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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRET AND ELECTROSTATIC INDUCTION CONVERSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/128503
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an electret having high surface potential, and an electrostatic induction conversion device comprising the electret. The electret comprises a laminate wherein a layer (A) containing a resin (a) and a layer (B) containing a resin (b) other than the resin (a) or an inorganic matter (c) are directly laminated. The resin (a) is a fluorine-containing resin (a1), or a resin (a2) having an aliphatic ring structure and containing no fluorine atoms. When the electret is formed by injecting electric charges into the laminate, the layer (B) is so arranged as to serve the outermost surface on a side which is opposite to the side into which the electric charges are injected.

Inventors:
KASHIWAGI KIMIAKI (JP)
OKANO KUNIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057656
Publication Date:
October 22, 2009
Filing Date:
April 16, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KASHIWAGI KIMIAKI (JP)
OKANO KUNIKO (JP)
International Classes:
B32B27/30; B32B9/00; B32B27/34; H01G7/02; H04R19/01; H04R19/04
Foreign References:
JP2004128361A2004-04-22
JP2006180450A2006-07-06
JP2006180450A2006-07-06
JP2002505034A2002-02-12
JPH0841260A1996-02-13
JPH04189880A1992-07-08
US3481815A1969-12-02
JPH0931333A1997-02-04
Other References:
See also references of EP 2266795A4
G.M. SESSLER: "Electrets Third Edition", 1998, LAPLACIAN PRESS, article "Charging and Polarizing Methods", pages: 20
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 樹脂(a)を含む層(A)と、前記樹脂(a)以外の樹脂(b)または無機物(c)を含む層(B)とが直接積層された積層体を有し、
 前記樹脂(a)が、含フッ素樹脂(a1)、または脂肪族環構造を有し、フッ素原子を含有しない樹脂(a2)であり、
 前記積層体に電荷を注入してエレクトレットとする際に、電荷が注入される側と反対側の最表面に前記層(B)が配置されることを特徴とするエレクトレット。
 前記樹脂(b)のガラス転移温度または融点が80℃以上である請求項1に記載のエレクトレット。
 前記樹脂(b)が、ポリイミド、ポリパラキシリレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンチオエーテル、ポリチオエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリケトン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、およびアラミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のエレクトレット。
 前記樹脂(b)がポリイミドである請求項3に記載のエレクトレット。
 前記含フッ素樹脂(a1)が脂肪族環構造を有する請求項1~4のいずれかに記載のエレクトレット。
 前記無機物(c)が、金属酸化物、金属硫化物および金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1~5のいずれかに記載のエレクトレット。
 前記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化鉄およびチタン酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のエレクトレット。
 前記積層体が、n A 層の層(A)と、n B 層の層(B)とが交互に積層された(n A +n B )層積層体であり、n A は1~5の整数であり、n B は1~5の整数であり、n A -n B の値が-1又は0である請求項1~7のいずれかに記載のエレクトレット。
 請求項1~8のいずれかに記載のエレクトレットを備えることを特徴とする静電誘導型変換素子。
Description:
エレクトレットおよび静電誘導 変換素子

 本発明は、エレクトレットおよび該エレ トレットを備える静電誘導型変換素子に関 る。

 従来より、絶縁材料に電荷を注入したエレ トレット(Electret)を使用した、発電装置、マ イクロフォン等の静電誘導型変換素子が提案 されている。
 従来、該エレクトレットの材料としては、 に、ポリカーボネート、ポリプロピレン、 リテトラフルオロエチレン等の鎖状の樹脂 使用されていた。また、最近、該エレクト ットの材料として、主鎖に含フッ素脂肪族 構造を有する重合体(たとえば特許文献1参 )や、シクロオレフィンポリマー(たとえば特 許文献2、3参照)を用いることが提案されてい る。

特開2006-180450号公報

特表2002-505034号公報

特開平8-41260号公報

 エレクトレットについては、当該エレクト ットを使用した静電誘導型変換素子におけ 電気エネルギーと運動エネルギーとの変換 率を向上させる上で、当該エレクトレット 表面電位を高く保つ必要がある。そのため は、当該エレクトレットとして用いる材料 ある程度以上の厚膜で製膜しなければなら い。しかしながら、厚膜を製膜するために 、例えば湿式プロセスで製膜する場合には 液濃度を高くする必要があり、膜厚にムラ できる原因となっていた。また乾式プロセ で製膜する場合にも、製膜工程を繰返し実 する必要があり工程時間が長くなるという 題があった。
 本発明は、上記のような課題に鑑みてなさ たものであり、表面電位が高いエレクトレ トおよび該エレクトレットを備える静電誘 型変換素子の提供を目的とする。

 前記の課題を解決する本発明の第一の態様 、樹脂(a)を含む層(A)と、前記樹脂(a)以外の 脂(b)または無機物(c)を含む層(B)とが直接積 された積層体を有し、
 前記樹脂(a)が、含フッ素樹脂(a1)、または脂 肪族環構造を有し、フッ素原子を含有しない 樹脂(a2)であり、
 前記積層体に電荷を注入してエレクトレッ とする際に、電荷が注入される側と反対側 最表面に前記層(B)が配置されることを特徴 するエレクトレットである。
 本発明の第二の態様は、前記第一の態様の レクトレットを備える静電誘導型変換素子 ある。

 本発明によれば、表面電位が高いエレク レットおよびその製造方法、ならびに該エ クトレットを備え、電気エネルギーと運動 ネルギーとの変換効率の向上した静電誘導 変換素子を提供できる。

電荷の注入に用いたコロナ荷電装置の 略構成図である。 表面電位の測定点の設定位置を示す図 ある。

 以下、本発明を実施するための最良の形態 説明する。
 以下の明細書中においては、重合体を構成 る「繰り返し単位」を「単位」と略記する とがある。
 また、式(1)で表される単量体を「単量体(1) とも記す。他の式で表される単位、化合物 についても同様に記し、たとえば式(z1)で表 される単位を「単位(z1)」とも記す。

 本発明のエレクトレットは、以下の層(A)お び層(B)が直接積層された積層体を含むこと 特徴としている。該積層体においては、当 積層体に電荷を注入してエレクトレットと る際に電荷が注入される側と反対側の最表 に層(B)が配置されている。
 層(A):樹脂(a)を含む層。
 層(B):樹脂(a)以外の樹脂(b)または無機物(c)を 含む層。
 層(A)は、エレクトレットとしての電荷保持 担う部分であり、層(B)は、層(A)と直接接す ことで、表面電荷密度の向上に寄与する。

<層(A)>
 層(A)は、含フッ素樹脂(a1)、または脂肪族環 構造を有し、フッ素原子を含有しない樹脂(a2 )である樹脂(a)から構成される。含フッ素樹 (a1)、および樹脂(a2)は、いずれも、エレクト レットとしての電荷保持性能に優れている。
 「脂肪族環構造」とは、芳香族性を有さな 環構造を示す。脂肪族環構造としては、た えば、置換基を有していてもよい飽和また 不飽和の炭化水素環構造、該炭化水素環構 における炭素原子の一部が酸素原子、窒素 子等のヘテロ原子で置換された複素環構造 が挙げられる。
 層(A)はエレクトレットとしての電荷保持を う部分であることから、樹脂(a)としては、 積固有抵抗が高く、絶縁破壊電圧が大きい のが好ましく用いられる。
 樹脂(a)の体積固有抵抗は、10 10 ~10 20 ωcmが好ましく、10 16 ~10 19 ωcmがより好ましい。該体積固有抵抗は、ASTM D257に準拠した方法により測定される。
 また、樹脂(a)の絶縁破壊電圧は、10~25kV/mmが 好ましく、15~22kV/mmがより好ましい。該絶縁 壊電圧は、ASTM D149に準拠した方法により測 される。

 含フッ素樹脂(a1)としては、特に限定されず 、たとえば従来エレクトレットに用いられて いる含フッ素樹脂のなかから適宜選択すれば よい。該含フッ素樹脂は、電気絶縁特性に優 れ、エレクトレットとしての電荷保持性能に 優れる。
 含フッ素樹脂(a1)の具体例としては、ポリテ トラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロ エチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合 (FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共 合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-パーフ オロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA) 、フルオロオレフィン-アルキルビニルエー ル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、含フ 素環状重合体等が挙げられる。これらの中 も、電気絶縁特性の観点から、PTFE、FEP、PFA よび脂肪族環構造を有する含フッ素樹脂か なる群より選ばれる少なくとも1種が好まし い。
 含フッ素樹脂(a1)としては、脂肪族環構造を 有する含フッ素樹脂(たとえば後述する含フ 素環状重合体)がより好ましい。ここで、脂 族環構造を有する含フッ素樹脂とは、上記 脂肪族環構造」のうち炭化水素環構造また 複素環構造における水素原子がフッ素原子 置換されたものを有する含フッ素樹脂のこ である。

 「含フッ素環状重合体」とは、主鎖に含フ 素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体で り、かつ、含フッ素脂肪族環構造を構成す 炭素原子のうち少なくとも1つが該含フッ素 重合体の主鎖を構成する炭素原子であるもの をいう。
 含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子 うち、主鎖を構成する炭素原子は、該含フ 素重合体を構成する単位が基づいた単量体 有する重合性二重結合に由来する。
 たとえば含フッ素重合体が、後述するよう 環状単量体を重合させて得た含フッ素重合 の場合は、該二重結合を構成する2個の炭素 原子が主鎖を構成する炭素原子となる。
 また、2個の重合性二重結合を有する単量体 を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合 は、2個の重合性二重結合を構成する4個の炭 原子のうちの少なくとも2個が主鎖を構成す る炭素原子となる。
 含フッ素脂肪族環構造としては、環骨格が 素原子のみから構成されるものであっても く、炭素原子以外に、酸素原子、窒素原子 のヘテロ原子を含む複素環構造であっても い。含フッ素脂肪族環としては、環骨格に1 ~2個のエーテル性の酸素原子を有する含フッ 脂肪族環が好ましい。
 含フッ素脂肪族環構造の環骨格を構成する 子の数は、4~7個が好ましく、5~6個がより好 しい。すなわち、含フッ素脂肪族環構造は4 ~7員環であることが好ましく、5~6員環である とがより好ましい。

 好ましい含フッ素環状重合体としては、下 含フッ素環状重合体(I’)、含フッ素環状重 体(II’)が挙げられる。
 含フッ素環状重合体(I’):環状含フッ素単量 体に基づく単位を有する重合体。
 含フッ素環状重合体(II’):ジエン系含フッ 単量体の環化重合により形成される単位を する重合体。

 「環状含フッ素単量体」とは、含フッ素脂 族環を構成する炭素原子間に重合性二重結 を有する単量体、または、含フッ素脂肪族 を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外 炭素原子との間に重合性二重結合を有する 量体である。
 環状含フッ素単量体としては、化合物(1)ま は化合物(2)が好ましい。

 式中、X 11 、X 12 、X 13 、X 14 、Y 11 およびY 12 は、それぞれ独立に、フッ素原子、パーフル オロアルキル基またはパーフルオロアルコキ シ基である。
 X 11 、X 12 、X 13 、X 14 、Y 11 およびY 12 におけるパーフルオロアルキル基としては、 炭素数が1~7であることが好ましく、炭素数1~4 であることがより好ましい。該パーフルオロ アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ま しく、直鎖状がより好ましい。具体的には、 トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチ ル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げら れ、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
 X 11 、X 12 、X 13 、X 14 、Y 11 およびY 12 におけるパーフルオロアルコキシ基としては 、前記パーフルオロアルキル基に酸素原子(-O -)が結合したものが挙げられる。
 X 11 としては、フッ素原子が好ましい。
 X 12 としては、フッ素原子、トリフルオロメチル 基、または炭素数1~4のパーフルオロアルコキ シ基が好ましく、フッ素原子またはトリフル オロメトキシ基がより好ましい。
 X 13 およびX 14 としては、それぞれ独立に、フッ素原子また は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ま しく、フッ素原子またはトリフルオロメチル 基がより好ましい。
 Y 11 およびY 12 としては、それぞれ独立に、フッ素原子、炭 素数1~4のパーフルオロアルキル基または炭素 数1~4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく 、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が より好ましい。

 化合物(1)においては、X 13 およびX 14 が相互に結合して、X 13 およびX 14 が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪 族環を形成していてもよい。
 該含フッ素脂肪族環としては、4~6員環が好 しい。
 該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であ ことが好ましい。
 該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、 ーテル性酸素原子(-O-)を有していてもよい この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル 酸素原子の数は、1または2が好ましい。
 化合物(2)においては、Y 11 およびY 12 が相互に結合して、Y 11 およびY 12 が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪 族環を形成していてもよい。
 該含フッ素脂肪族環としては、4~6員環が好 しい。
 該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であ ことが好ましい。
 該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、 ーテル性酸素原子(-O-)を有していてもよい この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル 酸素原子の数は、1または2が好ましい。
 化合物(1)の好ましい具体例としては、化合 (1-1)~(1-5)が挙げられる。
 化合物(2)の好ましい具体例としては、化合 (2-1)~(2-2)が挙げられる。

 含フッ素環状重合体(I’)は、上記環状含フ 素単量体の単独重合体であってもよく、該 状含フッ素単量体と、それ以外の他の単量 との共重合体であってもよい。
 ただし、該含フッ素環状重合体(I’)中、環 含フッ素単量体に基づく単位の割合は、該 フッ素環状重合体(I’)を構成する全繰り返 単位の合計に対し、20モル%以上が好ましく 40モル%以上がより好ましく、100モル%であっ てもよい。
 該他の単量体としては、上記環状含フッ素 量体と共重合可能なものであればよく、特 限定されない。具体的には、後述するジエ 系含フッ素単量体、テトラフルオロエチレ 、クロロトリフルオロエチレン、パーフル ロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる

 「ジエン系含フッ素単量体」とは、2個の重 合性二重結合およびフッ素原子を有する単量 体である。該重合性二重結合としては、特に 限定されないが、ビニル基、アリル基、アク リロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
 ジエン系含フッ素単量体としては、化合物( 3)が好ましい。
   CF 2 =CF-Q-CF=CF 2  ・・・(3)。
 式中、Qは、エーテル性酸素原子を有してい てもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以 外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭 素数1~3のパーフルオロアルキレン基である。 該フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素 原子、臭素原子等が挙げられる。
 Qがエーテル性酸素原子を有するパーフルオ ロアルキレン基である場合、該パーフルオロ アルキレン基におけるエーテル性酸素原子は 、該基の一方の末端に存在していてもよく、 該基の両末端に存在していてもよく、該基の 炭素原子間に存在していてもよい。環化重合 性の点から、該基の一方の末端に存在してい ることが好ましい。
 化合物(3)の環化重合により形成される単位 しては、下式(3-1)~(3-4)の繰り返し単位が挙 られる。

 化合物(3)の具体例としては、下記化合物が げられる。
 CF 2 =CFOCF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFOCF(CF 3 )CF=CF 2
 CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFOCF 2 CF(CF 3 )CF=CF 2
 CF 2 =CFOCF(CF 3 )CF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFOCFClCF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFOCCl 2 CF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFOCF 2 OCF=CF 2
 CF 2 =CFOC(CF 3 ) 2 OCF=CF 2
 CF 2 =CFOCF 2 CF(OCF 3 )CF=CF 2
 CF 2 =CFCF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFCF 2 CF 2 CF=CF 2
 CF 2 =CFCF 2 OCF 2 CF=CF 2 等。

 含フッ素環状重合体(II’)は、上記ジエン系 含フッ素単量体の環化重合により形成される 単位のみから構成されてもよく、該単位と、 それ以外の他の単位とを有する共重合体であ ってもよい。
 ただし、該含フッ素環状重合体(II’)中、ジ エン系含フッ素単量体の環化重合により形成 される単位の割合は、該含フッ素環状重合体 (II’)を構成する全繰り返し単位の合計に対 、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がよ 好ましく、100モル%が最も好ましい。
 該他の単量体としては、上記ジエン系含フ 素単量体と共重合可能なものであればよく 特に限定されない。具体的には、上述した 合物(1)、化合物(2)等の環状含フッ素単量体 テトラフルオロエチレン、クロロトリフル ロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエ ーテル)等が挙げられる。

 含フッ素樹脂(a1)としては、市販のもののな かから適宜選択して用いてもよく、常法によ り合成してもよい。
 たとえば含フッ素環状重合体は、特開平4-18 9880号公報等に開示された従来公知の方法を 用して各単位を誘導する単量体の環化重合 単独重合、共重合等を行うことにより製造 きる。
 また、含フッ素環状重合体の市販品として 、サイトップ(登録商標)(旭硝子社製)、テフ ロン(登録商標)AF(デュポン社製)、HYFLON(登録 標)AD(ソルベーソレクシス社製)等が挙げられ る。

 本発明において、脂肪族環構造を有し、フ 素原子を含有しない樹脂(a2)としては、たと えば、シクロオレフィンポリマーが挙げられ る。
 「シクロオレフィンポリマー」とは、当該 リマーの主鎖に脂肪族炭化水素環構造を有 るポリマーであり、当該脂肪族炭化水素環 造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つ が当該ポリマーの主鎖に組み込まれているも のをいう。
 シクロオレフィンポリマーは、脂肪族炭化 素環構造を有する単位(以下、単位(z1)とい ことがある。)を有しており、該単位(z1)にお いては、当該脂肪族炭化水素環構造を構成す る炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリ ーの主鎖に組み込まれている。
 シクロオレフィンポリマーとして、好まし ものとしては、単位(z1-1)を含むものが挙げ れる。

[式中、Rは置換基を有していてもよい2価の炭 化水素基であり、mは0~10の整数であり、rは0 たは1の整数であり、sは0または1の整数であ 。]

 式(z1-1)中、Rの炭化水素基が「置換基を有し ていてもよい」とは、該炭化水素基の水素原 子の一部または全部が置換基で置換されてい てもよいことを意味する。
 該置換基としては、アルキル基、シクロア キル基、アルコキシ基、フェニル基等のア ール基、アダマンチル基等の多環式の脂肪 炭化水素基などが挙げられる。
 置換基としてのアルキル基は、直鎖状であ てもよく、分岐鎖状であってもよく、炭素 が1~10であることが好ましく、1~3であること がより好ましい。該アルキル基としては、メ チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ ル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に 好ましい。
 置換基としてのシクロアルキル基は、炭素 が3~10であることが好ましく、5~8であること がより好ましい。該シクロアルキル基として は、シクロペンチル基またはシクロヘキシル 基が特に好ましい。
 置換基としてのアルコキシ基は、前記アル ル基に酸素原子(-O-)が結合したものが挙げ れる。

 Rの炭化水素基は、鎖状であってもよく、環 状であってもよい。また、該炭化水素基は飽 和であってもよく、不飽和であってもよく、 好ましくは飽和である。
 鎖状の炭化水素基としては、置換基を有し いてもよい直鎖状のアルキレン基が好まし 、その炭素数は1~4が好ましく、2~3がより好 しく、2が最も好ましい。具体的には、ジメ チレン基が挙げられる。
 環状の炭化水素基としては、置換基を有し いてもよい単環式または多環式のシクロア カンから水素原子を2つ除いた基が好ましい 。単環式のシクロアルカンとしては、シクロ ペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。 多環式のシクロアルカンとしては、ノルボル ナン、アダマンタン等が挙げられる。これら の中でも、シクロペンタンまたはノルボルナ ンが好ましい。

 式(z1-1)中、mは0~10の整数である。
 mが1以上の整数の場合、後述する単位(z1-11) ように、ポリマー主鎖が、脂肪族炭化水素 構造のオルト位ではなく、メチレン鎖1つ以 上の間隔をあけて結合することにより当該脂 肪族炭化水素環構造がポリマー主鎖に組み込 まれている。この場合、mとしては、1~3の整 が好ましく、1が最も好ましい。
 mが0の場合、後述する単位(z1-21)のように、 リマー主鎖が、脂肪族炭化水素環構造のオ ト位に結合することにより当該脂肪族炭化 素環構造がポリマー主鎖に組み込まれてい 。
 rおよびsは、それぞれ、0であってもよく、1 であってもよい。
 特に、mが0の場合は、rおよびsが0であるこ が好ましい。また、mが1の場合は、rおよびs 1であることが好ましい。

 単位(z1-1)として、好ましいものとしては 以下に示す単位(z1-11)、単位(z1-21)などが挙 られる。

[式中、R 1 およびR 2 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基ま たはシクロアルキル基であり、R 1 およびR 2 が相互に結合して環を形成していてもよい。 ]

[式中、R 3 およびR 4 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基ま たはシクロアルキル基であり、R 3 およびR 4 が相互に結合して環を形成していてもよい。 ]

 式(z1-11)中、R 1 およびR 2 におけるアルキル基、およびシクロアルキル 基としては、それぞれ、前記置換基として挙 げたアルキル基、およびシクロアルキル基と 同様のものが挙げられる。
 R 1 およびR 2 は相互に結合して、R 1 およびR 2 がそれぞれ結合した炭素原子とともに、環を 形成していてもよい。この場合に形成される 環としては、単環式または多環式のシクロア ルカンが好ましい。単環式のシクロアルカン としては、シクロペンタン、シクロヘキサン 等が挙げられる。多環式のシクロアルカンと しては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙 げられる。これらの中でも、シクロペンタン またはノルボルナンが好ましい。
 該環は置換基を有していてもよい。該置換 としては、前記Rの炭化水素基が有していて もよい置換基と同様のものが挙げられる。
 R 1 およびR 2 が環を形成している場合の単位(z1-11)の具体 としては、下記単位(z1-11-1)、単位(z1-12-1)等 挙げられる。

[式中、R 11 は水素原子またはアルキル基である。]

 R 11 のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基 有していてもよい置換基として挙げたアル ル基と同様のものが挙げられ、特にメチル が好ましい。
 本発明において、単位(z1-11)としては、R 1 およびR 2 が環を形成しているもの、またはR 1 およびR 2 の少なくとも一方がシクロアルキル基である ものが好ましい。

 式(z1-21)中、R 3 およびR 4 は、それぞれ、前記R 1 およびR 2 と同様である。
 R 3 およびR 4 が環を形成している場合の単位(z1-21)の具体 としては、下記単位(z1-21-1)、単位(z1-21-2)等 挙げられる。

[式中、R 13 は水素原子またはアルキル基である。]

 R 13 のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基 有していてもよい置換基として挙げたアル ル基と同様のものが挙げられ、特にメチル が好ましい。

 シクロオレフィンポリマーは、単位(z1)とし て、上記のような単位のうちのいずれか1種 含有してもよく、2種以上を含有してもよい
 シクロオレフィンポリマー中、単位(z1)の割 合は、当該シクロオレフィンポリマーを構成 する全繰り返し単位の合計に対し、30モル%以 上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、 100モル%であってもよい。

 シクロオレフィンポリマーは、単位(z1)以外 の他の単位(以下、単位(z2)ということがある )を含んでいてもよい。
 単位(z2)としては、従来、シクロオレフィン ポリマーに用いられている任意の単位が利用 でき、特に限定されない。
 該単位(z2)としては、置換基を有していても よいオレフィンに基づく単位が好ましく、該 単位としては、たとえば下記単位(z2-1)が挙げ られる。

[式中、R 5 は水素原子またはアルキル基である。]

 式中、R 5 のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基 有していてもよい置換基として挙げたアル ル基と同様のものが挙げられる。

 本発明に用いられるシクロオレフィンポリ ーとしては、特に、下記シクロオレフィン リマー(I)、シクロオレフィンポリマー(II)が 好ましい。
 シクロオレフィンポリマー(I):前記単位(z1-11 )を含むシクロオレフィンポリマー。
 シクロオレフィンポリマー(II):前記単位(z1-2 1)および単位(z2)を含むシクロオレフィンポリ マー。

 シクロオレフィンポリマー(I)は、単位(z1-11) として、1種を含有してもよく、2種以上を含 してもよい。
 また、シクロオレフィンポリマー(I)は、本 明の効果を損なわない範囲で、単位(z1-11)以 外の単位を含んでいてもよい。
 シクロオレフィンポリマー(I)中、単位(z1-11) の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I) を構成する全繰り返し単位の合計に対し、80 ル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ま しく、100モル%が特に好ましい。すなわち、 クロオレフィンポリマー(I)としては、単位(z 1-11)のみから構成される重合体が特に好まし 。

 シクロオレフィンポリマー(II)は、単位(z1-21 )、および単位(z2)として、それぞれ、1種を含 有してもよく、2種以上を含有してもよい。
 また、シクロオレフィンポリマー(II)は、本 発明の効果を損なわない範囲で、単位(z1-21) よび単位(z2)以外の単位を含んでいてもよい
 シクロオレフィンポリマー(II)中、単位(z1-21 )の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I I)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、2 0~70モル%が好ましく、30~50モル%がより好まし 。また、単位(z2)の割合は、当該シクロオレ フィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単 の合計に対し、30~80モル%が好ましく、50~70モ ル%がより好ましい。
 また、シクロオレフィンポリマー(II)中の単 位(z1-21)および単位(z2)の含有量の比(モル比) 、単位(z1-21):単位(z2)=20:80~70:30の範囲内が好 しく、30:70~50:50の範囲内がより好ましい。
 シクロオレフィンポリマー(II)の好ましい具 体例としては、下記式(II-1)、(II-2)に示す2種 それぞれの単位を含む共重合体が挙げられ 。

[式中、R 13 、R 5 はそれぞれ前記と同じである。]

 シクロオレフィンポリマーは、それぞれ、 鎖末端および/または側鎖部分に、末端基と して、官能基を有していてもよい。
 官能基としては、アルコキシカルボニル基( エステル基ともいう。)、カルボキシ基、カ ボン酸ハライド基、アミド基、水酸基、ア ノ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル 、スルホンアミド基、チオール基、シアノ 等が挙げられる。これらの中でも、アルコ シカルボニル基、カルボキシ基を有するこ が好ましい。
 末端基としてカルボキシ基を含む場合、該 ルボキシ基にはシラン化合物が結合してい もよい。
 シラン化合物は、たとえば、末端基として ルボキシ基を有するシクロオレフィンポリ ーと、後述するようなシランカップリング とを反応させることにより該カルボキシ基 結合させることができる。
 末端基としてアルコキシカルボニル基、あ いはカルボキシ基等の官能基を有するシク オレフィンポリマーとしては、たとえば、 クロオレフィンポリマーに、不飽和カルボ 酸およびその誘導体からなる変性単量体を ラフト共重合させてなる変性樹脂が挙げら る。
 前記不飽和カルボン酸としては、アクリル 、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マ イン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ 酸、ナジック酸、メチルナジック酸等が挙 られる。不飽和カルボン酸の誘導体として 、前記不飽和カルボン酸の酸ハライド、ア ド、イミド、酸無水物、エステル等が挙げ れ、具体例としては、塩化マレニル、無水 レイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸 メチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられ 。

 シクロオレフィンポリマーとしては、比誘 率等の所望の特性を満足するものであれば に限定されず、市販のものを用いてもよく 合成してもよい。
 シクロオレフィンポリマーの合成方法とし は、下記(1)~(7)等が知られている。
 なお、各反応式の最終生成物において表示 単位は、得られたシクロオレフィンポリマ 中に含有される単位を示す。
 (1)ノルボルネン類とオレフィンとを付加共 合させる方法(たとえば下記反応式(1’)に示 す方法)。
 (2)ノルボルネン類の開環メタセシス重合体 対して水素添加する方法(たとえば下記反応 式(2’)に示す方法)。
 (3)アルキリデンノルボルネンをトランスア ュラー重合する方法(たとえば下記反応式(3 )に示す方法)。
 (4)ノルボルネン類を付加重合させる方法(た とえば下記反応式(4’)に示す方法)。
 (5)シクロペンタジエンの1,2-および1,4-付加 合体に対して水素添加する方法(たとえば下 反応式(5’)に示す方法)。
 (6)シクロヘキサジエンの1,2-および1,4-付加 合体に対して水素添加する方法(たとえば下 反応式(6’)に示す方法)。
 (7)共役ジエンを環化重合させる方法(たとえ ば下記反応式(7’)に示す方法)。

 各反応式中、R 1 ~R 5 はそれぞれ前記と同じである。
 R 6 ~R 7 はそれぞれ独立にアルキル基であり、該アル キル基としては、前記Rの炭化水素基が有し いてもよい置換基として挙げたアルキル基 同様のものが挙げられる。

 これらの中では、(1)の方法により得られる クロオレフィンポリマー(ノルボルネン類と オレフィンの付加共重合体)、および(2)の方 により得られるシクロオレフィンポリマー( ルボルネン類の開環メタセシス重合体の水 添加ポリマー)が、造膜性に優れる点、合成 が容易である点から好ましい。
 ノルボルネン類の付加共重合体としては、 えばアペル(登録商標)(三井化学社製)、TOPAS( 登録商標)(Ticona社製)の商品名で販売されてい るものが挙げられる。
 また、ノルボルネン類の開環メタセシス重 体の水素添加ポリマーとしては、種々のも があるが、透明性、低吸湿性、耐熱性を有 ることから、ゼオネックス(登録商標)(日本 オン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン 社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)の商品名 販売されているポリマーが好ましい。

 樹脂(a)の重量平均分子量は、3000~100万が好 しく、1万~30万がより好ましい。
 また、樹脂(a)は、ガラス転移温度または融 が80℃以上であることが好ましく、100℃以 がより好ましい。該ガラス転移温度または 点が80℃以上、特に100℃以上であると、エレ クトレットの耐熱性、保持電荷の安定性等に 優れる。また、該ガラス転移温度または融点 は、樹脂(a)を製膜する際の造膜性、樹脂(a)の 溶媒への溶解性等を考慮すると、350℃以下が 好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以 下が最も好ましい。
 樹脂(a)のガラス転移温度または融点は、当 樹脂(a)を構成する繰り返し単位の種類や割 を調節することにより調節できる。たとえ 、前記含フッ素環状重合体やシクロオレフ ンポリマーのような非晶質な樹脂の場合、 記化合物(1)または化合物(2)に基づく繰り返 単位は当該重合体のガラス転移温度の向上 寄与しており、これらの単位の割合が多い ど、ガラス転移温度が高くなる。また、樹 (a)の融点は、前記含フッ素樹脂の中でも結 性の樹脂、たとえばPTFE、FEP、ETFE、PFAなど 樹脂に於いて存在し、テトラフルオロエチ ンやエチレンなどの結晶性の高い単位に、 晶性を乱すような単位(例えば、パーフルオ (アルキルビニルエーテル)など)を共重合さ ることにより調節できる。

 層(A)の形成方法としては、特に限定されな が、好ましい形成方法として、樹脂(a)を溶 に溶解してコーティング用組成物を調製し これを用いてコーティング膜を製膜する方 が挙げられる。
 コーティング膜の製膜は、例えば、該コー ィング用組成物を層(B)の表面にコーティン し、ベーク等により乾燥させることにより 施できる。
 コーティング方法としては、溶液から膜を 成させる従来公知の方法が利用でき、特に 定されない。かかる方法の具体例としては ロールコーター法、キャスト法、ディッピ グ法、スピンコート法、水上キャスト法、 ングミュア・ブロジェット法、ダイコート 、インクジェット法、スプレーコート法等 挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア 刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フ キソ印刷法などの印刷技術も用いることが きる。

 コーティング用組成物の溶媒としては、樹 (a)を溶解でき、所望のコーティング方法で 望の膜厚、均一性を有するコーティング膜 形成し得るものであれば特に制限はなく、 えばプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒な が挙げられる。
 プロトン性溶媒としては、メタノール、エ ノール、1-プロパノール、イソプロピルア コール、1-ブタノール、2-ブタオール、tert- タノール、ペンタノール、ヘキサノール、1- オクタノール、2-オクタノール、エチレング コール、エチレングリコールモノメチルエ テル、プロピレングリコールモノメチルエ テル、プロピレングリコールモノブチルエ テル、プロピレングリコール、乳酸メチル 後述するプロトン性含フッ素溶媒等が挙げ れる。
 非プロトン性溶媒としては、たとえば、ヘ サン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタ 、デカン、ドデカン、デカリン、アセトン シクロヘキサノン、2-ブタノン、ジメトキ エタン、モノメチルエーテル、酢酸エチル 酢酸ブチル、ジグライム、トリグライム、 ロピレングリコールモノメチルエーテルモ アセテート(PGMEA)、N,N-ジメチルホルムアミド (DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチ ピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソ ル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ク ロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、 クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キ レン、エチルベンゼン、メシチレン、テト リン、メチルナフタレン、後述する非プロ ン性含フッ素溶媒等が挙げられる。
 これらの溶媒は、いずれか1種を単独で使用 してもよく、2種以上を混合して使用しても い。またこれらの他にも広範な化合物が使 できる。
 これらのうち、樹脂(a)として含フッ素樹脂( a1)を用いる場合、溶媒としては、非プロトン 性溶媒が好ましく、非プロトン性含フッ素溶 媒がより好ましい。
 また、樹脂(a)としてシクロオレフィンポリ ー等の樹脂(a2)を用いる場合、溶媒としては 、非プロトン性溶媒が好ましく、炭化水素類 がより好ましく、ベンゼン、トルエン、キシ レン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラ リン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素 類がさらに好ましく、トルエン、キシレンが 特に好ましい。

 前記非プロトン性含フッ素溶媒として、好 しいものとしては、以下の含フッ素化合物 例示できる。
 ヘキサフルオロメタキシレン、フルオロベ ゼン、ジフルオロベンゼン、パーフルオロ ンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3-ビス (トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(ト フルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素芳香 化合物;パーフルオロトリブチルアミン、パ ーフルオロトリプロピルアミン等のパーフル オロトリアルキルアミン化合物;パーフルオ デカリン、パーフルオロシクロヘキサン、 ーフルオロ(1,3,5-トリメチルシクロヘキサン) 等のパーフルオロシクロアルカン化合物;パ フルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)等の ーフルオロ環状エーテル化合物;低分子量パ ーフルオロポリエーテル;パーフルオロヘキ ン、パーフルオロオクタン、パーフルオロ カン、パーフルオロドデカン、パーフルオ (2,7-ジメチルオクタン)、パーフルオロ(1,2-ジ メチルヘキサン)、パーフルオロ(1,3-ジメチル ヘキサン)等のパーフルオロアルカン;1,1,2-ト クロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,1,1-トリ クロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、1,3-ジクロ -1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3-テ トラクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、 1,1,3,4-テトラクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ ブタン等のクロロフルオロカーボン;1,1,1,2,2,3 ,3,5,5,5-デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4, 5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3 ,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ヘプタデカフルオロオクタン 、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10-ヘニコサ ルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ キサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフル ロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ヘプ デカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフ オロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1 ,2,2,3,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチ )ペンタン等のヒドロフルオロカーボン;3,3- クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1, 3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン のヒドロクロロフルオロカーボン。
 これらの含フッ素化合物はいずれか1種を単 独で使用してもよく、2種以上を併用しても い。

 また、上記以外にも広範な非プロトン性含 ッ素溶媒を使用できる。
 例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等 含フッ素溶媒が好適である。このような含 ッ素溶媒は、一般式R 31 -O-R 32 (R 31 はエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数 5~12の直鎖状または分岐状のポリフルオロア キル基であり、R 32 は炭素数1~5の直鎖状または分岐状のアルキル 基またはポリフルオロアルキル基である。
)で表される含フッ素溶媒(以下、含フッ素溶 (2)ということがある。)である。
 R 31 におけるポリフルオロアルキル基とは、アル キル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に 換された基であり、アルキル基の水素原子 すべてがフッ素原子置換されたパーフルオ アルキル基、およびアルキル基の水素原子 2個以上がフッ素原子に置換され、かつアル ル基の水素原子の1個以上がフッ素原子以外 のハロゲン原子に置換された基を含むもので ある。フッ素原子以外のハロゲン原子として は塩素原子が好ましい。
 ポリフルオロアルキル基としては、対応す アルキル基の水素原子の数にして60%以上が ッ素原子に置換された基が好ましく、より ましくは80%以上である。さらに好ましいポ フルオロアルキル基はパーフルオロアルキ 基である。

 R 31 がエーテル性酸素原子を有する場合、エーテ ル性酸素原子の数が多すぎると溶解性を阻害 するため、R 31 中のエーテル性酸素原子の数は1~3個が好まし く、1~2個がより好ましい。
 R 31 の炭素原子の数が5以上であると含フッ素樹 (a1)の溶解性が良好で、R 31 の炭素数が12以下であると工業的に入手しや いため、R 31 の炭素数は5~12の範囲から選定される。R 31 の炭素原子の数は、6~10が好ましく、6~7およ 9~10がより好ましい。
 R 32 の炭素原子の数は1~5であり、炭素原子の数が 5以下であると含フッ素樹脂(a1)の溶解性が良 である。R 32 の好ましい例はメチル基またはエチル基であ る。

 含フッ素溶媒(2)の分子量は、大きすぎると ーティング用組成物の粘度を上昇させるだ でなく、含フッ素樹脂(a1)の溶解性も低下す るため、1000以下が好ましい。
 また、含フッ素樹脂(a1)の溶解性に優れるこ とから、含フッ素溶媒(2)のフッ素含有量は60~ 80質量%が好ましい。
 好ましい含フッ素溶媒(2)として、下記のも が例示できる。
 F(CF 2 ) 4 OCH 3 、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 H,F(CF 2 ) 5 OCH 3 、F(CF 2 ) 6 OCH 3 、F(CF 2 ) 7 OCH 3 、F(CF 2 ) 8 OCH 3 、F(CF 2 ) 9 OCH 3 、F(CF 2 ) 10 OCH 3 、H(CF 2 ) 6 OCH 3 、(CF 3 ) 2 CFCF(OCH 3 )CF 2 CF 3 、F(CF 2 ) 3 OCF(CF 3 )CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 3 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 8 OCH 2 CH 2 CH 3 、(CF 3 ) 2 CFCF 2 CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 2 O(CF 2 ) 4 OCH 2 CH 3
 これらの含フッ素溶媒では、特に(CF 3 ) 2 CFCF(OCH 3 )CF 2 CF 3 が好適である。

 上記コーティング用組成物には、シランカ プリング剤を配合してもよい。これにより 当該コーティング用組成物を用いて形成さ るコーティング膜は、基板との密着性に優 る。
 シランカップリング剤としては、特に限定 れず、従来より公知のものを含めて広く利 できる。具体的には、以下のものが例示で る。
 トリメチルメトキシシラン、トリメチルエ キシシラン、ジメチルビニルメトキシシラ 、ジメチルビニルエトキシシランなどのモ アルコキシシラン類。

 γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラ 、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラ 、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラ 、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラ 、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメ ルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ- アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ- グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシ シラン、γ-グリシジルオキシプロピルメチル ジエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシ プロピルメチルジメトキシシラン、メチルジ メトキシシラン、メチルジエトキシシラン、 ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト キシシラン、メチルビニルジメトキシシラン 、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニ ルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ シラン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルジ メトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデ フルオロオクチルメチルジメトキシシラン 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフル オロデシルメチルジメトキシシランなどのジ アルコキシシラン類。

 γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、 -アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β- ミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキ シラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピ ルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピ ルトリメトキシシラン、γ-グリシジルオキシ プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジル オキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタ クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ ン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメ トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン 、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシ ラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ クチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7 ,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルトリ メトキシシラン、テトラメトキシシラン、テ トラエトキシシランなどのトリまたはテトラ アルコキシシラン類。

 また、好ましいシランカップリング剤とし 、芳香族アミン構造を有するシランカップ ング剤である芳香族アミン系シランカップ ング剤が挙げられる。
 芳香族アミン系シランカップリング剤とし は、下式(s1)~(s3)で表される化合物が挙げら る。
  ArSi(OR 21 )(OR 22 )(OR 23 ) …(s1)
  ArSiR 24 (OR 21 )(OR 22 ) …(s2)
  ArSiR 24 R 25 (OR 21 ) …(s3)
[式中R 21 ~R 25 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の ルキル基またはアリール基を表し、Arはp-、m -またはo-アミノフェニル基を表す。]

 式(s1)~(s3)で表される化合物の具体例として 以下のものが挙げられる。
 アミノフェニルトリメトキシシラン、アミ フェニルトリエトキシシラン、アミノフェ ルトリプロポキシシラン、アミノフェニル リイソプロポキシシラン、アミノフェニル チルジメトキシシラン、アミノフェニルメ ルジエトキシシラン、アミノフェニルメチ ジプロポキシシラン、アミノフェニルメチ ジイソプロポキシシラン、アミノフェニル ェニルジメトキシシラン、アミノフェニル ェニルジエトキシシラン、アミノフェニル ェニルジプロポキシシラン、アミノフェニ フェニルジイソプロポキシシランなど。
 これらの化合物におけるアミノ基の水素原 はアルキル基やアリール基で置換されてい もよい。たとえばN,N-ジメチルアミノフェニ ルトリアルコキシシランやN,N-ジメチルアミ フェニルメチルジアルコキシシランなどが げられる。この他にも、たとえば米国特許 3,481,815号に記載されている芳香族アミン系 ランカップリング剤などを使用できる。

 上記シランカップリング剤は、いずれか1種 を単独で使用してもよく、2種以上を組合せ もよい。
 また、上記シランカップリング剤の部分加 分解物を使用することも好ましい。
 さらに、上記シランカップリング剤とテト メトキシシラン、テトラエトキシシラン、 トラプロポキシシラン等のテトラアルコキ シランとの共部分加水分解物を使用するこ も好ましい。このうちで、樹脂(a)の電気絶 性を損なうことなく、樹脂(a)の接着性を向 させるものとして、アミノ基を有するシラ カップリング剤(γ-アミノプロピルトリエト キシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエト キシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシ シラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシ シラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピ トリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ -アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N- (β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエト キシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプ ピルメチルジエトキシシラン、アミノフェ ルトリメトキシシラン、アミノフェニルト エトキシシラン、アミノフェニルメチルジ トキシシラン、アミノフェニルメチルジエ キシシランなど)、およびエポキシ基を有す るシランカップリング剤(γ-グリシジルオキ プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジ オキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ -グリシジルオキシプロピルトリエトキシシ ン、γ-グリシジルオキシプロピルメチルジ トキシシランなど)が特に好適なものとして 示される。

 樹脂(a)として、予め主鎖末端または側鎖に ルボキシ基の導入されたものを用いる場合 、シランカップリング剤としては、特にア ノ基またはエポキシ基を有するアルコキシ ラン類が有効である。
 樹脂(a)として、予め主鎖末端または側鎖に ルコキシカルボニル基が導入された含フッ 重合体を用いる場合は、シランカップリン 剤としては、特にアミノ基またはアミノフ ニル基を有するアルコキシシラン類が有効 ある。

 コーティング用組成物として含フッ素樹脂( a1)の非プロトン性含フッ素溶媒溶液を用いる 場合、該コーティング用組成物には、プロト ン性含フッ素溶媒を配合してもよい。コーテ ィング用組成物にプロトン性含フッ素溶媒を 配合すると、シランカップリング剤のコーテ ィング用組成物への溶解性を増すことができ る。また、シランカップリング剤間の反応に よると思われる粘度の上昇やゲル化を抑制で きる。
 すなわち、上述したアミノ基またはエポキ 基を有するトリアルコキシシラン類は、非 ロトン性含フッ素溶媒中においては、同様 基を有するジアルコキシシラン類に比べて 経時的な粘度上昇やゲル化が生じやすい。 た、トリアルコキシシラン類は、ジアルコ シシラン類よりも、コーティング用組成物 非プロトン性含フッ素溶媒溶液への溶解性 小さい。したがって、コーティング用組成 として含フッ素樹脂(a1)の非プロトン性含フ ッ素溶媒溶液を用い、これにトリアルコキシ シラン類を配合する場合には、さらに、プロ トン性含フッ素溶媒、特には含フッ素アルコ ールを添加することが好ましい。
 また、ジアルコキシシラン類をシランカッ リング剤として配合する場合は、トリアル キシシラン類ほど溶解性は小さくないが、 様にプロトン性含フッ素溶媒、特には含フ 素アルコールの添加により溶解性を高めら る。ジアルコキシシラン類の場合には、コ ティング用組成物の経時的な粘度上昇はト アルコキシシラン類ほど顕著ではないため 含フッ素アルコールなどのプロトン性含フ 素溶媒を必ずしも添加しなくてもよいが、 加したほうが確実に粘度上昇を抑制できる め好ましい。

 該プロトン性含フッ素溶媒としては以下の のが例示される。
 トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフ ルオロ-1-プロパノール、2-(パーフルオロブチ ル)エタノール、2-(パーフルオロヘキシル)エ ノール、2-(パーフルオロオクチル)エタノー ル、2-(パーフルオロデシル)エタノール、2-( ーフルオロ-3-メチルブチル)エタノール、2,2, 3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4 ,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,4, 4,5,5,6,6-ドデカフルオロ-1-ヘプタノール、2,2,3 ,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ヘキサデカフルオロ-1-ノナノ ル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノー 、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール等 含フッ素アルコール。
 トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン 、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペ タン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフ オロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸 パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカ 酸、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン酸、1,1,2 ,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3, 3,4,4,5,5-ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3 ,4,4,5,5,6,6-ヘキサデカフルオロノナン酸など 含フッ素カルボン酸;これら含フッ素カルボ 酸のアミド;トリフルオロメタンスルホン酸 、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸な どの含フッ素スルホン酸;など。 
 これらのプロトン性含フッ素溶媒はいずれ 1種を単独で使用してもよく、2種以上を組 せてもよい。
 非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含 ッ素溶媒とを併用する場合、非プロトン性 フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒との 計に対するプロトン性含フッ素溶媒の割合 、0.01~50質量%が好ましく、0.1~30質量%がより ましい。

 コーティング用組成物中の樹脂(a)の濃度は 形成しようとする層(A)の膜厚に応じて適宜 定すればよい。通常、0.1~30質量%であり、0.5 ~20質量%が好ましい。
 また、コーティング用組成物にシランカッ リング剤を配合する場合、その配合量は、 脂(a)100質量部当たり、0.01~50質量部が好まし く、0.1~30質量部がより好ましい。

<層(B)>
 層(B)は、樹脂(a)以外の樹脂(b)または無機物( c)から構成される層であり、該層(B)を構成す 材料(樹脂(b)または無機物(c))は、層(A)を構 する材料(樹脂(a))とは異なる。

 樹脂(b)としては、前記樹脂(a)以外のもので れば特に限定されず、従来公知の樹脂から 宜選択すればよい。
 樹脂(b)は、前記樹脂(a)に比べて、エレクト ットとした際の電荷保持性能が低いものが ましい。
 ここで、「電荷保持性能」としては、保持 きる電荷量の多さ(電荷保持容量)、および 入された電荷をどれだけ安定に保持できる (電荷安定性)の2種があるが、樹脂(b)は、電 保持量、電荷安定性のいずれか一方のみが いものであってもよいが、両方の性能が、 脂(a)よりも低いものであることが好ましい
 樹脂(b)、樹脂(a)それぞれの電荷保持性能は 基板上に、それぞれ同じ膜厚で樹脂(b)の単 膜、樹脂(a)の単一膜を形成し、同じ条件で 荷を注入してエレクトレットとし、この電 注入直後の表面電位(初期表面電位)、およ 電荷注入してから同じ条件で一定時間(たと ば200時間)保管した後の表面電位(保管後表 電位)を測定することにより評価できる。つ り、初期表面電位の高さから電荷保持容量 評価でき、初期表面電位と保管後表面電位 の差から電荷安定性を評価できる。

 樹脂(b)の具体例としては、ポリイミド、ポ パラキシリレン樹脂、ポリカーボネート、 リアリーレン、ポリアリーレンエーテル、 リエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポ エーテルケトン、ポリエーテルニトリル、 リエーテルイミド、ポリアリーレンチオエ テル、ポリチオエーテルスルフォン、ポリ ルフォン、ナイロン、ポリエステル、ポリ チレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、 リケトン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、 リウレタン、およびアラミド樹脂からなる より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
 樹脂(b)としては、製膜プロセスの容易さの 点から、ポリイミド、ポリパラキシリレン 脂、ポリカーボネート、ポリアリーレン、 リアリーレンエーテル、ポリスルフォン、 よびポリエーテルスルフォンからなる群よ 選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
 また、樹脂(b)としては、ガラス転移温度ま は融点を高める観点から、熱硬化性樹脂お び/または紫外線硬化性樹脂を用いても良い 。当該熱硬化性樹脂、および当該紫外線硬化 性樹脂としては、前記の例の中のポリイミド 、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が例示され 、製膜プロセスの容易さの観点から、ポリイ ミドが好ましく用いられる。

 樹脂(b)としてポリイミドを用いる場合、有 溶媒などに対する溶解性が優れているポリ ミド前駆体をコーティングし熱処理するこ により、ポリイミド前駆体をポリイミドに 換し、層(B)を製膜する。ポリイミド前駆体 しては、ポリアミック酸、およびそのエス ルを一般的に用いることができる。ポリア ック酸などのポリイミド前駆体を200~350℃の 高温にするとイミド閉環反応が起こり、熱的 ・化学的・電気的に安定なポリイミドに変換 することができる。本発明においては一般的 に市販されているポリイミドを用いることが できる。
 本発明に用いるポリイミド前駆体としては テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合 とを反応させることにより得られるポリア ック酸またはそのエステルが好ましい。
 テトラカルボン酸二無水物は、特に制限さ ないが、一般的なポリイミド合成で用いら ている芳香族テトラカルボン酸二無水物が 用できる。具体的には、3,3’,4,4’-ベンゾ ェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3 ,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二 水物、ピロメリット酸二無水物、1,3-ビス(2, 3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物 、1,4-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベン ン二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテト ラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフ ノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’ -ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2 ,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 等が挙げられる。
 ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン 合物が好ましい。芳香族ジアミン化合物と ては、特に制限されないが、一般的にポリ ミド合成で用いられている芳香族ジアミン 合物が使用できる。具体としては、4,4’-ジ アミノジフェニルメタン(DDM)、4,4’-ジアミノ ジフェニルエーテル(DPE)、4,4’-ビス(4-アミノ フェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4’-ビス(4-ア ノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3’-ビス(4- ミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、o-フェニレ ンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェ レンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエ テル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン 、3,4-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’- アミノジフェニルスルフォン、4,4’-メチレ ン-ビス(2-クロロアニリン)、3,3’-ジメチル-4, 4’-ジアミノビフェニル、2,6’-ジアミノトル エン、2,4-ジアミノクロロベンゼン、3,3’-ジ ミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフ ェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等が げられる。

 樹脂(b)として使用されるポリパラキシリ ン樹脂は、常温の気相中で重合できる特殊 ポリマーである。例えば、ポリパラキシリ ン樹脂は、以下に示されるダイマーを160℃ 度で昇華させた後、690℃で熱分解してモノ ーとし、常温の真空容器(4Pa(絶対圧)程度)に 導入して固体表面で重合させることにより合 成される。

 ポリパラキシリレン樹脂には幾つかの種 があり、なかでもベンゼン環に塩素がつい 分子構造を有するもの(商品名 パリレン-C) 、周波数1MHzでの比誘電率が2.95であり、ま 、絶縁破壊強度及び耐薬品性が高いという 徴を有しており、樹脂(b)として好適である 上記パリレン-Cを含め、樹脂(b)として使用で きるポリパラキシリレン類の例を以下に示す 。なお、各構造式の下には商品名を示してい る。

 樹脂(b)は、ガラス転移温度または融点が80 以上であることが好ましく、110℃以上がよ 好ましい。該ガラス転移温度または融点が80 ℃以上であると、エレクトレットの耐熱性、 電荷保持安定性に優れる。
 樹脂(b)の重量平均分子量は、3000~1000万が好 しく、1万~100万がより好ましい。

 無機物(c)としては、従来公知の無機物のな から適宜選択すればよい。
 具体的には、金属酸化物、金属硫化物およ 金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる なくとも1種が好ましく、特に、比誘電率の 観点から、金属酸化物が好適に用いられる。
 金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チ ン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム 酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化マグ シウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化 ッケル、酸化クロム、酸化コバルト、酸化 、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブ ン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロン ウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。
 金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化アル ニウム、硫化ガリウム、硫化銀、硫化ケイ 、硫化スズ、硫化セリウム、硫化マグネシ ム、硫化銅、硫化鉄、硫化モリブデン等が げられる。
 金属ハロゲン化物としては、フッ化銀、フ 化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化銅 フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フ 化リチウム、塩化銅、塩化銀、塩化カルシ ム、塩化ジルコニウム、塩化スズ、塩化セ ウム、臭化銀、臭化コバルト、臭化セシウ 、臭化銅等が挙げられる。
 これらの中でも、金属酸化物が好ましく、 レクトレット特性の観点から、酸化ケイ素 酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アル ニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化 ンガン、酸化ニッケル、酸化鉄およびチタ 酸バリウムからなる群より選ばれる少なく も1種が好ましく、特に、酸化ケイ素が好ま しい。

 層(B)は、樹脂(b)を含むものであってもよく 無機物(c)を含むものであってもよい。
 層(B)の製膜方法は、特に限定されず、使用 る材料に応じて従来公知の製膜方法を利用 ればよい。
 層(B)として、樹脂(b)を用いる場合、湿式コ ティング法により製膜してもよく、フィル をプレス成形することにより製膜しても良 。また蒸着、CVD、スパッタリング等のドラ プロセスにて製膜しても良い。特に、製膜 ロセスの観点から湿式コーティング法によ 製膜することが好ましい。

 層(B)を湿式コーティング法により製膜する 合、樹脂(b)としては、溶媒に可溶なもの、 ましくは、25℃で、使用する溶媒に対して5 量%以上の濃度で溶解する溶解度を有するも のが用いられる。該溶解度が5質量%未満であ と、良好なコーティング膜を得ることが難 い。該溶解度は、10質量%以上が好ましく、1 5質量%以上がより好ましい。該溶解度の上限 しては、溶液粘度の上昇により濾過性や製 性が悪化することを考慮すると、50質量%が ましく、30質量%がより好ましい。
 コーティング法による層(B)の製膜は、層(A) 形成方法として挙げた、コーティング膜を 膜する方法と同様の方法により実施できる すなわち、樹脂(b)を溶媒に溶解してコーテ ング用組成物を調製し、該コーティング用 成物を基板または層(A)の表面にコーティン し、ベーク等により乾燥させることにより 施できる。
 該コーティング用組成物には、シランカッ リング剤を配合してもよい。これにより、 該コーティング用組成物を用いて形成され コーティング膜(層(B))は、基板または層(A) の密着性に優れる。該シランカップリング としては前述と同様のものを用いることが きる。
 また、コーティング用組成物として、樹脂( b)のモノマー又はプレポリマーを溶媒に溶解 たものを調製し、該コーティング用組成物 基板または層(A)の表面にコーティングした 、熱、光、電子線等の外部エネルギーを与 て硬化させ、層(B)を硬化膜として得てもよ 。

 層(B)として、無機物(c)を用いる場合、層(B) 、塗布法、ゾルゲル法のような湿式法にて 膜してもよく、スパッタリング法、蒸着法 CVD法等のドライプロセスにて製膜してもよ 。
 湿式法により酸化ケイ素膜を形成する場合 例を以下に挙げる。例えば、テトラアルコ シシラン、アルキルトリアルコキシシラン どの加水分解性シラン化合物、加水分解性 ラン化合物の部分加水分解縮合物、ポリシ ザン等を前記プロトン性溶媒、若しくは非 ロトン性溶媒に溶解して塗布し、大気中で 成することで、酸化ケイ素膜を形成する方 が好ましく用いられる。湿式法を用いる場 は、エレクトレット特性の観点から、非水 で行うことが好ましい。非水系での製膜方 としては、酸化ケイ素膜を形成する場合を に挙げると、ポリシラザンのキシレン溶液 塗布し、大気中で焼成することで、酸化ケ 素膜を形成する方法が好ましく用いられる この場合の焼成温度は150℃~600℃が好ましく 、層(A)との線膨張係数の違いによる割れを防 止する観点から180~450℃がより好ましい。
 本発明におけるポリシラザンとしては、例 ば特開平9-31333号公報や該公報記載の引用文 献に記載のポリシラザン及び変性ポリシラザ ンが使用できる。

<積層体>
 本発明における積層体は、直接積層された (A)および層(B)を必須の構成単位として含有 る。また、本発明においては、当該積層体 電荷を注入してエレクトレットとする際に 電荷が注入される側と反対側の最表面に層( B)が配置される。また、当該積層体は、層(B) して、該最表面以外の位置に配置された層( B)を有していてもよい。
 該積層体は、層(A)および層(B)のみから構成 れてもよく、その他の層を含んでいてもよ 。該その他の層としては、金属層、前記シ ンカップリング剤等による有機単分子膜層 が挙げられる。これらの層は、従来公知の 法により形成できる。

 積層体としては、製膜プロセス上の観点か 、n A 層の層(A)と、n B 層の層(B)とが交互に積層された(n A +n B )層の積層体が好ましい。ここで、n A は1~5の整数であり、n B は1~5の整数であり、n A -n B の値が-1又は0である。特にn A は1または2であることが好ましく、n B も1または2であることが好ましく、n A -n B の値は、0であることが好ましい。
 かかる積層体の好ましい具体例としては、 荷が注入される側と反対側から、層(B)、層( A)の順で積層された(以下、層(B)/層(A)と記し 他の積層体についても同様に記す。)2層積層 体;層(B)/層(A)/層(B)の3層積層体;層(B)/層(A)/層(B )/層(A)の4層積層体等が挙げられる。

 積層体の形状、大きさは、所望のエレクト ットの形状、大きさに応じて適宜設定すれ よい。エレクトレットは一般的に厚さ1~200μ mの膜として用いられることから、当該積層 としては、厚さ1~200μmの膜であることが好ま しい。該積層体の厚さは、エレクトレットし ての特性、及び加工する上で有利であること から3~50μmが好ましく、5~20μmが特に好ましい
 また、前記積層体において、層(B)の厚さ(1 あたりの厚さ)は、上記効果に優れることか 、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好 しく、2μm以上が最も好ましい。該厚さの上 限は、表面電荷密度の向上及び製膜プロセス 上の観点から、20μmが好ましく、10μmがより ましい。
 層(A)の厚さ(1層あたりの厚さ)は、特に限定 れず、当該積層体全体の厚さ、層(A)の数等 考慮して適宜設定すればよい。エレクトレ トの電荷保持性能、耐熱性等を考慮すると 3~50μmが好ましく、5~20μmがより好ましい。
 層(A)および層(B)の各層の厚さ、ならびに当 積層体全体の厚さは、光干渉式膜厚測定装 により測定できる。

 本発明のエレクトレットは、基板上に、前 積層体を、前記層(B)が該基板と直接接する うに形成する工程(積層体形成工程)と、該 層体に、前記基板側とは反対側から電荷を 入してエレクトレットとする工程(電荷注入 程)とを有する方法により製造できる。
 積層体形成工程において、上記積層体は、 板上に、層(B)が当該基板と直接接するよう 、層(B)および層(A)を順次積層することによ 形成できる。たとえば、基板上に、まず層( B)を形成し、該層(B)上に層(A)を積層すること より2層積層体を形成できる。また、3層以 の積層体の場合、基板側から、層(B)および (A)を順次、所望の積層数に応じて交互に積 することにより、所定の積層数の積層体を 成できる。また、このとき、任意にその他 層を積層してもよいが、積層体は、少なく も、層(A)と層(B)とが直接積層された積層体 含む。そして、電荷が注入される側と反対 の最表面に層(B)が配置される。
 基板としては、得られた積層体に電荷を注 する際にアースに接続できるような基板で れば、材質を選ばずに用いることができる 好ましい材質としては、例えば、金、白金 銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の 電性の金属が挙げられる。また、材質が導 性の金属以外のもの、たとえばガラス等の 機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポ イミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂 の絶縁性材料であっても、その表面にスパ タリング、蒸着、ウエットコーティング等 方法で金属膜をコーティングしたものであ ば基板として用いることができる。またシ コン等の半導体材料も同様の表面処理を行 たものであるか、または半導体材料そのも の抵抗値が低いものであれば基板として用 ることができる。基板材料の抵抗値として 体積固有抵抗値で0.1ωcm以下であることが好 ましく、特に0.01ωcm以下であることがより好 しい。
 当該基板は表面が平滑な平板でもよく、凹 を形成したものでもよい。また、様々な形 に表面がパターニングされていても良い。 に上記絶縁性基板を用いる場合に、絶縁性 板そのものに凹凸またはパターンを形成し も良いし、表面にコーティングされた金属 に凹凸又はパターンを形成しても良い。
 当該基板に凹凸またはパターンを形成する 法としては、従来公知の方法が利用でき、 に限定されない。凹凸またはパターンを形 する方法としては、真空プロセス、湿式プ セスのどちらを用いても良い。かかる方法 具体例としては、真空プロセスとして、マ クを介したスパッタリング法、マスクを介 た蒸着法、湿式プロセスとして、ロールコ ター法、キャスト法、ディッピング法、ス ンコート法、水上キャスト法、ラングミュ ・ブロジェット法、ダイコート法、インク ェット法、スプレーコート法等が挙げられ 。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平 印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷 などの印刷技術も用いることができる。さ に、微細な凹凸またはパターンを形成する 法としては、ナノインプリント法、フォト ソグラフィ法なども用いることができる。

 層(A)および層(B)ならびにその他の層を積層 る方法としては、前述のコーティング法等 よる製膜を単純に繰り返してもよく、また 製膜を繰り返す間に、下地に表面処理を施 ても良い。
 該表面処理としては、前述のシランカップ ング剤をコーティングする方法、プラズマ 理により表面を親水化または粗化する方法 どを適用することができる。
 シランカップリング剤をコーティングする 合には、前述のシランカップリング剤を前 のプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒また プロトン性含フッ素溶媒に溶解し、前述と 様のコーティング方法により塗布すること より当該表面処理を行うことができる。
 また、プラズマ処理により表面を親水化ま は粗化する場合には、酸素、窒素、アルゴ 、メタン、CHF 3 、CF 4 等のガスを用いたプラズマ処理が適用可能で ある。これらのガスはそれぞれ単独で用いて もよく、また、適当に混合して用いても良い 。該プラズマ処理においては、下地の膜厚減 少を最小にするために、酸素、窒素、アルゴ ン、メタンガスまたはこれらの混合ガスを用 いることがより好適である。

 基板として銅基板、低抵抗値のシリコン基 等の低抵抗値の基板を用いた場合、後述す ように、該基板上に形成された積層体を基 から剥離せず、そのまま当該積層体に電荷 注入してエレクトレットとすることができ 。
 上述のように、基板上に層(B)および層(A)を 次積層することにより作製される積層体は 層(B)が基板に接している。そのため、上記 ように基板上の積層体に対して電荷を注入 てエレクトレットとする際には、該積層体 、電荷が注入される側と反対側の最表面に (B)が配置されることになる。層(B)がかかる 置となっていることにより、本発明の効果 充分に得られる。
 また、当該積層体の、電荷が注入される側 最表面に配置されるのは、層(A)であっても く、層(B)であってもよい。本発明の効果に れることから、当該積層体の、電荷が注入 れる側の最表面には層(A)が配置されること 好ましい。

 電荷注入工程において、積層体へ電荷を注 する方法としては、一般的に絶縁体を帯電 せる方法であれば手段を選ばずに用いるこ ができる。例えば、G.M.Sessler,Electrets Third E dition,p20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods (Laplacian Press,1998))に記載のコロナ放電法、 子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放 線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接 帯電法などが適用可能である。特に本発明 エレクトレットではコロナ放電法、電子ビ ム衝突法を用いることが好ましい。
 また、電荷を注入する際の温度条件として 、樹脂(a)のガラス転移温度以上で行うこと 、注入後に保持される電荷の安定性の面か 好ましく、特に(該ガラス転移温度+10)~(該ガ ラス転移温度+20℃)程度の温度条件で行うこ が好ましい。さらに、電荷を注入する際の 加電圧としては、積層体の絶縁破壊電圧以 であれば、高圧を印加することが好ましい 本発明における積層体の印加電圧は、正電 では6~30kV、好ましくは8~15kVであり、負電荷 は-6~-30kV、好ましくは-8~-15kVである。樹脂(a) は、正電荷より負電荷をより安定に保持で ることから、-8~-15kVの電圧印加をすること さらに好ましい。
 電荷の注入後、エレクトレットはそのまま 板とともに静電誘導型変換素子に用いても く、基板から剥離して静電誘導型変換素子 用いてもよい。

 本発明のエレクトレットは、電気エネルギ と運動エネルギーとを変換する静電誘導型 換素子として好適である。
 静電誘導型変換素子としては、振動型発電 、アクチュエータ、センサー等が挙げられ 。これらの静電誘導型変換素子の構造は、 レクトレットとして本発明のエレクトレッ が用いられる以外は従来公知のものと同様 あってよい。

 本発明のエレクトレットは、従来のエレク レットに比べて、エレクトレットとしての 荷保持を担う部分(前記層(A))の膜厚が薄く も、表面電位を高くすることができる。ま 、層(A)および層(B)のそれぞれの膜厚が薄く もよいため、コーティング等による膜形成 の膜厚ムラを軽減、または無くすことがで る。このことにより、当該エレクトレット 表面電位のムラも無くすことができ、電荷 らつきが少なく、かつ表面電位の高いエレ トレット膜を得ることができる。
 そのため、該エレクトレットを使用した静 誘導型変換素子は、電気エネルギーと運動 ネルギーとの変換効率が向上しており、優 た性能を有する。
 かかる効果が得られる理由は明確ではない 、次のように説明することができる。すな ち、本発明のエレクトレットにおいて、層( B)は、エレクトレットとしての電荷保持性が い樹脂(a)とは異なる材料(樹脂(b)または無機 物(c))を含み、電荷保持性が比較的低いと考 られる。このような電荷保持性の低い層(前 層(B))が、電荷保持性が高く、エレクトレッ トとしての電荷保持を担う層(前記層(A))と抵 値の低い(導電性の高い)基板との間に挿入 れる。その結果、前記層(A)が直接基板と接 ないため、基板を通じた電荷の減衰を防ぐ とができ、層(A)の膜厚が薄くても充分に電 を保持できるためと推察される。

 以下に、上記実施形態の具体例を実施例と て説明する。なお、本発明は、以下の実施 に限定して解釈されるものではない。
 また以下の各例ではエレクトレットを形成 る基板としては、低抵抗のシリコン基板(体 積固有抵抗値0.003~0.007ωcm。以下の例では本基 板を「シリコン基板」と記す。)及び銅基板 用いた。
 また、以下の各例で、各層の膜厚の測定は 浜松ホトニクス社製の光干渉式膜厚測定装 C10178を用いて行った。

[製造例1:重合体組成物溶液M1の調製]
(1)重合体溶液の調製
 パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF=CF 2 )の45g,イオン交換水の240g,メタノールの16g,及 重合開始剤として、ジイソプロピルパーオ シジカーボネート粉末(((CH 3 ) 2 CHOCOO) 2 )の0.2gを内容積1Lの耐圧ガラス製オートクレ ブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、4 0℃で23時間懸濁重合を行った。その結果、重 合体A1の40gを得た。この重合体の赤外線吸収 ペクトルを測定したところ、モノマーに存 した二重結合に起因する1660cm -1 ,1840cm -1 付近の吸収は確認できなかった。
 重合体A1を空気中で250℃で8時間熱処理後、 中に浸漬して末端基として-COOH基を有する 合体A2を得た。該重合体の圧縮成形フィルム の赤外線吸収スペクトルを測定した結果、-CO OH基に由来する1775、1810cm -1 の特性吸収が認められた。また、この重合体 の固有粘度[η](30℃)は0.24dl/gであった。
 重合体A2の体積固有抵抗値は、>10 17 ωcm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2 .1であった。
 重合体A2について示差走査熱分析(DSC)を行っ たところ、重合体A2のガラス転移温度(Tg)は108 ℃であった。
 パーフルオロトリブチルアミンに、上記重 体A2を15質量%の濃度で溶解させ、重合体溶 P1を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
 上記重合体溶液P1の84.6gに、パーフルオロト リブチルアミンの10.6gを加えた溶液と、γ-ア ノプロピルメチルジエトキシシランの0.4gを 、2-(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.7g 溶解したシランカップリング剤溶液とを混 し、均一な重合体組成物溶液M1を得た。
[実施例1:エレクトレットAの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、ポリア ック酸(東レ社製 セミコファインSP483、ポ イミド化後のガラス転移温度350℃以上)の12 量%N-メチルピロリドン(NMP)溶液をスピンコー ト法によりコーティングした。その後、200℃ で5時間熱処理し、ポリイミド化させること より、膜厚5μmのコーティング膜(以下、ポリ イミド膜という。)を形成した。次に、ポリ ミド膜上に、重合体組成物溶液M1をスピンコ ート法によりコーティングした。その後、200 ℃でベークして乾燥させることにより、総膜 厚10μmの表面が平滑な積層膜A[基板側から、 (B):5μm/層(A):5μmの順で積層された2層積層体] 得た。

 得られた積層膜Aに、コロナ放電にて電荷 を注入することによりエレクトレットAとし 。電荷の注入は、図1に概略構成図を示すコ ナ荷電装置を用い、120℃にて、荷電電圧-8kV 、荷電時間3分の条件で、以下の手順により った。すなわち、基板(本実施例ではシリコ 基板)(10)を電極として、直流高圧電源装置(1 2)(HAR-20R5;松定プレシジョン製)により、コロ 針(14)と基板(10)との間に-8kVの高電圧をかけ ことにより、基板(10)上に形成された積層膜A (11)に電荷を注入した。このコロナ荷電装置 おいては、コロナ針(14)から放電した負イオ はグリッド(16)で均一化された後、積層膜A(1 1)上に降り注ぎ、電荷が注入される。なお、 リッド(16)には、グリッド用電源(18)から-600V の電圧を印加した。

[実施例2:エレクトレットBの製造]
 3cm角、厚さ350μmの銅基板に、実施例1と同様 にして、膜厚5μmのポリイミド膜を形成した 次に、該ポリイミド膜の表面に、実施例1と 様の方法にて、重合体組成物溶液M1をスピ コート法により膜厚10μmにてコーティングし 、総膜厚15μmの表面が平滑な積層膜B[基板側 ら、層(B):5μm/層(A):10μmの順で積層された2層 層体]を得た。
 得られた積層膜Bに、実施例1と同じ手順に り電荷を注入してエレクトレットBとした。

[実施例3:エレクトレットCの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1 と同様にして、膜厚0.3μmのポリイミド膜を形 成した。次に、該ポリイミド膜の表面に、実 施例1と同様の方法にて、重合体組成物溶液M1 をスピンコート法により膜厚14.7μmにてコー ィングし、総膜厚15μmの積層膜C[基板側から 層(B):0.3μm/層(A):14.7μmの順で積層された2層 層体]を得た。積層膜Cは、表面平滑性におい て、わずかに不均一な部分が見られた。
 得られた積層膜Cに、実施例1と同じ手順に り電荷を注入してエレクトレットCとした。

[実施例4:エレクトレットDの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、ポリシ ザンの20質量%キシレン溶液(クラリアントジ ャパン社製 DEN-3)をスピンコート法によりコ ティングした。その後、200℃で12時間焼成 ることにより、基板上に酸化ケイ素膜を膜 2.2μmにて形成した。続いて、実施例1と同様 方法にて、重合体組成物溶液M1をスピンコ ト法により膜厚12.8μmにてコーティングし、 膜厚15μmの表面がほぼ平滑な積層膜D[基板側 から、層(B):2.2μm/層(A):12.8μmの順で積層され 2層積層体]を得た。
 この積層膜Dに、実施例1と同じ手順により 荷を注入してエレクトレットDとした。

[実施例5:エレクトレットEの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、ポリカ ボネート(ゼネラルエレクトリック社製 LEXA N、ガラス転移温度146℃)の10質量%m-キシレン 液をスピンコート法によりコーティングし 。その後、160℃で1時間ベークして乾燥させ ことにより、基板上にポリカーボネート膜 膜厚5μmにて形成した。続いて、実施例1と 様の方法にて、重合体組成物溶液M1をスピン コート法により膜厚10μmにてコーティングし 総膜厚15μmの表面がほぼ平滑な積層膜E[基板 側から、層(B):5μm/層(A):10μmの順で積層された 2層積層体]を得た。
 この積層膜Eに、実施例1と同じ手順により 荷を注入してエレクトレットEとした。

[比較例1:エレクトレットFの製造]
(層(B)にシクロオレフィンポリマーを用いた 合)
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、シクロ レフィンポリマー(日本ゼオン社製 ZEONEX480 比誘電率2.3、ガラス転移温度138℃)の15質量% m-キシレン溶液をスピンコート法によりコー ィングした。その後、160℃で1時間ベークし て乾燥させることにより、膜厚5μmのコーテ ング膜を形成した。続いて、実施例1と同様 方法にて、重合体組成物溶液M1をスピンコ ト法により膜厚5μmにてコーティングし、総 厚10μmの表面が平滑な積層膜F[基板側から、 層(B):5μm/層(A):5μmの順で積層された2層積層体 ]を得た。
 この積層膜Fに、実施例1と同じ手順により 荷を注入してエレクトレットFとした。

[比較例2:エレクトレットGの製造]
 パーフルオロトリブチルアミンに、製造例1 の重合体A2を25質量%の濃度で溶解させ、重合 溶液P2を得た。上記重合体溶液P2の27.6gに、 ーフルオロトリブチルアミンの1.1gを加えた 溶液と、γ-アミノプロピルメチルジエトキシ シランの0.2gを、2-(パーフルオロヘキシル)エ ノールの1.2gに溶解したシランカップリング 剤溶液とを混合し、均一な重合体組成物溶液 M2を得た。
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、重合体 成物溶液M2をスピンコート法によりコーテ ングした。その後、200℃でベークして乾燥 せることにより、膜厚15μmのコーティング膜 Gを形成した。当該コーティング膜Gは、前記 層膜A~Eと比較して不均一な部分が多く、表 平滑性が低い膜であった。
 このコーティング膜Gに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットGとし 。

[比較例3:エレクトレットHの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1 で用いた重合体組成物溶液M1をスピンコート によりコーティングした。その後、200℃で ークして乾燥させることにより、膜厚10μm コーティング膜Hを形成した。コーティング Hは、表面がほぼ平滑であった。
 このコーティング膜Hに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットHとし 。

[比較例4:エレクトレットIの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1 で用いた重合体組成物溶液M1をスピンコート によりコーティングした。その後、200℃で ークして乾燥させることにより、膜厚5μmの コーティング膜Iを形成した。コーティング Iは、表面が平滑であった。
 このコーティング膜Iに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットIとし 。

[比較例5:エレクトレットJの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1 で用いた重合体組成物溶液M1をスピンコート によりコーティングした。その後、200℃で ークして乾燥させることにより、膜厚3μmの コーティング膜Jを形成した。コーティング Jは、表面が平滑であった。
 このコーティング膜Jに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットJとし 。

[比較例6:エレクトレットKの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1 と同様にして、膜厚15μmのポリイミド膜(コー ティング膜K)を形成した。当該コーティング Kは、不均一な部分が多く、表面平滑性が低 い膜であった。
 このコーティング膜Kに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットKとし 。

[比較例7:エレクトレットLの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例4 と同様にして、膜厚3μmの酸化ケイ素膜(コー ィング膜L)を形成した。コーティング膜Lは 表面が平滑であった。
 このコーティング膜Lに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットLとし 。

[比較例8:エレクトレットMの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例5 と同様にして、膜厚5μmのポリカーボネート (コーティング膜M)を形成した。コーティン 膜Mは、表面が平滑であった。
 このコーティング膜Mに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットMとし 。

[比較例9:エレクトレットNの製造]
 3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、比較例1 と同様にして、膜厚15μmのシクロオレフィン リマー膜(コーティング膜N)を形成した。当 コーティング膜Nは、不均一な部分が多く、 表面平滑性が低い膜であった。
 このコーティング膜Nに、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットNとし 。

[試験例1:荷電試験]
 上記で得たエレクトレットA~Nについて、以 の手順により荷電試験を行った。
 荷電電圧-8kV、荷電時間3分の条件でのコロ 荷電により電荷を注入した直後のエレクト ットA~Nについて、それぞれ、常温(25℃)に戻 て、その表面電位値(初期表面電位値)を測 した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RH で200時間保管した後、常温に戻してその表面 電位(200時間後表面電位値)を測定した。その 果を表1に示す。
 表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンロー エレクトロニクス社製)を用い、各エレクト ットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子 状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、 れらの平均値として求めた。

 表1の結果より、初期及び200時間後の表面電 位値から判断して、エレクトレットAは、エ クトレットF、およびHに対して、総膜厚は同 じであるが、表面電位値、および表面電荷密 度値の向上が認められた。
 また、エレクトレットB~Eは、エレクトレッ G、K、およびNに対して、総膜厚は同じであ が、表面電位値の向上が認められた。また コーティング膜の表面平滑性に関してもエ クトレットB~Eは、エレクトレットG、K、お びNに対して、表面平滑性に優れた膜であっ 。
 なお、エレクトレットK、L、およびMは、そ ぞれ、同じ膜厚のエレクトレットG、J、お びIと比較して、電荷保持量、および電荷安 性が共に低いエレクトレットであった。
 また、エレクトレットNは、エレクトレット Gと比較して、電荷保持量は低いが、電荷安 性は同等のエレクトレットであった。

 本発明のエレクトレットは、表面電位を高 することができ、表面電荷密度が高く、該 レクトレットを使用した静電誘導型変換素 は、電気エネルギーと運動エネルギーとの 換効率が向上しており、優れた性能を有す 振動型発電機、アクチュエータ、センサー どとして有用である。

 なお、2008年4月17日に出願された日本特許出 願2008-107717号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。

 10…基板、11…コーティング膜、12…直流 圧電源装置、14…コロナ針、16…グリッド、 17…電流計、18…グリッド用電源、19…ホット プレート。