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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PREPARING METAL INGOT THROUGH SMELTING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078402
Kind Code:
A1
Abstract:
In a method of preparing a metal ingot through smelting using electron beams, a technology for uniformly in high yield feeding a powdery alloy raw material and a granular metal raw material to an electron beam smelting furnace is provided. The method of preparing a metal ingot through smelting with the use of an electron beam smelting furnace comprises mixing a block oxide with a granular metal and feeding the mixture as a smelting raw material to an electron beam smelting furnace.

Inventors:
YAMAMOTO NORIO (JP)
NAKASHIMA SATORU (JP)
KAWATA TOSHIAKI (JP)
ITO MASAYASU (JP)
SHIRAKI TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001356
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 05, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOHO TITANIUM CO LTD (JP)
YAMAMOTO NORIO (JP)
NAKASHIMA SATORU (JP)
KAWATA TOSHIAKI (JP)
ITO MASAYASU (JP)
SHIRAKI TAKESHI (JP)
International Classes:
C22B9/22; C22B1/244; C22B34/12; C22B34/24
Foreign References:
JPH0266129A1990-03-06
JPS57134531A1982-08-19
JP2004232066A2004-08-19
JP2005112658A2005-04-28
Attorney, Agent or Firm:
SUENARI, Mikio (6-13 Kyobashi1-chome, Chuo-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 電子ビーム溶解炉を用いた金属インゴットの溶製方法において、塊状酸化物と顆粒状金属とを混合し、これらの混合物を溶解原料として電子ビーム溶解炉に供給することを特徴とする金属インゴットの溶製方法。
 前記塊状酸化物が、板状ペレットであることを特徴とする請求項1に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記板状ペレットの見掛け密度が、2.0~4.0g/cm 3 の範囲にあり、かつ前記板状ペレットの相当直径(ここで、相当直径とは、板状ペレットの厚み方向と直交する断面の面積に等しい円の直径を意味する)に対する厚みの比が、0.2~0.5の範囲とすることを特徴とする請求項2に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記塊状酸化物と顆粒状金属との混合物を電子ビーム溶解炉のハースに保持された溶湯面に供給することを特徴とする請求項1に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記ハースに保持された溶湯流の下流近傍に電子ビームの照射密度を高めた高温領域(以降、「ガードゾーン」と呼ぶ場合がある)を設けたことを特徴とする請求項4に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記ガードゾーンに照射する電子ビームの照射密度が、前記ガードゾーン以外のハース領域に照射する電子ビームの照射密度に比べて、3~15倍であることを特徴とする請求項5に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記ガードゾーンに照射する電子ビームは、ハース下流側から上流側に向けて照射することを特徴とする請求項6記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記ハースに供給された板状の酸化物ペレットを浮遊させつつ溶湯流に載置させて下流側に移動させ下流側に形成したガードゾーン内にて減速させた後、前記酸化物ペレットを溶解消滅させることを特徴とする請求項7に記載の金属インゴットの溶製方法。
前記顆粒状金属が、スポンジチタンまたはリサイクルチタンであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記塊状酸化物が、粉状酸化チタンまたは酸化鉄を一旦顆粒状に加工した後、前記顆粒状酸化チタンまたは顆粒状酸化鉄を成型・焼結して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の金属インゴットの溶製方法。
 前記金属が純チタン、純ニオブ、純タンタル、チタン合金、ニオブ合金、またはタンタル合金であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の金属インゴットの溶製方法。
Description:
金属インゴットの溶製方法

 本発明は、電子ビーム溶解による金属イ ゴットの溶製方法であって、特に塊状の合 原料を用いた合金インゴットの溶製方法に する。

 従来、金属チタンは航空機に多く用いら てきたが、近年用途開発が進み、自動車や 輪車、建材や道路、あるいはスポーツ用品 の民生用にも広く用いられている。このよ な金属チタンは、反応容器内で四塩化チタ をマグネシウムによって還元する、所謂ク ール法によって工業的に製造されている。

 クロール法では、多孔質の金属塊である ポンジチタンが生成し、製造されたスポン チタンを破砕整粒後、加圧成形されたブリ ットを組み合わせて電極とし、これを真空 ーク溶解することによりチタンインゴット 製造している。

 しかしながら、最近では原料を電極に加 しなくとも顆粒状あるいは塊状原料がその ま使用できる電子ビーム溶解炉が脚光を浴 ている。電子ビーム溶解炉の中でもハース 用いた電子ビーム溶解炉は、高密度介在物( High Density Inclusion、以下、HDIと略称する場合 がある)や低密度介在物(Low Density Inclusion、 下、LDIと略称する場合がある)と呼ばれる介 物の分離性に優れているので、スクラップ 戻り材を原料に使用して、グレードの高い タンインゴットを製造することも可能にな ている。

 電子ビーム溶解炉では、スポンジチタン ような顆粒状金属、スポンジチタンをプレ 成型して固めたブリケットや前記スポンジ タンあるいはブリケットを組み合わせて構 した棒状原料等の塊状金属等、種々の形態 原料を用いてチタンインゴットを製造する とができる。

 また、チタンインゴットのみならず、チ ン合金インゴットを溶製する場合には、粉 の合金原料と顆粒状のスポンジチタンの混 原料を電子ビーム溶解炉に供給する方法も られている。前記合金成分が酸素や鉄の場 には、粉状の酸化チタンや酸化鉄が合金原 として用いられる場合が多く、一般的には 顆粒状のスポンジチタンやスクラップと混 して電子ビーム溶解炉に供給される。

 しかしながら、顆粒状金属に配合した粉 の合金原料の一部が原料供給装置内に残留 てハース内への供給が滞ることが多々あり 溶製されたチタン合金の組成が目標値から れる場合があった。

 また、粉状の合金原料をハースに保持さ た溶融チタンプールに投入する際に、前記 状の合金原料の一部が雰囲気中に飛散して 予定した量の粉状の合金原料を溶融チタン ールに供給することができない場合があっ 。

 このような問題点に対して、ソーダガラ 中に懸濁させた粉状合金原料を表面に塗布 た顆粒状のスポンジチタン原料を準備する とで、目標の組成から外れることなく歩留 り良く電子ビーム溶解炉に溶解原料を供給 る技術が開示されている(例えば、特許文献 1参照)。

 また、有機溶媒に懸濁させた粉状原料と 粒状のスポンジチタンを混練してコンパク に成型することで、歩留まり良く電子ビー 溶解炉に供給することができる技術も知ら ている(例えば、特許文献2参照)。

 しかしながら、これらの技術では、ソー ガラスや有機溶媒等、原料以外の第三成分 添加することになるので、純度の高い合金 ンゴットを製造するには必ずしも有効な方 ではないと思われる。

 一方、表面に酸化チタン粉をまぶした顆 状のスポンジチタンを真空中で高温に加熱 て、表面の酸化チタンをスポンジチタンに 結させることにより、粉状の合金成分をス ンジチタンに効率よく配合するという技術 知られている(例えば、特許文献3参照)。し しながら、この方法は設備と時間の点で自 度に制約があるために必ずしも効率的では く改善が望まれている。

 また、スポンジチタンのような顆粒状金 と合金粉を混合して構成したブリケットを 子ビーム溶解炉あるいはVAR溶解炉に供給す 技術も知られている(例えば、特許文献4参 )。しかしながら、前記したスポンジチタン ような顆粒状金属と酸化チタンあるいは酸 鉄のような粉状の酸化物を混合して構成し ブリケットは、成型性や強度の点で改善の 地が残されていた。

 このように、酸化チタンや酸化鉄のよう 粉状の酸化物とスポンジチタンのような顆 状金属を歩留まり良くまた再現性よく溶解 に供給する技術が望まれている。

特開平01-156434号公報

特開平01-156436号公報

特開2001-279345号公報

特開2005-298855号公報

 本発明は、電子ビーム溶解による金属イ ゴットの溶製方法において、粉状の合金原 と顆粒状金属原料を歩留まり良く、また均 に電子ビーム溶解炉に供給する技術の提供 目的とするものである。

 かかる実情に鑑み前記課題の解決手段に いて鋭意検討を重ねてきたところ、電子ビ ム溶解炉を用いた金属インゴットの溶製方 において、粉状の酸化物を成型・焼結して 状酸化物とした後、前記塊状酸化物と顆粒 金属を混合して、前記電子ビーム溶解炉に 持したハースに供給することにより、ハー 内の溶湯面上をバイパスして下流に設けた 型に前記塊状酸化物が未溶解のまま流出す ことなく、ハース内の溶湯中に滞留する間 完全溶解して鋳型に排出させることができ 更には、前記ハースに向かって供給された 化物や金属がハース内に投入される前に空 に飛散することなく、全量をハース内の溶 に供給できることを見出し、本願発明を完 するに至った。

 すなわち、本願発明は、電子ビーム溶解 を用いた金属インゴットの溶製方法におい 、塊状酸化物と顆粒状金属とを混合し、こ らの混合物を溶解原料として電子ビーム溶 炉に供給することを特徴とするものである

 また、本願発明は、前記塊状酸化物が板状 レットであることを特徴とするものであっ 、前記板状ペレットの見かけ密度が2.0g/cm 3 ~4.0g/cm 3 の範囲にあり、かつ、前記板状ペレットの相 当直径に対する厚みの比が、0.2~0.5の範囲と ることを特徴とするものである。

 加えて本願発明は、電子ビーム溶解炉を 成するハースに保持された溶湯面の下流近 に電子ビームの照射密度を高めてガードゾ ンを設けたことを特徴とするものであって 前記ガードゾーンに照射する電子ビームの 度が、前記ガードゾーン以外の領域に照射 る電子ビームの照射密度に比べて3~15倍大き いことを特徴とするものである。

 更に、電子ビーム溶解炉を構成するハー の下流側に設けたガードゾーンに照射する 子ビームは、ハース下流側から上流側に向 て、ハース内の溶湯流れ方向と直交するよ に走査しつつ、ハース下流側から上流側に けて照射することを特徴とするものである

 また、電子ビーム溶解炉を構成するハー に供給された板状の酸化物ペレットを浮遊 せつつ溶湯流に載置させて下流側に移動さ 下流側に形成したガードゾーン内にて減速 せた後、前記酸化物ペレットを溶解消滅さ ることを特徴とするものである。

 本発明によって塊状酸化物と顆粒状金属 の混合物を電子ビーム溶解炉内に配置した ースの溶湯面に供給することによって、更 は、前記ハース下流に電子ビームの照射密 を高めたガードゾーンを設けることによっ 、前記酸化物原料がハース溶湯面上をバイ スして未溶解のまま鋳型に流出することな 、ハース内の溶湯中に滞留している間に完 溶解して鋳型に排出させることができ、加 てハースに供給した塊状酸化物と顆粒状金 をロスなく、全量ハース内の溶湯中に供給 て溶解することができるという効果を奏す ものである。

本発明の電子ビーム溶解炉の模式図で る。 図1の電子ビーム溶解炉のハースに設け るガードゾーンの模式図である。

符号の説明

M  電子ビーム溶解炉
1  アルキメデス缶
2  原料フィーダー
3  溶解原料
4  ハース
5  溶湯
55 ガードゾーン
6  鋳型プール
7  水冷鋳型
8  インゴット
9  引き抜き装置
10 電子ビーム照射手段

 本願発明の最良の実施形態について以下に 細に説明する。
 本願発明に用いる溶解原料は、粉状の酸化 を成型・焼結して塊状酸化物とし、前記塊 酸化物に顆粒状金属原料を混合して用いる とが好ましい。

 本願発明に用いる粉状の酸化物としては 酸化チタンや酸化鉄を好適に用いることが きる。前記粉状酸化物の純度は、溶製する ンゴットの純度に応じて適宜選択すればよ が、本願発明においては純度が99%以上の粉 酸化物を用いることが好ましい。前記のよ な粉状酸化物を用いることにより、純度の いチタン合金インゴットを溶製することが きる。

 また、前記粉状酸化物の比表面積は、1~20m 2 /gの範囲から選択することが好ましい。本願 明においては、前記粉状酸化物を、そのま 圧縮成型するに先立って、一旦、顆粒状に 工しておくことが好ましい。粉状酸化物を 粒状に加工しておくことにより流動性が向 するため、圧縮成型作業を円滑に進めるこ ができるという効果を奏するものである。

 前記の顆粒状酸化物は、粉状酸化物にPVA( ポリビニルアルコール)のようなバインダー 適宜配合してスラリーとした後、スプレー 燥し、高温に加熱して脱灰することにより 度の高い顆粒状酸化物を製造することがで る。

 前記した顆粒状酸化物の粒度は30~100μmの 囲となるように構成することが好ましい。 記した粒度範囲に顆粒状酸化物を構成する とにより、圧縮成型のための型に前記顆粒 酸化物を効率よく充填することができると う効果を奏するものである。

 また、前記顆粒状酸化物の純度がそれほ 厳しく要求されない場合には、粉状酸化物 製造工程で発生する純度の低い塊状付着物 粉砕・整粒して用いることもできる。この うな原料を用いることにより、安価でしか スプレー乾燥工程も不要となる。

 前記の方法で製造された顆粒状酸化物は 定の大きさにプレス成型後、高温にて焼結 て板状ペレットに成型することが好ましい

 本願発明では、前記板状ペレットの見かけ 度は、2.0~4.0g/cm 3 の範囲に構成することが好ましい。前記範囲 に構成することで、ハース内の溶湯面に供給 された板状ペレットは、円滑に溶解してハー ス内の溶湯と短時間のうちに合体させること ができる。

 前記板状ペレットの密度が2.0g/cm 3 よりも小さい場合には、ハース内の溶湯面に 達した場合にも、長時間に亘り溶湯面を浮遊 し、完全溶解前に鋳型に流出する場合があり 好ましくない。一方、前記板状ペレットの密 度が4.0g/cm 3 以上の場合には、ハース内の溶湯面に達した 時点で比較的容易に溶湯内に溶解沈降するた め好ましいが、それに先立って行う成型・焼 結時には、高圧や高温が必要となり好ましく ない。

 また本願発明では、前記ペレットは板状 成型することが好ましい。また、前記板状 レットの相当直径に対する厚みの比は、0.2~ 0.5の範囲となるように構成しておくことが好 ましい。

 前記板状ペレットの相当直径に対する厚 の比が、0.5よりも大きくなると、溶湯面に した時点で自己崩壊して空間部に飛散する いう現象が予備試験により観察されている また、ハース内に供給してから溶湯流に溶 消滅するまでに鋳型に排出されるという現 も観察されている。

 一方、塊状ペレットの厚みが薄くなりす るとハースに原料を供給するアルキメデス 内において破損して、顆粒状金属との混合 が低下し均一な組成を有する原料をハース 供給することが困難となる。よって、本願 明においては、板状ペレットの相当直径に する厚みの比は0.2よりも大きくなるように 定しておくことが好ましい。

 前記したように、塊状酸化物を板状に成 しておくことにより、電子ビーム溶解炉の ースに保持した溶湯面に達した後、短時間 うちに高温に昇温されて、ハース溶湯内に 滑に溶解させることができるという効果を するものである。

 前記の板状ペレットの製造に際しては、 記のプレス成型に代えて顆粒状原料を打錠 のような自動成型器に供給することにより 効率よく成型することができる。

 前記した板状ペレットの焼結雰囲気は、 活性ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガス 囲気で焼結することがより好ましいとされ 。このような高温でしかも不活性ガス中で 結することにより緻密な酸化物焼結体を製 することができる。

 なお、塊状酸化物である板状ペレットの 当直径は、顆粒状金属の粒度範囲と整合す ように構成しておくことが好ましい。この うな大きさに成型しておくことにより、塊 酸化物と顆粒状金属から構成された溶解原 の均一性を向上させることができ、その結 、溶製される金属インゴットの合金組成の 動も最小限に抑制することができるという 果を奏するものである。

 塊状酸化物を酸化鉄で構成する場合には、 知のように酸化鉄はFe 2 O 3 、Fe 3 O 4 、あるいはFeOのような複数の酸化物形態が存 在するので、溶解原料に用いる前に、予め酸 化鉄中の化合物成分を分析し、Fe 2 O 3 以外の酸化鉄が含まれている場合には、大気 中あるいは酸化性雰囲気中にて、高温処理し ておくことが好ましい。その結果、溶製され る合金中の酸素および鉄の組成を精度良く制 御することができるという効果を奏する。

 前記した方法により製造された塊状酸化 は、顆粒状金属と均一に混合した後、電子 ーム溶解炉内に溶解ハースに供給すること より均一な合金インゴットを溶製すること できる。

 また、本願発明に用いる顆粒状金属は、 ポンジチタンのみならず、切粉や鍛造片等 リサイクルチタンを用いることもできる。 願発明にいては、前記顆粒状金属の粒度は 1~25.4mmの範囲に整粒しておくことが好まし 。前記した粒度範囲に整粒しておくことに り、顆粒状金属に配合する塊状酸化物の分 性を高めることができる。

 本願発明に用いる塊状酸化物は、前記の 粒状金属の中心部に配置した塊状体を溶解 料として用いることもできる。このような 金成分と溶製金属を一体化した原料を用い ことにより、経時的に組成変動の小さい合 インゴットを安定して製造することができ という効果を奏するものである。

 次いで、前記した溶解原料を用いて合金 ンゴットを溶製する好ましい方法について 図1を用いて詳細に説明する。図1は、本願 明に用いる電子ビーム溶解炉Mの構成例を表 ている。本実施態様においては、顆粒状金 がスポンジチタンで、塊状酸化物が酸化チ ンで構成した板状の酸化チタンペレットで る場合を念頭において以下に説明する。

 符号1は、アルキメデス缶と呼ばれる円筒 状回転式の原料排出装置であり、アルキメデ ス缶1の内部には螺旋状に仕切りが設けられ おり、缶内に充填された物体は、アルキメ ス缶1の回転によって螺旋状の仕切り内を供 口から排出口へ順次移送される仕組みとな ている。アルキメデス缶1の内部には、溶解 原料3(スポンジチタンと板状酸化チタンペレ トから構成された顆粒状混合物)が充填され ており、アルキメデス缶1の回転に伴い連続 に原料フィーダー2に排出される。なお、溶 原料3を構成するスポンジチタンと板状酸化 チタンペレットは、アルキメデス缶1に供給 れる前に予め混合器を用いて充分に混合し おくことが好ましい。

 本実施形態におけるアルキメデス缶1は、 水平回転式の原料切り出し装置であって、前 記アルキメデス缶1の内面には、らせん状の ブが配設されており前記リブにより、アル メデス缶内に充填された原料が逆混合する となく、押し出し流れに近い状態で原料を 子ビーム溶解炉に供給することができる。 の結果、原料組成の均一なインゴットを溶 できるという効果を奏するものである。

 原料フィーダー2に排出された溶解原料3 、前記原料フィーダー2の下流に配置したハ ス4に供給される。前記ハース4に供給され 溶解原料3は、電子ビーム照射手段10から溶 5の表面に照射される電子ビームおよび溶湯5 からの熱供給を受けて、前記ハース4内に保 された溶湯5中を滞留している間に完全に溶 して、溶湯5と一体化する。

 この際、前記したハース4に保持した溶湯 5の下流側には、図2に示すように他のハース 域に比べて電子ビームの照射密度を高めた ードゾーン55を設けるように操業すること 好ましい。図2において、ハース4内の縦線の 描画密度が、電子ビームの照射密度を模式的 に表現している。

 前記ガードゾーン55に照射する電子ビー の照射密度は、その他の領域にあるハース の溶湯5に照射される電子ビームの密度に比 て、3~15倍だけ大きく照射することが好まし く、4~8倍大きく照射することがさらに好まし い。その結果、前記ガードゾーン55の温度を その他のハース内の溶湯5に比べて高温に保 持することができ、溶解原料がハースに滞留 している間に確実に溶解させることができる という効果を奏する。

 前記のガードゾーン55を設けることによ 、ハース4内に溶湯5に供給された溶解原料3 一部が未溶解のままバイパスして下流側に 出しようとした場合においても、前記ガー ゾーンに入ると、そこでバイパスしようと た溶解原料3がトラップされて完全に溶解さ て溶湯5と一体化されるという効果を奏する ものである。なお、前記ガードゾーン55では ハース4内の溶湯5の流れと逆行するように 湯流れの下流側から上流側に向かって、電 ビームを走査させつつ照射することが好ま い。前記したような電子ビームの走査方式 採用することで、溶湯表面を未溶解物がバ パスして鋳型へ流入する現象を抑制できる みならず、比重の小さいLDIの流出も効果的 抑制することができるという効果を奏する のである。

 本願発明においては、電子ビーム溶解炉 構成するハースに供給された板状の酸化物 レットを浮遊させつつ溶湯流に載置させて 流側に移動させ下流側に形成したガードゾ ン内にて減速させた後、前記酸化物ペレッ を溶解消滅させることが好ましい。

 これは、ガードゾーンに照射する電子ビ ムの走査間隔や照射密度あるいはハースの 流側から上流側方向の照射速度を調節する とで達成することができる。

 ハースから鋳型プール6に排出された溶湯 は、水冷鋳型7からの冷却を受けてインゴッ 8が形成する。前記水冷鋳型7により形成され たインゴット8は、前記インゴット8の下端部 係合された引き抜き装置9により下方に連続 的に引き抜かれる。

 以上述べたように本願発明によれば、粉 の酸化物を成型焼結して塊状とし、前記塊 酸化物と顆粒状金属との混合物を溶解原料 することにより、原料供給装置内への溶解 料の残留を極力回避することができるのみ らず、前記原料供給装置からハース内の溶 に供給された原料の自己崩壊による飛散を 果的に抑制できるという効果を奏するもの ある。

 その結果、ハース内の溶湯に対する溶解 料の歩留まり低下を抑制することができる みならず、溶製されるインゴット中の成分 動も効果的に抑制できるという効果を奏す ものである。

 以下、実施例および比較例によって本発明 さらに詳細に説明する。なお、実施例およ 比較例における各サンプルの製造条件は、 下に整理した通りである。
 1.原料
  1)スポンジチタン
   純度:99.7%
   粒度:25.4mm
   嵩密度:1.3~2.0g/cm 3
  2)酸化チタン(東邦チタニウム株式会社製)
   純度:99.9%
   比表面積:2~3m 2 /g
  3)顆粒状試料製造装置
   バインダー:ポリビニルアルコール
   装置:スプレー乾燥器
  4)焼結ペレット
   焼結温度:600~1000℃
   焼結体形状:円板状
   直径:12~25mm
   厚み:2~10mm
 2.溶解装置
   1)原料供給装置:アルキメデス缶(横型回 式供給装置)
   2)溶解炉:ハース式電子ビーム溶解炉
 3.溶解条件
   1)溶解電力:1100~1400kW
   2)真空度:1×10 -5 ~8×10 -3 Torr
   3)鋳型径:660mm
   4)溶解速度:500Kg/Hr

A.酸化チタンペレット供給時の溶 内での挙動
[実施例1]
 上記の条件で、酸化チタンの粉末試料にPVA 添加した後、スプレー乾燥して平均粒径が5 0μmの顆粒状酸化チタンを得た。次いで、前 顆粒状酸化チタンを円板状にプレス成型し 後高温にて焼結して、φ12×6mm(0.5)およびφ20× 6mm(0.30)の酸化チタンペレットを製造した。前 記括弧内の数値は、酸化チタンペレットの径 に対する厚みの比を表す。製造したそれぞれ の大きさの円板状酸化チタンペレットについ て、見掛け密度が、2.3g/cm 3 、3.5g/cm 3 、および3.9g/cm 3 の3水準の円板状酸化チタンペレットを準備 、本発明の範囲内の6種類の酸化チタンペレ ト(実施例1)を作製した。

[比較例1]
 さらに、酸化チタンペレットの大きさをφ20 ×11mm(径に対する厚さ比0.55)、φ15×10mm(同0.67) 変更し、見掛け密度が1.8g/cm 3 、2.3g/cm 3 、3.5g/cm 3 、3.9g/cm 3 および4.2g/cm 3 に変更した以外は実施例1と同じ条件で、本 明の範囲外の10種類の酸化チタンペレット( 較例1)を作製した。

[比較例2]
 酸化チタンペレットの見掛け密度を1.8g/cm 3 および4.2g/
cm 3 にした以外は実施例1と同じ条件で、本発明 範囲外の4種類の酸化チタンペレット(比較例 2)を作製した。

 これら円板状酸化チタンペレットを電子 ーム溶解炉のハース溶湯に供給して、ハー 内でのペレットの挙動を観察した。その結 、実施例1の各酸化チタンペレットは、いず れも自己崩壊することなく、ハース下流から 鋳型に排出される前に溶湯表面から溶解消滅 する様子が観察された。比較例1の各酸化チ ンペレットは、溶湯表面に到達した際に自 崩壊してハースの外部のその一部が飛散し 。一部崩壊しない試料もあったが、完全溶 する前に、溶湯表面を浮遊して鋳型に排出 れて、インゴットに混入してしまった。比 例2の各酸化チタンペレットは、溶湯表面に 達した際に自己崩壊してハースの外部のそ 一部が飛散した。これら実験結果を、下記 表1に示す。なお、○は、ハースの溶湯に供 給した溶解原料が全量溶解できた例を、△お よび×は、ハースの溶湯に供給した溶解原料 一部が飛散もしくは自己崩壊、あるいはハ スに供給される前に破損してアルキメデス に残留し全量溶解できなかった例を表して る。

 表1に示すように、ペレットの粒径に対す る厚さの比と見掛け密度を本願発明の範囲に 選択することにより、ハースに供給した際の 自己崩壊がなく、しかも組成の均一なチタン 合金インゴットを溶製することができるとい う効果を奏するものである。

B.溶湯のガードゾーンおよび溶解 度によるインゴット酸素含有率への影響
[実施例2]
 実施例1で作製した各酸化チタンペレットと スポンジチタンを混合してアルキメデス缶内 に充填後、電子ビーム溶解炉内のハースに供 給して、酸素含有率の高いチタンインゴット を溶製した。溶製されたインゴット中の酸素 含有率を調査したところ、酸化チタンペレッ トの溶け残りは観察されず、インゴット頂部 と底部における酸素含有率の差異は相対誤差 において±30%の範囲にあった。

[実施例3]
 実施例2において、ハース下流側出口から上 流側に向かってハース全長の1/8の幅の電子ビ ームの照射密度を5倍に高めたガードゾーン 更に設けた以外は同様にして、酸素含有率 高いチタンインゴットを溶製した。溶製さ たインゴット中の酸素含有率を調査したと ろ、インゴット頂部と底部における酸素含 率の差異は相対誤差において±25%の範囲にあ り、インゴット中の酸素含有率の変動幅が実 施例2と比較して更に改善されていることが 認された。

[実施例4]
 実施例3において、溶解速度を2倍に増加さ た以外は同様にして、酸素含有率の高いチ ンインゴットを溶製した。その結果、ハー 内の溶湯に供給したチタン溶解原料は、鋳 プールに排出される前に全量溶解消滅した 溶製されたインゴット中の酸素含有率を調 したところ、インゴット頂部と底部におけ 酸素含有率の差異は相対誤差において±23%の 範囲にあり、実施例2および3と同等レベルの 質を有するインゴットを溶製できることが 認された。

[比較例3]
 実施例4において、ハース下流側にガードゾ ーンを設けない点を除き、同一条件下でハー ス溶湯に酸化チタンペレットを供給した。そ の結果、未溶解の酸化チタンペレットが鋳型 プール内に流出する様子が確認された。

[比較例4]
 実施例1において、相当直径が0.1の酸化チタ ンペレットをアルキメデス缶に充填してハー スに供給しようとしたが、ハースへ供給され る前に、酸化チタンペレットの大半が破損し 、また、その一部がアルキメデス缶内に残留 して均一な組成の原料をハースに供給するこ とができなかった。

 本発明は、合金組成が均一でしかも歩留 りの優れた合金インゴットを溶製する技術 好適であり、特に、電子ビーム溶解炉を用 た合金の溶製に好適である。