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Patent Searching and Data


Title:
MULTILAYER FILM AND MANUFACTURING METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104629
Kind Code:
A1
Abstract:
A manufacturing method for a multilayer film wherein a support is coated with a coating obtained by a plurality of monomers or polymers compatibilized with at least one type of solvent, and thereafter the solvent permeates into the interior of the support at a predetermined speed during the drying process. As a result, the solvent is distributed in the thickness direction within the coating layer, forming a multilayer film separated into upper and lower layers with a single application of the coating. Therefore, a single application of the coating allows for the formation of a multilayer film, each layer having different functions.

Inventors:
OKI KAZUHIRO (JP)
SHIOJIRI KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052741
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
OKI KAZUHIRO (JP)
SHIOJIRI KAZUHIRO (JP)
International Classes:
B05D7/02; G02B1/11; B05D1/34; B05D3/02; B05D7/04; G02B1/111; G02F1/1335; G09F9/00
Foreign References:
JP2006106290A2006-04-20
JP2004243172A2004-09-02
JP2006169510A2006-06-29
JP2007237483A2007-09-20
Attorney, Agent or Firm:
MATSUURA, Kenzo (P.O. Box 176Shinjuku Sumitomo Bldg,6-1, Nishi-shinjuku 2-chom, Shinjuku-ku Tokyo 39, JP)
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Claims:
 支持体上に、複数のモノマー或いはポリマーを少なくとも1種類の溶媒に相溶させた塗布液を単層塗布する工程と、該塗布層を乾燥させる工程とを備えた多層膜の製造方法であって、
 前記塗布層を乾燥させる工程において、前記少なくとも1種類の溶媒を前記支持体の内部に所定速度で浸透させることにより、前記塗布層を異なる組成の上下層に分離させることを特徴とする多層膜フィルムの製造方法。
 前記塗布液を塗布する工程の前工程として、前記所定速度で溶媒が前記支持体に浸透するように、前記溶媒の種類と前記支持体の種類との組み合わせを設計する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 前記乾燥させる工程において(前記溶媒の乾燥速度)/(前記溶媒の支持体への浸透速度)>1とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 前記溶媒の乾燥速度は、0.03~5g/m 2 /秒であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 前記塗布液は、前記支持体への浸透速度が前記溶媒の1/2以下である他の溶媒を含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 前記複数のモノマー或いはポリマーのうち少なくとも2種類は非相溶であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 前記上下層の組成比が、前記溶媒、第1のポリマー、及び第2のポリマーより構成される三角相図上における臨界点を介して前記第1のポリマー側、前記第2のポリマー側へそれぞれ濃度変化させるように前記乾燥速度と前記浸透速度の比を調整することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の多層膜フィルムの製造方法。
 請求項1~7の何れか1項に記載の方法により製造したことを特徴とする多層膜フィルム。
 前記多層膜フィルムは、前記支持体上に少なくとも第1のポリマー層、第2のポリマー層が形成され、
 前記第1のポリマー層は、前記第1のポリマーマトリクス中に前記第2のポリマードメインが分散してなり、前記第2のポリマー層は、前記第2のポリマーマトリクス中に前記第1のポリマードメインが分散してなることを特徴とする請求項8に記載の多層膜フィルム。
 前記多層膜フィルムは、各層の屈折率が異なる反射防止フィルムであることを特徴とする請求項8又は9に記載の多層膜フィルム。
Description:
多層膜フィルム及びその製造方

 本発明は多層膜フィルム及びその製造方 に係り、特に、平坦な基板又は連続的に搬 されるプラスチックや金属等のシート上に 分子溶液を塗布、乾燥することにより多層 を形成する方法に関するものである。

 液晶ディスプレイ、プラズマディスプレ 、有機ELディスプレイ等のフラットパネル ィスプレイ市場の拡大、急速な発展の中で 大画面化、高画質化、高精度化、低消費電 化等に対応した技術開発が求められている

 このフラットパネルディスプレイの高機 化に対する部材の一つとして、ディスプレ 表面に貼り付ける等により、画面に映り込 だ光を散乱させて視認性を向上させる防眩 フィルムや反射防止フィルムがある。

 このような防眩性フィルム、反射防止フ ルムとしては、種々のものが提案されてい 。例えば、特許文献1には、透明基板上に、 樹脂ビーズを含む防眩層を形成した防眩性フ ィルムが提案されている。特許文献2には、 明材料中に微小空孔を分散させることで、 明材料自身の屈折率よりも低くした多孔質 学材料が提案されている。

 特許文献3には、反射防止膜の成膜方法に おいて、スパッタ成膜初期はターゲットに対 向させる状態で基板を保持し、成膜時間に比 例して基板を徐々にターゲットに対して傾け ながら成膜することで、多孔質な膜を形成す る方法が開示されている。

 特許文献4には、スピノーダル分解による相 分離を利用して、マトリックス樹脂内にポリ マードメインを含有する防眩層を形成した防 眩性フィルムの製造方法が提案されている。

特開平6-18706号公報

特開平6-3501号公報

特開平7-333403号公報

特開2005-195820号公報

 しかしながら、上記特許文献では、いず も安定して製造するのは困難であり、材料 スト或いは製造コストが高くなる虞があっ 。具体的には、上記特許文献1のように粒子 を分散させる場合は、粒子の粒度分布のばら つきや凝集等により性能が安定しないという 問題がある。また、特許文献4のように樹脂 トリクス中にドメインを形成する方法では 膜厚方向にドメインサイズがばらつき易い いう問題がある。

 特に、上記特許文献4において、所望サイ ズのドメインを形成するには複数回に分けて 多層塗布する必要がある。このため、製造費 の増大に繋がるだけでなく、最終塗布厚みが 厚くなるため、所望の機能を発現できなくな る虞があった。

 本発明はこのような事情に鑑みてなされ もので、多層膜を1回の塗布で形成でき、該 形成した各層において異なる機能を有するド メインを容易に作製することができる多層膜 フィルム及びその製造方法を提供することを 目的とする。

 本発明の第一の態様は前記目的を達成す ために、支持体上に、複数のモノマー或い ポリマーを少なくとも1種類の溶媒に相溶さ せた塗布液を単層塗布する工程と、該塗布層 を乾燥させる工程とを備えた多層膜の製造方 法であって、前記塗布層を乾燥させる工程に おいて、前記少なくとも1種類の溶媒を前記 持体の内部に所定速度で浸透させることに り、前記塗布層を異なる組成の上下層に分 させることを特徴とする多層膜フィルムの 造方法を提供する。

 第一の態様によれば、複数のモノマー或 はポリマーを少なくとも1種類の溶媒に相溶 させた塗布液を支持体上に塗布した後、乾燥 させる工程において、溶媒を支持体の内部に 所定速度で浸透させる。これにより、塗布層 内部の厚み方向に溶媒の濃度分布が生じ、上 下層に分離した多層膜を1回の塗布で形成す ことができる。したがって、一回の塗布で 各層において異なる機能を有する多層膜を 成することができる。

 本発明の第二の態様は第一の態様におい 、前記塗布液を塗布する工程の前工程とし 、前記所定速度で溶媒が前記支持体に浸透 るように、前記溶媒の種類と前記支持体の 類との組み合わせを設計する工程を備えた とを特徴とする。

 溶媒が支持体へ浸透する速度は、溶媒の 類と支持体の種類との組み合わせによって なる。第二の態様によれば、塗布する工程 前工程として、上記溶媒の種類と支持体の 類との組み合わせを設計する工程を行うの 、溶媒を所定速度で支持体に浸透させるこ ができる。

 本発明の第三の態様は第一又は第二の態 において、前記多層膜は、前記乾燥させる 程において(前記溶媒の乾燥速度)/(前記溶媒 の支持体への浸透速度)>1とすることを特徴 とする。

 第三の態様によれば、乾燥速度の方を浸 速度よりも大きくするので、溶媒の浸透が 行しすぎて支持体の変形等を引き起こすの 抑制できる。

 本発明の第四の態様は第一乃至第三の態様 いずれかにおいて、前記溶媒の乾燥速度は 0.03~5g/m 2 /秒であることを特徴とする。

 多層膜の形成には一定の乾燥時間が必要 あるが、乾燥速度が遅すぎると溶媒の浸透 進行しすぎて支持体の変形等を引き起こす がある。一方、乾燥速度が速すぎると十分 サイズの相構造が形成されなかったり、乾 のムラによる面状品質の低下等が生じたり る虞がある。第四の態様によれば、このよ な不具合を生じることなく、上下層に分離 せることができる。

 本発明の第五の態様は第一乃至第四の態 のいずれかにおいて、前記塗布液は、前記 持体への浸透速度が前記溶媒の1/2以下であ 他の溶媒を含むことを特徴とする。

 第五の態様によれば、支持体への浸透速 が前記浸透する溶媒の1/2以下である他の溶 を含むので、塗布層の厚み方向に溶媒の濃 勾配を大きくすることができる。これによ 、浸透性の高い溶媒の支持体への浸透を促 することができる。

 本発明の第六の態様は第一乃至第五の態 のいずれかにおいて、前記複数のモノマー いはポリマーのうち少なくとも2種類は非相 溶であることを特徴とする。

 第六の態様によれば、少なくとも2種類の モノマー或いはポリマーが非相溶であるため 、乾燥に伴う相分離を起こし易くすることが できる。

 本発明の第七の態様は第一乃至第六の態 のいずれかにおいて、前記上下層の組成比 、前記溶媒、第1のポリマー、及び第2のポ マーより構成される三角相図上における臨 点を介して前記第1のポリマー側、前記第2の ポリマー側へそれぞれ濃度変化させるように 前記乾燥速度と前記浸透速度の比を調整する ことを特徴とする。

 三角相図において、臨界点を介して第1の ポリマー側は、第1のポリマーリッチの相を 成し、第2のポリマー側は、第2のポリマーリ ッチの相を形成する。そして、共通連続相か ら表面張力の作用により液滴構造を形成する 。このため、第七の態様によれば、臨界点を またぐように上下層の組成比を移行させるの で、海島構造の組成比が反転した上下層を形 成することができる。

 本発明の第八の態様は前記目的を達成す ために、第一乃至第七の態様のいずれかに 載の方法により製造したことを特徴とする 層膜フィルムを提供する。

 このような多層膜フィルムとしては、例 ば、反射防止フィルム、防眩性フィルム、 光板、光学補償フィルムなどの光学的機能 フィルムシート、熱現像感剤、ナノ粒子等 含む機能性フィルム、燃料電池のセパレー フィルム、磁気記録テープ、接着テープ、 リアフィルム等に用いることができる。

 本発明の第九の態様は第八の態様におい 、前記多層膜フィルムは、前記支持体上に なくとも第1のポリマー層、第2のポリマー が形成され、前記第1のポリマー層は、前記 1のポリマーマトリクス中に前記第2のポリ ードメインが分散してなり、前記第2のポリ ー層は、前記第2のポリマーマトリクス中に 前記第1のポリマードメインが分散してなる とを特徴とする。

 第九の態様によれば、第1のポリマーマト リクス中に第2のポリマードメインが分散し 第1のポリマー層と、第2のポリマーマトリク ス中に第1のポリマードメインが分散した第2 ポリマー層と、よりなる多層膜を1回の塗布 で形成できる。したがって、従来のように複 数回塗布を行う必要もなく、各層の機能の異 なる多層膜を効率的に作製することができる 。

 本発明の第十の態様は第八又は第九の態 において、前記多層膜フィルムは、各層の 折率が異なる反射防止フィルムであること 特徴とする。

 第十の態様によれば、1回の塗布で、屈折 率の異なる光学干渉層を形成することができ る。

 本発明によれば、多層膜を1回の塗布で形 成でき、該形成した各層において異なる機能 を有するドメインを容易に作製することがで きる。

図1は、本実施形態における反射防止フ ィルムの一例を示す断面模式図であり; 図2は、本実施形態における溶液の相分 離の一例を説明する三角相図であり; 図3は、本実施形態において、溶媒の浸 透速度を測定するための顕微ラマン測定装置 を示す説明図であり; 図4は、本実施形態において、溶媒の乾 燥速度を測定するためのFTIR装置を示す説明 であり; 図5は、本実施形態における反射防止フ ィルムの製造工程の一例を示した概略図であ り; 図6は、本実施例における結果を示す写 真図である。

符号の説明

10…反射防止フィルム
12…透明支持体
14…第1のポリマー層
14A…第1のポリマーのマトリクス
14B…第1のポリマーのドメイン
16…第2のポリマー層
16A…第2のポリマーのマトリクス
16B…第2のポリマーのドメイン
18…多層膜
40…反射防止フィルムの製造工程
50…塗布装置
50A…塗布ヘッド
54…(初期)乾燥ゾーン
56…加熱(本乾燥)ゾーン

 以下、添付図面に従って本発明に係る多 膜フィルムの製造方法の好ましい実施の形 について説明する。

 まず、本実施形態において、多層膜フィ ムの一例として反射防止フィルムの構造に いて説明する。なお、多層膜フィルムとし は、反射防止フィルムに限らず、熱現像感 、ナノ粒子等を含む機能性フィルム、燃料 池のセパレータフィルム等の各種フィルム 適用できることはいうまでもない。

 図1は、本実施形態における反射防止フィ ルムの一例を示す断面模式図である。図1に すように、反射防止フィルム10は、透明支持 体12上に、第1のポリマーを主成分とする第1 ポリマー層14と、第2のポリマーを主成分と る第2のポリマー層16と、が積層された多層 18が形成されてなる。なお、本実施形態では 、2種類のポリマーを用いて2層の膜構造を形 する例で説明するが、3種類以上の複数のポ リマー(或いはモノマー)を用いて3層以上の多 層膜を形成することもできることはいうまで もない。

 透明支持体12としては、第1、第2のポリマ ー層を形成する際に使用する溶媒が浸透する ものであり、且つ透明なものであればよい。 透明支持体の光透過率は、80%以上であること が好ましく、86%以上であることがさらに好ま しい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であ ことが好ましく、1.0%以下であることがさら 好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1 .7であることが好ましい。また、プラスチッ フィルムを用いることが好ましい。プラス ックフィルムの材料の例には、セルロース ステル、ポリアミド、ポリカーボネート、 リエステル(例、ポリエチレンテレフタレー ト、ポリエチレンナフタレート等、)、ポリ チレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、 リエーテルスルホン、ポリアリレート、ポ エーテルイミド、ポリメチルメタクリレー 及びポリエーテルケトン等が挙げられる。

 第1のポリマー層14は、第1のポリマーのマ トリクス14A中に、第2のポリマーのドメイン16 Bが分散した海島構造となっている。

 第2のポリマー層16は、第2のポリマーのマ トリクス16A中に、第1のポリマーのドメイン14 Bが分散した海島構造となっている。

 ドメイン14B、16Bの形状は、特に限定され 、例えば、円形状、楕円形状等である。ド イン14B、16Bの平均粒子径は、例えば、2~100μ m、好ましくは5~50μmである。

 ドメイン14Bの平均粒子径は、透明支持体1 2側の屈折率よりも空気界面側の屈折率を高 して反射防止性を向上させる上で、ドメイ 16Bの平均粒子径よりも小さいことが好まし 。ドメイン14Bとドメイン16Bの平均粒子径は 例えば、50nm~20μmとすることが好ましい。

 マトリクス14A/ドメイン14B、マトリクス16A /ドメイン16Bの体積割合は、例えば、90/10~30/70 程度とすることができる。また、ドメイン14B 、16Bは、マトリクスの内部だけでなくマトリ クスの表面にも分散してもよい。これにより 、マトリクスの表面に凸凹構造やうねり構造 を形成することができる。ドメイン14B、16Bが 、マトリクスの表面に部分的に突出している 場合、突出した凸部の平均高さは、例えば、 0.1~5μmであることが好ましい。

 多層膜18としての厚みは、例えば1~500μm、 好ましくは5~200μm程度である。

 反射防止フィルム10としては、必要に応 て、例えばハードコート層や帯電防止層(例 ば、導電剤や親水性成分を含む光硬化性樹 で構成された導電性薄膜など)等の薄膜を形 成してもよい。

 次に、多層膜18を構成する各種素材につ て説明する。

 本実施形態に使用されるポリマー(第1、 2のポリマー)としては、特に限定はないが、 通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性 樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アク ル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、 ニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、 レフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を 含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエス ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポ ウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエ テルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフ ェニレンエーテル系樹脂(2,6-キシレノールの 合体など)、セルロース誘導体(セルロース ステル類、セルロースカーバメート類、セ ロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポ リジメチルシロキサン、ポリメチルフェニル シロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポ ブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、アク リロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリ ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど) どが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は 二種以上組み合わせて使用できる。

 (メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)ア クリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ) クリル系単量体と共重合性単量体との共重 体などが使用できる。(メタ)アクリル系単 体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)ア クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、( メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t- チル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ) アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オク ル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなど の(メタ)アクリル酸C1-10アルキル;(メタ)アク ル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリー ル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ ドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの ドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリ ジル(メタ)アクリレート;N,N-ジアルキルアミ ノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリ ニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭 化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが 示できる。共重合性単量体には、前記スチ ン系単量体、ビニルエステル系単量体、無 マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが 示できる。これらの単量体は、単独で又は 種以上組み合わせて使用できる。

 (メタ)アクリル系樹脂としては、例えば ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)ア クリル酸エステル、メタクリル酸メチル-(メ )アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル -(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタク リル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)ア リル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル -スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げら る。好ましい(メタ)アクリル系樹脂として 、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ( タ)アクリル酸C1-6アルキル、特にメタクリル 酸メチルを主成分(50~100重量%、好ましくは70~1 00重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹 が挙げられる。

 セルロース誘導体のうちセルロースエス ル類としては、例えば、脂肪族有機酸エス ル(セルロースジアセテート、セルロースト リアセテートなどのセルロースアセテート; ルロースプロピオネート、セルロースブチ ート、セルロースアセテートプロピオネー 、セルロースアセテートブチレートなどのC1 -6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステ ル(セルロースフタレート、セルロースベン エートなどのC7-12芳香族カルボン酸エステル )、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロ ス、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸 ・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エス テルであってもよい。セルロース誘導体には 、セルロースカーバメート類(例えば、セル ースフェニルカーバメートなど)、セルロー エーテル類(例えば、シアノエチルセルロー ス;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ プロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4ア キルセルロース;メチルセルロース、エチル セルロースなどのC1-6アルキルセルロース;カ ボキシメチルセルロース又はその塩、ベン ルセルロース、アセチルアルキルセルロー など)も含まれる。

 好ましい熱可塑性樹脂としては、通常、 結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポ リマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒 )に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性 は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例 ば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂 、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系 樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステ 類など)などが好ましい。特に、熱可塑性樹 として、セルロース誘導体が好ましい。セ ロース誘導体は、半合成高分子であり、他 樹脂や硬化剤と溶解挙動が異なるため、非 に良好な相分離性を有する。

 また、硬化後の耐擦傷性の観点から、例 ば、互いに非相溶なポリマーのうち一方の リマーとして、硬化反応に関与する官能基( 硬化剤と反応可能な官能基)を有するポリマ を用いることもできる。このような官能基 しては、縮合性又は反応性官能基(例えば、 ドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル 、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グ シジル基、イソシアネート基など)、重合性 官能基(例えば、ビニル、プロペニル、イソ ロペニル、ブテニル、アリルなどのC2-6アル ニル基、エチニル、プロピニル、ブチニル どのC2-6アルキニル基、ビニリデンなどのC2- 6アルケニリデン基、又はこれらの重合性官 基を有する官能基((メタ)アクリロイル基な )等)等が挙げられる。

 本実施形態においては、例えば、第1のポリ マーがセルロース誘導体(例えば、セルロー アセテートプロピオネートなどのセルロー エステル類)であり、第2のポリマーがアクリ ル系樹脂である場合、第1のポリマーと第2の リマーとの質量比は、例えば、1:3~1:10程度 することが好ましい。なお、複数のポリマ の代わりに、複数のモノマーを用いてもよ 、或いはポリマーとモノマーを組み合わせ 用いることもできる。
例えば、アクリレートモノマーで、具体的な 素材としてはペンタエリスリトールトリアク リレートやジペンタエリスリトールヘキサア クリレートなどがある。

 硬化性化合物としては、熱線や活性エネ ギー線(紫外線や電子線など)等により反応 る官能基を有する化合物であり、熱や活性 ネルギー線などにより硬化又は架橋して樹 (特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の 硬化性化合物が使用できる。

 硬化性化合物としては、例えば、熱硬化 化合物又は樹脂[エポキシ基、イソシアネー ト基、アルコキシシリル基、シラノール基、 重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリ ロイル基など)などを有する低分子量化合物( はプレポリマー、例えば、エポキシ系樹脂 不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹 、シリコーン系樹脂などの低分子量樹脂な )]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な 光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴ ー、プレポリマーなどの紫外線硬化性化合 など)などが例示でき、光硬化性化合物は、E B(電子線)硬化性化合物などであってもよい。 なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分 子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬 化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という 場合がある。硬化性化合物は、単独で又は二 種以上組み合わせて使用できる。

 光硬化性化合物は、通常、光硬化性基、 えば、重合性基(ビニル基、アリル基、(メ )アクリロイル基など)や感光性基(シンナモ ル基など)を有しており、特に重合性基を有 る光硬化性化合物(例えば、単量体、オリゴ マー(又は樹脂、特に低分子量樹脂))が好まし い。

 重合性基を有する光硬化性化合物のうち 単量体としては、例えば、単官能性単量体[ (メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アク ル系単量体、例えば、アルキル(メタ)アクリ レート(メチル(メタ)アクリレートなどのC1-6 ルキル(メタ)アクリレートなど)、シクロア キル(メタ)アクリレート、橋架環式炭化水素 基を有する(メタ)アクリレート(イソボルニル (メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)ア リレートなど)、グリシジル(メタ)アクリレ ト;酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニ ピロリドンなどのビニル系単量体など]、少 なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多 能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)ア リレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア クリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリ ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ア リレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ レートなどのアルキレングリコールジ(メタ) クリレート;ジエチレングリコールジ(メタ) クリレート、ジプロピレングリコールジ(メ タ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレ グリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポ )オキシアルキレングリコールジ(メタ)アク レート;トリシクロデカンジメタノールジ(メ タ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アク リレートなどの橋架環式炭化水素基を有する ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパ ントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール タントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ リトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエ リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ ンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ トなどの3~6程度の重合性不飽和結合を有す 多官能性単量体]が例示できる。

 硬化性化合物は、その種類に応じて、硬 剤と組み合わせて用いてもよい。例えば、 硬化性化合物は光重合開始剤と組み合わせ 用いることができる。

 光重合開始剤としては、例えば、アセト ェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジ 類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チ キサントン類、アシルホスフィンオキシド 等を使用できる。光重合開始剤の含有量は 硬化性化合物に対して0.1~20重量部程度とす ことができる。

 なお、複数のポリマーの相分離性は、そ ぞれ双方の成分に対する良溶媒を用いて均 溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過 で、残存固形分が白濁するか否かを目視に 確認することにより簡便に判定できる。複 のポリマーの相分離性を、更に厳密に測定 たい場合には、分光光度計や濁度計を用い 、濃度変化に対する出力(透過率、吸収率等 )の変化点より、相分離の発生した濃度を正 に測定する方法を用いることができる。ま 、光散乱法によっても相分離の発生の有無 調べることもできる。

 上記溶媒としては、上記複数のポリマー うち少なくとも2種類のポリマーを溶解し、 且つ透明支持体12へ浸透するものであればよ 。即ち、透明支持体12の種類、ポリマーや 合性成分の種類等に応じて適宜選択するこ ができる。このような溶媒としては、混合 媒の場合、少なくとも1種類は固形分(複数の ポリマー及び硬化性化合物、反応開始剤、そ の他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であれ よく、例えば、ケトン類(アセトン、メチル チルケトン、メチルイソブチルケトン、シ ロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサ 、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水 類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シク ヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエ 、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロ ロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル (酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど) 、水、アルコール類(エタノール、イソプロ ノール、ブタノール、シクロヘキサノール ど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチ ルセロソルブなど)、セロソルブアセテート 、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドな )、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメ ルアセトアミドなど)などが例示できる。こ らの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わ て使用できる。

 上記溶媒に、透明支持体への浸透速度が めて小さい溶媒(浸透性の低い溶媒)を混合 た混合溶媒としてもよい。このような浸透 の低い溶媒としては、透明支持体との組み わせによるが、透明支持体への浸透速度が 述した溶媒(浸透性の高い溶媒)の1/2以下とな る溶媒、例えば、透明支持体としてTACを用い た場合、浸透性の低い溶媒としてはブタノー ル、テトラヒドロフラン等を挙げることがで きる。

 透明支持体12としては、溶媒による濃度 布を精密に制御する上で、既述した中でも 1、第2のポリマーを溶解する溶媒のみを浸透 させ、それ以外の成分を浸透させない材料が 好ましい。また、透明支持体12としては、予 表面に他の機能層が形成されたものも含ま る。

 上記のような多層膜構造は、以下のよう して形成することができる。即ち、上記多 膜構造は、透明支持体12上に、共通の溶媒 よって複数の非相溶なポリマー(或いはモノ ー)を相溶した溶液を塗布した後、乾燥させ ることにより形成する。この乾燥させる工程 は、(イ)前記塗布した溶液の少なくとも1種類 の溶媒(浸透性の高い溶媒)を透明支持体12内 所定速度で浸透させることにより、塗布層 厚み方向に濃度分布を形成させて上下へ相 離させる作用、(ロ)乾燥に伴う相分離(核形 やスピノーダル分解)を生じさせることによ ドメインを有する海島(液滴)相構造(球状、 球状、円盤状や楕円体状等の独立相の海島 造)を形成する作用、を伴う。即ち、相分離 の進行に伴って、核形成や成長機構により海 島構造が発達する場合と、スピノーダル分解 によって共連続相構造を形成し、その後の相 分離の進行によって海島(液滴相)構造となる 合がある。

 なお、上記の方法において、熱又は光重 性成分(特に多官能硬化モノマー及び/又は リゴマー)を使用し、多層膜を形成した後に 活性エネルギー線(紫外線、電子線等)の照 や加熱により重合させて硬化させてもよい

 図2は、非相溶の第1、第2のポリマーと、 れらのポリマーを溶解する溶媒と、を含む 液の相分離を説明する三角相図の一例であ 、第1のポリマーがセルロースアシレートプ ロピオネート(CAP)、第2のポリマーがアクリル 樹脂の場合である。

 同図において、実線の曲線はバイノーダ 線を示しており、相分離が発生する境界線 ある。点線の曲線は、スピノーダル線を示 ている。

 バイノーダル線の内側の領域で相分離が 生する。バイノーダル線とスピノーダル線 囲まれた領域は準安定領域と呼ばれ、相分 は核形成や成長機構により進行する。スピ ーダル線の内側の領域は不安定領域であり スピノーダル分解による相分離が起こる。 イノーダル線とスピノーダル線が一致する が臨界点Pである。

 図2に示すように、上記(イ)、(ロ)におい 、溶液の乾燥開始点Sから相分離した上下層 組成比が三角相図上の臨界点Pを別方向(第1 第2のポリマー側)にまたぐように濃度変化 せる。これにより、例えば、下層では、第1 ポリマーを主成分とするマトリクス中にお て核形成や成長機構、或いはスピノーダル 解によって第2のポリマーの海島(液滴相)構 が形成され、上層では、第2のポリマーを主 成分とするマトリクス中において、第1のポ マーの海島(液滴相)構造が形成される。これ により、図1に示すような組成比が反転した 一な海島構造を有する多層膜を得ることが きる。

 このようなスピノーダル線、バイノーダ 線、臨界点等については、例えば、文献(COR NELL UNIVERSITY PRESS,「Scaling Concepts in Polymer P hysics」,p94-96)に基づいて求めることができる

 上記の制御は、溶液に含まれる少なくと 1種類の溶媒(浸透性の高い溶媒)が透明支持 へ浸透する速度(浸透速度)と、溶液から蒸 する速度(乾燥速度)との比を制御することに より行う。即ち、溶液の塗布層の厚み方向に 上記溶媒の濃度分布を生じさせることにより 相分離させる。

 具体的には、(溶媒の乾燥速度)/(溶媒の透 明支持体への浸透速度)>1を満たす範囲とす ることが好ましく、(溶媒の乾燥速度)/(溶媒 透明支持体への浸透速度)>2を満たす範囲 することがより好ましい。

 上記溶媒の透明支持体への浸透速度は、 えば、透明支持体と溶媒の組み合わせ、溶 中の溶媒の含有量、溶質の含有量等により 整することができる。例えば、溶液中の溶 の含有量を増加させた場合、塗布層の厚み 向に溶媒の濃度勾配が大きくなるので、溶 の浸透速度を上げることができる。

 透明支持体と溶媒の組み合わせは、溶媒 浸透し易いもの、具体的には溶媒の浸透速 が溶媒の乾燥速度よりも大きくなる組み合 せが好ましい。また、上記溶媒の浸透速度 、透明支持体へほとんど浸透しない他の溶 を添加することで調整することもできる。 の場合、塗布層の厚み方向における濃度勾 を大きくするので、浸透速度を上げること できる。

 浸透速度は、例えば、図3に示すような顕 微ラマン測定装置20により測定することがで る。即ち、同図に示すように、ガラスセル2 2内部に透明支持体12と溶媒24を封入し、溶媒 透明支持体12内部へ浸透量の時間変化を、 面方向(同図の横より)から顕微ラマン測定装 置20を用いて測定する。顕微ラマン測定装置2 0としては、例えば、inVia Reflex (Renishaw社)の のが使用できる。

 上記溶媒の乾燥速度は、乾燥風速、乾燥温 等により調整することができる。また、乾 速度は、0.03~5g/m 2 /秒であることが好ましい。これは、乾燥速 が遅すぎると溶媒の浸透が進行しすぎて透 支持体の変形等を引き起こす虞があり、逆 乾燥速度が速すぎると十分なサイズの相構 が形成されなかったり、乾燥のムラによる 状品質の低下等が生じる虞があるためであ 。

 乾燥速度は、例えば、図4に示すようなポ ータブル型のFTIR装置30により測定することが できる。即ち、同図に示すように、センサー 部32がファイバーになったポータブル型のFTIR 装置30を用いて、矢印方向に走行する透明支 体12の塗布層の上部から、乾燥に伴う塗布 内部の溶媒の蒸発量の時間変化を吸光度変 より調べる。このようなFTIR装置としては、 えば、VIR-9500(日本分光)を使用できる。

 次に、本実施形態における多層膜構造を えた反射防止フィルムの製造方法について 明する。なお、反射防止層用の塗布液とし は、非相溶の2種類のポリマー、これらのポ リマーを溶解する溶媒、及び硬化性化合物を 含む溶液を用いる例である。

 図1は、本実施形態の反射防止フィルムの 製造工程40の一例を示した概略図である。

 長尺状の透明支持体12(既に何らかの機能 が形成されているものも含む)が、フィルム ロール42から送出機44により送り出される。 明支持体12の走行速度は、例えば、0.1~1.5m/秒 とすることができる。

 透明支持体12はガイドローラ46によってガ イドされて除塵機48に送りこまれる。除塵機4 8は、透明支持体12の表面に付着した塵を取り 除くことができるようになっている。除塵機 48の下流には、塗布手段であるエクストルー ョン方式の塗布装置50の塗布ヘッド50Aが設 られており、反射防止層用塗布液がバック ップローラに巻き掛けられた透明支持体12上 に逐次、もしくは同時に塗布できるようにな っている。塗布層は、例えば、湿潤厚みが40 m以下とすることができる。

 塗布方法としては、ディップコート法、 アーナイフコート法、カーテンコート法、 ライドコート法、ローラーコート法、ワイ ーバーコート法、グラビアコート、マイク グラビア法等も用いることができる。塗布 ッド50Aは、クリーンルーム等の清浄な雰囲 に設置するとよい。その際、清浄度はクラ 1000以下が好ましく、クラス100以下がより好 ましく、クラス10以下が更に好ましい。

 塗布ヘッド50Aの下流には、本実施形態に ける相分離を生じさせる(初期)乾燥ゾーン54 と、加熱(本乾燥)ゾーン56と、が順次設けら ている。(初期)乾燥ゾーン54で、形成された 布層の表面を気体層でシールしながら溶媒 抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発さ 後に、塗布層をさらに加熱(本乾燥)ゾーン56 で乾燥することが好ましい。

 この乾燥ゾーン54では、防眩層用塗布液 塗布層を、所定温度(例えば、室温25℃)で溶 を蒸発させると共に、透明支持体12内部に 媒を浸透させることにより上述した相分離 誘起させる。

 乾燥速度は、速すぎると相分離する前に 燥して固化するため、0.03~5.0g/m2/秒とするこ とが好ましい。乾燥温度は、溶媒の沸点に応 じて、例えば、40~120℃程度の温度で乾燥させ てもよい。乾燥風量は、例えば1~20m/分程度と することができる。

 乾燥ゾーン54における該塗布層表面の気 層のシールは、塗布層の表面に沿って気体 塗布層の移動速度に対して-0.1~0.1m/秒の相対 度となるように移動させることが好ましい 上記溶媒を抑制下に蒸発させるには、塗布 中の溶媒含有量の減少速度が時間と比例関 にある期間内に行なうことが好ましい。乾 は覆いを付けることが好ましい。また、乾 風には整流した風もしくは均一な風を用い もよいし、もしくは蒸発した溶媒を塗布層 対向して設置された冷却凝縮板により凝縮 せ取り除いてもよい。

 加熱(本乾燥)ゾーン56としては、特に限定 はないが、熱風加熱装置(例えば、特開2001-314 799に記載の熱処理装置等)、ヒータ加熱装置 が使用できる。熱風加熱する場合、加熱ム を抑制する上で、熱風の風速は1m/秒以下と ることが好ましい。

 乾燥工程の下流には、塗布層を硬化させ 工程として、熱線や活性エネルギー線(紫外 線や電子線など)により塗布層を硬化又は架 させる。硬化方法としては、硬化性化合物 種類に応じて選択できるが、例えば、紫外 照射装置58が使用される。この紫外線照射に より、所望の硬化、架橋を形成できるように なっている。

 また素材によっては熱で硬化するための 処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を うこともある。または、上記塗布層を形成 た透明支持体12を巻き取った後、別工程で ーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこ もある。そして、この下流に設けられた巻 り機60により、反射防止膜が形成された透明 支持体12が巻き取られるようになっている。

 透明支持体12上に逐次塗布を行い2層以上 塗布層を形成させる場合には、これらを連 で行う(巻き取らず、塗布、乾燥工程を繰り 返し、最終的に巻き取る)ことが生産上は好 しい。

 以上説明したように、本発明に係る多層 フィルム及びその製造方法を採用すること より、透明支持体上に異なる機能(組成の違 いによる屈折率変化等)を有する多層膜を1回 塗布で容易に形成できる。これにより、屈 率の異なる光干渉層を備えた反射防止フィ ムを生産効率よく製造することができる。

 なお、本実施形態では、2種類のポリマー を溶媒に溶解させた溶液を用いて2層の膜構 を形成する例で説明したが、3種類以上の複 のポリマー(或いはモノマー)を溶媒に溶解 せた溶液を用いて3層以上の多層膜を形成す こともできる。

 本発明に係る多層膜は、以下に述べる反 防止フィルムの好ましい実施態様において 防眩層、低屈折率層、中屈折率層、高屈折 層のうち任意の組み合わせを構成すること できる。

 即ち、反射防止フィルムは、透明支持体 に単層から複数層の光干渉層からなる反射 止層が最表面に設けられ、必要に応じてハ ドコート層、防眩層が透明支持体と光干渉 の間に設けられる。中でも、防眩層と反射 止層の両方を具備したものを防眩性反射防 フィルムという。

 透明支持体上に防眩層、低屈折率層を積 した層構成からなる防眩性反射防止フィル は、以下を満足する屈折率を有する様に設 される。防眩層>低屈折率層の屈折率、ま た又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコ ート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズ は、防眩層にあったヘイズとすることが好ま しい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬 試験でH以上であることが好ましく、2H以上 あることがさらに好ましく、3H以上であるこ とが最も好ましい。

 透明支持体上にハードコート層を設け、 屈折率層を積層した層構成からなるクリア 反射防止膜以下を満足する屈折率を有する に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折 率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハ ードコート層を設けてもよい。反射防止膜の ヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以 がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400 従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ま しく、2H以上であることがさらに好ましく、3 H以上であることが最も好ましい。

 もしくは透明支持体上に防眩層を設け、 屈折率層、低屈折率層を積層した層構成か なる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折 を有する様に設計される。高屈折率層の屈 率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の 折率。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあ たヘイズとすることが好ましい。又膜の強 は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であ ることが好ましく、2H以上であることがさら 好ましく、3H以上であることが最も好まし 。

 もしくは透明支持体上にハードコート層を け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層 成からなる防眩性反射防止膜以下を満足す 屈折率を有する様に設計される。高屈折率 の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折 層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、5%以下 あることが好ましく、3%以下がさらに好まし 。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試 験でH以上であることが好ましく、2H以上であ ることがさらに好ましく、3H以上であること 最も好ましい。
〔高屈折率層及び中屈折率層〕
 高屈折率層の屈折率は、-般に1.70~2.20である 。高屈折率層の厚さは、5nm~10μmであることが 好ましく、10nm~1μmであることがさらに好まし い。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈 折率と高屈折率層の屈折率との間の値となる ように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.5 0~1.70であることが好ましい。
〔低屈折率層〕
 低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層 て成る。低屈折率層の屈折率は1.20~1.55であ 。好ましくは1.30~1.50である。耐擦傷性、防 性を有する最外層として構築することが好 しい。耐擦傷性を大きく向上させる手段と て表面への滑り性付与が有効で、従来公知 シリコーンの導入、フッ素の導入等から成 薄膜層の手段を適用できる。含フッ素化合 の屈折率は1.35~1.50であることが好ましい。 り好ましくは1.36~1.47である。

 低屈折率層の膜厚は、30~200nmであることが ましく、50~150nmであることがさらに好ましく 、60~120nmであることが最も好ましい。
〔反射防止フィルムの他の層〕
 さらに、ハードコート層、前方散乱層、プ イマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層 を設けてもよい。
(ハードコート層)
 ハードコート層は、反射防止フィルムに物 強度を付与するために、透明支持体に設け 。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間 設けることが好ましい。

 ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化 性化合物の架橋反応、又は、重合反応により 形成されることが好ましい。

 硬化性官能基としては、光重合性官能基が ましく、又加水分解性官能基含有の有機金 化合物は有機アルコキシシリル化合物が好 しい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率 層で例示したと同様のものが挙げられる。ハ ードコート層の具体的な構成組成物としては 、例えば、特開2002-144913号公報、同2000-9908号 報、WO0/46617号公報等記載のものが挙げられ 。

 高屈折率層はハードコート層を兼ねること できる。このような場合、高屈折率層で記 した手法を用いて微粒子を微細に分散して ードコート層に含有させて形成することが ましい。ハードコート層は、平均粒径0.2~10 mの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア 機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることも できる。ハードコート層の膜厚は用途により 適切に設計することができる。ハードコート 層の膜厚は、0.2~10μmであることが好ましく、 より好ましくは0.5~7μmである。ハードコート の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、 H以上であることが好ましく、2H以上であるこ とがさらに好ましく、3H以上であることが最 好ましい。又、JISK5400に従うテーバー試験 、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど ましい。
(前方散乱層)
 前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場 の、上下左右方向に視角を傾斜させたとき 視野角改良効果を付与するために設ける。 記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒 を分散することで、ハードコート機能と兼 ることもできる。例えば、前方散乱係数を 定化した特開11-38208号公報、透明樹脂と微 子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000-199 809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開 2002-107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
 反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグ ア機能を有していてもよい。アンチグレア 能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成する とにより得られる。反射防止膜がアンチグ ア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズ 、3~30%であることが好ましく、5~20%であるこ とがさらに好ましく、7~20%であることが最も ましい。反射防止膜表面に凹凸を形成する 法は、これらの表面形状を充分に保持でき 方法であればいずれの方法でも適用できる 例えば、本発明に係る多層膜の形成方法の かにも、低屈折率層中に微粒子を使用して 表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開200 0-271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折 層、中屈折率層又はハードコート層)に比較 大きな粒子(粒径0.05~2μm)を少量(0.1~50質量%) 加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれ の形状を維持して低屈折率層を設ける方法( えば、特開2000-281410号公報、同2000-95893号公 、同2001-100004号公報、同2001-281407号公報等) 最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に 凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス 工方法として、特開昭63-278839号公報、特開 11-183710号公報、特開2000-275401号公報等記載) が挙げられる。

 本実施形態では、主に、反射防止フィル に本発明を適用する例で説明したが、これ 限定されることはなく、例えば、防眩性フ ルム、偏光板、光学補償フィルム等の光学 機能性フィルムシート、熱現像感剤、ナノ 子等を含む機能性フィルム、燃料電池のセ レータフィルム、磁気記録テープ、接着テ プ、バリアフィルム等の製造技術にも適用 能である。なお、支持体としては、多層膜 形成するための溶媒のみが浸透するもので ればいずれでもよい。

 以下、実施例を挙げて本発明の特徴を更に 体的に説明するが、本発明の範囲は以下に す具体例により限定的に解釈されるべきも ではない。
〔実施例1〕
 透明支持体としては、幅1000mm、厚さ80μmの リアセチルセルロース〔フジタック、富士 イルム(株)製〕上に、下記のように調製した 塗布液を、#3.2のワイヤーバーを透明支持体 走行方向と同じ方向に回転させて、上記透 支持体上に連続的に塗布厚み約10μmで塗布し た。そして、室温にて乾燥速度0.6g/m 2 /秒で乾燥した後、60℃で90秒加熱した後、照 600mWの紫外線を4秒間照射することにより、 射防止膜を形成した反射防止フィルムを作 した。
<塗布液の組成>
 溶質成分として、アクリル樹脂、CAP(セルロ ース・アセテート・プロピオネート)、アク ル系紫外線硬化性化合物、光重合開始剤を10 :1.3:10:0.8の重量比で混合した。上記混合した 質成分を、メチルエチルケトン(MEK)の溶媒 溶解させて塗布液を調製した。この塗布液 固形分濃度は0.338質量%であった。また、溶 であるメチルエチルケトンのTAC(透明支持体) に対する浸透速度を図3に示す顕微ラマン測 装置で測定したところ、1.2g/m 2 /秒であった。

 このようにして得られた反射防止フィル の塗布層断面構造をTEM(透過型電子顕微鏡) より観察し、以下の基準で評価した。

   ○…海島が反転した均一な二層構造
   △…一部において二層構造が不均一であ るが製品上問題ないレベル
   ×…海島のみ形成された一層構造
 この結果を表1に示す。
〔実施例2〕
 上記塗布液において、固形分濃度を固定し 、溶媒組成をメチルエチルケトン(MEK):ブタ ールを90:10の質量比の混合溶媒とした以外 実施例1と同様に反射防止フィルムを作製し 塗布層の断面構造をTEMにより観察した。な 、上記混合溶媒のTAC(透明支持体)に対する 透速度は0.8g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔実施例3〕
 塗布液の乾燥速度を0.03g/m 2 /秒とした以外は実施例1と同様に反射防止フ ルムを作製し、塗布層の断面構造をTEMによ 観察した。なお、溶媒のTAC(透明支持体)に する浸透速度は1.2g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔実施例4〕
 塗布液の乾燥速度を5.0g/m 2 /秒とした以外は実施例1と同様に反射防止フ ルムを作製し、塗布層の断面構造をTEMによ 観察した。なお、溶媒のTAC(透明支持体)に する浸透速度は1.2g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔実施例5〕
 塗布液の乾燥速度を6.0g/m 2 /秒とした以外は実施例1と同様に反射防止フ ルムを作製し、塗布層の断面構造をTEMによ 観察した。なお、溶媒のTAC(透明支持体)に する浸透速度は1.2g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔比較例1〕
 上記塗布液において、固形分濃度を固定し 、溶媒組成をメチルエチルケトン:ブタノー ルを80:20の質量比の混合溶媒とした以外は実 例1と同様に反射防止フィルムを作製し、塗 布層の断面構造をTEMにより観察した。なお、 上記混合溶媒のTAC(透明支持体)に対する浸透 度は0.4g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔比較例2〕
 上記塗布液において、固形分濃度を固定し 、溶媒組成をテトラヒドロフラン(THF)に変 した以外は実施例1と同様に反射防止フィル を作製し、塗布層の断面構造をTEMにより観 した。なお、上記溶媒のTAC(透明支持体)に する浸透速度は0.3g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。
〔比較例3〕
 上記透明支持体としてポリエチレンテレフ レート(PET)に変更した以外は実施例1と同様 反射防止フィルムを作製し、塗布層の断面 造をTEMにより観察した。なお、溶媒のPET(透 明支持体)に対する浸透速度は0.03g/m 2 /秒であった。この結果を表1に示す。

 実施例1~5は、透明支持体に対する溶媒の浸 速度について(溶媒の乾燥速度)/(溶媒の透明 支持体への浸透速度)>1を満たす場合であり 、比較例1~3は、浸透速度について(溶媒の乾 速度)/(溶媒の透明支持体への浸透速度)<1 満の場合である。表1に示すように、実施例1 ~5では、いずれも2種類のポリマーが反転した 二層構造が形成されたのに対し、比較例1~3で は、いずれも海島が形成されるのみであり、 二層構造は得られなかった。特に、乾燥速度 を0.03~5.0g/m 2 /秒とした実施例1~4では、透明支持体の変形 の不具合もなく、二層構造が安定に形成さ ることがわかった。
〔実施例6〕
 実施例1において、乾燥中に分離した上下層 が図2のように臨界点をまたぐように、乾燥 度を精密にコントロールした以外は実施例1 同様に、反射防止フィルムを作製した。こ 塗布層の断面構造をTEMにより観察した結果 図6に示す。

 図6に示すように、乾燥速度を図2のよう 臨界点をまたぐように制御することで、上 層で組成比の異なる均一な海島構造が得ら ることがわかった。




 
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