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Patent Searching and Data


Title:
HALF-TOROIDAL TYPE CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129651
Kind Code:
A1
Abstract:
A half-toroidal type continuously variable transmission has a trunnion (9a) having an inward surface made into a circular recess (33), and a crank member (34a) installed in a way a clearance of wedged shape in section is interposed between the inward circular surface of the circular recess (33) and an outward circular surface of the crank member (34a) to spread throughout around the circular recess (33). The sectional configuration of the clearance is made less in width in radial direction as advancing deep in the circular recess (33), but greater as heading towards opened edge of the circular recess (33). Thus, the crank member (34a) is made to have, for example, the circular outward surface of conical convex (39) while the circular recess (33) is made to have a conical concave. As a result, the inward surface of the circular recess (33) is protected from severely grating against the outward surface of the circular outward surface of the crank member (34a) even if the trunnion (9a) is subjected to any elastic deformation. The continuously variable transmission constructed as stated earlier may be effectively kept against unexpected seed-change operation.

Inventors:
NISHII HIROKI
INOUE EIJI
PETERSEN RAINER
Application Number:
PCT/JP2007/058205
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
April 13, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NSK LTD (JP)
VOLKSWAGEN AG (DE)
NISHII HIROKI
INOUE EIJI
PETERSEN RAINER
International Classes:
F16H15/38
Foreign References:
DE10246432A12004-04-15
JP2003184978A2003-07-03
JP2006029354A2006-02-02
JP2006250158A2006-09-21
JP2007107703A2007-04-26
JPH0374667A1991-03-29
JP2001165262A2001-06-19
DE10246432A12004-04-15
DE10246432A12004-04-15
JP2005302007A2005-10-27
Other References:
See also references of EP 2138739A4
MOTOO AOYAMA: "Red Badge Series 245/Book for Understanding of Latest Mechanism of Car", 20 December 2001, SANYU-SHA LTD. /KOUDAN-SHA LTD., article "Separate Volume Best Car", pages: 92 - 93
HIROHISA TANAKA: "Toroidal CVT", 13 July 2000, CORONA LTD.
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持された少なくとも1対のディスクと、
 軸方向に関して前記各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に、前記各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた複数のトラニオンと、
 前記各トラニオンに対し揺動自在に支持される基部と、前記基部に対し偏心した状態で設けられる支持軸部とを備える複数の支持軸と、
 前記各トラニオンの内側面に、前記各支持軸の支持軸部の周囲に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記両ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた複数のパワーローラと、
 前記各トラニオンの内側面に形成された円形凹部内に回転可能に嵌装された円形のクランク部材と、
を備え、
 前記支持軸の基部を、前記クランク部材の中心から外れた位置に形成された円孔に、がたつきなく、且つ、揺動可能に内嵌する事により、前記両ディスクの軸方向片側面の軸方向変位に伴って、前記各パワーローラを前記軸方向に変位させるハーフトロイダル型無段変速機に於いて、
 前記各パワーローラから前記各トラニオンの内側面にスラスト荷重が加わらない状態で、前記円形凹部の内周面と前記クランク部材の外周面との間に、前記円形凹部の奥に向かう程径方向に関する幅が狭く、前記円形凹部の開口部に向かう程前記幅が広くなる、断面くさび状の隙間を、前記円形凹部の全周に亙って介在させた事を特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。
 円形凹部の内周面が、前記円形凹部の軸方向に関して内径が変化しない円筒面であり、クランク部材の外周面の少なくとも前記円形凹部の開口寄り部分が、パワーローラに向かう程外径が小さくなる方向に傾斜した円すい凸面である、請求項1に記載したハーフトロイダル型無段変速機。
 クランク部材の外周面の軸方向一部で円形凹部の奥端に位置する部分に、前記クランク部材の軸方向に関して外径が変化しない外周面側部分円筒面部が設けられている、請求項2に記載したハーフトロイダル型無段変速機。
 クランク部材の外周面が、前記クランク部材の軸方向に関して外径が変化しない円筒面であり、円形凹部の内周面の少なくとも開口寄り部分が、パワーローラに向かう程内径が大きくなる方向に傾斜した円すい凹面である、請求項1に記載したハーフトロイダル型無段変速機。
 円形凹部の内周面の一部で前記円形凹部の奥端部分に、前記円形凹部の軸方向に関して内径が変化しない内周面側円筒面部が設けられている、請求項4に記載したハーフトロイダル型無段変速機。
 前記クランク部材の外周面と前記円形凹部の内周面とのうちの少なくとも一方の面に、当該周面に固体潤滑剤を衝突させる事により形成した潤滑被膜が設けられている、請求項1~5のうちの何れか1項に記載したハーフトロイダル型無段変速機。
Description:
ハーフトロイダル型無段変速機

 この発明は、自動車用の自動変速機とし 利用するハーフトロイダル型無段変速機の 良に関する。具体的には、大きな動力を伝 可能でしかも比較的小型にできる構造で、 ラニオンに対するパワーローラの変位を円 に行なわせて、高い伝達効率を確保できる 造の実現を図るものである。

 自動車用変速装置としてハーフトロイダ 型無段変速機を使用する事が、例えば非特 文献1、2等の多くの刊行物に記載され、且 、一部で実施されて周知である。図7は、現 実施されているハーフトロイダル型無段変 機の基本構成を示している。先ず、この従 構造に就いて、簡単に説明する。1対の入力 側ディスク1a、1bを入力回転軸2に対し、それ れがトロイド曲面(断面円弧形の凹面)であ て特許請求の範囲に記載した軸方向片側面 相当する入力側内側面3、3同士を互いに対向 させた状態で、互いに同心に、且つ、同期し た回転を自在に支持している。

 又、上記入力回転軸2の中間部周囲に、中 間部外周面に出力歯車4を固設した出力筒5を この入力回転軸2に対する回転を自在に支持 している。又、この出力筒5の両端部に出力 ディスク6、6を、スプライン係合により、上 記出力筒5と同期した回転自在に支持してい 。この状態で、それぞれがトロイド曲面で って特許請求の範囲に記載した軸方向片側 に相当する、上記両出力側ディスク6、6の出 力側内側面7、7が、上記両入力側内側面3、3 対向する。

 又、上記入力回転軸2の周囲で上記入力側 、出力側両内側面3、7同士の間部分(キャビテ ィ)に、それぞれの周面を球状凸面としたパ ーローラ8、8を、2個ずつ配置している。こ ら各パワーローラ8、8は、それぞれトラニオ ン9、9の内側面に、基半部と先半部とが偏心 た支持軸10、10と複数の転がり軸受とを介し て、これら各支持軸10、10の先半部回りの回 、及び、これら各支持軸10、10の基半部を中 とする若干の揺動変位自在に支持されてい 。

 又、上記各トラニオン9、9は、それぞれ 長さ方向(図7の表裏方向)両端部にこれら各 ラニオン9、9毎に互いに同心に設けられた枢 軸を中心として揺動変位自在である。これら 各トラニオン9、9を揺動(傾斜)させる動作は 油圧式のアクチュエータにより、これら各 ラニオン9、9を上記各枢軸の軸方向に変位さ せる事により行なう。変速時には、上記各ア クチュエータへの圧油の給排により、上記各 トラニオン9、9を上記各枢軸の軸方向に変位 せる。この結果、上記各パワーローラ8、8 周面と上記入力側、出力側各内側面3、7との 接触部(トラクション部)の接線方向に作用す 力の方向が変化する(サイドスリップが発生 する)ので、上記各トラニオン9、9が上記各枢 軸を中心として揺動変位する。

 上述の様なトロイダル型無段変速機の運 時には、駆動軸11により一方(図7の左方)の 力側ディスク1aを、ローディングカム式の押 圧装置12を介して回転駆動する。この結果、 記入力回転軸2の両端部に支持された1対の 力側ディスク1a、1bが、互いに近づく方向に 圧されつつ同期して回転する。そして、こ 回転が、上記各パワーローラ8、8を介して 記両出力側ディスク6、6に伝わり、前記出力 歯車4から取り出される。

 上記入力回転軸2と上記出力歯車4との回 速度の比を変える場合で、先ず入力回転軸2 出力歯車4との間で減速を行なう場合には、 上記各トラニオン9、9を図7に示す位置に揺動 させ、上記各パワーローラ8、8の周面を、上 各入力側ディスク1a、1bの入力側内側面3、3 中心寄り部分と上記両出力側ディスク6、6 出力側内側面7、7の外周寄り部分とにそれぞ れ当接させる。反対に、増速を行なう場合に は、上記各トラニオン9、9を図7と反対方向に 揺動させ、上記各パワーローラ8、8の周面を 上記両入力側ディスク1a、1bの入力側内側面 3、3の外周寄り部分と上記両出力側ディスク6 、6の出力側内側面7、7の中心寄り部分とにそ れぞれ当接させる。上記各トラニオン9、9の 動角度を中間にすれば、上記入力回転軸2と 出力歯車4との間で、中間の速度比(変速比)を 得られる。

 上述の図7に示した従来構造の場合、各キ ャビティ毎にパワーローラ8、8を2個ずつ、合 計4個設けている。これら4個のパワーローラ4 、4は、動力の伝達方向に対し並列に設けら ている為、上記入力回転軸2と上記出力歯車4 との間で動力を伝達する際には、上記4個の ワーローラ8、8が、この動力を1/4ずつ伝達す る。従って、伝達可能な動力を大きくする為 には、上記各キャビティ毎に設けるパワーロ ーラの数をより多くし、これら各パワーロー ラが伝達する動力を低く抑える事が考えられ る。

 この様な事情に鑑みて特許文献1には、各 キャビティ毎に設けるパワーローラの数を3 とした、トロイダル型無段変速機に関する 明が記載されている。この様な特許文献1に 載された発明は、変速の為の機構は、上述 図7に記載した従来構造と同じである。この 為、各トラニオンを枢軸の軸方向に変位させ る為のアクチュエータが嵩張り、トロイダル 型無段変速機全体としての小型・軽量化を図 りにくい。この様な事情に鑑みて、特許文献 2には、各キャビティ毎に3個ずつ、合計6個設 けられたトラニオンを、それぞれ揺動フレー ムに対し揺動自在に支持すると共に、この揺 動フレームの揺動に基づいて上記各トラニオ ンに変速の為の変位をさせる構造が記載され ている。この様な特許文献2に記載された発 の構造によれば、上記特許文献1に記載され 発明に比べれば、小型・軽量化を図り易い 但し、高出力のエンジンを搭載した小型自 車用の自動変速機として実施する場合の様 、条件によっては、十分な小型・軽量化を れない可能性がある。

 この様な事情に鑑みて考えられた構造に する発明として、特許文献3に記載されたも のが知られている。この特許文献3に記載さ たトロイダル型無段変速機は、図8~9に示す な変速機構を備える。この図8~9に示した従 構造の場合、入力回転軸2の周囲で入力側、 力側両ディスク1、6同士の間部分に揺動フ ーム13を、この入力回転軸2を中心とする揺 を可能に設けている。そして、この揺動フ ーム13の径方向外端部に設けた支持板部14、1 4同士の間に、それぞれの内側面にパワーロ ラ8a、8aを回転自在に支持した3個のトラニオ ン9a、9aを、それぞれの両端部に設けた枢軸15 、15を中心とする揺動のみ可能として支持し いる。これら各トラニオン9a、9aは、先に述 べた図7に示した構造とは異なり、上記揺動 レーム13に対し枢軸15、15の軸方向に変位す 事はない。この状態で上記各パワーローラ8a 、8aの中心軸の延長線α、αは、上記両ディス ク1、6の中心軸β上で交差する。

 又、上記各枢軸15、15のうち、図8~9の上端 部に位置する2本の枢軸15、15を除く残りの枢 15、15には、セクター歯車16、16aを固定して る。そして、円周方向に隣り合うトラニオ 9a、9aに関するセクター歯車16、16a同士を噛 させている。この構成により、総てのトラ オン9a、9aが、変速比を変える方向に関して 同じ方向に、同じ角度だけ傾斜する様にして いる。更に、上記各セクター歯車16、16aのう の何れか1個(図8~9の右下部)のセクター歯車1 6aを、カム装置17及びアクチュエータ18により 、当該セクター歯車16aを固定した枢軸15を中 として揺動させる様にしている。

 上記カム装置17は、上記1個のセクター歯 16aに支持したカムフォロア19と、トロイダ 型無段変速機を収納したハウジング20の内面 に固定したカム部材21とから成る。そして、 のカム部材21に設けたカム溝22と上記カムフ ォロア19とを係合させている。又、上記アク ュエータ18は、油圧複動型のもので、ピス ン23に設けた長孔に係合したピン24の動きを 結合ブラケット25を介して前記揺動フレー 13に伝達し、この揺動フレーム13を、前記入 回転軸2を中心として揺動させる。この揺動 フレーム13の揺動に伴って、上記1個のセクタ ー歯車16aに支持したカムフォロア19と上記カ 溝22との位置関係が変化し、このセクター 車16aが上記枢軸15を中心として揺動する。更 に、このセクター歯車16aの動きが、残りのセ クター歯車16、16を介して総てのトラニオン9a 、9aに伝わる。この結果、これら各トラニオ 9a、9aの内側面に支持された、前記各パワー ローラ8a、8aが、前記入力側、出力側両ディ ク1、6同士の間の変速比を変える方向に関し て、同じ方向に同じ角度だけ揺動し、この変 速比が所望値に調整される。

 上述の様な特許文献3に記載された構造で は、変速時に上記各パワーローラ8a、8aは、 記揺動フレーム13との相対位置関係に関して は、図9の表裏方向に揺動するのみである。 い換えれば、変速動作の為にこれら各パワ ローラ8a、8aが上記揺動フレーム13に対して (この揺動フレーム13と共に上記入力回転軸2 回転方向又は反回転方向に変位する事はあ ても)上記各枢軸15、15の軸方向(延長線α、α に対し直角方向)に変位する事はない。又、 記揺動フレーム13は、上記入力側、出力側両 ディスク1、6同士の間位置に、変速の為に必 な角度だけ揺動変位可能に支持されている みであり、上記両ディスク1、6の軸方向(図9 の表裏方向)に変位する事はない。従って、 記各トラニオン9a、9aも、上記両ディスク1、 6の軸方向に変位する事はない。

 一方、トロイダル型無段変速機の運転時 は、上記両ディスク1、6の内側面3、7と上記 各パワーローラ8a、8aの周面との転がり接触 (トラクション部)の面圧を確保する為に加え る力により、上記各部材1、6、8aが弾性変形 る。そして、このうちの各パワーローラ8a、 8aは、図9の表裏方向に変位する。前述の図7 示した構造の場合には、各パワーローラ8、8 を各トラニオン9、9に対し、基半部と先半部 を互いに偏心した支持軸(偏心軸)10、10によ 揺動変位可能に支持する事により、構成各 材の弾性変形に伴う上記各パワーローラ8、 8の変位を可能にしていた。但し、図8~9に示 た構造の場合には、単に偏心軸により上記 パワーローラ8a、8aの揺動変位を許容するだ の構造は、採用できない。

 この理由は、単に偏心軸によりこれら各 ワーローラ8a、8aを揺動させただけの構造で は、偏心量を回転半径とする円弧運動に基づ いてこれら各パワーローラ8a、8aが、上記各 軸15、15の軸方向(延長線α、αに対し直角方 )に、僅かとは言え変位する為である。前述 図7に示した構造部分で説明した通り、上記 各パワーローラ8a、8aが上記各枢軸15、15の軸 向に変位すると、上記各トラクション部に イドスリップが発生し、上記各パワーロー 8a、8aを介して前記各トラニオン9a、9aに、 記各枢軸15、15を中心に揺動させる方向(変速 比を変える方向)の力が加わる。この様な力 、上記変位が0.1~0.2mm程度の場合でも発生す 。上述の様なサイドスリップが発生し、上 の様な力が加わったままの状態でトロイダ 型無段変速機の運転を継続する事が好まし ないのは当然である。具体的には、上記サ ドスリップは伝達効率及び耐久性の低下に 上記力は実際に変速比を変更する際に必要 される力の増大に、それぞれ結び付く。

 この為に前記特許文献3に記載された構造で は、図10~12に示した様な構造により、上記各 材1、6、8aの弾性変形に伴って、このうちの 各パワーローラ8a、8aを、入力側、出力側両 ィスク1、6の軸方向(図9の表裏方向)にのみ変 位させる様にしている。この構造に使用する 、トラニオン9aに対し上記パワーローラ8aを 転自在に支持する為の支持軸10aは、互いに 心した基部26と支持軸部27とを備える。これ 基部26の中心軸X 26 と支持軸部27の中心軸X 27 との偏心量は、δ 1  である。このう
ちの基部26は、この支持軸10aを上記トラニオ 9aに対し揺動自在に支持する部分である。 、上記支持軸部27は、周囲に上記パワーロー ラ8aを、ラジアルニードル軸受28を介して回 自在に支持する部分である。尚、図示の例 は、上記基部26と上記支持軸部27との間部分 、スラスト軸受用外輪29を、一体に設けて る。このスラスト軸受用外輪29は、保持器30 保持された玉31、31と組み合わされて、上記 パワーローラ8aに加わるスラスト荷重を支承 つつこのパワーローラ8aを回転自在に支持 る、スラスト玉軸受32を構成する。

 一方、上記トラニオン9aの内側面中間部に 円形凹部33を形成している。そして、この円 形凹部33に円形の(厚肉円盤状の)クランク部 34を、回転可能に内嵌している。又、このク ランク部材34の一部で、このクランク部材34 中心から外れた位置に、円孔35を形成してい る。これらクランク部材34の外周面の中心軸X 34 と円孔35の中心軸X 35 との偏心量δ 2  は、上記基部26の中心軸X 26 と支持軸部27の中心軸X 27 との偏心量δ 1 と等しい(δ 2  =δ 1  )。そして、上記基部26を、上記円孔35に、 たつきなく、且つ、揺動可能に内嵌してい 。従って、上記基部26の中心軸X 26 と上記円孔35の中心軸X 35 とは互いに一致する。又、好ましくは、中立 状態、即ち、上記トラニオン9aの幅方向{図11 (A)の左右方向}に関して、上記パワーローラ 8aが中央位置に存在する状態で、上記支持軸 27の中心軸X 27 と上記クランク部材34の外周面の中心軸X 34 とを、ほぼ一致させる(但し、必ずしも一致 せる必要はない)。

 更に、上記トラニオン9aの一部で、上記 形凹部33の底部片隅部に整合する部分に、前 記枢軸15、15の軸方向に長い長孔36を、この円 形凹部33の底面と上記トラニオン9aの外側面 を連通する状態で形成している。そして、 記支持軸10aのうちで上記基部26の基端面{図11 の(B)の右端面}の片隅部に突設したガイドロ ド37を上記長孔36に、この長孔36の長さ方向( 記各枢軸15、15の軸方向、図11の上下方向)の 変位を可能に支持している。上記ガイドロッ ド37の外径は、上記長孔36の内寸(幅)よりも僅 かに小さいだけである。従って、実質的には 、このガイドロッド37がこの長孔36の幅方向 変位する事はない。

 前記特許文献3に記載された構造の場合、上 述の様な構成により、前記入力側、出力側両 ディスク1、6の軸方向片側面である、入力側 出力側両内側面3、7の軸方向変位に伴って 上記パワーローラ8aを、図12の(A)に矢印aで示 す様に、この軸方向にのみ変位させる。この パワーローラ8aがこの矢印a方向に変位する際 、上記ガイドロッド37は、図12の(B)に示す様 、上記長孔36の内側で、上記各枢軸15、15の 方向に変位する。この際、上記支持軸10aと 記円形凹部33と上記クランク部材34とは、図1 3に示したリンク機構の如く作用して、上記 ワーローラ8aの中心軸X 8  (前記支持軸部27の中心軸X 27 )を、上記軸方向にのみ変位させる。図13は、 機構学上単純なリンク機構であるから、図10~ 12の構造に対応する部分に、この図10~12に記 した符号を付して、詳しい説明は省略する 要するに、図14に示す様に、クランク部材34 外周面の中心軸X 34 を中心とする円孔35の中心軸X 35 の偏心量δ 2  に基づく、同図に鎖線で示す円弧運動と、 部26の中心軸X 26 と支持軸部27の中心軸X 27 との偏心量δ 1 に基づく、同図に破線で示す円弧運動とを相 殺して、同図に実線で示す様に、上記支持軸 部27に直線運動させるものである。

 上述の様に、上記特許文献3に記載された 発明の構造によれば、構成各部材の弾性変形 時に上記パワーローラ8aを、上記入力側、出 側両ディスク1、6の軸方向にのみ変位させ 、各トラクション部に有害なサイドスリッ が発生する事を防止できる。但し、大きな ルクを伝達する際にも上記軸方向の変位を り円滑に行なわせる為には、上記円形凹部33 の内周面と上記クランク部材34の外周面との に作用する摩擦を、低く抑える為の考慮が 要になる。この点に就いて、図15を参照し つ説明する。

 トロイダル型無段変速機の技術分野で広 知られている様に、トロイダル型無段変速 の運転時には、上記パワーローラ8aを前記 ラニオン9aの内側面に向けて押圧する、大き なスラスト荷重が加わる。尚、この様なスラ スト荷重は、上記パワーローラ8aの傾転中心 ある上記各枢軸15、15が、上記入力側、出力 側両ディスク1、6の軸方向片側面である、入 側、出力側両内側面3、7の曲率中心よりも れら両ディスク1、6の径方向外方に存在する 、ハーフトロイダル型無段変速機の場合に発 生する。上記傾転中心位置と上記曲率中心位 置とが一致する、フルトロイダル型無段変速 機の場合には発生しない。

 上記ハーフトロイダル型無段変速機の場 は運転時に、上記大きなスラスト荷重によ 上記トラニオン9aが、図15に誇張して示す様 に、内側面を凹面とする方向に弾性変形する 。そして、この弾性変形に基づいて、上記円 形凹部33が、その開口部の内径が小さくなる 向に変形し、この円形凹部33の内周面と上 クランク部材34の外周面とが、円周方向の一 部で強く当接し合う(この円形凹部33がこのク ランク部材34を噛み込む)。この結果、このク ランク部材34を上記円形凹部33内で回転させ 為に要する力(摺動抵抗)が大きくなり、構成 各部材が弾性変形した場合にも、上記パワー ローラ8aが上記入力側、出力側両ディスク1、 6の軸方向に変位しにくくなる。大きな摺動 抗に拘らず、上記パワーローラ8aをこの軸方 向に変位させる為には、上記入力側ディスク 1を上記出力側ディスク6に向けて押圧する力 大きくする必要がある。この力を大きくす 事は、押圧装置の大型化や、この押圧装置 導入する油圧の上昇(油圧式の押圧装置を使 用する場合)に繋がり、小型・軽量化の妨げ なったり、圧油を送り出すポンプを駆動す 動力の増大に基づく動力損失が大きくなる 、好ましくない。更に、上記摺動抵抗の増 が著しい場合には、前記揺動フレーム13に無 理な力が加わったり、各パワーローラ8aに関 るトラクション部の面圧の絶対値が部分的 過大になるだけでなく、この面圧が、入力 内側面3と出力側内側面7とで大きく異なっ りする。これらは、耐久性や伝達効率の低 の原因となる為、やはり好ましくない。

 上記円形凹部33の内径を上記クランク部 34の外径よりも大きくすれば、上述の様な原 因での摺動抵抗の増大は防止できる。但し、 この場合には、上記クランク部材34が上記円 凹部33の内側で、前記各枢軸15、15の軸方向 、不用意に変位する可能性を生じる。上記 ランク部材34が上記各枢軸15、15の軸方向に 位し、その結果、前記支持軸10aを介してこ クランク部材34に支持した上記パワーロー 8aが同方向に変位すると、前述した様に各ト ラクション部にサイドスリップが発生し、意 図しない変速動作が開始される為、採用でき ない。

特開平3-74667号公報

特開2001-165262号公報

独国特許出願公開第10246432号明細書(DE1024 6432A1) 青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッ シリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」 、株式会社三雄社/株式会社講談社、平成13年 12月20日、p.92-93 田中裕久著、「トロイダルCVT」、株式会 社コロナ社、2000年7月13日

 本発明は、上述の様な事情に鑑みて、意 しない変速動作が行なわれる事を防止しつ 、ハーフトロイダル型無段変速機の運転時 スラスト荷重によりトラニオンが弾性変形 た場合でも、このトラニオンの内側面に形 した円形凹部の内周面とクランク部材の外 面とが強く摩擦し合う事のない構造を実現 べく発明したものである。

 本発明は、以下の構成によって達成される
(1) それぞれが断面円弧形のトロイド曲面で る互いの軸方向片側面同士を対向させた状 で、互いに同心に、相対回転を自在に支持 れた少なくとも1対(例えば、2対)のディスク と、
 軸方向に関して前記各ディスクの軸方向片 面同士の間位置の円周方向に関して複数個 に、前記各ディスクの中心軸に対し捩れの 置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在 設けられた複数(例えば、各キャビティ毎に 3個ずつ、合計6個)のトラニオンと、
 前記各トラニオンに対し揺動自在に支持さ る基部と、前記基部に対し偏心した状態で けられる支持軸部とを備える複数の支持軸 、
 前記各トラニオンの内側面に、前記各支持 の支持軸部の周囲に回転自在に支持され、 状凸面としたそれぞれの周面を、前記両デ スクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた 数(例えば、各キャビティ毎に3個ずつ、合 6個)のパワーローラと、
 前記各トラニオンの内側面に形成された円 凹部内に回転可能に嵌装された円形のクラ ク部材と、
を備え、
 前記支持軸の基部を、前記クランク部材の 心から外れた位置に形成された円孔に、が つきなく、且つ、揺動可能に内嵌する事に り、前記両ディスクの軸方向片側面の軸方 変位に伴って、前記各パワーローラを前記 方向に変位させるハーフトロイダル型無段 速機に於いて、
 前記各パワーローラから前記各トラニオン 内側面にスラスト荷重が加わらない状態で 前記円形凹部の内周面と前記クランク部材 外周面との間に、前記円形凹部の奥に向か 程径方向に関する幅が狭く、前記円形凹部 開口部に向かう程前記幅が広くなる、断面 さび状の隙間を、前記円形凹部の全周に亙 て介在させた事を特徴とするハーフトロイ ル型無段変速機。
(2) 円形凹部の内周面が、前記円形凹部の軸 向に関して内径が変化しない円筒面であり クランク部材の外周面の少なくとも前記円 凹部の開口寄り部分が、パワーローラに向 う程外径が小さくなる方向に傾斜した円す 凸面である、上記(1)に記載したハーフトロ ダル型無段変速機。
(3) クランク部材の外周面の軸方向一部で円 凹部の奥端に位置する部分に、前記クラン 部材の軸方向に関して外径が変化しない外 面側部分円筒面部が設けられている、上記( 2)に記載したハーフトロイダル型無段変速機
(4) クランク部材の外周面が、前記クランク 材の軸方向に関して外径が変化しない円筒 であり、円形凹部の内周面の少なくとも開 寄り部分が、パワーローラに向かう程内径 大きくなる方向に傾斜した円すい凹面であ 、上記(1)に記載したハーフトロイダル型無 変速機。
(5) 円形凹部の内周面の一部で前記円形凹部 奥端部分に、前記円形凹部の軸方向に関し 内径が変化しない内周面側円筒面部が設け れている、上記(4)に記載したハーフトロイ ル型無段変速機。
(6) 前記クランク部材の外周面と前記円形凹 の内周面とのうちの少なくとも一方の面に 当該周面に固体潤滑剤を衝突させる事によ 形成した潤滑被膜が設けられている、上記( 1)~(5)のうちの何れか1項に記載したハーフト イダル型無段変速機。

 上述の様に構成する本発明のハーフトロ ダル型無段変速機によれば、運転時にスラ ト荷重によりトラニオンが弾性変形した場 でも、このトラニオンの内側面に形成した 形凹部の内周面とクランク部材の外周面と 強く摩擦し合う事がない。即ち、上記弾性 形に伴って上記円形凹部の開口部の内径が 円周方向の一部で小さくなっても、当該部 に存在するくさび状の隙間の幅が小さくな のみで、当該部分で上記両周面同士が強く れ合う事はない。この為、上記パワーロー を各ディスクの軸方向に変位させる為に要 る力を低く抑えられて、小型・軽量化や動 損失の低減を図れる。又、構成各部に無理 力が加わったり、各パワーローラに関する ラクション部の面圧が著しく不均一になる を防止して、耐久性や伝達効率の向上を図 る。又、上記円形凹部の内周面と上記クラ ク部材の外周面とは、上記隙間の幅が小さ なった部分でがたつきなく嵌合しているの 、上記クランク部材が枢軸の軸方向に変位 る事はなく、不用意な変速動作が行なわれ 事もない。

 また、上記(3)に記載の構成によれば、上 (1)及び(2)の構成に加えて、外周面側部分円 面部を設けることで、上記円形凹部内での 記クランク部材の、これら円形凹部及びク ンク部材の径方向に関する変位を抑えつつ 上記両周面同士の接触面積を確保できる。 の為、必要とする隙間を確保しつつ、これ 両周面同士の接触部の面圧が高くなる事を 止して、これら両周面に著しい摩耗や剥離 の損傷が発生する事を防止できる。上記円 凹部の奥部の内径は、上記トラニオンの弾 変形時にも殆ど変化しない為、上記外周面 部分円筒面部の存在により、上記クランク 材の回転抵抗が大きくなる事はない。

 さらに、上記(5)に記載の構成によれば、 記(1)及び(4)の構成に加えて、内周面側円筒 部を設けることで、上記(3)に記載した発明 場合と同様に、上記円形凹部内での上記ク ンク部材の、これら円形凹部及びクランク 材の径方向に関する変位を抑えつつ、上記 周面同士の接触面積を確保して、これら両 面に著しい摩耗や剥離等の損傷が発生する を防止できる。内周面側円筒面部の存在に りクランク部材の回転抵抗が大きくならな 事は、上述の(3)の場合と同じである。

 又、本発明を実施する場合に好ましくは 上記(6)に記載したような潤滑被膜を設けれ 、上記両周面の摩耗及び剥離を抑える効果 、より十分に得られる。

図1は、本発明の実施例1を示す、要部 解斜視図である。 図2は、実施例1に組み込むクランク部 を示しており、(A)は平面図、(B)は側面図、(C )は斜視図である。 図3は、実施例2に組み込むクランク部 を示す、図2と同様の図である。 図4は、同実施例3に組み込むトラニオ を示しており、(A)は内側面側から見た図、(B )は断面図である。 図5は、実施例3に組み込むクランク部 を示す、図2と同様の図である。 図6は、本発明の実施例4に組み込むト ニオンを示す、図4と同様の図である。 図7は、従来構造の第1例を示す断面図 ある。 図8は、同第2例を示す要部斜視図であ 。 図9は、図8の一部を取り出して各ディ クの軸方向から見た図である。 図10は、トラニオンとパワーローラと 取り出した状態で示す分解斜視図である。 図11は、組み立てた状態で、(A)はトラ オンの内側面側から見た図、(B)は断面図で る。 図12は、同じ状態で、(A)はトラニオン 内側面側から見た斜視図、(B)は一部を切断 た状態で外側面側から見た斜視図である。 図13は、トラニオンに対するパワーロ ラの支持部と等価のリンク機構を示す略図 ある。 図14は、パワーローラが直線運動する 由を説明する為の模式図である。 図15は、従来構造で生じる不都合を説 する為の、トラニオンの断面図である。

符号の説明

  1、1a、1b 入力側ディスク
  2  入力回転軸
  3  入力側内側面
  4  出力歯車
  5  出力筒
  6  出力側ディスク
  7  出力側内側面
  8、8a パワーローラ
  9、9a トラニオン
 10、10a 支持軸
 11  駆動軸
 12  押圧装置
 13  揺動フレーム
 14  支持板部
 15  枢軸
 16、16a セクター歯車
 17  カム装置
 18  アクチェータ
 19  カムフォロア
 20  ハウジング
 21  カム部材
 22  カム溝
 23  ピストン
 24  ピン
 25  結合ブラケット
 26  基部
 27  支持軸部
 28  ラジアルニードル軸受
 29  スラスト軸受用外輪
 30  保持器
 31  玉
 32  スラスト玉軸受
 33、33a、33b 円形凹部
 34、34a、34b クランク部材
 35  円孔
 36  長孔
 37  ガイドロッド
 38  円筒面
 39、39a 円すい凸面
 40  外周面側部分円筒面部
 41  円筒面
 42、42a 円すい凹面
 43  内周面側部分円筒面部

(実施例1)
 図1~2は、本発明の実施例1を示している。尚 、本実施例の特徴は、クランク部材34aの外周 面の形状を工夫する事により、意図しない変 速動作が行なわれる事を防止しつつ、ハーフ トロイダル型無段変速機の運転時にスラスト 荷重によりトラニオン9aが弾性変形した場合 も、このトラニオン9aの内側面に形成した 形凹部33の内周面と上記クランク部材34aの外 周面とが強く摩擦し合う事を防止する点にあ る。その他の部分の構成及び作用は、前述の 図8~12に示した、特許文献3に記載された従来 造と同様であるから、同等部分に関する図 並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以 、本実施例の特徴部分を中心に説明する。

 本実施例の場合には、上記円形凹部33の 周面を、上記従来構造の場合と同様に、こ 円形凹部33の軸方向に関して内径が変化しな い、単なる円筒面38としている。これに対し 、上記クランク部材34aの外周面全体を、パ ーローラ8aに向かう程外径が小さくなる方 に傾斜した円すい凸面39としている。この様 なクランク部材34aの外径は、この円すい凸面 39の大径側端部で、上記円形凹部33の内径と じか、この円形凹部33の内径よりも僅かに( 入作業を行なえる程度で、例えば十乃至数 μm程度)小さくしている。尚、上記クランク 材34aの内部には、上記トラニオン9aの内部 設けた給油通路を通じて送り込まれる潤滑 を、上記クランク部材34aの内外両周面に振 分ける為の潤滑油流路を設けている。

 上述の様なクランク部材34aは上記円形凹 33内に、上記円すい凸面39の大径側端部をこ の円形凹部33の奥側にした状態で内嵌する。 って、この円すい凸面39と上記円筒面38との 間には、上記円形凹部33の奥に向かう程径方 に関する幅が狭く、この円形凹部33の開口 に向かう程この幅が広くなる、断面くさび の隙間が、この円形凹部33の全周に亙って形 成される。

 この為、ハーフトロイダル型無段変速機 運転時に、上記パワーローラ8aから加えら るスラスト荷重により前記トラニオン9aが弾 性変形した場合でも、このトラニオン9aの内 面に形成した上記円形凹部33の内周面(上記 筒面38)と、上記クランク部材34aの外周面(円 すい凸面39)とが強く摩擦し合う事がない。即 ち、上記弾性変形に伴って上記円形凹部33の 口部の内径が、円周方向の一部で小さくな ても、当該部分に存在するくさび状の隙間 幅が小さくなるのみで、当該部分で上記両 面同士が強く擦れ合う事はない。この為、 記パワーローラ8aを入力側、出力側各ディ ク1、6(図8参照)の軸方向に変位させる為に要 する力を低く抑えられる。従って、この力を 発生する為の押圧装置として、特に大きなも のを使用する必要がなくなり、この押圧装置 を含んだハーフトロイダル型無段変速機の小 型・軽量化を図れる。又、この押圧装置が油 圧式である場合に、この押圧装置に圧油を供 給する為のポンプを駆動する為の動力損失の 低減による、伝達効率の向上を図れる。又、 揺動フレーム13(図8~9参照)等の構成各部に無 な力が加わったり、上記パワーローラ8aに関 するトラクション部の面圧が部分的に過大に なったり、この面圧が著しく不均一になる事 を防止して、耐久性や伝達効率の向上を図れ る。

(実施例2)
 図3は、本発明の実施例2を示している。本 施例の場合には、クランク部材34bの外周面 軸方向一部で円形凹部33(図1参照)の奥端に位 置する部分に、このクランク部材34bの軸方向 に関して外径が変化しない外周面側部分円筒 面部40を、全周に亙って設けている。この外 面側円筒面部40の外径は、上記円形凹部33の 内径よりも僅かに(挿入作業を行なえる程度 、例えば十乃至数十μm程度)小さくしている 又、上記クランク部材34bの軸方向残部は、 記外周面側部分円筒面部40から離れる程外 が小さくなる方向に傾斜した、円すい凸面39 aとしている。

 本実施例の場合には、上述の様な外周面 部分円筒面部40を設ける事により、上記円 凹部33内での上記クランク部材34bの、これら 円形凹部33及びクランク部材34bの径方向に関 る変位を抑えつつ、このクランク部材34bの 周面(上記外周面側円筒面部40)と上記円形凹 部33の内周面である円筒面38(図1参照)との接 面積を確保している。この為、この円形凹 33内での上記クランク部材34bの円滑な回転を 保証する為に必要とする隙間を確保しつつ、 上記両周面同士の接触部の面圧が高くなる事 を防止して、これら両周面に著しい摩耗や剥 離等の損傷が発生する事を防止できる。上記 外周面側円筒面部40を設けた点以外の部分の 成及び作用は、上述した実施例1と同様であ る為、重複する図示並びに説明は省略する。

(実施例3)
 図4~5は、本発明の実施例3を示している。本 実施例の場合には、クランク部材34の外周面 、前述の特許文献3に記載された従来構造の 場合と同様に、このクランク部材34の軸方向 関して外径が変化しない円筒面41としてい 。その代わりに、トラニオン9aの内側面に開 口する状態で形成した円形凹部33aの内周面を 、パワーローラに向かう程内径が大きくなる 方向に傾斜した円すい凹面42としている。こ 様な円すい凹面42の内径は、この円すい凹 42の小径側端部で、上記クランク部材34の外 と同じか、このクランク部材34の外径より 僅かに(挿入作業を行なえる程度で、例えば 乃至数十μm程度)大きくしている。

 上述の様な円形凹部33a内に上記クランク 材34を内嵌した状態で、上記円すい凹面42と 上記円筒面41との間には、上記円形凹部33aの に向かう程径方向に関する幅が狭く、この 形凹部33aの開口部に向かう程この幅が広く る、断面くさび状の隙間が、この円形凹部3 3aの全周に亙って形成される。この為に本実 例の場合も、ハーフトロイダル型無段変速 の運転時に上記トラニオン9aが弾性変形し 場合でも、このトラニオン9aの内側面に形成 した上記円形凹部33aの内周面(上記円すい凹 42)と、上記クランク部材9aの外周面(円筒面41 )とが強く摩擦し合う事がない。

(実施例4)
 図6は、本発明の実施例4を示している。本 施例の場合には、トラニオン9aの内側面に開 口させた円形凹部33bの奥端部分に、この円形 凹部33bの軸方向に関して内径が変化しない内 周面側部分円筒面部43を、全周に亙って設け いる。この内周面側円筒面部43の内径は、 ランク部材34(図5参照)の外径よりも僅かに( 入作業を行なえる程度で、例えば十乃至数 μm程度)大きくしている。又、上記円形凹部3 3bの軸方向残部は、上記内周面側部分円筒面 43から離れる程内径が大きくなる方向に傾 した、円すい凹面42aとしている。

 本実施例の場合には、上述の様な内周面 部分円筒面部43を設ける事により、上記円 凹部33b内での上記クランク部材34の、これら 円形凹部33b及びクランク部材34の径方向に関 る変位を抑えつつ、このクランク部材34の 周面(円筒面41)と上記円形凹部33bの一部内周 である上記内周面側部分円筒面部43との接 面積を確保している。この為、上記円形凹 33b内での上記クランク部材34の円滑な回転を 保証する為に必要とする隙間を確保しつつ、 上記両周面同士の接触部の面圧が高くなる事 を防止して、これら両周面に著しい摩耗や剥 離等の損傷が発生する事を防止できる。上記 内周面側円筒面部43を設けた点以外の部分の 成及び作用は、上述した実施例3と同様であ る為、重複する図示並びに説明は省略する。

 なお、本発明は、上述した各実施例に限 されるものでなく、適宜、変形、改良等が 能である。例えば、少なくとも円形凹部の 口寄り部分が、パワーローラに向かう程外 が小さくなる方向に傾斜した円すい凸面で る、クランク部材の外周面と、少なくとも 口寄り部分が、パワーローラに向かう程内 が大きくなる方向に傾斜した円すい凹面で る、円形凹部の内周面と、を組み合わせて 用することも可能である。

 本発明の構造は、前述の図8~9に示した様 、各トラニオン9a、9aを、それぞれの両端部 に互いに同心に設けた各枢軸15、15の軸方向 変位を阻止した状態で設けた構造に適用す 事が好ましい。前述の図7に示した構造の場 には、各トラニオン9、9を、それぞれの両 部に互いに同心に設けた各枢軸の軸方向の 位させる事を前提としている。従って上記 7に示した構造の場合には、本発明の構造に らなくても、変速比の非調節時にトラクシ ン部でサイドスリップが発生したり、変速 を調節する為に要する力が過大になる事を 止できる。但し、本発明の構造を上記図7に 示した構造に適用する事は自由である。そし て、適用する事により、(例えば出力側ディ クの軸方向位置を固定しない構造で)各キャ ティ同士の間での変速比を同期させる為の ューニングが容易になる等の作用・効果を られる。

 又、本発明を実施する場合に、クランク 材の外周面と円形凹部の内周面とのうちの なくとも一方の面に、当該周面に固体潤滑 を衝突させる事により形成した潤滑被膜を ければ、上記両周面の摩耗及び剥離を抑え 効果を、より十分に得られる。固体潤滑剤 勢い良く衝突させる事により得られる潤滑 膜は、長期間に亙る使用に対して十分な耐 性を確保できるので、上記摩耗及び剥離防 の面から有効である。この場合に、上記潤 被膜を形成する面は、上記クランク部材の 周面を含む、このクランク部材の表面全体 する事が、上記潤滑被膜の形成作業を容易 行なう面からは好ましい。

 本出願は、2005年10月17日出願の日本特許 願(特願2005-302007)に基づくものであり、その 容はここに参照として取り込まれる。