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Patent Searching and Data


Title:
FLUID TRANSFER TUBE WITH HEATING FUNCTION AND PROCESS FOR PRODUCING THE FLUID TRANSFER TUBE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063980
Kind Code:
A1
Abstract:
A fluid transfer tube body is molded using a resin or a rubber material. The molded tube body is transferred at a given speed. Thereafter, in the step of continuously winding a tube body, a cord-shaped heater is disposed along the outer circumference of the fluid transfer tube body formed of a resin material. A plurality of filamentous members are then woven around the tube body to form a thermal insulation layer having a woven structure that continuously covers the outer circumferential surface of the tube body with the cord-shaped heater disposed thereon along the longitudinal direction and fixes the cord-shaped heater so as to contact with the outer circumferential surface of the tube body.

Inventors:
INABA TAKESHI (JP)
MIHARA YUJI (JP)
TSUJI KAZUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070786
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
DAIKIN CHEMICALS SALES LTD (JP)
TOHO KASEI CO LTD (JP)
INABA TAKESHI (JP)
MIHARA YUJI (JP)
TSUJI KAZUMI (JP)
International Classes:
F16L53/38; F24H1/10; H05B3/58
Foreign References:
JPS6446089A1989-02-20
US4523086A1985-06-11
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 樹脂またはゴム材料により形成された流体移送用チューブ本体と、
 上記チューブ本体の外周面に沿って配置されるコード状ヒータと、
 上記コード状ヒータが配置された上記チューブ本体の外周面を覆うように配置され、上記チューブ本体の長手方向沿いに連続する糸状部材による編み込み構造を有する保温層と、
 上記保温層を覆う保護カバーとを備える、加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記コード状ヒータが上記チューブ本体の外周面に螺旋状に配置され、上記保温層の上記編み込み構造が有する弾性により、上記コード状ヒータが上記チューブ本体の外周面に接するように固定されている、請求項1に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記糸状部材は、合成繊維若しくはガラス繊維により形成されている、請求項1に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記流体移送用チューブ本体は、単層若しくは多層構造を有しており、少なくともフッ素樹脂、フッ素ゴム、若しくはその混合物により形成された層を含む、請求項1に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記流体移送用チューブ本体は、ポリアミド樹脂により形成された層とフッ素樹脂により形成された層とを含む多層構造を有する、請求項1に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記フッ素樹脂は接着性官能基を有する、請求項4又は5に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記流体移送用チューブは、流体として尿素水を含む液体を移送するために用いられる、請求項1に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
 樹脂またはゴム材料により形成された流体移送用チューブ本体の外周面に沿って、コード状ヒータを配置し、
 その後、上記チューブ本体の周囲において複数の糸状部材を編み込むことにより、上記コード状ヒータが配置された上記チューブ本体の外周面をその長手方向沿いに連続して覆うとともに、上記コード状ヒータを上記チューブ本体の外周面に接するように固定する編み込み構造を有する保温層を形成する、加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記チューブ本体をその長手方向に一定の速度で搬送しながら、上記コード状ヒータを上記チューブ本体の外周面に配置し、
 上記一定の速度での搬送を継続しながら、上記チューブ本体の外周面に上記編み込み構造を有する上記保温層を形成する、請求項8に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 樹脂材料により流体移送用チューブ本体を成型し、成型された上記チューブ本体を一定の速度で搬送し、その後、上記チューブ本体を連続的に巻き取る過程において、
 上記チューブ本体の外周面へ上記コード状ヒータを配置する工程と、上記編み込み構造を有する上記保温層を形成する工程とを連続的に行う、請求項8に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記チューブ本体の外周面に上記保温層が形成された後、上記保温層を覆うように保護カバーを連続的に形成する、請求項8に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記糸状部材として、合成繊維若しくはガラス繊維により形成された糸状繊維を用いる、請求項8に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記流体移送用チューブ本体は、少なくともフッ素樹脂、フッ素ゴム、若しくはその混合物により形成された層を含む単層又は多層構造を有するように成型される、請求項10に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記流体移送用チューブ本体は、ポリアミド樹脂により形成された層とフッ素樹脂により形成された層とを含む多層構造を有するように成型される、請求項10に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記フッ素樹脂は接着性官能基を有する、請求項13又は14に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 上記流体移送用チューブは、流体として尿素水を含む液体を移送するために用いられる、請求項8に記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製造方法。
 加熱機能付き流体移送用チューブであって、流体は尿素含有流体であり、上記流体との接触部は接着性官能基を有するフッ素樹脂層により形成されている、加熱機能付き流体移送用チューブ。
 上記接着性官能基を有するフッ素樹脂層の外側に、非フッ素系熱可塑性樹脂層が配置された積層構造を有する、請求項17に記載の加熱機能付き流体移送用チューブ。
Description:
加熱機能付き流体移送用チュー 及びその製造方法

 本発明は、流体を加熱しながら移送する 熱機能付き流体移送用チューブ及びその製 方法に関する。

 従来の加熱機能付き流体移送用チューブ 、一般的に、樹脂材料により形成されたチ ーブ本体と、その周囲に沿って配置された ード状ヒータと、このコード状ヒータとと にチューブ本体を覆って固定するアルミニ ムなどのシート状部材と、その周囲に配置 れたポリエステル不織布等からなる保温層 、この保温層全体を覆うように最外層に配 された保護カバーとを備えた構造を有して る(例えば特許文献1参照)。

特開2002-246157号公報

 このように従来の流体移送用チューブは 多層化された構造を有している。そのため 流体移送用チューブの製造工程においては チューブ本体へのコード状ヒータの配置、 ート状部材によるコード状ヒータの固定、 らに不織布からなる保温層の配置、並びに 護カバーによる保温層の固定などというよ に、特性の異なる多種多様な部材を取り扱 ながら上記各種工程を実施する必要がある このような理由により、従来の流体移送用 ューブは、主に、その取り扱い性を考慮し 、例えば数メートル程度の単位長さに形成 れたチューブ本体に対して、基本的に手作 により上記各種工程が施されることにより 製造されているのが実情である。

 このように流体移送用チューブの製造に いては、その手作業の効率性を考慮して、 メートル程度の単位長さにて流体移送用チ ーブが製造されるため、ユーザが望む長さ チューブを得ることが困難な場合があり、 た、このような長さに対応するためには製 コストが上昇するという問題がある。

 また、このようなコード状ヒータが内蔵 れた流体移送用チューブでは、コード状ヒ タがチューブ本体の外周面に確実に接して ないと、その加熱効果が低減することにな 。従来のチューブでは、シート状部材によ コード状ヒータがチューブ本体の外周面に 定された構造が採用されているため、例え 、チューブを曲げた際にコード状ヒータが ューブ本体の外周面から部分的に離れる場 がある。このような場合にあっては、移送 れる流体を確実に加熱することができない 合が生じ得、加熱機能付き流体移送用チュ ブが目的とする流体性能維持のための安定 た加熱を行うことができないという問題が る。

 さらに、チューブ本体については、流体 酸、アルカリ、有機溶剤などの耐食性(ある いは耐薬品性)などの条件が比較的厳しい薬 や水溶液が流体として用いられるような場 は、材質によってはチューブ本体が劣化し クラックが発生し、流体が漏れて流体の移 の目的を果たせなくなる、あるいは、チュ ブ本体を薬液や水が透過してコード状ヒー に悪影響を及ぼす場合があるという問題も る。このような問題はヒータにより流体が 熱されることにより、顕著となる傾向があ ため、優れた耐薬品性や低透過性を有する ューブ本体、すなわち流体移送用チューブ 安価に提供できることが強く望まれている 特に、流体が尿素を含むような場合、例え 尿素水の場合には、とりわけ耐薬品性が要 され、これに適した流体移送用チューブと ての好適な接液部の材料が望まれている。

 従って、本発明の第1の目的は、上記問題を 解決することにあって、そのコストの上昇を 抑制しながら、ユーザが望む所望の長さの加 熱機能付き流体移送用チューブを製造するこ とができるとともに、安定した加熱効果を得 ることができる加熱機能付き流体移送用チュ ーブ及びその製造方法を提供することにある 。
 本発明の第2の目的は、そのコストの上昇を 抑制しながら、長期信頼性の高い加熱機能付 き流体移送用チューブ及びその製造方法を提 供することにある。
 本発明の第3の目的は、加熱機能付き流体移 送用チューブにおいて、特に流体が尿素含有 流体である場合に、耐薬品性に優れた加熱機 能付き流体移送用チューブを提供することに ある。

 上記目的を達成するために、本発明は以 のように構成する。

 本発明の第1態様によれば、樹脂またはゴム 材料により形成された流体移送用チューブ本 体と、
 上記チューブ本体の外周面に沿って配置さ るコード状ヒータと、
 上記コード状ヒータが配置された上記チュ ブ本体の外周面を覆うように配置され、上 チューブ本体の長手方向沿いに連続する糸 部材による編み込み構造を有する保温層と
 上記保温層を覆う保護カバーとを備える、 熱機能付き流体移送用チューブを提供する

 本発明の第2態様によれば、上記コード状 ヒータが上記チューブ本体の外周面に螺旋状 に配置され、上記保温層の上記編み込み構造 が有する弾性により、上記コード状ヒータが 上記チューブ本体の外周面に接するように固 定されている、第1態様に記載の加熱機能付 流体移送用チューブを提供する。

 本発明の第3態様によれば、上記糸状部材 は、合成繊維若しくはガラス繊維により形成 されている、第1態様に記載の加熱機能付き 体移送用チューブを提供する。

 本発明の第4態様によれば、上記流体移送 用チューブ本体は、単層若しくは多層構造を 有しており、少なくともフッ素樹脂、フッ素 ゴム、若しくはその混合物により形成された 層を含む、第1態様に記載の加熱機能付き流 移送用チューブを提供する。

 本発明の第5態様によれば、上記流体移送 用チューブ本体は、ポリアミド樹脂により形 成された層とフッ素樹脂により形成された層 とを含む多層構造を有する、第1態様に記載 加熱機能付き流体移送用チューブを提供す 。

 本発明の第6態様によれば、上記フッ素樹 脂は接着性官能基を有する、第4態様又は第5 様に記載の加熱機能付き流体移送用チュー を提供する。

 本発明の第7態様によれば、上記流体移送 用チューブは、流体として尿素水を含む液体 を移送するために用いられる、第1態様に記 の加熱機能付き流体移送用チューブを提供 る。

 本発明の第8態様によれば、樹脂またはゴム 材料により形成された流体移送用チューブ本 体の外周面に沿って、コード状ヒータを配置 し、
 その後、上記チューブ本体の周囲において 数の糸状部材を編み込むことにより、上記 ード状ヒータが配置された上記チューブ本 の外周面をその長手方向沿いに連続して覆 とともに、上記コード状ヒータを上記チュ ブ本体の外周面に接するように固定する編 込み構造を有する保温層を形成する、加熱 能付き流体移送用チューブの製造方法を提 する。

 本発明の第9態様によれば、上記チューブ本 体をその長手方向に一定の速度で搬送しなが ら、上記コード状ヒータを上記チューブ本体 の外周面に配置し、
 上記一定の速度での搬送を継続しながら、 記チューブ本体の外周面に上記編み込み構 を有する上記保温層を形成する、第8態様に 記載の加熱機能付き流体移送用チューブの製 造方法を提供する。

 本発明の第10態様によれば、樹脂材料によ 流体移送用チューブ本体を成型し、成型さ た上記チューブ本体を一定の速度で搬送し その後、上記チューブ本体を連続的に巻き る過程において、
 上記チューブ本体の外周面へ上記コード状 ータを配置する工程と、上記編み込み構造 有する上記保温層を形成する工程とを連続 に行う、第8態様に記載の加熱機能付き流体 移送用チューブの製造方法を提供する。

 本発明の第11態様によれば、上記チュー 本体の外周面に上記保温層が形成された後 上記保温層を覆うように保護カバーを連続 に形成する、第8態様に記載の加熱機能付き 体移送用チューブの製造方法を提供する。

 本発明の第12態様によれば、上記糸状部 として、合成繊維若しくはガラス繊維によ 形成された糸状繊維を用いる、第8態様に記 の加熱機能付き流体移送用チューブの製造 法を提供する。

 本発明の第13態様によれば、上記流体移 用チューブ本体は、少なくともフッ素樹脂 フッ素ゴム、若しくはその混合物により形 された層を含む単層又は多層構造を有する うに成型される、第10態様に記載の加熱機能 付き流体移送用チューブの製造方法を提供す る。

 本発明の第14態様によれば、上記流体移 用チューブ本体は、ポリアミド樹脂により 成された層とフッ素樹脂により形成された とを含む多層構造を有するように成型され 、第10態様に記載の加熱機能付き流体移送用 チューブの製造方法を提供する。

 本発明の第15態様によれば、上記フッ素 脂は接着性官能基を有する、第13態様又は第 14態様に記載の加熱機能付き流体移送用チュ ブの製造方法を提供する。

 本発明の第16態様によれば、上記流体移 用チューブは、流体として尿素水を含む液 を移送するために用いられる、第8態様に記 の加熱機能付き流体移送用チューブの製造 法を提供する。

 本発明の第17態様によれば、加熱機能付 流体移送用チューブであって、流体は尿素 有流体であり、上記流体との接触部は接着 官能基を有するフッ素樹脂層により形成さ ている、加熱機能付き流体移送用チューブ 提供する。

 本発明の第18態様によれば、上記接着性 能基を有するフッ素樹脂層の外側に、非フ 素系熱可塑性樹脂層が配置された積層構造 有する、第17態様に記載の加熱機能付き流体 移送用チューブを提供する。

 本発明によれば、その外周面にコード状 ータが配置された状態の流体移送用チュー 本体を覆うように配置された保温層が、糸 部材による編み込み構造として形成されて るため、編み込み構造が有する機械構造的 弾性作用により、コード状ヒータをチュー 本体の外周面に密接させるような効果を得 ことができる。したがって、チューブ本体 より移送される流体に対して、コード状ヒ タより効果的に熱を伝えることができる。 に、チューブ本体が曲げられるような場合 あっても、編み込み構造の弾性作用により コード状ヒータをチューブ本体の外周面に した状態で追従させることができ、流体性 維持のための安定した加熱効果を得ること できる。

 また、チューブ本体の外周に沿ってコー 状ヒータを配置した後、チューブ本体の周 において複数の糸状部材を編み込むことに り、コード状ヒータが配置されたチューブ 体の外周面をその長手方向沿いに連続して うとともに、コード状ヒータをチューブ本 の外周面に接するように固定する編み込み 造を有する保温層を形成するという製造方 を採用していることにより、コード状ヒー を配置する工程と、ヒータの固定を行う保 層を形成する工程とを、連続的に行うこと できる。すなわち、例えば連続的に送り搬 されるチューブ本体に対して、まず、コー 状ヒータをその周囲に配置し、その後、ヒ タが配置されたチューブ本体の周囲より複 の糸状部材を編み込むことでヒータの固定 行う保温層を連続的に形成することができ 。よって、従来のように手作業上の都合に る長さ制限をチューブ本体に設けることな 、任意の長さのチューブ本体に対して、連 的な工程を行って加熱機能付き流体移送用 ューブを形成することができる。また、こ ように連続してそれぞれの工程を行うこと より、その作業性(効率)を高めることがで る。よって、そのコストの上昇を抑制しな ら、ユーザが望む所望の長さの加熱機能付 流体移送用チューブを製造することができ 。

 さらに、流体移送用チューブ本体として 耐薬品性、低透過性にすぐれた単層又は多 構造を有するチューブ本体を用いることに って、例えば、薬液等の流体が50℃以上の 温下の使用環境となるような場合であって 、長期間使用し得る信頼性の高い加熱機能 き流体移送用チューブを提供することがで る。

 本発明のこれらの態様と特徴は、添付され 図面についての好ましい実施形態に関連し 次の記述から明らかになる。この図面にお ては、
図1は、本発明の一の実施形態にかかる チューブの構造を示す模式斜視図であり、 図2は、本実施形態のチューブの模式断 面図であり、 図3は、本実施形態のチューブが備える 保温層の編み込み構造を示す模式図であり、 図4は、本実施形態のチューブの製造装 置の模式図であり、 図5は、本実施形態のチューブの製造工 程のフローチャートであり、 図6は、尿素水浸漬実験の測定結果表( 料1および2)であり、 図7は、尿素水浸漬実験の測定結果表( 料3および4)である。

 本発明の記述を続ける前に、添付図面に いて同じ部品については同じ参照符号を付 ている。

 以下に、本発明にかかる実施の形態を図 に基づいて詳細に説明する。

 本発明の一の実施形態にかかる加熱機能 き流体移送用チューブの一例として、流体 送用チューブ1の構成を示す模式斜視図(一 分解断面を含む。)を図1に示し、その断面図 を図2に示す。

 本実施形態の流体移送用チューブ1(以降 単に「チューブ1」とする。)は、移送される 流体に対して加熱する機能を有するチューブ であり、例えば、寒冷地などの環境において 、凍結防止などの流体性能維持のために所定 の温度に流体を加熱しながら、その流体の移 送を行うような用途に用いられる。

 図1及び図2に示すように、チューブ1は、 の内部に流体を移送するための流路を有し 樹脂材料により形成されたチューブ本体2と 、チューブ本体2の外周面にチューブ1の長手 向沿いに配置されたコード状ヒータ3と、コ ード状ヒータ3とともにチューブ本体2を覆う 温層4と、この保温層4全体を覆う保護カバ 5とを備えている。

 チューブ本体2は、コード状ヒータ3によ 加熱や移送される流体の温度に十分に耐え ことができるような耐熱性と、様々な形態 配置ルートに適合できるようなフレキシブ 性、すなわち柔軟性を備えている。また、 送される流体が薬液等であるような場合に っては、少なくとも流体との接触部がその 体の仕様に応じた耐薬品性を有しているこ が望ましい。本実施形態のチューブ本体2は 例えば流体との接触部をフッ素系樹脂材料 より形成された層とし、その外側に非フッ 系熱可塑性樹脂材料により形成された層を 置した2層構造を有している。具体的には、 図1及び図2に示すように、接着性官能基を有 るフッ素樹脂(接着性フッ素樹脂)である(ダ キン工業製ネオフロンEFEP RP5000)により形成 された内層21と、非フッ素系熱可塑性樹脂、 えばポリアミド樹脂(ダイセルデグサ製ポリ アミド12 ベスタミドX7297)により形成された 層22との2層構造を有している。なお、チュ ブ本体2は、例えば、外形8mm、内径6mmにて形 される。

 コード状ヒータ3は、1本のヒータ線31と、 ヒータ線31に電流を流すための2本の電線(耐 電線)32により構成されている。ヒータ線31は 、その耐性を高めかつその電気的絶縁性を確 保するためにPFA若しくはFEP等のフッ素樹脂に より形成された被覆層31aを有している。同様 に、それぞれの電線32も耐熱性及び電気的絶 性を確保するためフッ素樹脂により形成さ た被覆層32aを有している。さらに、図1及び 図2に示すように、ヒータ線31とそれぞれの電 線32は、例えば、互いに交差しないように、 ューブ本体2の外周面に沿って螺旋状に配置 されている。このようにコード状ヒータ3が 旋状に配置されていることにより、チュー 1の曲げ性を良好に保つことが可能となる。

 保温層4は、断熱層としての機能と、コー ド状ヒータ3(ヒータ線31及び電線32)をチュー 本体2の外周面に固定する機能とを合わせ持 ている。ここで、保温層4の構造を部分的に 拡大して示す模式図を図3に示す。図3に示す うに、保温層4は、複数の糸状部材41(あるい は紐状部材)を編むことによって組み合わせ れた編み込み構造(あるいは組紐構造)を有し ている。具体的には、コード状ヒータ3に対 る耐熱性を有するポリエステル繊維やフッ 樹脂繊維などの合成繊維やガラス繊維など 集合体である糸状部材41を、例えば一定の規 則に則って連続的に組み合わせて編み込むこ とにより、図3の編み込み構造が形成されて る。このような編み込み構造は、図1及び図3 に示すように、チューブ本体2の長手方向沿 に連なる一続きの複数の糸状部材41により形 成されている。このような編み込み構造が採 用されることにより、糸状部材41自体が有し いる弾性に加えて、編み込み構造が機械構 的に有する弾性を得ることができる。この うな弾性を備えた保温層4により、コード状 ヒータ3をチューブ本体2の外周面に確実に接 た状態で固定することができる。なお、保 層4の断熱層としての機能の観点からは、編 み込み構造における隣接する糸状部材41間の 間寸法W2が、糸状部材41の幅寸法W1よりも十 に小さいことが好ましく、隙間が存在しな ようにすることがより好ましい。ただし、 ューブ1に要求されるフレキシブル性を考慮 して、このような寸法W1、W2が決定されるこ が好ましい。

 保護カバー5は、チューブ本体2、コード ヒータ3、及び保温層4全体を保護する機能及 び断熱層としての機能を有しており、例えば 、ニトリル系発泡ゴムやフッ素系発泡ゴムな どの耐候性及び耐衝撃吸収性を有する材料に より形成されている。

 次に、このような構造を有するチューブ1 の製造方法について、図4に示すその製造装 の模式説明図と、図5に示す製造方法の主要 手順を示すフローチャートを用いて説明す 。

 図4に示すように、流体移送用チューブ製 造装置50は、図示左側から右向きに順に、樹 材料を成型加工することによりチューブ本 2を成型するチューブ本体成型部51と、チュ ブ本体2の外周面にコード状ヒータ3を沿わ るように配置するヒータ線配置部52と、複数 の糸状部材41を編み込むことにより保温層4を 形成する糸状部材編み込み部53と、樹脂材料 発泡させて射出成型を行って保護カバー5を 形成する発泡射出成型部54とを備えている。 た、チューブ本体成型部51にて成型された ューブ本体2が、ヒータ線配置部52、糸状部 編み込み部53、及び発泡射出成型部54を順に 続的に搬送させて、最終的にチューブ1を連 続的に巻き取る連続巻き取り部55が、チュー 製造装置50の最下流(図示右端)に備えられて いる。

 このような構成のチューブ製造装置50に いて、チューブ1を製造する手順について、 体的に説明する。

 まず、図5のフローチャートのステップS1 て、チューブ本体を樹脂成型により形成す 。具体的には、チューブ製造装置50のチュ ブ本体成型部51において、EFEPを用いて成型 工により内層21を連続的に形成するとともに 、ポリアミド樹脂を用いて成型加工により外 層22を連続的に形成し、2層構造のチューブ本 体2を連続的に形成する。このように形成さ たチューブ本体2は、一定の搬送速度にてヒ タ線配置部52に向けて連続的に搬送される なお、本実施形態においては、チューブ本 2が2層構造にて形成されているような場合に ついて説明するが、このような場合に代えて 、3層以上の構造や単層構造が採用されるよ な場合であってもよい。単層構造を採用す ような場合には、例えば、フッ素樹脂材料 してPFAやFEPを用いることができる。

 次にステップS2にて、チューブ本体2の外 面に沿ってヒータ線の配置が行われる。ヒ タ線配置部52には、ヒータ線31が巻き回され た状態で収容されたヒータ線供給部521と、電 線32が巻き回された状態で収容された2つの電 線供給部522が備えられている。一定の搬送速 度にて搬送されるチューブ本体2の外周面に れぞれの線を配置させるように、ヒータ線 給部521から1本のヒータ線31が連続的に供給 れるとともに、2つの電線供給部522から2本の 電線32が連続的に供給される。また、このよ なそれぞれの線の供給の際に、ヒータ線供 部521及びそれぞれの電線供給部522を、チュ ブ本体2をその回転中心としてその周囲にお いて一定の速度で回転させる。例えば、チュ ーブ本体2を0.5m搬送させる間に、それぞれの 給部521及び522を一体的に一回転させる。こ ようにそれぞれの供給部521及び522を回転さ ながら、それぞれの線をチューブ本体2の外 周面に配置させることにより、図1に示すよ に、ヒータ線31及び電線32が螺旋状に配置さ る。それぞれの線が配置された状態のチュ ブ本体2は、一定の速度にて糸状部材編み込 み部53に向けて搬送される。

 次にステップS3にて、糸状部材41による編 み込み構造を有する保温層4を形成する。糸 部材編み込み部53には、糸状部材41が巻き回 れた状態で収容された複数の糸状部材供給 531が備えられている。一定の搬送速度にて 送されるコード状ヒータ3が配置されたチュ ーブ本体2の周囲において、それぞれの糸状 材供給部531より供給された糸状部材41が連続 的に編み込まれて、図3に示す編み込み構造 有する保温層4が形成される。それとともに この保温層4をチューブ本体2の外周面にそ 長手方向に沿って連続的に配置する。これ より、チューブ本体2の外周面に単に配置さ た状態のコード状ヒータ3を、外周面に接し た状態にて固定することができる。また、こ のような糸状部材41の編み込みは、例えば、4 00デシテックス/400フィラメント、125組/1イン の組み糸の条件にて行われる。編み込み構 を有する保温層4が形成された状態のチュー ブ本体2は、一定の速度にて発泡射出成型部54 に向けて搬送される。

 次にステップS4にて、保温層4全体を覆う うに保護カバー5が形成される。発泡射出成 型部54にて、例えばニトリル系ゴムやフッ素 ゴムを用いて、発泡及び射出成型を行って 護カバー5を形成する。

 その後、このように連続的に形成された ューブ1が、連続巻き取り部55において連続 に巻き取られてリール等に収容される。こ ようにしてチューブ1が製造される。

 このようなチューブ1の製造方法によれば 、チューブ本体成型部51において連続的に成 されたチューブ本体2を、連続巻き取り部55 て連続的に巻き取る過程において、コード ヒータ3を配置する工程、編み込み構造を有 する保温層4を形成する工程、及び保護カバ 5を形成する工程のそれぞれの工程を順次連 的に行うことができる。したがって、従来 おいて手作業として行っていた場合と比し 、格段にその生産性を向上させることがで るとともに、製品の品質を安定させること できる。

 また、チューブ本体2の成型からチューブ 1の巻き取りまでを連続的に行われることに り、従来のようにチューブ本体を数メート 程度の単位長さとする必要を無くすことが き、ユーザが望む長さのチューブ1を製造す ことが可能となる。すなわち、従来では製 することが困難であった例えば十メートル 上の長さを有するチューブ1を問題なく製造 することができる。

 さらに、その外周面にコード状ヒータ3が 配置されたチューブ本体2を覆うように配置 れた保温層4が、複数の糸状部材41による編 込み構造とされていることにより、編み込 構造が有する機械構造的な弾性作用により コード状ヒータ3をチューブ本体2の外周面に 密接させるように固定することができる。フ レキシブル性を有するチューブ1が曲げられ ような場合であっても、編み込み構造が有 る弾性により、コード状ヒータ3がチューブ 体2の外周面から離れることなく、密接した 状態を保つことができる。したがって、チュ ーブ1が有する加熱機能を安定して発揮させ ことができ、流体加熱における信頼性を向 させることができる。

 なお、上記実施形態の説明では、チュー 本体2を成型加工する工程から、チューブ1 巻き取る工程までを、一連の工程として行 ような場合について説明したが、本発明は のような場合についてのみ限られるもので ない。このような場合に代えて、例えば、 の製造装置にて形成された長尺のチューブ 体2を連続的に供給搬送し、このチューブ本 2に対して、ヒータ線を配置する工程および 編み込み構造を有する保温層4を形成する工 のみを連続的に行うような場合であっても 本発明の効果を得ることができる。

 ここで、チューブ本体2を形成する材料につ いて詳細に説明する。
 チューブ本体2は基本的には、樹脂であって もゴムであってもよいが、長期間に渡り、例 えば50℃以上の高温状態の流体に接触するよ な使用環境を想定して、耐薬品性や低透過 に優れた材料を用いたものであることが好 しい。

 樹脂としてはポリアミド6、66、12、11、612 といったポリアミド樹脂、PET,PBN、PBTのよう ポリエステル樹脂、PPS樹脂、ポリオレフィ 樹脂等の非フッ素系熱可塑性樹脂やEPDM、シ コンゴム、クロロプレンゴム、スチレンゴ 、ブタジエンゴム等の非フッ素系ゴムを採 することができる。ただし、フッ素樹脂や ッ素ゴムは薬液に対する耐薬品性および低 過性という観点において優れた物性を有し おり、フッ素樹脂やフッ素ゴムもしくはこ らの混合物である材料を少なくとも1層有す る単層もしくは多層構造のチューブであるこ とがより好ましい。また、チューブ本体はフ ッ素樹脂/フッ素樹脂、フッ素/フッ素ゴム、 ッ素樹脂とフッ素ゴムの混合物/フッ素ゴム といった積層構造を有しても良い。

 このような単層又は多層構造に含まれる ッ素樹脂層を形成するフッ素樹脂は、少な とも1種の含フッ素エチレン性単量体から誘 導される繰り返し単位を有する単独重合体又 は共重合体である。このようなフッ素樹脂は 、含フッ素エチレン性単量体のみを重合して なるものであってもよいし、含フッ素エチレ ン性単量体とフッ素原子を有さないエチレン 性単量体を重合してなるものであってもよい 。また、このようなフッ素樹脂層は、上述の フッ素樹脂を1種含有するものであってもよ し、2種以上含有するものであってもよい。

 含フッ素エチレン性単量体は、フッ素原子 有するオレフィン性不飽和単量体であれば に限定されず、例えば、テトラフルオロエ レン〔TFE〕、フッ化ビニリデン、クロロト フルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、 へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフ ルオロイソブテン、式(1):
   CH 2 =CX 1 (CF 2 ) n X 2      ・・・(1)
(式中、X 1 はH又はF、X 2 はH、F又はCl、nは1~10の整数である。)で示さ る単量体、パーフルオロ(アルキルビニルエ テル)等が挙げられる。

 フッ素原子を有さないエチレン性単量体 、耐熱性や耐薬品性等を維持する点で、炭 数5以下のエチレン性単量体から選ばれるこ とが好ましい。単量体としては、例えば、エ チレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、 化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。

 フッ素樹脂は、含フッ素エチレン性単量 とフッ素原子を有さないエチレン性単量体 を使用する場合、その単量体組成が含フッ エチレン性単量体10~100モル%(例えば30~100モ %)とフッ素原子を有さないエチレン性単量体 0~90モル%(例えば0~70モル%)の量比であってよい 。

 本発明において、フッ素樹脂としては、 ロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕系重合体 、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロ ロピレン〔FEP〕系共重合体、テトラフルオ エチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエー テル)〔PFA〕系共重合体、エチレン/テトラフ オロエチレン〔ETFE〕系共重合体、エチレン /テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプ ピレン〔EFEP〕系共重合体、ポリビニリデン フルオライド〔PVdF〕系重合体等が挙げられ 。

 また、フッ素樹脂は、パーハロポリマー あってよい。パーハロポリマーを使用する とにより、耐薬品性及び低透過性がより優 たものとなる。パーハロポリマーは、重合 の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲ 原子が結合している重合体である。また、 ッ素樹脂は、CTFE系重合体、FEP系共重合体又 はPFA系共重合体がより好ましく、柔軟性及び 低透過性の観点からCTFE系重合体とFEP系共重 体が更に好ましい。これらの好ましいフッ 樹脂は、アルコール燃料等の混合流体に対 る低透過性に優れる。

 本発明において、フッ素樹脂は、接着性官 基を有するものであると、熱可塑性樹脂層 の接着性が向上するので、耐衝撃性や強度 優れたチューブ本体とすることができる。 着性官能基としては、例えば、カルボニル 、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられ 。本明細書において、上記「カルボニル基 は、炭素-酸素二重結合から構成される炭素 2価の基であり、-C(=O)-で表されるものに代表 れる。カルボニル基としては特に限定され 、例えば、カーボネート基、カルボン酸ハ イド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基 カルボキシル基、エステル結合〔-C(=O)O-〕、 酸無水物結合〔-C(=O)O-C(=O)-〕、イソシアネー 基、アミド基、イミド基〔-C(=O)-NH-C(=O)-〕、 ウレタン結合〔-NH-C(=O)O-〕、カルバモイル基 NH 2 -C(=O)-〕、カルバモイルオキシ基〔NH 2 -C(=O)O-〕、ウレイド基〔NH 2 -C(=O)-NH-〕、オキサモイル基〔NH 2 -C(=O)-C(=O)-〕等の化学構造上の一部分である の等が挙げられる。アミド基、イミド基、 レタン結合、カルバモイル基、カルバモイ オキシ基、ウレイド基、オキサモイル基等 窒素原子に結合する水素原子は、例えばア キル基等の炭化水素基により置換されてい もよい。接着性官能基は、導入が容易であ 点、及び、得られる樹脂が適度な耐熱性と 較的低温での良好な接着性とを有する点で アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル 、カルボキシル基、カーボネート基、カル ン酸ハライド基が好ましく、中でも、国際 開99/45044号パンフレットに記載のカーボネー ト基及び/又はカルボン酸ハライド基を有す ものが特に好ましい。

 本発明におけるフッ素樹脂は、接着性官 基を有するものである場合、接着性官能基 主鎖末端又は側鎖の何れかに有する重合体 らなるものであってもよいし、主鎖末端及 側鎖の両方に有する重合体からなるもので ってもよい。フッ素樹脂は、主鎖末端に接 性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端 有していてもよいし、いずれか一方の末端 のみ有していてもよい。接着性官能基は、 ーテル結合を有するものである場合、該接 性官能基を主鎖中に有するものであっても い。フッ素樹脂は、主鎖末端に接着性官能 を有する重合体からなるものが、機械特性 耐薬品性を著しく低下させない理由で、又 、生産性、コスト面で有利である理由で好 しい。接着性官能基の導入方法としては、 記のような官能基含有の単量体を共重合し 導入してもよいし、重合開始剤として導入 てもよい。

 本発明において、フッ素樹脂は、特に限 されないが、融点が160~270℃であることが好 ましい。フッ素樹脂の分子量は、得られる成 形体の機械特性、低透過性等を発現できるよ うな範囲であることが好ましい。例えば、メ ルトフローレート〔MFR〕を分子量の指標とし て、フッ素樹脂一般の成形温度範囲である約 230~350℃の範囲の任意の温度におけるMFRが0.5~1 00g/10分であることが好ましい。本明細書にお いて、各樹脂の融点は、DSC装置(セイコー社 )を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融 熱曲線における極大値に対応する温度とし 求めたものであり、MFRは、メルトインデク ー(東洋精機製作所社製)を用い、各温度、5k g荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位 間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測 したものである。

 フッ素樹脂は、懸濁重合、溶液重合、乳 重合、塊状重合等、従来公知の重合方法に り得ることができる。重合において、温度 圧力等の各条件、重合開始剤やその他の添 剤は、所望のフッ素樹脂の組成や量に応じ 適宜設定することができる。

 フッ素樹脂層及び/又はフッ素樹脂と積層さ れ得る非フッ素系熱可塑性樹脂層は、更に、 目的や用途に応じてその性能を損なわない範 囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素粉末、 炭素繊維、金属酸化物等の種々の充填剤を配 合したものであってもよく、また、充填剤以 外に、熱安定化剤、補強剤、充填剤、紫外線 吸収剤、顔料等、その他任意の添加剤を配合 したものであってもよい。例えば、燃料透過 低減の点で、モンモリナイト、バイデライト 、サポナイト、ノントロナイト、ヘクトライ ト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメ クタイト系の層状粘度鉱物や、雲母等の高ア スペクト比を有する微小層状鉱物を添加して もよい。例えば、導電性を付与するために、 導電性フィラーを添加してもよい。導電性フ ィラーとしては特に限定されず、例えば、金 属、炭素等の導電性単体粉末又は導電性単体 繊維;酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末;表面 電化処理粉末等が挙げられる。導電性単体 末又は導電性単体繊維としては特に限定さ ず、例えば、銅、ニッケル等の金属粉末;鉄 、ステンレス等の金属繊維;カーボンブラッ 、炭素繊維、特開平3-174018号公報等に記載の 炭素フィブリル等が挙げられる。表面導電化 処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタン等の 非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得 られる粉末である。導電化処理の方法として は特に限定されず、例えば、金属スパッタリ ング、無電解メッキ等が挙げられる。上述し た導電性フィラーのなかでもカーボンブラッ クは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利 であるので好適に用いられる。上記導電性フ ィラーを配合する場合、溶融混練して予めペ レットを作製することが好ましい。導電性フ ィラーを配合してなる樹脂の導電性組成物の 体積抵抗率は、1×10 0 ~1×10 9 ω・cmであることが好ましい。より好ましい 限は、1×10 2 ω・cmであり、より好ましい上限は、1×10 8 ω・cmである。導電性を付与する場合は、最 層の燃料に接するフッ素樹脂にのみ導電性 付与してもよい。この場合、フッ素樹脂層 さらに内層として導電性のフッ素樹脂層を けてもよい。

 フッ素樹脂と積層され得る非フッ素系熱可 性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン 脂、ポリアミド樹脂、変性ポリオレフィン 脂、ポリビニル樹脂、ポリエステル、エチ ン/ビニルアルコール共重合体、ポリアセタ ール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレ ンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、 アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロ ニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂〔ABS〕、 化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ ーテルエーテルケトン樹脂〔PEEK〕、ポリス ルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂〔PES 〕、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレ ンスルフィド樹脂が挙げられ、なかでも、柔 軟性、接着性、成形性等の面から、ポリオレ フィン樹脂、ポリアミド樹脂及び変性ポリオ レフィン樹脂が好ましく、接着性と燃料低透 過性の面からエチレン/ビニルアルコール樹 が好ましい。上記ポリオレフィン樹脂とし は、プロピレン単独重合体、プロピレン-エ レンブロック共重合体、低密度ポリエチレ 、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ 等が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂 しては、マレイン酸変性、エポキシ変性、 ミン(NH 2 )変性等のプロピレン単独重合体、プロピレ -エチレンブロック共重合体、低密度ポリエ レン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエ レン等が挙げられる。

 ポリアミド系樹脂は、分子内に繰り返し 位としてアミド結合〔-NH-C(=O)-〕を有するポ リマーからなるものである。ポリアミド系樹 脂としては、分子内のアミド結合が脂肪族構 造又は脂環族構造と結合しているポリマーか らなるいわゆるナイロン樹脂、又は、分子内 のアミド結合が芳香族構造と結合しているポ リマーからなる、いわゆるアラミド樹脂の何 れであってもよい。ナイロン樹脂としては特 に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロ 66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、 イロン612、ナイロン6/66、ナイロン66/12、ナ ロン46、メタキシリレンジアミン/アジピン 共重合体等のポリマーからなるものが挙げ れ、これらのなかから2種以上を組み合わせ 用いてもよい。

 ポリアミド系樹脂のアミン価は10~60(当量/10 6 g)であってよい。また、好ましい下限は15(当 /10 6 g)であってよく、好ましい上限は50(当量/10 6 g)、より好ましい上限は35(当量/10 6 g)であってよい。本明細書において、上記ア ン価はポリアミド系樹脂1gをm-クレゾール50m lに加熱溶解し、これを1/10規定p-トルエンス ホン酸水溶液を用いて、チモールブルーを 示薬として滴定して求められる値であり、 に別の記載をしない限り、積層する前のポ アミド系樹脂のアミン価を意味する。

 積層樹脂チューブを作製する方法として 、例えば、(1)複数の熱可塑性樹脂を溶融状 で共押出成形することにより層間を熱溶融 (溶融接着)させ1段で多層構造の積層体を形 する方法(共押出成形)、(2)一旦、熱可塑性 脂を押出機によりチューブ状に押し出した 、コロナ放電やプラズマ放電などの表面処 を施した後、さらにクロスヘッドダイを用 て、熱可塑性樹脂をその表面上に押出機を いて押し出すことにより積層体チューブを 成する方法、等が挙げられる。上記(1)の共 出成形によって形成することが生産効率上 り好ましい。上記(1)の共押出成形としては マルチマニホールド法、フィードブロック 、等の従来公知の多層共押製造法が挙げら る。これらの方法によって成形することに り、チューブ状の積層体とすることができ 。

 熱可塑性樹脂層は、上述の熱可塑性樹脂 1種のみ含有するものであってもよいし、2 以上含有するものであってもよい。本発明 おいて、熱可塑性樹脂は、融点が100~270℃で ることが好ましい。

 本発明で用いる架橋フッ素ゴムとしては 少なくとも1種のフッ素ゴム組成物の少なく とも一部を架橋したものであればとくに制限 されるものではない。フッ素ゴムとしては、 たとえば、パーフルオロフッ素ゴム、非パー フルオロフッ素ゴム、含フッ素熱可塑性エラ ストマーなどがあげられる。パーフルオロフ ッ素ゴムとしては、TFE/PAVE系共重合体、TFE/ヘ キサフルオロプロピレン(以下、HFPという)/PAV E系共重合体などがあげられる。非パーフル ロフッ素ゴムとしては、たとえば、VdF系重 体、TFE/プロピレン系共重合体などがあげら 、これらをそれぞれ単独で、または本発明 効果を損なわない範囲で任意に組み合わせ 用いることができる。

 また、パーフルオロフッ素ゴムや非パー ルオロフッ素ゴムとして例示したものは主 ノマーの構成であり、架橋用モノマーや変 モノマー等を共重合したものも好適に用い ことができる。架橋用モノマーや変性モノ ーとしては、ヨウ素原子、臭素原子、二重 合を含むものなどの公知の架橋用モノマー 移動剤、公知のエチレン性不飽和化合物な の変性モノマーなどを使用することができ 。

 VdF系重合体としては、具体的には、VdF/HFP 系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体、VdF/TFE/プ ピレン系共重合体、VdF/エチレン/HFP系共重合 体、VdF/TFE/PAVE系共重合体、VdF/PAVE系共重合体 VdF/CTFE系共重合体などをあげることができ 。さらに具体的には、VdF25~85モル%と、VdFと 重合可能な少なくとも1種の他の単量体75~15 ル%とからなる含フッ素共重合体であること 好ましく、より好ましくは、VdF50~80モル%と VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量 体50~20モル%とからなる含フッ素共重合体であ る。

 ここで、VdFと共重合可能な少なくとも1種 の他の単量体としては、たとえば、TFE、CTFE トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロ ロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペ タフルオロプロピレン、トリフルオロブテ 、テトラフルオロイソブテン、PAVE、フッ化 ニルなどの含フッ素単量体、エチレン、プ ピレン、アルキルビニルエーテルなどの非 ッ素単量体があげられる。これらをそれぞ 単独で、または、任意に組み合わせて用い ことができる。

 フッ素ゴムの中でも、耐熱性、圧縮永久 ずみ、加工性、コストの点から、VdF単位を むフッ素ゴムであることが好ましく、VdF単 とHFP単位と有するフッ素ゴムであることが り好ましい。

 また、圧縮永久ひずみが良好な点から、V dF/HFP系フッ素ゴム、VdF/TFE/HFP系フッ素ゴム、T FE/プロピレン系フッ素ゴムからなる群より選 ばれる少なくとも1種のゴムであることが好 しく、低燃料透過性の観点からVdF/TFE/HFP系フ ッ素ゴムであることがより好ましい。

 本発明に使用されるフッ素ゴムは、通常 乳化重合法により製造することができる。 合時の温度、時間などの重合条件としては モノマーの種類や目的とするエラストマー より適宜決定すればよい。架橋系としては ポリオール架橋系、有機過酸化物架橋系お びポリアミン架橋系のいずれも採用できる

 また、チューブ本体を構成する材料とし 、フッ素樹脂とフッ素ゴムの混合物である 可塑性重合体組成物を用いることもできる 例えば、熱可塑性重合体組成物は、フッ素 脂の存在下にて、フッ素樹脂の溶融条件下 て、フッ素ゴム組成物を動的に架橋処理し 得られるものである。ここで、動的に架橋 理するとは、バンバリーミキサー、加圧ニ ダー、押出機等を使用して、ゴムを溶融混 と同時に動的に架橋させることをいう。こ らの中でも、高剪断力を加えることができ 点で、二軸押出機等の押出機を用いること 好ましい。動的に架橋処理することで、フ 素樹脂と架橋フッ素ゴムの相構造および架 フッ素ゴムの分散を制御することができる

 本発明の熱可塑性重合体組成物に、少な とも1種のフッ素ゴム組成物を架橋するため 、架橋剤をさらに添加することが好ましい。 架橋剤としては、架橋するフッ素ゴム組成物 の種類や溶融混練条件に応じて、適宜選択す ることができる。

 本発明で用いられる架橋系は、フッ素ゴ に架橋性基(キュアサイト)が含まれる場合 、キュアサイトの種類によって、または得 れる成形品などの用途により適宜選択すれ よい。架橋系としては、ポリオール架橋系 有機過酸化物架橋系およびポリアミン架橋 のいずれも採用できる。

 また、本発明の熱可塑性重合体組成物は その好ましい形態であるフッ素樹脂が連続 を形成し、かつ架橋フッ素ゴムが分散相を 成する構造の一部に、フッ素樹脂と架橋フ 素ゴムとの共連続構造を含んでいても良い

 フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムの重量比は 98/2~10/90であり、95/5~20/80であることが好ま い。フッ素樹脂が10重量%未満であると、得 れる熱可塑性重合体組成物の流動性が悪化 、成形加工性が低下する傾向があり、98重量 %をこえると、得られる熱可塑性重合体組成 の柔軟性と燃料透過性のバランスが悪くな 傾向がある。

 また、本発明の熱可塑性重合体組成物は フッ素樹脂が接着性官能基を含有していて よい。また、本発明の熱可塑性重合体は熱 塑性を有するため、本発明の積層樹脂チュ ブおよび、積層ゴムチューブの両方に用い ことができる。

 また、その他非フッ素系ゴム材料として 例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタ エンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エ レン・プロピレンゴム、エチレン・酢ビゴ 、クロロプレンゴム、ハイバロン、塩素化 リエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム 二トリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴ 、チオコールゴム、シリコンゴムなどの汎 ゴム材料が用いられるような場合であって よい。

 積層ゴムチューブを作製する方法として 、例えば、一旦、ゴム材料を押出機により ューブ状に押し出した後、さらにクロスヘ ドダイを用いて、ゴム材料をその表面上に 出機を用いて押し出すことにより積層体チ ーブを形成し、その後、上記加硫により、 ム層間を共架橋することによって、チュー 状の積層体とすることができる。

 フッ素樹脂やフッ素ゴムは比較的高価な 料であることから、汎用樹脂や汎用ゴムと 層することにより、コストの低減が図れる め、より好ましい。したがって、チューブ 体はフッ素樹脂/汎用樹脂、フッ素樹脂/汎 ゴム、フッ素ゴム/汎用ゴム、フッ素樹脂と ッ素ゴムの混合物/汎用ゴムのような積層構 造を有するほうが好ましい。

 フッ素樹脂、フッ素ゴム、その混合物を ューブ本体に用いた場合、チューブ本体の 内層としてこれらの材料を用いることが好 しい。溶剤系の流体を用いた場合には、最 層の樹脂やゴムにカーボンブラックなどを 加して、導電性材料を用いてもよい。また 熱安定性の観点から、フッ素樹脂、フッ素 ムやその混合物をヒータに接触する最外層 用いることも好ましい。また、最内層と最 層の両方にフッ素ゴム、フッ素やその混合 を用いることも好ましい。

 なお、上記様々な実施形態のうちの任意 実施形態を適宜組み合わせることにより、 れぞれの有する効果を奏するようにするこ ができる。

 本発明の加熱機能付き流体移送用チュー に使用する流体は特に限定はされるもので なく、例えば、酸、アルカリ、溶剤、ガソ ン、軽油、灯油、尿素水、ガス、水などを 体として用いることができる。

 また、本発明の流体移送用チューブの使 用途についても得に限定はされないが、保 により流体の粘度を下げ、スムーズに流す うな用途や、少なくともその一部に凝縮性 ガスを含むガス、流体の凍結を防ぐ用途な に適しており、具体的には、ディーゼル車 の尿素チューブや、地下埋設チューブ、オ ショア用途、試験研究用チューブ、工業用 ューブなどの用途が挙げられ、特にディー ル車用の尿素チューブは好適な用途として げられる。なお、このようなディーゼル車 の用途においては、尿素含有流体として、 素水(例えば、商品名:三井化学株式会社製Ad Blue(アドブルー)など)の移送用チューブとし 、耐薬品性にも優れた本発明の加熱機能付 流体移送用チューブを採用することが好適 ある。

 本発明の加熱機能付き流体移送用チュー の流体移送用チューブ本体において流体と て尿素水を用いた場合に、尿素水との接触 の層を形成する材料と、尿素水に対する材 の耐性を測定する実験を行った。

 尿素水としては、商品名:三井化学株式会社 製AdBlue(アドブルー)を用いた。材料としては 本発明の流体移送用チューブにおいて流体 の接触部の層を形成する材料に用いられる 料1および2と、これらの材料との比較対象 なる材料3および4とを用いた。
  材料1:接着性フッ素樹脂EFEP RP5000(ダイキ 工業株式会社製)
  材料2:接着性フッ素樹脂ETFE EP7000(ダイキ 工業株式会社製)
  材料3:ポリアミド11 
      Rilsan PA11 BESNOP20TL(アルケマ株式会 製)
  材料4:EPDM(入間川ゴム株式会社 EP―5160 2mm 厚シート)

 材料1、2、3のペレット用い、コートハン ーダイを備えた30φ押出機により、押出成形 で0.1mm厚のシートを作成し、材料4については 加硫済み2mm厚のシートを入手し、それらのシ ートからASTMD1708のマイクロダンベルを打ち抜 きにより作成した。作成したダンベルを70℃ 保たれた金属性円筒型耐圧容器を用いて尿 水中に浸漬(液浸漬)し、引張強度および引 伸度の浸漬時間による変化を測定した。浸 時間は、最大2000時間まで測定し、500時間経 毎に尿素水の交換を行った。

 材料1および2についての液浸漬実験の測 結果を図6に示す。また、材料3および4につ ての液浸漬実験の測定結果を図7に示す。

 図7の測定結果に示すように、材料3の引 強度保持率、引張伸度保持率は、浸漬時間20 00時間にてそれぞれ71%、65%にまで低下してお 、また材料4の引張強度保持率、引張伸度保 持率は、浸漬時間2000時間にてそれぞれ86%、53 %にまで低下していることがわかる。

 一方、図6の測定結果からは、材料1、材 2の引張強度保持率および引張伸度保持率は 浸漬時間2000時間にていずれも88%以上を維持 していることがわかる。

 これらの実験結果からは、材料1および2 尿素水に対して強い耐薬品性を有するとい る。

 本発明は、添付図面を参照しながら好ま い実施形態に関連して充分に記載されてい が、この技術の熟練した人々にとっては種 の変形や修正は明白である。そのような変 や修正は、添付した請求の範囲による本発 の範囲から外れない限りにおいて、その中 含まれると理解されるべきである。

 2007年11月15日に出願された日本国特許出 No.2007-296956号の明細書、図面、及び特許請求 の範囲の開示内容、および、2008年5月20日に 願された日本国特許出願No.2008-132179号の明細 書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は 、全体として参照されて本明細書の中に取り 入れられるものである。




 
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