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Patent Searching and Data


Title:
FLOW CONTROL VALVE, DIAL POSITION DECIDING SCALE FOR THE FLOW CONTROL VALVE, DIAL POSITION DECIDING DEVICE, DIAL POSITION DECIDING PROGRAM, AND STORAGE MEDIUM STORED WITH THE PROGRAM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146467
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a flow control valve, which increases or decreases a flow rate widely and monotonously according to the turn of an operation knob and which has so little internal wear that it does not have any remarkable characteristic deterioration even if abrasion powder or foreign substance should exist in the flow passage. Also provided are a dial position deciding scale, a program and so on for setting the flow rate conveniently and easily when the flow control valve is set to a target flow rate. The flow control valve comprises a sliding shaft (332) and a sliding cylindrical face (321a) fitted so mutually as to slide in the axial directions, and a moving mechanism for moving the sliding shaft (332) in the axial directions. At least one of the sliding shaft (332) and the sliding cylindrical face (321a) has a plurality of taper grooves (333) formed to have a specific region acting as a fluid passage. These taper grooves (333) are shaped to have their flow resistances gradually decreased or increased along the longitudinal direction. The dial position deciding scale and the program are constituted to have a gauge according to the relation of the following formula (1) and to perform calculations. Q = ρ X ΔP/R Formula (1). [Q: Flow Rate [m3/s], ρ: Viscous Resistance [Pa•s] of Fluid, ΔP: Difference Pressure [Pa] at Entrance/Exit of Resistance Element, and R: Resistance of Resistance Element]

Inventors:
MAEDA MAKOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001258
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FRONT CO LTD (JP)
MAEDA MAKOTO (JP)
International Classes:
F16K47/06; G05D7/01; G06C3/00
Foreign References:
JP2000065220A2000-03-03
JPS62258270A1987-11-10
JP2006138399A2006-06-01
JPS5524253A1980-02-21
JPS5389035A1978-08-05
JPS61619U1986-01-06
JPS6025053U1985-02-20
JP2007140581A2007-06-07
JPS5259285A1977-05-16
JP2007041870A2007-02-15
JP2007162788A2007-06-28
Other References:
"Valve Ichi Keisan Soft Sosa Setsumeisho (Heisei 20 Nen 5 Gatsu 15 Nichi)", KABUSHIKI KAISHA FURONTO, 15 May 2008 (2008-05-15), Retrieved from the Internet
Attorney, Agent or Firm:
SEGAWA, Koichi (2-14 Nishiogi-Kita 2-Chom, Suginami-ku Tokyo 42, JP)
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Claims:
互いに軸方向に摺動可能に嵌合された摺動軸および摺動円筒面と、前記摺動軸を軸方向に移動させる移動機構とを有し、
 前記摺動軸および摺動円筒面の少なくとも一方の摺動面にはその特定領域が流体通路となる複数のテーパー溝が形成され、このテーパー溝は長さ方向に沿って流路抵抗が漸減または漸増する形状になっている流量調節弁。
前記テーパー溝は、流量抵抗が所定の関数に従って漸減または漸増するように形成されている請求項1の流量調節弁。
前記テーパー溝は、流量抵抗が実測データに基づいて漸減または漸増するように形成されている請求項1の流量調節弁。
前記移動機構の駆動軸と摺動円筒面とを、互いに熱膨張係数の異なる材料により構成し、
 前記テーパー溝は、温度変化による前記材料の膨張または収縮で前記テーパー溝の流体通路の区間が変化して流量が変化する量と、温度変化による流体の粘性抵抗の変化で流量が変化する量とが打ち消し合うような形状に形成されている請求項1~3のいずれかの流量調節弁。
前記関数は、ハーゲン・ポアズイユの式から導き出される指数関数である請求項2の流量調節弁。
前記テーパー溝は、スパイラル状に形成されている請求項1~5のいずれかの流量調節弁。
前記テーパー溝は、前記摺動軸と摺動円筒面に形成されたねじの一部を除去することにより形成されている請求項6の流量調節弁。
前記移動機構は、回転動作を直線状の動作に変換するためのねじ部を有し、軸を回転させることにより前記摺動軸を移動させる操作軸と、前記操作軸の回転動作が前記摺動軸に伝達されないように両者を連結する連結部とを有する請求項1~7のいずれかの流量調節弁。
前記移動機構は、制御可能な直線状の動作を行う駆動機構により構成されている請求項1~7のいずれかの流量調節弁。
前記摺動円筒面は、本体に形成された縮径部により構成されている請求項1~9のいずれかの流量調節弁。
前記摺動円筒面は、本体とは別に設けられた補助スリーブにより構成されている請求項1~9のいずれかの流量調節弁。
前記摺動軸には、締め切り用のシール部材が設けられている請求項1~11のいずれかの流量調節弁。
円形の目盛が付された基板と、前記基板の目盛と概ね同じ半径の回転円板とを有し、
 前記基板と回転円板は基板の円形の目盛が外周に配置されるように回転円板が重ねられてその中心点で回転可能に連結され、
 前記基板の目盛りには、円周方向に流量の値が対数で付されると共に、圧力の値も対数で流量と同一方向に付され、
 前記回転円板の外周に付された目盛りには流量調節弁のノブの回転数の値が付されるとともに、流体の粘性係数の値が対数で付され、
 所定の流体の流量を決定するに際し、前記粘性係数の目盛りから流体に対応する値の目盛りを選択し、これと流体の圧力の目盛が一致するように回転円板を回転させ、このときの前記基板の所望とする流量の目盛の位置に対応する回転円板の流量調節弁のノブの回転数の値が、流量調節弁のノブの回転位置として直読できる流量調節弁のダイヤル位置決定用スケール。
上記回転円板の回転数の目盛は、下記式(1)に従って設定され、かつバルブの理想特性からの誤差に対応して、目盛間隔が補正されている請求項13の流量調節弁のダイヤル位置決定用スケール。
 Q=ρ×δP/R    式(1)
 [Q:流量[m 3 /s]、ρ:流体の粘性抵抗[Pa・s]、δP:抵抗要素出入り口の差圧[Pa]、R:抵抗要素の抵抗]
流体の流量制御を行う流量調節弁のダイヤル位置決定に際し、
 必要な流量と、流体の粘性抵抗と、抵抗要素である流量調節弁の出入り口の差圧とから抵抗要素の抵抗である流量調節弁のダイヤル位置として求めるプログラムであって、
 流量と、流体の粘性抵抗と、抵抗要素である流量調節弁の出入り口の差圧とを入力することで下記の式(1)の計算を行い、抵抗要素の抵抗に対応する流量調節弁のダイヤル位置の値を出力する流量調節弁のダイヤル位置決定用プログラム。
 Q=ρ×δP/R    式(1)
 [Q:流量[m 3 /s]、ρ:流体の粘性抵抗[Pa・s]、δP:抵抗要素出入り口の差圧[Pa]、R:抵抗要素の抵抗]
予め流量調節弁を校正するための校正データを取得し、この校正データにより校正を行ったデータによりダイヤル位置の値を出力する請求項15の流量調節弁のダイヤル位置決定用プログラム。
実測された任意のダイヤル位置での流量調節弁の流量値を入力し、この流量値の粘性抵抗を算出して前記粘性抵抗とする請求項15または16のダイヤル位置決定用プログラム。
請求項15~17のいずれかのプログラムを記憶した記憶媒体。
請求項15~17のいずれかの流量調節弁のダイヤル位置決定用プログラムを実行するプロセッサーを備えた流量調節弁のダイヤル位置決定用装置。
請求項1の流量調節弁に用いられる請求項13または14のダイヤル位置決定用スケール。
請求項1の流量調節弁に用いられる請求項15~17のいずれかのダイヤル位置決定用プログラム。
Description:
流量調節弁、流量調節弁のダイ ル位置決定用スケール、ダイヤル位置決定 装置、ダイヤル位置決定用プログラムおよ このプログラムを記憶した記憶媒体

 本発明は、液体、ガス等の流体の流量を 御する調節弁に関し、特に流量を精密かつ 範囲に調節でき、かつ長期の使用に耐える 頼性の高い流量調節弁に関する。

 また、本発明は、流量調節用弁を使用す に際し、流量調節用弁のバルブ開度を目標 量になるように設定するための目盛付き操 ノブに用いられるダイヤル位置決定用スケ ル、ダイヤル位置決定用装置、ダイヤル位 決定用プログラムおよびこのプログラムを 憶した記憶媒体に関する。

 従来から、流体の流量を精密に制御でき 調節弁として、精密ニードル弁が知られて る。図17は従来より実用されている、精密 ードル弁の概要を示す構成断面図である。 のような構成のニードル弁は、ノブ201を回 ことにより先端付近をテーパ状に形成され 軸(ニードル)202が円筒状の穴203に挿入され、 テーパ軸202と、ハウジング204に設けられた穴 203との間に生じるリング状の隙間の大きさが 変化する。

 その結果、流体入口205から流入し、この 間を通って流体出口206から流出する流体に する流路抵抗が変わるので、流量を調節す ことができる。

 図18にこのような従来のニードルバルブ 流量調節特性を示す。ここで、サンプルb1~ ンプルb5は、代表的な従来のニードルバルブ の特性を示したものであり、所定の流量範囲 ではリニア特性に近い特性を示している。な お、バルブ開度が10%以下の領域では、バルブ 操作の回転角度に対する流量変化率が大きく なり、流量設定が難しくなるため、通常はフ ルスケールの10%から90%程度の範囲で使用して いる。因みに、サンプルaは、本発明の弁の 性を参考に示したものである。

 ところで、サンプルaとの比較からもわか るように、図17に示すような従来のニードル の流量調節範囲は狭く、市販されている製 は、各社毎に流量範囲に応じて数種類から2 0種類以上までにもなる。そして、バルブ使 者は所望の流量範囲に応じてカタログに記 されている多数のバルブの中から最適なも を選定する必要があった。このため、設計 更があったり、流体が変わるなどして、流 る流量や流体抵抗の範囲が変更されたり、 量の予測や選定を誤るなどすれば、再度、 の流量範囲のものを購入し直さなければな ず、不経済かつ不便であった。

 また、従来のテーパ軸を穴に挿入するタ プのニードル弁ではテーパ軸と穴の隙間を ロになるまで押し付けるため、その部分の 面が磨耗し、使用を重ねるうちに変形して 量調整が不安定になったり、流量を完全に ロにすることができなくなるという欠点が った。

 また、温度変化により構成材料が膨張ま は収縮し、その結果流量が変化して流量誤 を生じてしまうという問題があった。すな ち、全く温度補償をしていないニードル弁 場合には、1℃あたりの温度変化による誤差 は約0.4%程度あり、温度補償をしているとし 市販されているニードル弁においても、1℃ たりの誤差は0.3%程度にしか改善されていな かった。ほとんどすべての用途において、こ の誤差は小さいことが望ましく、温度補償と しては、少なくとも、誤差を1℃あたり0.1%以 に抑えることが望ましい。

 特開2000-179748号公報(特許文献1)には、一 式で加圧供給される潤滑油を、機械の潤滑 べき多数の箇所に定量分配または比例分配 るための抵抗弁であって、流体抵抗度の大 な新規な絞り弁を提供することを目的とし 、流体通路の有効断面積を制限するための 抗子を具備する機構において、通路部材の の内周面に雌螺子を形成するとともに抵抗 の要部外周面には前記雌螺子に嵌合する雄 子を形成し、さらに前記雌螺子または雄螺 のいずれか一方のねじ山を定められた寸法 カットし、前記のねじ山のカット部分を流 通路として形成してなる、抵抗弁の構造が 示されている。

 しかし、この文献の構造では、雌螺子と 螺子がピッタリと隙間の無い状態で噛み合 ていないと、流体が谷と山の隙間を通って 接軸方向に流れてしまう。このため、雄螺 と雌螺子はピッタリとしたハメアイ構造に っている必要があり、精度の極めて高い加 が必要とされ、製作が極めて困難であるば りか、高価になり、しかも流体が漏れる危 もあった。

 またこの文献の絞り弁も、流体通路とし ねじ螺合の隙間の有効断面積を変化させて り開度に変化を与えるものであるが、温度 化による流量の変化については補償するも ではなかった。

 ところで、従来の多くの流量計の誤差は フルスケールに対して±E%という形で規定さ れており、フルスケール付近では、±E%での 定が可能であるが、例えばフルスケールの10 %程度の小さな流量を測定しようとすると、 差は読取り値の±10×E%と、10倍もの大きな誤 を見込まなければならなくなる。

 数十年程前から、「質量流量計」あるい 「マスフローメータ」と呼ばれる流量計が く普及するようになっており、この流量計 使った、マスフローコントローラーが、半 体産業を始め、今日のハイテク産業を支え 重要な技術になっている。マスフローメー も、他の原理の流量計と同じように、誤差 定はフルスケールの±何%という形になって る。従って、フルスケールに対して、10%以 といった小さい流量になると誤差が大きく る。

 マスフローメータでは、流体に熱を加え 僅かな温度上昇を測定することにより流量 測定している。流量に関与した信号を得る とは可能であるが、センサとして信号を取 出す部分の現象は極めて複雑で、明快な理 式は存在しない。流体により、熱伝導率、 熱などの物性が異なるため、マスフローメ タは、1種類の流体専用になっていることが 多い。内部プログラムにより数種類の流体に 対応可能としたものもあるが、多くの場合、 例えば空気用のマスフローメータをアルゴン 、ヘリウムなど、違うガス種の流体に使うこ とは困難であった。また、面積式流量計でも 、テーパ状のガラス管の中の球体が重力と下 からのガスの動圧とが釣り合う位置で流量を 読み取ることが可能であるが、球体の前後で の流体の流れは複雑になり、単純な理論式は 存在せず、「流量係数」といった係数を、導 入して説明しているだけであり、同じ流量計 では1種類の流体にしか使えないといった問 があった。

 これに対し、本発明者は特開2006-138399号 報(特許文献2)において、温度変化があって 流量が変化せず、どの位置でも回転角度に する流量変化率が一定である流量調節弁を 供することを目的として、操作軸12と、外周 面にテーパー溝14が形成された補助スリーブ1 8と、操作軸および補助スリーブに嵌合され ハウジング20とを備える流量調節弁を提案し た。この流量調節弁は、ハウジングの他端に 開けた一方の流体出入口22とハウジングの側 に開けた他方の流体出入口24との間に、テ パー溝14を通じて流体通路が形成されている 。

 すなわち、円筒軸の外周に断面が正三角 のスパイラル状の溝を設け、この軸が円筒 中に挿入された時にできるスパイラル状の 路の位置を変化させることにより、流量変 を達成している。そしてこの溝の深さを、 クスポーネンシャルに変化させることによ 、非常に大きな流量変化が得られるように ている。

 しかし、この文献の手法では、流路を構 する細い溝が1本だけであり、この流路に微 細な異物が入ると、流量が不連続に著しく低 下してしまうという問題があった。つまり、 流量が異物の部分で急に小さくなり、その流 量付近でそれより小さい流量の微調節が不可 能になるという問題があった。

 このように、流路を構成する溝が1本だけ の場合、摺動磨耗によって生じた磨耗粉や、 流体に含まれて外部から侵入する微粒子が流 路の溝に堆積すると、局部的に抵抗が大きく なり、流量がその位置で急激に小さくなって しまう。図6に、このような流量調節弁に異 が詰まったときの特性例を示す。図6のサン ルc2が、横軸の移動距離7mm付近(摺動軸の本 ボディ内部での全閉状態からの移動距離)で 流量が50mL/min程度になったまま階段状になっ いる。この部分の溝に異物が存在している とが原因である。なお、サンプルc1は異物 詰まっていないときの特性である。

 また、操作用のノブを回転した時、テー ー溝が付けられた摺動軸も回転するため、 動面が円筒形の内面を持つスリーブとの摩 で磨耗粉を発生し、これがスパイラルの溝 付着して流量抵抗を大きくするという欠点 あった。

 ところで、従来市販されているダイヤル 盛付きニードル弁には、操作用回転ノブの 分に、回転数を表示するためのダイヤルが され、あるいは取り付けられている。使用 は、このダイヤルの位置と流量の関係を把 することにより、目標流量の設定を行うこ ができるようになっている。また、このダ ヤルを用いることで、一度決めたニードル の弁開度は、同じ目盛の位置まで回すこと より、容易に再現が可能になるという利便 があった。

 しかし、従来の目盛付き流量調節弁を使用 る場合、流体の流量が層流域では絞り弁の 入口の差圧に比例するため、使用者は圧力 補正を行ってから目盛位置を求めなければ らないという問題があった。また、流体の 類が異なると、粘性抵抗が異なってしまい じデータが使えないという問題もある。こ ように、目盛付きであると無いとに関わら 、従来の流量調節弁には、流したい流量を すために、操作用回転ノブをどのダイヤル 置まで回せばよいかを簡便に決定できる手 が殆ど無いというのが実状であった。

特開2000-179748号公報

特開2006-138399号公報 小林清志、飯田嘉宏共著,「新版 移動論 」,第22刷,株式会社朝倉書店,1997年10月,p.30、p. 48 Technical University of Denmark, MIC : Departmen t of Micro and Nanotechnology, Dr. Henric Bruus, The oreticaL microfluidics, Lecture notes second edition,  fall 2005, 小林清志、飯田嘉宏共著,「新版 移動論 」,第22刷,株式会社朝倉書店,1997年10月,p.30、p. 48

 上記のように、広範囲に流量を変化させ ことが可能で、耐久性に優れ繰り返しの使 で不具合が生じにくく、締め切り時に確実 流量をゼロにすることができ、かつ構造が 純なバルブの実現が従来から望まれていた

 本発明は上記の課題を解決するためにな れたもので、操作ノブの回転に従って、流 が広範囲にかつ単調に増加または減少する 量調節弁で、内部磨耗を生じ難くし、また 一磨耗粉もしくは流体中の異物が流路に存 しても、著しい特性の劣化を生じることが く、かつ締め切りでの流量が確実にゼロに る流量調節弁を提供することを目的とする

 また、本発明の他の目的は、流量調節弁 開度を目標流量に設定する時に、流体の粘 係数や、流量調節弁の出入り口の差圧を簡 に補正でき、簡便かつ容易に流量の設定が えるダイヤル位置決定用スケール、ダイヤ 位置決定用装置、ダイヤル位置決定用プロ ラムおよびこのプログラムを記憶した記憶 体を提供することである。

 上記の目的のうち、繰り返し使用での耐 性を実現するために、2つの手段を提案した 。第1の手段は異物があっても、特性に大き 障害を生じさせない手法であり、第2の手段 調節弁の内部摩擦による磨耗粉の発生を抑 する手段である。先ず第1の異物の存在によ る障害を生じにくくする手段は、弁体の深さ が漸増する三角テーパー溝の流体通路を、複 数本としたものである。

 すなわち、溝の数を1本ではなく、2本以 の複数本の溝を摺動軸の外周等に形成する とにより、上記欠点を劇的に改善した。流 が複数本の溝の束に分散して流れるため、 悪の場合として、1本の溝が閉塞しても、他 溝が流体流路として流れ、流量がゼロにな ことはない。

 この状態を数値モデルで検討した結果を 7のグラフに示す。図7の横軸はバルブの開 を表し、縦軸は流量を対数目盛で表してい 。このモデルは、以下に詳述するような指 関数的に溝の深さを変化させた流路を持つ ルブで、その溝が1本のサンプルe1の場合、 ルブ開度を100%から下げていった時、例えば ルブ開度38%の溝位置Xに異物があり、そこで の流路抵抗により流量が約1/17になったと仮 する。

 その場合、さらにバルブを閉めても、流 は異物の位置の流路抵抗で決まり、約0.25mL/ minの流量が約0.015mL/minと約1/17以下になったま まになってしまい、バルブ開度が16%程度にな って初めて流量調節ができるようになるが、 ここに至るまでの区間の流量調節ができなく なる不都合がある。

 そこから、異物がテーパー溝の流体抵抗 間からはずれて流路抵抗が1/17になるところ までは流量変化が無いため、特性は図のサン プルe1に示すような階段状になってしまう。

 このように、図7における溝の数が1本の ンプルe1は、バルブ開度約18%―38%の間では、 流量の設定が全くできないことがわかる。溝 を2本としたサンプルe2では、1本の溝に異物 入っても第2の流路の流量が当初の特性を保 して流れるため、合成した流量としては特 は大きく改善されることがわかる。3本のサ ンプルe3ではさらに改善されている。これら サンプルe2,e3は、理想特性を示すサンプルe0 と比較しても遜色がないことがわかる。溝が 複数本あると、流体は他の流路にも流れてい るため、局部的な流量の低下があっても、全 体としての見かけの流量変化は、深刻なもの にならない。

 この例では極端な場合として、1箇所に非 常に大きな異物が詰まって、流量が1/17にな 場合を考えたが、実際には、異物はもっと さい場合が多いので、複数溝にすることに り、異物が入っても、実際の障害は非常に さく押さえることが可能になる。なお、実 に溝を3本にし、しかも以下に詳述するノブ 回転が摺動軸に伝達されないように改良し ものの耐久試験後のデータを取得して評価 たが、操作軸を全閉から全開まで100回以上 復させた耐久試験後でも、ほとんど初期の 性が維持されていることがわかった。

 次に、バルブ内部での摺動による磨耗粉 発生を抑制する手段について述べる。磨耗 積は、構成材料が決まっている場合にはア チャードの法則(Archard's law)により、面圧と 摩擦距離に比例する。従って摺動面の相対的 な移動をできるだけ小さくすることが望まし い。そこで、摺動軸をスリーブの円筒内周面 に対して移動させるとき、操作軸の回転は伝 達せずに、直進動作のみを伝達させることと した。

 従来のテーパ軸を前進後退させるタイプ ニードル弁で操作軸の回転運動を直進運動 しているものがある。これらは、内部で回 を拘束し直進運動しかできない構造にして る。この場合には構造が複雑になり、製造 ストが高くなる欠点があった。本発明では 操作軸と弁の中心軸を回転トルクが伝達し いように結合した連結部を持ち、摺動軸の 転は拘束せず、シールのためのO-リングの 抗などで回転を最小化するものである。

 このことにより、回転を拘束しなくても 実際には摺動軸はほとんど回転せずに動作 るので、機構の大幅な簡素化が実現された シールのためのO―リングは、1箇所でも良 が、よりシール性を高めるために2個以上のO -リングを用いても良く、この場合、摺動軸 回転防止効果も高まる効果が同時に達成さ 好都合である。

 図13に本発明のテーパー溝タイプの流量 節弁と、従来のテーパ軸を前進後退させる イプのニードルバルブ(流量調節弁)のバルブ 開度と流量の関係を示す。図13でわかるよう 発明サンプルaの流量調節弁は、1個の弁で サンプルb1~サンプルb5までの5種類のバルブ りさらに広い流量範囲を調節できることが かる。

 上述したように、テーパー溝タイプの流 調節弁は、非常に広い範囲の流量が調節で るため、バルブ選定作業が極めて容易で、 定を誤るおそれも少なくなる。また、1個の バルブで広い範囲の流量調節が行えるので、 従来は複数のバルブを組み合わせて併用しな ければならない場合でも、1個のバルブで済 という効果を発揮するものである。

 また、流体が流れる溝の数を複数個とす ことにより、小さな異物が1個溝に入っただ けで、その部分で流量調節が不可能になって いたものが、調節可能となった。また、バル ブ内の摺動磨耗による微細粉の発生も、回転 トルクを伝達しない連結部を採用することで 、劇的に低減させることができた。

 さらに、本発明の他の目的である、確実 締め切りで流量をゼロとするために、摺動 の2箇所にO―リングを装着し、スリーブと 間で確実にシールできる構造とした。

 また、図は省略しているが、テーパー溝 深さが深い摺動軸の先端に近い側の軸の形 を、従来のテーパ軸方式のニードル弁と同 に、先端側の直径が小さくなるようにテー 状にすることにより、最大流量をさらに大 くすることが可能である。すなわち、大流 領域は従来のテーパ軸方式とし、中、少流 域をテーパー溝方式とすることにより、ス イラル単独の場合より、さらに広い範囲の 量調節が可能となる。

 ところで、管路等の抵抗要素を通る粘性流 の流量は、レイノルズ数が臨界点より小さ 層流領域では、下記の式(1)で計算すること できる。
 Q=ρ×δP/R    (1)
ここで、
    Q:流量[m 3 /s]
    ρ:流体の粘性抵抗[Pa・s]
   δP:抵抗要素出入り口の差圧[Pa]
    R:抵抗要素の抵抗
である。

 この関係を計算尺のように容易に計算で るよう、スケールを構成すれば、使用者は スの種類や流体出入り口の差圧が異なって 、容易に抵抗要素となる流量調節弁の操作 転ノブのダイヤル位置を設定するための目 値を知ることが可能である。つまり、本発 のスケールは、流量調節弁のノブのダイヤ 位置を、正確かつ簡便に読取ることができ ように構成している。従って、使用者は、 量をより正確に設定することが可能となる

 すなわち、上記目的は以下の本発明の構成 より実現することができる。
(1) 互いに軸方向に摺動可能に嵌合された摺 軸および摺動円筒面と、前記摺動軸を軸方 に移動させる移動機構とを有し、
 前記摺動軸および摺動円筒面の少なくとも 方の摺動面にはその特定領域が流体通路と る複数のテーパー溝が形成され、このテー ー溝は長さ方向に沿って流路抵抗が漸減ま は漸増する形状になっている流量調節弁。
(2) 前記テーパー溝は、流量抵抗が所定の関 に従って漸減または漸増するように形成さ ている上記(1)の流量調節弁。
(3) 前記テーパー溝は、流量抵抗が実測デー に基づいて漸減または漸増するように形成 れている上記(1)の流量調節弁。
(4) 前記移動機構の駆動軸と摺動円筒面とを 互いに熱膨張係数の異なる材料により構成 、
 前記テーパー溝は、温度変化による前記材 の膨張または収縮で前記テーパー溝の流体 路の区間が変化して流量が変化する量と、 度変化による流体の粘性抵抗の変化で流量 変化する量とが打ち消し合うような形状に 成されている上記(1)~(3)のいずれかの流量調 節弁。
(5) 前記関数は、ハーゲン・ポアズイユの式 ら導き出される指数関数である上記(2)の流 調節弁。
(6) 前記テーパー溝は、スパイラル状に形成 れている上記(1)~(5)のいずれかの流量調節弁 。
(7) 前記テーパー溝は、前記摺動軸と摺動円 面に形成されたねじの一部を除去すること より形成されている上記(6)の流量調節弁。
(8) 前記移動機構は、回転動作を直線状の動 に変換するためのねじ部を有し、軸を回転 せることにより前記摺動軸を移動させる操 軸と、前記操作軸の回転動作が前記摺動軸 伝達されないように両者を連結する連結部 を有する上記(1)~(7)のいずれかの流量調節弁 。
(9) 前記移動機構は、制御可能な直線状の動 を行う駆動機構により構成されている上記( 1)~(7)のいずれかの流量調節弁。
(10) 前記摺動円筒面は、本体に形成された縮 径部により構成されている上記(1)~(9)のいず かの流量調節弁。
(11) 前記摺動円筒面は、本体とは別に設けら れた補助スリーブにより構成されている上記 (1)~(9)のいずれかの流量調節弁。
(12) 前記摺動軸には、締め切り用のシール部 材が設けられている上記(1)~(11)のいずれかの 量調節弁。
(13) 円形の目盛が付された基板と、前記基板 の目盛と概ね同じ半径の回転円板とを有し、
 前記基板と回転円板は基板の円形の目盛が 周に配置されるように回転円板が重ねられ その中心点で回転可能に連結され、
 前記基板の目盛りには、円周方向に流量の が対数で付されると共に、圧力の値も対数 流量と同一方向に付され、
 前記回転円板の外周に付された目盛りには 量調節弁のノブの回転数の値が付されると もに、流体の粘性係数の値が対数で付され
 所定の流体の流量を決定するに際し、前記 性係数の目盛りから流体に対応する値の目 りを選択し、これと流体の圧力の目盛が一 するように回転円板を回転させ、このとき 前記基板の所望とする流量の目盛の位置に 応する回転円板の流量調節弁のノブの回転 の値が、流量調節弁のノブの回転位置とし 直読できる流量調節弁のダイヤル位置決定 スケール。
(14) 上記回転円板の回転数の目盛は、下記式 (1)に従って設定され、かつバルブの理想特性 からの誤差に対応して、目盛間隔が補正され ている上記(13)の流量調節弁のダイヤル位置 定用スケール。
 Q=ρ×δP/R    式(1)
 [Q:流量[m 3 /s]、ρ:流体の粘性抵抗[Pa・s]、δP:抵抗要素出 入り口の差圧[Pa]、R:抵抗要素の抵抗]
(15) 流体の流量制御を行う流量調節弁のダイ ヤル位置決定に際し、
 必要な流量と、流体の粘性抵抗と、抵抗要 である流量調節弁の出入り口の差圧とから 抗要素の抵抗である流量調節弁のダイヤル 置として求めるプログラムであって、
 流量と、流体の粘性抵抗と、抵抗要素であ 流量調節弁の出入り口の差圧とを入力する とで下記の式(1)の計算を行い、抵抗要素の 抗に対応する流量調節弁のダイヤル位置の を出力する流量調節弁のダイヤル位置決定 プログラム。
 Q=ρ×δP/R    式(1)
 [Q:流量[m 3 /s]、ρ:流体の粘性抵抗[Pa・s]、δP:抵抗要素出 入り口の差圧[Pa]、R:抵抗要素の抵抗]
(16) 予め流量調節弁を校正するための校正デ ータを取得し、この校正データにより校正を 行ったデータによりダイヤル位置の値を出力 する上記(15)の流量調節弁のダイヤル位置決 用プログラム。
(17) 実測された任意のダイヤル位置での流量 調節弁の流量値を入力し、この流量値の粘性 抵抗を算出して前記粘性抵抗とする上記(15) たは(16)のダイヤル位置決定用プログラム。
(18) 上記(15)~(17)のいずれかのプログラムを記 憶した記憶媒体。
(19) 上記(15)~(17)のいずれかの流量調節弁のダ イヤル位置決定用プログラムを実行するプロ セッサーを備えた流量調節弁のダイヤル位置 決定用装置。
(20) 上記(1)の流量調節弁に用いられる上記(13 )または(14)のダイヤル位置決定用スケール。
(21) 上記(1)の流量調節弁に用いられる上記(15 )~(17)のいずれかのダイヤル位置決定用プログ ラム。

 本発明によれば、操作ノブの回転に従って 流量を広範囲にかつ単調に増加または減少 せることができ、内部磨耗が生じにくく、 た万一磨耗粉もしくは流体中の異物が流路 存在しても、著しい特性の劣化を生じない え、締め切りで確実に流量をゼロとするこ が可能な流量調節弁を提供することができ 。
 また、操作軸の回転が摺動軸に伝わらない うにしたので、内部磨耗が生じにくい。
 また、バルブ開度のどの位置でも、回転角 に対する流量変化率がほぼ一定になるよう 設計・製作できるので、流量設定が容易で る。
 また、非常に広い流量範囲を1つのバルブで 調節できるので、バルブの選定や管理が容易 である。
 さらに、市販の部品を用いることもできる で、安価に実現でき、保守上も便利である

 さらに、本発明によれば、スケールの回 円板を動かすという簡単な操作で、極めて 易に目標の流量が設定できる。また、流体 種類が変わっても、差圧が変っても容易に 応でき、適用範囲が広く、汎用性が高い。

 また、同様の操作をソフトウエアにより 効することで、さらに容易に流量設定を行 せることができ、しかも、流量調整弁に合 せた補正や流体の種類、温度、圧力差等に する設定もきめ細かく行わせることができ さらに高精度の流量設定を行わせることが きる。しかも、資源を浪費しないため環境 も貢献できるという利点がある。

本発明のテーパー溝を用いた流量調節 の動作原理を示す概略断面図である。 テーパー溝を用いた流量調節弁の断面 角形の溝の形状例を示す模式図である。 本発明の流量調節弁の第1の実施例を示 す構成縦断面図である。 連結部の内部構造図を示した一部断面 である。 本発明の流量調節弁の耐久試験後の流 特性を示すグラフである。 従来の流量調節弁の耐久試験前後の流 特性を示すグラフである。 溝が単独の場合と複数本の場合を数値 デルで検討した結果を示したグラフである 本発明の流量調節バルブのダイヤル回 数5-6の間でダイヤルを1/25回転づつ開けた時 の窒素ガス流量特性を示すグラフである。 本発明の流量調節バルブのダイヤル回 数10-11の間でダイヤルを1/25回転ずつ開けた の窒素ガス流量特性を示すグラフである。 本発明の流量調節バルブのダイヤル回 転数15-6の間でダイヤルを1/25回転ずつ開けた の窒素ガス流量特性を示すグラフである。 本発明サンプルのダイヤル回転数5回 目と10回転目を交互に移動したときの繰り返 し再現性を測定した窒素ガス流量特性を示す グラフである。 本発明のダイヤル位置決定用スケール の基本構成例を示す正面図である。 希望流量に対するダイヤル位置の算出 手順を示すフローチャートである バルブの校正作業の流れを示すフロー チャートである 本発明のソフトウエアを起動したとき に表示される主画面を示す図である。 本発明のソフトウエアの主画面におけ る計算結果を示した部分を示す図である。 従来の精密ニードル弁の概要を示す構 成断面図である 従来のニードルバルブの流量調節特性 を示すグラフである。

符号の説明

  1 基板
  2 回転円板
  3 流量目盛
  4 圧力目盛
  5 粘性係数目盛
  6 操作ノブダイヤル位置の目盛
  7 支軸
  8 代表的な流体の記号
  9 回転円板の支軸穴
 10 本体ボディ
 11,111 入口
 14,181 出口
 20 スリーブ
 21a,121a 摺動円筒面
 30 摺動軸
 33 テーパー溝
 40 移動機構
 41 連結部
 41c 子ねじ
 42 操作軸
 43 ねじ部
 63,64 締め切り用のO-リング
 65、165 O-リング
411 袋ナット

 本発明の流量調節弁は、互いに軸方向に 動可能に密着対向配置されて嵌合状態にあ 摺動軸および摺動円筒面と、前記摺動軸を 方向に移動させる移動機構とを有し、前記 動軸および摺動円筒面の少なくとも一方の 動面にはその特定流域が流体通路となる複 のテーパー溝が形成され、このテーパー溝 長さ方向、つまり流体通路の一端から他端 向に沿って流路抵抗が漸減または漸増する 状になっている。

 このように、流体の流量調節をテーパー により行うことで、広範囲に正確な流量調 を行うことができる。また、摺動軸および 動円筒面の材料を適当なものに選定し、か テーパー溝の形状を調整することで温度変 による誤差を極めて小さなものとすること できる。

 従来の可変絞りは、上記図17に示される うに丸穴にテーパ円筒棒を挿入して、円環 の隙間の大きさを少しずつ小さく変えて、 路抵抗を増加させている。これに対し、本 明の流量調節弁は、溝で構成される流路の 面の大きさを少しずつ小さくしている。円 状の摺動軸の外周面もしくは穴の内周面で る摺動円筒面に正三角形状などの溝を直線 るいはスパイラル状等として設け、前記外 面に密接する内径の穴である摺動円筒面に 入する。そして、溝の深さが漸増または漸 するように形成し、摺動軸および摺動円筒 の一方の一部の領域と他方の一部の領域と 密着・嵌合することで、その特定領域の溝 部分だけが流路になるようにしている。こ ため、摺動軸が動くことで特定領域が移動 、溝の流体抵抗が変化し、流量を調節する とができる。

 この溝は、必要とされる流体抵抗の変化 に従って任意に高精度で形成することがで 、加工も比較的容易である。また、溝の長 や大きさを任意に設定することで、可変範 や変化率も任意に、しかも広範囲に変化さ ることができる。このため、簡単な構造で 広範囲に高精度の流量調節を行うことがで る。テーパー溝は1本より多い、複数の本数 であれば特に限定されるものではないが、特 性の劣化を防止する観点からは3本以上が望 しい。しかし、あまり本数が増えすぎると 造コストが増大し、小型化が困難になり、 度が劣化するなどの弊害が生じる。このた 、通常の使用形態であれば5ないし6本以下が 好ましい。

 次に、図を参照しつつ本発明の構成につ て説明する。図1は本発明の流量調節弁の原 理を示す一部断面図である。図1において、 体はハウジング321の流体入口301から入り、 体出口302から出てゆく。テーパー溝が形成 れている摺動軸(以下「摺動軸」と呼ぶ)330は 、ハウジング321の内周面に設けられた縮径部 321aの摺動円筒面によって一部が閉塞され、 部が露出されている。

 摺動軸330の摺動部332の外周の摺動面は、 ウジング321の中央の縮径部321aの摺動円筒面 に密接した嵌合状態になっているため、入口 301から流入した流体は、摺動軸330のテーパー 溝333の中を通って、出口302から流出する。ガ イド部331を介して摺動軸330を軸方向に動かす ことによりテーパー溝333の三角溝の大きさが 変化し、結果として流路抵抗が変化するので 、流量を変化させることが可能になる。

 図2は三角形断面を持ち溝の深さが幾何級 数的に変化する流路の立体図である。図1の 333は図2のように深さが幾何級数的に変化す 正三角形の溝403が、円筒面に加工されたも である。流体は流体入口402から正三角形の 内に流入し、流体出口401から流出する。図1 の摺動軸330が軸方向に移動するにつれて、区 間404が移動し、流路抵抗が変化する。

 ハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の法 により、層流状態の円管内の流れでは流量 通常直径の4乗に比例して大きくなる。非円 形流路の場合にも、その流路形状に応じた「 水力学的相当直径」により、流量はその相当 直径の4乗に比例することが知られている(非 許文献1参照)。従って、三角溝の深さが10分 の1になると、流量は10のマイナス4乗すなわ 1万分の1に小さくなる。三角形の溝の深さを 指数関数的に減少させて軸の外周に成形する ことにより、指数関数的に流量を少なくする ことが可能である。

 例えば溝の深さが平均1.5mmの区間と溝の さが平均で10分の1の0.15mmの区間での流量を えると、深さが10分の1になることから、流 は10000の1になる。つまり、溝の深さが平均1. 5mmの区間で流量が1L/minの条件の場合、溝の深 さが0.15mmの区間では、0.1mL/minということにな る。正確には、指数関数になっている区間に つき、三角形の流路の管路抵抗で積分計算を 行って計算する必要がある。

 ここで、ハーゲン・ポアズイユの法則を用 た流体抵抗の求め方についてより詳細に説 する。なお、ハーゲン・ポアズイユの式は 一般的な流体工学の教科書等に記載されて るので、詳細についてはそれらを参照され い。ここで、半径r、長さLの円管内を粘性 数μの流体が差圧δpで流れるときの、層流状 態の流量Qは、下記(1)のハーゲン・ポアズイ の式で表され、流路の抵抗Rは(2)式になる。
 Q=Rδp              (1)
 R=8μL/πr 4            (2)

 次に、流路の形状が1辺の長さaの正三角 の場合について考察する。三角形の流路に ける流量は、デンマーク大学(Technical Universi ty of Denmark)マイクロ&ナノテクノロジー学 部(MIC : Department of Micro and Nanotechnology)Dr.  Henric Bruusの"Lecture notes second edition, fall 200 5, TheoreticaL microfluidics", p35(非特許文献2)の クション2.4.4において、Fig2.6(c)に示される断 面三角形の流路について検討されている。こ のセクションで示されている流量(flow rate)Q 求める式2.37から上記に従って流路抵抗Rを求 めると下記式(3)式が導き出される。

              (3)
ここで、正三角形の高さをhとすると、

               (4)
(3) (4)式より、高さの正三角形流路の抵抗は 式になる。

             (5)

 次に、長手方向に深さが漸減する場合の流 抵抗を求める。
 正三角形溝の深さが、長手方向に指数関数 に漸減する場合を考えた場合、L=xとすると 溝の深さは次式で表される。

             (6)
 (5)、(6)式から、長手方向のある微小区間で 抵抗は

                 (7)
 となり、長手方向に、区間x-Lからxまでの抵 抗は、上式を積分すると、

                (8)
となる。

 この(8)式は、長手方向に深さが漸減する 面形状が正三角形で全長がLの流路に、粘性 係数がμの流体が流れたときの、流体の流体 抗を求める計算式である。この式から、流 長Lや流体のμと流体抵抗・流量との関係を 出できる。

 このように、テーパー溝の断面形状は上 式に従って求めることができるが、実際に を形成したモデルで検証したデータ等を基 溝形状を決定してもよい。溝の断面形状を 体的にどのようなものにするかは、求めら る流量調節弁の性能や、仕様、仕様環境、 体の種類などにより最適なものに調整すれ よい。

 本発明ではテーパー溝の一部の領域が流 を構成するように摺動軸および摺動円筒面 長さを決定する。つまり、摺動軸が摺動円 面を摺動することで、摺動軸と摺動円筒面 密着している部分の領域が変化し、この部 にある特定領域のテーパー溝だけが流路と る。そして、この特定領域の溝部分が変化 ると流体抵抗も変化するので流量が調節さ る。つまり、溝の特定位置には特定の流体 抗が対応するので、流路を構成する溝の位 を変えれば流体抵抗も変化する。

 摺動軸と摺動円筒面が密着嵌合する領域 、図1のように一方が他方に対して短くなる ようにして他方の一部分だけに密着・嵌合す るようにしてもよいし、入れ子状に端部同士 が密着・嵌合する状態から徐々に全体が密着 ・嵌合する状態に移行するような構造でもよ い。ここで、”密着・嵌合”とは、円筒状な いし円柱状の摺動軸の外周面が円筒状のハウ ジング内周面である摺動円筒面に隙間なく密 接して、テーパー溝以外に流体の流路が存在 できない領域をいう。従って、溝全体の流体 抵抗を決定する部分は、摺動軸が摺動円筒面 と密着・嵌合している領域から密着・嵌合し ていない部分に移行する開放端に相当する部 分のうち、流体抵抗が大きい側である。摺動 軸および摺動円筒面の大きさや長さも、形成 する溝や流量調節弁の性能や、仕様、使用環 境、流体の種類などにより最適なものに調整 すればよい。

 テーパー溝の断面形状は、上記例に限ら 何れの形状も選択することができる。つま 、上記式などに従い流体抵抗が漸増または 減することが可能な形状であれば、四角形 三角形、あるいは半円形など、どのような 状でもよい。しかしながら、加工の容易性 流体抵抗を算出する作業の容易性を考慮す と、上記のような正三角形が最も好ましい また、テーパー溝を長手方向、つまり流路 一端から他端までをどのような形状で形成 るかも任意でよく、直線状でもスパイラル でも、ジグザグや蛇行したような形態でも い。主にコストや目詰まり防止の観点から 直線状が好ましく、調整範囲を広くとりた 場合にはスパイラル状など湾曲したリ、蛇 した形状が好ましい。スパイラルは、この でも加工が容易な形状として推奨される。 た、摺動軸と摺動円筒面に雄ねじと雌ねじ 形成し、このねじの一部、例えば雄ねじの じ山の一部を除去することで、雌ねじの谷 溝を構成するようにしてもよい。

 摺動軸および摺動円筒面の材質としては 特に限定されるものではなく、流量調節弁 通常使用されている材料を使用すればよい また、求められる流量調節弁の性能や、仕 、仕様環境、流体の種類などにより最適な のにすればよい。耐薬品性や加工のし易さ 温度特性などの観点からは、フッ化エチレ 樹脂、ナイロン樹脂等も好ましく、特にナ ロン66、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化 チレン樹脂が好適に用いられる。また、本 ボディや操作軸などの構成材料は真鍮、ス ンレス鋼等の金属で構成してもよい。

 本発明の流量調節弁は、材料や溝構造の 定により、積極的な温度補正を行わせるこ ができる。気体の粘度は温度上昇に伴って 加し、気体の流量抵抗が大となる。このた 、温度上昇に伴って流体調節弁を流れる気 の流量が減少する。一方、温度上昇したと に、流体通路の長さを短尺化し気体の流量 抗が小さくなるようにすれば、気体の流量 増加することができる。

 また、液体の粘度は温度上昇に伴って減 し、液体の流量抵抗が小となる。このため 温度上昇に伴って流体調節弁を流れる液体 流量が増加する。一方、温度上昇したとき 、液体通路の長さを長尺化し液体の流量抵 が大きくなるようにすれば、液体の流量を 少することができる。

 このように、気体と液体の粘度が温度変 に対して反対の性質を持っているが、逆向 の補正動作を適宜行わせることにより、温 変化があっても流量が変化しない流量調節 を得ることが可能である。

 すなわち、溝の形状を、温度変化により 溝の流体通路の区間(位置)が変化すること よる流量変化量と流体の粘性抵抗が変化す ことによる流量変化量とが打ち消し合うよ に設定すればよい。溝の流体通路の長さが 定のままでも、抵抗要素になる区間(位置)を 変化させれば、溝の深さが変化するので流量 抵抗を変えることができる。このようにした 場合には流量の温度依存性をなくす効果が得 られる。

 具体的には、テーパー溝の横断面形状を、 手方向に沿って深さが指数関数的に漸減す 正三角形とした場合、摺動軸を移動させる 動機構の駆動軸ないし操作軸を金属などで 成し、摺動円筒面を有するスリ-ブや本体ボ ディを構成する材料を樹脂材料で構成すると 両者の間に熱膨張係数の差が生じる。例えば 、真鍮とナイロン樹脂との熱膨張係数の差は 7×10 -5 /℃である。また、空気の粘性係数μは、摂氏 0度から摂氏100度に温度上昇すると、1.73倍に る。上記式から、粘性係数が1.73倍に増える と、流量は1.73分の1に減少する。一方、摂氏0 度から摂氏100度に温度上昇すると、流体通路 の部分での操作軸とハウジングの相対的な位 置ずれ量が生じる。このとき、テーパー溝に よる流体通路は相対的に移動し、流路での流 体抵抗は減少する。こうして、粘性係数の増 加分を打ち消すような溝の形状を設定するこ とで温度補償が行われる。

 流量の温度補償は、ハウジングと移動機 の操作軸の各熱膨張による長手方向の変位 を利用しているが、テーパー溝を有す摺動 筒面の外面に接する部分、すなわち摺動軸 、このテーパー溝を設けた部分である摺動 筒面部分、すなわちハウジングとは同じ熱 張係数の材料で構成することが好ましい。 た、本体ボディの材料が異なる場合には補 スリーブを設けてもよい。こうすることに って、両者の隙間が径方向に広がって流量 大きく変化したり、同隙間が径方向に減少 すぎて操作軸が動かなくなること等を防止 きる。

 次に、本発明の応用例として、流体の粘 係数が未知の場合における1点校正による特 定流量でのダイヤル位置決定の手法について 説明する。

 粘性係数が未知の流体や、混合ガス等2種 以上の流体の混合物等において、粘性係数を 計算で求める煩雑さを回避したい場合がある 。このようなとき、ある圧力条件のもとで、 あるダイヤル回転位置での流量を測定するこ とによって、そのダイヤル位置に測定した流 量を、導きだし「1点校正」することにより ダイヤルの回転位置を決定することが可能 ある。

 圧力条件と粘性のどちらか、または両方 も未知の場合でも、あるダイヤル回転数の 置での流量が分かれば、差圧と流体の粘性 数が変化しない限り、それ以外のバルブの イヤル位置での流量は比例関係にあり、一 的に決まるからである。このような「1点校 正」の手法により、ある狭い範囲の流量計し か持ち合わせていない場合でも、その流量計 の測定範囲以外の範囲の流量でも、使用した 流量計と「同程度」の誤差で流量を設定する ことが可能となる。

 温度、圧力によって、粘性係数が変化す ことがあっても、上記の「1点校正」の手法 を用いるにより、どんな流体でも、流れが粘 性流である限り、広範囲な流量が設定可能で ある。1点校正した流量の精度に応じて見込 れる精度により、広範囲な流量の設定が可 となるのである。

 広い範囲の流量を高精度で設定したい時 は、マスフローメータの精度がよいフルス ール付近で流量を測定し、ダイヤル位置を 定することにより、圧力・温度を大幅に変 ない限りマスフローでは測定できない微少 量まで、ダイヤル位置で流量を設定するこ が可能である。

 次に、上記の流量調節弁に好適に使用で 、その他の流量調節弁にも適用可能で、流 調節弁のダイヤル位置を容易に決定可能な 量調節弁のダイヤル位置決定用スケール、 ログラム等について説明する。

 ダイヤル位置決定用スケールは、例えば 12に示すように矩形状の基板1の上に円形の 転板2を重ねその中心点で回転可能に連結し ている。そして上記基板1上の円周方向に流 の値3と圧力の値4を対数目盛で反時計方向に 増加するように付している。この目盛りは、 前記回転板より僅かに大きな半径を有するよ うに形成され、回転円板を重ねたときに、そ の外周に目盛りが配置されるようになってい る。また上記回転板2には、操作ノブのダイ ル位置の値を、流量とノブ回転数のデータ もとに流量に合致するような位置に目盛付 を施して反時計方向に増加するように付し いる。さらに、この回転円板2には、流体の 類の記号8が付属する流体の粘性抵抗の値5 対数目盛で反時計方向増加するように付し いる。

 このような構成の流量調節弁のダイヤル 置決定用スケールを用いることで、操作ノ にダイヤル目盛の付いた流量調節弁を使用 て目標値の流量を流そうとする場合、流す 体の粘性係数の値と、流した状態での調節 の出入り口の差圧の値とを、スケールの基 と回転円板目盛り位置で特定し、この位置 回転円板の目盛を合わせ、目標流量の位置 ダイヤルの回転位置を読み取り、その位置 でダイヤルを回転操作するという簡単な操 で、容易に所望の流量のダイヤル位置が得 れるようになる。

 つまり、使用者は先ず流体の種類と温度 よって決まる粘性抵抗の値5を、使用してい る圧力値の目盛4の位置に合わせ、次に、目 流量の位置を流量目盛り5から探し、その位 での操作ノブの回転数6を読み取り、流量調 節弁のノブを回転操作して目盛をその位置に 合わすことによって、目標の流量を流すこと ができる。

 このため、流体の種類が、空気、N 2  ガス、アルゴンガスなどと異なる場合でも 最初に粘性係数目盛5を圧力値4に合わせば 目標流量のノブのダイヤル位置を知ること できる。粘性係数の値は、冷媒に用いられ クロロフルオロカーボンガスや、多くの炭 水素ガスでも、専門書などに詳述されてい ので、非常に多くの種類のガスの流量設定 行うことが可能である。また、仕様頻度の い流体の種類に関しては、予め目盛りに表 しておくことで、作業効率が格段に向上す 。

 本発明の流量調節弁のダイヤル位置決定 スケールは、紙、樹脂材料により形成され フィルム、板状体、金属板など印刷、刻印 可能で所定の強度を有する種々の材料を用 ることができる。また、基板においては矩 の他、円形、楕円形、長方形、任意の多角 、曲線を有する任意の形状など種々の形状 することができる。基板の目盛りや回転板 目盛りは、印刷や刻印などで形成され、両 が重ならないように同心円状に対向するよ に形成配置されている。基板目盛りの流量 圧力の範囲の割合は特に限定されるもので ないが、流量:圧力の円弧の範囲の比で8:2~6: 4程度である。また、回転円板のダイヤル位 と粘性の目盛りの範囲の比は、特に限定さ るものではないがダイヤル位置:粘性の円弧 範囲の比で7:3~9:1程度である。

 本発明の流量調節弁のダイヤル位置決定 スケールに用いられている各種パラメータ 、流体流量値、流体圧力値、操作ノブのダ ヤル位置の値、流体の粘性抵抗の値やその 囲は、特に限定されるものではなく、使用 る流体や、流量調節弁の仕様、性能等に併 て最適なもにすればよい。各パラメータの 盛りの関係は、好ましくは上記式(1)に従っ 設定される。各パラメータの目盛りの位置 範囲は、使用する流体の種類などから上記 関数などを用いて導き出してもよいし、実 した値を基に決めてもよい。また、使用す 流体も前記のガスに限定されることなく他 ガスや、水、薬液、有機溶媒などの液体等 任意の流体を用いることができる。

 本発明では上記のようなスケールを用い ことなく、ソフトウエアで同様な操作を行 せてもよい。具体的には、上記式(1)の各種 ラメータを入力してこれを式(1)に従って計 させればよい。このとき、抵抗要素の抵抗R が、操作ノブのダイヤル位置になるので、予 め使用する流量調節弁の抵抗要素を、上記ス ケールで求めたのと同様の手法で流量とノブ 回転数のデータをもとに、流量に対応するよ うなデータとして求めればよい。つまり、式 (1)のRとノブのダイヤル位置とを対応させる ータベース、テーブルを作成し、あとは式(1 )に従ってパラメータを入力させて計算すれ よい。

 このようなソフトウエアを有するダイヤ 位置決定装置としては、ウインドウズ等の 般的なOSが作動することのできるプロセッ ーを備えたパソコン(PC)に上記のような計算 ログラムを導入することで容易に実現でき 。また、このようなプログラムは、FD、MD、 HD等の通常用いられている磁気ディスクや、C D、DVD等の光学ディスク、フラッシュメモリ どの半導体メモリ等、一般的な記録媒体に 憶させて頒布したり、販売したりして、容 に他のPCに移植することができる。さらに、 インターネット、イーサーネット、無線通信 等の通信手段により、頒布、販売してもよい 。

 さらに、メーカで流量調節弁を校正し、 のデータをソフトウエアに添付させること より精度の高い流量設定を行わせることも きる。すなわち、流量調節弁を校正する際 例えば気体の場合は窒素ガス、液体の場合 純水で校正する。そして、校正データファ ルとして、例えば“csvファイル”等の特定 ータファイルを作成し、これを上記計算ソ トに添付したり、後から頒布して読み込ま るようにすればよい。このような“csvファ ル”はEXCELファイルからcsvファイル出力メ ューで容易に得ることができる。“csvファ ル”はASCIIファイルであるので人間が読むこ とができ、メンテナンスやチェックにも便利 である。

 また、本発明のプログラムは、ゲージと なり紙、樹脂等の構成材料を必要とせず、 極的にはプログラムに関する情報をPC等の 効装置に導入するだけでダイヤル位置決定 作を行うことができるので、資源の節約に 貢献でき、地球環境にも優しい。

 また、本発明のダイヤルゲージ、プログ ムにおいても、流体の粘性係数が未知の場 における上記の1点校正による特定流量での ダイヤル位置決定の手法を用いることができ る。

 例えば、ダイヤルゲージを用いた場合、 る圧力条件のもとで、流量調節弁のあるダ ヤル回転位置での流量を測定し、そのダイ ル位置と測定した流量を回転円板を回させ 一致させることで、上記同様1点校正するこ とができる。

 同様に、プログラム方式の場合にも、予 、バルブ開度と流量の関係は記録媒体に記 されているので、上記のような1点校正が可 能で、使用者は、1点で正確に流量が測定で れば、あとはこのプログラムにより、希望 流量を流すための、ダイヤル回転位置を知 ことが可能である。

 本発明のゲージやソフトウエア、装置を 用する上で、上記のような流量調節弁を用 ることが好ましい。この流量調節弁はバル の操作角度に対する流量の変化率が全域で 定になることを目標に設計された、いわゆ 「イーコールパーセント特性」のバルブで る。そして、完全にこの特性が実現されて れば、ノブの回転角度は常に一定間隔目盛 よいはずである。なお、実際にはこの理想 性とのズレを生じる場合があるが、ズレを 正するように、ゲージの操作ノブ回転目盛 間隔を補正したり、校正データをソフトウ アに読み込ませて補正することで高い精度 確保することができる。

 本発明は、上記構成の流量調節弁に好ま く適用することができるが、これに限定さ るものではなく、通常用いられている流量 節弁に応用することも可能である。また、 量調節弁の操作ノブに、回転数と1回転以内 の位置とを表示可能なアナログ、あるいはデ ジタルのダイヤルゲージを取り付けてもよい 。

 次に、本発明のより具体的な実施の形態 ついて図面を参照しつつ詳細に説明する。

 図3は本発明の実施の形態に係る流量調節 弁の第1の実施例の構成を示す縦断面図であ 。この流量調節弁は、本体ボディ10、スリー ブ20、摺動軸30、移動機構40、ノブ50およびOリ ング61~65等から構成されている。

 ノブ50は流量調節弁の流量を調整する際 操作するもので、移動機構40の操作軸42に固 されている。移動機構40は、ノブ50により軸 を回転させることにより摺動軸30を軸方向に 動させる操作軸42と、操作軸42の回転が伝わ らないように操作軸42と摺動軸30を連結する 結部41とから構成される。操作軸42は、その じ部43を介して本体ボディ10のねじ部10aと螺 合される。

 連結部41は、図4に示すように、袋ナット4 1a、座金41b、子ねじ41c、長ナット41dおよび接 剤41eからなり、操作軸42の回転が摺動軸30に 伝わらないように操作軸42とテーパー溝付摺 軸30とを連結する。操作軸42と袋ナット41aと はねじ部が接着されるなどして互いに回転で きないように固定される。なお、この連結部 41は操作軸42の回転トルクが摺動軸30に伝わら ないように操作軸42とテーパー溝付摺動軸30 を連結する構造であれば、図示例に限定さ ることなく他の周知な機械構造を用いてよ 。

 子ねじ41cは袋ナット41a内に頭が保持され 袋ナット41aの貫通穴を介して足が41dの長ナ ト41dに螺合された上で接着されており、さ に長ナット41dは、摺動軸30のねじ穴に圧入 れ、接着剤41eで固定されている。子ねじ41c 頭と袋ナット41a間、および袋ナット41aと長 ット41dの間の部分には、フッ化エチレン樹 などの摩擦抵抗の小さい座金41bが挟まれて り、操作軸42の回転に伴う袋ナット41aの回転 が子ねじ41cに伝達され難くしている。なお、 これらの部材の一部を省略することも可能で ある。

 摺動軸30は、図3に示されるガイド部31、 動部32、テーパー溝33および保持部34から構 される。ガイド部31は上部の長ナット41dのね じ穴を介して子ねじ41cと接続され、外周部に 2つのO-リング溝が設けられ、外周部が本体ボ ディ10の内側の面に沿って軸方向に移動可能 なっている。

 上記2つのO-リング溝には摺動軸シール用O -リング61,62が取り付けられ、中央部の段付き 部に締切り用O-リング63が装着される。摺動 32には、外周部に流体通路を形成する深さが 長さ方向に沿って漸減又は漸増し、並行した 複数本の溝からなるテーパー溝33が形成され いる。摺動部32に続く、摺動軸30の先端付近 には締切用O-リング64を取り付けるための保 部34が設けられている。

 スリーブ20は、円筒形状の一端(上部)が開 口し、他端(底部)が閉じた形状となっており 摺動軸30と反対の方向、すなわち下方から 体ボディ10の内側に取り付けられ、スリーブ 円筒部21の内周に形成された摺動円筒面21aが 摺動軸30と互いに軸方向に摺動可能に嵌合 れる。

 スリーブ20の長手方向中央部の外径部分 は、O-リング溝が設けられ、該O-リング溝内 O-リング65が設けられて、本体ボディ10の内 面でシールすることにより、流体が入口側 ら出口側へリークすることを防止する。ス ーブ20の中央部下方のスリーブ穴底部23の段 穴部分には、テーパー溝33により形成される 体通路から流れてきた流体を本体ボディ10 出口14に導くために、外径から半径方向にス リーブ出口穴24が設けられている。

 ここで、テーパー溝33により形成される 体通路とは、テーパー溝33の全長のうち、ス リーブ20の先端側の摺動円筒面21aが摺動軸30 摺動部32と嵌合した部分(図1の縮径部321aに相 当)によりテーパー溝33の開口面が閉塞されて いる部分をいう。

 また、スリーブ円筒部21の外周面と本体 ディ10の内周面の間には、本体ボディ10の入 11から流入して入口底穴12を経由した流体を 、テーパー溝33により形成される前記流体通 に導くための流路空間が形成されている。

 次に、図3の流量調節弁の動作について説 明する。本体ボディ10の流体入口11から流入 た流体は、入口底穴12および、スリーブ円筒 部21の外周面と本体ボディ10の内周面の間の 路空間を通り、3本の溝からなるテーパー溝3 3により形成される流体通路の部分を通過し スリーブ穴底部23およびスリーブ出口穴24を 由した後、流体出口14から外部に流出する ノブ50を正転あるいは逆転することにより、 摺動軸30を本体ボディ10に対して軸方向に往 移動させることにより、テーパー溝33の大き さを変化させて、流量を調節する。

 ノブ50を持って操作軸42を回転すると、操 作軸42と共に摺動軸30が図面垂直方向である 手方向に移動し、テーパー溝33を持つ摺動部 30の外面がスリーブ20の摺動円筒面21aの縮径 に沿って摺動する。操作軸42を回転したとき 、摺動軸30は追従して回転することなく、長 方向に移動するが、その動作の詳細を次に す。

 ノブ50と摺動軸30の間にはノブ50の回転を 動軸30に伝達しないようにするための、連 部41を介在させている。ノブ50の回転操作を うと、操作軸42は操作軸ねじ部43と本体ボデ ィ10のねじ部を介してねじ結合しているため 本体ボディ10に対して前進・後退をし、こ に伴い摺動軸30を前進・後退させるが、操作 軸42の回転動作は、連結部41でトルクが伝達 れないので、O-リング61,62の摩擦抵抗などに り、摺動軸30は回転せずに前進・後退を行 。

 以上の結果、摺動軸30の外周とスリーブ 筒部21の摺動円筒面との間の摩擦距離は、回 転方向が無くなり、前進・後退動作だけにな るので、大幅に少なくなる。例えば直径8mmで 1回転のπ・d=3.14x8≒25mmからねじのピッチ=0.8mm へと大幅に減少し、約31分の1になる。このこ とにより、磨耗は劇的に減少する。

 ところで、流量調節バルブは締め切りの 態では流量がゼロになることが望ましい。 のため、摺動軸は締め切り用のシール部材 有することが好ましい。具体的には、図3に 示すように、摺動軸30はその先端部にO-リン 64を、中央部の段付き部にO-リング63を装着 ており、それぞれがバルブ締め切り状態で スリーブの底とスリーブの上端の2箇所でシ ルを機能するようになっている。すなわち 締め切りの状態で2重シールを実現している ので、完全な流量ゼロを実現することができ る。

 また、図1の流量調節弁では、テーパー溝 33により形成される流体通路は流体入口から 体出口に向かって徐々に三角溝の大きさが きくなるので、流体中の異物が流体通路内 詰まりにくい構造となっている。なお、上 の実施例では溝の数が3本の場合を示したが 、これに限らず、任意の複数本の溝を設ける ことができる。

 また、これら2箇所のO-リング63,64は、ど らか1方を省略しても良好な締め切り機能を つので、1個とすることも可能である。

 上記の図3に示すような構造で溝の数を3 とし、ノブの回転が摺動軸に伝達されない 量調節バルブを作成した。この流量調節弁 、供給圧力10KPa(サンプルd1)、供給圧力100kPa( ンプルd2)、供給圧力600kPa(サンプルd3)におい て、バルブ締め切りから全開までの操作を10 繰り返し行う耐久試験を行った後、ノブ回 数と流量の特性を測定した。結果を図5に示 す。また、比較サンプルとして溝が1本で回 トルクを伝達しない連結部が無い流量調節 を作成し、供給圧力を100KPaとした以外は同 の試験を行い、初期特性サンプルc1と耐久試 験後の特性サンプルc2を測定した。結果を図6 に示す。

 図5から明らかなように、本発明サンプル d1-d3は、何れの圧力条件下でも、ノブを多数 転する繰り返し試験によっては、ほとんど 量特性が変化していない(初期特性は省略し ている)。これに対し、図6の比較サンプルで 、耐久試験後のサンプルc2に異物が溝に付 して、流量特性が階段状になってしまって ることがわかる。以上の結果から、本発明 流量調節弁によれば、テーパー溝が複数本 溝から構成されているので、万一磨耗粉又 流体中の異物が流路に存在しても、著しい 性の劣化を生じないことがわかる。

 これは、1つにはバルブ内の摺動磨耗によ る微細粉の発生が、連結部に回転トルクを伝 達しない構造を採用することで、摺動を少な くすることにより、劇的に低減させることが できたことによるものと推測される。したが って、長期の使用においても、磨耗の発生に よる流量特性の劣化を防止することができる ことがわかる。

 さらに、本発明の流量調節バルブの供給 力100kPaにおけるダイヤル回転数5-6、ダイヤ 回転数10-11、およびダイヤル回転数15-16の間 でダイヤルを1/25回転づつ開けた時の窒素ガ 流量特性を、それぞれ図8,9,10に示す。さら 、同圧力条件下で、ダイヤル回転数5回転目 10回転目を交互に移動したときの繰り返し 現性を測定した窒素ガス流量特性を図11に示 す。

 図8,9,10から明らかなように、何れのダイ ル回転数の位置でも、ダイヤル回転と窒素 量とは、略直線状に近い特性を示している とがわかる。また、図11からは繰り返し試 を19回程度行った場合でも安定した特性を維 持していることがわかる。

 上記の実施例に示したバルブは、いわゆ 「イコールパーセント」特性を示し、バル 開度のどの位置でも、回転角度に対する流 変化率がほぼ一定になるように設計・製作 れているので、流量設定が容易である。ま 、非常に広い流量範囲を1つのバルブで調節 できるので、バルブの選定や管理が容易であ る。

 また、流量が広範囲にかつ単調に増加ま は減少するのでバルブの操作が容易である また、操作軸の回転が摺動軸に伝わらない うにしたので、内部磨耗が生じにくい。ま 、テーパー溝が複数本の溝から構成されて るので、万一磨耗粉もしくは流体中の異物 流路に存在しても、著しい特性の劣化を生 ない。

 また、市販の部品、例えばノブや本体、 イヤルゲージなど市販の弁部材の一部を用 るこで、部品コストを安価にすることもで 、保守上も便利である。

 なお、実施例1と実施例2ではノブ50を回転 操作することにより摺動軸30を摺動円筒部21,1 21の摺動円筒面21a,121aに対してそれぞれ移動 せているが、本発明における摺動軸移動機 は、これに限定されるものではない。図示 省略したが、操作軸42をスリーブ円筒部21の 動円筒面21aに対して摺動可能に支持し、エ シリンダや電動モータ駆動等によるリニア クチュエータ等の外部の往復駆動装置によ 操作軸42を軸方向に往復動させるような構 も含む。

 また、上記の各実施例では溝の数が3本の 場合を示したが、これに限らず、1つより多 任意の複数本の溝を設けることができる。 た、上記の各実施例では溝が三角形断面を つ場合を示したが、これに限らず、任意の 形状をとることができる。

 また、連結部の構成は実施例の構成に限 されず、操作軸の回転が摺動軸に伝達され いようにする、任意の構成手段を用いるこ ができる。また、摺動軸30の摺動軸シール O-リングは2箇所に限らず、必要に応じて任 の数用いることができる。

 図12は本発明のダイヤル位置決定用スケ ルの一実施例を示す平面図である。図に示 れる、ダイヤル位置決定用スケールは、矩 な紙や樹脂等で形成された基板1と、円形の や樹脂等で形成された回転円板2を有する。 この基板1と回転円板2はその中心点位置の穴 カシメ軸,ハトメ軸等の支軸7を挿通するこ により回転可能に連結されている。なお、 示例では基板の外形についての記載を省略 ている。

 この実施例では、空気、N 2  ガス、アルゴンガスなど、ガスの流量を、 力10kPa前後の5~20kPaの範囲で調節できるよう したダイヤル位置決定用スケールについて 明する。また、この実施例では、調節可能 量範囲が0.1mL/min以下~10L/min以上の10の5乗倍 上の非常に広い流量範囲を調節できる流量 節弁についての例を示しているが、より調 範囲の狭い調節弁の場合でも、本発明を適 することは可能である。

 前記基板1には、円形の目盛りが形成され ている。この円形の目盛りは、円周の外周側 に反時計方向にそれぞれ対数で、設定目標流 量値3と、流量調節弁の入り口と出口の差圧 値4とが記載されている。

 前記回転円板2には、粘性抵抗5が対数目 で記載されており、また、流量調節弁のノ の回転数を示すダイヤル目盛の値6が記載さ ている。この回転円板の回転数の目盛は、 ルブの理想特性からの誤差を補正するため 目盛間隔を補正するように設定することが きるようになっている。

 この実施例の流量調節バルブは、好まし はバルブの操作角度に対する流量の変化率 全域で一定になることを目標に設計された いわゆる「イーコールパーセント特性」の ルブを用いる。このようなバルブは、完全 この特性が実現されていれば、ノブの回転 度は常に一定間隔目盛でよいはずであるが 実際にはこの理想特性とのズレを生じるた 、ズレを補正するように、この操作ノブ回 目盛の間隔を補正している。

 次に、本発明によるダイヤル位置決定用 ケールを用いて、使用者が実際に操作する 例を示す。一例として、アルゴンガスを100m L流したい場合を想定して説明する。この場 、アルゴンガスのボンベ出口のレギュレー を0.3MPa程度に設定し、次に流量設定弁の入 口前に取り付けたレギュレータの圧力を、10 kPaに設定する。そして、回転スケールの下側 にある、粘性係数のスケール8のアルゴンガ (Ar)の位置が、その外側の基板にある圧力目 4の10kPa(図1に矢印で示す)の位置に一致する うに、回転円板を回転する。

 次いで、基板1の流量のスケール3におい 、目標流量である100mL/minの目盛り位置を探 、その目盛り位置での内側にある回転円板 ダイヤル回転位置目盛6の回転数の数値を読 取る。いま、図1において、前記目標流量100 mL/minの目盛り位置は、時計位置で午前10時付 の短針の位置にあり、その内側にあるダイ ルの回転数の目盛6を読み取ると、15回転と1 6回転の中間になる。そこで、このダイヤル 盛りの中間にある、0.2回転刻みの補助目盛 ら小数点以下の回転数を読み取ると、この きのノブのダイヤル位置は約15.5回転と読取 る。

 そこで、流量調節弁に取り付けられてい ダイヤルノブを回して、このダイヤル位置 合わせることにより、アルゴンガスを100mL/m in流すことが可能になる。

 この実施例では、回転方向は、反時計周 に大きくなるようにしているが、これを時 回りとし、それに従って他の目盛を反対方 にしたものでもよい。また、スケールの位 関係で圧力目盛4を回転円板側にし、粘性抵 抗の目盛5を基板側にしてもよい。また基板 形状は本明細書では矩形としているが、円 や任意の形状など用途、材質、機能などに り形状はいかなるものであってもかまわな 。

 実施例1で作成したスケールに倣い、式(1) の計算に基づきダイヤル回転位置目盛を導き 出すソフトウエアを作成した。ソフトウエア は、C言語、ビジュアルベーシック等一般に いられているものとし、ここではC言語を用 た。操作画面や処理の流れも通常この種の フトで行われている手法に倣って作成した

 次に、希望流量に対するダイヤル位置の 出手順について説明する。図13は希望流量 対するダイヤル位置の算出手順を示すフロ チャートである。

 まず、バルブの使用環境のデータを入力 る。通常、バルブ使用環境としては、流体 類、温度および圧力を指定する。なお、流 種類と温度から粘性係数が定まるので、こ 実施例ではバルブ環境環境の設定を粘性係 (M2)と圧力(P2)の2つのパラメータを入力する とにより行った(S1)。

 次に、校正データベースから校正データを み込み(A)、ハーゲンポアズイユの式から実 のバルブ使用環境でのダイヤル位置(D)に対 る流量(Q2)のデータを作成した。実際の算出 方法としては、以下の演算を行った。
 Q2=(P2/P1)(M1/M2)Q1
得られたデータから使用データベースを作成 した(S2)。

 得られた使用データベースを流量を対数化 た対数化流量(log(Q2))のデータベースに変換 た。
 D->log(Q2)
 これは、実際のダイヤル位置(D)と流量との 係が対数化した数値に比例するからである( S3)。

 次いで、希望する流量Q sを入力すると、得 られた対数化流量(log(Q2))のデータベースから 希望する流量(Q s)に対応するダイヤル位置(D s)が算出される。本発明で好ましく用いられ る流量調節弁を使用する場合、流量の対数値 がダイヤル位置に比例するので、線形補完を 使用することで流量(Q s)に対応するダイヤル 位置(D s)が算出できる(S5)。
 D s<-Q s

 得られた流量(Q s)に対応するダイヤル位 (D s)データをディスプレイ画面に表示する プリンタ、その他の出力装置に出力するこ で一連の作業が終了する(S6)。

 次に、流量調節弁(以下バルブと略記する )のダイヤル位置算出に先立ち行われるバル 校正環境でのバルブの校正作業について説 する。図14は、このような校正作業の流れを 示すフローチャートである。

 通常、バルブ校正環境としては、流体種 、温度および圧力を指定する。なお、流体 類と温度から粘性係数が定まるので、この 施例ではバルブ校正環境の設定を粘性係数( M1)と圧力(P1)の2つのパラメータを入力するこ により行った。バルブ校正環境の設定は、 記粘性係数(M1)と圧力(P1)に限定されるもの はなく、流体種類や温度で規定してもよく さらに他のパラメータを導入してもよい。 定されたバルブ校正環境におけるバルブの ダイヤル位置(D)に対する流量(Q1)を測定する( S1)。

 流量を測定するダイヤル位置やデータ数 任意であり、使用するバルブの精度や、要 されるデータの精度、使用する流体の種類 予想される変動幅などにより最適なデータ 得られるようにすればよい。通常、少なく も各ダイヤル目盛り位置で測定してデータ 取得すればよい。

 得られた測定データを基に、各ダイヤル 置(D)に対する流量(Q1)のデータベースを作成 した(S12)。そして、作成したデータベースを 定の記憶領域に格納した(S13)。これにより 正データベースが準備された。

 得られた計算ソフトをウインドウズが動 可能な汎用のPCにインストールし、このソ トを起動させて初期設定を行った。ソフト エアの初期設定として、校正ファイルを入 した。この校正ファイルは、メーカでバル を校正した際に作成したものである。校正 気体の場合は窒素ガス、液体の場合は純水 行われた。校正データファイルとして、“cs vファイル”が用いられた。

 まず、プログラムを起動させると図15に すような主画面が表示される。このとき、 正データは任意の値が入力されているので 規のデータを入力する必要がある。そこで 校正データ変更ボタンをクリックして校正 ータを読み込ませる。すると、校正データ ”圧力”、”温度”、”粘性”に適正な数 が表示される。

 また、初期設定として、左欄の定義ガス 未定義ガス、水、水以外、1点校正のいずれ かを選択する。次いで、主画面から、メニュ ー選択、必要なパラメータの入力をして、最 後に、希望する流量を指定して、計算ボタン をクリックするとバルブ位置が計算され、表 示された。

 このときの画面の状態を図16に示す。こ 画面の、Blackの欄の”8”は、2針式ダイヤル 黒い針の位置を指示し、Redの欄の数字”9.7 は、赤い針の位置を指示している。2針式ダ イヤルは回転数と1回転以内の数を示し、黒 回転数、赤が1回転以内の位置を示すように っている。また、前記Red欄の小数点以上の 字”9”はダイヤル一回転を25としたときの 合、すなわち9/25を指示する。小数点以下の 数字”7”はダイヤル(1/25)回転を10としたとき の割合を示す。以上のようにして、極めて容 易に所望の流量に対応したダイヤル目盛り位 置が得られる。

 実施例3および4において、任意のダイヤ 回転数の位置での流量を石鹸膜流量計を用 て正確に測定した。得られた流量における イヤル位置から、粘性係数を割り出した。

 得られた粘性係数を用いることで任意の 量におけるダイヤル位置を決定することが 能になることがわかった。

 実施例1の構成の流量調節弁を用い、実施 例3のゲージと実施例4のソフトウエアを導入 たPCを用いてダイヤル位置を決定して評価 行った。

 本実施例の流量調節バルブはバルブの操 角度に対する流量の変化率が全域で一定に ることを目標に設計された、いわゆる「イ コールパーセント特性」のバルブであるが 完全にこの特性が実現されていれば、ノブ 回転角度は常に一定間隔目盛でよいはずで るが、実際にはこの理想特性とのズレを生 るため、ズレを補正するように、ゲージの 作ノブ回転目盛の間隔を補正し、ソフトに 正データを読み込ませている。

 その結果、ゲージを用いた場合も、ソフト エアを導入したPCで計算した場合にも、極 て効率よく高精度で、所望の流量に対する 作ノブのダイヤル位置を決定できることが かった。これは、空気、N 2  ガス、およびアルゴンガスの気体を用いた 合でも、水、エタノール、およびガソリン 液体を用いた場合でも同様の効果が得られ ことがわかった。また、他の市販されてい 一般的な流量調節弁においても、直線性を する可変範囲においては本発明が有効であ ことがわかった。

 本明細書において、流量調節弁の入り口 力を圧力と表しているが、正確には流量調 弁の入り口と出口の差圧である。しかし、 口圧力は多くの場合大気圧に近い場合が多 、近似的に単なる圧力として表している。 の場合の圧力は、大気圧に対するゲージ圧 意味である。

 本発明は、液体、気体等のあらゆる流体に 用することができる。また、可変調節範囲 極めて広いため、1つの流量調節弁で広範囲 の流量をカバーすることができ、応用範囲が 広く、汎用性が極めて高い。1つの種類で多 のケースに対応できることから、量産効果 高く、低コスト化が期待できる。また、医 、半導体、精密加工、高機能材料等にも有 であり、高い耐薬品性、低汚染性、高精度 用途に有用である。
 また、流体の流路形状が比較的平坦かつ滑 かで、突起などが少ない構造であるため、 れの乱れも少なく、泡が生じ難いといった 性も有し、半導体用途など、泡の発生を嫌 用途にも有用である。

 本発明の流量調節弁は、基本的に流れが 性流となっているため、ハーゲンポアズイ の式と実測値が近い値になり、明確な理論 従って各パラメータを制御することができ 。このことから、任意の条件の1点で流量と ニードルバルブの回転位置を測定し、ダイヤ ル回転位置を決めれば、あとはどんな流体で も、温度、圧力条件さえ保持すればそのまま 使用することができる。

 また、圧力が変化した場合には、粘性流 流量は、差圧に比例するので、簡単に補正 可能である。上記の校正を行うことにより 混合ガスでも、成分未知のガスでも、1点で 、体積流量を測定すれば、広範囲の流量が設 定可能になる。以上のように本発明は、流体 の流量制御の分野での応用範囲が極めて広く 、産業上極めて有用である。

 また、本発明の流量調節弁のダイヤル位 決定用スケール、装置、プログラムおよび のプログラムを記憶した媒体は、気体、液 などの流体制御に用いられる流量調節弁に いることで、高精度でしかも容易に所望の 量に対するダイヤル位置を決定することが きる。このため、作業効率が向上し、流量 節弁の選定ミスも少なくなるので、流量調 弁を使用する広範な分野での応用が期待で る。

 従来の多くの流量計の誤差は、既に述べ ようにフルスケールに対して±E%という形で 規定されており、フルスケール付近では、±E %での測定が可能であるが、例えばフルスケ ルの10%程度の小さな流量を測定しようとす と、誤差は読取り値の±10×E%と、10倍もの大 な誤差を見込まなければならなくなる。こ に対して、本発明のダイヤル位置決定の方 では、全領域で予め、例えば「石鹸膜流量 」のような高精度な流量計により、ダイヤ 位置と流量の関係を測定するため、全領域 、フルスケールに対する誤差ではなく、読 取り誤差で設定値の誤差を見込むことがで る。

 温度、圧力によって、粘性係数が変化す ことがあっても、上記の「1点校正」の手法 を用いることにより、どんな流体でも、流れ が粘性流である限り、広範囲な流量が設定可 能である。1点校正した流量の精度に応じて 込まれる精度により、広範囲な流量の設定 可能となる。

 広い範囲の流量を高精度で設定したい時 は、精度の高いマスフローメータのフルス ール付近で流量を測定し、ダイヤル位置を 定することにより、圧力・温度を大幅に変 ない限りマスフローでは測定できない微少 量まで、ダイヤル位置で流量を設定するこ が可能である。

 本発明の方式では、基本的に流れが粘性 となっているため、マスフローメータ等と なり、ハーゲンポアズイユの式と実測値が い値になり、明確な理論に従って各パラメ タを制御することができる。このことから 任意の条件の1点で流量とニードルバルブの 回転位置を測定し、ダイヤル回転位置を決め れば、あとはどんな流体でも、温度圧力条件 さえ保持すればそのまま使用することができ る。

 また、圧力が変化する場合には、粘性流 流量は、差圧に比例するので、簡単に補正 可能である。本発明により、上記の校正を うことにより、混合ガスでも、成分未知の スでも、1点で、体積流量を測定すれば、広 範囲の流量が設定可能になる。以上のように 本発明は、流体の流量制御の分野での応用範 囲が極めて広く、産業上極めて有用である。