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Patent Searching and Data


Title:
THRUST ROLLER BEARING AND TORQUE CONVERTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090703
Kind Code:
A1
Abstract:
A thrust roller bearing having rollers; a retainer; an annular first raceway ring having a raceway surface, an outer peripheral flange section, and a first claw section; and an annular second raceway ring having a raceway surface, an inner peripheral flange section, and a second claw section. Between the outer peripheral flange section and the outer edge of the retainer and between the inner peripheral flange section and the inner edge of the retainer are provided inner gaps for allowing eccentric rotation between the first raceway ring and the second raceway ring. Also, at least either of the first and second claws is a projection formed by bending. Further, that edge of the retainer which faces the projection has a first tilt section (13c) at its corner on the side facing the raceway surface and also has a second tile section (13d) at its corner on the opposite side in the thickness direction of the retainer, and the second tilt section (13d) has a relatively smaller radial length than the first tilt section (13c).

Inventors:
FUKAMI RINO (JP)
YAMAMOTO KAZUYUKI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074529
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
December 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
FUKAMI RINO (JP)
YAMAMOTO KAZUYUKI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
International Classes:
F16C19/30; F16C33/54; F16C33/56; F16C33/62; F16C33/64; F16H41/24
Foreign References:
JP2005344799A2005-12-15
JP2003083339A2003-03-19
JP2002115722A2002-04-19
JP2006125427A2006-05-18
JP2004190778A2004-07-08
JP2003200724A2003-07-15
JP2004176781A2004-06-24
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (Oriental Sakaisuji Bldg. 21-19, Shimanouchi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 82, JP)
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Claims:
 複数のころと、
 前記複数のころを保持する保持器と、
 前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の外周端から軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、前記外周鍔部の先端から内径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する円環状の第1の軌道輪と、
 前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の内周端から軸方向に延びる円筒形状の内周鍔部と、前記内周鍔部の先端から外径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪とを備え、
 前記外周鍔部と前記保持器の外縁部との間および前記内周鍔部と前記保持器の内縁部との間には前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられ、
 前記第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部であって、
 前記張出部に対面する前記保持器の縁部は、前記軌道面に対面する側の角部に第1の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に前記第1の傾斜部より径方向長さが相対的に短い第2の傾斜部とを有する、スラストころ軸受。
 前記第1および第2の傾斜部は、前記縁部を折り曲げて形成される、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記張出部の先端は、前記軌道面に対面する側の角部に第3の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に前記第3の傾斜部より径方向長さが相対的に長い第4の傾斜部とを有する、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記第1の爪部と保持器との係合、及び前記第2の爪部と保持器との係合によって、前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪と前記保持器とが連結され、
 前記保持器が前記軌道輪に対して径方向一方側に最大限偏ったときの前記爪部と前記保持器との最小掛かり代をσとすると、-0.1mm≦σ≦0.5mmを満たす、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記保持器は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、熱処理として軟窒化処理、浸炭処理、または浸炭窒化処理のいずれかを経て製造される、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記第1および第2の軌道輪は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、浸炭処理または浸炭窒化処理を経て製造される、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記張出部を有する軌道輪に前記保持器を組み込む際の前記第1の傾斜部と前記張出部との接触角θ 1 は、θ 1 ≧45°を満たす、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 前記張出部を有する軌道輪から前記保持器を分離する際の前記第2の傾斜部と前記張出部との接触角θ 2 は、θ 2 ≦45°を満たす、請求項1に記載のスラストころ軸受。
 複数のころと、
 前記複数のころを保持する保持器と、
 前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の外周端から軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、前記外周鍔部の先端から内径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する円環状の第1の軌道輪と、
 前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の内周端から軸方向に延びる円筒形状の内周鍔部と、前記内周鍔部の先端から外径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪とを備え、
 前記外周鍔部と前記保持器の外縁部との間および前記内周鍔部と前記保持器の内縁部との間には前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられ、
 前記第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部であって、
 前記張出部の先端は、前記軌道面に対面する側の角部に第1の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に前記第1の傾斜部より径方向長さが相対的に長い第2の傾斜部とを有する、スラストころ軸受。
 複数のころと、前記複数のころを保持する保持器と、前記複数のころが転走する軌道面を有する一組の軌道輪とを備え、前記保持器と前記一組の軌道輪とを30N未満では分離しないように連結したスラストころ軸受であって、
 前記一組の軌道輪のうちの一方は、前記軌道面の外周端から軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、前記外周鍔部の先端から内径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する円環状の部材からなる第1の軌道輪であり、
 前記一組の軌道輪のうちの他方は、前記軌道面の内周端から軸方向に延びる円筒形状の内周鍔部と、前記内周鍔部の先端から外径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第2の爪部とを有する円環状の部材からなる第2の軌道輪であり、
 前記外周鍔部と前記保持器の外縁部との間および前記内周鍔部と前記保持器の内縁部との間には前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられ、
 前記第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部であり、
 前記第1の爪部と保持器との係合、及び前記第2の爪部と保持器との係合によって、前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪と前記保持器とが連結され、
 前記保持器が前記軌道輪に対して径方向一方側に最大限偏ったときの前記爪部と前記保持器との最小掛かり代をσとすると、-0.1mm≦σ≦0.5mmを満たす、スラストころ軸受。
 入力軸に接続されるインペラと、
 出力軸に接続されるタービンと、
 前記タービンからの作動流体を前記インペラに指向させるステータと、
 前記タービンと前記ステータとの間、および/または、前記インペラと前記ステータとの間に配置される請求項1に記載のスラストころ軸受とを備える、トルクコンバータ。
Description:
スラストころ軸受およびトルク ンバータ

 この発明は、スラストころ軸受、特にト クコンバータ等の偏心回転を伴う環境で使 されるスラストころ軸受に関するものであ 。

 従来のスラストころ軸受101は、例えば、 開2003-83339号公報に記載されている。図29を 照して、同公報に記載されているスラスト ろ軸受101は、複数のころ102と、複数のころ1 02を保持する保持器103と、ころ102を厚み方向 ら挟持する第1および第2の軌道輪104,105とを える。

 第1の軌道輪104は、円環状部材の厚み方向 一方側の壁面にころ102と接触する軌道面104a 、円環状部材の外縁部から軌道面104a側に延 る円筒形状の鍔部104bと、鍔部104bの先端か 径方向内側に突出して保持器103を保持する 数の張出部104cとを有する。

 同様に、第2の軌道輪105は、円環状部材の 厚み方向一方側の壁面にころ102と接触する軌 道面105aと、円環状部材の内縁部から軌道面10 5a側に延びる円筒形状の鍔部105bと、鍔部105b 先端から径方向外側に突出して保持器103を 持する複数の張出部105cとを有する。

 このスラストころ軸受101は、保持器103の 径寸法より鍔部104bの内径寸法を大きく設定 し、保持器103と鍔部104bとの間に径方向の軸 内部隙間を設けている。これにより、トル コンバータ等のように偏心回転を伴う環境 使用される場合でも、保持器103と鍔部104bと 間の摩擦による発熱や摩耗を有効に防止す ことができると記載されている。

 ここで、軸受内部隙間を設けたことによ 、保持器103と軌道輪104とが分離してしまう それがある。例えば、軌道輪104a,105aを垂直 した状態で搬送する場合等に分離する可能 がある。そこで、同公報に記載されている ラストころ軸受101は、張出部104cの先端を結 んだ円の直径を保持器103の外径寸法より小さ くする。これにより、保持器103と軌道輪104と の分離を防止することができると記載されて いる。これは、保持器103を第2の軌道輪105に み込む場合も同様である。

 また、同様の構成のスラストころ軸受が 例えば、特開平9-137824号公報、特開平9-189325 号公報、特開2000-266043号公報、および特開2003 -254327号公報にも記載されている。

 しかし、張出部104cの突出量を大きくする と、スラストころ軸受101の組立性が悪化する 。具体的には、張出部104cを乗り越える際に 持器103や張出部104cを大きく弾性変形させな ればならない。これは保持器103の変形や張 部104cの破損の原因ともなり得る。

 この問題を解消する一つの方法として、 えば、張出部104cに防浸炭処理等を施して焼 き入れの効果が及ばないようにするか、焼き 入れ後に部分焼鈍しをすることが考えられる 。しかし、これらの処理を施すことで保持器 103を組み込みやすくなるが、同時に張出部104 cの強度は低下する。

 また、他の方法として、ころ102および保 器103を軌道輪104に組み込んだ後にスラスト ろ軸受101全体に熱処理を施すことが考えら る。しかし、保持器103と軌道輪104とがそれ れ変形する場合があり、スラストころ軸受1 01の回転不良の原因となり得る。

 そこで、この発明の目的は、トルクコン ータ等の偏心回転を伴う環境で使用される ラストころ軸受であって、保持器と軌道輪 の組立性を損なうことなく、かつ分離を有 に防止したスラストころ軸受を提供するこ である。

 また、この発明の他の目的は、上記のよ なスラストころ軸受を採用することにより 信頼性の高いトルクコンバータを提供する とである。

 この発明に係るスラストころ軸受は、複 のころと、複数のころを保持する保持器と ころが転走する軌道面と、軌道面の外周端 ら軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、 周鍔部の先端から内径側に突出して保持器 軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する 円環状の第1の軌道輪と、ころが転走する軌 面と、軌道面の内周端から軸方向に延びる 筒形状の内周鍔部と、内周鍔部の先端から 径側に突出して保持器の軸方向移動を制限 る第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪 とを備える。そして、外周鍔部と保持器の外 縁部との間および内周鍔部と保持器の内縁部 との間には第1の軌道輪と第2の軌道輪との偏 回転を許容する軸受内部隙間が設けられて る。また、第1および第2の爪部のうちの少 くとも一方は、曲げ加工によって形成され 張出部である。さらに、張出部に対面する 持器の縁部は、軌道面に対面する側の角部 第1の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に第1 の傾斜部より径方向長さが相対的に短い第2 傾斜部とを有する。

 上記構成のスラストころ軸受は、軌道輪 保持器との間の軸受内部隙間を支持部材の 心量の2倍以上とすることによって、偏心回 転によって保持器と軌道輪とが接触して生じ る発熱や摩耗を有効に防止することができる 。

 また、第1および第2の傾斜部は、張出部 乗り越える際の案内面として機能する。そ で、保持器と軌道輪との組立時に案内面と て機能する第1の傾斜部の径方向長さを長く 、分解時に案内面として機能する第2の傾斜 部の径方向長さを短くする。これにより、保 持器と軌道輪との組立性を損なうことなく、 分離を有効に防止したスラストころ軸受を得 ることができる。

 一実施形態として、第1および第2の傾斜 は縁部を折り曲げて形成される。縁部を折 曲げることによって、曲面形状(R形状)の傾 部が形成されると共に保持器の剛性が向上 る。その他、縁部を面取り加工(「C面取り」 および「R面取り」の両方を含む)することに って傾斜部を形成してもよい。

 好ましくは、張出部の先端は、軌道面に 面する側の角部に第3の傾斜部と、厚み方向 反対側の角部に第3の傾斜部より径方向長さ 相対的に長い第4の傾斜部とを有する。第3お よび第4の傾斜部は、保持器が張出部を乗り える際の案内面として機能する。そこで、 持器と軌道輪との組立時に案内面として機 する第4の傾斜部の径方向長さを長くし、分 時に案内面として機能する第3の傾斜部の径 方向長さを短くする。これにより、保持器と 軌道輪との組立性を損なうことなく、分離を 有効に防止したスラストころ軸受を得ること ができる。

 好ましくは、第1の爪部と保持器との係合 、および第2の爪部と保持器との係合によっ 、第1の軌道輪と第2の軌道輪と保持器とが連 結され、保持器が軌道輪に対して径方向一方 側に最大限偏ったときの爪部と保持器との最 小掛かり代をσとすると、-0.1mm≦σ≦0.5mmを満 たす。

 最小掛かり代が0.5mmより大きくなると、 立時に保持器の変形量が大きくなって、塑 変形や破損を生じるおそれがある。一方、 小掛かり代が-0.1mmより小さいと、保持器と 道輪とが分離する可能性が高くなる。そこ 、上記範囲とすることにより、組立性を損 うことなく、分離を有効に防止することが きる。

 好ましくは、保持器は、出発材料としてS PCまたはSCMを用い、熱処理として軟窒化処理 浸炭処理、または浸炭窒化処理のいずれか 経て製造される。また、第1および第2の軌 輪は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、 炭処理または浸炭窒化処理を経て製造され のが好ましい。これにより、保持器や軌道 に要求される寸法精度および機械的性質等 得ることができる。

 好ましくは、張出部を有する軌道輪に保持 を組み込む際の第1の傾斜部と張出部との接 触角θ 1 は、θ 1 ≧45°を満たす。

 さらに好ましくは、張出部を有する軌道輪 ら保持器を分離する際の第2の傾斜部と張出 部との接触角θ 2 は、θ 2 ≦45°を満たす。

 保持器と張出部との接触角が大きい程、保 器は張出部を乗り越えやすい。一方、接触 が小さい程、保持器は張出部を乗り越えに い。そこで、第1の傾斜部と張出部との接触 角θ 1 を45°以上とし、第2の傾斜部と張出部との接 角θ 2 を45°以下とすることにより、組み込みやす 分離しにくいスラストころ軸受を得ること できる。

 この発明に係るスラストころ軸受は、複 のころと、複数のころを保持する保持器と ころが転走する軌道面と、軌道面の外周端 ら軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、 周鍔部の先端から内径側に突出して保持器 軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する 円環状の第1の軌道輪と、ころが転走する軌 面と、軌道面の内周端から軸方向に延びる 筒形状の内周鍔部と、内周鍔部の先端から 径側に突出して保持器の軸方向移動を制限 る第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪 とを備える。そして、外周鍔部と保持器の外 縁部との間および内周鍔部と保持器の内縁部 との間には第1の軌道輪と第2の軌道輪との偏 回転を許容する軸受内部隙間が設けられて る。また、第1および第2の爪部のうちの少 くとも一方は、曲げ加工によって形成され 張出部である。さらに、張出部の先端は、 道面に対面する側の角部に第1の傾斜部と、 み方向反対側の角部に第1の傾斜部より径方 向長さが相対的に長い第2の傾斜部とを有す 。

 上記構成のスラストころ軸受は、軌道輪 保持器との間の軸受内部隙間を支持部材の 心量の2倍以上とすることによって、偏心回 転によって保持器と軌道輪とが接触して生じ る発熱や摩耗を有効に防止することができる 。

 また、上記構成のスラストころ軸受にお て、第1および第2の傾斜部は、保持器が張 部を乗り越える際の案内面として機能する そこで、保持器と軌道輪との組立時に案内 として機能する第2の傾斜部の径方向長さを くし、分解時に案内面として機能する第1の 傾斜部の径方向長さを短くする。これにより 、保持器と軌道輪との組立性を損なうことな く、分離を有効に防止したスラストころ軸受 を得ることができる。

 この発明に係るスラストころ軸受は、複 のころと、複数のころを保持する保持器と 複数のころが転走する軌道面を有する一組 軌道輪とを備え、保持器と一組の軌道輪と 30N未満では分離しないように連結したスラ トころ軸受である。一組の軌道輪のうちの 方は、軌道面の外周端から軸方向に延びる 筒形状の外周鍔部と、外周鍔部の先端から 径側に突出して保持器の軸方向移動を制限 る第1の爪部とを有する円環状の部材からな る第1の軌道輪である。一組の軌道輪のうち 他方は、軌道面の内周端から軸方向に延び 円筒形状の内周鍔部と、内周鍔部の先端か 外径側に突出して保持器の軸方向移動を制 する第2の爪部とを有する円環状の部材から る第2の軌道輪である。そして、外周鍔部と 保持器の外縁部との間および内周鍔部と保持 器の内縁部との間には第1の軌道輪と第2の軌 輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が けられている。また、第1および第2の爪部 うちの少なくとも一方は、曲げ加工によっ 形成された張出部である。さらに、第1の爪 と保持器との係合、および第2の爪部と保持 器との係合によって、第1の軌道輪と第2の軌 輪と保持器とが連結され、保持器が軌道輪 対して径方向一方側に最大限偏ったときの 部と保持器との最小掛かり代をσとすると -0.1mm≦σ≦0.5mmを満たす。

 上記構成のスラストころ軸受は、軌道輪 保持器との間の軸受内部隙間を支持部材の 心量の2倍以上とすることによって、偏心回 転によって保持器と軌道輪とが接触して生じ る発熱や摩耗を有効に防止することができる 。

 また、最小掛かり代が0.5mmより大きくな と、組立時に保持器の変形量が大きくなっ 、塑性変形や破損を生じるおそれがある。 方、最小掛かり代が-0.1mmより小さいと、保 器と軌道輪とが分離する可能性が高くなる そこで、上記範囲とすることにより、組立 を損なうことなく、分離を有効に防止する とができる。

 この発明に係るトルクコンバータは、入 軸に接続されるインペラと、出力軸に接続 れるタービンと、タービンからの作動流体 インペラに指向させるステータと、タービ とステータとの間、および/または、インペ ラとステータとの間に配置される上記のいず れかに記載のスラストころ軸受とを備える。 上記構成のスラストころ軸受を偏心回転を伴 うタービンやインペラを支持する軸受として 採用することにより、信頼性の高いトルクコ ンバータを得ることができる。

 この発明によれば、保持器を軌道輪に組 込む際に挿入案内面として機能する第1の傾 斜部を大きくすることにより、保持器と軌道 輪との組立性を損なうことなく、かつ分離を 有効に防止したスラストころ軸受を得ること ができる。また、このようなスラストころ軸 受を採用することにより、信頼性の高いトル クコンバータを得ることができる。

図7のP部の拡大図である。 この発明の一実施形態に係るスラスト ろ軸受を示す図である。 図2の第1の軌道輪の断面図である。 図2の第1の軌道輪の正面図である。 図2の第2の軌道輪の断面図である。 図2の第2の軌道輪の正面図である。 図2の保持器の断面図である。 図2の保持器の正面図である。 保持器を軌道輪に組み込む状態を示す である。 図9のQ部の拡大図である。 保持器を軌道輪から分離する状態を示 す図である。 図11のR部の拡大図である。 保持器が軌道輪の中で径方向に最大限 偏った状態を示す図である。 図16のS部の拡大図である。 この発明の他の実施形態に係るスラス トころ軸受を示す図である。 図15の第1の軌道輪の断面図である。 図15の第1の軌道輪の正面図である。 図15の第2の軌道輪の断面図である。 図15の第2の軌道輪の正面図である。 図15の保持器の断面図である。 図15の保持器の正面図である。 保持器を軌道輪に組み込む状態を示す 図である。 図22のT部の拡大図である。 保持器を軌道輪から分離する状態を示 す図である。 図24のU部の拡大図である。 保持器が軌道輪の中で径方向に最大限 偏った状態を示す図である。 軌道輪に設けられる張出部の他の実施 形態を示す図である。 この発明の一実施形態に係るトルクコ ンバータを示す図である。 従来のスラストころ軸受を示す図であ る。

 図1~図8を参照して、この発明の一実施形 に係るスラストころ軸受11を説明する。な 、図1は図7のP部の拡大図、図2はスラストこ 軸受11を示す図、図3および図4は第1の軌道 14の断面図および平面図、図5および図6は第2 の軌道輪15の断面図および平面図、図7および 図8は保持器13の断面図および平面図である。

 まず、図2を参照して、スラストころ軸受 11は、複数のころ12と、複数のころ12を保持す る保持器13と、保持器13を受け入れる第1およ 第2の軌道輪14,15とを備える三位一体のスラ トころ軸受である。

 図3および図4を参照して、第1の軌道輪14 、中央に厚み方向に貫通する貫通孔14aを有 る円環形状の部材である。そして、厚み方 一方側の壁面にころ12が転走する軌道面14bと 、円環状部材の外縁部に厚み方向の軌道面14b 側に延びる円筒形状の外周鍔部14cと、外周鍔 部14cの先端に径方向内側に突出する第1の爪 としての複数の張出部14dとを含む。

 外周鍔部14cは、スラストころ軸受11を組 立てた際に、保持器13の外縁部のさらに外側 に位置する。張出部14dは、外周鍔部14cの複数 箇所から径方向内側に突出する。この張出部 14dは、保持器13の外縁部に係合して保持器13 第1の軌道輪14から分離するのを防止する。 お、この実施形態における張出部14dは、外 鍔部14cの円周上の8箇所に等間隔に設けられ いる。

 なお、8箇所の張出部14dの先端を通る円をO 1 (図4中、二点鎖線で示す)とすると、円O 1 の直径が保持器13の外径寸法より小さくなる うに張出部14dの突出量を調整する。したが て、保持器13の第1の軌道輪14への組み込み 、保持器13の外縁部および張出部14dを弾性変 形させた状態で行う。

 次に、図5および図6を参照して、第2の軌 輪15は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔15 aを有する円環形状の部材である。そして、 み方向一方側の壁面にころ12が転走する軌道 面15bと、円環状部材の内縁部に厚み方向の軌 道面15b側に延びる円筒形状の内周鍔部15cと、 内周鍔部15cの先端に径方向外側に突出する第 2の爪部としての複数のステーキング15dとを む。

 内周鍔部15cは、スラストころ軸受11を組 立てた際に、保持器13の内縁部のさらに内側 に位置する。ステーキング15dは、内周鍔部15c の複数箇所から径方向外側に突出する。この ステーキング15dは、保持器13の内縁部に係合 て保持器13が第2の軌道輪15から分離するの 防止する。なお、この実施形態におけるス ーキング15dは、内周鍔部15cの円周上の4箇所 等間隔に設けられている。

 なお、4箇所のステーキング15dの先端を通る 円をO 2 (図6中、二点鎖線で示す)とすると、円O 2 の直径が保持器13の内径寸法より大きくなる うにステーキング15dの突出量を調整する。 たがって、保持器13の第2の軌道輪15への組 込みは、保持器13の内縁部およびステーキン グ15dを弾性変形させた状態で行う。

 上記構成の第1および第2の軌道輪14,15は、 例えば、出発材料としてSPCまたはSCMを用いて 、プレス加工によって製造される。さらに、 所定の機械的性質を得るために熱処理として 浸炭処理または浸炭窒化処理が施される。

 また、第1の軌道輪14に設けられた張出部1 4dと、第2の軌道輪15に設けられたステーキン 15dとは、共に保持器13を保持する爪部とし 機能する。なお、張出部14dは、外周鍔部14c 先端を曲げ加工によって径方向内側に折り げて形成する。また、張出部14dはステーキ グ15dと比較して保持器13を保持する能力が高 い。

 次に、図7および図8を参照して、保持器13 は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔13aを有 する円環形状の部材である。また、その壁面 にはころ12を収容する複数のポケット13bが放 状に配置されている。さらに、図1を参照し て、保持器13の外縁部は径方向内側に折り返 れており、その角部には、第1および第2の 斜部13c,13dが形成されている。

 第1および第2の傾斜部13c,13dは、それぞれ 定の曲率で湾曲する曲面である。そして、 1の傾斜部13cの径方向長さAは、第2の傾斜部1 3dの径方向長さBと比較して長くなっている(A& gt;B)。また、図2を参照して、保持器13を第1の 軌道輪14に組み込んだとき、第1の傾斜部13cは 軌道面14bに対面するように配置される。

 上記構成の保持器13は、例えば、出発材 としてSPCまたはSCMを用いて、プレス加工に って製造される。さらに、所定の機械的性 を得るために熱処理として軟窒化処理、浸 処理または浸炭窒化処理のいずれかが施さ る。

 次に、図9および図10を参照して、保持器1 3を第1の軌道輪14に組み込む方法を説明する なお、図9は保持器13を第1の軌道輪14に組み む状態を示す図、図10は図9のQ部の拡大図で る。

 まず、図9を参照して、保持器13を第1の軌 道輪14に組み込む場合、保持器13の外縁部の 部(図9の右側)を張出部14dの内側に潜り込ま て、保持器13の外縁部と鍔部14cの内径面とを 当接させる。このとき他方側(図9の左側)では 、保持器13の外縁部と張出部14dとが引っ掛か て組み込むことができない。そこで、保持 13および張出部14dを弾性変形させながら、 持器13を第1の軌道輪14に組み込む。

 図10を参照して、図9のQ部では、保持器13 第1の傾斜部13cと張出部14dの角部とが接触し ている。ここで、第1の傾斜部13cは保持器13を 第1の軌道輪14に組み込むための挿入案内面と して機能する。

 具体的には、張出部14dの第1の傾斜部13cとの 接触部分には、保持器13の挿入方向(図10の下 向)に組込荷重F 1 が作用する。この組込荷重F 1 は、張出部14dの角部が接触する位置における 第1の傾斜部13cとの接線l 1 に平行な方向に作用する分力F 11 と、接線l 1 に垂直な方向に作用する分力F 12 とに分解することができる。そして、分力F 11 が一定値を超えたとき、保持器13は張出部14d 乗り越えて第1の軌道輪14に組み込まれる。

 ここで、分力F 11 は、接線l 1 と張出部14dの表面と平行な直線l 2 とのなす接触角θ 1 に比例して大きくなる。そして、θ 1 ≧45°のとき、F 11 ≧F 12 となる。したがって、接触角θ 1 が45°以上になるように第1の傾斜部13cの径方 長さAを調整すれば、保持器13を第1の軌道輪 14に組み込むときの組込荷重F 1 を小さくすることができる。

 次に、図11および図12を参照して、保持器 13を第1の軌道輪14から分離する方法を説明す 。なお、図11は保持器13を第1の軌道輪14から 分離する状態を示す図、図12は図11のR部の拡 図である。

 まず、図11を参照して、保持器13を第1の 道輪14から分離する場合、保持器13の外縁部 一部(図11の右側)が鍔部14cの内径面に当接し た状態で、他方側(図11の左側)が持ち上がる このとき、保持器13の外縁部と張出部14dとが 引っ掛かって両者は分離することができない 。ここで、スラストころ軸受11に外力が加わ と、保持器13および張出部14dが弾性変形し 、両者が分離する。

 図12を参照して、図11のR部では、保持器13の 第2の傾斜部13dと張出部14dの角部とが接触し いる。張出部14dの第2の傾斜部13dとの接触部 には、保持器13の分離方向(図12の上方向)に 離荷重F 2 が作用する。この分離荷重F 2 は、張出部14dの角部が接触する位置における 第2の傾斜部13dとの接線l 3 に平行な方向に作用する分力F 21 と、接線l 3 に垂直な方向に作用する分力F 22 とに分解することができる。そして、分力F 21 が一定値を超えたとき、保持器13は張出部14d 乗り越えて第1の軌道輪14から分離する。

 ここで、分力F 21 は、接線l 3 と張出部14dの表面と平行な直線l 4 とのなす接触角θ 2 に比例して大きくなる。そして、θ 2 ≦45°のとき、F 21 ≦F 22 となる。したがって、接触角θ 2 が45°以下になるように第2の傾斜部13dの径方 長さBを調整すれば、保持器13を第1の軌道輪 14にから分離するときの分離荷重F 2 を大きくすることができる。

 次に、図13を参照して、保持器13と第1の 道輪14との寸法関係について説明する。なお 、図13は保持器13が第1の軌道輪14に対して径 向一方側に最大限偏った状態を示す図であ 。なお、以下の説明は、保持器13と第2の軌 輪15との間にも同様に成立する。

 まず、保持器13の外縁部と張出部14dとの最 掛かり代σ 1 は、-0.1mm≦σ 1 ≦0.5mmに設定する。なお、最小掛かり代σ 1 は、保持器13の外径寸法をD 1 、鍔部14cの内径寸法をD 2 、張出部14dの突出量をt 1 とすると、σ 1 =D 1 -(D 2 -t 1 )で算出される値である。

 最小掛かり代σ 1 が0.5mmより大きくなると、組立時に保持器13 張出部14dの変形量が大きくなって、変形や 損を生じるおそれがある。一方、最小掛か 代σ 1 が-0.1mmより小さいと、保持器13と第1の軌道輪 14とが分離する可能性が高くなる。そこで、 記範囲とすることにより、組立性を損なう となく分離を有効に防止することができる

 なお、最小掛かり代σ 1 が-0.1mmになる場合とは、張出部14dが保持器13 外縁部を係止できない状態である。しかし 図4に示す実施形態のように、外周鍔部14cの 円周上に複数の張出部14dが設けられている場 合には、その両隣の張出部14dによって保持器 13が係止される。上記の構成とすることによ 、保持器13と第1の軌道輪14との分離荷重F 2 が30N以上となる。その結果、搬送時等、特に 軌道面14bを垂直にした状態で搬送される際に 両者が分離するのを有効に防止することがで きる。

 次に、保持器13の外縁部と外周鍔部14cとの に形成される径方向の軸受内部隙間δ 1 は、支持部材の偏心量によって調整する。具 体的には、支持部材の偏心量の2倍以上とす 。これにより、偏心回転によって保持器と 道輪とが接触して生じる発熱や摩耗を有効 防止することができる。

 なお、上記の実施形態においては、保持 13の外縁部を折り返して曲面形状(R形状)の 1および第2の傾斜部13c,13dを形成した例を示 たが、これに限ることなく、任意の方法で 1および第2の傾斜部13c,13dを形成することが きる。例えば、外縁部の角部に面取り加工 施してもよい。また、第1および第2の傾斜部 13c,13dは、曲面形状(R形状)に限ることなく、 線形状(テーパ形状)であってもよい。

 また、上記の実施形態における第1の軌道 輪14において、張出部14dの位置、および個数 任意に決定することができる。ただし、張 部14dの数が少ないと、保持器13を適切に保 できないおそれがある。一方、張出部14dの が多すぎると、保持器13を組み込むのが困難 となる。また、保持器13を適切に保持する観 からは、張出部14dは、等間隔に配置するの 望ましい。これは、第2の軌道輪15に形成さ るステーキング15dにも同様に当てはまる。

 また、上記の実施形態においては、張出 14dを有する第1の軌道輪14と、ステーキング1 5dを有する第2の軌道輪15と、外縁部に第1およ び第2の傾斜部13c,13dを有する保持器とを備え スラストころ軸受11の例を示したが、これ 限ることなく、任意の構成を採用すること できる。例えば、第1の軌道輪の外周鍔部に テーキングを形成し、第2の軌道輪の内周鍔 部に張出部を形成してもよい。その場合、第 1および第2の傾斜部は保持器の内縁部に設け 。さらには、第1および第2の軌道輪の両方 張出部を形成してもよい。その場合、第1お び第2の傾斜部は、保持器の外縁部および内 縁部の両方に設ける。

 次に、表1を参照して、この発明の効果を確 認するために行った試験について説明する。 この効果確認試験は、第1の傾斜部13cの径方 寸法A、第2の傾斜部13dの径方向寸法B、およ 最小掛かり代σ 1 の値を表1の通りとした3種類のスラストころ 受(試験軸受1~3)のそれぞれについて、組込 重と分離荷重とを測定した。なお、組込は 9および図10に示す方法を用いて、分離は図11 および図12に示す方法を用いて行った。

 表1を参照して、第1の傾斜部13cおよび第2 傾斜部13dの径方向寸法が同程度(A≒B)の試験 軸受1においては、組込荷重と分離荷重とは じであった。一方、A<Bとした試験軸受2に いては、組込荷重が分離荷重を上回った。 らに、A>Bとした試験軸受3においては、分 離荷重が組込荷重を上回った。

 以上より、第1の傾斜部13cの径方向寸法A 大きい程、保持器13の第1の軌道輪14への組み 込みが容易になることが確認された。同様に 、第2の傾斜部13dの径方向寸法Bが小さい程、 持器13の第1の軌道輪14からの分離が困難に ることが確認された。そして、A>Bとすれ 、保持器13を第1の軌道輪14に組み込みやすく 、かつ両者が分離しにくいスラストころ軸受 11が得られることが確認された。

 次に、図14~図21を参照して、この発明の の実施形態に係るスラストころ軸受31を説明 する。なお、図14は図16のS部の拡大図、図15 スラストころ軸受31を示す図、図16および図1 7は第1の軌道輪34の断面図および平面図、図18 および図19は第2の軌道輪35の断面図および平 図、図20および図21は保持器33の断面図およ 平面図である。

 まず、図15を参照して、スラストころ軸 31は、複数のころ32と、複数のころ32を保持 る保持器33と、保持器33を受け入れる第1およ び第2の軌道輪34,35とを備える三位一体のスラ ストころ軸受である。

 図16および図17を参照して、第1の軌道輪34 は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔34aを有 する円環形状の部材である。そして、厚み方 向一方側の壁面にころ32が転走する軌道面34b 、円環状部材の外縁部に厚み方向の軌道面3 4b側に延びる円筒形状の外周鍔部34cと、外周 部34cの先端に径方向内側に突出する第1の爪 部としての複数の張出部34dとを含む。

 外周鍔部34cは、スラストころ軸受31を組 立てた際に、保持器33の外径面のさらに外側 に位置する。張出部34dは、外周鍔部34cの複数 箇所から径方向内側に突出する。この張出部 34dは、保持器33の外縁部に係合して保持器33 第1の軌道輪34から分離するのを防止する。 お、この実施形態における張出部34dは、外 鍔部34cの円周上の8箇所に等間隔に設けられ いる。

 なお、8箇所の張出部34dの先端を通る円をO 3 (図17中、二点鎖線で示す)とすると、円O 3 の直径が保持器33の外径寸法より小さくなる うに張出部34dの突出量を調整する。したが て、保持器33の第1の軌道輪34への組み込み 、保持器33の外縁部および張出部34dを弾性変 形させた状態で行う。

 さらに、図14を参照して、張出部34dの先端 は、軌道面34bに対面する側の角部に第3の傾 部34eと、厚み方向反対側の角部に第4の傾斜 部34fとが形成されている。第3および第4の傾 部34e,34fは、それぞれ所定の曲率で湾曲する 曲面である。そして、第3の傾斜部34eの径方 長さA 1 は、第4の傾斜部34fの径方向長さB 1 と比較して短くなっている(A 1 <B 1 )。

 次に、図18および図19を参照して、第2の 道輪35は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔 35aを有する円環形状の部材である。そして、 厚み方向一方側の壁面にころ32が転走する軌 面35bと、円環状部材の内縁部に厚み方向の 道面35b側に延びる円筒形状の内周鍔部35cと 内周鍔部35cの先端に径方向外側に突出する 2の爪部としての複数のステーキング35dとを 含む。

 内周鍔部35cは、スラストころ軸受31を組 立てた際に、保持器33の内縁部のさらに内側 に位置する。ステーキング35dは、内周鍔部35c の複数箇所から径方向外側に突出する。この ステーキング35dは、保持器33の内縁部に係合 て保持器33が第2の軌道輪35から分離するの 防止する。なお、この実施形態におけるス ーキング35dは、内周鍔部35cの円周上の4箇所 等間隔に設けられている。

 なお、4箇所のステーキング35dの先端を通る 円をO 4 (図19中、二点鎖線で示す)とすると、円O 4 の直径が保持器33の内径寸法より大きくなる うにステーキング35dの突出量を調整する。 たがって、保持器33の第2の軌道輪35への組 込みは、保持器33の内縁部およびステーキン グ35dを弾性変形させた状態で行う。

 上記構成の第1および第2の軌道輪34,35は、 例えば、出発材料としてSPCまたはSCMを用いて 、プレス加工によって製造される。さらに、 所定の機械的性質を得るために熱処理として 浸炭処理または浸炭窒化処理が施される。

 また、第1の軌道輪34に設けられた張出部3 4dと、第2の軌道輪35に設けられたステーキン 35dとは、共に保持器33を保持する爪部とし 機能する。なお、張出部34dは、外周鍔部34c 先端を曲げ加工によって径方向内側に折り げて形成する。また、張出部34dはステーキ グ35dと比較して保持器33を保持する能力が高 い。

 次に、図20および図21を参照して、保持器 33は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔33aを する円環形状の部材である。また、その壁 にはころ32を収容する複数のポケット33bが 射状に配置されている。

 上記構成の保持器33は、例えば、出発材 としてSPCまたはSCMを用いて、プレス加工に って製造される。さらに、所定の機械的性 を得るために熱処理として軟窒化処理、浸 処理または浸炭窒化処理のいずれかが施さ る。

 次に、図22および図23を参照して、保持器 33を第1の軌道輪34に組み込む方法を説明する なお、図22は保持器33を第1の軌道輪34に組み 込む状態を示す図、図23は図22のT部の拡大図 ある。

 まず、図22を参照して、保持器33を第1の 道輪34に組み込む場合、保持器33の外縁部の 部(図22の右側)を張出部34dの内側に潜り込ま せて、保持器33の外縁部と鍔部34cの内径面と 当接させる。このとき他方側(図22の左側)で は、保持器33の外縁部と張出部34dとが引っ掛 って組み込むことができない。そこで、保 器33および張出部34dを弾性変形させながら 保持器33を第1の軌道輪34に組み込む。

 図23を参照して、図22のT部では、保持器33 の角部と張出部34dの第4の傾斜部34fとが接触 ている。ここで、第4の傾斜部34fは保持器33 第1の軌道輪34に組み込むための挿入案内面 して機能し、組み込みを容易化する。

 具体的には、保持器33の外縁部と第4の傾斜 34fとの接触部分には、保持器33の挿入方向( 23の下方向)に組込荷重F 3 が作用する。この組込荷重F 3 は、保持器33の角部が接触する位置における 4の傾斜部34fとの接線l 5 に平行な方向に作用する分力F 31 と、接線l 5 に垂直な方向に作用する分力F 32 とに分解することができる。そして、分力F 31 が一定値を超えたとき、保持器33は張出部34d 乗り越えて第1の軌道輪34に組み込まれる。

 ここで、分力F 31 は、接線l 5 と張出部34dの表面と平行な直線l 6 とのなす接触角θ 3 に比例して大きくなる。そして、θ 3 ≧45°のとき、F 31 ≧F 32 となる。したがって、接触角θ 3 が45°以上になるように第4の傾斜部34fの径方 長さA 1 を調整すれば、保持器33を第1の軌道輪34に組 込むときの組込荷重F 3 を小さくすることができる。

 次に、図24および図25を参照して、保持器 33を第1の軌道輪34から分離する方法を説明す 。なお、図24は保持器33を第1の軌道輪34から 分離する状態を示す図、図25は図24のU部の拡 図である。

 まず、図24を参照して、保持器33を第1の 道輪34から分離する場合、保持器33の外縁部 一部(図24の右側)が鍔部34cの内径面に当接し た状態で、他方側(図24の左側)が持ち上がる このとき、保持器33の外縁部と張出部34dとが 引っ掛かって両者は分離することができない 。ここで、スラストころ軸受31に外力が加わ と、保持器33および張出部34dが弾性変形し 、両者が分離する。

 図25を参照して、図24のU部では、保持器33の 角部と張出部34dの第3の傾斜部34eとが接触し いる。保持器33の外縁部と第3の傾斜部34eと 接触部分には、保持器33の分離方向(図25の上 方向)に分離荷重F 4 が作用する。この分離荷重F 4 は、保持器33の角部が接触する位置における 3の傾斜部34eとの接線l 7 に平行な方向に作用する分力F 41 と、接線l 7 に垂直な方向に作用する分力F 42 とに分解することができる。そして、分力F 41 が一定値を超えたとき、保持器33は張出部34d 乗り越えて第1の軌道輪34から分離する。

 ここで、分力F 41 は、接線l 7 と張出部34dの表面と平行な直線l 8 とのなす接触角θ 4 に比例して大きくなる。そして、θ 4 ≦45°のとき、F 41 ≦F 42 となる。したがって、接触角θ 4 が45°以下になるように第3の傾斜部34eの径方 長さB 1 を調整すれば、保持器33を第1の軌道輪34にか 分離するときの分離荷重F 4 を大きくすることができる。

 次に、図26を参照して、保持器33と第1の 道輪34との寸法関係について説明する。なお 、図26は保持器33が第1の軌道輪34に対して径 向一方側に最大限偏った状態を示す図であ 。なお、以下の説明は、保持器33と第2の軌 輪35との間にも同様に成立する。

 まず、保持器33の外縁部と張出部34dとの最 掛かり代σ 2 は、-0.1mm≦σ 2 ≦0.5mmに設定する。なお、最小掛かり代σ 2 は、保持器33の外径寸法をD 3 、鍔部34cの内径寸法をD 4 、張出部34dの突出量をt 2 とすると、σ 2 =D 3 -(D 4 -t 2 )で算出される値である。

 最小掛かり代σ 2 が0.5mmより大きくなると、組立時に保持器33 張出部34dの変形量が大きくなって、塑性変 や破損を生じるおそれがある。一方、最小 かり代σ 2 が-0.1mmより小さいと、保持器33と第1の軌道輪 34とが分離する可能性が高くなる。そこで、 記範囲とすることにより、組立性を損なう となく分離を有効に防止することができる

 なお、最小掛かり代σ 2 が-0.1mmになる場合とは、張出部34dが保持器33 外縁部を係止できない状態である。しかし 図17に示す実施形態のように、外周鍔部34c 円周上に複数の張出部34dが設けられている 合には、その両隣の張出部34dによって保持 33が係止される。上記の構成とすることによ り、保持器33と第1の軌道輪34との分離荷重F 4 が30N以上となる。その結果、搬送時等、特に 軌道面34bを垂直にした状態で搬送される際に 両者が分離するのを有効に防止することがで きる。

 次に、保持器33の外縁部と鍔部34cとの間に 成される径方向の軸受内部隙間δ 2 は、支持部材の偏心量によって調整する。具 体的には、支持部材の偏心量の2倍以上とす 。これにより、偏心回転によって保持器と 道輪とが接触して生じる発熱や摩耗を有効 防止することができる。

 なお、上記の実施形態においては、曲面 状(R形状)の第3および第4の傾斜部34e,34fを形 した例を示したが、これに限ることなく、 の形状を採用することができる。例えば、 27を参照して、張出部に形成される第1およ 第2の傾斜部の他の実施形態を説明する。な お、その他の構成は上述の第1の軌道輪34と同 様であるので、説明は省略する。

 図27を参照して、張出部36dの先端には、軌 面36bに対面する側の角部から厚み方向反対 の角部に向かって、張出部36dの突出量を減 るように傾斜部36eが設けられている。図14と 比較して説明すると、第3の傾斜部34eは存在 ず(A 2 =0)、傾斜部36eは第4の傾斜部34fに相当する。 れらの傾斜部34e,34f,36eは、例えば、角部に面 取り加工(「C面取り」および「R面取り」の両 方を含む)を施すことによって形成すること できる。

 また、上記の実施形態における第1の軌道 輪34において、張出部34dの位置、および個数 任意に決定することができる。ただし、張 部34dの数が少ないと、保持器33を適切に保 できないおそれがある。一方、張出部34dの が多すぎると、保持器33を組み込むのが困難 となる。また、保持器33を適切に保持する観 からは、張出部34dは、等間隔に配置するの 望ましい。これは、第2の軌道輪35に形成さ るステーキング35dにも同様に当てはまる。

 また、上記の実施形態においては、張出 34dを有する第1の軌道輪34と、ステーキング3 5dを有する第2の軌道輪35とを備えるスラスト ろ軸受31の例を示したが、これに限ること く、任意の構成を採用することができる。 えば、第1の軌道輪の外周鍔部にステーキン を形成し、第2の軌道輪の内周鍔部に張出部 を形成してもよい。さらには、第1および第2 軌道輪の両方に張出部を形成してもよい。 お、各張出部は第1および第2の傾斜部を有 る。

 次に、表2を参照して、この発明の効果を確 認するために行った試験について説明する。 この効果確認試験は、第3の傾斜部34eの径方 寸法A 1 、第4の傾斜部34fの径方向寸法B 1 、および最小掛かり代σ 2 の値を表2の通りとした3種類のスラストころ 受(試験軸受4~6)のそれぞれについて、組込 重と分離荷重とを測定した。なお、組込は 22および図23に示す方法を用いて、分離は図2 4および図25に示す方法を用いて行った。

 表2を参照して、第3の傾斜部34eおよび第4の 斜部34fの径方向寸法が同程度(A 1 ≒B 1 )の試験軸受4においては、組込荷重と分離荷 とは同じであった。一方、A 1 >B 1 とした試験軸受5においては、組込荷重が分 荷重を上回った。さらに、A 1 <B 1 とした試験軸受6においては、分離荷重が組 荷重を上回った。

 以上より、第4の傾斜部34fの径方向寸法B 1 が大きい程、保持器33の第1の軌道輪34への組 込みが容易になることが確認された。同様 、第3の傾斜部34eの径方向寸法A 1 が小さい程、保持器33の第1の軌道輪34からの 離が困難になることが確認された。そして A 1 <B 1 とすれば、保持器33を第1の軌道輪34に組み込 やすく、かつ両者が分離しにくいスラスト ろ軸受31が得られることが確認された。

 なお、第1および第2の傾斜部13c,13dを有す 保持器13と、第3および第4の傾斜部34e,34fを する軌道輪34と、組み合わせれば、さらに組 込荷重が小さくなり、分離荷重が大きくなる 。

 また、この発明は、ころとして針状ころ 棒状ころ、または円筒ころを有するあらゆ 形式のスラストころ軸受に適用することが きる。ただし、厚み寸法を削減する観点か は、スラスト針状ころ軸受であることが望 しい。

 次に、図28を参照して、この発明の一実 形態に係るトルクコンバータ20を説明する。 トルクコンバータ20は、インペラ21と、ステ タ22と、タービン23とを主に有している。具 的には、エンジン(図示省略)の出力軸(トル コンバータ20を中心にすると「入力軸」)に 結されるインペラ21と、自動変速機(図示省 )の入力軸(トルクコンバータ20を中心にする と「出力軸」)に連結されるタービン23とが互 いに対向するように配置されている。また、 ステータ22は、ケーシングに固定されたステ タシャフトに一方向クラッチ24を介して取 付けられている。

 このステータ22は、それぞれ椀状に形成 れたインペラブレード21aとタービンブレー 23aとの間で還流する流体を、これらの内径 でタービン23側からインペラ21側に指向させ 。これにより、流体の流れ方向を変えてイ ペラ21に順方向の回転力を付与し、伝達ト クを増幅するものである。

 上記のトルクコンバータ20は、入力軸お び出力軸のいずれかの回転によりスラスト 重を生じる。また、インペラ21とタービン23 は偏心回転する。そこで、インペラ21とス ータ22との間、および、ステータ22とタービ 23との間に図2に示すようなこの発明の一実 形態に係るスラストころ軸受11が配置され いる。

 このスラストころ軸受11は、保持器13と第1 軌道輪14との間の内部隙間δ 1 をインペラ21およびタービン23の偏心量の2倍 上に設定する。これにより、インペラ21や ービン23等の偏心回転する回転部材を支持す るのに適した軸受となる。その結果、信頼性 の高いトルクコンバータ20を得ることができ 。なお、スラストころ軸受11に代えてスラ トころ軸受31を採用した場合にも、同様の効 果を得ることができる。

 なお、上記の実施形態においては、図2に 示したスラストころ軸受11を図18に示したト クコンバータ20に組み込んだ例を示したが、 これに限ることなく、他の用途、特に偏心回 転を伴う環境で使用することができる。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 この発明は、偏心回転を生じる環境で使 されるスラストころ軸受に有利に利用され 。