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Title:
METHOD FOR REGENERATING PALLADIUM-CONTAINING METAL LOADED CATALYST, PALLADIUM-CONTAINING METAL LOADED CATALYST AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081792
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for regenerating a palladium-containing metal loaded catalyst which is used for producing an α,β-unsaturated carboxylic acid from an olefin or an an α,β-unsaturated aldehyde. Specifically disclosed is a method for regenerating a palladium-containing metal loaded catalyst which is used for producing an α,β-unsaturated carboxylic acid by oxidizing an olefin or an an α,β-unsaturated aldehyde with a molecular oxygen in a liquid phase. This method comprises a firing step wherein a palladium-containing metal loaded catalyst after use is fired at 150-700˚C in the presence of a molecular oxygen for converting at least a part of palladium into palladium oxide, and a reducing step wherein the palladium oxide obtained in the firing step is reduced.

Inventors:
YAMADA NAOKO (JP)
MIZUTANI KOICHI (JP)
KAWATOU SEIICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074885
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI RAYON CO (JP)
YAMADA NAOKO (JP)
MIZUTANI KOICHI (JP)
KAWATOU SEIICHI (JP)
International Classes:
B01J23/96; B01J23/44; B01J27/057; B01J38/12; C07C51/25; C07C57/045; C07B61/00
Foreign References:
JPH0220293B21990-05-08
JPS531693A1978-01-09
JPS60102939A1985-06-07
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (16th Kowa Bldg.9-20, Akasaka 1-chom, Minato-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 オレフィンまたはα,β-不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造するために使用したパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法において、使用後のパラジウム含有金属担持触媒を、分子状酸素の存在下、150~700℃の温度で焼成処理することによって、パラジウムの少なくとも一部をパラジウム酸化物に変える焼成工程と、焼成処理されて得られたパラジウム酸化物を還元処理する還元工程とを有することを特徴とするパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法。
 前記焼成工程で焼成処理する温度が250~450℃の温度であることを特徴とする請求項1記載の方法。
 前記還元工程で還元処理する温度が-5~150℃の温度であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
 オレフィンまたはα,β-不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造するために使用したパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法において、使用後のパラジウム含有金属担持触媒を鉱酸処理する鉱酸処理工程と、鉱酸処理されたパラジウム含有金属担持触媒を、分子状酸素の存在下、150~700℃の温度で焼成処理する焼成処理工程と、焼成処理されて得られたパラジウム酸化物を還元処理する還元工程とを有することを特徴とするパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法。
 前記焼成工程で焼成処理する温度が250~450℃の温度であることを特徴とする請求項4記載の方法。
 前記還元工程で還元処理する温度が-5~150℃の温度であることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
 オレフィンまたはα,β-不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有金属担持触媒を製造する方法において、請求項1乃至6のいずれかに記載のパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法を用いて、使用後のパラジウム含有金属担持触媒を再生処理することを特徴とするパラジウム含有金属担持触媒の製造方法。
 請求項4乃至6のいずれかに記載のパラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法を用いることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
 請求項8に記載のパラジウム含有金属担持触媒の製造方法により得られる、担持されている金属粒子の勢力範囲の相対偏差が88%以下であるパラジウム含有金属担持触媒。
 オレフィンまたはα,β-不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有金属担持触媒であって、担持されている金属粒子の勢力範囲の相対偏差が88%以下であるパラジウム含有金属担持触媒。
Description:
パラジウム含有金属担持触媒の 生処理方法、パラジウム含有金属担持触媒 よびその製造方法

 本発明は、オレフィンまたはα,β-不飽和 ルデヒドからα,β-不飽和カルボン酸の製造 使用したパラジウム含有金属担持触媒の再 処理方法に関する。

 オレフィンまたはα,β-不飽和アルデヒド 分子状酸素により液相酸化してα,β-不飽和 ルボン酸を製造するための貴金属含有担持 媒として、例えば、特許文献1ではパラジウ ムを含有した触媒、特許文献2ではパラジウ およびテルルを含有した触媒が提案されて る。特許文献3では、担体上に担持された状 で触媒前駆体に含まれる酸化パラジウムを 元するパラジウム含有金属担持触媒の製造 法が提案されている。

 一般的に、触媒は繰り返し使用、或いは 期間使用すると、その性能が徐々に低下し 劣化する傾向がある。劣化するとは、具体 には、触媒成分の昇華・飛散、相転移、相 離、固相反応が進行する化学的変化、シン リングおよび比表面積、細孔構造等の変化 起こる物理的変化、触媒毒の活性点への吸 、反応による触媒被毒、コークの蓄積、無 固形物による被覆のガス拡散阻害、摩耗、 損による機械的破壊などのことを指す。上 パラジウム含有金属担持触媒においてもこ ような劣化により、生成物であるα,β-不飽 カルボン酸の生産性が低下し、経済的見地 ら触媒の継続的使用が困難なものとなる。 た、性能が低下した触媒を新品に取り替え ことは経済的に不利であり、再生処理を行 ことが好ましい。

 しかしながら、特許文献1~3には触媒の再 処理方法についての記載はなく、α,β-不飽 カルボン酸製造用のパラジウム含有金属担 触媒に適した再生処理方法の開発が望まれ いた。

 劣化したパラジウム含有金属担持触媒に対 る再生処理方法として、例えば、特許文献4 ではメタノールおよび窒素の雰囲気という酸 素の存在しない条件下で熱処理した後、水素 ガスを用いて還元する方法が提案されている 。

特開昭56-59722号公報

国際公開第2005/118134号パンフレット

特開2006-167709号公報

特公平2-20293号公報

 しかしながら、特許文献4に記載された触 媒の再生処理方法では性能が十分回復しない という問題があり、より効果的に再生できる 方法が望まれていた。

 本発明の目的は、オレフィンまたはα,β- 飽和アルデヒドからα,β-不飽和カルボン酸 製造に使用したパラジウム含有金属担持触 を効果的に再生できる方法を提供すること ある。

 本発明は、オレフィンまたはα,β-不飽和 ルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化 てα,β-不飽和カルボン酸を製造するために 用したパラジウム含有金属担持触媒の再生 理方法において、使用後のパラジウム含有 属担持触媒を、分子状酸素の存在下、150~700 ℃の温度で焼成処理することによって、パラ ジウムの少なくとも一部をパラジウム酸化物 に変える焼成工程と、焼成処理されて得られ たパラジウム酸化物を還元処理する還元工程 とを有することを特徴とするパラジウム含有 金属担持触媒の再生処理方法である。

 また、本発明は、オレフィンまたはα,β- 飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中 酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造する めに使用したパラジウム含有金属担持触媒 再生処理方法において、使用後のパラジウ 含有金属担持触媒を鉱酸処理する鉱酸処理 程と、鉱酸処理されたパラジウム含有金属 持触媒を、分子状酸素の存在下、150~700℃の 温度で焼成処理する焼成処理工程と、焼成処 理されて得られたパラジウム酸化物を還元処 理する還元工程とを有することを特徴とする パラジウム含有金属担持触媒の再生処理方法 である。

 また、本発明は、オレフィンまたはα,β- 飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中 酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造する めのパラジウム含有金属担持触媒を製造す 方法において、上記のパラジウム含有金属 持触媒の再生処理方法を用いて、使用後の ラジウム含有金属担持触媒を再生処理する とを特徴とするパラジウム含有金属担持触 の製造方法である。

 また、本発明は、上記のパラジウム含有 属担持触媒の製造方法により得られる、担 されている金属粒子の勢力範囲の相対偏差 88%以下であるパラジウム含有金属担持触媒 ある。

 さらに、本発明は、オレフィンまたはα, -不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相 で酸化してα,β-不飽和カルボン酸を製造す ためのパラジウム含有金属担持触媒であっ 、担持されている金属粒子の勢力範囲の相 偏差が88%以下であるパラジウム含有金属担 触媒である。

 本発明によれば、オレフィンまたはα,β- 飽和アルデヒドからα,β-不飽和カルボン酸 製造に使用したパラジウム含有金属担持触 を効果的に再生できる。

 本発明は、オレフィンまたはα,β-不飽和 ルデヒドを分子状酸素によって液相中で酸 してα,β-不飽和カルボン酸を製造するため 使用したパラジウム含有金属担持触媒を、 子状酸素の存在下、150~700℃の温度で焼成処 理することによって、パラジウムの少なくと も一部をパラジウム酸化物に変える焼成工程 と、焼成処理されて得られたパラジウム酸化 物を還元処理する還元工程とを有することを 特徴とするパラジウム含有金属担持触媒の再 生処理方法である。

 本発明の方法で再生させるパラジウム含 金属担持触媒は、貴金属であるパラジウム 必須成分として含有しているが、パラジウ 以外の第二金属成分として貴金属または貴 属以外の金属成分を含んでもよい。このよ な第二金属成分としての貴金属としては、 金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、 、銀、オスミウム等が挙げられる。なかで 、白金、ロジウム、ルテニウム、銀を用い ことが好ましい。また、第二金属成分とし の貴金属以外の金属成分としては、例えば アンチモン、テルル、タリウム、鉛、ビス ス等が挙げられる。なかでも、アンチモン テルル、鉛、モリブデン、ビスマスを用い ことが好ましい。これらの第二金属成分は 1種を用いることも、2種以上を併用するこ もできる。高い触媒活性を発現させる観点 ら、パラジウム含有金属担持触媒に含まれ 金属成分のうち、50質量%以上がパラジウム あることが好ましい。

 また、上記のような本発明のパラジウム含 金属担持触媒は、金属成分が担体に担持さ ている。担体としては、例えば、活性炭、 リカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、 タニアおよびジルコニア等を挙げることが きるが、なかでも、シリカ、チタニア、ジ コニアを用いることが好ましい。担体は、1 種を用いることもでき、異なる物性を有する 同一または異種の複数の担体を併用すること もできる。担体の好ましい比表面積は、担体 の種類等により異なるので一概に言えないが 、シリカの場合、50~1500m 2 /gが好ましく、100~1000m 2 /gがより好ましい。

 担体に対するパラジウムの担持率は、担 前の担体質量に対して、0.1~40質量%が好まし く、0.5~30質量%がより好ましく、1~20質量%がさ らに好ましい。

 本発明の方法で再生させるのはα,β-不飽 カルボン酸を製造するために使用したパラ ウム含有金属担持触媒であるが、最初にα, -不飽和カルボン酸を製造するために用いる 品触媒(パラジウム含有金属担持触媒)の調 は、公知の方法で、例えば特許文献3に記載 方法で行うことができる。以下、新品触媒 好ましい調製方法について述べるが、本発 の対象はこの方法で調製された新品触媒を 用したものに限定されるものではない。

 パラジウム含有金属担持触媒は、例えば 原料としてのパラジウム化合物を担体に担 させ、溶媒中で還元することで製造するこ ができる。第二金属成分を含有させる場合 、原料となる第二金属成分の塩や酸化物等 金属化合物を溶媒中に共存させればよい。

 原料として使用するパラジウム化合物は に限定されないが、例えば、パラジウムの 塩化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、テトラ ンミン錯体およびアセチルアセトナト錯体 が好ましく、パラジウムの、酢酸塩、硝酸 、テトラアンミン錯体およびアセチルアセ ナト錯体がより好ましい。

 パラジウム化合物を溶解させる溶媒とし は、パラジウム化合物を溶解するものであ ば特に限定されず、例えば、水、無機酸類 アルコール類、ケトン類、有機酸類、有機 エステル類、炭化水素類等が使用できる。 機酸類としては、例えば、硝酸、塩酸等が げられる。アルコール類としては、例えば ターシャリーブタノール、シクロヘキサノ ル等が挙げられる。ケトン類としては、例 ば、アセトン、メチルエチルケトン、メチ イソブチルケトン等が挙げられる。有機酸 としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n -酪酸、イソ酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸等が 挙げられる。有機酸エステル類としては、例 えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が 挙げられる。炭化水素類としては、例えば、 ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙 げられる。これらの中でも水、無機酸類、有 機酸類が好ましい。溶媒は1種を用いること 、2種以上の混合溶媒でもよい。

 パラジウム化合物を担体に担持させる方 としては、パラジウム化合物の溶解液に担 を浸漬した後に溶媒を蒸発させる方法、ま は、担体の細孔容積分のパラジウム化合物 溶解液を担体に吸収させた後に溶媒を蒸発 せる、いわゆるポアフィリング法による方 が好ましい。ただし、加熱した担体にパラ ウム化合物の溶解液を噴霧する方法、パラ ウム化合物の溶解液に添加剤を加える方法 どでもよい。

 また、パラジウム化合物を担体に担持さ た後に、加熱処理を行うことが好ましい。 の加熱処理により、パラジウム化合物の少 くとも一部が分解してパラジウム酸化物に った触媒前駆体となる。加熱処理の温度は 使用したパラジウム化合物の分解温度以上 温度が好ましい。具体的には、熱重量測定 置を用いて、パラジウム化合物を空気気流 で室温から5.0℃/分で昇温したとき10質量%減 少する温度以上の温度をパラジウム化合物の 加熱処理温度とすることが好ましい。加熱処 理の温度は使用するパラジウム化合物の種類 により異なるため一概には言えないが、おお よそ150~600℃が好ましい。加熱処理の時間は パラジウム化合物がパラジウム酸化物とな 時間であれば特に限定されないが、1~12時間 好ましい。加熱処理方法としては、特に限 されず、静置式、回転式等が挙げられる。

 以上のようにして製造された触媒前駆体 還元することで、パラジウム含有金属担持 媒を得ることができる。

 還元に用いる還元剤は特に限定されない 、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド 水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻 の塩、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2- ブテン、イソブチレン、1,3-ブタジエン、1-ヘ プテン、2-ヘプテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン 、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタ リルアルコール、1,2-エタンジオール、アク レインおよびメタクロレイン等が挙げられ 。これらの中でも水素、ヒドラジン、ホル アルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩、1,2-エタンジ ールが好ましい。これらを2種以上併用する こともできる。

 還元剤が気体の場合、触媒前駆体の還元 行う装置に制限はなく、例えば、触媒前駆 に還元剤を流通させることで行うことがで る。

 また、還元剤が液体の場合、触媒前駆体 還元を行う装置に制限はなく、例えば、触 前駆体を分散したスラリー中に還元剤を添 することで行うことができる。この時の還 剤の使用量は特に限定されないが、原料と て用いたパラジウム化合物1モルに対して1 ル以上、100モル以下とすることが好ましい

 還元温度および還元時間は、用いるパラ ウム化合物や還元剤等により異なるが、還 温度は-5~150℃が好ましく、15~80℃がより好 しい。還元時間は0.1~4時間が好ましく、0.25~3 時間がより好ましく、0.5~2時間がさらに好ま い。

 液体の還元剤を使用して還元を行った場 など、還元して得られたパラジウム含有金 担持触媒が液体により浸漬または湿潤して る場合には、ろ過、遠心分離、沈降分離、 燥等の固液分離手段により触媒と液体を分 することもできる。固液分離手段は、例え 、吸引ろ過した後に乾燥する等の2つ以上の 手段の組合せでもよい。

 第二金属成分を含有するパラジウム含有 属担持触媒を製造する場合、その担持方法 しては特に限定されないが、対応する第二 属成分の塩や酸化物等の金属化合物をパラ ウムの溶解液に共存させることもでき、ま 、パラジウム化合物を担持する前に担持す こともでき、パラジウム化合物を担持した に担持することもできる。さらに、パラジ ム化合物を担持して還元した後に担持する ともできる。

 得られたパラジウム含有金属担持触媒は 水、有機溶媒等で洗浄することが好ましい 水、有機溶媒等での洗浄により、例えば、 化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の原料金 化合物由来の不純物が除去される。洗浄の 法および回数は特に限定されないが、不純 によってはオレフィンまたはα,β-不飽和ア デヒドの液相酸化反応を阻害する恐れがあ ため、不純物を十分除去できる程度に洗浄 ることが好ましい。洗浄された触媒は、ろ または遠心分離などにより回収した後、そ まま反応に用いてもよい。

 また、回収された触媒を乾燥してもよい 乾燥方法は特に限定されないが、乾燥機を いて空気中または不活性ガスで乾燥するこ が好ましい。乾燥された触媒は、必要に応 て反応に使用する前に活性化することもで る。活性化の方法には特に限定されないが 例えば、水素気流中の還元雰囲気下で加熱 理する方法が挙げられる。この方法によれ 、パラジウム表面の酸化被膜と洗浄で取り けなかった不純物を除去することができる

 次に、上記の方法で得られた新品のパラ ウム含有金属担持触媒を用いてα,β-不飽和 ルボン酸を製造する方法を述べる。α,β-不 和カルボン酸の製造は、公知の方法、例え 特許文献2などに記載の方法で行うことがで きる。

 α,β-不飽和カルボン酸の製造方法として 、液相中で、原料であるオレフィンまたは ,β-不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化し 、α,β-不飽和カルボン酸とする反応を、パ ジウム含有金属担持触媒の存在下で行う。 述する本発明の再生処理方法を実施する前 、新品のパラジウム含有金属担持触媒の存 下で行う方法が好ましいが、液相酸化反応 使用して性能が低下した触媒や本発明とは の方法で再生処理した触媒の存在下で行っ もよい。本発明の再生処理方法を実施した は、再生処理されたパラジウム含有金属担 触媒の存在下で行うこともできる。その際 は、例えば、新品のパラジウム含有金属担 触媒、液相酸化反応に使用して性能が低下 た触媒、本発明とは別の方法で再生処理し 触媒等も存在させることができる。

 α,β-不飽和カルボン酸の原料としてのオ フィンは、例えば、プロピレン、イソブチ ン、2-ブテン等が挙げられる。また、α,β- 飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロ イン、メタクロレイン、クロトンアルデヒ (β-メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒ ド(β-フェニルアクロレイン)等が挙げられる 原料のオレフィンまたはα,β-不飽和アルデ ドには、不純物として飽和炭化水素および/ または低級飽和アルデヒド等が少々含まれて いてもよい。

 製造されるα,β-不飽和カルボン酸は、原 がオレフィンの場合、オレフィンと同一炭 骨格を有するα,β-不飽和カルボン酸であり 原料がα,β-不飽和アルデヒドの場合、α,β- 飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキ ル基となったα,β-不飽和カルボン酸である 具体的には、原料がプロピレンまたはアク レインの場合はアクリル酸が得られ、原料 イソブチレンまたはメタクロレインの場合 メタクリル酸が得られる。

 液相酸化反応に用いる分子状酸素源には 空気が経済的であり好ましいが、純酸素ま は純酸素と空気の混合ガスを用いることも き、必要であれば、空気または純酸素を窒 、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガ を用いることもできる。この空気等のガス 、オートクレーブ等の反応容器内に加圧状 で供給される。

 液相酸化反応に用いる溶媒は特に限定さ ないが、例えば、水、アルコール類、ケト 類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水 類等が使用できる。アルコール類としては 例えば、ターシャリーブタノール、シクロ キサノール等が挙げられる。ケトン類とし は、例えば、アセトン、メチルエチルケト 、メチルイソブチルケトン等が挙げられる 有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピ ン酸、n-酪酸、イソ酪酸、n-吉草酸、イソ吉 草酸等が挙げられる。有機酸エステル類とし ては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メ チル等が挙げられる。炭化水素類としては、 例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエ ン等が挙げられる。なかでも、炭素数2~6の有 機酸類、炭素数3~6のケトン類、ターシャリー ブタノールが好ましい。溶媒は1種を用いる とも、2種以上の混合溶媒でもよい。また、 ルコール類、ケトン類、有機酸類および有 酸エステル類からなる群から選ばれる少な とも1種を使用する場合は、水との混合溶媒 とすることが好ましい。その際の水の量は特 に限定されないが、混合溶媒の質量に対して 、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ま い。混合溶媒は均一であることが望ましい 、不均一な状態で用いても差し支えない。

 液相酸化反応は連続式、バッチ式のいず の形式で行ってもよいが、生産性を考慮す と工業的には連続式が好ましい。

 液相酸化反応の原料であるオレフィンま はα,β-不飽和アルデヒドの使用量は、溶媒1 00質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0 .5~10質量部がより好ましい。

 分子状酸素の使用量は、原料であるオレ ィンまたはα,β-不飽和アルデヒド1質量部に 対して、0.1~30質量部が好ましく、0.3~25質量部 がより好ましく、0.5~20質量部がさらに好まし い。

 通常、触媒は液相酸化反応を行う反応液 懸濁させた状態で使用されるが、固定床で 用してもよい。触媒の使用量は、反応器内 存在する溶液100質量部に対して、反応器内 存在する触媒として0.1~30質量部が好ましく 0.5~20質量部がより好ましく、1~15質量部がさ らに好ましい。

 液相酸化反応を行う温度および圧力は、 いる溶媒および反応原料によって適宜選択 れる。反応温度は30~200℃が好ましく、50~150 がより好ましい。反応圧力は0~10MPa(ゲージ ;以下圧力は全てゲージ圧表記である)が好ま しく、2~7MPaがより好ましい。

 液相酸化反応に使用して性能が低下した 媒(以下、使用後触媒という)は、反応液と 離した後、再生処理に先立って洗浄溶媒で 媒に付着している物質を再生前に除去する とが好ましい。好ましい洗浄溶媒の例とし は、水、アルコール類、ケトン類、有機酸 、有機酸エステル類、炭化水素類等を挙げ ことができる。また、使用後触媒は乾燥し もよい。乾燥は、常圧下または減圧下で20~20 0℃で行うことが望ましい。雰囲気としては 不活性ガスを用いることもでき、空気など 不活性ガス以外のガスを用いることもでき 。

 上記の使用後触媒の再生処理では、まず 成処理して、その後還元処理する。焼成処 は分子状酸素の存在下で行う。この焼成処 により、パラジウムの少なくとも一部をパ ジウム酸化物に変えることができる。パラ ウムの全部をパラジウム酸化物に変えるよ に焼成処理することが好ましい。焼成処理 法としては、特に限定されず、静置式、回 式等が挙げられる。焼成処理する温度は、1 50~700℃の範囲から選択されるが、250~450℃が り好ましく、280~420℃がさらに好ましく、300~ 400℃が特に好ましい。焼成処理温度は高い程 、触媒表面に吸着した物質をより十分に除去 でき、低い程、触媒中の金属の平均粒子径の 増大を抑えることができる。また、焼成処理 温度は低い程、第二金属成分の揮発が少なく なる。焼成処理時間は、0.5~60時間が好ましく 、1~20時間がより好ましい。

 焼成処理の前に、使用後触媒を鉱酸処理 ることもできる。すなわち、使用後触媒を 酸に浸し、その状態で必要に応じて加熱処 を行う。用いる鉱酸としては、フッ化水素 、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸 硫酸、燐酸、過塩素酸、および過ヨウ化水 酸等が好ましい。鉱酸は水溶液の状態で使 することもでき、その鉱酸水溶液の濃度と ては、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより 好ましい。添加する鉱酸(または鉱酸水溶液) 量としては触媒が十分に浸る程度であれば く、用いる担体により最適量は異なるが、 体の細孔容積の2~5倍量が好ましい。鉱酸処 の温度としては5~100℃が好ましい。鉱酸処 の時間は0.1~10時間が好ましく、0.5~5時間がよ り好ましい。鉱酸処理後、必要であれば水、 有機酸類、エーテル類、ケトン類、アルコー ル類等の添加剤を添加しても構わない。鉱酸 等の触媒分散媒はろ過或いは蒸発させて触媒 を乾燥させてもよい。

 なお、焼成処理に先立って鉱酸処理を行 場合、焼成処理する対象は鉱酸処理した使 後触媒である。焼成処理する温度は180~450℃ が好ましく、200~400℃がより好ましい。

 また、上記のような焼成処理に用いる分 状酸素源には、空気が経済的であり好まし が、純酸素または純酸素と空気の混合ガス 空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水 気等で希釈した混合ガス等の分子状酸素含 ガスを用いることもできる。

 上記焼成処理の後、焼成処理により得ら たパラジウム酸化物を還元処理する。パラ ウム化合物が残存している場合は、そのパ ジウム化合物も同時に還元処理する。還元 に用いる還元剤は還元性物質であれば特に 定されないが、例えば、ヒドラジン、ホル アルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水 、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン 1-ブテン、2-ブテン、イソブチレン、1,3-ブ ジエン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、1-ヘキセ 、2-ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアル コール、メタリルアルコール、1,2-エタンジ ール、アクロレインおよびメタクロレイン が挙げられる。これらの中でもヒドラジン ホルムアルデヒド、水素、蟻酸、蟻酸の塩 プロピレン、アリルアルコール、1,2-エタン オールがより好ましく、ヒドラジン、ホル アルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩、1,2-エタンジ オールがさらに好ましい。これらを2種以上 用することもできる。

 還元剤が気体の場合、焼成処理後の使用 触媒に還元剤を流通させることで行うこと できる。この時の還元剤の使用量は特に限 されないが、使用後触媒中のパラジウム1モ ルに対して1モル以上、100モル以下とするこ が好ましい。

 また、還元剤が液体の場合、焼成処理後 使用後触媒を分散したスラリー中に還元剤 添加することで行うことができる。この時 還元剤の使用量は特に限定されないが、使 後触媒中のパラジウム1モルに対して1モル 上、100モル以下とすることが好ましい。

 還元温度および還元時間は、用いる還元 等により異なるが、還元温度は-5~150℃が好 しく、15~80℃がより好ましい。還元時間は0. 1~4時間が好ましく、0.25~3時間がより好ましく 、0.5~2時間がさらに好ましい。

 使用後触媒は、新品触媒に比べて金属の 均粒子径が増大することがある。また、パ ジウムの他に1種以上の第二金属成分を含有 する場合、金属としての、パラジウム(Pd)に する第二金属成分(M)の表層組成比(M/Pd、モル 比)が変化することがある。しかしながら、 記の方法により使用後触媒を再生処理する とで、増大していた使用後触媒中の金属の 均粒子径を減少させて使用前の触媒(新品触 )中の金属の平均粒子径に近づけることがで き、金属粒子の担体上での分散性を向上させ ることができる。また、第二金属成分を含有 する場合には、さらに使用前の触媒(新品触 )の表層組成比に近づけることができる。

 再生処理により使用後触媒の触媒中の金 の平均粒子径を新品触媒に近づけることが きる理由としては、焼成処理を行うことに り、金属状態のパラジウムが分子状酸素に り一度パラジウム酸化物になり、還元剤に って再び金属状態に還元される際に再分散 れるためと推定される。また、使用後触媒 表面組成比を新品触媒に近づけることがで る理由としては、焼成処理の際に金属成分 原子移動するためと推定される。

 また、鉱酸処理を行ったことによる効果 あるとも考えられる、すなわち、鉱酸処理 行うことで触媒中の金属粒子は一旦鉱酸へ 溶解し、触媒中の金属の平均粒子径の増大 解消する。次いで焼成処理によって、金属 態のパラジウム等が分子状酸素により一度 属酸化物となる際に再分散される。さらに 元処理によって結晶構造の再構築が行われ ので、触媒中の金属の平均粒子径が減少す と考えられる。また、第二金属成分を含有 る場合、焼成処理の際に、合金相を形成、 二金属成分が内部へと原子移動する等が推 されるが、詳細は不明である。

 なお、触媒中の金属の平均粒子径は1.0~8.0 nmが好ましく、2.0~7.0nmがより好ましい。

 また、触媒として好ましい表層組成比(M/P d、モル比)は、用いる第二金属成分により異 るので一概には言えないが、0.02~0.30が好ま く、0.05~0.25がより好ましい。

 以上のような再生処理によって、使用後 媒のα,β-不飽和カルボン酸の生産性を向上 せることができる。

 再生処理によって得られたパラジウム含 金属担持触媒の金属粒子の分散性は高い方 好ましい。本発明では、鉱酸処理を行うこ によって、分散性をさらに高めることがで る。金属粒子の粒子分散性の指標である金 粒子の勢力範囲の相対偏差は、95%以下が好 しく、90%以下がより好ましく、88%以下が特 好ましい。金属粒子の勢力範囲の相対偏差 88%以下の触媒は、使用後触媒を鉱酸処理し 焼成処理し、還元処理することにより製造 ることができる。このような触媒は従来の 品触媒の製造方法では得られないものであ 。この金属粒子の勢力範囲の相対偏差は、 のようにして算出できる。

 試料である触媒の超薄切片を作製し、こ を透過型電子顕微鏡で検鏡し、画像を5視野 以上撮影する。撮影した画像は、画像解析ソ フトを用いて解析し、金属粒子の勢力範囲の 平均値と標準偏差を求める。相対偏差は、こ のようにして得られた標準偏差を平均値で除 したものである。

 以下、本発明について実施例、比較例を げてさらに具体的に説明するが、本発明は 施例に限定されるものではない。下記の実 例および比較例中の「部」は質量部である

 (XPSスペクトルの測定)
 触媒中の金属成分の表層組成比は、X線光電 子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)で測 を行った。

 さらに具体的な測定方法を以下に示す。 末試料をメノウ乳鉢で粉砕した。これを導 性カーボンテープに塗布し、X線光電子分光 装置(VG製、ESCA LAB220iXL(商品名))のX線が照射 れる場所に設置した。この試料にAlKα線をモ ノクロ線源で照射し、試料から放出される光 電子を集光してXPSスペクトルを得た。

 (触媒表層の第二金属成分(M)とパラジウム金 属とのモル比(M/Pd)の算出)
 触媒の表層に存在する第二金属成分とパラ ウム金属のXPSスペクトルのピークエリア比 ら見積もった。具体的には、解析ソフト(Ecl ips(商品名))を用いて、各元素に対するピーク エリア比から、原子数%を算出した。このと 、触媒中に含まれる元素の原子数%の合計は1 00とした。算出した原子数%から、第二金属成 分(M)とパラジウム金属の比をとり、モル比(M/ Pd)とした。

 (触媒中の金属の平均粒子径の測定)
 触媒中の金属の平均粒子径の測定には、透 型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electro Microscope) 行い、得られた画像から金属の粒子径を見 もり、それらの平均粒子径を算出した。

 さらに具体的な測定方法の例を以下に示 。試料となる触媒をSuppr Resin法にてポリプ ピレン製カプセルに包埋し、ミクロトーム( Leica製、ULTRACUT-S(商品名))にて超薄切片を作製 した。これを透過型電子顕微鏡(HITACHI製、H-76 00(商品名))で検鏡し、5視野の画像を撮影した 。撮影した画像は、画像解析ソフトImage Pro  Plus(商品名)を用い、各試料について100個以上 の金属粒子について、各々粒子径を測定した 。得られた金属の粒子径の平均値を、金属の 平均粒子径とした。

 (金属粒子の勢力範囲の相対偏差の測定)
 「触媒中の金属の平均粒子径の測定」と同 にして5視野の画像を撮影した。撮影した画 像は、画像解析ソフトImage Pro Plus(商品名)を 用いて解析し、金属粒子の勢力範囲の平均値 と標準偏差を求めた。相対偏差は、このよう にして得られた標準偏差を平均値で除して算 出した。

 (α,β-不飽和カルボン酸の製造における原料 および生成物の分析)
 α,β-不飽和カルボン酸の製造における原料 よび生成物の分析はガスクロマトグラフィ を用いて行った。なお、生成するα,β-不飽 カルボン酸の選択率、生成するα,β-不飽和 ルボン酸の生産性は以下のように定義され 。
α,β-不飽和カルボン酸の選択率(%)=(A/B)×100
α,β-不飽和カルボン酸の生産性(g/(g×h))=C/(D×E )
ここで、Aは生成したα,β-不飽和カルボン酸 モル数、Bは反応したオレフィンのモル数、C は生成したα,β-不飽和カルボン酸の質量(g)、 Dは使用した触媒の中に含まれる貴金属の質 (g)、Eは反応時間(h)である。

 [参考例1]
 (新品触媒の調製)
 硝酸パラジウム(II)硝酸溶液(Pd含有率23.14質 %)215.8部(Pd50部)に少量の純水で溶解させたテ ルル酸16.2部(Te/Pd仕込みモル比は、0.15)および 純水500部を加えた混合溶液を調製した。シリ カ担体(比表面積450m 2 /g、細孔容積0.68cc/g)250部に上記混合溶液を浸 させた後にエバポレーターを用い、減圧下 40℃、3時間かけて溶媒を蒸発させた。その 、空気中200℃で3時間加熱処理を行った。得 られた触媒前駆体に37質量%ホルムアルデヒド 水溶液500部を加えた。70℃に加熱し、2時間攪 拌保持し、吸引ろ過後純水で洗浄して、パラ ジウム含有金属担持触媒を得た。この触媒に おけるパラジウムの担持率は、20質量%である 。

 (新品触媒の物性評価)
 上記方法によって、新品触媒の物性評価を ったところ、表層におけるTe/Pdは0.21であり 触媒中の金属の平均粒子径は4.8nmであった

 (バッチ反応評価)
 オートクレーブに上記の方法で得たパラジ ム含有金属担持触媒3.0部と反応溶媒として7 5質量%t-ブタノール水溶液100部を入れ、オー クレーブを密閉した。次いで、イソブチレ を6.5部導入し、攪拌(回転速度1000rpm)を開始 、90℃まで昇温した。昇温完了後、オートク レーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧 縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応中に内 圧が0.15MPa低下した時点で、酸素を導入して 圧を0.15MPa昇圧する操作を繰り返した。10回 の酸素導入後、内圧が0.15MPa低下した時点で 応を終了した。このときの反応時間は77分 あった。

 反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を 冷した。オートクレーブのガス出口にガス 集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出て るガスを回収しながら反応器内の圧力を開 した。オートクレーブから触媒入りの反応 を取り出し、メンブランフィルターで触媒 分離して、反応液だけを回収した。回収し 反応液と捕集したガスはガスクロマトグラ ィーにより分析した。結果を表1に示す。

 (連続反応)
 上記の反応評価は短時間のバッチ形式で実 したために、触媒は僅かしか劣化しない。 こで、触媒の再生効果をより明確にするた に、連続形式で反応を実施し、その使用後 媒を用いることにした。連続形式の反応方 は次の通りである。

 連続式のオートクレーブに上記の方法で られた新品のパラジウム含有金属担持触媒 反応溶媒として75質量%t-ブタノール水溶液 入れ、新品触媒のバッチ反応評価と同様の 件で、イソブチレン転化率が反応初期段階 イソブチレン転化率のほぼ50%になるまで、 濁床にて、イソブチレンの液相酸化反応に るメタクリル酸合成反応を行った。その後 使用後触媒は抜き取り、ろ過、分離して風 した。

 (使用後触媒の物性評価)
 上記方法によって、連続反応により劣化し 使用後触媒の物性評価を行ったところ、表 におけるTe/Pdは0.33であり、触媒中の金属の 均粒子径は7.4nmであった。

 [実施例1]
 (触媒再生処理)
 参考例1の連続反応で得られた使用後触媒3.0 部を、空気中350℃で3時間焼成処理を行った 得られた焼成処理品に37質量%ホルムアルデ ド水溶液10部を加えた。70℃に加熱し、2時間 攪拌保持する還元処理を行った。その後、吸 引ろ過および純水で洗浄して、再生処理を行 ったパラジウム含有金属担持触媒を得た。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.19であり、触媒中の金属の平均粒子径は5.0n mであった。

 (バッチ反応評価)
 反応時間を120分とした以外は、参考例1と同 様の方法でバッチ反応評価を行った。結果を 表1に示す。

 [実施例2]
 (触媒再生処理)
 空気中400℃で焼成処理を行った以外は、実 例1と同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって、再生処理を行った触媒 物性評価を行ったところ、表層におけるTe/P dは0.17であり、触媒中の金属の平均粒子径は4 .9nmであった。

 (バッチ反応評価)
 実施例1と同様の方法で行った。結果を表1 示す。

 [実施例3]
 (触媒再生処理)
 空気中200℃で焼成処理を行った以外は、実 例1と同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって、再生処理を行った触媒 物性評価を行ったところ、表層におけるTe/P dは0.27であり、触媒中の金属の平均粒子径は5 .9nmであった。

 (バッチ反応評価)
 実施例1と同様の方法で行った。結果を表1 示す。

 [比較例1]
 (バッチ反応評価)
 参考例の連続反応に使用した使用後触媒を 媒として用いた以外は、実施例1と同様の方 法で行った。結果を表1に示す。

 以上のように、本発明の方法により再生 た触媒は、高いα,β-不飽和カルボン酸の生 性を有していた。特に、焼成処理の温度が2 50~450℃の実施例1および2の方法により再生し 触媒は、新品同等のα,β-不飽和カルボン酸 生産性を有していた。

 [参考例2]
 (新品触媒の調製)
 硝酸パラジウム(II)硝酸溶液(Pd含有率23.14質 %)215.8部(Pd50部)に少量の純水で溶解させたテ ルル酸0.36部(Te/Pd仕込みモル比は、0.05)および 純水500部を加えた混合溶液を調製した。シリ カ担体(比表面積450m 2 /g、細孔容積0.68cc/g)250部に上記混合溶液を浸 させた後にエバポレーターを用い、減圧下 40℃、3時間かけて硝酸水溶液の触媒分散媒 蒸発させた。その後、空気中200℃で3時間加 熱処理を行った。得られた触媒前駆体に37質 %ホルムアルデヒド水溶液500部を加えた。70 に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後純 水で洗浄して、新品のパラジウム含有金属担 持触媒を得た。この触媒におけるパラジウム の担持率は、20質量%である。

 (新品触媒の物性評価)
 上記方法によって、新品触媒の物性評価を ったところ、表層におけるTe/Pdは0.07であり 触媒中の金属の平均粒子径は4.7nmであり、 属粒子の勢力範囲の相対偏差は90.0%であった 。

 (バッチ反応評価)
 オートクレーブに上記の方法で得た新品の ラジウム含有金属担持触媒0.6部と反応溶媒 して75質量%t-ブタノール水溶液100部を入れ オートクレーブを密閉した。次いで、イソ チレンを8.4部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を 始し、110℃まで昇温した。昇温完了後、オ トクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した 、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応 に内圧が0.1MPa低下した時点(内圧4.7MPa)で、酸 素を0.1MPa導入する操作を繰り返した。導入直 後の圧力は4.8MPaである。11回目の酸素導入後 内圧が0.15MPa低下した時点で反応を終了した 。このときの反応時間は203分であった。

 反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を 冷した。オートクレーブのガス出口にガス 集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出て るガスを回収しながら反応器内の圧力を開 した。オートクレーブから触媒入りの反応 を取り出し、メンブランフィルターで触媒 分離して、反応液だけを回収した。回収し 反応液と捕集したガスをガスクロマトグラ ィーにより分析した。結果を表2に示す。

 (連続反応)
 上記の反応評価は短時間のバッチ形式で実 したために、触媒は僅かしか劣化しない。 こで、触媒の再生効果をより明確にするた に、連続形式で反応を実施し、その使用後 媒を用いることにした。連続形式の反応方 は次の通りである。

 連続式のオートクレーブに上記の方法で られた新品のパラジウム含有金属担持触媒 反応溶媒として75質量%t-ブタノール水溶液 入れ、新品触媒のバッチ反応評価と同様の 件で、イソブチレン転化率が反応初期段階 イソブチレン転化率のほぼ50%になるまで、 濁床にて、イソブチレンの液相酸化反応に るメタクリル酸合成反応を行った。その後 劣化した使用後触媒を抜き取り、ろ過、分 して風乾した。

 (使用後触媒の物性評価)
 上記方法によって、連続反応により劣化し 使用後触媒の物性評価を行ったところ、表 におけるTe/Pdは0.08であり、触媒中の金属の 均粒子径は5.8nmであり、金属粒子の勢力範 の相対偏差は95.8%であった。

 [実施例4]
 (触媒再生処理)
 参考例2の連続反応で得られた使用後触媒を 再生処理に先立って乾燥した。その後、使用 後触媒0.6部に61質量%硝酸水溶液1部を加え、60 ℃に加熱し、30分間攪拌保持する硝酸処理を った。その後、エバポレーターを用いて、 圧下で60℃、3時間かけて硝酸水溶液の触媒 散媒を蒸発させた。その後、空気中350℃で3 時間の焼成処理を行った。得られた焼成処理 品に37質量%ホルムアルデヒド水溶液10部を加 、70℃に加熱して2時間攪拌保持する還元処 を行った。その後、吸引ろ過および純水で 浄して、再生処理を行ったパラジウム含有 属担持触媒を得た。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.06であり、触媒中の金属の平均粒子径は3.9n mであり、金属粒子の勢力範囲の相対偏差は85 .7%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 [実施例5]
 (触媒再生処理)
 焼成処理を200℃で行った以外は、実施例4と 同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.07であり、触媒中の金属の平均粒子径は4.2n mであり、金属粒子の勢力範囲の相対偏差は86 .4%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 [実施例6]
 (触媒再生処理)
 61質量%硝酸水溶液の代わりに王水を用いた 水処理を用い、焼成処理を600℃で行った以 は、実施例5と同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.07であり、触媒中の金属の平均粒子径は4.0n mであり、金属粒子の勢力範囲の相対偏差は84 .1%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 [実施例7]
 (触媒再生処理)
 焼成処理を600℃で行った以外は、実施例4と 同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.07であり、触媒中の金属の平均粒子径は4.2n mであり、金属粒子の勢力範囲の相対偏差は86 .6%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 [比較例2]
 (触媒再生処理)
 焼成処理を行わないこと以外は、実施例4と 同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記再生処理を行った触媒の物性評価を行 たところ、表層におけるTe/Pdは0.08であり、 媒中の金属の平均粒子径は4.6nmであり、金 粒子の勢力範囲の相対偏差は99.5%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 [比較例3]
 (触媒再生処理)
 焼成処理を120℃で行ったこと以外は、実施 4と同様の方法で行った。

 (再生処理を行った触媒の物性評価)
 上記方法によって再生処理を行った触媒の 性評価を行ったところ、表層におけるTe/Pd 0.07であり、触媒中の金属の平均粒子径は4.5n mであり、金属粒子の勢力範囲の相対偏差は96 .2%であった。

 (バッチ反応評価)
 上記再生処理を行った触媒を用いること以 は、参考例2と同様の方法でバッチ反応評価 を行った。結果を表2に示す。

 以上のように、本発明によれば、オレフ ンまたはα,β-不飽和アルデヒドからα,β-不 和カルボン酸の製造に使用したパラジウム 有金属担持触媒を、新品同等或いは新品よ 高いα,β-不飽和カルボン酸の生産性へと賦 させることができる。