 本発明について、 実施例、 比較例および参考例に基づいてより具体的に 説 明するが、 本発明はこれに限定されるものではない。 当業者は本発明の範囲 を逸脱することなく、 種々の変更、 修正、 および改変を行うことができる。 なお、 以下の実施例における各種合成反応や物性等 の測定 ·評価は次に示す ようにして行った。

[01 10] (測定 ·評価方法) [水蒸気透過度]

参考文献 2 : REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS 88 043301 (2017)に記載 される差圧式質量分析法に基づいて、 環境温度 4 0 ° C、 9 5 % R Hの条件下 (高温多湿条件下) で、 各実施例の試料 (ガスバリア構造体) におけるガス 供給側 (曝露側) に水蒸気を導入し、 透過側 (検出側) を真空排気して、 四 重極質量分析計を備えたガス透過率測定装置 (オーウェル株式会社製、 製品 名オメガトランス) で評価した。

[01 1 1 ] [複合材料層中の水またはアンモニア含有量]

実施例 3の試料における複合材料層の水またはアン ニアの含有率につい ては、 まず、 塗工液をガラス基板上に塗布、 乾燥してから削り取ったものを 、 含有量測定用の試料として調製した。

[01 12] 水の含有量については、 上記試料を窒素雰囲気化で 2 0 0 °Cに加熱し、 揮 発した水分を回収して力ールフィッシャー水 分計 (三菱化学株式会社製、 製 品名 C A— 2 0 0 , V A - 2 0 0) により水分量を測定し、 複合材料層の水 含有量として評価した。

[01 13] アンモニアの含有量については、 上記試料にイオン交換水を加えてから N a〇 Hの添加によりアルカリ性に調整し、 加熱および蒸留して当該試料から のアンモニアを硫酸水溶液中に回収した。 回収したアンモニアを含む水溶液 を希釈定容してイオンクロマトグラフィー (D i 〇 n e x社製、 製品名 I C S - 2 0 0 0) によりアンモニア量を測定し、 複合材料層のアンモニア含有 量として評価した。

[01 14] (無機層状化合物のアンモニウムイオン交換 )

市販の陽イオン交換樹脂をアンモニウムイオ ン型に調整してカラムに充填 した。 また、 層間ナトリウムイオンを有する無機層状化合 物である天然のス メクタイ ト (モンモリロナイ トまたはスティーブンサイ ト) を水に分散して スメクタイ ト分散液を調製した。 このスメクタイ ト分散液を上記カラムに流 通させることにより、 層間ナトリウムイオンをアンモニウムイオン に交換し たスメクタイ トを得た。 \¥0 2020/175503 29 卩(:170? 2020 /007575

[01 15] (実施例 1)

無機層状化合物 (無機フィラー) として、 前記の通りそれぞれアンモニウ ムイオン交換されたモンモリロナイ トおよびスティーブンサイ トを用い、 樹 脂材料 (バインダー成分) として、 市販の水溶性変性ナイロンを用い、 分散 媒として水およびエタノールを用いて、 無機層状化合物と樹脂材料との混合 比 (重量比) を変化させた複数種類の塗工液を調製した。 なお、 無機層状化 合物および樹脂材料を固形分として、 塗工液の固形分濃度を約 3重量%に調 整した。 また、 本実施例では、 モンモリロナイ トの重量 ,,としスティーブン サイ トの重量 としたときに、 無機層状化合物におけるモンモリロナイ トと スティーブンサイ トとの混合比 1 5で固定した。

[01 16] 基材として厚さ約 1 2 のシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) を準備し、 複数種類の前記塗工液をそれぞれ基材の蒸着 面にバーコー 夕一により厚さ約 1 〇〇 となるように塗布し、 1 0 0 ° 〇以上の温度で乾 燥して分散媒 (水およびエタノール) を除去した。 これにより、 無機層状化 合物の含有率が異なる複合材料層を有するガ スバリア構造体 (ガスバリアフ ィルム) の試料を複数作製した。

[01 17] これら試料について、 前記の通り水蒸気透過度を測定した。 その結果を図 4のグラフに示す。 なお、 図 4においては、 横軸が無機層状化合物の含有率 (単位:重量%) であり、 縦軸が水蒸気透過度 (単位: 9 / ^ 3 で ある。 また、 図 4においては図示しないが、 無機層状化合物の含有量が 0重 量%のときは、 水蒸気透過度は〇. った。

[01 18] (実施例 2)

無機層状化合物の重量 とし前記の通り樹脂材料 (ナイロン系樹脂) の重 量Iとしたときに、 無機層状化合物と樹脂材料との混合比 。 : = 8 5 : 1 5で固定した上で、 無機層状化合物におけるモンモリロナイ トとスティ —ブンサイ トの混合比 (重量比) を変化させた複数の塗工液を調製した。 こ れ以外は、 実施例 1 と同様にして、 無機層状化合物におけるモンモリロナイ 卜の含有率が異なる複合材料層を有するガス バリア構造体 (ガスバリアフィ \¥0 2020/175503 30 卩(:170? 2020 /007575

ルム) の試料を複数作製した。

[01 19] これら複数の試料について、 前記の通り水蒸気透過度を測定した。 その結 果を図 5のグラフに示す。 なお、 図 5においては、 横軸が無機層状化合物に おけるモンモリロナイ トの含有率 (単位:重量%) であり、 縦軸が水蒸気透 過度 (単位: d a V である。 なお、 モンモリロナイ トの含有量が

0重量%のときは、 水蒸気透過度は〇. 1 1 9 / 01 2 - ¢1 であった。

[0120] (実施例 3)

無機層状化合物と樹脂材料との混合比 。 ^, = 8 5 : 1 5で固定すると ともに、 無機層状化合物におけるモンモリロナイ トとスティーブンサイ トと の混合比 : \^/ 12 = 8 5 : 1 5で固定した塗工液を調製した。 この塗工液を 複数の基材の蒸着面に塗布し、 乾燥温度を変化させた以外は、 実施例 1 と同 様にして、 複合材料層における水およびアンモニアの含 有率が異なるガスバ リア構造体 (ガスバリアフィルム) の試料を複数作製した。

[0121 ] これら複数の試料について、 前記の通り水蒸気透過度を測定するとともに 、 水およびアンモニアの含有率を算出した。 その結果を図 6および図 7のグ ラフに示す。 なお、 図 6においては、 横軸が複合材料層における水含有率 ( 単位:重量%) であり、 縦軸が水蒸気透過度 (単位: 3 ソ) であ る。 また、 図 7においては、 横軸が複合材料層におけるアンモニア含有率 ( 単位:重量%) であり、 縦軸が水蒸気透過度 (単位: 3ソ) であ る。

[0122] (実施例 4)

無機層状化合物と樹脂材料との混合比 。 ^, = 8 5 : 1 5で固定すると ともに、 無機層状化合物をモンモリロナイ トのみとし (混合比 ,,: \^/ 12 = 1 〇〇 : 〇で固定) 、 さらに無機層状化合物に対して、 低分子量アミン化合物 として 1 , 2—シクロヘキサンジアミンを異なる濃度と るように添加した 複数種類の塗工液を調製した。 これ以外は、 実施例 1 と同様にして、 複合材 料層に低分子量アミン化合物が添加されたガ スバリア構造体 (ガスバリアフ ィルム) の試料を複数作製した。 \¥0 2020/175503 31 卩(:170? 2020 /007575

[0123] これら複数の試料について、 前記の通り水蒸気透過度を測定した。 その結 果を図 8のグラフに示す。 なお、 図 8においては、 横軸が低分子量アミン化 合物の添加率 (樹脂材料 (ナイロン系樹脂) の重量 および低分子量アミン 化合物の重量 の合計に対する低分子量アミン化合物の重量 の比、 単位 :重量%) であり、 縦軸が水蒸気透過度 (単位: 9 ^ d a y である。

[0124] (各実施例の結果)

実施例 1の結果である図 4のグラフから明らかなように、 本実施例に係る ガスバリア構造体において、 複合材料層が含有する無機層状化合物の比率 ( 含有率) は、 3 0〜 9 0重量%の範囲内であれば、 高温多湿条件下であって も低い水蒸気透過度を実現できることがわか る。 さらに、 無機層状化合物の 含有率が 4 5〜 8 5重量%の範囲内であれば水蒸気透過度がよ 低くなり、

5 0〜 8 5重量%の範囲内であれば水蒸気透過度はさ に低くなり、 6 0〜

8 0重量%の範囲内であれば、 特に水蒸気透過度が低くなることがわかる。

[0125] また、 実施例 2の結果である図 5のグラフから明らかなように、 本実施例 に係るガスバリア構造体において、 複合材料層が含有する無機層状化合物が スメクタイ トであってモンモリロナイ トおよびスティーブンサイ トの混合物 である場合に、 当該混合物中におけるモンモリロナイ トの含有率が 6 5重量 %以上 1 0 0重量%未満であれば、 高温多湿条件下であってもより低い水蒸 気透過度を実現できることがわかる。

[0126] また、 実施例 3の結果である図 6のグラフから明らかなように、 本実施例 に係るガスバリア構造体において、 複合材料層における水の残存量 (含有量 ) が、 2 . 5重量%以下であれば、 高温多湿条件下であっても低い水蒸気透 過度を実現できることがわかる。 同じく実施例 3の結果である図 7のグラフ から明らかなように、 本実施例に係るガスバリア構造体において、 複合材料 層におけるアンモニアの残存量 (含有量) が 1 . 0重量%以下であれば、 高 温多湿条件下であっても低い水蒸気透過度を 実現できることがわかる。

[0127] また、 実施例 4の結果である図 8のグラフから明らかなように、 本実施例 に係るガスバリア構造体において、 複合材料層に低分子量アミン化合物を添 \¥0 2020/175503 32 卩(:170? 2020 /007575

加する場合、 その添加率が 2 0〜 7 5重量%の範囲内であれば、 高温多湿条 件下において水蒸気透過度を有意に低下させ ることができ、 好ましくは 4 0 〜 7 0重量%の範囲内であれば、 水蒸気透過度をより低下させることができ ることがわかる。

[0128] このように、 本開示に係るガスバリア構造体においては、 これにより、 無 機層状化合物を含有するガスバリア層として 複合材料層を備えており、 樹脂 材料がナイロン系樹脂であり、 無機フィラーが無機層状化合物であり、 複合 材料層中の無機層状化合物の含有率が 3〇〜 9 0重量%の範囲内であるので 、 ガスバリア構造体において、 高温多湿の条件下での良好なガスバリア性を 実現することができる。

[0129] なお、 本発明は前記実施の形態の記載に限定される ものではなく、 特許請 求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能 であり、 異なる実施の形態や複 数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段 を適宜組み合わせて得られる実 施の形態についても本発明の技術的範囲に含 まれる。

[0130] また、 上記説明から、 当業者にとっては、 本発明の多くの改良や他の実施 形態が明らかである。 従って、 上記説明は、 例示としてのみ解釈されるべき であり、 本発明を実行する最良の態様を当業者に教示 する目的で提供された ものである。 本発明の精神を逸脱することなく、 その構造及び/又は機能の 詳細を実質的に変更できる。

産業上の利用可能性

[0131 ] 本発明は、 ガスバリアフィルムを含むガスバリア構造体 を外被材として備 える真空断熱材の分野にも広く好適に用いる ことができる。

符号の説明

[0132] 1 〇八, 1 0 6 :ガスバリアフィルム (ガスバリア構造体)

1 1 :基材

1 2 :複合材料層

1 3 :無機蒸着層

2 0八, 2 0巳, 2〇〇 : フィルム積層体 (外被材) \¥02020/175503 33 卩(:170? 2020 /007575

2 1 :保護フイルム

22 :熱融着フイルム

23 :他のガスバリアフイルム

3 1 :芯材

32 :水分吸着剤

40 :真空断熱材