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Title:
SURFACE-TREATING LIQUID FOR CONDUCTIVE ELASTIC LAYER, METHOD OF SURFACE TREATMENT OF THE SAME, AND SURFACE-TREATED CONDUCTIVE MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057560
Kind Code:
A1
Abstract:
A conductive member of a paper feed roller for use in an electrophotographic apparatus is provided which retains electrical conductivity in an adequate range, is effectively prevented from deteriorating in durability, and is reduced in the voltage dependence of electrical resistance and in resistance unevenness. This conductive member enables satisfactory print quality to be obtained over long. The conductive member comprises: a conductive elastic layer formed from one or more elastic materials selected from the group consisting of rubbers, resins, and thermoplastic elastomers; and a coating layer formed by applying a surface-treating liquid to the outer surface of the conductive elastic layer and then thermally curing the coating. The surface-treating liquid comprises: a medium containing, dispersed and/or dissolved therein, either a polyisocyanate compound or a combination of a polyol compound and an isocyanate compound; and carbon nanotubes dispersed in the medium.

Inventors:
TAJIMA KEI (JP)
OKUYAMA HIDEYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069470
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
TAJIMA KEI (JP)
OKUYAMA HIDEYUKI (JP)
International Classes:
G03G15/00; B05D5/12; B05D7/02; C08J7/043; C08J7/044; C08J7/046; C09D5/24; C09D7/62; C09D175/04; F16C13/00
Foreign References:
JP2004191708A2004-07-08
JP2006035776A2006-02-09
JP2007108443A2007-04-26
JP2003270907A2003-09-25
JP2008170878A2008-07-24
JP2008280450A2008-11-20
JP2003300716A2003-10-21
JP2004276232A2004-10-07
JP2007063051A2007-03-15
Other References:
See also references of EP 2211236A4
Attorney, Agent or Firm:
OWADA, Kazumi (11-20 Nishitemma 1-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka, JP)
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Claims:
 導電性部材の表面にコーティング処理を行う表面処理液であって、
 多イソシアネート化合物が分散及び/または溶解した媒体中に、カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする表面処理液。
 前記多イソシアネート化合物のイソシアネート基がブロック化されている請求項1に記載の表面処理液。
 導電性部材の表面にコーティング処理を行う表面処理液であって、
 ポリオール化合物とイソシアネート化合物及び/または該ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応物を含む媒体中に、カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする表面処理液。
 前記ポリオール化合物が、アクリルポリオール類あるいはウレタンポリオール類である請求項3に記載の表面処理液。
 前記カーボンナノチューブが0.1質量%以上1.5質量%以下の割合で含まれている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表面処理液。
 前記カーボンナノチューブが全固形分中に0.5質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理液。
 前記多イソシアネート化合物または前記イソシアネート化合物に親水性基が導入され、前記媒体は水を50質量%以上含む請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の表面処理液。
 ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成される導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を覆うコーティング層とを備えた導電性部材であって、
 前記コーティング層は、請求項1または請求項2に記載の表面処理液で形成していることを特徴とする導電性部材。
 ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成される導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を覆うコーティング層とを備えた導電性部材であって、
 前記コーティング層は、請求項3または請求項4に記載の表面処理液で形成していることを特徴とする導電性部材。
 画像形成装置に装着される導電性ローラである請求項8または請求項9に記載の導電性部材。
 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の表面処理液を、ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の弾性材料を用いて形成した導電性弾性層の外表面に塗布した後、加熱硬化処理を行い、コーティング層を形成していることを特徴とする導電性弾性層の表面処理方法。
Description:
導電性弾性層の表面処理液及び 面処理方法、表面処理された導電性部材

 本発明は、導電性弾性層の表面処理液及 表面処理方法、表面処理された導電性部材 関し、詳しくは、電子写真装置の導電性機 等に使用される導電性ローラ等の導電性部 の耐久性劣化を防止し、適度な導電性を得 がら電気抵抗値の電圧依存性及び抵抗ムラ 小さくし、長期に渡り良好な印刷画質が得 れるものである。

 プリンター、電子写真複写機、ファクシ リ装置等の電子写真装置や静電記録装置等 おける導電性機構においては、感光ドラム 一様に帯電させるための帯電ローラ、トナ を搬送させるためのトナー供給ローラ、ト ーを感光体に付着させるための現像ローラ びトナー像を感光体から用紙に転写するた の転写ローラ等の導電性ローラに代表され ように、種々の導電性部材が用いられてい 。

 このような導電性ローラは、一般的に、 柱状の芯金と、該芯金の周囲に同心円状に 層された加硫ゴム、樹脂、熱可塑性エラス マー等からなる弾性層とから構成されてお 、用途に応じて、導電性、非汚染性、寸法 定性等の種々の性能が要求される。特に、 時間使用すると、残留トナー粒子やトナー 添加される薬品等が導電性ローラの表面に 着する現象が発生して画像が悪化するとい 、所謂、耐久性劣化の問題があり、他の導 性部材も同様に、この耐久性劣化を防止す ことが要望されている。

 このような耐久性劣化を防止するため、 来、導電性部材の弾性層等の表面をイソシ ネート化合物やポリウレタン樹脂でコーテ ング処理することが行われている。

 他方、近年、カーボンナノチューブの利 が様々な分野で検討され、カーボンナノチ ーブを溶媒中に均一分散させたカーボンナ チューブ分散液が、特開2003-300716号公報(特 文献1)、特開2004-276232号公報(特許文献2)、特 開2007-63051号公報(特許文献3)等で提案されて る。

特開2003-300716号公報

特開2004-276232号公報

特開2007-63051号公報

 前述したようなイソシアネート化合物やポ ウレタン樹脂のコーティングにより形成さ たコーティング層は耐久性劣化を改良する のであるが、一般的にこの種の材料は電気 抗値が高いため、導電性部材を目的の電気 抗値に調整するためにカーボンブラックや オン性導電付与剤のような導電剤を配合し ければならない。しかし、コーティング層 カーボンブラックを配合した場合には電気 抗値の電圧依存性が大きくなり、導電性部 の帯電が不均一となって印刷ムラが発生す 問題が生じる。また、イオン性導電付与剤 配合した場合には導電剤のブリードが生じ 導電性部材が粘着性を帯びてしまい、感光 ラムに長時間接触させると感光ドラムと導 性部材が貼り付き、保存性に欠けるという 題が生じる。
 また、特許文献1~3のカーボンナノチューブ 散液は、いずれも導電性部材の耐久性劣化 防止するものではなく、導電性部材のコー ィング層として必要な特性を備えたもので ない。
 このように導電性部材の耐久性劣化を有効 防止しながら、導電性を適切な範囲に保ち かつ、帯電特性及び使用性能に優れた導電 部材の表面処理が要望されている。

 本発明は前記問題に鑑みてなされたもの あり、電子写真装置の導電性機構等に使用 れる導電性ローラ等の導電性部材の導電性 適切な範囲に保ち、耐久性劣化を有効に防 しながら、電気抵抗値の電圧依存性及び抵 ムラを小さくし、長期に渡り良好な印刷画 を得ることを課題としている。

 前記課題を解決するため、第1の発明として 、導電性部材の表面にコーティング処理を行 う表面処理液であって、
 多イソシアネート化合物が分散及び/または 溶解した媒体中に、カーボンナノチューブが 分散していることを特徴とする表面処理液を 提供している。

 また、第2の発明として、導電性部材の表面 にコーティング処理を行う表面処理液であっ て、
 ポリオール化合物とイソシアネート化合物 び/または該ポリオール化合物とイソシアネ ート化合物との反応物を含む媒体中に、カー ボンナノチューブが分散していることを特徴 とする表面処理液を提供している。

 本発明者らは鋭意研究した結果、前記第1の 発明の多イソシアネート化合物を含む媒体中 にカーボンナノチューブを分散させた表面処 理液および、第2の発明のポリオール化合物 イソシアネート化合物及び/または該ポリオ ル化合物とイソシアネート化合物との反応 を含む媒体中にカーボンナノチューブを分 させた表面処理液は、いずれも、適度な導 性を有し、耐久性劣化を有効に防止しなが 電気抵抗値の電圧依存性及び抵抗ムラを小 くしたコーティング層を導電性部材の表面 形成できることを知見した。
 即ち、本発明の導電性部材用の表面処理液 、導電剤としてカーボンナノチューブが配 されているので、カーボンブラックが配合 れた場合に生じる電気抵抗値の電圧依存性 び抵抗ムラの問題を大幅に改善し、イオン 導電付与剤が配合された場合に生じる粘着 を生じさせずに、適切な導電性を付与した ーティング層を形成することができる。か 、該表面処理液により形成されるコーティ グ層は多イソシアネート化合物の硬化物を トリクス樹脂とするので、耐久性劣化も有 に防止することができる。

 前記第1の発明および第2の発明で配合して るカーボンナノチューブとしては、蜂の巣 に結合した炭素原子が平面状に広がってな グラフェンシート1層が筒状になった単層カ ボンナノチューブ、2層以上が同心円状に筒 状に重なった多層カーボンナノチューブおよ びこれらがコイル状となったものが挙げられ るが、多層カーボンナノチューブを用いるこ とが好ましい。カーボンナノチューブにおい て単層構造と多層構造が混在していてもよい 。
 また、部分的にカーボンナノチューブの構 を有する炭素材料も使用することができる さらに、両側に穴のあいたカーボンナノチ ーブはもちろん、カーボンナノチューブの 側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、 の頭部に穴があいたコップ型のナノカーボ 物質なども用いることができる。

 カーボンナノチューブとしては、直径1~50nm 長さ0.01~50μmの単層、多層のものを用いるこ とが好ましい。
 なかでも直径10~20nm、長さ0.1~10μmの多層構造 のものを用いることが好ましい。また、アス ペクト比は10以上であるものが好ましい。
 この程度の大きさのカーボンナノチューブ 、表面処理液中で均一に分散しやすく、か 、カーボンナノチューブが互いに接触しや いので、均一な導電性を有するコーティン 層を形成しやすい。
 また、後述する水を主体とする媒体に分散 せるため、カーボンナノチューブには酸化 理による表面処理が施されていてもよい。

 前記カーボンナノチューブは、本発明の表 処理液中に0.1質量%以上1.5質量%以下の割合 含まれることが好ましい。さらに好ましく 0.3質量%以上1.2質量%以下である。
 これは、表面処理液中にカーボンナノチュ ブが0.1質量%未満であると形成されたコーテ ィング層におけるカーボンナノチューブの含 有量が少なくなり、コーティング層に十分な 導電性を付与できないからであり、1.5質量% 超えると表面処理液中でカーボンナノチュ ブが絡まって固まりが生じやすくなり、電 抵抗値の不均一が生じるおそれがあるから ある。

 また、前記表面処理液の媒体を除く全固形 中にカーボンナノチューブは0.5質量%以上5.0 質量%以下の割合で含まれていることが好ま い。
 これは、全固形分中0.5質量%未満であるとコ ーティング層におけるカーボンナノチューブ の含有量が少なく、コーティング層に十分な 導電性を付与できないからであり、5.0質量% 超えるとカーボンナノチューブの配合量が 剰量となり、カーボンナノチューブが絡ま て固まりが生じやすくなり、電気抵抗値の 均一が生じるおそれがあるからである。全 形分中にカーボンナノチューブは、1.0質量% 上3.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
 このようにカーボンナノチューブは極めて 電性に優れるので少量の配合で所望の電気 抗値を得ることができ、さらに電気抵抗値 電圧依存性及び抵抗ムラを小さくすること できる。

 前記第1の発明の表面処理液には、前記のよ うに、多イソシアネート化合物を分散及び/ たは溶解させている。多イソシアネート化 物の硬化物は、通紙耐久性に極めて優れた 果を示す。
 前記「多イソシアネート化合物」は、脂肪 及び/または脂環族ジイソシアネートあるい はこれより誘導されるポリイソシアネートで あり、加熱により水及びそれ自体と反応して 硬化物を生成するものである。
 前記多イソシアネート化合物となる脂肪族 び/または脂環族ジイソシアネートとしては 、2,4一トリレンジイソシアネート、2,6-トリ ンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタ ジイソシアネート、m-フェニレンジイソシ ネート、キシリレンジイソシアネート、テ ラメチレンジイソシアネート、へキサメチ ンジイソシアネート、1,4-シクロへキシレン イソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメ タンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’ ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメ トキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート 3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシ ネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、 1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネー 、イソホロンジイソシアネートが挙げられ 。
 またそれぞれ多イソシアネート化合物のイ シアヌレート体、ビュレット体、アダクト 、アロファネート体等の変性体などが挙げ れる。表面処理の耐久性に優れるという理 により、へキサメチレンジイソシアネート イソシアヌレート体等が好ましく用いられ 。

 前記多イソシアネート化合物は、表面処理 に含まれる全固形分中の樹脂成分の80質量% 上100質量%以下を占めることが好ましい。さ らに好ましくは90~100質量%、特に好ましくは10 0質量%である。
 多イソシアネート化合物は、表面処理液の 布・硬化工程の作業性及び均一なコーティ グを行う観点から、前記表面処理液中に15 量%以上50質量%以下、さらに20質量%以上40質 %以下の割合で含有されていることが好まし 。
 さらに、多イソシアネート化合物は、表面 理液の全固形分中80質量%以上99.9質量%未満 配合量とされていることが好ましい。さら 好ましくは92.0質量%以上99.0質量%以下である

 前記多イソシアネート化合物のイソシアネ ト基は、ブロック化(マスク化)されている とが好ましい。イソシアネート基をブロッ 化(マスク化)することにより、反応性が高い ために品質管理が困難である多イソシアネー ト化合物の反応性を抑え、ポットライフを長 くでき、表面処理液の品質管理を容易にする ことができる。
 「イソシアネート基がブロック化されてい 」とは、イソシアネート基と可逆的に反応 得る化合物と反応している状態であってイ シアネート基の反応性が不活性化されてい 状態であることを意味する。イソシアネー 基をブロック化するためのブロック化剤と ては、フェノール類、ε-カプロラクタム類 β-ジケトン類,オキシム類等が挙げられるが 、処理液の品質安定性と解離度のバランスが 優れるという理由によりβ-ジケトン類、オキ シム類、ε-カプロラクタム類が好ましい。

 前記第2の発明の表面処理液には、媒体中に ポリオール化合物とイソシアネート化合物、 及び/または該ポリオール化合物とイソシア ート化合物との反応物が含まれている。
 これらポリオール化合物、イソシアネート 合物及びこれらの反応物は媒体中に分散及 /または溶解されている。
 これらポリオール化合物とイソシアネート 合物は、表面処理液中で互いに反応してい い状態、一部反応した状態、あるいはこれ が混在した状態で存在する。
 ポリオール化合物とイソシアネート化合物 を熱硬化して得られるポリウレタン樹脂は 導電性部材の表面のコーティング層を形成 る樹脂として用いられた場合、通紙耐久性 極めて優れた結果を示す。

 前記ポリオール化合物は、多価ヒドロキシ 合物であり、一分子中に少なくとも2個の水 酸基を有する化合物である。多価ヒドロキシ 化合物としては、例えば、脂肪族炭化水素ポ リオール類、ポリエーテルポリオール類、ポ リエステルポリオール類、アクリルポリオー ル類、含フッ素ポリオール類、エポキシポリ オール類、ポリカーボネートポリオール類、 ウレタンポリオール類等が挙げられる。
 なかでも、アクリルポリオール類、ウレタ ポリオール類を用いることが好ましい。

 アクリルポリオール類としては、一分子中 一個以上の活性水素を持つ重合性モノマー 、これに共重合可能なモノマーを共重合さ ることによって得られるものが挙げられる 例えば、(i)アクリル酸2-ヒドロキシエチル アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル 酸2-ヒドロキシルブチルなどの活性水素を持 アクリル酸エステル類:メタアクリル酸2-ヒ ロキシエチル、メタアクリル酸2-ヒドロキ プロピル、メタアクリル酸2-ヒドロキシルブ チルなどの活性水素を持つメタアクリル酸エ ステル類:グリセリンのアクリル酸モノエス ル或いはメタアクリル酸モノエステル、ト メチロールプロパンのアクリル酸モノエス ル或いはメタアクリル酸モノエステル等の 価活性水素を有するメタアクリル酸やアク ル酸から選ばれた単独或いは混合物と、
(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、 クリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル 、アクリル酸2-エチルヘキシルなどのアクリ 酸エステル類:メタアクリル酸メチル、メタ アクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロ ピル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリ 酸イソブチル、メタアクリル酸n-ヘキシル どのメタアクリル酸エステル類から選ばれ 単独または混合物とを、
(iii)アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン などの不飽和カルボン酸、アクリルアミド N-メチロールアクリルアミドなどの不飽和 ミド:およびスチレン、ビニルトルエン、酢 ビニル、アクリルニトリルなどの重合性モ マーから選ばれた単独或いは混合物の存在 、或いは非存在下において重合させて得ら るアクリルポリオール樹脂類が挙げられる

 ウレタンポリオール類としては、芳香族 脂肪族、脂環族のジイソシアネートと活性 素化合物との重付加反応によって生成する リマー中にウレタン結合を持ち、ポリマー 鎖や末端に水酸基を持つものをあげること できる。

 前記ポリオール化合物は、単独であるいは2 種以上を混合して用いることができる。
 本発明に使用するポリオール化合物は、樹 分の水酸基価が10~300mgKOH/gであることが好ま しい。

 前記ポリオール化合物と反応してポリウレ ン樹脂を生成するイソシアネート化合物は 該ポリオール化合物を主剤とした場合に、 リウレタン樹脂の硬化剤とみなすことがで る。
 前記イソシアネート化合物は、脂肪族及び/ または脂環族ジイソシアネート、あるいはこ れらより誘導される多イソシアネート(ポリ ソシアネート)を用いるのが好ましい。
 前記脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネ ートとしては、2,4一トリレンジイソシアネー ト、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジ ェニルメタンジイソシアネート、m-フェニ ンジイソシアネート、キシリレンジイソシ ネート、テトラメチレンジイソシアネート へキサメチレンジイソシアネート、1,4-シク へキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシク ロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’- メチル-4,4’一ビフェニレンジイソシアネー 、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイ シアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニ ンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソ シアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジ ソシアネート、イソホロンジイソシアネー が挙げられる。
 またそれぞれイソシアネート化合物のイソ アヌレート体、ビュレット体、アダクト体 アロファネート体等の変性体などが挙げら る。表面処理の耐久性に優れるという理由 より、へキサメチレンジイソシアネートの ソシアヌレート体等が好ましく用いられる

 前記イソシアネート化合物のイソシアネー 基は、ブロック化(マスク化)されているこ が好ましい。イソシアネート基をブロック (マスク化)することにより、反応性が高いた めに品質管理が困難であるイソシアネート化 合物の反応性を抑え、ポットライフを長くで き、表面処理液の品質管理を容易にすること ができる。
 「イソシアネート基がブロック化されてい 」とは、イソシアネート基と可逆的に反応 得る化合物と反応している状態であってイ シアネート基の反応性が不活性化されてい 状態であることを意味する。イソシアネー 基をブロック化するためのブロック化剤と ては、フェノール類、ε-カプロラクタム類 β-ジケトン類,オキシム類等が挙げられるが 、処理液の品質安定性と解離度のバランスが 優れるという理由によりβ-ジケトン類、オキ シム類、ε-カプロラクタム類が好ましい。

 表面処理液の塗布・硬化工程の作業性及び 一なコーティングを行う観点から、前記ポ オール化合物とイソシアネート化合物の合 量は、前記表面処理液中に15質量%以上50質 %以下、さらに20質量%以上40質量%以下とされ いることが好ましい。
 さらに、ポリオール化合物とイソシアネー 化合物とを熱硬化させて得られるポリウレ ン樹脂は、表面処理液を硬化させて得られ 全固形分中に80質量%以上99.9質量%未満とさ ていることが好ましい。さらに好ましくは92 .0質量%以上99.0質量%以下である。

 前記媒体となる溶媒としては、加熱処理 により蒸発するもので、かつ、前記カーボ ナノチューブを分散させ、前記多イソシア ート化合物または前記ポリオール化合物及 イソシアネート化合物を分散及び/溶解させ ることができるものであればよく、水、アル コール類、グリコール類、グリコールエステ ル類、エステル類、ケトン類等の種々の液体 を用いることができる。

 なかでも、人体及び環境に対して無害であ 、大量の有機溶媒を用いる方法と比べて有 溶媒の揮発が抑制されるので作業環境や地 環境に影響を及ぼさないことから、前記媒 は、水を主体とする溶媒であることが好ま い。
 「水を主体とする媒体」とは、水を主成分 する溶媒であり、溶媒全質量中の水の質量 50質量%以上100質量%以下であるものを言う。 好ましくは60質量%以上、さらには80質量%以上 であるのが良い。水以外の溶媒として、エス テル類、ケトン類、アルコール類、グリコー ル類、グリコールエステル類等を混合しても 構わない。

 前記第1および第2の発明の表面処理液は、 ーボンナノチューブを表面処理液中に均一 散させやすいという観点から、下記(1)~(3)の 順で調製されていることが好ましい。
 (1)多イソシアネート化合物を含まない媒体 または前記ポリオール化合物及びイソシア ート化合物を含まない媒体にカーボンナノ ューブを分散させてカーボンナノチューブ 散液を調製する。
 (2)(1)とは別に、多イソシアネート化合物ま は前記ポリオール化合物及びイソシアネー 化合物を、媒体に分散及び/または溶解させ た液を調製する。
 (3)その後、(1)と(2)を混合する。
 (1)のように予め多イソシアネート化合物を まない媒体にカーボンナノチューブを配合 ておく方が、多イソシアネート化合物また 前記ポリオール化合物及びイソシアネート 合物を含む媒体に直接配合するよりも、カ ボンナノチューブを均一分散させやすいと う利点がある。

 前記(1)において、カーボンナノチューブ 予め媒体に分散させる方法としては、使用 る媒体等に応じて最適な方法を選択するこ ができるが、酸化処理等の表面処理を施し カーボンナノチューブを用いる、あるいは 媒体に界面活性剤を配合する等の方法を用 ることができる。

 前記(2)において、多イソシアネート化合 またはポリオール化合物及びイソシアネー 化合物を、媒体中に分散及び/または溶解さ せる方法としては、使用する媒体及び多イソ シアネート化合物またはポリオール化合物及 びイソシアネート化合物の種類によって適宜 選択することができるが、前記化合物に使用 する媒体と親和性を有する他の官能基を導入 する、あるいは、分散剤、湿潤剤等の界面活 性剤を配合する等の方法を用いることができ る。

 特に、水を主体とする媒体に多イソシアネ ト化合物またはイソシアネート化合物を分 させる場合には、親水基を導入した前記化 物を用いることが好ましい。このように親 性基を導入することにより前記化合物を水 性とすることができ、人体及び環境に対し 無害である水を主体とする媒体中に、多イ シアネート化合物またはイソシアネート化 物を分散あるいは/及び溶解することが可能 となる。
 ポリオール化合物は親水性基である水酸基 多数含むため、水を主体とする媒体に分散 せる場合には、通常、特に親水性基を導入 る必要はない。

 前記親水性基は、導電性部材の耐久劣化の 制効果を損なわない範囲にて適宜、多イソ アネート化合物に導入することができる。 体的には、1~50質量%の割合、好ましくは3~30 量%の割合で導入するのが良い。これにより 、水との十分な相溶性と、導電性部材の耐久 制劣化の抑制効果との両立を図ることができ る。
 前記親水性基としては、ポリエーテル、カ ボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられるが 特に、表面処理液の安定性に優れるという 由により、カルボン酸のアンモニウム塩が ましい。

 前記表面処理液には、前述したものの他 、本発明の効果を妨げない限りにおいて、 記カーボンナノチューブ以外の導電剤(例え ば、導電性カーボンブラック、弱導電性カー ボンブラック等)、及び前記多イソシアネー 化合物または前記ポリオールおよびイソシ ネート化合物以外の樹脂等を配合すること できる。

 前記導電性部材用の表面処理液は、画像形 装置に装着される導電性ローラ、導電性ベ ト等の種々の導電性部材に塗布されること より耐久性劣化を防止し、かつ、導電性を しながら、電気抵抗値の電圧依存性及び抵 ムラの小さいコーティング層を形成させる とができる。
 前記表面処理液は、種々の材質の導電性部 に対して用いることができるが、特に弾性 料を用いて形成される導電性部材の導電性 性層に対して好適に用いられる。

 そこで、本発明は、前記表面処理液を、 ム、樹脂及び熱可塑性エラストマーからな 群から選択される1種以上の弾性材料を用い て形成した導電性弾性層の外表面に塗布した 後、加熱硬化処理を行い、コーティング層を 形成していることを特徴とする導電性弾性層 の表面処理方法を提供している。

 前記表面処理方法によれば、加工が容易 あるので、容易に導電性部材に耐久性劣化 止処理を施すことができる。特に、媒体が を主体としたものであれば、作業環境も著 く改善され、地球環境保全上においても極 て優れる。

 前記表面処理液を導電性弾性層の表面に 布する方法としては、ディッピング、ロー コート、ナイフコート、スプレー塗装等の 来公知の方法を用いることができる。

 前記第1の発明の場合、加熱硬化処理の温 度は、多イソシアネート化合物の種類にもよ るが、130℃以上200℃以下、好ましくは140℃以 上170℃以下であるのが良い。前記範囲として いるのは、130℃より低いと多イソシアネート 化合物が硬化しにくくなったり、ブロック化 された多イソシアネート化合物を使用する場 合にブロック剤が解離しにくくなったりする ためである。一方、200℃より高いと、導電性 弾性層が劣化するおそれがあるため好ましく ない。

 加熱硬化処理の時間は、加熱硬化処理の 度にもよるが、硬化が充分行われ、かつ導 性弾性層が劣化しない時間を適宜選択可能 あり、5分以上120分以下、好ましくは10分以 60分以下であるのが良い。

 特に、ブロック化された多イソシアネー 化合物を使用した場合には、ブロック剤が れる時間と反応する時間が必要なため、前 加熱処理の後、加湿処理を行っていること 好ましい。該加湿処理は、適度な温湿度下 保管することにより、未反応のイソシアネ ト基と水を反応させるための処理であり、 件としては、温度50~80℃、湿度30~90%で、2~4 間、好ましくは3時間程度保管するのが良い

 前記第2の発明の場合は、加熱硬化処理の温 度は、ポリオール化合物、イソシアネート化 合物の種類にもよるが、110℃以上200℃以下、 好ましくは120℃以上170℃以下であるのが良い 。前記範囲としているのは、110℃より低いと ポリオール化合物とイソシアネート化合物と が硬化しにくくなったり、ブロック化された イソシアネート化合物を使用する場合にブロ ック剤が解離しにくくなったりするためであ る。一方、200℃より高いと、導電性弾性層が 劣化するおそれがあるため好ましくない。
 加熱硬化処理の時間は、加熱硬化処理の温 にもよるが、硬化が充分行われ、かつ導電 弾性層が劣化しない時間を適宜選択可能で り、5分以上120分以下、好ましくは10分以上6 0分以下であるのが良い。

 第3の発明として、ゴム、樹脂及び熱可塑 性エラストマーからなる群から選択される1 以上の弾性材料を用いて形成される導電性 性層と、該導電性弾性層の表面を覆うコー ィング層とを備えた導電性部材であって、 記コーティング層は第1の発明の表面処理液 形成し、多イソシアネート化合物の硬化物 にカーボンナノチューブが分散されてなる とを特徴とする導電性部材を提供している

 前記導電性部材のコーティング層は、多イ シアネート化合物の硬化物中にカーボンナ チューブが分散されており、該カーボンナ チューブにより導電性が付与されている。 のため、カーボンブラックにより導電性を 与した場合に発生する電気抵抗値の電圧依 性及び抵抗ムラを低減できることに加え、 オン性導電付与剤を配合した場合のような 電剤のブリードが発生せず、導電性部材と 光ドラムとの貼り付きや画質の悪化を生じ せない。そのため、本発明の導電性部材は 耐久性劣化を有効に防止しながら、良好で 一な帯電特性及び保存性を維持することに り、長期に渡り良好な画質を得ることがで 、カラー複写機あるいはカラープリンタ用 の画像形成装置に装着される、現像ローラ 帯電ローラ、転写ローラ等の導電性ローラ して好適に用いることができる。
 なお、前記導電性部材のコーティング層は 前述した表面処理方法以外の方法により形 することもできる。

 第4の発明として、ゴム、樹脂及び熱可塑 性エラストマーからなる群から選択される1 以上の弾性材料を用いて形成される導電性 性層と、該導電性弾性層の表面を覆うコー ィング層とを備えた導電性部材であって、 記コーティング層は、前記第2の発明の表面 理液で形成し、ポリオール化合物とイソシ ネート化合物とを熱硬化して得られるポリ レタン樹脂中にカーボンナノチューブが分 されてなることを特徴とする導電性部材を 供している。

 前記導電性部材のコーティング層は、ポリ ール化合物とイソシアネート化合物の反応 得られるポリウレタン樹脂中にカーボンナ チューブが分散されており、該カーボンナ チューブにより導電性が付与されている。 のため、カーボンブラックにより導電性を 与した場合に発生する電気抵抗値の電圧依 性及び抵抗ムラを低減できることに加え、 オン性導電付与剤を配合した場合のような 電剤のブリードが発生せず、導電性部材と 光ドラムとの貼り付きや画質の悪化を生じ せない。そのため、本発明の導電性部材は 耐久性劣化を有効に防止しながら、良好で 一な帯電特性及び保存性を維持することに り、長期に渡り良好な画質を得ることがで 、カラー複写機あるいはカラープリンタ用 の画像形成装置に装着される、現像ローラ 帯電ローラ、転写ローラ等の導電性ローラ して好適に用いることができる。
 なお、前記導電性部材のコーティング層は 前述した表面処理方法以外の方法により形 することもできる。

 前記第3および第4の発明の導電性部材のコ ティング層には、前記カーボンナノチュー が0.5質量%以上5.0質量%以下、好ましくは1.0質 量%以上3.0質量%以下の割合で含まれているこ が好ましい。
 なお、前記導電性部材において、コーティ グ層の厚さは1μm以上50μm以下、好ましくは5 μm以上30μm以下であるのが良い。前記範囲と ているのは、1μmより薄いと耐久性が悪くな るためであり、50μmより厚いと亀裂を発生す ことがあるためである。

 前記コーティング層が形成される基材と る導電性部材の導電性弾性層は、ゴム、樹 及び熱可塑性エラストマーのいずれか1種以 上の弾性材料を用いて形成されてなり、かつ 、導電性を備えたものであれば限定されない が、例えば、以下に列挙したような成分を用 いて作製することができる。

 前記導電性弾性層を構成する弾性材料の原 成分としては、
 エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブ ルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、 クリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリ ルゴム、イソブチレンとp-メチルスチレンの 重合体を臭素化したゴムである臭素化イソ チレン-p-メチルスチレン共重合体(BIMS)、フ 素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴ (CR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ス レンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(I R)、エチレンプロピレンゴム、水素化ニトリ ゴム(HNBR)またはクロロスルフォン化ポリエ レンゴム等のゴム;
 スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエ テル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱 塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性 ラストマー等の熱可塑性エラストマー;
 ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン チルアクリレート樹脂、エチレンビニルア テート樹脂、エチレン-メタクリル酸樹脂、 アイオノマー樹脂または塩素化ポリエチレン 等のオレフィン系樹脂等の樹脂;
を用いることができ、これらを単独、あるい は、2種以上組合わせたものを用いることが きる。
 特に、ゴムのような弾性・柔軟性と樹脂の うな良好な成形性・リサイクル性を併せ持 、優れた機械的物性及び加工仕上がりを有 ることから、EPDM、NBR等のゴム、スチレン系 熱可塑性エラストマー、及びオレフィン系樹 脂を含む熱可塑性エラストマー組成物から形 成した弾性材料としていることが好ましい。

 また、導電性弾性層には、導電性を付与す ため、金属塩等のイオン性導電付与剤;カー ボンブラック、酸化スズ、酸化チタン、グラ ファイト等の金属酸化物、または、導電性シ リカ、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属 粉等の導電性充填剤、を使用することができ る。
 イオン性導電付与剤としては、特に、エチ ンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合 体あるいは/およびエチレンオキサイド-プロ レンオキサイド-アリルグリシジルエーテル 共重合体に金属塩が含まれているものを好適 に用いることができる。

 前記導電性充填剤とは別に、機械的強度を 上させるために、炭酸カルシウム、シリカ クレー、タルク、硫酸バリウム、ケイ藻土 どの充填剤が配合されていても良い。
 また、導電性弾性層表面からの添加剤等の 離、ブリード、ブルーミングや感光体汚染 などの接触物への移行などを起こさない範 で、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪 、綿実油、トール油、アスファルト物質、 ラフィンワックスなどの軟化剤を配合して 良い。これにより導電性弾性層の硬度や柔 性を適度に調整することができる。
 さらには、必要に応じて加硫剤、加硫促進 、発泡剤、老化防止剤、可塑剤等の各種添 剤を配合することもできる。加硫剤として 、例えば硫黄、有機含有硫黄化合物、過酸 物、樹脂架橋剤なども使用可能である。

 前記導電性ローラの導電性弾性層は、常 により作成でき、例えば、必要に応じて導 剤等の添加剤を配合したゴム成分、熱可塑 エラストマー成分、樹脂成分等の弾性材料 構成する成分を所要の配合及び配合順序で ープンロール、バンバリーミキサー、ニー ー等のゴム混練装置に投入し、混練りして 練物とした後、単軸押出機でチューブ状に 備成形し、この予備成形品を加硫(架橋)し のち、芯金を挿入し表面を研磨した後、所 寸法にカットして導電性弾性層とする等の 法を用いることができる。混練物の加硫(架 )は、必要に応じて動的架橋等の手法を用い て行うことができる。

 導電性弾性層の厚さは1mm以上10mm以下、好 ましくは1.5mm以上6mm以下であるのが良い。前 範囲としているのは、1mmより薄いと十分な 電性が得にくくなるためである。一方、10mm より厚いと帯電不足を起こしやすくなると共 に部材が大きすぎて小型軽量化に向かないた めである。

 前記コーティング層及び前記導電性弾性層 含めた導電性部材の電気抵抗値は、10 4 ω以上10 10 ω以下、好ましくは10 5 ω以上10 8 ω以下であるのが良い。前記範囲としている は、10 4 ωより小さい導電性部材を得るのは困難とな ためである。一方、10 10 ωより大きいと、転写や帯電、トナー供給等 効率が低下し実用に適さなくなるという問 があるためである。導電性部材の電気抵抗 は、導電性部材がロール状として実施例に 載の方法で測定している。

 第1および第2の発明の表面処理液は、多 ソシアネート化合物またはポリオール化合 とイソシアネート化合物が分散及び/または 解した媒体中に、カーボンナノチューブが 散されているので、導電性部材の導電性を 切な範囲に保ち、耐久性劣化を有効に防止 ながら、電気抵抗値の電圧依存性及び抵抗 ラを小さくし、長期に渡り良好な印刷画質 得られるコーティング層を導電性部材に形 することができる。また、本発明の表面処 液により形成されたコーティング層は、イ ン性導電付与剤を用いた場合のような導電 のブリードが生じないので、感光体等の他 材に長期間接触させても貼り付きや画質の 下を生じさせない。

 第3および第4の発明の導電性部材は、ゴム 樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群 ら選択される1種以上の弾性材料を用いて形 した導電性弾性層と、多イソシアネート化 物の硬化物中またはポリオール化合物とイ シアネート化合物とを熱硬化して得られた リウレタン樹脂中にカーボンナノチューブ 分散されてなるコーティング層とを備えて る。
 そのため、コーティング層が導電性弾性層 導電性を妨げることなく、導電性部材の電 抵抗値を適切な範囲に保ち、該電気抵抗値 電圧依存性及び抵抗ムラを低減しながら、 効に耐久性劣化を防止することができる。 つ、コーティング層からの導電剤のブリー もないので、保存性に優れ、長期に渡り良 な印刷画像を得ることができる。

 また、本発明の導電性部材の表面処理方 によれば、容易に導電性ローラ等の導電性 材に耐久劣化性を向上させることができる 特に、水を主体とする媒体を用いた表面処 液とすると、大量の有機溶媒を用いる従来 方法と比べて有機溶媒の揮発が抑制される で作業環境が著しく改善され、地球環境保 上においても優れている。

実施形態の紙送りローラとする導電性 ーラの(A)は概略斜視図、(B)は断面構成図で る。 前記導電性ローラのローラ抵抗値の測 装置の概略図である。 前記導電性ローラの通紙耐久性試験及 保存試験に用いたプリンターについて説明 る図である。

符号の説明

  10  紙送りローラとする導電性ローラ
  11  導電性弾性層
  12  芯金(シャフト)
  13  コーティング層
  14  ローラ部
  15  アルミドラム
  16  電源

 本発明の実施形態を図面を参照して説明す 。
 図1は、本発明の実施形態にかかる紙送りロ ーラとする導電性ローラ10を示す。
 導電性ローラ10は、導電性熱可塑性エラス マー組成物により成形された円筒形状の導 性弾性層11の中空部に円柱形状の芯金(シャ ト)12を圧入して取り付け、導電性弾性層11の 表面にコーティング層13を備えたローラ部14 形成している。

 第1実施形態の導電性ローラ10では、前記コ ティング層13は、多イソシアネート化合物 硬化物中にカーボンナノチューブが均一分 されてなる。
 該コーティング層13は、多イソシアネート 合物が分散及び/または溶解した媒体中に、 ーボンナノチューブが分散している表面処 液を、導電性弾性層11の表面に塗布した後 、加熱硬化処理を行うことにより形成して る。

 以下に、前記コーティング層13を形成する 面処理液の調製方法について説明する。
[表面処理液の調製]
 本実施形態の表面処理液は、カーボンナノ ューブを水に分散させたカーボンナノチュ ブ分散液(A)と、多イソシアネート化合物を に分散及び/または溶解させた液(B)を個別に 調製したのち、両者を混合することにより得 ている。

 前記(A)のカーボンナノチューブ分散液とし は、直径10~20nm、長さ0.1~10μmの多層構造のカ ーボンナノチューブが濃度3~5質量%で水に分 されているものを用いている。なお、カー ンナノチューブ分散液におけるカーボンナ チューブは、媒体に界面活性剤を配合する とにより、あるいは、酸化処理が施されて 面が親水化されているカーボンナノチュー を用いることにより、水に均一分散させて る。
 前記カーボンナノチューブの酸化処理は、 末状のカーボンナノチューブにプラズマ処 等を施すことにより行うことができる。

 前記カーボンナノチューブは、市場で入手 能なものを用いても、当該分野で公知の任 の方法によって製造したものを用いてもよ 。
 カーボンナノチューブの製造方法としては アーク放電法、レーザー蒸発法、気相成長 、二酸化炭素の接触水素還元法、CVD法、一 化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応さ て気相で成長させるHiPco法などが挙げられ 。なかでも気相成長法、CVD法により製造す ことが好ましい。

 前記(B)の多イソシアネート化合物を水に分 及び/または溶解させた液は、多イソシアネ ート化合物として脂肪族及び/または脂環族 イソシアネートにポリエーテル、カルボン 塩、スルホン酸塩等の親水性基が導入され ものを用い、これを水に分散及び/または溶 させて調製している。
 脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネート としては、ヘキサメチレンジイソシアネート 、トリレンジイソシアネート等を用いており 、例えば、カルボン酸のアンモニウム塩が導 入されたヘキサメチレンジイソシアネートの イソシアヌレート体を分散剤等を配合して水 に分散させた多イソシアネート分散液を用い ることができる。

 さらに、前記多イソシアネート化合物の ソシアネート基は、オキシム類、β-ジケト 類あるいはε-カプロラクタム類でブロック されていてもよい。このようにイソシアネ ト基がブロック化されている多イソシアネ ト化合物を用いた表面処理液は、イソシア ート基の反応性が抑えられるので貯蔵安定 に極めて優れる。

 ついで、先に調製したカーボンナノチュー 分散液と、多イソシアネート分散液を混合 て、本実施形態の表面処理液を調製してい 。
 このようにして得られた表面処理液には、 ーボンナノチューブが0.3質量%以上1.2質量% 下、多イソシアネート化合物が20質量%以上40 質量%以下の割合で含まれる。
 本実施形態では、前記配合順序で表面処理 を調製したが、カーボンナノチューブ及び イソシアネート化合物が媒体中に均一に存 すれば前記配合順序に限定されない。

[導電性弾性層の説明]
 以下に、本第1本実施形態で用いた導電性弾 性層11について説明する。
 前記導電性弾性層を形成する導電性熱可塑 エラストマー組成物は、オレフィン系樹脂 スチレン系熱可塑性エラストマーと混合物 に、EPDMを樹脂架橋剤により動的架橋して分 散させた熱可塑性エラストマー組成物からな るベースポリマーの(A)成分と、EO-PO-AGE共重合 体に金属陽イオンとフルオロ基およびスルホ ニル基を有する陰イオンとからなる金属塩が 含まれているイオン導電性導電剤からなる(B) 成分と、エチレン-アクリル酸エステル-無水 レイン酸共重合体からなる(C)成分と、ポリ ステル系熱可塑性エラストマーからなる(D) 分とを含む。ここで、イオン導電性導電剤 らなる(B)成分におけるEO-PO-AGE共重合体は動 架橋されていてもよい。

 前記導電性エラストマー組成物において、 チレン系熱可塑性エラストマーとオレフィ 系樹脂の混合割合は、スチレン系熱可塑性 ラストマー100質量部に対してオレフィン系 脂が30~50質量部としている。架橋可能なゴ としてのEPDMは、前記スチレン系熱可塑性エ ストマーとオレフィン系樹脂の混合物100質 部に対して100~400質量部配合している。前記 樹脂架橋剤の配合量は、EPDM100質量部に対し 5~15質量部としている。
 イオン導電性導電剤からなる(B)成分は、導 性熱可塑性エラストマー組成物において体 分率で20~40%の割合で含んでいる。イオン導 性導電剤(B)の配合量はベースポリマー(A)100 量部に対し3~25質量部としている。前記金属 塩はイオン導電性導電剤の(B)成分全体を100質 量部とすると、10~25質量部の割合で配合して る。エチレン-アクリル酸エステル-無水マ イン酸共重合体(C)の配合量は、イオン導電 導電剤の(B)成分100質量部に対し3~30質量部、 ースポリマーの(A)成分100質量部に対し0.5~5 量部、ポリエステル系熱可塑性エラストマ (D)成分100質量部に対し10~40質量部としている 。

 導電性弾性層11を形成する導電性熱可塑 エラストマー組成物は、前記(A)~(D)成分以外 、軟化剤、炭酸カルシウムおよびカーボン ラック、所望により発泡剤を含む。

 前記導電性熱可塑性エラストマー組成物は 下の方法で製造している。
 まず、EPDMは予めペレットにしておき、該ペ レット状のEPDM、スチレン系熱可塑性エラス マー、オレフィン系樹脂、架橋剤、軟化剤 、温度200℃で混練し、ベースポリマーの(A) 分としての熱可塑性エラストマー組成物の レットを作製する。

 得られた熱可塑性エラストマー組成物か なる(A)成分のペレット、イオン導電性導電 からなる(B)成分、エチレン-アクリル酸エス テル-無水マレイン酸共重合体からなる(C)成 、ポリエステル系熱可塑性エラストマーか なる(D)成分、炭酸カルシウム、カーボンブ ックを温度200℃で混練し、導電性熱可塑性 ラストマー組成物のペレットを得る。

 こうして得られるペレット状の導電性熱 塑性エラストマー組成物を180~230℃の条件下 で単軸押出機を用いてチューブ状に押し出し 、中空部に金属製の芯金12を圧入するか、あ いは両者を接着剤で接合して固定すること より、芯金12と導電性弾性層11を備えた導電 性ローラを得ている。

 前記方法で製造した未だコーティング層13 備えていない導電性ローラは、印加電圧1000V におけるローラ抵抗値が10 5 ω~10 8 ω、導電性弾性層のみの厚さが1mm以上6mm以下 している。

 次に、前記表面処理液の導電性弾性層11 の表面処理方法、すなわち、コーティング 13の形成方法について説明する。

[コーティング層の形成方法]
 前述の方法で調製した表面処理液を入れた 漬槽に、芯金12とその外周に導電性弾性層11 を備えた導電性ローラを浸漬(ディッピング) た後、5mm/secで引き上げて、導電性弾性層11 表面に表面処理液を塗布する。
 ついで、表面処理液が塗布された導電性ロ ラを130℃以上200℃以下の温度に設定したオ ブン内で15~60分間加熱して表面処理液中の イソシアネート化合物を加熱硬化させ、導 性弾性層11の外周を覆う表面にコーティング 層13を形成している。
 なお、表面処理液において、多イソシアネ ト化合物としてブロック化されたものを用 た場合には、加熱硬化処理の後、さらに温 70~90℃、湿度25~50%の環境下で2~4時間加湿処 を行っている。該加湿処理により、ブロッ 化されているため未反応のまま残存してい イソシアネート基を水と反応させて、不活 化している。

 このようにして得られるコーティング層13 は、カーボンナノチューブが1.0質量%以上3.0 量%以下、多イソシアネート化合物の硬化物 が92.0質量%以上99.0質量%以下の割合で含まれ いる。
 コーティング層13の厚さは、5μm以上30μm以 である。

 このようにして形成された本実施形態の導 性ローラ10のコーティング層13には、カーボ ンナノチューブが均一分散しているので、導 電性に優れ、かつ、電気抵抗値の電圧依存性 及び抵抗ムラが極めて小さく、かつ、導電剤 のブリードが生じない。また、前記コーティ ング層13は、多イソシアネート化合物の硬化 をマトリクスとしているので耐久劣化が抑 され、鮮明な画像を長期に渡り得ることが きる。
 また、前記表面処理方法は、水を溶媒とし いるため、作業環境が著しく改善され、環 にも優しい導電性ローラ10とすることがで る。

 以下、前記第1実施形態の実施例及び比較 例について詳述する。

(実施例1~6,比較例1~4)
[導電性弾性層を備えた導電性ローラの作製]
 表1に記載の配合からなる導電性熱可塑性エ ラストマー組成物を用いてチューブ状の押出 成形物を作製し、これを芯金(シャフト)には 込んで、コーティング層を形成する基材と る導電性弾性層を備えた導電性ローラを作 した。

 具体的には、導電性ローラは下記の方法で 造した。
 ベースポリマー(A)として、スチレン系熱可 性エラストマー(SEEPS)とポリプロピレン樹脂 (PP)の混合物中に、EPDMを樹脂架橋剤により動 架橋して分散させている熱可塑性エラスト ー組成物を用いた。
 まず、EPDMは予めペレットにしておき、該ペ レット状のEPDM、スチレン系熱可塑性エラス マー(SEEPS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、架橋剤 、軟化剤を前記表1に記載の割合で配合し、 ンブラーにてドライブレンドを行ってから2 押出機(アイペック製「HTM38」)にて回転数200 rpm、温度200℃で混練し、熱可塑性エラストマ ー組成物のペレットを作製した。

 得られた熱可塑性エラストマー組成物の レット、炭酸カルシウム、カーボンブラッ 、相溶化剤であるエチレン-アクリル酸エス テル-無水マレイン酸共重合体(C)、イオン導 性導電剤(B)、ポリエステル系熱可塑性エラ トマー(TPEE)(D)を前記表1に記載の割合で配合 、タンブラーにてドライブレンドを行って ら2軸押出機(アイペック製「HTM38」)にて回 数200rpm、温度200℃で混練し、導電性熱可塑 エラストマー組成物のペレットを得た。

 得られた導電性熱可塑性エラストマー組成 のペレットを単軸押出機(サンエヌティー製 φ50押出機)を用いて、回転数20rpm、温度200℃ チューブ状に押し出し、外径12mm、内径5mmの 出成形物を得た。
 得られたチューブの中空部に直径6mmの芯金 挿入し、外径12mmとなるように研磨、カット して、導電性ローラを得た。
 なお、導電性弾性層を備えた表面処理前の 電性ローラは、後述する方法で測定した印 電圧500Vにおけるローラ抵抗値が1×10 6 ωであった。

 なお、使用した材料は下記の通りである。
 なお、EPDMについては100%油展EPDMを用いたが 油展EPDMの伸展油は表中の軟化剤の配合量に 算入し、EPDMの欄にはゴム成分のみの値で記 している。すなわち、表1において、EPDM100質 量部、軟化剤174質量部であるので、軟化剤174 質量部のうち油展EPDM由来の伸展油が100質量 であり、残りの74質量部が下記の市販の軟化 剤である。
・EPDM;住友化学(株)製「エスプレン670F(商品名 )」(パラフィンオイル100%油展)
・SEEPS;水素添加スチレン系熱可塑性エラスト マー((株)クラレ製「セプトン4077(商品名)」)
・PP ;ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム(株) 「ノバテックPP(商品名)」)
・架橋剤;ハロゲン化アルキルフェノール樹 架橋剤(田岡化学工業(株)製「タッキロール25 0-III(商品名)」)
・軟化剤;パラフィン系オイル(出光興産(株) 「ダイアナプロセスオイルPW-38
0(商品名)」)
・炭酸カルシウム ;白石カルシウム(株)製「B F300(商品名)」
・カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シ ースト3(商品名)」
・相溶化剤;エチレン-アクリル酸エステル-無 水マレイン酸共重合体(アルケマ(株)製「ボン ダインLX4110(商品名)」)
・導電剤;EO-PO-AGE共重合体(日本ゼオン(株)製 ZSN8030(商品名)」):トリフルオロメタンスルホ ン酸リチウム(三光化学(株)製)=9:1(質量比)
・TPEE:ポリエステル系熱可塑性エラストマー( 東レ・デュポン(株)製「ハイトレル3078(商品 )」)

 次に、下記表2,3に示す配合割合で、実施 、比較例の表面処理液を調製した。

[表面処理剤の調製]
(実施例1~6)
 カーボンナノチューブ分散液(CNT分散液)は め水にカーボンナノチューブが分散した下 に示す市販品を用いた。
 多イソシアネート化合物を含む主剤、水を 合する場合は水と主剤を混合したのち、添 剤を混合し、その後CNT分散液を配合して、 ターラーで攪拌混合して、表面処理液を調 した。
(比較例1~4)
 CNT分散液の代わりに、比較例1,2,4では導電 カーボン分散液を配合し、比較例3ではイオ 性導電付与剤を配合して、表面処理液を調 した。

 表2,表3において、具体的には下記製品を用 た。
・主剤1;イソシアネート(親水性基含有ヘキサ メチレンジイソシアネートのイソシアヌレー ト体、ブロック化されていない)(住化バイエ ウレタン(株)製「バイヒジュール3100(商品名 )」)
・主剤2;ブロック化イソシアネート:日本ポリ ウレタン工業(株)製「AQB102(商品名)」
・主剤3;ブロック化イソシアネート(オキシム でブロック化された親水性基含有トリレンジ イソシアネート):三井化学(株)製「タケネー WB‐700(商品名)」
・添加剤1(湿潤剤);共栄社化学(株)製「ポリフ ローKL-510(商品名)」
・添加剤2(消泡剤);日信化学工業(株)製「サー フィノール104E(商品名)」
・添加剤3(分散剤);花王(株)製「ペレックスOT- P(商品名)」
・水;精製水
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液1;(株)ジェ ムコ製「CNF-T/水 5%分散液」(酸化処理タイプ カーボンナノチューブ5質量%含有、分散溶 :水系、配合されているカーボンナノチュー 粉末の体積抵抗値4.0×10 -2 ω・cm、直径10~20nm、長さ0.1~10μm)
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液2;(株)ジェ ムコ製「CNF-T/水 3%分散液」(界面活性剤使用 イプ、カーボンナノチューブ3質量%含有、 散溶媒:水系、配合されているカーボンナノ ューブ粉末の体積抵抗値4.0×10 -2 ω・cm、直径10~20nm、長さ0.1~10μm)
・導電性カーボン分散液;ライオン(株)製「ラ イオンペーストW-311N(商品名)」(カーボンブラ ック16.5質量%分散液)
・イオン導電性付与剤;日本カートリット(株) 製「PEL-20A(商品名)」

 先に作製した導電性ローラの導電性弾性層 外表面に、前記表2,3に示す配合の表面処理 をディッピングにより塗布した後,表2,3に示 す処理条件で加熱硬化、及び加湿処理を行い 、実施例、比較例の導電性ローラを作製した 。
 得られた導電性ローラのコーティング層の みは10~20μmであった。
 なお、加熱処理は150℃に設定したオーブン で行い、加湿処理は表2,3に記載の温湿度に 整した恒温恒湿室に放置して行った。

 得られた実施例、比較例の導電性ローラ ついて以下の試験を行い、結果を表2,3に示 た。

 (初期ローラ抵抗値及び抵抗ムラ)
 温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図2に示 ように、芯金12を通した導電性ローラ10のロ ーラ部14をφ30のアルミドラム15上に当接搭載 、電源16の+側に接続した内部抵抗r(100ω~10kω )の導線の先端をアルミドラム15の一端面に接 続すると共に電源16の-側に接続した導線の先 端を芯金12の一端面に接続して通電を行った 芯金12の両端部に450gずつの荷重をかけ、芯 12とアルミドラム15間に100Vあるいは500Vの電 をかけながらアルミドラム15を40rpmで回転さ せることで間接的に導電性ローラ10を回転さ た。このとき周方向に36回抵抗測定を行い その平均値を求めると共に、最大値と最小 の差異から抵抗ムラを求めた。内部抵抗の は、ローラの抵抗値のレベルに合わせ、測 値の有効数字が極力大きくなるように調節 た。
 図2の装置で、印加電圧をEとすると、ロー 抵抗値RはR=r×E/V-rとなるが、今回-rの項は微 とみなし、R=r×E/Vとし、内部抵抗rにかかる 出電圧Vよりローラ抵抗値Rを算出した。表 には、ローラ抵抗値の平均値の常用対数値(l og 10 R)で示している。
 さらに、100Vにおけるローラ抵抗値と500Vに けるローラ抵抗値の差(100Vのロール抵抗-500V ロール抵抗)を求めた。

 100V、500Vにおけるローラ抵抗値は、10 5 ω以上10 8 ω以下の範囲が特に好ましい。
 ローラ抵抗値の抵抗ムラは小さいほど良く 100V、500Vの各電圧において、それぞれ1.5以 であれば問題がないレベルである。
 また、100Vにおけるローラ抵抗値と500Vにお るローラ抵抗値の差も小さいほど良く、1.0 下であれば問題ないレベルである。

 (通紙耐久性試験)
 図3に示す構造の市販のプリンター((株)沖デ ータ製「C5900dn(商品名)」)の付属トナーカー リッジ(マゼンダ)40内の帯電ローラ31を、各 施例および比較例の導電性ローラに組み替 て装着し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で 20000枚通紙して印刷(絵出し)試験を行った。
 通紙耐久性試験後の導電性ローラについて 初期のローラ抵抗及び抵抗ムラと同様の方 で、ローラ抵抗及び抵抗ムラ(100V、500V)を測 定した。
 また、20000枚印刷後の20001枚目に得られた印 刷物について、印刷濃度、印刷ムラ、白抜け 、画像の鮮明さ等を目視にて確認した。

 前記図3の市販プリンターにおいて、帯電ロ ーラ31は、感光体ドラム32、現像ローラ33等と 共にトナーカートリッジ40内に組み込まれて ると共に、転写ローラ30は、プリンター内 組み込まれており、次の工程で印刷が行わ る。
 感光体ドラム32が図中矢印Xの方向に回転し 帯電ローラ31によって感光体ドラム32が帯電 される。その後、レーザー37が感光体ドラム3 2の非画線部を露光して除電され、画線部に 当する部分が帯電した状態になる。次に、 像ローラ33により供給されたトナー(図示せ )が感光体ドラム32の帯電画線部に付着して ナー像が形成され、該トナー像は転写ロー 30に電界が印加されることにより、図中矢印 Y方向に搬送される紙34に転写される。

 (保存試験)
 図3に示すトナーカートリッジの帯電ローラ 31として実施例及び比較例の導電性ローラを み込み、温度50℃、湿度55%にて30日間保管し た。その後、帯電ローラ31と感光体ドラム32 貼り付いているか否かを観察したのち、印 (絵出し)試験を行い、得られた印刷物につい て、印刷濃度、印刷ムラ、白抜け、画像の鮮 明さ等を目視にて観察した。

 表2,3に示されるように、コーティング層の 電剤として導電性カーボンブラックを含有 る比較例1,2,4の導電性ローラは、初期及び 紙耐久試験後のいずれにおいても100Vにおけ 抵抗ムラが10の4.6乗ω以上と極めて大きく、 さらに100Vと500Vの電気抵抗値の差も10の1.8乗ω 以上と大きく、通紙耐久試験後の印刷画像に 白抜けが多数発生した。さらに、保存試験後 の印刷試験においても画像にモヤが発生し、 鮮明な印刷画像が得られなかった。
 また、コーティング層の導電剤としてイオ 性導電性付与剤を用いた比較例3の導電性ロ ーラは、初期及び通紙耐久試験後のローラ抵 抗値及び印刷画像には問題はないものの、保 存試験後には感光体への貼り付きがみられ、 印刷画像には横スジが多数発生した。

 これに対して、コーティング層の導電剤と てカーボンナノチューブを配合した実施例1 ~6の導電性ローラは、初期及び通紙耐久試験 のいずれにおいても100V、500V共にローラ抵 値が適切な範囲で、かつ、抵抗ムラが小さ った。さらに、通紙耐久試験後においても10 0Vと500Vの抵抗差が10の1.0乗ω以下と極めて小 く、電気抵抗値の電圧依存性が小さいため 良好な印刷画像が得られた。
 また、保存試験後においても感光体への貼 付きもなく、鮮明な印刷画像が得られた。
 このように、実施例1~6の導電性ローラは、 久劣化性を有効に防止しながら、長期に渡 良好な帯電特性及び保存性を維持し、印刷 性に極めて優れていた。

 次に、第2実施形態の紙送りローラとする導 電性ローラについて説明する。
 第2実施形態の導電性ローラは、図1に示す 1実施形態の導電性ローラ10とコーティング 13の組成を変えているだけで、他の構成は同 様であるため、図示を省略し、各部分につい ては同一符号を付して説明する。
 第2実施形態のコーティング層13は、ポリオ ル化合物とイソシアネート化合物とを熱硬 して得られるポリウレタン樹脂中にカーボ ナノチューブが均一分散されてなる。

 コーティング層13は、ポリオール化合物と ソシアネート化合物及び/または該ポリオー 化合物とイソシアネート化合物との反応物 含む媒体中に、カーボンナノチューブが分 している表面処理液を、導電性弾性層11の 面に塗布した後に、加熱硬化処理を行うこ により形成している。
 ポリオール化合物とイソシアネート化合物 該ポリオール化合物とイソシアネート化合 との反応物は、媒体中に分散及び/または溶 解して存在している。

 コーティング層13を形成する表面処理液 調製方法についても、カーボンナノチュー を水に分散させたカーボンナノチューブ分 液(A)と、ポリオール化合物とイソシアネー 化合物とを水に分散及び/または溶解させた (B)を個別に調製したのち、両者を混合する とにより得ており、前記(A)のカーボンナノ ューブ分散液は第1実施形態と同様に調製し ているため説明を省略する。

 前記(B)のポリオール化合物とイソシアネー 化合物を水に分散及び/または溶解させた液 は、以下のように調製している。
 ポリオール化合物としてアクリルポリオー 類、ウレタンポリオール類を用い、イソシ ネート化合物として脂肪族及び/または脂環 族ジイソシアネートにポリエーテル、カルボ ン酸塩、スルホン酸塩等の親水性基が導入さ れたイソシアネート化合物を用い、これらを 水に分散及び/または溶解させて調製してい 。詳細には、例えば、カルボン酸のアンモ ウム塩が導入されたヘキサメチレンジイソ アネートのイソシアヌレート体等を用いて る。

 さらに、前記多イソシアネート化合物の ソシアネート基は、オキシム類、β-ジケト 類あるいはε-カプロラクタム類でブロック されていてもよい。このようにイソシアネ ト基がブロック化されている多イソシアネ ト化合物を用いた表面処理液は、イソシア ート基の反応性が抑えられるので貯蔵安定 に極めて優れる。

 ついで、先に調製したカーボンナノチュー 分散液と、ポリオール化合物とイソシアネ ト化合物が分散した液を混合して、本実施 態の表面処理液を調製している。
 本発明の効果を妨げない限りにおいて、所 により、表面処理液に導電性カーボンブラ ク、滑剤等を混合している。滑剤を配合す 場合、その配合量は表面処理液中に5~20質量 %の範囲から選択している。
 このようにして得られた表面処理液には、 ーボンナノチューブが0.3質量%以上1.2質量% 下の割合で含まれる。
 本実施形態では、前記配合順序で表面処理 を調製したが、カーボンナノチューブ、ポ ポール化合物、イソシアネート化合物が媒 中に均一に存在すれば前記配合順序に限定 れない。

 前記コーティング層13を設ける導電性弾 層11およびその製造方法は第1実施形態と同 であるため説明を省略する。

 前記表面処理液の導電性弾性層11への表面 理方法、すなわち、コーティング層13の形成 方法も第1実施形態と略同様である。
 [コーティング層の形成方法]
 前述の方法で調製した表面処理液を入れた 漬槽に、芯金12とその外周に導電性弾性層11 を備えた導電性ローラを浸漬(ディッピング) た後、5mm/secで引き上げて、導電性弾性層11 表面に表面処理液を塗布する。
 ついで、表面処理液が塗布された導電性ロ ラを130℃以上200℃以下の温度に設定したオ ブン内で10~60分間加熱して表面処理液中の リオール化合物とイソシアネート化合物と 反応・硬化させてポリウレタン樹脂をマト クス樹脂とするコーティング層13を形成して いる。

 このようにして得られるコーティング層13 は、カーボンナノチューブが1.0質量%以上3.0 量%以下、ポリオール化合物とイソシアネー ト化合物の反応で得られたポリウレタン樹脂 が92.0質量%以上99.0質量%以下の割合で含まれ いる。
 コーティング層13の厚さは、5μm以上30μm以 である。

 前記第2実施形態の導電性ローラ10のコーテ ング層13には、カーボンナノチューブが均 分散しているので、導電性に優れ、かつ、 気抵抗値の電圧依存性及び抵抗ムラが極め 小さく、かつ、導電剤のブリードが生じな 。また、前記コーティング層13は、ポリオー ル化合物とイソシアネート化合物との加熱硬 化反応により得られたポリウレタン樹脂をマ トリクスとしているので耐久劣化が抑制され 、鮮明な画像を長期に渡り得ることができる 。
 また、前記表面処理方法は、水を溶媒とし いるため、作業環境が著しく改善され、環 にも優しい導電性ローラ10とすることがで る。

 以下、第2実施形態の実施例及び比較例に ついて詳述する。

(実施例7~11,比較例5~8)
[導電性弾性層を備えた導電性ローラの作製]
 表4に記載の配合からなる導電性熱可塑性エ ラストマー組成物を用いてチューブ状の押出 成形物を作製し、これを芯金(シャフト)には 込んで、コーティング層を形成する基材と る導電性弾性層を備えた導電性ローラを作 した。

 導電性弾性層11の製造方法および使用し 成分は第1実施形態と同一であるため、説明 省略する。

 次に、下記表5,6に示す配合割合で、実施 、比較例の表面処理液を調製した。

[表面処理剤の調製]
(実施例7~11)
 カーボンナノチューブ分散液(CNT分散液)は め水にカーボンナノチューブが分散した下 に示す市販品を用いた。
 ポリオール化合物(主剤)、水を配合する場 は水とイソシアネート化合物(硬化剤)を混合 したのち、添加剤、滑剤、CNT分散液の順に配 合し、スターラーで攪拌混合して表面処理液 を調製した。
(比較例5~8)
 CNT分散液の代わりに、比較例5,6,8では導電 カーボン分散液を配合し、比較例7ではイオ 性導電付与剤を配合して、表面処理液を調 した。

 表5,表6において、具体的には下記製品を用 た。
・主剤1;水酸基含有アクリル樹脂(アクリルポ リオール):住化バイエルウレタン(株)製「バ ヒドロールVPLS2058(商品名)」
・主剤2;水酸基含有ポリウレタン樹脂(ウレタ ンポリオール):住化バイエルウレタン(株)製 バイヒドロールPT241(商品名)」
・硬化剤1;イソシアネート化合物(親水性基含 有ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシ アヌレート体、ブロック化されていない):住 バイエルウレタン(株)製「バイヒジュール31 00(商品名)」
・硬化剤2;ブロック化イソシアネート化合物( オキシムでブロック化された親水性基含有ト リレンジイソシアネート):三井化学(株)製「 ケネートWB‐700(商品名)」
・添加剤1;湿潤剤:共栄社化学(株)製「ポリフ ーKL-510(商品名)」
・添加剤2;消泡剤:日信化学工業(株)製「サー ィノール104E(商品名)」
・添加剤3;分散剤:花王(株)製「ペレックスOT-P (商品名)」
・水;精製水
・滑剤;豊田通商(株)製 ポリエチレン粉末「A cumistB-6(商品名)」
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液1;(株)ジェ ムコ製「CNF-T/水 5%分散液」(酸化処理タイプ カーボンナノチューブ5質量%含有、分散溶 :水系、配合されているカーボンナノチュー 粉末の体積抵抗値4.0×10 -2 ω・cm、直径10~20nm、長さ0.1~10μm)
・カーボンナノチューブ(CNT)分散液2;(株)ジェ ムコ製「CNF-T/水 3%分散液」(界面活性剤使用 イプ、カーボンナノチューブ3質量%含有、 散溶媒:水系、配合されているカーボンナノ ューブ粉末の体積抵抗値4.0×10 -2 ω・cm、直径10~20nm、長さ0.1~10μm)
・導電性カーボン分散液;ライオン(株)製「ラ イオンペーストW-311N(商品名)」(カーボンブラ ック16.5質量%分散液)
・イオン導電性付与剤;日本カートリット(株) 製「PEL-20A(商品名)」

 先に作製した導電性ローラの導電性弾性層 外表面に、前記表5,6に示す配合の表面処理 をディッピングにより塗布した後,表5,6に示 す処理条件で加熱硬化処理を行い、実施例、 比較例の導電性ローラを作製した。
 得られた導電性ローラのコーティング層の みは10~20μmであった。
 なお、加熱処理は130℃に設定したオーブン で行った。

 得られた実施例、比較例の導電性ローラ ついて、第1実施形態の実施例、比較例と同 様な試験(初期ローラ抵抗値及び抵抗ムラ、 紙耐久性試験、保存試験)を行い、結果を表5 ,6に示した。

 表5,6に示されるように、コーティング層の 電剤として導電性カーボンブラックのみを 有する比較例5,6,8の導電性ローラは、初期 び通紙耐久試験後のいずれにおいても100Vに ける抵抗ムラが10の4.9乗ω以上と極めて大き く、さらに100Vと500Vの電気抵抗値の差も10の1. 8乗ω以上と大きく、通紙耐久試験後の印刷画 像に白抜けが多数発生した。さらに、保存試 験後の印刷試験においても画像にモヤが発生 し、鮮明な印刷画像が得られなかった。
 また、コーティング層の導電剤としてイオ 性導電性付与剤を用いた比較例7の導電性ロ ーラは、初期及び通紙耐久試験後のローラ抵 抗値及び印刷画像には問題はないものの、保 存試験後には感光体への貼り付きがみられ、 印刷画像には横スジが多数発生した。

 これに対して、コーティング層の導電剤と てカーボンナノチューブを配合した実施例7 ~11の導電性ローラは、初期及び通紙耐久試験 後のいずれにおいても100V、500V共にローラ抵 値が適切な範囲で、かつ、抵抗ムラが小さ った。さらに、通紙耐久試験後においても1 00Vと500Vの抵抗差が10の1.0乗ω以下と極めて小 く、電気抵抗値の電圧依存性が小さいため 良好な印刷画像が得られた。
 また、保存試験後においても感光体への貼 付きもなく、鮮明な印刷画像が得られた。
 このように、実施例1~5の導電性ローラは、 久劣化性を有効に防止しながら、長期に渡 良好な帯電特性及び保存性を維持し、印刷 性に極めて優れていた。




 
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