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Title:
HALF-CLUTCH STATE DECIDING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/142949
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a half-clutch state deciding device, which extracts the high-frequency component and the low-frequency component of an engine speed by an averaging operation when the engine speed drops while the vehicle is stopping, and accumulates the high-frequency and low-frequency components extracted, to calculate the locus length of the high-frequency component and the locus length of the low-frequency component. Moreover, the device judges whether or not the vehicle is in the half-clutch state according to the relation between the locus length of the high-frequency component and the locus length of the low-frequency component. Specifically, the device uses a two-dimensional map (Fig. 5), in which a half-clutch deciding region is set by using the locus length of the high-frequency component and the locus length of the low-frequency component as parameters, and plots the locus length of the high-frequency component and the locus length of the low-frequency component in the two-dimensional map, thereby to decide whether or not the vehicle is in the half-clutch state, in dependence upon whether or not the plotted point is within the half-clutch deciding region.

Inventors:
TAHARA TATSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057919
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
April 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
TAHARA TATSUYA (JP)
International Classes:
F16D23/12; F16D48/02
Foreign References:
JPH05180064A1993-07-20
JPH05312076A1993-11-22
Attorney, Agent or Firm:
KURAUCHI, Giro et al. (14-3 Nishitemma 4-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 47, JP)
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Claims:
 エンジンの出力側にクラッチを介して接続される手動変速機を備えた車両において、前記クラッチの半クラッチ状態を判定する判定装置であって、
 前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記車両の停止を検出する停止検出手段と、前記車両の停止中にエンジン回転数が低下したときに、当該エンジン回転数の高周波成分と低周波成分とをなまし処理にて抽出する周波数抽出手段と、前記高周波成分と低周波成分とをそれぞれ積算して高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長とを算出する軌跡長算出手段と、前記軌跡長算出手段にて算出された高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長との関係から前記クラッチが半クラッチ状態であるか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とする半クラッチ状態判定装置。
 請求項1記載の半クラッチ状態判定装置において、
 前記判定手段は、高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長とをパラメータとし、それら高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長との関係を考慮して半クラッチ判定領域が設定されたマップを用い、前記軌跡長算出手段にて算出された高周波成分の軌跡長及び低周波成分の軌跡長に基づいて前記マップを参照して半クラッチ状態であるか否かを判定することを特徴とする半クラッチ状態判定装置。
 請求項1記載の半クラッチ状態判定装置において、
 前記判定手段は、前記軌跡長算出手段にて算出された高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長との軌跡長比[高周波成分の軌跡長/低周波成分の軌跡長]を算出し、その軌跡長比を所定の判定値と比較して半クラッチ状態であるか否かを判定することを特徴とする半クラッチ状態判定装置。
Description:
半クラッチ状態判定装置

 本発明は、エンジン(内燃機関)の出力側 クラッチを介して接続される手動変速機が 載された車両において、前記クラッチの半 ラッチ状態を判定する半クラッチ状態判定 置に関する。

 エンジンを搭載した車両においては、必 な走行トルクや車速を得るために、エンジ 出力を変速機により変速して駆動輪に伝達 ている。車両に搭載される変速機としては エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的 最適設定する自動変速機(オートマチックト ランスミッション)と、手動変速機(マニュア トランスミッション)とがある。手動変速機 は、自動変速機に比べて燃費・加速性・減速 性が優れている。

 手動変速機が搭載された車両では、エン ンと手動変速機との間にクラッチが設けら ており、そのクラッチをクラッチペダルの 作に応じて係合または解放することにより エンジンの出力トルクの手動変速機への伝 または遮断を行っている(例えば、特許文献 1参照)。

 一方、車両などに搭載されるエンジンに 、ポート噴射型エンジンや筒内直噴型エン ンが知られている。ポート噴射型エンジン 、吸気ポートに配置した燃料噴射弁(インジ ェクタ)から吸気通路内にガソリン等の燃料 噴射して均質な混合気を形成し、その混合 を燃焼室内に導入し、点火プラグにて点火 る方式のエンジンである。

 筒内直噴型エンジンは、各気筒に燃料噴 弁を配置し、その燃料噴射弁からガソリン の燃料を燃焼室内に直接噴射して、吸気ポ トから燃焼室内に導入される吸入空気と混 して混合気を形成し、この混合気を点火プ グにより点火する方式のエンジンである。 内直噴型エンジンは、低燃費・低排気エミ ション・高出力などの点で優れていること ら、需要が急増している。

 また、車両に搭載されるエンジンにおい は、吸気通路に設けたスロットルバルブを 動するアクチュエータ(スロットルモータ) 設け、運転者のアクセルペダルの操作とは 立してスロットル開度を制御可能とした電 スロットルシステムが知られている。

 電子スロットルシステムでは、エンジン回 数と運転者のアクセルペダル踏み込み量(ア クセル開度)等のエンジンの運転状態に応じ 最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるよ うにスロットル開度が制御される。具体的に は、スロットル開度センサ等を用いてスロッ トルバルブの実際のスロットル開度を検出し 、その実スロットル開度が、上記目標吸気量 が得られるスロットル開度(目標スロットル 度)に一致するようにスロットルバルブのア チュエータをフィードバック制御している( 例えば、特許文献2参照)。

特開2002-188658号公報

特開2002-021617号公報

特開2005-248909号公報

 エンジンでは、冷間始動直後のファース アイドル中に、触媒の早期活性化を目的と て、点火時期遅角を伴う触媒暖機制御を実 している。触媒暖機制御では、吸入空気量 多くするために点火時期を遅くしてトルク 低下させている。ところが、触媒暖機制御 にエンジン回転数が想定を下回った場合、 の回転数を回復させるべく、触媒暖機制御 中断する必要がある。

 ところが、冷間始動直後で車両が停止(車 速=0km/h)している状態のときに、エンジン回 数が低下した場合、そのエンジン回転数の 下が半クラッチ操作によって発生している か、エンジンの異常(失火等の燃焼悪化)によ って発生しているのかを判別することができ ない。

 このように、車両停止中にエンジン回転 が低下する要因が、半クラッチ操作である か、エンジンの異常(燃焼悪化)であるのか 判別できないと、半クラッチ状態であるの も関わらず、エンジン異常であると誤検出 る場合あり、また、実際にエンジンの異常 発生しているのに、その異常を検出できな 場合がある。さらに、ファーストアイドル に生じたエンジン回転数の低下が半クラッ 状態によるものであると判断できれば、半 ラッチ状態解除後に、再び触媒を暖機する めの制御を再開することができるようにな 。

 ここで、クラッチペダルのストロークを 出するストロークセンサを設置すれば、半 ラッチ状態を判定することは可能になるが この場合、ストロークセンサ自体の異常を 出する異常検出システムを構築しない限り 半クラッチの誤判定が発生することがあり 上記したようなエンジン異常の誤検出や、 ンジン異常の検出不可が発生する可能性が る。

 本発明はそのような実情を考慮してなさ たもので、エンジンの出力側にクラッチを して接続される手動変速機を備えた車両に いて、車両停車中に半クラッチ状態を判定 ることが可能な半クラッチ状態判定装置を 供することを目的とする。

 本発明の半クラッチ状態判定装置は、エ ジンの出力側にクラッチを介して接続され 手動変速機を備えた車両において、前記ク ッチの半クラッチ状態を判定する判定装置 前提としている。そして、このような半ク ッチ状態判定装置において、前記エンジン 回転数を検出するエンジン回転数検出手段 、前記車両の停止を検出する停止検出手段 、前記車両の停止中にエンジン回転数が低 したときに、当該エンジン回転数の高周波 分と低周波成分とをなまし処理にて抽出す 周波数抽出手段と、前記高周波成分と低周 成分とをそれぞれ積算して高周波成分の軌 長と低周波成分の軌跡長とを算出する軌跡 算出手段とを備え、前記軌跡長算出手段に 算出された高周波成分の軌跡長と低周波成 の軌跡長との関係から前記クラッチが半ク ッチ状態であるか否かを判定する判定手段 有することによって特徴付けられる。

 前記構成において、前記判定手段は、高 波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長とを ラメータとし、それら高周波成分の軌跡長 低周波成分の軌跡長との関係を考慮して半 ラッチ判定領域が設定されたマップを用い 前記軌跡長算出手段にて算出された高周波 分の軌跡長及び低周波成分の軌跡長に基づ て前記マップを参照して半クラッチ状態で るか否かを判定する構成であってもよい。

 また、前記判定手段は、前記軌跡長算出 段にて算出された高周波成分の軌跡長と低 波成分の軌跡長との軌跡長比[高周波成分の 軌跡長/低周波成分の軌跡長]を算出し、その 跡長比を所定の判定値と比較して半クラッ 状態であるか否かを判定する構成であって よい。

 本発明の作用を以下に述べる。

 まず、ファーストアイドルを実施してい ときに、エンジン回転数には、高周波成分( エンジンの点火に比例する成分)と低周波成 とが含まれており、エンジンの燃焼状態が 化すると高周波成分が強くなる。エンジン 転数になまし処理(具体的には、LPF(ローパス フィルタ)によるフィルタ処理)をすることに って、回転の爆発1次の成分を抽出した高周 波成分と、運転者のクラッチペダルの操作周 期の成分とを抽出した低周波成分を得て、そ の抽出した高周波成分からエンジンの燃焼状 態の悪化度合を知ることができる。

 具体的には、高周波成分を積算(線積分) た軌跡長の長さから燃焼状態の悪化度合を 出することができ、その高周波成分の軌跡 が短いときには、エンジンが正常であると 定することができる。換言すれば、車両停 中にエンジン回転数の低下が発生したとき 、高周波成分の軌跡長が短い場合には、そ エンジン回転数の低下が半クラッチ操作に るものであると判定することができる。

 ただし、エンジン回転数のなまし処理に 抽出した高周波成分には、低周波成分(クラ ッチペダル操作の周波数成分など)も含まれ いるので、その低周波成分による影響を低 できるように、高周波成分と低周波成分と 関係を考慮して半クラッチ判定を行う必要 ある。その具体的な方法について説明する

 まず、予め実験等によってエンジン回転 の高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡 とを採取しておき、それら高周波成分の軌 長及び低周波成分の軌跡長を、図5に示すよ うなグラフ、つまり、低周波成分の軌跡長を 横軸とし、高周波成分の軌跡長を縦軸とする グラフ上にプロットし、そのプロットした各 データ群及びエンジンストールラインを考慮 して半クラッチ判定領域を決定して半クラッ チ判定マップを作成する。

 そして、エンジン回転数から高周波成分 低周波成分とをなまし処理にて抽出し、そ ら高周波成分と低周波成分とを積算(線積分 )して高周波成分の軌跡長と低周波成分の軌 長を算出し、その算出した高周波成分の軌 長と低周波成分の軌跡長とを、上記した半 ラッチ判定マップ上にプロットし、エンジ 回転数低下時に、そのプロット点が半クラ チ判定領域内に入っているか否かによって クラッチ状態であるか否かを判定すること できる。

 このように低周波成分の軌跡長を横軸、 周波成分の軌跡長を縦軸とする2次元マップ に、高周波成分の軌跡長をプロットして半ク ラッチ判定を行うことにより、エンジン回転 数から抽出した高周波成分に含まれる低周波 成分の影響を低減することができる。

 また、同様にして、エンジン回転数の高 波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長とを 出し、その高周波成分の軌跡長と低周波成 の軌跡長との軌跡長比[高周波成分の軌跡長 /低周波成分の軌跡長]を算出することにより 抽出後の高周波成分に含まれる低周波成分 影響を低減することができる。この場合、 跡長比[高周波成分の軌跡長/低周波成分の 跡長]を所定の判定値と比較して、軌跡長比 判定値以下[高周波成分の軌跡長/低周波成 の軌跡長≦判定値]であるときには半クラッ 状態であると判定する。

 本発明によれば、エンジンの出力側にク ッチを介して接続される手動変速機を備え 車両において、エンジン回転数の高周波成 の軌跡長と低周波成分の軌跡長との関係か 半クラッチ状態を判定するので、クラッチ ダルのストロークを検出するストロークセ サ等を用いることなく、車両停車中に半ク ッチ状態を判定することができる。

図1は、本発明を適用する車両の一例を 示す概略構成図である。 図2は、ECU等の制御系の構成を示すブロ ック図である。 図3は、ECUにおいて実行される半クラッ チ判定処理の一例を示す制御ブロック図であ る。 図4は、ECUにおいて実行される半クラッ チ判定処理の制御ルーチンの一例を示すフロ ーチャートである。 図5は、半クラッチ判定マップを示す図 である。 図6は、軌跡長積算値の算出処理の説明 図である。 図7は、軌跡長積算値の算出処理の説明 図である。 図8は、軌跡長比[高周波成分の軌跡長/ 周波成分の軌跡長]を用いて半クラッチ状態 を判定する場合の例を示す図である。

符号の説明

 1 エンジン
 2 インジェクタ
 3 点火プラグ
 5 スロットルバルブ
 6 スロットルモータ
 22 エアフローメータ
 26 エンジン回転数センサ
 100 ECU
 200 手動変速機
 300 クラッチ

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 説明する。

 図1は本発明を適用する車両の一例を示す 概略構成を示す図である。なお、図1にはエ ジン1の1気筒の構成のみを示している。

 この例の車両には、エンジン(内燃機関)1、 動変速機200、クラッチ300、及び、ECU(Electroni c Control Unit)100などが搭載されており、そのE CU100で実行されるプログラムによって本発明 半クラッチ状態判定装置が実現される。
<エンジン>
 エンジン1は、例えば筒内直噴型4気筒ガソ ンエンジンであって、燃焼室1aを区画形成す るピストン1b及び出力軸であるクランクシャ ト17を備えている。ピストン1bはコネクティ ングロッド18を介してクランクシャフト17に 結されており、ピストン1bの往復運動がコネ クティングロッド18によってクランクシャフ 17の回転へと変換される。

 エンジン1のクランクシャフト17は、手動 速機200にクラッチ300介して連結可能となっ おり、エンジン1からの動力を手動変速機200 を介して車両の駆動輪(図示せず)に伝達する とができる。クラッチ300は、例えば乾式単 式の摩擦クラッチであって、クラッチ300が 放状態になることにより、エンジン1から手 動変速機200への動力伝達が遮断される。また 、クラッチ300が係合状態になることにより、 エンジン1からの動力を手動変速機200に伝達 ることができる。

 クランクシャフト17には、外周面に複数 突起(歯)19aを有するシグナルロータ19が取り けられている。シグナルロータ19の側方近 にはエンジン回転数センサ26が配置されてい る。エンジン回転数センサ26は、例えば電磁 ックアップであって、クランクシャフト17 回転する際にシグナルロータ19の突起19aに対 応するパルス状の信号(出力パルス)を発生す 。

 エンジン1のシリンダブロック1cには、エ ジン1の冷却水温を検出する水温センサ21が 置されている。エンジン1の燃焼室1aには点 プラグ3が配置されている。点火プラグ3の 火タイミングはイグナイタ4によって調整さ る。イグナイタ4はECU100によって制御される 。

 エンジン1の燃焼室1aには吸気通路11と排 通路12とが接続されている。吸気通路11と燃 室1aとの間に吸気バルブ13が設けられており 、この吸気バルブ13を開閉駆動することによ 、吸気通路11と燃焼室1aとが連通または遮断 される。また、排気通路12と燃焼室1aとの間 排気バルブ14が設けられており、この排気バ ルブ14を開閉駆動することにより、排気通路1 2と燃焼室1aとが連通または遮断される。これ ら吸気バルブ13及び排気バルブ14の開閉駆動 、それぞれ、クランクシャフト17の回転が伝 達される吸気カムシャフト15及び排気カムシ フト16の各回転によって行われる。

 吸気通路11には、エアクリーナ7、熱線式 エアフローメータ22、吸気温センサ23(エア ローメータ22に内蔵)、及び、エンジン1の吸 空気量を調整する電子制御式のスロットル ルブ5が配置されている。スロットルバルブ 5はスロットルモータ6によって駆動される。 ロットルバルブ5の開度はスロットル開度セ ンサ27によって検出される。

 エンジン1の排気通路12には三元触媒8が配 置されている。三元触媒8の上流側の排気通 12に空燃比センサ24が配置されている。空燃 センサ24は、空燃比に対してリニアな特性 示すセンサである。また、三元触媒8の下流 の排気通路12には酸素センサ25が配置されて いる。酸素センサ25は、その出力値が理論空 比付近でステップ状に変化する、いわゆるZ 特性を示すセンサである。

 そして、エンジン1には、燃焼室1a内に燃料 直接噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)2が 気筒毎に設けられている。各気筒毎のイン ェクタ2には、燃料供給装置によって高圧燃 料が供給され、その各インジェクタ2から燃 を燃焼室1a内に直接噴射することにより、燃 焼室1a内で空気と燃料とが混合された混合気 形成され、点火プラグ3の点火に伴ってその 混合気が燃焼室1a内で燃焼される。この混合 の燃焼室1a内での燃焼によりピストン1bが往 復運動してクランクシャフト17が回転する。 上のエンジン1の運転状態はECU100によって制 御される。
<ECU>
 ECU100は、図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM 103、バックアップRAM104、及び、後述する軌跡 長積算時に使用するカウンタなどを備えてい る。

 ROM102は、各種制御プログラムや、それら 種制御プログラムを実行する際に参照され マップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102 記憶された各種制御プログラムやマップに づいて演算処理を実行する。RAM103は、CPU101 の演算結果や各センサから入力されたデー 等を一時的に記憶するメモリであり、バッ アップRAM104は、エンジン1の停止時にその保 存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモ リである。

 これらCPU101、ROM102、RAM103、及び、バック ップRAM104は、バス107を介して互いに接続さ るとともに、入力インターフェース105及び 力インターフェース106と接続されている。

 入力インターフェース105には、水温セン 21、エアフローメータ22、吸気温センサ23、 燃比センサ24、酸素センサ25、エンジン回転 数センサ26、スロットル開度センサ27、アク ルペダルへの踏み込み量に応じた検出信号 出力するアクセル開度センサ28、及び、車速 センサ29などの各種センサが接続されている 出力インターフェース106には、インジェク 2、点火プラグ3のイグナイタ4、及び、スロ トルバルブ5のスロットルモータ6などが接 されている。

 そして、ECU100は、上記した各種センサの検 信号に基づいて、インジェクタ2の噴射時期 制御及び点火プラグ3の点火時期制御などを むエンジン1の各種制御を実行する。さらに ECU100は、下記の「アイドル回転数制御」、 び、「半クラッチ判定処理」を実行する。
<アイドル回転数制御>
 アイドル回転数制御は、エンジン1のアイド ル運転時に実行される制御であり、アイドル 運転時の実際のアイドル回転数が目標アイド ル回転数に一致するようにスロットルバルブ 5の開度を調整してエンジン1への吸入空気量 フィードバック制御する。

 具体的には、エンジン1の運転状態に基づ いてマップ等を参照して目標アイドル回転数 を算出するとともに、エンジン回転数センサ 26の出力信号から実際のアイドル回転数(エン ジン回転数)を読み込み、その実際のアイド 回転数が目標アイドル回転数に一致するよ にスロットルバルブ5の開度を制御してエン ン1への吸入空気量をフィードバック制御す る。

 また、ECU100は、ファーストアイドルを実 する場合もある。ファーストアイドルとは 例えば、エンジン1の冷却水温が予め定めら れた温度よりも低い場合(冷間時)に、通常(温 間時)よりもアイドル回転数を高く設定(例え 1220rpm)する制御のことである。

 さらに、ECU100は、ファーストアイドル中 、三元触媒8の早期活性化を目的として、触 媒暖機のための遅角制御を実施する場合もあ る。

 触媒暖機のための遅角制御では、上述した うに、吸入空気量を多くするために点火時 を遅くしてトルクを低下させているので、 ラッチ300が半クラッチ状態であるときのフ クションに耐え得るトルクを確保すること できない。この点を考慮して、この例では 後述する半クラッチ判定処理により、エン ン回転数低下発生時にクラッチ300が半クラ チ状態であると判定した場合には、触媒暖 のための遅角制御を中断する。
<半クラッチ判定処理>
 まず、半クラッチ判定処理に用いるマップ ついて説明する。

 この例に用いる半クラッチ判定マップは 予め実験によって採取したデータに基づい 作成している。その作成手順を以下に示す

 (1)実験条件(図5参照)
  (a)[2気筒失火→3気筒失火]の繰り返し
  (b)2気筒失火+半クラッチ
  (c)3気筒失火
  (d)煩雑な半クラッチ操作
  (e)クラッチペダル最速操作
 (2)上記(a)~(e)の条件で実験を行い、エンジン 回転数Neの高周波成分の軌跡長と低周波成分 軌跡長とを採取した。

 具体的には、図3に示すように、エンジン 回転数センサ26の出力信号にLPF110にてフィル 処理(なまし処理)を施して、エンジン回転 Neの高周波成分enesmhを抽出し、その高周波成 分enesmhを積算(線積分)して高周波成分の軌跡 を算出した。高周波成分の軌跡長の積算に 下記の式を用いた。

 高周波成分の軌跡長=前回軌跡長+|enesmh-前回 enesmh|
 ただし、データサンプリング周期を16msとし 、積算期間を1secとした。LPF110のカットオフ 波数は61Hz(ファーストアイドル回転数=1220rpm 爆発1次成分に相当)とした。

 また、同様に、エンジン回転数センサ26 出力信号にLPF120にてフィルタ処理(なまし処 )を施して、エンジン回転数Neの低周波成分e nesmlを抽出し、その低周波成分enesmlを積算(線 積分)して低周波成分の軌跡長を算出した。 周波成分の軌跡長の積算には下記の式を用 た。

 低周波成分の軌跡長=前回軌跡長+|enesml-前回 enesml|
 ただし、データサンプリング周期を16msとし 、積算期間を1secとした。また、LPF120のカッ オフ周波数は2Hz(クラッチペダル操作の周波 成分に相当)とした。

 (3)図5に示すように、低周波成分の軌跡長 を横軸、高周波成分の軌跡長を縦軸とするグ ラフ上に、(2)の処理で算出した高周波成分の 軌跡長及び低周波成分の軌跡長をプロットし 、そのプロットしたデータ群の分布及びエン ジンストールラインを考慮して半クラッチ判 定領域を決定し、半クラッチ判定マップを作 成した。この図5に示す半クラッチ判定マッ はECU100のROM102内に記憶しておく。

 次に、半クラッチ判定処理の具体的な例 図3及び図4を参照して説明する。図4の半ク ッチ判定処理の制御ルーチンはECU100におい 所定時間(16ms)ごとに繰り返して実行される

 この例の半クラッチ判定処理の制御ルー ンは、所定の条件が成立したとき、つまり 車両停止(車速センサ29の出力信号に基づく 速が0km/h)中に、エンジン回転数Neの低下が 生したときに開始される。

 ステップST1では、エンジン回転数Neの高 波成分enesmhと低周波成分enesmlとを抽出する

 具体的には、図3に示すように、エンジン 回転数センサ26の出力信号に、LPF110(カットオ フ周波数:61Hz)にてフィルタ処理(なまし処理) 施してエンジン回転数Neの高周波成分enesmh 抽出する。また、エンジン回転数センサ26の 出力信号に、LPF120(カットオフ周波数:2Hz)にて フィルタ処理(なまし処理)を施してエンジン 転数Neの低周波成分enesmlを抽出する。

 ステップST2では、カウンタecnelegのカウン ト値が13(200ms)以上であるか否かを判定し、そ の判定結果が否定判定である場合はステップ ST11に進む。

 ステップST11においては、ステップST1で抽 出した高周波成分enesmhを用いて、単位期間積 算値eneleghを下記の式にて算出する。

 enelegh←enelegh+|enesmh-前回enesmh|
 また、ステップST1で抽出した低周波成分enes mlを用いて、単位期間積算値eneleglを下記の式 にて算出する。

 enelegl←enelegl+|enesml-前回enesml|
 以上のステップST11の積算処理が終了すると 、カウンタecnelegのインクリメント(ecneleg←ecn eleg+1)を行う(ステップST12)。

 ここで、この例では、図6及び図7に示す うに、半クラッチ判定に用いる高周波成分 軌跡長積算値enesumhの積算期間を1secとしてい る。ただし、積算期間(1sec)が経過するごとに 半クラッチ判定を行うのではなく、積算期間 (1sec)を5つの単位期間(200ms)に分割し、その単 期間(200ms)で積算した単位期間積算値enelegh よって高周波成分の軌跡長積算値enesumhを順 更新して半クラッチ判定を行う。また、低 波成分側についても、同様に、単位期間(200 ms)で積算した単位期間積算値eneleglによって 周波成分の軌跡長積算値enesumlを順次更新し 半クラッチ判定を行う。

 従って、この例では、カウンタecnelegのカ ウント値が0からカウントアップされてカウ ト値が13(200ms)以上になるまでは、ステップST 1、ステップST11及びステップST12の処理が順次 繰り返して実行される。

 そして、カウンタecnelegのカウント値が13( 200ms)以上となった時点つまりステップST2の判 定結果が肯定判定となった時点でステップST3 に進む。

 ステップST3では、今回積算された単位期 積算値eneleghと、1回前の単位期間積算値enele gh1と、2回前の単位期間積算値enelegh2と、3回 のenelegh3と、4回前の単位期間積算値enelegh4と から高周波成分の軌跡長積算値enesumhを求め (enesumh←enelegh+enelegh1+enelegh2+enelegh3+enelegh4)。

 また、低周波成分側についても同様に、 回積算された単位期間積算値eneleglと、1回 の単位期間積算値enelegl1と、2回前の単位期 積算値enelegl2と、3回前の単位期間積算値enele gl3と、4回前の単位期間積算値enelegl4とから低 周波成分の軌跡長積算値enesumlを求める(enesuml ←enelegl+enelegl1+enelegl2+enelegl3+enelegl4)。

 なお、ステップST4で求めた高周波成分の 跡長積算値enesumh及び低周波成分の軌跡長積 算値enesumlは、次回の単位期間積算値enelegh,ene leglの積算が完了するまで記憶保持される。

 次に、ステップST4では、単位期間積算値e nelegh,eneleglの更新処理を行う。その具体的な 理を高周波成分側を例にとって、図6を参照 して説明する。なお、この図6の処理説明は 号のみで行う。

 まず、図6(A)の状態から、4回前のenelegh4を 破棄する。次に、図6(B)に示すように、3回前 enelegh3を4回前のenelegh4とし(enelegh4←enelegh3) 2回前のenelegh2を3回前のenelegh3とし(enelegh3←en elegh2)、1回前のenelegh1を2回前のenelegh2とする(e nelegh2←enelegh1)という更新処理を行い、さら 、eneleghを0にする(enelegh←0)という更新処理 行う。そして、図6(C)に示すように、次回のe neleghの積算が完了した時点で、そのeneleghを えて高周波成分の軌跡長積算値enesumhを求め 。

 なお、低周波成分側についても、同様に [enelegl4←enelegl3,enelegl3←enelegl2,enelegl2←eneleg l1,enelegl←0]の更新処理を行う。

 ステップST4の処理が終了すると、カウン ecnelegをクリア(ecneleg←0)する(ステップST5)。

 なお、以上のステップST2~ST5、ステップST1 1~ST12の処理は図3に示す積算処理部130,140で実 される。

 そして、ステップST6において、ステップS T3で算出した高周波成分の軌跡長積算値enesumh と低周波成分の軌跡長積算値enesumlとを、図5 示す半クラッチ判定マップにプロットし、 のプロット点が半クラッチ判定領域内に入 ているか否かを判定し、プロット点が半ク ッチ判定領域内に入っている場合、エンジ 回転数Neが低下した要因が半クラッチであ と判定する。

 さらに、ステップST6では、半クラッチ判 継続時間が10sec以内であるか否かを判定し おり、半クラッチ判定(半クラッチ判定領域 )で、かつ、半クラッチ判定継続時間ecmclが1 0sec以内である場合(ステップST6の判定結果が 定判定である場合)、半クラッチ判定を継続 するとともに、半クラッチ判定継続時間ecmcl 16msを加算する(ステップST7)。なお、半クラ チ判定継続中に、車速センサ29により車速 検出されたときには、発進操作によって正 く半クラッチ操作が行われたと判断して、 の制御ルーチンを一旦終了する。

 一方、半クラッチ判定マップにプロット た点が半クラッチ判定領域外である場合、 ンジン回転数Neが低下した要因が半クラッ でないと判定する(ステップST8)。また、ステ ップST6の判定結果が半クラッチ判定であって も、半クラッチ判定継続時間ecmclが10secを超 ている場合は、半クラッチ判定を取り下げ 、半クラッチ判定継続時間ecmclを「0」にす (ステップST8)。

 なお、半クラッチ判定継続時間ecmclが10sec を超えた場合には、半クラッチ操作以外の要 因によってエンジン回転数Neが低下したと判 する。ここで、半クラッチ判定継続時間ecmc lは10secに特定されず、一般的に運転操作では 考え難い、十分に長い時間であればよい。以 上のステップST6~ST8は図3の判定処理部150で実 される。

 以上のように、この例の半クラッチ判定処 によれば、エンジン回転数Neの高周波成分 軌跡長と低周波成分の軌跡長との関係から ラッチ300が半クラッチ状態であるか否かを 定しているので、クラッチペダルのストロ クを検出するストロークセンサ等を用いる となく、車両停車中に半クラッチ状態を判 することが可能になる。
[他の実施形態]
 以上の例では、半クラッチ判定マップを用 てクラッチ300の半クラッチ状態を判定して るが、本発明はこれに限られることなく、 周波成分の軌跡長と低周波成分の軌跡長と 軌跡長比[高周波成分の軌跡長/低周波成分 軌跡長]を用いて半クラッチ状態を判定する うにしてもよい。この場合の判定処理につ て説明する。

 まず、エンジン回転数Neの低下が発生し ときに、その低下要因がエンジン1のクラッ 操作である場合、図8に示すように、軌跡長 比[高周波成分の軌跡長/低周波成分の軌跡長] は小さい。

 一方、エンジン回転数Neが低下した要因 燃焼悪化(失火)である場合、その燃焼悪化の 度合に応じて高周波成分が強くなる。高周波 成分が強くなると、高周波成分の軌跡長が長 くなって、軌跡長比[高周波成分の軌跡長/低 波成分の軌跡長]が、半クラッチ操作時より も大きくなる。この点を考慮し、半クラッチ 状態と燃焼悪化状態とを判別する判定値を設 定すれば、その判定値以下(高周波成分の軌 長/低周波成分の軌跡長≦判定値)である場合 は半クラッチ状態であると判定することがで きる。

 このように軌跡長比を用いて半クラッチ 定を行う場合も、図4に示したフローチャー トと同様な処理によって半クラッチ状態を判 定することができる。ただし、図4のステッ ST6の判定条件「半クラッチ判定領域内」を 「高周波成分の軌跡長/低周波成分の軌跡長 判定値」に変更する。

 なお、図8に示す判定値については、例え ば、図5の半クラッチ判定マップを作成する 合と同様な条件・手法で高周波成分の軌跡 及び低周波成分の軌跡長を採取し、それら 周波成分の軌跡長及び低周波成分の軌跡長 基づいて、半クラッチ状態と燃焼悪化状態 を判別できるような値を経験的に求めて設 すればよい。

 以上の例では、筒内直噴4気筒ガソリンエ ンジンに本発明を適用した例を示したが、本 発明はこれに限られることなく、例えば筒内 直噴6気筒ガソリンエンジンなど、他の任意 気筒数の筒内直噴ガソリンエンジンにも適 可能である。また、筒内直噴ガソリンエン ンに限られることなく、ポート噴射型ガソ ンエンジンにも本発明を適用することがで る。

 なお、本発明は、その精神または主要な 徴から逸脱することなく、他の様々な形で 施することができる。そのため、上述の実 形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、 定的に解釈してはならない。本発明の範囲 特許請求の範囲によって示すものであって 明細書本文には、なんら拘束されない。さ に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変 や変更は、全て本発明の範囲内のものであ 。

 本発明の半クラッチ状態判定装置は、車 停車中であっても、エンジン異常の誤検出 、エンジン異常の検出不可を招くことなく また、ストロークセンサ等を用いることな 、半クラッチ状態を判定できる点で優れて り、エンジンの出力側にクラッチを介して 続される手動変速機を備えた車両において 益である。特に、低燃費・低排気エミッシ ン・高出力などの点で優れていることから 要が急増している筒内直噴型エンジンにお て、この半クラッチ状態判定装置が実現さ ることは、さらにその有用性が高まること なり、有益である。