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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PURIFYING SUBSTANCE AND APPARATUS FOR PURIFYING SUBSTANCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081886
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of purification which comprises immersing a cooled object in a molten substance and crystallizing the substance on the surface of the cooled object to grow the crystal. While being rotated at a peripheral speed of 700-8,000 mm/s, excluding 8,000 mm/s, the cooled object is lowered and immersed in the molten substance. The temperature of the cooled object in the state of being immersed in the molten substance is regulated to at least [(solidus temperature of the substance)x0.7].

Inventors:
YOSHIDA KATUOKI (JP)
HAGIWARA YASUHISA (JP)
MIYATE YUKIHIRO (JP)
MURAOKA AKIFUMI (JP)
HOSONO UREMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073253
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
YOSHIDA KATUOKI (JP)
HAGIWARA YASUHISA (JP)
MIYATE YUKIHIRO (JP)
MURAOKA AKIFUMI (JP)
HOSONO UREMU (JP)
International Classes:
C22B21/06; C22B9/02
Foreign References:
JP2001226721A2001-08-21
JPH09188512A1997-07-22
JPH11172345A1999-06-29
JPS613385B21986-01-31
JP3674322B22005-07-20
Other References:
See also references of EP 2226402A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Yoshihito et al. (4-26 Minamisemba 3-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 81, JP)
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Claims:
溶融物質中に冷却体を浸漬し、その冷却体の表面に前記物質の結晶を晶出、成長させる精製法において、
前記冷却体の周速が700mm/s以上8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら溶融物質中に浸漬させていき、且つ溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、前記物質の固相線温度×0.7以上とすることを特徴とする物質精製法。
冷却体の周速を1500mm/s以上6000mm/s未満とする請求項1に記載の物質精製法。
前記冷却体の表面に前記物質の結晶を晶出、成長させた後に冷却体を溶融物質から引き上げるときに、冷却体に晶出した結晶部分の溶融物質との界面における周速が700mm/s以上、8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら引き上げを行う請求項1または2に記載の物質精製法。
冷却体に晶出した結晶部分の溶融物質との界面における周速が1500mm/s以上、7000mm/s未満となるように冷却体を回転させる請求項3に記載の物質精製法。
溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、前記物質の固相線温度×0.8以上とする請求項1~4の何れかに記載の物質精製法。
溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、前記物質の固相線温度×0.9以上とする請求項1~4の何れかに記載の物質精製法。
冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大周速がその後の平均周速より高速である請求項1~6の何れかに記載の物質精製法。
冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大周速がその後の平均周速×1.1以上である請求項7に記載の物質精製法。
精製初期とは精製開始から全精製時間×0.1まで(但し、10秒以上120秒以下)である請求項7または8に記載の物質精製法。
前記物質が金属である請求項1~9のいずれかに記載の物質精製法。
前記金属がアルミニウムである請求項10に記載の物質精製法。
精製すべき物質を溶融状態で収容する炉体と、前記炉体に収容された溶融物質中に浸漬される回転可能な冷却体とを備えた精製装置において、
前記冷却体の周速が700mm/s以上8000mm/s未満に設定され、かつ冷却体の温度が前記物質の固相線温度×0.7以上に設定された状態で、冷却体が前記溶融物質中に浸漬されるものとなされていることを特徴とする物質精製装置。
 冷却体の温度が前記物質の固相線温度×0.8以上に設定される請求項12に記載の物質精製装置。
 冷却体の温度が前記物質の固相線温度×0.9以上に設定される請求項12に記載の物質精製装置。
 精製初期の冷却体の最大周速がそれ以降の平均周速よりも大きくなるように、冷却体の回転速度を制御する制御手段を備えている請求項12に記載の物質精製装置。
 前記制御手段は、精製初期の冷却体の最大周速がそれ以降の平均周速×1.1以上となるように冷却体の回転速度を制御する請求項15に記載の物質精製装置。
 前記精製初期が、精製開始から全精製時間×0.1までである請求項15または16に記載の物質精製装置。
Description:
物質精製法及び物質精製装置

 この発明は金属等の物質の精製法及び装 に関し、更に詳しく言えば、偏析凝固法の 理を利用して、共晶不純物を含む物質から 共晶不純物の含有量を元の物質よりも少な し、高純度の物質を精製する方法と装置に する。

 アルミニウム中に不純物、特にアルミニ ムと共晶を生成するFe、Si、Cu等の不純物が まれている場合、これらの不純物を除去し 高純度のアルミニウムを得るためには、こ アルミニウムを溶融し、これを冷却して凝 させる際の初晶アルミニウムを選択的に取 出すことが効果的であるという原理は周知 ある。

 従来から上記原理を利用した種々のアル ニウムの精製法が提案されている。例えば 特許文献1には、冷却体の外周部と溶融アル ミニウムとの相対速度が1600mm/s~8000mm/sとなる うに冷却体を回転させることによって、凝 界面近傍の不純物の濃縮層を薄くし、精製 ルミニウムの純度を高くすることが提案さ ている。

 また、特許文献2には、冷却体を中心に冷却 体の周囲で溶融アルミニウムに働く遠心加速 度が0.01m/s2以上1500m/s2以下になるよう溶融ア ミニウムを回転させ、且つガス気泡を溶融 ルミニウム中に導入し、ガス気泡を溶融ア ミニウムに働く遠心力の反作用の力によっ 、凝固界面に移動させ、浮上しながら該凝 界面及びその近傍を擦過することにより、 固界面に生じる不純物濃化層を効率よく除 できる手段が提案されている。

特公昭61-3385号公報

特許第3674322号公報

 しかしながら、これら従来の技術におい は、得られるアルミニウムの不純物を十分 除去できておらず、また生産性および操業 の不具合があった。

 即ち、特許文献1及び特許文献2に記載の 術においては、冷却体を溶融アルミニウム に浸漬する際にその冷却体の温度がアルミ ウムの融点よりも低いと、冷却体を回転さ る前に冷却体の外周表面にアルミニウムが 出しはじめる。その後アルミニウムを凝固 長させても、冷却体の外周表面に近い部分 晶出した結晶は不純物濃度が高く、この部 が晶出したアルミニウム全体の不純物濃度 高める要因になるため、十分な精製効率が られないという問題があった。

 また、上記のように冷却体周面の温度が い冷却体を精製すべき溶融アルミニウム中 浸漬すると、冷却体近傍では凝固速度が大 くなる。このような凝固速度が大きい状態 晶出したアルミニウムは冷却体との密着性 悪く、回転による遠心力によって、非常に 離しやすく、一定時間の精製後に剥離する 精製アルミニウムの回収量が少なくなった 、塊の剥離時及び塊の変形により溶湯の飛 、跳ねが起こりやすく、作業性に問題があ た。

 このような問題は、アルミニウムだけで く、偏析凝固法の原理を利用して精製を行 ことのできる他の金属や、金属以外の物質 おいても、同様に生じるものであった。

 この発明は、このような背景に鑑みてな れたものであって、高い精製効率が得られ とともに、冷却体との密着性も良く、冷却 の回転に起因する遠心力による剥離を抑制 き、精製物質の回収量の多い物質精製法及 精製装置を提供することを課題とする。

 上記課題は、以下の手段によって解決さ る。

(1)溶融物質中に冷却体を浸漬し、その冷却 体の表面に前記物質の結晶を晶出、成長させ る精製法において、前記冷却体の周速が700mm/ s以上8000mm/s未満となるように冷却体を回転さ せながら溶融物質中に浸漬させていき、且つ 溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、 前記物質の固相線温度×0.7以上とすることを 徴とする物質精製法。

(2)冷却体の周速を1500mm/s以上6000mm/s未満と る前項1に記載の物質精製法。

(3)前記冷却体の表面に前記物質の結晶を晶 出、成長させた後に冷却体を溶融物質から引 き上げるときに、冷却体に晶出した結晶部分 の溶融物質との界面における周速が700mm/s以 、8000mm/s未満となるように冷却体を回転させ ながら引き上げを行う前項1または2に記載の 質精製法。

(4)冷却体に晶出した結晶部分の溶融物質と の界面における周速が1500mm/s以上、7000mm/s未 となるように冷却体を回転させる前項3に記 の物質精製法。

(5)溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度 を、前記物質の固相線温度×0.8以上とする前 1~4の何れかに記載の物質精製法。

(6)溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度 を、前記物質の固相線温度×0.9以上とすると る前項1~4の何れかに記載の物質精製法。

(7)冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大 周速がその後の平均周速より高速である前項 1~6の何れかに記載の物質精製法。

(8)冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大 周速がその後の平均周速×1.1以上である前項7 に記載の物質精製法。

(9)精製初期とは精製開始から全精製時間×0 .1まで(但し、10秒以上120秒以下)である前項7 たは8に記載の物質精製法。

(10)前記物質が金属である前項1~9のいずれ に記載の物質精製法。

(11)前記金属がアルミニウムである前項10に 記載の物質精製法。

(12)精製すべき物質を溶融状態で収容する 体と、前記炉体に収容された溶融物質中に 漬される回転可能な冷却体とを備えた精製 置において、前記冷却体の周速が700mm/s以上8 000mm/s未満に設定され、かつ冷却体の温度が 記物質の固相線温度×0.7以上に設定された状 態で、冷却体が前記溶融物質中に浸漬される ものとなされていることを特徴とする物質精 製装置。

(13)冷却体の温度が前記物質の固相線温度× 0.8以上に設定される前項12に記載の物質精製 置。

(14)冷却体の温度が前記物質の固相線温度× 0.9以上に設定される前項12に記載の物質精製 置。

(15)精製初期の冷却体の最大周速がそれ以 の平均周速よりも大きくなるように、冷却 の回転速度を制御する制御手段を備えてい 前項12に記載の物質精製装置。

(16)前記制御手段は、精製初期の冷却体の 大周速がそれ以降の平均周速×1.1以上となる ように冷却体の回転速度を制御する前項15に 載の物質精製装置。

(17)前記精製初期が、精製開始から全精製 間×0.1までである前項15または16に記載の物 精製装置。

 前項(1)に記載の発明によれば、溶融物質 固相線温度×0.7以上の温度の冷却体を周速70 0mm/s以上で回転させながら、溶融物質中に浸 させていくから、精製初期の段階から冷却 との密着性の良い高純度の結晶を晶出させ ことができ、冷却体との剥離を防止し得て 製物質の回収量を多くすることができる。 かも、冷却体を周速8000mm/s未満とするから 溶融物質の飛び散り等の操業上の問題が発 するのを防止することができる。

 前項(2)に記載の発明によれば、さらに高 度の精製物質を溶融物質の飛び散り等をさ に抑制しながら得ることができる。

 前項(3)に記載の発明によれば、晶出した 晶部分の表面にさらに不純物濃度の高い溶 物質が付着して精製効率が悪化するのを防 できる。

 前項(4)に記載の発明によれば、晶出した 晶部分の表面にさらに不純物濃度の高い溶 物質が付着するのをさらに抑制できる。

 前項(5)に記載の発明によれば、溶融物質 凝固速度をさらに小さくでき、冷却体との 着性をさらに高くでき、剥離を防止して精 物質の回収量をさらに増大できる。

 前項(6)に記載の発明によれば、溶融物質 凝固速度をより一層小さくでき、冷却体と 密着性をさらに高くでき、剥離を防止して 製物質の回収量をさらに増大できる。

 前項(7)に記載の発明によれば、精製初期 冷却体の最大周速をそれ以降の平均周速よ も大きく設定して精製を行うから、冷却体 精製すべき溶融物質中に浸漬した際の精製 期に、たとえ凝固速度が大きく密着性の良 ない晶出物が精製されても、これを回転冷 体から積極的に剥離させ、溶融物質中に再 解させることができる。こうして、冷却体 の密着性の良くない晶出物はごく初期に除 されるので、凝固速度が大きな状態で晶出 た物質がある程度成長した後に冷却体から 離する事態を回避でき、積極剥離後の精製 質を剥離することなく成長させることがで 、精製物質の回収量を大きくすることがで る。

 前項(8)に記載の発明によれば、凝固速度 大きく冷却体との密着性が悪い晶出物の初 の積極的剥離効果を有効に発揮させること できる。

 前項(9)に記載の発明によれば、精製効率 安定的な向上を期待できる。

 前項(10)に記載の発明によれば、精製初期 の段階から冷却体との密着性の良い高純度の 金属結晶を晶出させることができ、冷却体と の剥離を防止し得て精製金属の回収量を多く することができる。

 前項(11)に記載の発明によれば、冷却体と の密着性の良い高純度のアルミニウムを晶出 させることができ、冷却体との剥離を防止し 得て精製アルミニウムの回収量を多くするこ とができる。

 前項(12)に記載の発明によれば、精製初期 の段階から冷却体との密着性の良い高純度の 結晶を晶出させることができ、冷却体との剥 離を防止し得て精製物質の回収量を多くする ことができる精製装置となしうる。

 前項(13)に記載の発明によれば、溶融物質 の凝固速度をさらに小さくでき、冷却体との 密着性をさらに高くでき、剥離を防止して精 製物質の回収量をさらに増大できる精製装置 となしうる。

 前項(14)に記載の発明によれば、溶融物質 の凝固速度をより一層小さくでき、冷却体と の密着性をさらに高くでき、剥離を防止して 精製物質の回収量をさらに増大できる精製装 置となしうる。

 前項(15)に記載の発明によれば、精製初期 の冷却体の最大周速をそれ以降の平均周速よ りも大きく設定して精製を行うから、凝固速 度が大きく冷却体との密着性の悪い晶出物質 を精製初期に積極的に剥離させることができ る精製装置となしうる。

 前項(16)に記載の発明によれば、凝固速度 が大きく冷却体との密着性が悪い晶出物の初 期の積極的剥離効果を有効に発揮させること ができる精製装置となしうる。

 前項(17)に記載の発明によれば、精製効率 の安定的な向上を期待できる精製装置となし うる。

この発明の一実施形態に係る精製装置 概略構成と、これを用いた金属精製方法を 明するための図である。

符号の説明

1  溶湯保持炉
2  溶融アルミニウム(溶湯)
3  冷却体
5  精製アルミニウム
6  加熱装置

 以下、この発明の一実施形態を説明する

 図1はこの発明の一実施形態に係るアルミ ニウム精製装置の概略構成と、これを用いた 精製方法を説明するための図である。

 図1において、1は溶湯保持炉であり、こ 溶湯保持炉1の内部に溶融アルミニウム(溶湯 ともいう)2が収容保持されている。保持炉1の 上方には回転冷却体3が、図示しない回転駆 装置及び移動装置により回転可能にかつ上 左右移動自在に配置されるとともに、アル ニウムの精製時には冷却体3を回転させなが 下方移動させ、冷却体3を溶湯保持炉1内の 融アルミニウム2中に浸漬させるものとなさ ている。なお、冷却体3を下方移動させるの ではなく、溶湯保持炉1を上方移動させて、 却体3を溶融アルミニウム2中に浸漬させても 良い。

 また、冷却体3の内部には冷却流体が供給 され、アルミニウム精製中に冷却体を内部か ら冷却するものとなされている。

 また、図1(c)に示すように、溶湯保持炉1 平行する配置で、精製金属掻き落とし装置4 設置されている。

 また、図示は省略したが、溶湯保持炉1内の 溶融金属2は、一定の温度となるよう加熱炉 に配置され、保持炉1の外側から加熱される うになっている。
 図1(a)に示すように、前記回転冷却体3を回 させながら溶湯保持炉1内の溶融金属2に浸漬 し、内部に冷却流体を供給しつつ冷却体の回 転を持続すると、図1(b)に示すように、冷却 1の周面にアルミニウムの結晶つまり精製ア ミニウム5がゆっくり晶出する。

 回転冷却体3を保持炉1内の溶融アルミニウ 2中に浸漬する際、上述したように冷却体3を 回転させながら溶融アルミニウム中に浸漬す ると、冷却体3が溶融アルミニウム2と接触し いるときは必ず冷却体の外周表面と溶融ア ミニウムが相対的な運動をすることになる で、冷却体3の外周表面に十分に精製された アルミニウムが晶出する。
この場合、冷却体3を溶融アルミニウム2中に 漬するときの冷却体3の外周表面の周速が、 700mm/s以上、8000mm/s未満の範囲である必要があ り、より好ましくは1500mm/s以上、6000mm/s未満 範囲である。ここでいう周速とは冷却体3の 周表面の移動速度そのものをいい、溶融ア ミニウム2の移動速度とは無関係な値である 。

 また、ここでは、冷却体3の下端が溶湯に 触れてから最大深さまで冷却体3を浸漬する での時間を「浸漬するとき」とする。つま 、冷却体3の下端が溶湯2に触れてから規定の 深さまで冷却体3が浸漬されるまでの間、冷 体3の外周表面の周速を、700mm/s以上、8000mm/s 満に保持する必要がある。周速が700mm/s未満 の場合には冷却体3の外周表面の近傍で晶出 るアルミニウム中の不純物濃度が高く、結 的に、晶出したアルミニウム中の不純物濃 が高くなる。高純度塊を得るためには冷却 3の外周表面の周速はできるだけ速い方が好 しいが、8000mm/s以上では周速が速すぎて、 却体3の浸漬時に溶湯の湯面が飛び散り、操 上の問題を発生する。

 また、冷却体3の形状は特に限定されるこ とはなく、外径が一定の円柱形に形成されて いても良いし、下端に到るに従って外径が連 続的に縮小した逆円錐台形状(テーパー形状) 形成されていても良いし、他の形状であっ も良いが、冷却体3の溶湯に浸漬される全て の部分において、外周表面の周速を700mm/s以 、8000mm/s未満に保持する必要がある。

 また、冷却体3を浸漬するときには、冷却 体3の温度をアルミニウムの固相線温度×0.7以 上である470℃以上にしておく。必要ならヒー ター等の加熱装置により加熱すればよい。冷 却体3の温度がアルミニウムの固相線温度×0.7 未満では、溶融アルミニウムの凝固速度が大 きくなりすぎて、冷却体3との密着性が悪く 回転による遠心力によって非常に剥離しや く、精製金属回収量が減る。溶融アルミニ ムに浸漬するときの冷却体3の好ましい温度 、固相線温度×0.8以上であり、さらに好ま くは固相線温度×0.9以上である。

 溶湯2に浸漬された回転冷却体3の回転に って、冷却体3の外周表面にはアルミニウム 晶出する。所定量のアルミニウムの晶出後 冷却体3の回転を停止させた状態で溶融アル ミニウム中から冷却体3を引き上げると、次 ような不具合が発生する恐れがある。即ち 冷却体3に晶出したアルミニウムと溶湯との 面における相対運動が停止してしまうため 冷却体3の冷却のための冷却媒体の供給を停 止したとしても、停止前までに晶出した精製 アルミニウム5の表面に、冷却体3の回転停止 引き上げが完了するまでに、不純物濃度の いアルミニウムが晶出してしまう上、この 出したアルミニウムの表面にさらに不純物 度の高い溶融アルミニウムが付着したりす ため、精製効率が悪化する恐れがある。

 そこで、この実施形態では、冷却体3を回 転させながら溶融アルミニウム2から引き上 ることで、晶出した精製アルミニウム5の表 と溶融アルミニウムとの界面の相対運動が に行なわれる状態を保つことが望ましい。 れにより、晶出した精製アルミニウム5中の 不純物濃度を低くすることができるし、精製 アルミニウム2の表面に溶融アルミニウムが 着しにくくなり、精製アルミニウム5の全体 不純物濃度が高くなることを防止すること できる。

 この観点からすれば、冷却体3を溶融アル ミニウム2から引き上げるときの冷却体3の周 はできるだけ速い方が好ましい。具体的に 、冷却体3に付着(晶出)した精製アルミニウ 5の溶融アルミニウム2との界面における周 を700mm/s以上に設定するのがよい。周速が700m m/s未満の場合には、精製アルミニウム5の表 に不純物濃度の高いアルミニウムが晶出し しまい、結果的に精製アルミニウム全体の 純物濃度が高くなる恐れがある。より好ま くは1500mm/s以上に設定するのがよい。

 一方、冷却体3を引き上げるときの冷却体 3に付着(晶出)した精製アルミニウム5の溶融 ルミニウム2との界面における周速が8000mm/s 上では、遠心力が大きすぎるため、精製ア ミニウム5の表面に付着した溶融アルミニウ 2が液面の上方で飛び散る恐れがある。好ま しくは、7000mm/s未満に設定するのがよい。

 なお、ここでは、冷却体3に晶出している 精製アルミニウム5の最上部が溶湯2より引き げられてから精製アルミニウム5の最下端が 溶湯2から離れるまでを「引き上げるとき」 する。つまり、精製アルミニウム5の最上部 溶湯2より引き上げられてから精製アルミニ ウム5の最下端が溶湯から離れるまで、精製 ルミニウム6の溶湯2との界面における周速を 700mm/s以上、8000mm/s未満に保持するのが望まし い。

 さらに、この実施形態では、精製初期に 冷却体3の周速を意図的に大きくして遠心力 を増大させることで、精製初期の短時間の間 に、回転冷却体との密着の弱い塊を積極的に 剥離させるのがよい。つまり、冷却体3の浸 直後からの精製初期の間、冷却体3の最大周 を、精製初期経過後の冷却体3の平均周速よ りも大きく設定して精製を行うのが良い。具 体的には、精製初期の冷却体の最大周速を、 精製初期経過後の冷却体3の平均周速の1.1倍 上に設定するのが好ましい。1.1倍を下回る 、十分な遠心力が得られずに、冷却体3との 着性の弱い精製アルミニウムを十分に剥離 せることができない恐れがある。

 精製初期とは精製開始から全精製時間の0 .1倍までの時間をいう。但し、10秒以上120秒 下の範囲である。ここでいう精製開始とは 冷却体3が規定の深さまで溶融アルミニウム2 に浸漬された時をいう。全精製時間の0.1倍を 越えて以降に、また精製開始から120秒を超え た後に冷却体3の周速を大きくしても、精製 ルミニウム5の剥離タイミング#が遅すぎて、 一定時間における精製アルミニウム5の回収 の減少を引き起こすので好ましくない。ま 、冷却体3の周速を大きくする時間が精製開 から10秒未満では、冷却体3と密着性の弱い 製アルミニウム5を十分に剥離することがで きず、好ましくない。

 溶湯2から引き上げられた回転冷却体3は 図1(d)のように掻き落とし装置4によって周面 に晶出した精製アルミニウム5を掻き落とす その後、保持炉1に移動し、次の精製を行う

 このような回転冷却体3の浸漬⇒精製アル ミニウムの晶出⇒精製アルミニウムを回転冷 却体3ともに引き上げ⇒精製アルミニウムを き落として回収、の工程を繰り返すことに り、連続的に精製が行われる。

 なお、以上の説明では、アルミニウムを 製するものとしたが、アルミニウム以外の リコン、マグネシウム等の他の金属であっ も良いし、金属以外の物質であっても良い 、偏析凝固法の原理を利用して高純度塊を 製しうる物質であれば何でも良い。アルミ ウム以外の物質を精製する場合においても 冷却体3の溶融物質への浸漬時の温度は、固 相線温度×0.7以上に設定すればよいし、冷却 3の周速に関する条件等も、アルミニウムの 精製おいて説明した数値を適用すればよい。

 不純物として主に、Fe:490~510ppm、Si:390~410pp mが含まれるアルミニウム溶湯を用いて以下 ような試験を実施した。

(実施例1)
 上記の組成のアルミニウム溶湯を精製保持 内に入れ、精製炉ヒーターを調整し、665℃ 温度に保持した。その後、温度を470℃(アル ミニウムの固相線温度×0.7)に調整した上端部 の外径が150mm、下端部の外径が100mm、長さ200mm のテーパー形状の回転冷却体を回転させなが ら、冷却体の下端部から上170mmの位置まで溶 アルミニウム中に浸漬した。浸漬時の冷却 の浸漬部分の最下端部における外周面の周 は2100mm/sに設定した。
 冷却体をそのまま周速2100mm/sで回転させな ら、7分間、回転冷却体周面に精製アルミニ ムを晶出させた。
 その後、冷却体を回転させながら溶融アル ニウムから引き上げた。引き上げたときの 却体に晶出した精製アルミニウムの最下端 の表面の周速を2100mm/sに設定し、冷却体の 端部が溶融アルミニウムから完全に引き上 られるまで、その回転速度を維持した。な 、回転冷却体内には圧縮エアーを供給して 却させた。

(実施例2)
 冷却体の回転を停止して溶融アルミニウム から引き上げる以外は実施例1と同じ条件で 精製を行った。
 冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 表1に示す。

(実施例3)
 溶湯への浸漬時の冷却体の浸漬部分の最下 部における外周面の周速を1000mm/sに設定し こと、及び冷却体の回転を停止して溶融ア ミニウムから引き上げたこと以外は実施例1 同じ条件で精製を行った。
冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊の 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 1に示す。

(実施例4)
 冷却体に晶出した精製アルミニウムの最下 部における溶湯との界面の周速を1000mm/sに 定して、冷却体を溶融アルミニウムから引 上げたこと以外は実施例1と同じ条件で精製 行った。
冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊の 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 1に示す。

(実施例5)
 冷却体の溶融アルミニウムへの浸漬時の温 を530℃(アルミニウムの固相線温度×0.8)に設 定した以外は実施例1と同じ条件で精製を行 た。
 冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 表1に示す。

(実施例6)
 冷却体の溶融アルミニウムへの浸漬時の温 を600℃(アルミニウムの固相線温度×0.9)に設 定した以外は実施例1と同じ条件で精製を行 た。
 冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 表1に示す。

(比較例1)
 冷却体を回転させることなく溶融アルミニ ムに浸漬し、回転を停止して引き上げたこ 以外は実施例1と同じ条件で精製を行った。
冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊の 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 1に示す。

(比較例2)
 溶湯への浸漬時の冷却体の浸漬部分の最下 部における外周面の周速を350mm/sに設定した こと以外は比較例1と同じ条件で精製を行っ 。
冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊の 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 1に示す。

(比較例3)
 冷却体に晶出した精製アルミニウムの最下 部における溶湯との界面の周速を350mm/sに設 定して、冷却体を溶融アルミニウムから引き 上げたこと以外は比較例1と同じ条件で精製 行った。
 冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 表1に示す。

(比較例4)
 冷却体の溶融アルミニウムへの浸漬時の温 を300℃に設定した以外は実施例1と同じ条件 で精製を行った。

 冷却体に晶出しているアルミニウム精製塊 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を 表1に示す。
 以上の実施例1~6、比較例1~4のそれぞれにつ て、溶湯から引き上げた冷却体に晶出して る精製アルミニウム(アルミニウム精製塊) 重量、精製後のFe、Siの濃度及び精製効率を べた。その結果を表1に示す。
 表1に示されるように、本発明の実施品は比 較品に較べて、精製アルミニウムの不純物濃 度が低く、精製効率が良いことがわかる。

 (実施例7)
 実施例1の条件において、5回の精製実験を った結果、精製塊重量は平均で6.08kgであっ 。また、精製中に発生した剥離回数を精製 始からの時間経過とともに調査したところ 表2のとおりであり、精製開始から全精製時 ×0.1以降に2回の剥離が発生し、実施例8、9 りも精製塊重量が低くなった。

 (実施例8)
 実施例1の条件において、精製開始から全精 製時間×0.05まで、冷却体の浸漬部分の最上端 部における外周面の周速を3500mm/s、それ以降 周速を3000mm/sに設定して、5回の精製実験を った結果、精製塊重量は平均で6.12kgであっ 。また、精製中に発生した剥離回数を精製 始からの時間経過とともに調査したところ 表3のとおりであり、ほとんどのものは精製 開始から全精製時間×0.1以内での剥離のみで ったが、5回の試験中1回(実験番号4)は精製 始から全精製時間×0.1~全精製時間×0.15で剥 が発生した。

(実施例9)
 実施例1の条件において、精製開始から全精 製時間×0.1まで、冷却体の浸漬部分の最上端 における外周面の周速を3500mm/s、それ以降 速を3000mm/sに設定して、表4のように、5回の 製実験を行った結果、精製塊重量は平均で6 .14kgであった。また、精製中に発生した剥離 数を精製開始からの時間経過とともに調査 たところ、精製開始から全精製時間×0.1以 の剥離は発生しなかったため、精製塊重量 実施例7、8の場合に比べて増大した。

 

本願は、2007年12月20日付で出願された日本 特許出願の特願2007-328913号の優先権主張を うものであり、その開示内容は、そのまま 願の一部を構成するものである。

 ここに用いられた用語及び表現は、説明 ために用いられたものであって限定的に解 するために用いられたものではなく、ここ 示されかつ述べられた特徴事項のいかなる 等物をも排除するものではなく、この発明 クレームされた範囲内における各種変形を 許容するものであると認識されなければな ない。

 本発明は、多くの異なった形態で具現化 れ得るものであるが、この開示は本発明の 理の実施例を提供するものと見なされるべ であって、それら実施例は、本発明をここ 記載しかつ/または図示した好ましい実施形 態に限定することを意図するものではないと いう了解のもとで、多くの図示実施形態がこ こに記載されている。

 本発明の図示実施形態をいくつかここに 載したが、本発明は、ここに記載した各種 好ましい実施形態に限定されるものではな 、この開示に基づいていわゆる当業者によ て認識され得る、均等な要素、修正、削除 組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特 徴の組み合わせ)、改良および/または変更を するありとあらゆる実施形態をも包含する のである。クレームの限定事項はそのクレ ムで用いられた用語に基づいて広く解釈さ るべきであり、本明細書あるいは本願のプ セキューション中に記載された実施例に限 されるべきではなく、そのような実施例は 排他的であると解釈されるべきである。

 この発明の物質精製法及び物質精製装置 、金属等の物質を高純度に精製するのに好 に用いられる。