Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
LAMINATE AND SOLAR BATTERY USING THE LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149793
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a light-weight laminate, which can withstand heat treatment in a battery production process and, at the same time, has practically satisfactory durability, and a solar battery using the laminate. The laminate comprises a glass plate having a first surface and a second surface, an electroconductive film provided on the first surface of the glass plate, and a photoactive layer provided on the electroconductive film. The laminate is characterized in that the glass plate is formed of a glass having a distortion point of 400°C or above and a thickness of 10 µm to 2.2 mm, and a resin is provided on the second surface of the glass plate. The solar battery is characterized in that it comprises: a laminate comprising a glass plate having a first surface and a second surface, an electroconductive film provided on the first surface of the glass plate, and a photoactive layer provided on the electroconductive film; a light transparent base material; a transparent electrode provided on one side of the light transparent base material; and an electrolysis solution sealed between the laminate and the transparent electrode, the glass plate is formed of a glass having a distortion point of 400°C or above and a thickness of 10 µm to 2.2 mm, and a resin is provided on the second surface of the glass plate.

Inventors:
SAKAMOTO AKIHIKO (JP)
SAWADA MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059987
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 30, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NIPPON ELECTRIC GLASS CO (JP)
SAKAMOTO AKIHIKO (JP)
SAWADA MASAHIRO (JP)
International Classes:
H01M14/00; B32B17/10; H01B5/14; H01L31/04
Foreign References:
JP2007042366A2007-02-15
JP2004119306A2004-04-15
JP2006100060A2006-04-13
Other References:
See also references of EP 2151884A4
UCHIDA: "Nano Kessho Sanka Chitan Maku no Maikuroha Shousei to Koudenshi Idou (Microwave Sintering of Nanocrystalline Titanium Oxide Film and Photoelectron Transfer)", PHOTOCATALYSIS, PHOTO FUNCTIONALIZED MATERIALS SOCIETY, vol. 16, 2005, pages 31 - 38
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
Download PDF:
Claims:
 第1面と第2面を有するガラス板と、前記ガラス板の第1面に形成された導電膜と、前記導電膜上に形成された光活性層とを備えた積層体であって、前記ガラス板が、400℃以上の歪点を有するガラスからなり、10μm~2.2mmの厚みを有し、前記ガラス板の第2面に樹脂が形成されてなることを特徴とする積層体。
 前記ガラス板が、20μm~0.3mmの厚みを有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
 前記ガラス板は、弾性率が100GPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
 前記ガラス板は、第1面及び/又は第2面が無研磨面であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
 前記ガラス板は、熱膨張係数が30~380℃の温度範囲において、20×10 -7 /℃~150×10 -7 /℃であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂は、破断伸びが200%以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂は、引っ張り強度が10MPa以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂は、水分透過性が、8×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂が、UL94規格の94V-2グレード又はそれよりも高い難燃性を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂が、直鎖状の分子構造を有する共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の積層体。
 前記樹脂が、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の積層体。
 前記フッ素樹脂が、テトラフロロエチレンヘキサフロロプロピレンビニリデンフルオライドからなる樹脂であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
 前記樹脂が、ガラス板の第2面に熱圧着によって接着してなることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の積層体。
 請求項1~13のいずれかに記載の積層体と、透光性基材と、前記透光性基材の片面に形成された透明電極と、前記積層体と前記透明電極との間に封入された電解液とを備えたことを特徴とする太陽電池。
 前記積層体が有するガラス板及び樹脂をそれぞれ第1のガラス板及び第1の樹脂としたとき、前記透光性基材が、第1面及び第2面を有する第2のガラス板と、第2のガラス板の第1面に形成された第2の樹脂とからなることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
 前記第2のガラス板が、10μm~2.2mmの厚みを有することを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
 前記第2のガラス板が、20μm~0.3mmの厚みを有することを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
 前記第2のガラス板は、弾性率が100GPa以下であることを特徴とする請求項15~17のいずれかに記載の太陽電池。
 前記第2のガラス板は、第1面及び/又は第2面が無研磨面であることを特徴とする請求項15~18のいずれかに記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂が、前記第2のガラス板の第1面に熱圧着によって接着してなることを特徴とする請求項15~19のいずれかに記載の太陽電池。
 前記透光性基材が、第2の樹脂のみからなることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂は、破断伸びが200%以上であることを特徴とする請求項15~21のいずれかに記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂は、引っ張り強度が10MPa以上であることを特徴とする請求項15~22のいずれかに記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂が、UL94規格の94V-2グレード又はそれよりも高い難燃性を有することを特徴とする請求項15~23のいずれかに記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂が、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項15~24のいずれかに記載の太陽電池。
 前記フッ素樹脂が、直鎖状の分子構造を有する共重合体樹脂であることを特徴とする請求項25に記載の太陽電池。
 前記フッ素樹脂が、テトラフロロエチレンヘキサフロロプロピレンビニリデンフルオライドからなる樹脂であることを特徴とする請求項25又は26に記載の太陽電池。
 前記第2の樹脂は、水分透過性が、8×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることを特徴とする請求項15~27のいずれかに記載の太陽電池。
Description:
積層体及びそれを用いた太陽電

 本発明は、積層体、特に太陽電池に用い 積層体及びそれを用いた太陽電池、特に色 増感型太陽電池に関するものである。

 今日、太陽電池は次世代のクリーンエネ ギー源として大いに注目を集めている。中 も色素増感型太陽電池は製造が容易で、電 製造にかかる環境負荷が小さいこと、室内 の発電効率に優れることなどから近年特に 目を集めている。従来、太陽電池はガラス 板上に発電材料を配置した構造のものが用 られているが、ガラス基板の重量が大きい と、或いは曲面形状のものが製造できない とが施工上の制約条件となっている。

 また、本技術分野においては、軽量で柔 性に富んだ太陽電池の開発が強く求められ いる。尚、太陽電池が発電するための光源 必ずしも太陽光である必要は無く人工光で 良いが、人工光を利用した発電装置も含め 本願では太陽電池と表現する。

 軽量で柔軟性に富んだ太陽電池を作製する は基板材料としてガラスの代わりに樹脂を いることが考えられるが、一般に樹脂は耐 性が低いため、半導体電極(光活性層)を基 に形成するための熱工程に耐えない。この 題を解決するために、マイクロ波を用いて 板上の光活性物質のみを選択的に加熱する 素増感型電池作製方法が提案されている(例 ば、非特許文献1参照。)。
内田、「ナノ結晶酸化チタン膜のマイク ロ波焼成と光電子移動」、光触媒、光機能材 料研究会、16、p31-38(2005)

 非特許文献1に記載のように、マイクロ波 加熱技術を用いることで樹脂を基板とした軽 量で柔軟性に富んだ色素増感型太陽電池を製 造することが出来る。しかしながら樹脂基板 を用いた太陽電池を屋外で使用すると、樹脂 基板が紫外線等によって劣化しやすい、もし くは、樹脂のガス透過性が高いために電池内 封入物(電解液成分)が樹脂を透過して揮発す という、耐久性上の問題があり、実用的な 池を製造することは困難であった。さらに イクロ波照射装置が高価であり、産業面へ 応用が困難なことも欠点の一つである。

 本発明は、このような事情に鑑みて成さ たものであり、電池製造工程の熱処理に耐 、実用的な耐久性を兼ね備えた軽量の積層 及びそれを用いた太陽電池を提供すること 目的とする。

 本発明者は、歪点の高いガラス板の表面 樹脂を形成した積層体を太陽電池の部材と て用いることによって、経済性、軽量化、 全性及び耐久性が優れた太陽電池を得るこ ができることを見出し、本発明として提案 るものである。

 すなわち、本発明の積層体は、第1面と第 2面を有するガラス板と、前記ガラス板の第1 に形成された導電膜と、前記導電膜上に形 された光活性層とを備えた積層体であって 前記ガラス板が、400℃以上の歪点を有する ラスからなり、10μm~2.2mmの厚みを有し、前 ガラス板の第2面に樹脂が形成されてなるこ を特徴とする。

 また、本発明の太陽電池は、第1面と第2 を有するガラス板と、前記ガラス板の第1面 形成された導電膜と、前記導電膜上に形成 れた光活性層とを備えた積層体と、透光性 材と、前記透光性基材の片面に形成された 明電極と、前記積層体と前記透明電極との に封入された電解液とを備え、前記ガラス が、400℃以上の歪点を有するガラスからな 、10μm~2.2mmの厚みを有し、前記ガラス板の 2面に樹脂が形成されてなることを特徴とす 。

 本発明の積層体は、上記した構成を有し いるため、それを用いた太陽電池が、電池 造工程の熱処理に耐え、実用的な耐久性を ね備え、軽量となる。すなわち、ガラス板 、400℃以上の歪点を有するガラスからなる め、酸化チタン等からなる光活性層をガラ 板上に形成する際、高価な装置を必要とす マイクロ波を使用せずに、汎用性の高い熱 理装置を使用でき、製造効率が高く、コス を低く抑えることができる。しかも、光活 層を、高温でガラス板上に焼き付けても、 ラスの歪点が熱処理温度より高いため、ガ ス板が変形することがない。またガラス板 厚みが2.2mm以下であるため、太陽電池の軽 化が図れるとともに、ガラス板の表面に形 された樹脂がガラス板の破損を抑制し、仮 破損したとしても、飛散することがない。 た、本発明の積層体は、基材としてガラス を使用しているため、太陽電池の電解液が 層体を通って外部に揮発することが無くあ いは外部から水分やガスが侵入することが く、太陽電池の長期安定性に優れる。さら 、ガラス板にクラックが生じたとしても、 の表面に形成された樹脂により電解液の流 を防止できる。

 従って、本発明の積層体を用いた太陽電 は、経済性、軽量化、安全性及び耐久性に れるため、これを設置する構造体に負担を けることが無く、屋外での使用に充分耐え ことができ実用的である。

本発明の積層体の説明図である。 本発明における実施例6の色素増感型太 陽電池の説明図である。 本発明における実施例9~12の色素増感型 太陽電池の説明図である。

符号の説明

 1   積層体
 2   第1のガラス板
 2a  第1面
 2b  第2面
 3   導電膜(ITO膜)
 4   光活性層
 5   第1の樹脂
 6   透光性基材
 6a  第2のガラス板
 6aa 第1面
 6ab 第2面
 6b  第2の樹脂
 7   透明電極(ITO膜)
 8   対極(Pt膜)
 9   電解液(ヨウ素電解質溶液)
 10、20 色素増感型太陽電池

 本発明において、光活性層は、紫外光、 視光、近赤外光、太陽光、照明光等の光の 射によって、電子と正孔とを発生する材料 らなり、例えば、色素増感型太陽電池では 酸化チタン粉末からなり、酸化チタン粉末 表面には、光を吸収させるための色素が化 吸着させてある。また、導電膜は、生じた 子を外部回路へと導くための導体としての 割を担い、通常ITO、FTO、ATOまたは金属薄膜 らなる。

 本発明の積層体は、ガラス板が、10μm~2.2m mの厚みを有する。ガラス板が2.2mmよりも厚い と、軽量化の効果が低くなり、ガラス板が10 mよりも薄いと、柔軟性(可撓性)に優れるが 損し易くなる。

 またガラス板は、20μm~0.3mmの厚みを有す ことが好ましい。このようにすれば、太陽 池の更なる軽量化が図れるとともに、柔軟 に富み、設置場所の適用範囲が拡がる。よ 好ましいガラス板の厚みは、30μm~0.2mmであり 、さらに好ましいガラス板の厚みは、40μm~0.1 mmである。

 またガラス板の柔軟性(可撓性)を決定す 因子としては、ガラス板の厚みの他に、ガ ス板の弾性率が重要となる。従って、ガラ 板は、弾性率が100GPa以下であることが好ま い。このようにすれば、ガラスの柔軟性(可 性)が損なわれることが無い。弾性率は、90G Pa以下であることがより好ましく、80GPa以下 あることがさらに好ましい。

 またガラス板は、その表面を研磨するこ によって作製しても良いが、研磨加工によ 手間、コストが嵩み、また研磨によって生 たガラス表面の傷が強度を低下させるため ガラス板の第1面及び/又は第2面が無研磨面 あることが好ましく、第1面及び第2面の両 が無研磨面であることがより好ましい。肉 で無研磨面を有するガラス板を大量に且つ 価に製造するには、オーバーフロー法、ス ットダウン法、リドロー法等で成形するこ が適している。

 ガラス板の表面に樹脂を形成する方法とし は、熱圧着法が好適である。熱圧着法は、 熱によって樹脂を軟化させガラス板の表面 圧着する方法であり、接着剤を使用しない め、長期の屋外での使用等によって接着剤 劣化し剥離が生じる虞がない。尚、ここで う接着剤とは粘着性の接着層を指し、樹脂 面に形成された密着性を向上させるための 面改質層等は含まれない。この熱圧着法に いては、ガラス板と樹脂の熱膨張係数の違 によって冷却時に応力が発生する。一般に ラスは樹脂に比較して熱膨張係数が小さい め、応力を低減するためにはガラスの熱膨 係数が大きい方が好ましい。ただし、あま 熱膨張係数が大きすぎると光活性層をガラ 板の表面に焼き付ける際、ガラス板が反っ り割れたりするため、ガラス板の熱膨張係 の好適な範囲は、30~380℃の温度範囲におい 、20×10 -7 /℃~150×10 -7 /℃である。より好ましい範囲は、25×10 -7 /℃~130×10 -7 /℃であり、さらに好ましい範囲は、30×10 -7 /℃~110×10 -7 /℃である。

 本発明の積層体は、太陽電池の部材とし 好適に使用可能であるが、太陽電池は屋外 設置される場合が想定されるため、飛来物 による物理的衝撃により破損する恐れが有 、そのような場合でも落下の危険が小さい とが必要とされる。破損時の落下を防止す ためには、破損によって破片が飛散せず一 性を保つことが要求される。そのためには 陽電池に加わる衝撃を伸びによって吸収し 破断しにくい材料で太陽電池を構成するこ が好ましい。よって本発明に用いられる樹 の破断伸びは200%以上、より好ましくは300% 上、さらに好ましくは400%以上であると良い さらに引っ張り応力に対する強度が高い方 破断を起こしにくいため、樹脂の引っ張り 度は10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好 ましい。

 また樹脂は、電解液が揮発しないように、 分透過性の小さい材料であることが好まし 、具体的には樹脂の水分透過性が8×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることが好ましく、6×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることがより好ましい。

 また、太陽電池は建造物や乗り物(自動車 、船舶等)に取り付けて使用されることが多 。従って火災に晒される危険があり、その 、延焼を増長するような可燃性の高い材料 電池を構成することは避ける必要がある。 って、樹脂は難燃性であることが好ましく 具体的にはUL94規格において94V-2グレードよ も高い難燃性の樹脂を用いることが好まし 。より好ましくは94V-1グレード以上、より好 ましくは94V-0グレードの難燃性を有する樹脂 用いることが好ましい。

 上記した構成において、樹脂は、実用的 耐久性を有する樹脂であれば各種のものが 用可能であるが、直鎖状の分子構造を有す 共重合体樹脂が耐久性に優れるため好まし 、フッ素化合物からなる樹脂(フッ素樹脂) 特に耐久性に優れ、外部環境や電池に用い 内部材料に対する化学的な安定性に優れる めにより好ましい。なかでもテトラフロロ チレンヘキサフロロプロピレンビニリデン ルオライド(THV)からなる樹脂は溶融温度が100 ~200℃と低く熱圧着が容易であることから特 好ましい。この他にもフロリネーテッドエ レンプロピレン(FEP)、パーフロロアルキルビ ニル(PFA)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、 リビニリデンフロライド(PVDF)、エチレンテ ラフロロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフ ロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフロ ロエチレン(ECTFE)などのフッ素系樹脂も使用 能である。

 また樹脂の厚みは特に限定されないが、 軟性と強度を確保する必要から、0.03~3mmで ることが好ましく、0.05~1mmであるとより好ま しい。

 本発明の太陽電池は、上記した積層体と 透光性基材と、透光性基材の片面に形成さ た透明電極と、積層体と透明電極との間に 入された電解液とを備えたことを特徴とし いる。尚、電解液は、色素増感型太陽電池 場合、ヨウ素電解質溶液とすることが好ま い。

 上記した構成において、積層体が有する ラス板及び樹脂をそれぞれ第1のガラス板及 び第1の樹脂としたとき、透光性基材は、第1 及び第2面を有する第2のガラス板と、第2の ラス板の第1面に形成された第2の樹脂とか なることが好ましい。このようにすれば、 2のガラス板の第1面に形成された第2の樹脂 第2のガラス板の破損を抑制し、仮に破損し としても、飛散することがない。また、第2 のガラス板によって電解液が外部に揮発する ことがない。尚、この場合、透明電極は第2 ガラス板の第2面に形成される。

 また、透光性基材に用いられる第2のガラ ス板は、10μm~2.2mmの厚みを有することが好ま い。このようにすれば、太陽電池の軽量化 より一層図られる。

 また、第1のガラス板及び/又は第2のガラ 板は、20μm~0.3mmの厚みを有することが好ま い。このようにすれば、太陽電池の更なる 量化が図れるとともに、柔軟性に富み、設 場所の適用範囲が拡がる。より好ましい第1 ガラス板及び/又は第2のガラス板の厚みは 30μm~0.2mmであり、さらに好ましい第1のガラ 板及び/又は第2のガラス板の厚みは、40μm~0.1 mmである。また、第1のガラス板と第2のガラ 板の厚みは、同一でなくても良い。

 さらに、第2のガラス板は、高温での加熱 処理が必要ないため、物理強化、或いは化学 強化処理を施した強化ガラスであれば、実用 的な強度及び安全性が増す。

 尚、透光性基材には太陽電池の発電効率 増加させるために白金等の貴金属の薄膜を 成することも可能である。

 また第1のガラス板及び/又は第2のガラス は、弾性率が100GPa以下であることが好まし 。このようにすれば、ガラスの柔軟性(可撓 性)が損なわれることが無い。弾性率は、90GPa 以下であることがより好ましく、80GPa以下で ることがさらに好ましい。

 またガラス板は、その表面を研磨するこ によって作製しても良いが、研磨加工によ 手間、コストが嵩み、また研磨によって生 たガラス表面の傷が強度を低下させるため 第1のガラス板及び/又は第2のガラス板の第1 面又は第2面が無研磨面であることが好まし 、第1面及び第2面の両面が無研磨面であるこ とがより好ましい。肉薄で無研磨面を有する ガラス板を大量に且つ安価に製造するには、 オーバーフロー法、スロットダウン法、リド ロー法等で成形することが適している。

 第1のガラス板の表面及び第2のガラス板の 面にそれぞれ第1の樹脂及び第2の樹脂を形成 する方法としては、熱圧着法が好適である。 熱圧着法は、加熱によって樹脂を軟化させガ ラス板の表面に圧着する方法であり、接着剤 を使用しないため、長期の屋外での使用等に よって接着剤が劣化し剥離が生じる虞がない 。この熱圧着法においては、ガラス板と樹脂 の熱膨張係数の違いによって冷却時に応力が 発生する。一般にガラスは樹脂に比較して熱 膨張係数が小さいため、応力を低減するため にはガラスの熱膨張係数が大きい方が好まし い。ただし、あまり熱膨張係数が大きすぎる と光活性層を第1のガラス板の表面に焼き付 る際、ガラス板が反ったり割れたりするた 、第1のガラス板の熱膨張係数の好適な範囲 、30~380℃の温度範囲において、20×10 -7 /℃~150×10 -7 /℃である。より好ましい範囲は、25×10 -7 /℃~130×10 -7 /℃であり、さらに好ましい範囲は、30×10 -7 /℃~110×10 -7 /℃である。尚、第2のガラス板の熱膨張係数 、太陽電池の反りを考慮して第1のガラス板 の熱膨張係数を一致させることが好ましい。

 また透光性基材は、光活性層を焼き付ける 要がないため、第2の樹脂のみによって構成 されていてもよい。この場合、第2の樹脂は 電解液中の水分が樹脂を通して外部に揮発 ないようにあるいは外部から水分やガスが 解液中に侵入しないように、水分透過性の さい材料であることが好ましく、具体的に 第2の樹脂の水分透過性が8×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることが好ましく、6×10 -11 ml・cm/cm 2 ・s・Pa以下であることがより好ましい。

 積層体における樹脂の場合と同様の理由 ら、本発明に用いられる第1の樹脂及び/又 第2の樹脂の破断伸びは200%以上、より好まし くは300%以上、さらに好ましくは400%以上であ と良い。さらに引っ張り応力に対する強度 高い方が破断を起こしにくいため、本発明 用いられる第1の樹脂及び/又は第2の樹脂の っ張り強度は10MPa以上が好ましく、15MPa以上 がより好ましい。

 また積層体における樹脂の場合と同様の 由から、本発明で使用される第1の樹脂及び /又は第2の樹脂は難燃性であることが好まし 、具体的にはUL94規格において94V-2グレード りも高い難燃性の樹脂を用いることが好ま い。より好ましくは94V-1グレード以上、よ 好ましくは94V-0グレードの難燃性を有する樹 脂を用いることが好ましい。

 上記した構成において、第1の樹脂及び第 2の樹脂は、実用的な耐久性を有する樹脂で れば各種のものが使用可能であるが、直鎖 の分子構造を有する共重合体樹脂が耐久性 優れるため好ましく、フッ素化合物からな 樹脂(フッ素樹脂)が特に耐久性に優れ、外部 環境や電池に用いる内部材料に対する化学的 な安定性に優れるためにより好ましい。なか でも、テトラフロロエチレンヘキサフロロプ ロピレンビニリデンフルオライド(THV)からな 樹脂は溶融温度が100~200℃と低く熱圧着が容 易であることから特に好ましい。この他にも フロリネーテッドエチレンプロピレン(FEP)、 ーフロロアルキルビニル(PFA)、ポリテトラ ロロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロラ ド(PVDF)、エチレンテトラフロロエチレン(ETFE )、ポリクロロトリフロロエチレン(PCTFE)、エ レンクロロトリフロロエチレン(ECTFE)などの フッ素系樹脂も使用可能である。

 また第1の樹脂及び/又は第2の樹脂の厚み 特に限定されないが、柔軟性と強度を確保 る必要から、0.03~3mmであることが好ましく 0.05~1mmであることがより好ましい。

 以下に、本発明による実施例を、図およ 表に基づいて説明する。図1は、本発明の積 層体の説明図であり、図2は、本発明の色素 感型太陽電池の説明図である。図3は、本発 の他の色素増感型太陽電池の説明図である 表1は、本発明の実施例1~5、表2は、実施例6~ 8、表3は、実施例9~12、表4は、比較例1~3を示 。

 図1に示すように、実施例1~5及び比較例1 2の積層体1は、第1面2aと第2面2bを有する第1 ガラス板2と、第1のガラス板2の第1面2aに形 された導電膜3と、導電膜3上に形成された光 活性層4と、第1のガラス板2の第2面2bに形成さ れた第1の樹脂5を備えている。

 導電膜3はITO膜からなり、スパッタリング法 により形成されている。また光活性層4はTiO 2 粉末をスラリー状にしてITO面にコーティング したのち500℃で1時間焼成することによって 成してあり、TiO 2 粉末の表面には色素が化学吸着している。第 1の樹脂5は140℃に加熱しながら2気圧で加圧す ることによって熱圧着法によってガラス板2 貼り合せてある。

 尚、第1のガラス板2として、実施例1では 日本電気硝子社製BLCを用い、実施例2~12及び 比較例1及び3では日本電気硝子社製OA-10を用 、比較例2では、日本電気硝子社製LG‐71を用 いた。第1のガラス板2の厚み及び特性は、表1 ~4に示した通りである。また第1の樹脂5は、 1~4に示すような材質、厚み及び特性を有す 樹脂からなる。比較例1の積層体は、第1のガ ラス板の厚みが3mmと厚く、第1の樹脂5が形成 れていない。

 図2に示すように、実施例6の色素増感型 陽電池10は、実施例2に示した積層体1と、第2 のガラス板6aとその第1面6aaに形成した第2の 脂(THVフィルム)6bとからなる透光性基材6と、 透光性基材6の片面に形成された透明電極(ITO )7と、さらに透明電極7上に形成されたPt膜 らなる対極8と、積層体1の導電膜3と対極8と 間に封入された電解液9とを備えている。尚 、電解液9は、ヨウ素電解質溶液からなり、 活性層4に含浸した状態で存在している。ま 、この色素増感型太陽電池10では、第1の樹 5と第2の樹脂6bとはそれぞれ第1のガラス板 び第2のガラス板に同時に熱圧着することに って、積層体1と透光性基材6とを貼り合わ てある。ここで、実施例6~8の第2のガラス板 、第1のガラス板と同一のものを用い、実施 例6~12の第2の樹脂は、第1の樹脂と同一のもの を用いた。

 図3に示すように、実施例9~12の色素増感 太陽電池20は、それぞれ実施例2~5の積層体1 、第1の樹脂5と同一の第2の樹脂6bとからなる 透光性基材6と、透光性基材6の片面に形成さ た透明電極(ITO膜)7と、さらに透明電極7上に 形成されたPt膜からなる対極8と、積層体1の 電膜3と対極8とに間に封入された電解液9と 備えている以外は、実施例6と同様に構成さ ている。

 また、実施例1の第1のガラス板は、リド ー法によって、実施例2~12及び比較例1、3の 1のガラス板及び第2のガラス板は、いずれも オーバーフロー法によって成形され、それら の表面はいずれも無研磨面となっているが、 比較例2の第1のガラス板は、ロール成形法に って成形され、その両表面は成形後光学研 されている。

 また、比較例3の色素増感型太陽電池(図 せず)は、比較例1に示した積層体と、第2の ラス板のみからなる透光性基材と、透光性 材の片面に形成された透明電極(ITO膜)と、さ らに透明電極上に形成されたPt膜からなる対 と、積層体の導電膜と対極とに間に封入さ た電解液とを備えている。

 表1に示すように、実施例1~5の積層体は、 ガラス板の厚みが薄いため、軽量である。特 に実施例1~3の積層体は、ガラス板の厚さが比 較例1の1/30以下であるため、柔軟性にも優れ 。また実施例6~12の色素増感型太陽電池も、 ガラス板の厚みが薄いため、軽量である。特 に実施例6、9及び10の色素増感型太陽電池は ガラス板の厚みが0.1mmと薄いため、柔軟性に も優れる。その中でも実施例9、10は、第2の ラス板を備えていないため、より軽量で柔 性も高い。また、実施例6~12の色素増感型太 電池は、第1の樹脂及び第2の樹脂によって 電解液の揮発を抑制できるとともに、第1の ラス板又は第2のガラス板にクラックが生じ たとしても、電解液の流出を阻止できる。

 これに対して、比較例1の積層体及び比較 例3の色素増感型太陽電池は、ガラス板の表 に樹脂がないため、実用的な強度及び安全 を得るためにはガラス板の厚みを厚くする 要が有り、重量が大きく剛直なものであっ 。比較例2の積層体は、第1のガラス板は厚み が薄いが、歪点の低いガラスからなるため、 軽量で柔軟な積層体が得られたものの、光活 性層の焼結の際にガラス板が軟化変形した。

 尚、ガラス板の歪点は、ファイバーエロ ゲーション法によって測定した。また弾性 は、共振式弾性率測定装置によって測定し 。熱膨張係数は、ディラトメーターによっ 測定した。また、樹脂の破断伸びは、引っ り試験機によって、水分透過性はJIS K 7126: 1987 プラスチックフィルム及びシートの気体 透過度試験法によって測定した。さらに、樹 脂の難燃性はUL94規格によって評価した。ま 、積層体及び太陽電池の柔軟性は、人力に って容易に曲げられる場合を“良好”とし そうではない場合を“柔軟性無し”と評価 た。

 本発明を詳細にまた特定の実施例を参照し 説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱す ことなく様々な変更や修正を加えることが きることは当業者にとって明らかである。
 本出願は、2007年5月30日出願の日本特許出願 (特願2007-143757)、に基づくものであり、その 容はここに参照として取り込まれる。

 この発明により得られる積層体及びそれ 用いた太陽電池は、特に色素増感型太陽電 に最適である。