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Patent Searching and Data


Title:
SMALL DIAMETER ROLLING BALL BEARING AND FIXING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099819
Kind Code:
A1
Abstract:
A small diameter rolling ball bearing which can take a wide tolerance range for misalignment, can prolong the bearing life by suppressing damage to the bearing in the early stage, and is employed in such a device that bearing fixing error cannot be reduced due to the structure of a device such as a business machine. A fixing device employing it is also provided. A plurality of balls (4) are arranged between the tracks of an inner ring (2) and an outer ring (3) formed of bearing steel, respectively, the inner ring is fitted to a shaft of a single diameter, the inner diameter surface of the inner ring has a convex spherical shape along the axial direction and its cross-section in the axial direction has a single arcuate shape, and the radius of the arc is 0.5-50 times the diameter of the ball (4). In such a small diameter rolling ball bearing, the gap between the inner and outer rings is filled with grease (7), and the inner ring has the inside diameter of 4-50 mm, the shaft of the rotary member in the fixing device being supported by this bearing.

Inventors:
HONDA MASAAKI
Application Number:
PCT/JP2008/052285
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
February 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
HONDA MASAAKI
International Classes:
F16C23/08; F16C33/58; F16C33/66; G03G15/20
Foreign References:
JPH10159844A1998-06-16
JP2001254733A2001-09-21
JPH0632741U1994-04-28
JP2000205279A2000-07-25
JPH0988995A1997-03-31
JP2000275994A2000-10-06
Attorney, Agent or Firm:
WAKI, Misao (Toin-cho Inabe-gu, Mie 33, JP)
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Claims:
 それぞれ軸受鋼で形成された内輪および外輪の軌道面間に複数の玉が配列され、前記内輪が単一径の軸に嵌合する小径転がり玉軸受であって、
 前記内輪の内径面は、軸方向に沿う凸球面状で、かつ軸方向断面が単一円弧状であり、該円弧の半径は前記玉の直径の 0.5~50 倍であることを特徴とする小径転がり玉軸受。
 前記内輪および外輪間にグリースが封入されてなることを特徴とする請求項1記載の小径転がり玉軸受。
 前記内輪の内径が 4 mm~50 mm であることを特徴とする請求項1記載の小径転がり玉軸受。
 前記内輪の内径面は、低摩擦摺動性を有する被膜が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の小径転がり玉軸受。
 前記被膜は、厚みが 2~10μm であることを特徴とする請求項4記載の小径転がり玉軸受。
 前記被膜と前記単一径の軸との動摩擦係数が 0.2 以下であることを特徴とする請求項4記載の小径転がり玉軸受。
 前記被膜は、ポリテトラフルオロエチレン被膜、二硫化モリブデン被膜、または二硫化タングステン被膜であることを特徴とする請求項4記載の小径転がり玉軸受。
 前記被膜は、導電性を有する被膜であることを特徴とする請求項4記載の小径転がり玉軸受。
 前記被膜は、ニッケル-ポリテトラフルオロエチレン複合被膜、またはグラファイト被膜であることを特徴とする請求項8記載の小径転がり玉軸受。
 内輪と外輪の軌道面間に複数の玉が配列された転がり玉軸受によって回転部材を回転自在に支持してなる定着装置であって、
 前記転がり玉軸受は請求項1記載の小径転がり玉軸受であり、前記回転部材の単一径の軸部が前記小径転がり玉軸受の内輪内径に嵌合されることを特徴とする定着装置。
 前記回転部材が、印刷用紙にトナーを定着させるための、ヒータが内蔵された定着ローラであることを特徴とする請求項10記載の定着装置。
 前記回転部材の軸部は、前記小径転がり玉軸受の内輪内径にすきま嵌めで嵌合されることを特徴とする請求項10記載の定着装置。
Description:
小径転がり玉軸受および定着装

 本発明は、小径転がり玉軸受に関し、特 軸にベンディングが発生しても内径面と軸 の間で調心されるためミスアライメントを 収できる小径転がり玉軸受、この軸受を用 た定着装置に関する。

 調心性を有する転がり軸受としては、内 と外輪の間に円筒状のころが挿入され、外 の外径面の少なくとも端部が、軸受中心か の距離よりも大きい半径の球面に形成され 外径面に外輪の外表面が略円筒形となるよ 、外輪よりも変形し易い弾性素材がコーテ ングされている、圧延ロールのような高負 の回転体を支持する円筒ころ軸受が知られ いる(特許文献1参照)。

 一方、複写機やプリンタ等の事務機器の 着部に使用される定着ローラや加圧ローラ の回転部材では、高温、高荷重のためベン ィング(湾曲・撓み)によるミスアライメン が発生する。従来、事務機器の定着ローラ 持用転がり軸受において、内輪の内径を軸 向に沿うテーパ状または球面状などの凸曲 部とすることにより、定着ローラの撓みに るミスアライメントを十分に吸収し、定着 ーラの軸端部に発生する摩耗を抑制するこ ができる円筒ころ軸受が知られている(特許 献2参照)。

 また、軸に取付けられる内輪と、ハウジ グに取付けられる外輪とを備えこれら内輪 外輪とのうち少なくとも一方が他方に対し 対的に回転する転がり軸受において、内輪 内周面と外輪の外周面とのうち少なくとも 方が断面単一円弧状すなわち球面状の湾曲 に形成されているとともに、湾曲面と略等 い曲率半径を有して接する湾曲合致面を有 、かつ主としてゴムあるいは樹脂からなる ともに、湾曲面に沿って内輪及び外輪に対 相対的に摺動・回転自在に取付けられたリ グ部材を備えた転がり軸受が知られている( 特許文献3参照)。

 事務機器では、小型化や構造簡略化等に る組み立て性の問題から、軸と軸受とが通 はすきま嵌めであるため、回転部材の軸受 よる支持箇所では、軸が傾くことで軸受も き、最悪は転動体が内輪外径面に乗り上げ 破損してしまう場合がある。また、図7に示 すように、軸11がベンディングした場合には 内輪12のエッジ部と軸とが当たるため、面 が高くなる。定着ローラなどの軸材質には アルミ、鉄(焼入れなし)等、軸受材質よりも 硬度の低い材質が使用されるため、軸の摩耗 が加速される場合がある。また。使用条件に よっては、すきま嵌めで嵌合される軸と軌道 輪間にクリープが発生し、これによる軸の摩 耗が発生する。

 また、事務機器において回転部材の軸部 軸受とのすきま嵌めが原因で、印刷時など 嵌め合い部において鳴き音(コツコツ音)等 異音が発生するという問題がある。特に近 において、定着装置の定着部は、印刷スピ ドが高速化、高画質化する中で、より早く ナーを紙に定着させる機能と高品位での印 が要求されている。高速化に伴い温度を上 て紙への定着スピードを上げるため、必然 に周囲温度(軸受も)が上昇する。また、装置 の使用期間も延びたことから、これに使用さ れる軸受には高温長寿命が要求されている。 このような定着部および軸受の温度上昇に伴 い、嵌め合い部での異音がより発生しやすく なっている。

 従来は、嵌め合い部へのグリース塗布や、 への圧入により上記のクリープや異音の発 の防止を図っている。
 しかしながら、クリープや異音を防止する めに、回転部材の軸部を軸受に圧入する場 では、締まり嵌めのため異音防止等に効果 あるが、組み立て作業性が著しく低下する いう問題がある。これに対し、嵌め合い部 グリースを塗布する場合では、組み立て作 性はそれほど低下しないが、定着部は高温 なるためにグリースの経時劣化(油分減少、 枯渇)により時間経過とともに異音やクリー が発生するという問題がある。また、塗布 のばらつきによる嵌め合い面の潤滑性のば つきや、塗布したグリースが周囲へ飛散し 周辺部位を汚染するおそれ等がある。

 特許文献1または特許文献2のような円筒 ろ軸受では、つば部の強度確保のため凸曲 部の局率半径Rを小さくできない。また、調 時は荷重点が変化するため、ころに働く荷 分布も変化する。例えば、内部隙間が大き 場合には、ころが隙間分傾いてしまい、こ と軌道面の接触面積が小さくなり局部的に 触面圧が大きくなる場合がある。このため 円筒ころ軸受では、軸受にミスアライメン が働く箇所で軸受の早期破損が生じやすい また、ミスアライメントに対して許容範囲 広くとることできないという問題がある。 えば、ミスアライメントを吸収するための 心角度は 10 度程度以下である。また、円 ころのため、回転トルクが玉軸受よりも大 く、より多くの駆動力が必要となる。また 内径面には被膜等を形成していないため、 述のようにクリープによる軸摩耗発生の懸 がある。

 また、特許文献3に示すような従来の転がり 軸受の場合、リング部材等、取り付け誤差や ミスアライメントを防止するために部品点数 が増えるという問題がある。例えば、内輪の 内径が 4 mm~50 mm の小径転がり玉軸受の場 、事務機器などの部品として使用されるが 構造材に板金を使用するため寸法精度や公 の積み重ねにより軸受取り付け位置精度が い場合がある。このため、軸受にミスアラ メントが発生し、軸受の早期破損に繋がる それがあり、上記した樹脂リングを必要と る。このリングは、樹脂であるためにクリ プ、摩耗の懸念がある。
 また、小型軽量化されている事務機器など 組み立てるときに、軸受部の軸挿入性を改 するため、通常軸受には面取りがされてい が、挿入時に軸受が傾いてしまうと、軸と 受内径面にかじりが生じて挿入困難となっ しまうという問題がある。

特開2002-276652号公報

特開2003-43849号公報

特開2000-249142号公報

 本発明はこのような問題に対処するため なされたものであり、ミスアライメントに して許容範囲を広くとることができ、軸受 早期破損を抑え軸受寿命を長くでき、事務 など装置の構造上、軸受取り付け誤差を小 くすることができない装置に用いられる小 転がり玉軸受、およびそれを用いた定着装 の提供を目的とする。

 本発明の小径転がり玉軸受は、それぞれ軸 鋼で形成された内輪および外輪の軌道面間 複数の玉が配列され、上記内輪が単一径の に嵌合する小径転がり玉軸受であって、上 内輪の内径面は、軸方向に沿う凸球面状で かつ軸方向断面が単一円弧状であり、該円 の半径は上記玉の直径の 0.5~50 倍であるこ とを特徴とする。
 また、上記内輪および外輪間にグリースが 入されてなることを特徴とする。
 また、上記内輪の内径が 4 mm~50 mm である ことを特徴とする。

 上記内輪の内径面は、低摩擦摺動性を有す 被膜が形成されてなることを特徴とする。
 また、上記被膜は、厚みが 2~10μm であり 上記被膜と上記単一径の軸との動摩擦係数  0.2 以下であることを特徴とする。

 上記被膜は、ポリテトラフルオロエチレン( 以下、PTFEと記す)被膜、二硫化モリブデン(以 下、MoS 2 と記す)被膜、または二硫化タングステン(以 、WS 2 と記す)被膜であることを特徴とする。

 上記被膜は、導電性を有する被膜である とを特徴とする。該被膜は、ニッケル-ポリ テトラフルオロエチレン(以下、Ni-PTFEと記す) 複合被膜、またはグラファイト被膜であるこ とを特徴とする。

 本発明の定着装置は、内輪と外輪の軌道面 に複数の玉が配列された転がり玉軸受によ て回転部材を回転自在に支持してなる定着 置であって、上記転がり玉軸受は上記小径 がり玉軸受であり、上記回転部材の単一径 軸部が上記小径転がり玉軸受の内輪内径に 合されることを特徴とする。
 また、上記回転部材が、印刷用紙にトナー 定着させるための、ヒータが内蔵された定 ローラであることを特徴とする。
 また、上記回転部材の軸部は、上記小径転 り玉軸受の内輪内径にすきま嵌めで嵌合さ ることを特徴とする。

 本発明の小径転がり玉軸受は、内輪の内 面が軸方向に沿う凸球面状で、かつ軸方向 面が所定半径を有する単一円弧状であると もに、転がり玉軸受であるので軌道面の曲 が一定であり内輪が傾いても玉と軌道面の 触面積は変化しない。このため、小径転が 玉軸受であっても調心性を大きく持たせる とができる。その結果、軸のベンディング たは取り付け誤差により発生するミスアラ メントに対して許容範囲を広く取ることが きる。

 また、内輪の内径面が軸方向に沿う凸球 状であるので、内径入り口付近は大径とな 、また、軸受の傾きに依らず内径は一定で る。このため、単一径の軸に嵌合する小径 がり玉軸受であっても軸の挿入性が向上し 軸受が傾いてもその挿入性に変化がない。

 さらに円筒ころ軸受に比較して、内輪お び外輪間にグリースを比較的多く封入する とができるので、軸受寿命を延ばすことが きる。そのため、小径転がり玉軸受の寿命 律速となる事務機などの部品交換サイクル 長くすることができる。

 本発明の定着装置は、回転部材の単一径の 部が嵌合される転がり玉軸受の内輪内径面 、軸方向に沿う凸球面状で、軸方向断面が 一円弧状であるので、調心性を大きく持た ることができ、運転時に回転部材が撓んで 、撓んだ形状に軸受の内輪内径面が追随で る。また、取り付け誤差で発生するミスア イメントも吸収できる。加えて、内輪内径 に低摩擦摺動性を有する被膜を形成するこ で、クリープによる軸の摩耗を防止または 減できる。
 これらの結果、軸受の早期損傷、軸の摩耗 および、運転時の異音等を防止できる。同 に、従来行なっていたグリース塗布、シャ トへの圧入等のクリープ防止対策の廃止に 献できる。

 上記被膜を、PTFE被膜、MoS 2  被膜、またはWS 2  被膜とすることで、酸化膜などと比較して め合い面における動摩擦係数が小さくクリ プや異音が発生しにくい。
 また上記被膜を、Ni-PTFE複合被膜やグラファ イト被膜等の導電性を有する被膜とすること で、軸受内に導電性を有するグリースを封入 すれば、軸受に導電性を付与でき、定着装置 において別途の接地手段を不要とできる。

 また、内輪の内径面が軸方向に沿う凸球 状であるので、内径入り口付近は大径とな 、また、軸受の傾きに依らず内径は一定で る。このため、軸受が傾いてもその挿入性 変化がなく、軸受取り付け誤差を無視でき 定着装置が設計可能であり、軸受の製作、 り付け作業の効率が向上する。

本発明の小径転がり玉軸受の一例であ 深溝玉軸受の断面図である。 本発明の小径転がり玉軸受の他の例で るアンギュラ玉軸受の断面図である。 本発明の小径転がり玉軸受の他の例で る複列アンギュラ玉軸受の断面図である。 図1の小径転がり玉軸受の内輪内径面に 被膜を形成した軸受の断面図である。 図4の小径転がり玉軸受を使用した複写 機の定着ローラを示す縦断面図である。 本発明の定着装置に用いる転がり玉軸 において軸のベンディング発生時を示す断 図である。 従来の転がり玉軸受において軸のベン ィング発生時を示す断面図である。 異音が発生する機構を説明する図であ 。

符号の説明

  1  深溝玉軸受
  2  内輪
  3  外輪
  4  玉
  5  保持器
  6  シール部材
  7  潤滑グリース
  8  定着ローラ(回転部材)
  8a 軸部
  9  電磁誘導加熱ヒータ
 10  フレーム

 本発明の小径転がり玉軸受の一例として、 溝玉軸受を図1に基づいて説明する。図1は 溝玉軸受の軸方向断面図である。
 深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有 る内輪2と、内周面に外輪転走面3aを有する 輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外 転走面3aとの間に複数個の玉4が配置される この複数個の玉4を保持する保持器5および 輪3等に固定されるシール部材6が、内輪2お び外輪3の軸方向両端開口部にそれぞれ設け れている。玉4の周囲に潤滑グリース7が封 される。
 深溝玉軸受1における内輪転走面2aは、図1に 示すように曲率が一定であることから、内輪 2が傾いても玉4との接触面積は変化しない。 のため、局部的な接触面圧の増加を防止で 、軸受の早期損傷の防止およびミスアライ ントに対しての許容範囲の拡大を図れる。

 内輪2の内径面2bは、軸方向に沿う凸球面状 、かつ軸方向断面が単一円弧状である。す わち、軸方向幅中心部が両端部よりも軸に して突出した球面である。
 内径面2bは、図1における玉4の中心C 0  を通る線分L上に存在する点C 1  を中心にする円弧の一部を形成する。上記 弧の半径は、玉4の直径の 0.5~50 倍径が好 しく、特に好ましくは 10~20 倍径である。 の範囲外となると、いずれも調心角度が大 くなったり、小さくなったりして、事務機 用の小径転がり玉軸受として用いることや 転部材を安定して支持することが困難にな 。
 具体的には、半径を上記範囲とすると、調 角度を 10 度~20 度とできる。調心角度が  10 度未満であると、事務機器や定着装置等 おいて転がり軸受を設置する部位が構造材 板金を用いた寸法精度に劣る部位である場 、十分にミスアライメントを吸収すること できない。

 上記内輪の内径は 4 mm~50 mm、好ましく  4 mm~30 mm である。なお、内輪の内径は軸 向断面において、単一円弧状の頂点同士の 離を表す。また、内輪の内径が上記範囲の き、玉の直径は 2 mm~10 mm 程度である。

 上記内輪に嵌合する軸は単一径の軸であ 。すなわち、内径が 4 mm~50 mm の内輪に嵌 合できる直円柱または直円筒状の軸である。 単一径の軸であっても、運転開始と同時に軸 受内径面と軸との間で調心されるためミスア ライメントが吸収できる。

 小径転がり玉軸受の他の例として、アンギ ラ玉軸受の例を図2に、複列アンギュラ玉軸 受の例を図3にそれぞれ示す。図2はアンギュ 玉軸受1aの軸方向断面図を、図3は複列アン ュラ玉軸受1bの軸方向断面図をそれぞれ示 。図1と同じ部品は同じ番号を附す。
 深溝玉軸受の例と同様に、内輪2の内径面2b 軸方向に沿う凸球面状で、かつ軸方向断面 単一円弧状に形成されている。
 なお、複列アンギュラ玉軸受の場合、図3に おいて、2個の玉4の中心線L上に円弧の頂点が ある。

 本発明の小径転がり玉軸受の内・外輪の 質としては、周知の軸受用金属材料を用い ことができる。具体例としては、軸受鋼(高 炭素クロム軸受鋼JIS G 4805)、肌焼鋼(JIS G 41 04等)、高速度鋼(AMS 6490)、ステンレス鋼(JIS G  4303)、高周波焼入鋼(JIS G 4051等)が挙げられ る。また、他の軸受用合金を採用することも できる。また、玉は上記金属製、またはセラ ミック製であってもよい。

 本発明の小径転がり玉軸受は、事務機器に に用いられるため、圧延ロールのような高 荷の回転体を支持する円筒ころ軸受に比較 て、低負荷荷重である。
 このため、潤滑グリースは必ずしも必要で い場合があるが、転がり玉軸受であるため 保持器を備えることができ、それにより、 筒ころ軸受に比較して多量の潤滑グリース 封入できる。封入できる潤滑グリースとし は、一般に軸受に使用される潤滑グリース あれば、特に種類を限定されない。軸受自 に導電性を必要とする場合には、カーボン ラック、荷電性ミクロゲル粒子、グラファ ト等の導電剤を配合した導電性グリースを 入することができる。
 多量の潤滑グリースを封入できることによ 、調心性と共に軸受寿命が向上する。軸受 命が向上することにより、調心性と共に軸 寿命が向上する。軸受寿命が向上すること より、部品交換サイクルが長くなり、事務 器などの維持管理費用が削減できる。

 本発明の定着装置の構成は感光→搬送→ 像→定着→排出となっており、定着部は2本 の中空ゴムローラ (芯金にアルミや鋼材を使 用)に温度( 200℃程度)とそれを支持する軸受 ヒータで構成される。通常、ローラは中空 なっているため、その中にヒータを通して ーラ内部から直接加熱を行なっている。現 部から出てきた紙にトナーを定着させるた に、上記温度のほかに圧力( 98 N 程度)を けてトナーを紙に定着させる。

 本発明の定着装置の構造を図5に基づいて説 明する。図5は、上述した図1の深溝玉軸受1の 内輪内径面に被膜を形成した軸受(図4参照)で 軸部8aを支持された定着装置の定着ローラ8を 示す。
 図5に示すように、この定着ローラ8はアル ニウムで中空に形成され、中空部に配設さ た電磁誘導加熱ヒータ9によって 200℃程度 で加熱されるようになっており、電磁誘導 生じる内部電流によって帯電する。定着ロ ラ8の両端の軸部8aは内輪2の内径面に嵌合さ 、外輪3が定着装置のフレーム10で固定され おり、各軸部8aは深溝玉軸受1を介してフレ ム10に接地され、定着ローラ8に帯電する電 を逃すようになっている。

 また、図4に示すように、この実施形態で 用いる深溝玉軸受1は、定着ローラや加圧ロ ラ等の回転部材の軸部がすきま嵌めで嵌合 れる内輪2の内径面2bに、低摩擦摺動性を有 る被膜2cが形成されている。内輪2の内径面2b に上記被膜を形成することで、嵌め合い面に おいてグリースを塗布する必要がない。なお 、本発明の定着装置において、上記被膜の形 成は任意である。

 定着ローラ8の軸部8aは、単一径の軸である すなわち、上記内輪2に嵌合できる直円柱ま たは直円筒状の軸である。単一径の軸であっ ても、運転開始と同時に軸受内径面と軸との 間で調心されるためミスアライメントが吸収 できる。例えば、図6に示すように、運転時 定着ローラ8およびその軸部8aが撓んでも、 んだ形状に軸受1の内輪内径面が追随できる 加えて、軸受1の内輪内径面に被膜2cが形成 れているので、軸の摩耗を防止できる。
 また、軸の挿入性にも優れるので、すきま めの隙間幅を小さくできる。

 定着ローラは通常、A5056、A6063等の軽量ア ルミニウム合金等により形成される。本発明 の定着装置において、嵌め合い面である内輪 内径面に上述の被膜を形成すれば、軸受と回 転部材との材質が上記いずれの組み合わせで あっても、嵌め合い面における動摩擦係数を 小さくでき、軸の摩耗を防止できる。

 本発明における低摩擦摺動性を有する被膜 、小径転がり玉軸受の内輪の内径面に形成 るものである。また、該被膜と軸との動摩 係数、すなわち嵌め合い面における動摩擦 数が 0.2 以下となるものであることが好ま しい。嵌め合い面における動摩擦係数が 0.2 をこえると、軸摩耗や異音が発生しやすく る。
 このような低摩擦摺動性を有する被膜とし は、例えばPTFE被膜、MoS 2  被膜、WS 2  被膜等が挙げられる。

 軸受に導電性を必要とする場合では、低摩 摺動性と合わせて導電性を有する被膜を使 する。該導電性を有する被膜としては、フ 素樹脂に金属粉を配合した複合被膜や、グ ファイト被膜等が挙げられる。また、フッ 樹脂に金属粉を配合した複合被膜としては PTFE樹脂に金属Ni粉を配合したNi-PTFE複合被膜 が挙げられる。
 なお、Ni-PTFE複合被膜の組成としては、例え ば、Ni 82~86 重量%、リン 7~9 重量%、PTFE(粒 径 1μm 以下) 7~9 重量%である。

 内輪内径面への被膜の形成方法としては 電気めっき、無電解めっき、真空蒸着、イ ンプレーティング、スパッタリング等の物 蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)等、または、樹脂分 散液を用いたディッピング、塗布、スプレー 噴霧等によるコーティング、その他周知の被 膜形成方法を採用できる。

 グラファイト被膜、MoS 2  被膜、またはWS 2  被膜等を形成する場合では、被膜厚さを均 にできることからスパッタリングを採用す ことが好ましい。また、Ni-PTFE複合被膜を形 成する場合では、被膜厚さを均一にでき寸法 精度に優れるとともに、膜中においてPTFE粒 を均一に分散できること等から無電解めっ を採用することが好ましい。

 本発明における低摩擦摺動性を有する被膜 厚みは、2~10μm とすることが好ましい。よ 好ましくは、2~5μm である。被膜の厚みを  2μm 以上とすることで、複写機やプリンタ等 の事務機器における実用上の使用条件として 、例えば、転がり軸受に 220 N のラジアル 重を付加しつつ、定着ローラを 130 rpm で  500 時間回転させた時点においても、嵌め合 面における動摩擦係数を 0.2 以下に維持で き軸摩耗や異音を防止できる。
 被膜の厚みが 2μm 未満では、嵌め合い部 の金属同士の摺動を十分に防止できずにク ープや異音が発生するおそれがある。10μm  こえると、軸部との嵌合精度が低下すると もに、被膜形成コストが高くなる。

 内輪または外輪の軌道面に付着する被膜 厚みは 10μm 以下、好ましくは 5μm 以下 する。被膜は軌道面には付着させないこと 好ましいが、作業を簡素化するために、マ キングせずに被膜形成処理を行なう等、被 形成方法によっては軌道面にも被膜が付着 る。この軌道面に付着する被膜の厚みが 10 m をこえると、転動体の転動によって被膜 剥離し、この剥離した被膜が異物として玉 噛み込まれて、軸受の寿命が短くなる。

 定着装置運転時において、回転部材の軸部 軸受との間、すなわち嵌め合い部において き音等の異音が発生する機構を図8を参照し て説明する。図8は、転がり軸受の内輪内径 に、定着ローラのシャフトがすきま嵌めで 合されている場合の断面図である。図8(a)は め合い部に温度のみがかかる場合を、図8(b) および図8(c)は嵌め合い部に温度と荷重(圧力) がかかる場合をそれぞれ示す。
 図8(a)に示すように、温度上昇によりシャフ トが熱膨張し、軸受内輪もシャフトと一緒に 移動する(接触面の動摩擦係数が大きいため)
 図8(b)に示すように、ラジアル荷重負荷によ りシャフトがベンディングする。図中におい てFrは軸受にかかるラジアル方向の力を、Fa 軸受にかかるアキシャル方向の力をそれぞ 示す。ここで、Fr<Faの場合は軸受内輪の姿 勢は保たれる。
 図8(c)に示すように、シャフトと定着ローラ 外径の芯ずれ(偏心)により、Frが変化する。Fr >Faの場合、軸受の内輪姿勢が崩れる。軸受 姿勢が元に戻る時に、シャフトを叩き鳴き音 が発生する。
 以上の機構において、シャフトと軸受との め合い面における動摩擦係数が十分に小さ 場合ではFr<Faとなり、軸受の姿勢を保つ とができる。

 本発明の定着装置では、小径転がり玉軸 の内輪内径面を上述の形状とするので、嵌 合い面での接触面積が小さく動摩擦係数を く維持できるとともに、シャフトなどの変 に軸受の内輪内径面が追随できる(図6参照) また、小径転がり玉軸受の内輪内径面に低 擦摺動性を有する被膜を形成することで、 摩擦係数をより低く維持できる。これらの 果、上記異音発生機構において軸受の姿勢 保つことができ、運転時の異音の発生を防 できる。

 本発明の小径転がり玉軸受は、軸にベン ィングが発生しても内径面と軸との間で調 されるためミスアライメントを吸収できる で、複写機やプリンタ等の事務機器用とし 好適に利用できる。また、本発明の定着装 は、簡易な構造でミスアライメントを許容 き、軸受部の早期破損やクリープによる軸 耗早期破損を抑え、加えて運転時の異音も 止できるので、複写機やプリンタ等の事務 器用定着装置として好適に利用できる。