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Title:
NON-ASBESTOS FRICTION MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133056
Kind Code:
A1
Abstract:
A non-asbestos friction material (2) comprising an organic fiber, a binder and an aggregate fiber consisting of a metallic fiber of 85 to 145 Hv Vickers hardness, 400 to 600 N/mm2 tensile strength, 20 to 49% elongation and 1300°C or higher melting point. After high-temperature friction, the aggregate fiber contained in a friction deteriorated layer generated within 200 μm from the surface of the non-asbestos friction material (2) has a fiber diameter being 100 to 20% of that before the high-temperature friction.

Inventors:
MOROZUMI HIROKI
YAMAMOTO SHINICHI
YAMAGUCHI MASATO
UENO NAOHIKO
Application Number:
PCT/JP2008/057196
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NISSAN MOTOR (JP)
MOROZUMI HIROKI
YAMAMOTO SHINICHI
YAMAGUCHI MASATO
UENO NAOHIKO
International Classes:
C09K3/14; F16D69/02
Foreign References:
JPH03181628A1991-08-07
US4539240A1985-09-03
JPH03237183A1991-10-23
JPH01120446A1989-05-12
JPH02209635A1990-08-21
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 85~145Hvのビッカース硬さ、400~600N/mm 2 の引張強さ、20~49%の伸びを有し、融点が1300℃以上の金属繊維から成る骨材繊維と、
 有機繊維と、
 結合材と、
 を含有する非石綿系摩擦材であって、
 高温摩擦後に前記非石綿系摩擦材の表面から200μm以内に形成される摩擦劣化層に含まれる前記骨材繊維の繊維径が、前記高温摩擦前の100~20%の大きさを有することを特徴とする非石綿系摩擦材。
 更に、80Hv以下のビッカース硬さ、150~400N/mm 2 の引張強さ、10%以上の伸びを有し、融点が700~1100℃の金属繊維から成る高温潤滑性繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の非石綿系摩擦材。
 前記骨材繊維から成る金属繊維分の骨材機能値、又は前記骨材繊維及び前記高温潤滑性繊維から成る金属繊維分の骨材機能値が30以上であり、且つその金属繊維分の硬さ機能値が10以下であることを特徴とする請求項1に記載の非石綿系摩擦材。
 前記非石綿系摩擦材において、前記金属繊維分が10~60質量%の割合で含まれ、このうち前記骨材繊維が5~40質量%、前記高温潤滑性繊維が5~20質量%を占めることを特徴とする請求項3に記載の非石綿系摩擦材。
 前記摩擦劣化層に含まれる前記骨材繊維の繊維量が、前記高温摩擦前の量の80~100質量%であることを特徴とする請求項1に記載の非石綿系摩擦材。
 前記骨材繊維を5~40質量%の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載の非石綿系摩擦材。
 前記高温潤滑性繊維を5~20質量%の割合で含むことを特徴とする請求項2に記載の非石綿系摩擦材。
Description:
非石綿系摩擦材

 本発明は、非石綿系摩擦材に関する。詳 には、本発明は、石綿を用いない摩擦材で って、車両用のブレーキパッドなどに使用 れる非石綿系摩擦材に関する。

 一般に、車両用のブレーキパッドなどに いられる非石綿系の摩擦材は、500℃以上の 温下において摩擦係数の低下が大きい。そ ため、500℃以上の高温下での使用に際して 、摩擦材に鉄繊維を配合するか、焼結系摩 材を用いることが知られている。

 また、従来、金属繊維、耐熱性有機繊維 所定の繊維基材、熱硬化性樹脂及び摩擦調 剤から成るブレーキ用摩擦材が知られてい (特開昭63-266231号公報参照)。さらに、この うな摩擦材において、孔径と累積気孔率を 整して耐フェード性を向上させると共に、 手攻撃性を低下させたものも知られている( 開平11-322959号公報参照)。

しかしながら、上記摩擦材において、鉄繊 維を配合したものや焼結系摩擦材は、500℃以 下における摩耗が激しく、さらに500℃以下に おける摩擦係数の安定性が劣るという問題が あった。また、上記摩擦材にあっては、500℃ を超える高温域での摩擦係数の低下が必ずし も小さいといえなかった。加えて、上記摩擦 材にあっては、高温域での摩耗特性、特に相 手攻撃性などについても更なる改善余地があ った。

 本発明は、このような従来技術の有する 題に鑑みてなされたものである。そして、 発明の目的は、高温域での摩擦係数の低下 抑制され、摩擦係数の安定性に優れると共 相手攻撃性が低減した非石綿系摩擦材を提 することにある。

 本発明の態様に係る非石綿系摩擦材は、85~1 45Hvのビッカース硬さ、400~600N/mm 2 の引張強さ、20~49%の伸びを有し、融点が1300 以上の金属繊維から成る骨材繊維と、有機 維と、結合材と、を含有する摩擦材であっ 、高温摩擦後に前記非石綿系摩擦材の表面 ら200μm以内に形成される摩擦劣化層に含ま る前記骨材繊維の繊維径が、前記高温摩擦 の100~20%の大きさを有することを特徴とする

図1は、本願発明の実施形態に係る非石 綿系摩擦材を備えたブレーキパッドを示す斜 視図である。 図2は、本願発明の他の実施形態に係る ブレーキパッドにおいて、高温摩擦後のブレ ーキパッドを示す正面図である。 図3は、図2中のIII-III線断面図である。 図4は、骨材繊維及び高温潤滑性繊維の 繊維長及び繊維径を説明するための概略図で ある。 図5は、フェード処理後における実施例 1の摩擦材の表面及び内部の断面を示した光 顕微鏡写真である。 図6は、フェード処理後における実施例 2の摩擦材の表面及び内部の断面を示した光 顕微鏡写真である。 図7は、フェード処理後における実施例 3の摩擦材の表面及び内部の断面を示した光 顕微鏡写真である。 図8は、フェード処理後における比較例 3の摩擦材の表面及び内部の断面を示した光 顕微鏡写真である。 図9は、金属成分量に関する蛍光X線ラ ン分析の結果を示すチャートである。

 以下、本発明の非石綿系摩擦材につき、 面を用いて詳細に説明する。

 図1では、本願発明の実施形態に係る非石 綿系摩擦材を備えたブレーキパッドを示す。 前記ブレーキパッド1は、本発明の非石綿系 擦材2と、裏金3とを備える。非石綿系摩擦材 2は、裏金3に接着又は図示しないリベットで 合している。

 そして、本発明の非石綿系摩擦材2は、骨材 繊維と、有機繊維と、結合材とを含有するも のである。上記骨材繊維は、85~145Hvのビッカ ス硬さ、400~600N/mm 2 の引張強さ、20~49%の伸びを有し、融点が1300 以上の金属から成ることが好ましい。より 細には、上記骨材繊維は、融点が1300~1700℃ 金属から成ることが好ましい。骨材繊維は この非石綿系摩擦材2の骨格を形成する機能 有し、さらに、摩擦係数の低下、特に500℃ 超える高温下での摩擦係数の低下を抑制す 役割を果たす。なお、この骨材繊維の繊維 及び繊維長は、特に限定されるものではな が、繊維径は30μm~100μmとすることが好まし 、繊維長は1mm~5mmとすることが好ましい。

なお、上記骨材繊維におけるビッカース硬 さは、日本工業規格JIS Z2244(ISO 6507-1に対応) 基づき、測定することができる。引張強さ び伸びは、JIS Z2241(ISO 6892に対応)に基づき 測定することができる。また、本明細書に いて、繊維長とは、図4に示すように、顕微 鏡像等において、対象となる骨材繊維5に外 する長方形のうち面積が最小となる長方形A 仮定すれば、その長方形Aの長辺aを意図す 。また、繊維径とは、上記最小となる長方 Aの短辺bを意図する。

 上記骨材繊維としては、上記の特性を有す 金属繊維から構成されるものであれば良い かかる金属繊維としては、チタン(Ti)、チタ ン合金、ニッケル(Ni)及びニッケル合金から る金属繊維を挙げることができる。チタン 金及びニッケル合金の特徴は、85~350Hvのビッ カース硬さ、300~1000N/mm 2 の引張強さ、10~50%の伸びを有することである 。チタンの具体例としては、JIS1種及び2種に 定されている純チタンが挙げられる。チタ 合金の具体例としては、ASTM B348 GR5で規格 されているTi-6Al-4Vが挙げられる。Ti-6Al-4Vは アルミニウム(Al)を6質量%、バナジウム(V)を4 質量%含み、残部がチタンであり、さらに微 元素(鉄、酸素、炭素、窒素、水素、イット ウム)を含むチタン合金である。このような Ti-6Al-4Vとしては、大同特殊鋼株式会社製 DAT5 を用いることができる。ニッケルの具体例と しては、JIS特種、1種、2種及び3種の純ニッケ ルが挙げられる。ニッケル合金の具体例とし ては、JIS H 4553で規定されており、代表例と してNiCu30が挙げられる。NiCu30は、銅(Cu)を30質 量%含み、残部がニッケルであり、さらに微 元素(炭素、鉄、マンガン、珪素、硫黄)を含 むニッケル合金である。なお、チタン、チタ ン合金及びニッケル、ニッケル合金は、上記 のものに限定されず、85~145Hvのビッカース硬 、400~600N/mm 2 の引張強さ、20~49%の伸びを有し、融点が1300 以上のものであれば、いかなるものも本発 における骨材繊維として用いることができ 。そして、本発明の摩擦材では、上記のチ ン、チタン合金、ニッケル及びニッケル合 を単独又は混合して用いることができる。

 有機繊維は、有機物からなり、摩擦材を 強する機能を有し、耐熱性を有するものが い。有機繊維として、具体的には、アラミ 繊維、フェノール繊維及びアクリル繊維を げることができる。結合材は、各種成分を 互に結合させる機能を有し、フェノール樹 、ポリイミド樹脂及びフラン樹脂などを挙 ることができる。

 なお、本発明の非石綿系摩擦材においては 上記の骨材繊維以外の金属繊維として、高 潤滑性繊維を配合することできる。高温潤 性繊維は、80Hv以下のビッカース硬さ、150~40 0N/mm 2 の引張強さ、10%以上の伸びを有し、融点が700 ~1100℃の金属から成ることが好ましい。より 細には、高温潤滑性繊維は、30~80Hvのビッカ ース硬さ、150~400N/mm 2 の引張強さ、10~70%の伸びを有し、融点が700~11 00℃の金属から成ることが好ましい。かかる 温潤滑性繊維の配合により、高温域での相 攻撃性を有意に低減させることができる。 ち、本発明の非石綿系摩擦材において、構 材である金属繊維として、高温下でも強度 保持できる金属繊維(骨材繊維)と、潤滑効 のある金属繊維(高温潤滑性繊維)とを併用す ると、500℃以上の高温下での摩擦係数の低下 が効果的に抑制される。さらに、骨材繊維と 高温潤滑性繊維を併用すると、摩擦材の骨格 を維持でき、かつ摩擦材とロータ(ブレーキ ィスク)の両者の急激な摩耗を抑制できる。 お、この高温潤滑性繊維の繊維径及び繊維 は、特に限定されるものではないが、繊維 は10μm~100μmとすることが好ましく、繊維長 1mm~5mmとすることが好ましい。

 上記高温潤滑性繊維としては、上記の特性 有する金属繊維から構成されるものであれ 良い。かかる金属繊維としては、銅(Cu)及び 銅合金から成る金属繊維を挙げることができ る。銅の具体例としては、JISに規定されてい る電気銅、さお銅、タフピッチ形銅、リン脱 酸形銅及び無酸素形銅などの純銅が挙げられ る。また、銅合金としては、銅-スズ系合金 銅-亜鉛系合金、銅-アルミニウム系合金、銅 -ニッケル系合金などが挙げられる。なお、 及び銅合金は、上記のものに限定されず、80 Hv以下のビッカース硬さ、150~400N/mm 2 の引張強さ、10%以上の伸びを有し、融点が700 ~1100℃のものであれば、いかなるものも本発 における高温潤滑性繊維として用いること できる。そして、本発明の摩擦材では、上 の銅及び銅合金を単独又は混合して用いる とができる。

 ここで、このような摩擦材骨格の維持性は 以下の骨材機能値によって評価することが きる。 この「骨材機能値」は、以下の数 1に示すように、骨材繊維から成る金属繊維 又は骨材繊維及び高温潤滑性繊維から成る 属繊維分の室温(25℃)における引張強さ(N/mm 2 )と摩擦材中における金属繊維分の含有率(vol% )との積を、100で除した値を示す。例えば、 属繊維分が骨材繊維から成り、骨材繊維量 20vol%で、その骨材繊維の引張強さ(室温)が300 N/mm 2 の場合、骨材機能値は、20×300í100で60となる なお、骨材繊維及び高温潤滑性繊維から成 金属繊維分の室温(25℃)における引張強さ(N/ mm 2 )は、数式2のように求めることができる。

 本発明の非石綿系摩擦材においては、こ 骨材機能値が30以上であることが好ましい 骨材機能値が30未満では、500℃以上の高温下 で、骨材繊維が摩擦材の強度を保持できなく なる可能性がある。さらに、後述する摩擦劣 化層に存在する骨材繊維の繊維径が、高温摩 擦前の20%未満の大きさになり、摩擦材の骨格 を維持できず、高温での摩擦係数の低下が起 こることがある。

 一方、摩擦材の高温域における相手攻撃 は、以下の硬さ機能値によって評価するこ ができる。この「硬さ機能値」は、以下の 式3に示すように、骨材繊維からなる金属繊 維分又は骨材繊維及び高温潤滑性繊維から成 る金属繊維分の室温(25℃)におけるビッカー 硬さ(Hv)と摩擦材中における金属繊維分の含 率(vol%)との積を、100で除した値を示す。例 ば、金属繊維分が骨材繊維から成り、骨材 維量が20vol%で、その骨材繊維のビッカース さが90Hvの場合、硬さ機能値は20×90í100で18 なる。なお、骨材繊維及び高温潤滑性繊維 ら成る金属繊維分の室温(25℃)におけるビッ ース硬さ(Hv)は、数式4のように求めること できる。

 本発明の非石綿系摩擦材においては、こ 硬さ機能値が10以下であることが好ましい 骨材機能値が10を超えると、金属繊維のビッ カース硬さが大きく、総量も多くなることか ら相手攻撃性が増大することがある。また、 その金属繊維が摩耗粉として脱落し、ロータ と摩擦材との間に介在する事で、摩擦材の摩 耗が進行することがある。

 本発明の非石綿系摩擦材において、金属 維として骨材繊維と高温潤滑性繊維の双方 含み、上記の骨材機能値が30以上で、硬さ 能値が10以下の場合、この金属繊維分が10~60 量%の割合で含まれることが好ましい。さら に、この金属繊維分のうち、上記骨材繊維が 5~40質量%を占め、上記高温潤滑性繊維が5~20質 量%を占めることが好ましい。金属繊維分が10 質量%未満では、高温下での摩擦係数の低下 抑制することができない恐れがある。また 金属繊維分が60質量%を超えると、高温下で 摩擦係数の低下を抑制することは可能であ が、相手攻撃性が増大し、ロータの摩耗と 擦材の摩耗が増大すると共に、異音や鳴き 発生しやすくなる。骨材繊維が5質量%未満で は、高温下での摩擦係数の低下を抑制するこ とができ恐れがある。骨材繊維が40質量%を超 えると、高温下での摩擦係数の低下を抑制す ることは可能であるが、相手攻撃性が増大し 、ロータの摩耗と摩擦材の摩耗が増大すると 共に、異音や鳴きが発生しやすくなる。また 、高温潤滑性繊維が5質量%未満では、潤滑性 維の機能を果たす事ができなくなり異音や きが発生し易く、また、高温下での潤滑性 が低下することで、骨材繊維及び研削材に るロータの摩耗が増大することがある。高 潤滑性繊維が20質量%を超えると、潤滑性能 過剰となり高温下での摩擦係数の保持を阻 することがある。

本発明の非石綿系摩擦材は、上記の成分以 外にも、無機繊維、有機充填材、充填材、潤 滑材及び研削材などを含有することができる 。無機繊維としては、ロックウールやガラス 繊維などを例示できる。有機充填材としては 、ゴムやダスト(カシューダスト)などを例示 きる。充填材としては、硫酸バリウムやマ カ、酸化カルシウムなどを例示できる。潤 材としては、黒鉛やカーボン、金属硫化物 どを例示できる。研削材としては、ジルコ アやアルミナ、マイカなどを例示できる。

 本発明の非石綿系摩擦材では、高温摩擦 にこの非石綿系摩擦材の表面から200μm以内 形成される摩擦劣化層において、この摩擦 化層に存在する骨材繊維の繊維径が、高温 擦前の100~20%の大きさを有することが好まし い。具体的には、図2及び3に示すように、後 する高温摩擦後には、ロータと接触する非 綿系摩擦材2の表面には、摩擦熱により摩擦 材2の成分が劣化して成る摩擦劣化層4が形成 れる。そして、本発明の非石綿系摩擦材2で は、高温摩擦後に、非石綿系摩擦材2の表面2a から200μm以内に形成される摩擦劣化層4にお て、この摩擦劣化層4に存在する骨材繊維の 維径が上記範囲内にあることが好ましい。 のような骨材繊維は、高温摩擦後において 繊維径が余り小さくならないことから、骨 形成材としての機能を果たし、当該非石綿 摩擦材の高温域での摩擦係数の低下を抑制 る。

 更に、本発明の非石綿系摩擦材は、上記 擦劣化層において、この摩擦劣化層に存在 る骨材繊維の繊維量が、この高温摩擦前の8 0~100質量%の量を有することが好ましい。この ような骨材繊維は、高温摩擦後においても繊 維径が余り小さくならないことから、骨格形 成材としての機能を果たし、当該非石綿系摩 擦材の高温域での摩擦係数の低下を抑制する 。

 なお、本明細書において、高温摩擦とは ロータなどの回転体と摩擦材とを接触させ 摩擦熱により摩擦材の温度を500℃以上、少 くとも700℃まで上昇させることをいう。高 摩擦は、ロータなどの回転体をブレーキパ ドの形状に形成した非石綿系摩擦材で挟ん 制動させることによって行うことができ、 えば、自動車の速度換算としては、時速144k mから時速80km相当に減速する条件下で行うこ ができる。詳細には、高温摩擦は、後述す 実施例のように、1/5サイズブレーキダイナ テスタを用いて、ブレーキパッドの形状に 成した非石綿系摩擦材を、すり合わせ1→す り合わせ2→本試験の順で行うことができる これにより、摩擦材は、ロータとの間の摩 熱により、500℃以上、少なくとも700℃にま 到達する。

 上記のように、本発明の非石綿系摩擦材2 は、高温摩擦後に形成される摩擦劣化層にお いて、この摩擦劣化層に存在する骨材繊維の 繊維径が上記範囲内にあることが好ましい。 このような条件を満たすためにも、骨材繊維 を形成する金属としては、上記のチタン及び チタン合金が良好である。例えば、30μmの繊 径を有するチタンは、高温摩擦後も繊維径 ほとんど変化せず、しかも摩擦劣化層も摩 材表面から30μm程度の範囲にしか存在しな 。 また、骨材繊維を形成する金属としては 、ニッケル及びニッケル合金も使用可能であ り、例えば、50μmの繊維径を有するニッケル は、高温摩擦後の繊維径は10μm程度への低 に留まる。なお、摩擦劣化層も摩擦材表面 ら200μm程度の範囲である。但し、ニッケル 骨材繊維として用いた場合、骨材機能とし の効果は高いが、ニッケルと硫化物が反応 ると所望のビッカース硬さ、引張強さ、伸 等を得られない可能性が生じ得ることから 硫化物と合せて使用しないほうが好ましい

 本発明の非石綿系摩擦材において、各種 分の配合量は、上記の高温摩擦後の特性を 足する限り特に限定されるものではない。 だ、摩擦材において、骨材繊維を5~40質量% 必要に応じて高温潤滑性繊維を5~20質量%の割 合で配合することが好ましい。骨材繊維の配 合量が5質量%未満では、摩擦材の骨格を維持 きなくなり、高温摩擦時における骨材繊維 骨格形成機能を果たす事ができなくなるこ がある。また、骨材繊維の配合量が40質量% 超えると異音や鳴きが発生し易く、また摩 材の摩耗も多くなることがある。また、高 潤滑性繊維の配合量が5質量%未満では、潤 性繊維の機能を果たす事ができなくなるこ があり、異音や鳴きが発生し易く、また摩 材の摩耗も多くなることがある。また、高 潤滑性繊維の配合量が20質量%を超えると、 温摩擦時における骨材繊維の骨格形成機能 阻害し、高温時の摩擦係数が低下すること ある。

 次に、本発明の非石綿系摩擦材の製造方 について説明する。本発明の非石綿系摩擦 は、上記の各種成分を均一に混合した後、 備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成 体を挿入した後、加熱加圧成形法で成形し 後、熱処理を行うことにより製造すること できる。また、上記の各種成分を均一に混 した後、金型内に混合粉と裏金を挿入した 、加熱加圧成形法で成形すること、又は加 加圧成形法で成形した後、熱処理を行うこ により製造することができる。

 以下、本発明を実施例及び比較例により に詳細に説明するが、本発明はこれら実施 に限定されるものではない。

[摩擦材試験片の作成]
実施例及び比較例の各摩擦材試験片を次の方 法により作成した。まず、表1に示す各種配 成分を均一に攪拌混合した。得られた混合 を室温で圧力40MPaの条件で予備加圧成形した 後、150℃、圧力40MPaの条件で10分間加熱成形 た。その後、200℃で6時間熱処理しすること より、実施例1~4及び比較例1~3の摩擦材試験 を作成した。

なお、表1において、チタン28質量%、14質量 %及び7質量%はそれぞれ10vol%、5vol%及び2.5vol%に 相当する。ニッケル28質量%は、10vol%に相当す る。銅14質量%及び7質量%はそれぞれ5vol%及び2. 5vol%に相当する。ステンレス28質量%は10vol%に 当する。スチール28質量%は10vol%に相当する これら金属繊維の体積割合は、上記金属繊 の他に使用している摩擦材成分の使用量及 密度と、摩擦材の重量及び密度との関係か 測定することができる。具体的には、数式5 のように求めることができる。

[性能評価]
(1)フェード時の摩擦係数変化
 各例の摩擦材を1/5サイズブレーキダイナモ ケール試験機(1/5サイズダイナモテスタ)を いて、下記の試験条件に供した。具体的に 、すり合わせ1→すり合わせ2→本試験の順で 処理し、本試験での摩擦係数を測定し、得ら れた結果を表2に示した。

・すり合わせ1
 制動前温度:120℃
 制動初速度:60km/h
 制動終速度: 0km/h
 減速度  :0.3G
 制動回数 :200回

・すり合わせ2
 制動前温度:80℃
 制動初速度:130km/h
 制動終速度: 0km/h
 減速度  :0.6G
 制動回数 :10回

・本試験
 制動前温度:60℃
 制動初速度:144km/h
 制動終速度: 80km/h
 減速度  :0.5G
 制動間隔 :22秒
 制動回数 :摩擦材が700℃に到達するまで実

(2)摩耗量
 JASO C406:2000に準拠したテストピース試験を った後、各実施例及び比較例の摩擦材の摩 量及びロータの磨耗量を測定した。得られ 結果を表3に示す。

(3)フェード後における摩擦材の表面観察
 実施例1、実施例2、実施例3及び比較例3の摩 擦材について、それぞれ以下の試験条件下で フェード処理を行った後、その断面を光学顕 微鏡で観察した。実施例1、実施例2、実施例3 及び比較例3の摩擦材の光学顕微鏡写真を、 れぞれ図5、図6、図7及び図8に示す。図5~8で 、図3に示すように、各実施例及び比較例の 摩擦材における表面領域B及び内部Cをそれぞ 3箇所ずつ示した。

(a)試験条件
ねずみ鋳鉄製のロータ(JIS FC250に規定の材料 用いたロータ)を用い、実施例1~3及び比較例 3の摩擦材をパッドとして試験を行った。速 144km/hから80km/hに減速させた。初期温度は60 、減速度は0.5Gとした。

(b)試験結果
 実施例1の摩擦材では、温度が700℃のとき、 制動回数は6回で、摩擦係数μは0.30であった また、ロータの厚さは、0.041mm減少し、パッ の厚さは1.40mm減少した。
 実施例2の摩擦材では、温度が700℃のとき、 制動回数は8回で、摩擦係数μは0.19であった また、ロータの厚さは0.038mm減少し、パッド 厚さは1.33mm減少した。
 実施例3の摩擦材では、温度は700℃のとき、 制動回数は7回で、摩擦係数μは0.23であった また、ロータの厚さは0.028mm減少し、パッド 厚さは0.87mm減少した。
 一方、比較例3の摩擦材では、温度は700℃の とき、制動回数は9回で、摩擦係数μは0.17で った。また、ロータの厚さは0.031mm減少し、 ッドの厚さは0.79mm減少した。

なお、実施例1に係る図5において、表面(a) 矢印の部分における摩擦劣化層4の厚さは21. 9μmであり、表面(b)の矢印の部分における摩 劣化層4の厚さは56.9μmであり、表面(c)の矢印 の部分における摩擦劣化層4の厚さは28.5μmで った。実施例2に係る図6において、表面(a) 矢印の部分における摩擦劣化層4の厚さは120. 3μmであり、表面(b)の矢印の部分における摩 劣化層4の厚さは254.3μmであり、表面(c)の矢 の部分における摩擦劣化層4の厚さは206.1μm あった。実施例3に係る図7において、表面(a) の矢印の部分における摩擦劣化層4の厚さは10 5.5μmであり、表面(b)の矢印の部分における摩 擦劣化層4の厚さは140.4μmであり、表面(c)の矢 印の部分における摩擦劣化層4の厚さは96.5μm あった。比較例3に係る図8において、表面(a )の矢印の部分における摩擦劣化層4の厚さは2 6.3μmであり、表面(b)の矢印の部分における摩 擦劣化層4の厚さは63.6μmであり、表面(c)の矢 の部分における摩擦劣化層4の厚さは78.9μm あった。また、図5~7において、符号10は骨材 繊維であるチタン繊維やニッケル繊維を示し 、符号11が高温潤滑性繊維である銅繊維を示 。さらに図8において、符号12が高温潤滑性 維である銅繊維を示す。

 以上の結果から、実施例1~3は、比較例3と 比較し、骨材繊維を配合することで、その骨 格機能を充分に果たす働きから、高温下での 摩擦係数の低下が抑制できることが分かる。 さらに、骨材繊維と高温潤滑性繊維の配合を 最適化することによって、高温下での摩擦係 数の低下の抑制とパッド、ロータの摩耗低減 の両立が可能であることが分かる。

 また、図5~図8より、断面観察から、摩擦 化層の厚さ及び骨材繊維、高温潤滑性繊維 高温摩擦後の状態が確認することができる 骨材繊維、高温潤滑性繊維の配合をコント ールすることで、摩擦劣化層の厚さ及び摩 劣化層内における骨材繊維の繊維径をコン ロールすることができ、高温下での摩擦係 の低下の抑制とパッド、ロータの摩耗低減 両立が可能であることが分かる。

(4)摩擦材表面の金属量分析など
 また、実施例1、実施例2、実施例3及び比較 3の摩擦材について、それぞれ上記の試験条 件下でフェード処理を行った後、その摩擦材 表面の金属成分分析、及び蛍光X線ライン分 を実施し、摩擦材表面の金属量、金属繊維 の維持率について分析した。なお、上記金 成分分析は、X線回折装置を用いて行った。 らに、蛍光X線ライン分析は、エダックス社 製 エネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置  EAGLEIIIを用いて行った。これらの分析結果 それぞれ表4及び表5に示す。表4は、摩擦材 使用している金属全体の成分量(wt%)に対する 、使用している金属繊維の成分量(wt%)の維持 (フェード処理後の成分量/フェード処理前 成分量)を示す。但し、摩擦材を構成する粉 や繊維以外の成分も検出している場合があ 。表5は、限りなく繊維に近いと考えられる 物を測定したときの維持率を示す。

 図9は、フェード処理前後の金属成分量に つき蛍光X線ライン分析を実施した結果を示 。それぞれの金属成分において、ピーク値 高いものが摩擦材表面で検出された成分で り、主に金属繊維である。但し、フェード 理後に鉄の検出値が高いのは、摩耗により ータの成分が付着したものが検出された結 である。これらの金属繊維を定量値にした のが表4及び5である。

 表4の金属成分分析では、フェード処理前 の金属成分量に対し、フェード処理後の摩擦 劣化層を含んだ摩擦材表面の金属成分量を比 較し、維持率で表した。表4より、実施例1及 2では維持率が減少しているのに対し、実施 例3及び比較例3では増加している。これは、 擦劣化層にロータの摩耗粉成分である鉄が まれ、その銅成分と共に当該鉄成分も検出 た為に維持率が増加したものと考えられる

 また、図5、図6、表4及び表5より、フェー ド処理後の摩擦劣化層にはチタンやニッケル が残っており、さらに表2の結果から、チタ やニッケルが骨材繊維として、摩擦性能の 持に寄与していると考えられる。

 それに対し、表5は、限りなく金属繊維に 近いと考えられる物を測定し、その維持率を 記した。実施例1~3について、フェード処理前 の金属繊維量に対し、フェード処理後の200μm 以内に形成される摩擦劣化層に含まれる骨材 繊維が80%以上の繊維量を含有していることが 確認された。また、比較例3について、表5よ 銅繊維が金属繊維として摩擦劣化層に残っ いることが分かるが、表2より高温下での摩 擦係数が低下していることから、この銅繊維 は骨材繊維ではなく、高温潤滑性繊維として 作用していると考えられる。

 上記の分析結果から、骨材繊維、高温潤 性繊維の高温摩擦後の状態を確認すること できる。そして、骨材繊維、高温潤滑性繊 の配合をコントロールすることで、摩擦劣 層の厚さ、摩擦劣化層内における骨材繊維 繊維径、繊維量をコントロールすることが き、高温下での摩擦係数低下の抑制とパッ 、ロータの摩耗低減の両立が可能であるこ が分かる。

 特願2007-105535号 (出願日:2007年4月13日)及 特願2008-060444号 (出願日:2008年3月11日)の全内 容は、ここに援用される。

 以上、実施の形態及び実施例に沿って本 明の内容を説明したが、本発明はこれらの 載に限定されるものではなく、種々の変形 び改良が可能であることは、当業者には自 である。

産業上の利用の可能性

本発明は、所定の金属繊維から成る骨材繊 維を用い、必要に応じて所定の高温潤滑性繊 維を用いる。そのため、高温域での摩擦係数 低下が抑制され、摩擦係数の安定性に優れる と共に相手攻撃性が低減した非石綿系摩擦材 を提供することができる。