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Patent Searching and Data


Title:
FLUID DYNAMIC BEARING DEVICE AND ITS ASSEMBLING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016983
Kind Code:
A1
Abstract:
A first axis-direction clearance (L1) is formed between a seal unit (9) and a sleeve unit (8). This enables a highly accurate setting of an axis-direction movable amount of a shift member (2) regardless of accuracy of a member such as a sleeve unit (8).

Inventors:
BITOU KIMIHIKO (JP)
KOMORI ISAO (JP)
KURIMURA TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063055
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
BITOU KIMIHIKO (JP)
KOMORI ISAO (JP)
KURIMURA TETSUYA (JP)
International Classes:
F16C17/02; F16C33/74; F16C43/02
Foreign References:
JP2007154959A2007-06-21
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-k, Osaka-shi Osaka 02, JP)
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Claims:
 小径部、大径部、及びこれらの間に形成された肩面を有する軸部材と、内周に軸部材の大径部を挿入したスリーブ部と、軸部材の小径部の外周面との間に軸受内部の潤滑流体の外部への漏れ出しを防止するシール空間を形成すると共に、軸部材の肩面と軸方向で係合して軸部材の抜け止めを行うシール部と、軸部材の大径部の外周面とスリーブ部の内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向で支持するスラスト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、
 シール部とスリーブ部との間に第1の軸方向隙間を形成したことを特徴とする流体動圧軸受装置。
 シール部と軸部材の肩面との間に形成された第2の軸方向隙間が、シール空間の径方向寸法と同じかそれよりも小さい請求項1記載の流体動圧軸受装置。
 第2の軸方向隙間が30μm以下である請求項1記載の流体動圧軸受装置。
 スリーブ部と、スリーブ部を内周に収容したハウジングとの間に、一端を第1の軸方向隙間に開口し、他端を軸部材の下端部が面する空間に開口した連通経路を設けた請求項1記載の流体動圧軸受装置。
 スリーブ部の端面及び外周面に形成した溝により前記連通経路を構成した請求項4記載の流体動圧軸受装置。
 軸部材を、軸部と、軸部の外周面に固定した中空材とで形成し、中空材の端面で軸部材の肩面を構成した請求項1記載の流体動圧軸受装置。
 軸部の端部に球面状凸部を形成し、この球面状凸部を接触支持することでスラスト軸受部を構成し、中空材の端部を軸部の球面状凸部の外周まで延ばした請求項6記載の流体動圧軸受装置。
 HDD用スピンドルモータに用いる請求項1記載の流体動圧軸受装置。
 小径外周面、大径外周面、及びこれらの間に形成された肩面を有する軸部材と、軸部材を内周に収容したハウジングと、ハウジングの内周に固定され、軸部材の小径外周面との間に軸受内部の潤滑流体の外部への漏れ出しを防止するシール空間を形成すると共に、軸部材の肩面と軸方向で係合して軸部材の抜け止めを行うシール部と、軸部材の大径外周面が面するラジアル軸受隙間とを備えた流体動圧軸受装置の組立方法であって、
 シール部をハウジングに対して軸方向に移動させることにより、シール部と軸部材の肩面との間の軸方向隙間を設定することを特徴とする流体動圧軸受装置の組立方法。
 ハウジングの内周に軸部材及びシール部を収容し、シール部と軸部材の肩面とを当接させた後、軸部材でシール部をハウジング開口側へ移動させる請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 小径外周面、大径外周面、及び肩面が一体加工された軸部材を用いる請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 軸部材が、軸部と、軸部の外周面に固定されたスリーブ部とを有し、スリーブ部の端面で肩面を構成する請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 軸部材が、軸部と、軸部をインサート部品として型成形したスリーブ部とを有し、スリーブ部の端面で肩面を構成する請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 シール部とハウジングとの嵌合面に潤滑剤を介在させた状態でシール部を移動させる請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 潤滑剤が接着剤である請求項14記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
 シール部を位置決めした後、シール部とハウジングとの嵌合面の大気開放側を接着封止する請求項9記載の流体動圧軸受装置の組立方法。
Description:
流体動圧軸受装置およびその組 方法

 本発明は、軸受隙間に生じる流体膜で軸 材を回転可能に支持する流体動圧軸受装置 よびその組立方法に関する。

 流体動圧軸受装置は、その高回転精度お び静粛性から、情報機器、例えばHDD等の磁 ディスク駆動装置、CD-ROM、CD-R/RW、DVD-ROM/RAM の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気デ ィスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レ ーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナ ータ用、プロジェクタのカラーホイールモ タ用、あるいは電気機器の冷却等に使用さ るファンモータなどの小型モータ用として 適に使用可能である。

 例えば、特許文献1に示されている流体動 圧軸受装置は、軸部材の外周面とスリーブ部 の内周面との間にラジアル軸受隙間を形成し 、このラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸 部材をラジアル方向に支持すると共に、軸部 材の下端部に設けられた球面状凸部とハウジ ングの内底面に設けたスラストプレートとを 接触摺動させることで、軸部材をスラスト方 向に支持している。また、この流体動圧軸受 装置では、軸部材を小径部及び大径部を有す る段付き状とすると共に、ハウジング開口部 内周に環状のシール部を設け、このシール部 を軸部材の肩面と軸方向で係合させることに より、軸部材の抜け止めを行っている。

特開2005-113987号公報

 この流体動圧軸受装置では、シール部と 部材の肩面との間に形成された軸方向隙間 分だけ軸部材の軸方向の移動が許容される この軸方向隙間が大きすぎると、軸部材の 方向移動可能量が過大となり、軸部材に装 されるHDDのディスク等に軸方向のガタツキ 生じ、ディスクの読み取り精度を悪化させ り、ディスクとヘッドとの干渉を招く恐れ ある。従って、シール部と軸部材の肩面と 間に形成される軸方向隙間は高精度に設定 る必要がある。

 しかしながら、上記の流体動圧軸受装置 は、シール部をスリーブ部と当接させるこ によりシール部の位置決めを行っているた 、シール部のハウジングへの固定精度はス ーブ部の軸方向寸法の加工精度に依存する このため、軸部材の軸方向移動可能量を精 良く管理するためには、スリーブ部を高精 に加工する必要があり、加工コストの高騰 招くこととなる。

 本発明の課題は、軸部材の軸方向移動可 量を高精度かつ低コストに制御することの きる流体動圧軸受装置及びその組立方法を 供することにある。

 上記の課題を解決するために、本発明は 小径部、大径部、及びこれらの間に形成さ た肩面を有する軸部材と、内周に軸部材の 径部を挿入したスリーブ部と、軸部材の小 部の外周面との間に軸受内部の潤滑流体の 部への漏れ出しを防止するシール空間を形 すると共に、軸部材の肩面と軸方向で係合 て軸部材の抜け止めを行うシール部と、軸 材の大径部の外周面とスリーブ部の内周面 の間のラジアル軸受隙間に生じる流体膜で 部材をラジアル方向に支持するラジアル軸 部と、軸部材をスラスト方向で支持するス スト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置に いて、シール部とスリーブ部との間に第1の 軸方向隙間を形成したことを特徴とする。

 このように、本発明の流体動圧軸受装置 、シール部とスリーブ部との間に第1の軸方 向隙間を形成し、シール部とスリーブ部とを 非接触とすることにより、シール部の位置決 め精度を決定付ける要因からスリーブ部の形 状精度を排除することができる。従って、軸 部材の軸方向移動可能量を、スリーブ部の加 工精度によらず、シール部の位置精度によっ てのみ管理することができる。これにより、 スリーブ部の加工精度を緩和することができ るため、加工コストの低減が図られる。

 この流体動圧軸受装置において、シール と軸部材の肩面との間には第2の軸方向隙間 が形成される。この第2の軸方向隙間は、シ ル空間の径方向隙間と同じかそれよりも小 くなるように設定することが好ましい。こ により、第2の軸方向隙間において、シール 間の毛細管力と同等、あるいはそれよりも きな毛細管力による潤滑流体の引き込み作 が得られるため、軸受内部に満たされた潤 流体の外部への漏れ出しを確実に防止する とができる。

 例えばこの流体動圧軸受装置をHDDのスピ ドルモータ用として使用する場合、軸部材 取付けられるディスクがヘッドと干渉する とを防止するため、軸部材の軸方向移動は きるだけ抑える必要がある。このとき、第2 の軸方向隙間を30μm以下に設定しておけば、 記のような用途で使用する場合でも、ディ クとヘッドとの干渉を防止することができ 。

 このような流体動圧軸受装置の作動時に いて、軸受内部の潤滑流体、特に軸部材の 端部が面する空間に満たされた潤滑流体に 部的な負圧が発生することにより、ラジア 軸受隙間の流体膜に気泡が生成し、流体膜 よる軸部材の支持力が低下する恐れがある そこで、スリーブ部と、スリーブ部を内周 収容したハウジングとの間に、一端を第1の 軸方向隙間に開口し、他端を軸部材の下端部 が面する空間に開口した連通経路を設けるこ とにより、スラスト軸受部の空間を、連通経 路、及び第1の軸方向隙間を介してシール空 と連通し、局部的な負圧の発生を防止する とができ、軸受内部に満たされた潤滑流体 圧力バランスを良好に保ち、軸受性能の低 を回避することができる。

 このとき、スリーブ部の端面及び外周面 溝を形成し、この溝で上記の連通経路を構 すると、ハウジングの内底面や内周面は平 状あるいは円筒面状の単純な形状とするこ ができるため、ハウジングの形成を容易化 て低コスト化を図ることができる。

 上記のような段付き状の軸部材は、一体 形成してもよいが、これに限らず、例えば 部と、軸部の外周面に固定した中空材とで 成し、中空材の端面で軸部材の肩面を構成 てもよい。この場合、段付き状の軸部材を 純な形状の軸部及び中空材で構成すること できるため、軸部材の加工コストの低減を ることができる。

 例えば、軸部材の端部に球面状凸部を形 し、この球面状凸部を相手材(例えばハウジ ングの内底面)と接触摺動させる、いわゆる ボット軸受でスラスト軸受部を構成する場 、軸部材の端部の球面状凸部とハウジング 内底面との間には空間が形成され(図2にPで す)、この空間を含めた軸受内部の空間に潤 剤が満たされる。このとき、軸部材を軸部 中空材とで構成し、中空材の端部を軸部の 面状凸部の外周まで延ばすと、軸部の球面 凸部が面する空間の一部を中空材で埋める とができる(図7参照)。これにより、軸受内 に満たされる潤滑剤の量を減じることがで るため、潤滑剤の熱膨張を吸収するバッフ 機能を果たすシール空間を縮小することが 能となり、軸受装置の薄型化、あるいはラ アル軸受部の軸受スパンの拡大による軸受 性の向上を図ることができる。 

 上記のような流体動圧軸受装置は、軸部 の軸方向移動を高精度に制御することがで るため、例えばHDD用スピンドルモータのよ な軸部材の軸方向移動可能量をできる限り 精度に管理したい用途に好適に使用するこ ができる。

 また、上記の課題を解決するために、本 明は、小径外周面、大径外周面、及びこれ の間に形成された肩面を有する軸部材と、 部材を内周に収容したハウジングと、ハウ ングの内周に固定され、軸部材の小径外周 との間に軸受内部の潤滑流体の外部への漏 出しを防止するシール空間を形成すると共 、軸部材の肩面と軸方向で係合して軸部材 抜け止めを行うシール部と、軸部材の大径 周面が面するラジアル軸受隙間とを備えた 体動圧軸受装置の組立方法であって、シー 部をハウジングに対して軸方向に移動させ ことにより、シール部と軸部材の肩面との の軸方向隙間を設定することを特徴とする

 このように、本発明の流体動圧軸受装置 組立方法では、軸部材のストローク量(軸方 向移動可能量)となるシール部と軸部材の肩 との間の軸方向隙間を、スリーブ部を基準 して設定するのではなく、シール部をハウ ングに対して軸方向に移動させることによ 設定する。これにより、スリーブ部の形状 度によらずに軸部材のストローク量を管理 ることができるため、スリーブ部の加工精 が緩和され、加工コストの低減が図られる

 このようなシール部の移動による前記軸 向隙間の設定は、例えば、ハウジングの内 に軸部材及びシール部を収容し、シール部 軸部材の肩面と当接させた後、軸部材でシ ル部を所定量だけハウジングの開口側へ移 させることにより行うことができる。

 この流体動圧軸受装置において、軸部材 小径外周面、大径外周面、及び肩面を一体 工すると、これらの面の直角度や同軸度等 精度良く加工することができる。従って、 径外周面が面するラジアル軸受隙間や小径 周面が面するシール空間を精度良く設定す ことができ、優れた軸受性能やシール機能 得ることができる。

 また、軸部材は、軸部と、軸部の外周面 固定したスリーブ部とで形成することがで る。このとき、スリーブ部の端面で軸部材 肩面が構成される。これにより、軸部材を 成する軸部及びスリーブ部の形状を単純化 ることが可能となり、各部材の加工コスト 低減が図られる。また、このように軸部材 軸部及びスリーブ部で構成する場合、軸部 インサート部品としてスリーブ部を型成形 れば、軸部とスリーブ部の組み付け工程が 要となるため、軸部材の製造コストをさら 低減することができる。

 シール部をハウジングに対して移動させ 際、シール部とハウジングとの嵌合面に潤 剤を介在させておくと、シール部をスムー に移動させることができ、より高精度な隙 設定が可能となる。このとき、潤滑剤とし 接着剤を用いると、上記の効果に加えて、 ール部とハウジングとの固定強度を向上さ ることができる。

 また、シール部を位置決めした後、シー 部とハウジングとの嵌合面の大気開放側を 着封止することにより、シール部とハウジ グとの嵌合面から軸受内部の潤滑流体が外 へ漏れ出すことを確実に防止できる。

 以上のように、本発明によると、軸部材 軸方向移動可能量を高精度かつ低コストに 御することのできる流体動圧軸受装置を得 ことができる。

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 説明する。

 図1は、本発明の実施形態に係る流体動圧 軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドル ータの一構成例を概念的に示している。こ スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動 置に用いられるもので、ディスクハブ3を取 けた軸部材2を回転自在に支持する流体動圧 軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを して対向させたステータコイル4およびロー マグネット5と、モータブラケット6とを備 ている。ステータコイル4はモータブラケッ 6の外周に取付けられ、ロータマグネット5 ディスクハブ3の内周に取付けられている。 体動圧軸受装置1のハウジング7は、モータ ラケット6の内周に固定される。ディスクハ 3には、磁気ディスク等のディスク状情報記 録媒体(以下、単にディスクという。)Dが1又 複数枚(図1では2枚)保持される。このように 成されたスピンドルモータにおいて、ステ タコイル4に通電すると、ステータコイル4 ロータマグネット5との間に発生する電磁力 ロータマグネット5が回転し、これに伴って 、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持 れたディスクDが軸部材2と一体に回転する

 流体動圧軸受装置1は、図2に示すように 軸部材2と、内周に軸部材2を挿入したスリー ブ部8と、スリーブ部8を外周から保持した有 筒状のハウジング7と、ハウジング7の開口 に設けられたシール部9とを主に備える。尚 以下の説明において、軸方向でハウジング7 の開口側を上側、閉口側を下側とする。

 軸部材2は、例えばSUS鋼などの金属材料の 旋削加工により形成される。軸部材2は、ス ーブ部8の内周に配された大径部2aと、大径 2aの上側に設けられた小径部2bとを一体に有 る。軸部材2の大径部2aと小径部2bとの間に 肩面2cが設けられる。軸部材2の下端部には 面状凸部2a2が設けられる。

 スリーブ部8は、例えば銅を主成分とする 焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。 この他、スリーブ部8を他の金属や樹脂、あ いはセラミック等で形成することも可能で る。

 スリーブ部8の内周面8aには、ラジアル動 発生部として、例えば図3に示すように、複 数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配 列した領域が、軸方向に離隔した2箇所に形 される。この動圧溝8a1、8a2の形成領域は、 ジアル軸受面として軸部材2の大径部2aの外 面2a1(大径外周面2a1)と対向し、軸部材2の回 時には、軸部材2の外周面2a1との間にラジア 軸受隙間を形成する(図2を参照)。また、上 の動圧溝8a1は、上下の傾斜溝間に形成され 環状の平滑部に対して軸方向非対称に形成 れている。詳しくは、上側の動圧溝8a1のう 、環状平滑部より上側領域の軸方向寸法X1 下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなって いる(X1>X2)。

 スリーブ部8の外周面8dには、軸方向に延 る溝8d1が軸方向全長に亘って1又は複数本形 成される。また、スリーブ部8の下側端面8cに は、径方向に延びる溝8c1が1又は複数本形成 れる。スリーブ部8をハウジング7の内周に固 定した状態では、これら軸方向溝8d1及び径方 向溝8c1とハウジング7の内周面7a1及び内底面7b 1との間に潤滑油の連通経路が構成される(図2 を参照)。これら軸方向溝8d1及び径方向溝8c1 、例えばスリーブ部8を圧粉成形する成形型 予め軸方向溝8d1及び径方向溝8c1に対応する 所を設けておくことで、スリーブ部8の圧粉 成形と同時に成形することができる。

 ハウジング7は、液晶ポリマー(LCP)、ポリ ェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテル ーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂、あるい ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテ サルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等 非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物 射出成形され、有底筒状に形成される。本 施形態では、図2に示すように、側部7aと、 部7aの下端部を閉塞する底部7bとが一体に成 形される。ハウジング7を形成する上記樹脂 成物としては、例えば、ガラス繊維等の繊 状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ 充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボ 繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボン ノマテリアル、各種金属粉等の繊維状また 粉末状の導電性充填材など、目的に応じて 記ベース樹脂に適量配合したものが使用可 である。

 ハウジング7の射出材料は上記に限らず、 例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合 金等の低融点金属材料が使用可能である。ま た、ハウジング7は、金属紛とバインダーの 合物で射出成形した後、脱脂・焼結するい ゆるMIM成形で形成することもできる。ある は、金属材料、例えば真ちゅう等の軟質金 のプレス成形でハウジング7を形成すること できる。また、ハウジング7の底部7bは、必 しも側部7bと一体にする必要はなく、側部7a と別体に形成することもできる。

 ハウジング7の内周面7a1には、スリーブ部 8の外周面8dが、例えば接着(ルーズ接着や圧 接着を含む)、圧入、溶着等の適宜の手段で 定される。

 ハウジング7の内底面7b1(底部7bの上側端面 7b1)は、軸部材2の下端部の球面状凸部2a2を接 支持するスラスト軸受部Tとして機能する。 本実施形態では、このようにハウジング7に 接スラスト軸受部Tを形成しているが、これ 限らず、例えば耐摩耗性、摺動特性が良好 樹脂材料や焼結材料等で別途形成したスラ トワッシャをハウジング7の内底面に配し、 このスラストワッシャにスラスト軸受部Tを 成しても良い。この場合、ハウジング7は軸 材2と接触摺動することがなくなるため、ハ ウジング7の材料に耐摩耗性が不要となり、 ウジング7の材料選択の幅が広がる。

 シール部9は、金属材料や樹脂材料で環状 に形成される。シール部9は、ハウジング7の 部7aの上端部内周に例えば圧入、圧入接着 により固定される。シール部9の内周面9aは 上方へ向けて漸次拡径したテーパ面状に形 される。シール部9の内周面9aは、軸部材2の 径部2bの外周面2b1(小径外周面2b1)と対向し、 これらの間に下方へ向けて半径方向寸法が漸 次縮小する環状のシール空間Sが形成される シール部9で密封されたハウジング7の内部空 間には、潤滑流体として例えば潤滑油が注油 され、ハウジング7の内部が潤滑油で満たさ る(図2中の散点領域)。この状態で、潤滑油 油面はシール空間Sの範囲内に維持される。 のとき、図2の拡大図で示すように、シール 部9の下側端面9bの内周チャンファ9b1と軸部材 2の小径部2bの外周面2b1との間の空間や、スリ ーブ部8の上側端面8bの内周チャンファ8b1と軸 部材2の大径部2aの外周面2a1との間の空間も潤 滑油で満たされる。

 シール部9の下側端面9bとスリーブ部8の上 側端面8bとの間には第1の軸方向隙間L1が形成 れる。また、シール部9の下側端面9bと軸部 2の肩面2cとの間には第2の軸方向隙間L2が形 される。この第2の軸方向隙間L2が軸部材2の 軸方向移動可能量となる。このように、シー ル部9とスリーブ部8との間に第1の軸方向隙間 L1を設けて両者を非接触とすることにより、 部材2の軸方向移動可能量、すなわち第2の 方向隙間L2を、スリーブ部の加工精度によら ず、シール部9の位置精度によってのみ管理 ることができる。

 また、本実施形態のように、流体動圧軸 装置1をHDDのスピンドルモータ用として使用 する場合は、ディスクとヘッドとの干渉を防 止するために、第2の軸方向隙間L2を30μm以下 好ましくは20μm以下に設定することが望ま い。さらに、第2の軸方向隙間L2は、シール 間Sのうち、最も小さい径方向寸法L3と同じ それよりも小さく設定することが望ましい(L 2≦L3)。これにより、第2の軸方向隙間L2にお て、シール空間Sと同等かそれよりも大きな 細管力が得られるため、潤滑油の外部への れ出しをより確実に防止することができる

 第2の軸方向隙間L2の設定は、例えば以下 ようにして行うことができる。まず、図4(a) に示すように、スリーブ部8及び軸部材2をハ ジング7の内周に収容する。具体的には、ハ ウジング7の内周にスリーブ部8を挿入し、ス ーブ部8の下側端面8cをハウジング7の内底面 7b1に当接させ、スリーブ部8をハウジング7の 周面7a1に固定する。このスリーブ部8の内周 に軸部材2を挿入し、ハウジング7の内底面7b1 軸部材2の下端の球面状凸部2a2を当接させる 。この状態で、軸部材2の肩面2cがスリーブ部 8の上側端面8bよりも上方(ハウジング開口側) 位置するように、軸部材2の大径部2a及びス ーブ部8の軸方向寸法を予め設計しておく。

 次いで、図4(b)に示すように、シール部9 ハウジング7の内周面7a1に上方から挿入し、 側端面9bを軸部材2の肩面2cに当接させる。 の後、図4(b)に矢印で示すように軸部材2をハ ウジング7に対して引き上げることにより、 部材2の肩面2cと係合したシール部9を、図2に 示す第2の軸方向隙間L2の分だけハウジング7 対して上方へ移動させる。この状態で、シ ル部9をハウジング7の内周面7a1に固定するこ とにより、第2の軸方向隙間L2が設定される。 シール部9とハウジング7は、例えば圧入によ 固定され、この場合、軸部材2を所定量だけ 引き上げた時点でシール部9の位置決め及び 定が完了する。このとき、両者の嵌合面に 着剤を介在させておくと、固定強度が高め れると共に、ユニット内部からの油の漏れ 確実に防止できる。また、シール部9をハウ ング7に挿入する前に接着剤を塗布すれば、 接着剤が潤滑剤として機能し、シール部9の 入および移動を容易化することができる。

 この方法によると、軸部材2の軸方向移動 可能量となる第2の軸方向隙間L2を、軸部材2 引き上げ量により高精度に設定することが きる。すなわち、軸部材2の軸方向移動可能 を、スリーブ部8の加工精度ではなく、軸部 材2の引き上げ量により直接的に管理するこ ができる。従って、軸部材2の軸方向移動可 量を精度良く管理できると共に、スリーブ 8の加工精度が緩和され、製造コストを低減 できる。

 上記構成の流体動圧軸受装置1において、 軸部材2の回転時、スリーブ部8のラジアル軸 面(内周面8aの動圧溝8a1、8a2形成領域)は、軸 部材2の大径部2aの外周面2a1とラジアル軸受隙 間を介して対向する。軸部材2の回転に伴い 上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝8a1 8a2の軸方向中心の環状平滑部側に押し込ま 、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a 1、8a2の動圧作用によって、軸部材2をラジア 方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1 第2ラジアル軸受部R2とが構成される。

 同時に、軸部材2の下端に設けられた球面 状凸部2a2とスラスト軸受部Tとしてのハウジ グ7の内底面7b1とが接触摺動することにより 軸部材2がスラスト方向に接触支持される。

 また、スリーブ部8の外周面8dに形成され 軸方向溝8d1、及び下側端面8cに形成された 方向溝8c1により、スリーブ部8とハウジング7 との間に連通経路が形成される(図2参照)。こ の連通経路の一端は第1の軸方向隙間L1に開口 し、他端は軸部材2の下端部が面する空間、 しくは、ハウジング7の内底面7b1と軸部材2の 球面状凸部2a2との間の空間Pに開口する。こ により、ハウジング閉塞側に形成された前 空間Pが、前記連通経路、第1の軸方向隙間L1 さらに第2の軸方向隙間L2を介して、シール 間Sと連通する。これにより、前記空間Pに たされた潤滑油に局部的な負圧が発生する 態が回避され、気泡の生成による軸受性能 低下を防止することができる。

 また、この実施形態では、第1ラジアル軸 受部R1の動圧溝8a1は、軸方向中間部の環状平 部に対して軸方向非対称(X1>X2)に形成され ている(図3参照)。このため、軸部材2の回転 、動圧溝8a1による潤滑油の引き込み力(ポン ング力)は上側領域が下側領域に比べて相対 的に大きくなる。この引き込み力の差圧によ って、スリーブ部8の内周面8aと軸部材2の大 部2aの外周面2a1との間の隙間に満たされた潤 滑油が下方に流動する。この潤滑油は、ハウ ジング7の閉塞側の空間P→径方向溝8c1→軸方 溝8d1→第1の軸方向隙間L1という経路を循環 て、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙 に再び引き込まれる。このように、軸受内 の潤滑油を強制的に流動循環させることで 潤滑油に局部的な負圧が発生する事態をよ 効果的に防止することができる。尚、潤滑 を上記経路と逆向きに循環させたい場合は 例えば動圧溝8a1のアンバランスを図3に示す 例とは反対向き、すなわちX1<X2となるよう 形成すればよい。また、上記のように軸受 部の潤滑油を強制的に循環させる必要がな 場合は、動圧溝8a1、8a2の双方をそれぞれ軸 向対称に形成してもよい。

 本発明の実施形態は上記に限られない。 、以下の説明において、上記の実施形態と 様の構成、機能を有する部位には同一の符 を付し、説明を省略する。

 図5に示す流体動圧軸受装置1は、軸部材2 肩面2cと軸受スリーブ8の上側端面8bの軸方 位置が同じである点、また、軸受スリーブ8 下側端面8cとハウジング7の内底面7b1との間 軸方向隙間L4が形成されている点で、上記 実施形態と構成を異にする。軸方向隙間L4を 適宜設定すれば、この軸方向隙間L4でハウジ グ閉塞側の空間Pとシール空間Sとを連通す 連通経路の一部を構成することができる。 の場合、図2の実施形態で軸受スリーブ8の下 側端面8cに形成していた径方向溝8c1が不要と るため、軸受スリーブ8の形状を簡略化する ことができる。

 上記の動圧軸受装置1の組立方法を、図6 基づいて説明する。まず、軸部材2の小径部2 bの外周面2b1とシール部材9の内周面9aとを嵌 し、シール部材9の端面9bと軸部材2の肩面2c を当接させる。この軸部材2及びシール部材9 を図5に示す状態と上下反対となるように倒 させ、円筒状の台10の端面10aの上に載置する (図6(a)参照)。次に、軸部材2の大径部2aの外周 面2a1と軸受スリーブ8の内周面8aとを嵌合し、 軸受スリーブ8の端面8bとシール部材9の端面9b を当接させる(図6(b)参照)。このとき、軸受ス リーブ8の一方の端面8bと軸部材2の肩面2cとが 同じ軸方向位置にあり、且つ、軸部材2の球 状凸部2a2が軸受スリーブ8の他方の端面8cか 僅かに突出した状態となる。

 さらに、軸受スリーブ8の外周面8dとハウ ング7の内周面7a1とを嵌合し、軸部材2の球 状凸部2a2とハウジング7の内底面7b1とを当接 せる(図6(c)参照)。このとき、軸受スリーブ8 の端面8cとハウジング7の内底面7b1との間には 軸方向隙間L4が形成される。この状態でハウ ング7と軸受スリーブ8とを固定し、このユ ットを台10から外して図6(d)の状態とする。 の後、軸部材2をハウジング開口側へ引っ張 てシール部材9を移動させることにより、シ ール部材9と軸受スリーブ8との間に第1の軸方 向隙間L1を形成すると共に、シール部9と軸部 材2の肩面2cとの間に第2の軸方向隙間L2を形成 する。このとき、軸部材2の肩面2cと軸受スリ ーブ8の上側端面8bが同じ軸方向位置にあるた め、第1の軸方向隙間L1と第2の軸方向隙間L2は 等しくなる(L1=L2)。この位置でシール部材9を ウジング7に固定することにより、第1及び 2の軸方向隙間L1、L2が決定される。

 また、本発明の実施形態に係る流体動圧 受装置1の構成は上記に限られない。上記の 実施形態では段付き状の軸部材2を一体に形 しているが、これに限らず、例えば図7に示 ように、軸部材2をストレートの軸状の軸部 21と中空材22とで構成してもよい。図示例で 、軸部21の下端部に球面状凸部21bが形成され 、軸部21の外周面21aに円筒状の中空材22の内 面22bが固定される。中空材22の外周面22aはラ ジアル軸受隙間に面し、中空材22の上側端面2 2cが軸部材2の肩面を構成する。中空材22の下 部は、軸部21の外周面21aの下端部を越えて 方へ延び、軸部21の球面状凸部21bの外周まで 達している。これにより、軸部材2の下端部 ハウジング7の内底面7b1との間の空間Pの一部 が中空材22で埋められ、例えば図2に示す構成 と比べて軸受内部に満たされる潤滑油の量を 減じることができる。従って、軸受内部に満 たされた潤滑油の体積変化を吸収するシール 空間Sが縮小され、シール部材9の軸方向寸法 縮小が可能となり、これにより軸受性能を 持したまま軸受装置1の軸方向寸法を縮小す ることができる。あるいは、軸受装置1の軸 向寸法を拡大することなく、ラジアル軸受 R1とR2との間隔(軸受スパン)を拡大して軸受 性の向上を図ることができる。

 この軸部21及び中空材22からなる軸部材2 、圧入や接着、溶接など任意の方法で固定 れる。例えば溶接で固定する場合、軸部21の 下端の球面状凸部21bの外径端と中空材22の内 面22bとの境界部を溶接すれば、溶融した材 を球面状凸部21bと中空材22の内周面22bとで 成される凹部Qで捕捉することができる。ま 、溶融した材料で凹部Qを埋めることにより 、軸受内部の潤滑油量をさらに減じることが できるため、シール空間Sがさらに縮小され 上記の軸受装置の縮小、あるいは軸受剛性 向上効果をより一層高めることができる。

 図2や図5に示す軸部材2は、軸部材2を一体 に加工した後、大径部2aの外周面2a1、小径部2 bの外周面2b1、及び肩面2cに研削加工を施して 仕上げられる。このとき、図7に示すように 小径部2bの外周面2b1と肩面2cとの境界部にヌ ミ2dを形成しておけば、小径部2bの外周面2b1 及び肩面2cを端部まで確実に研削することが 能となる。一方、図7に示すように軸部材2 軸部21及び中空材22の2部材で構成すれば、予 め高精度に加工した上で両者を固定すること ができるため、ヌスミを形成する必要はない 。尚、この場合、軸部21と中空材22とを固定 た後に、ラジアル軸受隙間に面する中空材22 の外周面22aを研削すれば、軸部21と中空材22 組み付け誤差を考慮した上で外周面22aを高 度に仕上げることができる。

 上記の実施形態では、ハウジング7とスリ ーブ部8とが別体に形成されているが、これ を一体に形成してもよい。例えば、ハウジ グ7及びスリーブ部8を射出成形により一体に 形成すれば、製造工程を省くことができるた め、低コスト化を図ることができる。

 また、本発明の組立方法は上記の実施形 に限られない。

 図9に、他の実施形態にかかるシール部9 位置決め方法を示す。まず、図9(a)に示すよ に、ハウジング7の内周にスリーブ部8及び 部材2を収容し、シール部9をハウジング7の 周の基準位置(例えば、シール部9の上側端面 9cがハウジング7の上端面7cと面一になる位置) に配する。このとき、シール部9とスリーブ 8との間には、図2に示す第1の軸方向隙間L1よ りも大きい隙間が設けられる。

 次いで、シール部9を下方へ所定量だけ押 込む。例えば、図9(b)に示すように、基部10a 及び円筒部10bを有する押込み部材10により、 シール部9を下方(矢印方向)へ押込む。基部10a には、押込み量を規定する基準面10a1が形成 れ、円筒部10bは、内周が軸部材2の小径外周 2b1と嵌合すると共に、その下側端面10b1がシ ール部9の上側端面9cを押込む押込み面となる 。そして、図9(c)に示すように、押込み部材10 の基準面10a1が軸部材2の上端部2b2に当接した 点で、押込みが完了する。この場合、軸部 2の小径外周面2b1の軸方向寸法をY1、押し込 部材10の基準面10a1と押込み面10b1との軸方向 間隔をY2、シール部9の軸方向寸法をY3とした き、Y1とY2+Y3との差が第2の軸方向隙間L2とな る(L2=Y1-(Y2+Y3))。従って、Y1、Y2、及びY3を精度 良く設定することにより、軸部材2のストロ ク量を高精度に管理することができる。

 また、本発明の組立方法が適用される流 動圧軸受装置の構成は上記に限らず、例え 図10に示すような流体動圧軸受装置1に適用 ることもできる。この流体動圧軸受装置1で は、軸部材2を、円筒状の軸部20とスリーブ部 8とで構成している。この軸部材2は、軸部20 外周面20aとスリーブ部8の内周面8aとを、圧 、接着、圧入接着等の適宜の手段で固定す ことにより形成される。この軸部材2では、 リーブ部8の上側端面8bが軸部材2の肩面2cを スリーブ部8の外周面8dが軸部材2の大径外周 面2a1を、軸部20の外周面20aが軸部材2の小径外 周面2b1をそれぞれ構成し、球面状凸部2dは軸 20の下端部に形成される。

 この軸部材2の大径外周面2a1(スリーブ部8 外周面8d)には、上下に離隔した2箇所にラジ アル動圧発生部としての動圧溝G1、G2が形成 れ(図10に点線で示す)、ハウジング7の内周面 7a1との間にラジアル軸受隙間を形成する。ま た、軸部材2の肩面2c(スリーブ部8の上側端面8 b)とシール部9の下側端面9bとの間には、軸部 2のストローク量となる第2の軸方向隙間L2が 形成される(図10拡大図参照)。スリーブ部8の 周面8aには軸方向溝8a1が形成され、軸部20の 外周面20aとの間に連通経路を形成する。この 連通経路が、ハウジング7の閉塞側に形成さ た空間P、詳しくは、軸部20の下端部に形成 れた球面状凸部2d及びスリーブ部8の下側端 8cと、ハウジング7の内底面7b1との間に形成 れた空間Pを、シール空間Sと連通する。

 このように、軸部材2を軸部20とスリーブ 8とで構成することにより、図2に示す軸部 2のような段付状の加工が不要となるため、 部材の加工コストを低減することができる また、スリーブ部8の外周面8dで軸部材2の大 径外周面2a1を構成することにより、図2に示 流体動圧軸受装置1と比べ、大径外周面2a1が するラジアル軸受隙間を大径化し、ラジア 軸受部R1、R2を拡大することができるため、 ラジアル方向の軸受性能を高めることができ る。

 また、本発明の組立方法は、図11に示す うな流体動圧軸受装置1に適用することもで る。この流体動圧軸受装置1では、軸部材2 スラスト方向の支持を非接触支持としてい 点で、図10に示す実施形態と構成を異にする 。詳しくは、スリーブ部8の下側端面8cとハウ ジング7の内底面7b1との間にスラスト軸受隙 を形成し、軸部材2の回転時には、スリーブ 8の下側端面8cに形成されたスパイラル形状 ステップ形状等の動圧溝G3がスラスト軸受 間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材2 スラスト方向に指示するスラスト軸受部Tが 構成される。この場合、シール部9の下側端 9bと軸部材2の肩面2c(スリーブ部8の上側端面8 b)との間の第2の軸方向隙間L2は、スラスト軸 部Tのスラスト軸受隙間よりも大きくなるよ うに設定される。

 図10及び図11に示すように、軸部材2を軸 20とスリーブ部8とで構成する場合、上記の うにこれらを別途形成した上で固定する他 軸部20をインサート部品としてスリーブ部8 型成形してもよい。これにより、軸部20とス リーブ部8との組み付け工程が不要となり、 部材2の製造工程を簡略化することができる

 上記の実施形態では、ラジアル軸受隙間 潤滑流体に動圧作用を発生させる動圧発生 として、スリーブ部8の内周面8aにヘリング ーン形状の動圧溝8a1、8a2が形成されている 、これに限らず、例えばスパイラル形状の 圧溝やステップ軸受、あるいは多円弧軸受 採用してもよい。あるいは、スリーブ部8の 内周面8a及び軸部材2の大径部2aの外周面2a1を に円筒面状に形成し、いわゆる真円軸受を 成してもよい。

 また、上記の実施形態では、スラスト軸 部Tで軸部材2を接触支持する構成を示して るが、これに限られない。例えば、軸部材2 下端面とハウジング7の内底面7b1との間にス ラスト軸受隙間を形成し、このスラスト軸受 隙間の潤滑油の動圧作用で軸部材2を非接触 持するスラスト軸受部Tを構成してもよい。

 また、上記の実施形態では、スリーブ部8 の内周面8aに動圧溝8a1、8a2を形成しているが この面と軸受隙間を介して対向する軸部材2 の大径部2aの外周面2a1に動圧溝を形成しても い。

 また、上記の実施形態では、ラジアル軸 部R1、R2が軸方向で離隔して設けられている が、これらを軸方向で連続的に設けてもよい 。あるいは、これらの何れか一方のみを設け てもよい。

 また、上記の実施形態では、動圧軸受装 1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間に動圧 作用を生じる流体として潤滑油を例示したが 、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生 可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流 体、あるいは潤滑グリース等を使用すること もできる。

 また、本発明の動圧軸受装置は、上記の うにHDD等のディスク駆動装置に用いられる ピンドルモータに限らず、光ディスクの光 気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、 速回転下で使用される情報機器用の小型モ タ、レーザビームプリンタのポリゴンスキ ナモータ等における回転軸支持用、あるい 電気機器の冷却ファン用のファンモータと ても好適に使用することができる。

流体動圧軸受装置を組み込んだHDD用ス ンドルモータを示す断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 スリーブ部の断面図である。 第2の軸方向隙間の設定方法を示す断 面図である。 第2の軸方向隙間の設定方法を示す断 面図である。 他の例の流体動圧軸受装置の断面図で る。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 他の例の流体動圧軸受装置の断面図で る。 軸部材の肩面付近を拡大して示す断面 である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 流体動圧軸受装置の組立方法の他の を示す断面図である。 他の例の流体動圧軸受装置の断面図で ある。 他の例の流体動圧軸受装置の断面図で ある。

符号の説明

1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
2a 大径部
2b 小径部
2c 肩面
7 ハウジング
8 スリーブ部
8c1 径方向溝
8d1 軸方向溝
9 シール部
L1 第1の軸方向隙間
L2 第2の軸方向隙間
L3 シール空間の径方向寸法
R1,R2 ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
S シール空間