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Patent Searching and Data


Title:
COPPER FOIL FOR PRINTED CIRCUIT AND COPPER CLAD LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041292
Kind Code:
A1
Abstract:
With the development of electronic equipment, in semiconductor devices, the size has been further reduced, and the integration density has been further increased. This tendency has led to a demand for the adoption of a higher temperature in treatment in a production process of printed circuits. Further, in electronic equipment using the printed circuits, heat is generated during its use. This invention provides a technique that, even under these circumstances, does not cause a lowering in bonding strength between a copper foil and a resin base material and, further, in soft etching of a copper foil circuit, can effectively prevent penetration in a circuit edge part. Specifically, this invention provides a copper foil for a printed circuit, comprising a copper foil, a roughened layer of a copper-cobalt-nickel alloy plating provided on a surface of the copper foil, a cobalt-nickel alloy plating layer provided on the roughened layer, and a zinc-nickel alloy plating layer provided on the cobalt-nickel alloy plating layer. The copper foil for a printed circuit is characterized in that the total coverage of the zinc-nickel alloy plating layer is 150 to 500 μg/dm2, and the alloy layer has a nickel ratio range of 0.16 (lower limit) to 0.40 (upper limit) and a nickel content of not less than 50 µg/dm2.

Inventors:
HIGUCHI NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066518
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON MINING CO (JP)
HIGUCHI NAOKI (JP)
International Classes:
C25D7/06; B32B15/08; C23C28/00; C25D9/08; H05K3/00; H05K3/38
Foreign References:
JPH0987889A1997-03-31
JPS52145769A1977-12-05
JPS632158B21988-01-18
JP11222789A1989-05-02
JP11222689A1989-05-02
JPH0654831B21994-07-20
JP2849059B21999-01-20
JPS6015654B21985-04-20
Other References:
See also references of EP 2216427A4
Attorney, Agent or Firm:
OGOSHI, Isamu (Daini-Toranomon Denki Bldg. 5F,3-1-10 Toranomon,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 銅箔の表面に、銅-コバルト-ニッケル合金めっきによる粗化処理層、当該粗化処理層の上に形成されたコバルト-ニッケル合金めっき層及び当該コバルト-ニッケル合金めっき層の上に、亜鉛-ニッケル合金めっき層を備えた印刷回路用銅箔において、 前記亜鉛-ニッケル合金めっき層の総量が150~500μg/dm 2 の範囲、ニッケル量が50μg/dm 2 以上の範囲、かつニッケル比率が0.16~0.40の範囲にある亜鉛-ニッケル合金めっき層を備えていることを特徴とする印刷回路用銅箔。
 上記印刷回路銅箔を用いて基板上の形成された銅箔回路に、H 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%のエッチング水溶液を用いてソフトエッチングを行った際に、銅箔回路エッジ部の染み込みの量が9μm以下であることを特徴とする請求項1記載の印刷回路用銅箔。
 前記染み込み量が5μm以下であることを特徴とする請求項2記載の印刷回路用銅箔。
 前記亜鉛-ニッケル合金めっき層上に、防錆処理層を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔。
 防錆処理がクロム酸化物の単独皮膜処理若しくはクロム酸化物と亜鉛及び(又は)亜鉛酸化物との混合皮膜処理層を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔。
 前記混合皮膜処理層上にさらにシランカップリング層を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔。
 前記印刷回路用銅箔において、銅箔の表面に付着量が15~40mg/dm 2 銅-100~3000μg/dm 2 コバルト-100~1000μg/dm 2 ニッケルの銅-コバルト-ニッケル合金めっきによる粗化処理層を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔。
 前記コバルト-ニッケル合金めっき層は、コバルトの付着量が200~3000μg/dm 2 であり、かつコバルトの比率が60~66質量%であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔。
 前記請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷回路銅箔を、接着剤を介さずに熱圧着により、樹脂基板と接着させた銅張積層板。
Description:
印刷回路用銅箔及び銅張積層板

 本発明は、印刷回路用銅箔及び銅張積層 に関するものであり、特には銅箔の表面に -コバルト-ニッケル合金めっきによる粗化 理後、コバルト-ニッケル合金めっき層及び 鉛-ニッケル合金めっき層を形成することに より、アルカリエッチング性を有し、しかも 良好な耐熱剥離強度及び耐熱酸化性等を具備 する印刷回路用銅箔及び銅張積層板に関する ものであり、特に回路を形成した後のソフト エッチングの際に、回路の根元に、エッチン グ液の染み込みが発生するのを抑制できる印 刷回路用銅箔及び銅張積層板に関する。本発 明銅箔は、例えばファインパターン印刷回路 及び磁気ヘッド用FPC( Flexible Printed Circuit ) して特に適する。

 銅及び銅合金箔(以下銅箔と称する)は、電 ・電子関連産業の発展に大きく寄与してお 、特に印刷回路材として不可欠の存在とな ている。印刷回路用銅箔は一般に、合成樹 ボード、フィルム等の基材に接着剤を介し 、又は接着剤を使用せずに高温高圧下で積 接着して銅張積層板を製造し、その後目的 する回路を形成するために、レジスト塗布 び露光工程を経て必要な回路を印刷した後 不要部を除去するエッチング処理が施され 。
 最終的に、所要の素子が半田付けされて、 レクトロニクスデバイス用の種々の印刷回 板を形成する。印刷回路板用銅箔に関する 質要求は、樹脂基材と接着される面(粗化面 )と非接着面(光沢面)とで異なり、それぞれに 多くの方法が提唱されている。

 例えば、粗化面に対する要求としては、 として、1)保存時における酸化変色のない と、2)基材との引き剥し強さが高温加熱、湿 式処理、半田付け、薬品処理等の後でも充分 なこと、3)基材との積層、エッチング後に生 る所謂積層汚点のないこと等が挙げられる

 粗化処理は銅箔と基材との接着性を決定す ものとして、大きな役割を担っている。粗 処理としては、当初銅を電着する銅粗化処 が採用されていたが、その後様々の技術が 唱され、特に耐熱剥離強度、耐塩酸性及び 酸化性の改善を目的として銅-ニッケル粗化 処理が一つの代表的処理方法として定着する ようになった。
 本件出願人は、銅-ニッケル粗化処理を提唱 し(特許文献1参照)、成果を納めてきた。銅- ッケル処理表面は黒色を呈し、特にフレキ ブル基板用圧延処理箔では、この銅-ニッケ 処理の黒色が商品としてのシンボルとして められるに至っている。

 しかしながら、銅-ニッケル粗化処理は、耐 熱剥離強度及び耐酸化性並びに耐塩酸性に優 れる反面で、近時ファインパターン用処理と して重要となってきたアルカリエッチング液 でのエッチングが困難であり、150μmピッチ回 路巾以下のファインパターン形成時に処理層 がエッチング残となってしまう。
  そこで、ファインパターン用処理として 本件出願人は、先にCu-Co処理(特許文献2及び 許文献3参照)及びCu-Co-Ni処理(特許文献4参照) を開発した。これら粗化処理は、エッチング 性、アルカリエッチング性及び耐塩酸性につ いては良好であったが、アクリル系接着剤を 用いたときの耐熱剥離強度が低下することが 改めて判明し、また耐酸化性も所期程充分で はなくそして色調も黒色までには至らず、茶 ~こげ茶色であった。

 最近の印刷回路のファインパターン化及 多様化への趨勢にともない、1)Cu-Ni処理の場 合に匹敵する耐熱剥離強度(特にアクリル系 着剤を用いたとき)及び耐塩酸性を有するこ 、2)アルカリエッチング液で150μmピッチ回 巾以下の印刷回路をエッチングできること 3)Cu-Ni処理の場合と同様に、耐酸化性(180℃×3 0分のオーブン中での耐酸化性)を向上するこ 、4)Cu-Ni処理の場合と同様の黒化処理である ことが更に要求されるようになった。

 即ち、回路が細くなると、塩酸エッチング により回路が剥離し易くなる傾向が強まり その防止が必要である。回路が細くなると 半田付け等の処理時の高温により回路がや り剥離し易くなり、その防止もまた必要で る。ファインパターン化が進む現在、例え CuCl 2 エッチング液で150μmピッチ回路巾以下の印刷 回路をエッチングできることはもはや必須の 要件であり、レジスト等の多様化にともない アルカリエッチングも必要要件となりつつあ る。黒色表面も、位置合わせ精度及び熱吸収 を高めることの点で銅箔の製作及びチップマ ウントの観点から重要となっている。

 こうした要望に答えて、本出願人は、銅箔 表面に銅-コバルト-ニッケル合金めっきに る粗化処理後、コバルトめっき層或いはコ ルト-ニッケル合金めっき層を形成すること より、印刷回路銅箔として上述した多くの 般的特性を具備することはもちろんのこと 特にCu-Ni処理と匹敵する上述した諸特性を 備し、しかもアクリル系接着剤を用いたと の耐熱剥離強度を低下せず、耐酸化性に優 そして表面色調も黒色である銅箔処理方法 開発することに成功した(特許文献5参照)。
 好ましくは、前記コバルトめっき層或いは バルト-ニッケル合金めっき層を形成した後 に、クロム酸化物の単独皮膜処理或いはクロ ム酸化物と亜鉛及び(又は)亜鉛酸化物との混 皮膜処理を代表とする防錆処理が施される

 その後、電子機器の発展が進む中で、半導 デバイスの小型化、高集積化が更に進み、 れらの印刷回路の製造工程で行われる処理 一段と高温となりまた製品となった後の機 使用中の熱発生により、銅箔と樹脂基材と 間での接合力の低下があらためて問題とな ようになった。
 このようなことから、特許文献5において確 立された銅箔の表面に銅-コバルト-ニッケル 金めっきによる粗化処理後、コバルトめっ 層或いはコバルト-ニッケル合金めっき層を 形成する印刷回路用銅箔の処理方法において 、さらに該粗化処理後コバルトめっき層より 耐熱劣化性に優れるコバルト-ニッケル合金 っき層を形成する場合に、耐熱剥離性を更 一層改善する発明を行った。

 これは、銅箔の表面に銅-コバルト-ニッケ 合金めっきによる粗化処理後、コバルト-ニ ケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛-ニッ ケル合金めっき層を形成する印刷回路用銅箔 の処理方法である。非常に有効な発明であり 、今日の、銅箔回路材料の主要製品の一つと なっている。
 本願発明は、この銅箔回路材料をさらに改 するものである。上記のように銅箔回路は 一段と細線化されているが、基板上で一旦 路を形成した後、銅回路の上表面を硫酸と 酸化水素を含有するエッチング液によりソ トエッチングする工程が行われているが、 の工程において、ポリイミド等の樹脂基板 銅箔の接着部のエッジ部にエッチング液が み込むという問題が生じた。
 これは、銅箔の処理面の一部が侵食されて るとも言える。このような侵食は、微細な 路においては、銅箔と樹脂との接合力を低 させるので、重要な問題である。これを解 することが要求されている。

特開昭52-145769号公報

特公昭63-2158号公報

特願平1-112227号公報

特願平1-112226号公報

特公平6-54831号公報

特許第2849059号公報

 電子機器の発展が進む中で、半導体デバ スの小型化、高集積化が更に進み、これら 印刷回路の製造工程で行われる処理が一段 高温となりまた製品となった後の機器使用 の熱発生により、銅箔と樹脂基材との間で 接合力の低下があらためて問題となるよう なった。本発明の課題は、本出願人による 許(特許文献6)において確立された印刷回路 銅箔をさらに改良するものであり、銅箔回 のソフトエッチングの際に、回路エッジ部 染み込みを防止できる技術を提供すること 課題とする。また、同時に従来の特性を維 することも重要である。以上のことから、 の有用な特許を前提とした説明を行うこと する。

 本願発明は、
1)銅箔の表面に、銅-コバルト-ニッケル合金 っきによる粗化処理層、当該粗化処理層の に形成されたコバルト-ニッケル合金めっき 及び当該コバルト-ニッケル合金めっき層の 上に、亜鉛-ニッケル合金めっき層を備えた 刷回路用銅箔において、 前記亜鉛-ニッケ 合金めっき層の総量が150~500μg/dm 2 の範囲、ニッケル量が50μg/dm 2 以上の範囲、かつニッケル比率が0.16~0.40の範 囲にある亜鉛-ニッケル合金めっき層を備え いることを特徴とする印刷回路用銅箔。
2)上記印刷回路銅箔を用いて基板上の形成さ た銅箔回路に、H 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%のエッチング水溶液を用いてソフトエッ ングを行った際に、銅箔回路エッジ部の染 込みの量が9μm以下であることを特徴とする 上記1)記載の印刷回路用銅箔
3)前記染み込み量が5μm以下であることを特徴 とする上記2)記載の印刷回路用銅箔
4)前記亜鉛-ニッケル合金めっき層上に、防錆 処理層を備えていることを特徴とする上記1)~ 3)のいずれか一項に記載の印刷回路用銅箔
5)防錆処理がクロム酸化物の単独皮膜処理若 くはクロム酸化物と亜鉛及び(又は)亜鉛酸 物との混合皮膜処理層を備えていることを 徴とする上記1)~4)のいずれか一項に記載の印 刷回路用銅箔
6)前記混合皮膜処理層上にさらにシランカッ リング層を備えていることを特徴とする上 1)~5)のいずれか一項に記載の印刷回路用銅
7)前記印刷回路用銅箔において、銅箔の表面 付着量が15~40mg/dm 2 銅-100~3000μg/dm 2 コバルト-100~500μg/dm 2 ニッケルの銅-コバルト-ニッケル合金めっき よる粗化処理層を備えていることを特徴と る上記1)~6)のいずれか一項に記載の印刷回 用銅箔
8)前記コバルト-ニッケル合金めっき層は、コ バルトの付着量が200~3000μg/dm 2 であり、かつコバルトの比率が60~66質量%であ ることを特徴とする上記1)~7)のいずれか一項 記載の印刷回路用銅箔
9)前記1)~8)のいずれか一項に記載の印刷回路 箔を、接着剤を介さずに熱圧着により、樹 基板と接着させた銅張積層板、を提供する

 電子機器の発展が進む中で、半導体デバ スの小型化、高集積化が更に進み、これら 印刷回路の製造工程で行われる処理が一段 高温となり、また製品となった後の機器使 中の熱発生があるが、このような状況の中 も、銅箔と樹脂基材との間での接合力が低 することなく、さらに銅箔回路のソフトエ チングの際に、回路エッジ部の染み込みを 果的に防止できるという優れた効果を有す 。

銅箔回路をソフトエッチング処理した 合の、回路の染み込みを説明する模式図で る。 実施例1~8、比較例1-7の条件で作製した 張積層板の、回路の染み込み量を観察した 果を示す図である。 亜鉛-ニッケル合金めっき量とニッケル比率 の関係において、染み込みの評価結果を示 図である。×は染み込み発生量が多い場合、 ○は染み込み量が少ない場合である。また、 この図3の、A-B-C-D-E-Fを結合した直線の右上の 範囲は、染み込み量が少ない範囲を示してい る。但し、めっき総量は500μg/dm 2 が上限で、Ni比率は0.40が上限である。 染み込み量と亜鉛-ニッケル合金めっき 量との関係を示す図である。 実施例9~12の条件で作製した銅張積層板 の、回路の染み込み量を観察した結果を示す 図である。 比較例8(E)、比較例9(F)及び実施例13(G)~15 (I)の条件で作製した銅張積層板の、回路の染 み込み量を観察した結果を示す図である。

 本発明において使用する銅箔は、電解銅箔 いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔 、樹脂基材と接着する面即ち粗化面には積 後の銅箔の引き剥し強さを向上させること 目的として、脱脂後の銅箔の表面に、「ふ こぶ」状の電着を行なう粗化処理が施され 。電解銅箔は製造時点で凹凸を有している 、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強し 凹凸を一層大きくする。
 本発明においては、この粗化処理は銅-コバ ルト-ニッケル合金めっきにより行なわれる 粗化前の前処理として銅の正常めっき等が そして粗化後の仕上げ処理として電着物の 落を防止するために銅の正常めっき等が行 われることもある。
 圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾 異にすることもある。本発明においては、 うした前処理及び仕上げ処理をも含め、銅 粗化と関連する公知の処理を必要に応じて め、総称して粗化処理と云うものとする。

 本発明における粗化処理としての銅-コバル ト-ニッケル合金めっきは、電解めっきによ 、付着量が15~40mg/dm 2 銅-100~3000μg/dm 2 コバルト-100~500μg/dm 2 ニッケルであるような3元系合金層を形成す ように実施される。Co付着量が100μg/dm 2 未満では、耐熱性が悪化し、エッチング性が 悪くなる。Co付着量が3000μg/dm 2 を超えると、磁性の影響を考慮せねばならな い場合には好ましくなく、エッチングシミが 生じ、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化が考 慮されうる。
 Ni付着量が100μg/dm 2 未満であると、耐熱性が悪くなる。他方、Ni 着量が500μg/dm 2 を超えると、エッチング性が低下する。すな わち、エッチング残ができ、またエッチング できないというレベルではないが、ファイン パターン化が難しくなる。好ましいCo付着量 2000~3000μg/dm 2 であり、そして好ましいニッケル付着量は200 ~400μg/dm 2 である。
 ここで、エッチングシミとは、塩化銅でエ チングした場合、Coが溶解せずに残ってし うことを意味し、そしてエッチング残とは 化アンモニウムでアルカリエッチングした 合、Niが溶解せずに残ってしまうことを意味 するものである。
 一般に、回路を形成する場合には、下記の 施例の中で説明するようなアルカリ性エッ ング液及び塩化銅系エッチング液を用いて われる。このエッチング液及びエッチング 件は、汎用性のあるものであるが、この条 に限定されることはなく、任意に選択でき ことは理解されるべきことである。

 こうした3元系銅-コバルト-ニッケル合金め きを形成するための一般的浴及びめっき条 は次の通りである。
(銅-コバルト-ニッケル合金めっき)
Cu:10~20g/リットル
 Co:1~10g/リットル
 Ni:1~10g/リットル
 pH:1~4
 温度:30~50°C
 電流密度D k  :20~50A/dm 2
 時間:1~5秒

 本発明は、粗化処理後、粗化面上にコバル -ニッケル合金めっき層を形成する。このコ バルト-ニッケル合金めっき層は、コバルト 付着量が200~3000μg/dm 2 であり、かつコバルトの比率が60~66質量%とす る。この処理は広い意味で一種の防錆処理と みることができる。
 このコバルト-ニッケル合金めっき層は、銅 箔と基板の接着強度を実質的に低下させない 程度に行なう必要がある。コバルト付着量が 200μg/dm 2 未満では、耐熱剥離強度が低下し、耐酸化性 及び耐薬品性が悪化する。また、もう一つの 理由として、処理表面が赤っぽくなってしま うので好ましくない。
 コバルト付着量が3000μg/dm 2 を超えると、磁性の影響を考慮せねばならな い場合には好ましくなく、エッチングシミが 生じ、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化が考 慮される。好ましいコバルト付着量は500~3000 g/dm 2 である。

 また、コバルト付着量が多いと、ソフトエ チングの染み込み発生の原因となる場合が る。このことからコバルトの比率が60~66質 %とするのが望ましいと言える。後述するよ に、ソフトエッチングの染み込み発生の直 の大きな原因は、亜鉛-ニッケル合金めっき 層からなる耐熱防錆層であるが、コバルトも ソフトエッチングの際の染み発生の原因にな ることもあるので、上記に調整することが、 より望ましいとする条件である。
 一方、ニッケル付着量が少ない場合には、 熱剥離強度が低下し、耐酸化性及び耐薬品 が低下する。また、ニッケル付着量が多す る場合には、アルカリエッチング性が悪く るので、上記コバルト含有量とのバランス 決めることが望ましい。
  コバルト-ニッケル合金めっきの条件は次 通りである。
(コバルト-ニッケル合金めっき)
Co:1~20g/リットル
  Ni:1~20g/リットル
  pH:1.5~3.5
  温度:30~80°C
  電流密度D k  :1.0~20.0A/dm 2
  時間:0.5~4秒

 本発明は、コバルト-ニッケル合金めっき上 に更に、亜鉛-ニッケル合金めっき層を形成 るが、亜鉛-ニッケル合金めっき層の総量を1 50~500μg/dm 2 とし、かつニッケルの比率を16~40質量%とする 。これは、耐熱防錆層という重要な役割を有 する。
 印刷回路の製造工程で行われる処理が一段 高温となり、また製品となった後の機器使 中の熱発生がある。例えば、樹脂に銅箔を 圧着で接合する、いわゆる二層材では、接 の際に300°C以上の熱を受ける。このような 況の中でも、銅箔と樹脂基材との間での接 力の低下を防止することが必要である。

 また、従来の技術では、樹脂に銅箔を熱圧 で接合した二層材における亜鉛-ニッケル合 金めっき層を備えた微小な回路では、ソフト エッチングの際に、回路のエッジ部に染み込 みによる変色が発生した。この様子を図1に す。この回路の染み込みは亜鉛が原因と考 られた。このことから、亜鉛-ニッケル合金 っき層では、亜鉛の増加は考えられないこ であった。
 しかし、この原因を究明したところ、樹脂 銅箔を熱圧着で接合した二層材では、300°C 上の熱を受けるために、銅箔の亜鉛-ニッケ ル合金めっき層中の亜鉛が銅層へ拡散する減 少が見られた。これは必然的に亜鉛-ニッケ 合金めっき層中の亜鉛が減少し、ニッケル 比率が高まるということでもある。ニッケ は、ソフトエッチングの際に使用するエッ ング剤(H 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%のエッチング水溶液)の染み込みを抑制す る効果がある。

 以上から、拡散によって消耗する亜鉛の量 け、亜鉛-ニッケル合金めっき層中の亜鉛量 を増加させること、したがって、亜鉛-ニッ ル合金めっき層の総量を増加させ、かつ同 鉛-ニッケル合金めっき層中のニッケル量を 所定量に維持することにより、亜鉛-ニッケ ル合金めっき層の持つ耐熱防錆層の役割を維 持するとともに、ソフトエッチングの際に使 用するエッチング剤の染み込みを抑制できる という知見を得た。これは従来にない新しい 知見であり、本願発明は、この点に着目した 有用な発明である。
 上記の通り、前記亜鉛-ニッケル合金めっき 層の総量を150~500μg/dm 2 とすると共に、当該合金層中のニッケル比率 の下限値を0.16に、上限値を0.40とし、かつニ ケルの含有量を50μg/dm 2 以上とすることが、耐熱防錆層という重要な 役割を備えると共に、ソフトエッチングの際 に使用するエッチング剤の染み込みを抑制し 、腐食に回路の接合強度の弱体化を防止する ものである。この条件が、本願発明の基本と なるものである。

 ここで、亜鉛-ニッケル合金めっき層の総量 が150μg/dm 2 未満では、耐熱防錆力が低下して耐熱防錆層 としての役割を担うことができず、同総量が 500μg/dm 2 を超えると、耐塩酸性が悪くなるためである 。
 また、合金層中のニッケル比率の下限値が0 .16未満では、ソフトエッチングの際の染み込 み量が9μmを超えるので、好ましくない。ニ ケル比率の上限値0.40については、亜鉛-ニッ ケル合金めっき層を形成できる技術上の限界 値であり、必然的なことである。

 さらに、本発明は、銅箔の表面に、銅-コバ ルト-ニッケル合金めっきによる粗化処理層 当該粗化処理層の上に形成されたコバルト- ッケル合金めっき層及び当該コバルト-ニッ ケル合金めっき層の上に、亜鉛-ニッケル合 めっき層を備えた印刷回路用銅箔において  前記亜鉛-ニッケル合金めっき層の総量が15 0~500μg/dm 2 の範囲で、かつニッケル比率が0.16~0.40の範囲 にあり、下記ニッケル比率とめっき総量との 関係図3において、前記亜鉛-ニッケル合金め き層の総量が500μg/dm 2 の場合にニッケル比率が0.16であるA点、同総 が400μg/dm 2 の場合に、ニッケルの比率が0.17であるB点、 総量が300μg/dm 2 の場合に、ニッケルの比率が0.18であるC点、 総量が200μg/dm 2 の場合に、ニッケルの比率が0.24であるD点、 総量が150μg/dm 2 の場合に、ニッケルの比率が0.30であるE点及 同総量が150μg/dm 2 の場合に、ニッケルの比率が0.40であるF点を それぞれ結合した、図3の線の右上の範囲に ある亜鉛-ニッケル合金めっき層を備えてい ことである。
 これによって、上記印刷回路銅箔を用いて 板上の形成された銅箔回路に、ソフトエッ ングを行った際に、銅箔回路エッジ部の染 込みの量が9μm以下とすることが可能であり 、印刷回路用銅箔として、十分な機能を有す る。
 前記染み込み量は、全く発生しないことは 論ベストであるが、5μm以下であれば、特に 有効であることは言うまでも無い。本願発明 の印刷回路用銅箔はこれらを全て包含するも のである。

 亜鉛-ニッケル合金めっきの条件は、次の通 りである。
(亜鉛-ニッケル合金めっき)
Zn:0~30g/リットル
  Ni:0~25g/リットル
  pH:3~4
  温度:40~50°C
  電流密度D k  :0.5~5A/dm 2
  時間:1~3秒

 上記の通り、本発明は、粗化処理としての -コバルト-ニッケル合金めっき層、コバル -ニッケル合金めっき層そして亜鉛-ニッケル 合金めっき層が順次形成されるが、これら層 における合計量のコバルト付着量及びニッケ ル付着量を調節することもできる。コバルト の合計付着量が300~5000μg/dm 2 、ニッケルの合計付着量が260~1200μg/dm 2 とすることが望ましい。
 コバルトの合計付着量が300μg/dm 2 未満では、耐熱性及び耐薬品性が低下し、コ バルトの合計付着量が5000μg/dm 2  を超えると、エッチングシミが生じること ある。また、ニッケルの合計付着量が260μg/ dm 2 未満では、耐熱性及び耐薬品性が低下する。 ニッケルの合計付着量が1200μg/dm 2 を超えると、エッチング残が生じる。好まし くは、コバルトの合計付着量は2500~5000μg/dm 2 であり、そしてニッケルの合計付着量は580~12 00μg/dm 2 、特に好ましくは600~1000μg/dm 2 であるが、上記の条件を満たせば、特にこの 段落に記載する条件に制限される必要はない 。

 この後、必要に応じ、防錆処理が実施され 。本発明において好ましい防錆処理は、ク ム酸化物単独の皮膜処理或いはクロム酸化 と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理であ る。クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混 物皮膜処理とは、亜鉛塩または酸化亜鉛と ロム酸塩とを含むめっき浴を用いて電気め きにより亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化 とより成る亜鉛-クロム基混合物の防錆層を 覆する処理である。
 めっき浴としては、代表的には、K 2 Cr 2 O 7 、Na 2 Cr 2 O 7 等の重クロム酸塩やCrO 3 等の少なくとも一種と、水溶性亜鉛塩、例え ばZnO 、ZnSO 4 ・7H 2 Oなど少なくとも一種と、水酸化アルカリと 混合水溶液が用いられる。代表的なめっき 組成と電解条件例は次の通りである。

(クロム防錆処理)
 K 2 Cr 2 O 7 (Na 2 Cr 2 O 7 或いはCrO 3 ):2~10g/リットル
 NaOH或いはKOH :10~50g/リットル
 ZnO 或いはZnSO 4 ・7H 2 O:0.05~10g/リットル
 pH:3~13
 浴温:20~80°C
 電流密度D k  :0.05~5A/dm 2
 時間:5~30秒
 アノード:Pt-Ti 板、ステンレス鋼板等
 クロム酸化物はクロム量として15μg/dm 2 以上、亜鉛は30μg/dm 2 以上の被覆量が要求される。

 こうして得られた銅箔は、優れた耐熱性剥 強度、耐酸化性及び耐塩酸性を有する。ま 、CuCl 2 エッチング液で150μmピッチ回路巾以下の印刷 回路をエッチングでき、しかもアルカリエッ チングも可能とする。また、ソフトエッチン グの際の、回路エッジ部への染み込みを抑制 できる。
 ソフトエッチング液には、H 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%の水溶液が使用できる。処理時間と温度 任意に調節できる。
 アルカリエッチング液としては、例えば、N H 4 OH:6モル/リットル、NH 4 Cl:5モル/リットル、CuCl 2 :2モル/リットル(温度50°C)等の液が知られて る。

 得られた銅箔は、Cu-Ni処理の場合と同じ 黒色を有している。黒色は、位置合わせ精 及び熱吸収率の高いことの点から、意味が る。例えば、リジッド基板及びフレキシブ 基板を含め印刷回路基板は、ICや抵抗、コン デンサ等の部品を自動工程で搭載していくが 、その際センサーにより回路を読み取りなが らチップマウントを行なっている。このとき 、カプトンなどのフィルムを通して銅箔処理 面での位置合わせを行なうことがある。また 、スルーホール形成時の位置決めも同様であ る。このとき処理面が黒に近い程、光の吸収 が良いため、位置決めの精度が高くなる。更 には、基板を作製する際、銅箔とフィルムと を熱を加えながらキュワリングして接着させ ることが多い。このとき、遠赤外線、赤外線 等の長波を用いることにより加熱する場合、 処理面の色調が黒い方が、加熱効率が良くな る。

 最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との 着力の改善を主目的として、防錆層上の少 くとも粗化面にシランカップリング剤を塗 するシラン処理が施される。このシラン処 に使用するシランカップリング剤としては オレフィン系シラン、エポキシ系シラン、 クリル系シラン、アミノ系シラン、メルカ ト系シランを挙げることができるが、これ を適宜選択して使用することができる。
 塗布方法は、シランカップリング剤溶液の プレーによる吹付け、コーターでの塗布、 漬、流しかけ等いずれでもよい。例えば、 公昭60-15654号は、銅箔の粗面側にクロメー 処理を施した後シランカップリング剤処理 行なうことによって銅箔と樹脂基板との接 力を改善することを記載している。詳細は れを参照されたい。この後、必要なら、銅 の延性を改善する目的で焼鈍処理を施すこ もある。

 以下、実施例及び比較例に基づいて説明 る。なお、本実施例はあくまで一例であり この例のみに制限されるものではない。す わち、本発明に含まれる他の態様または変 を包含するものである。

 圧延銅箔に下記に示す条件範囲で銅-コバル ト-ニッケル合金めっきによる粗化処理を施 て、銅を17mg/dm 2 、コバルトを2000μg/dm 2 、そしてニッケルを500μg/dm 2  付着した後に、水洗し、その上にコバルト- ニッケル合金めっき層を形成した。この場合 、コバルト付着量800~1400μg/dm 2 、そしてニッケル付着量400~600μg/dm 2 とした。
 使用した浴組成及びめっき条件は、次の通 である。
[浴組成及びめっき条件]

(A)粗化処理(Cu-Co-Ni合金めっき)
  Cu:15g/リットル
  Co:8.5g/リットル
  Ni:8.6g/リットル
  pH:2.5
  温度:38°C
  電流密度D k  :20A/dm 2
  時間:2秒
  銅付着量:17mg/dm 2
  コバルト付着量:2000μg/dm 2
  ニッケル付着量:500μg/dm 2

(B)防錆処理(Co-Ni合金めっき)
  Co:4~7g/リットル
  Ni:10g/リットル
  pH:2.5
  温度:50°C
  電流密度D k  :8.9~13.3A/dm 2
  時間:0.5秒
  コバルト付着量:800~1400μg/dm 2
  ニッケル付着量:400~600μg/dm 2
 水洗後、コバルト-ニッケル合金めっき層上 に、亜鉛-ニッケル合金めっき層を形成した

(C)耐熱防錆層(Zn-Ni合金めっき)
Znイオン濃度:2~11g/リットル
  Niイオン濃度:15~25g/リットル
  pH:3.5
  温度:40°C
  電流密度D k  :0~15A/dm 2
  時間:0.3~2秒

 上記のZn-Ni合金のめっき浴組成を用いて、 のZn-Ni合金めっきをコバルト-ニッケル合金 っき層上に形成した。そして、最後に防錆 理を行ない、乾燥した。
 (Zn-Ni合金のめっき中のNi比率を0.23とした場 )
  実施例1:Zn-Ni合金付着量:300μg/dm 2 、Ni比率:0.23、但し、Ni量:69μg/dm 2
  実施例2:Zn-Ni合金付着量:371μg/dm 2 、Ni比率:0.23、但し、Ni量:85μg/dm 2
  実施例3:Zn-Ni合金付着量:470μg/dm 2 、Ni比率:0.23 、但し、Ni量:108μg/dm 2
  実施例4:Zn-Ni合金付着量:569μg/dm 2 、Ni比率:0.23 、但し、Ni量:131μg/dm 2
  実施例5:Zn-Ni合金付着量:613μg/dm 2 、Ni比率:0.23 、但し、Ni量:141μg/dm 2

  (比較例1-2)
 (Zn-Ni合金のめっき中のNi比率を0.18とした場 )
  比較例1:Zn-Ni合金付着量:189μg/dm 2 、Ni比率:0.18、但し、Ni量:34μg/dm 2
  比較例2:Zn-Ni合金付着量:271μg/dm 2 、Ni比率:0.18、但し、Ni量:49μg/dm 2
  (実施例6-8)
  実施例6:Zn-Ni合金付着量:352μg/dm 2 、Ni比率:0.18、但し、Ni量:63μg/dm 2
  実施例7:Zn-Ni合金付着量:429μg/dm 2 、Ni比率:0.18、但し、Ni量:77μg/dm 2
  実施例8:Zn-Ni合金付着量:517μg/dm 2 、Ni比率:0.18、但し、Ni量:93μg/dm 2

 (比較例3-7)
 (Zn-Ni合金のめっき中のNi比率を0.14とした場 )
  比較例3:Zn-Ni合金付着量:217μg/dm 2 、Ni比率:0.14、但し、Ni量:30μg/dm 2
  比較例4:Zn-Ni合金付着量:298μg/dm 2 、Ni比率:0.14、但し、Ni量:42μg/dm 2
  比較例5:Zn-Ni合金付着量:392μg/dm 2 、Ni比率:0.14、但し、Ni量:55μg/dm 2
  比較例6:Zn-Ni合金付着量:473μg/dm 2 、Ni比率:0.14、但し、Ni量:66μg/dm 2
  比較例7:Zn-Ni合金付着量:550μg/dm 2 、Ni比率:0.14、但し、Ni量:77μg/dm 2

(D)防錆処理(クロメート)
K 2  Cr 2  O 7  (Na 2  Cr 2  O 7  あるいはCrO 3  ):5g/リットル
  NaOHあるいはKOH:30g/リットル
  ZnOあるいはZnSO 4  ・7H 2  O:5g/リットル
  pH:10
  温度:40°C
  電流密度D k  :2A/dm 2
  時間:10秒
  アノード:Pt-Ti板

 以上により製造した銅箔を、該銅箔にポリ ミック酸ワニス(宇部興産製ワニスA)を塗布 、20μm厚のポリイミドフィルムに310°Cで加 圧着した。この加熱圧着工程は、全て大気 で実施した。次に、銅箔を、下記のエッチ グ液を用いて回路を形成した。
(アルカリエッチング液)
 NH 4 OH:6モル/リットル
 NH 4 Cl:5モル/リットル
 CuCl 2 ・2H 2 O:2モル/リットル
 温度:50°C
 エッチングシミは下記の塩化銅-塩酸液を使 用してエッチング状態の目視による観察を行 った。
 (塩化銅エッチング液)
  CuCl 2 ・2H 2 O:200g/リットル
 HCl:150g/リットル
 温度:40°C

 形成した銅の回路を、さらにH 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%のエッチング水溶液を用いて、5分間ソフ トエッチングを実施した。
 そして、この場合の、染み込みをポリイミ の裏面から光学顕微鏡で観察した。ポリイ ドは薄く透過性なので、ポリイミドの裏面 ら染み込みの観察可能である。
 この結果を図2に示す。図2に示すように、 施例1~5は、図2Aの(a)~(e)に相当する。実施例1 は、8μmの染み込みが観察され、実施例2で 、5μmの染み込みが観察され、実施例3では、 2μmの染み込みが観察され、実施例4では、4μm の染み込みが観察され、実施例5では、1μmの み込みが観察された。いずれも、染み込み は9μm以下であり、本願発明の染み込み量の 限界値内であり、良好な結果を示した。

 比較例1~2及び実施例6~8は、それぞれ図2Bの(a )~(e)に相当する。比較例1では、10μmの染み込 が観察され、比較例2では、12μmの染み込み 観察された。いずれも、染み込み量は9μmを 超え、本願発明の染み込み量の限界値を超え 、悪い結果となった。この原因は、Ni量が本 発明の50μm/dm 2 以上を達成していないのが原因と考えられた 。
 一方、実施例6では、5μmの染み込みが観察 れ、実施例7では、5μmの染み込みが観察され 、実施例8では、2μmの染み込みが観察された いずれも、染み込み量は9μm以下であり、本 願発明の染み込み量の限界値内であり、良好 な結果を示した。

 上記比較例3~7については、それぞれ図2Cの(a )~(e)に相当する。比較例3では、15μmの染み込 が観察され、比較例4~7では、いずれも10μm 染み込みが観察された。いずれも、染み込 量は9μmを超え、本願発明の染み込み量の限 値を超え、悪い結果となった。
 この原因は、Zn-Ni合金中のNiの比率が、本願 発明の0.16以上を達成していないのが原因と えられた。この図2Cに示す通り、H 2 SO 4 :10wt%、H 2 O 2 :2wt%のソフトエッチング液による、回路両サ ドのエッジ部の染み込み幅(μm)がそれぞれ10 μm以上となり、非常に腐食され易い状況にな っていた。

 以上の結果を、図3に示す。図3では、上記 施例及び比較例の多くを掲載し、見易くし ある。この図3では、亜鉛-ニッケルめっきの 総量が500μg/dm 2 のところで、太線にして耐塩酸劣化性が20%を 超えるところを表示しているが、これは本願 発明の制限ラインを示すものではない。必要 に応じて、この制限ラインを超え、650μg/dm 2 の亜鉛-ニッケルめっきの総量とすることも 能である。このラインを超えるものであっ も、染み込み幅を減少させることは、可能 ある。
 また、染み込み量と亜鉛-ニッケルめっきの 総量との関係を図4に示す。この図4から、亜 -ニッケルめっきの総量が増加するにしたが って、染み込み量は低減しているのが分かる 。亜鉛-ニッケルめっきの総量が増加するこ は、ニッケル量が増加することを意味する 、それに伴って染み込み量が低減すること 意味している。

(実施例9-12)
 次に、亜鉛量をあまり変えずに、ニッケル 比率を増加させた場合の例を示す。
  実施例9:Zn-Ni合金付着量:394μg/dm 2 、Ni比率:0.40、但し、Ni量:159μg/dm 2
  実施例10:Zn-Ni合金付着量:344μg/dm 2 、Ni比率:0.34、但し、Ni量:118μg/dm 2
  実施例11:Zn-Ni合金付着量:307μg/dm 2 、Ni比率:0.29、但し、Ni量:89μg/dm 2
  実施例12:Zn-Ni合金付着量:314μg/dm 2 、Ni比率:0.24、但し、Ni量:66μg/dm 2

 以上の結果について、同様にソフトエッチ グ後の染み込み幅を観察した。この結果を 5に示す。図5の(A)は実施例9に、(B)は実施例1 0に、(C)は実施例11に、(D)は実施例12に、それ れ対応するものである。
 実施例12(D)は、Ni比率:0.24であり、非常にわ かな染み込み幅が見られる。しかし、実施 11(C)Ni比率:0.29、実施例10(B)Ni比率:0.34、実施 9(9)Ni比率:0.40とNi比率が増加すると、染み込 みは消失していることが分かる。これによっ て、染み込みをニッケルの比率を高めること により、著しく低減できることを示している 。

 上記実施例1~12について、常態(室温)剥離強 (kg/cm)と耐熱劣化性を調べた。耐熱劣化性は 、180°×48時間加熱後の剥離強度の劣化率(%)を 調べた結果である。そして、耐塩酸劣化性は 18%塩酸に1時間浸漬した後の剥離強度を0.2mm幅 ×10本回路で測定した場合である。
 また、アルカリエッチングは下記の液を使 してエッチング状態の目視による観察を実 した。この結果、本願発明の銅箔の表面に 銅-コバルト-ニッケル合金めっきによる粗 処理層、当該粗化処理層の上に形成された バルト-ニッケル合金めっき層及び当該コバ ト-ニッケル合金めっき層の上に、亜鉛-ニ ケル合金めっき層を備えた印刷回路用銅箔 おいて、前記亜鉛-ニッケル合金めっき層の 量が150~650μg/dm 2 であり、当該合金層中のニッケル比率の下限 値が0.16、上限値が0.40で、かつニッケル含有 が50μg/dm 2 以上ある印刷回路用銅箔は、従来の亜鉛量が 200μg/dm 2 以下の銅箔と同程度の常態剥離強度を持ち、 また耐熱剥離性、耐薬品性を有していた。

(アルカリエッチング液)
 NH 4 OH:6モル/リットル
 NH 4 Cl:5モル/リットル
 CuCl 2 ・2H 2 O:2モル/リットル
 温度:50°C
 エッチングシミは下記の塩化銅-塩酸液を使 用してエッチング状態の目視による観察をし た。
 (塩化銅エッチング液)
  CuCl 2 ・2H 2 O:200g/リットル
 HCl:150g/リットル
 温度:40°C

 (比較例8、比較例9)
 Zn-Ni合金めっき条件を、上記実施例と同様 して行い、Zn量とNi量のみを、次のようにし 変化させた場合の例を、比較例8及び比較例 9に示す。なお、この場合、Zn-Ni合金めっき総 量に対するNi比率は、0.22の場合である。
  比較例8:Zn量:114μg/dm 2 、Ni量:33μg/dm 2
  比較例9:Zn量:152μg/dm 2 、Ni量:44μg/dm 2
 上記の通り、比較例8は、Ni比率は本願発明 範囲にあるが、Zn-Ni合金めっき総量とNi量が 、本願発明の範囲から逸脱している。このた め、染み発生量は12μmと悪くなった。また、 較例9は、Ni比率とZn-Ni合金めっき総量は、 願発明の範囲にあるが、Ni量が本願発明の範 囲から逸脱している。
 このため、染み発生量は同様に12μmと悪く った。この結果を、図3と図7に示す。なお、 図7において、(E)は比較例8、(F)は比較例9の回 路の染み込み量を観察した結果を示す図であ る。なお、この場合の耐酸性(耐塩酸劣化率) 、比較例8で3.6、比較例9で3.7であり、耐塩 劣化率では問題とはならない。

 (実施例13、実施例14、実施例15)
 Zn-Ni合金めっき条件を、上記実施例と同様 して行い、Zn量とNi量のみを、次のようにし 変化させた場合の例を、実施例13~実施例15 示す。なお、この場合、Zn-Ni合金めっき総量 に対するNi比率は、0.22の場合である。
  実施例13:Zn量:212μg/dm 2 、Ni量:61μg/dm 2
  実施例14:Zn量:238μg/dm 2 、Ni量:69μg/dm 2
  実施例15:Zn量:273μg/dm 2 、Ni量:79μg/dm 2
 上記の通り、実施例13~実施例15は、Zn-Ni合金 めっき総量、Ni量、Ni比率は、いずれも本願 明の範囲の範囲にある。この結果、染み発 量は実施例13で4μm、実施例14と実施例15は、 ずれも2μmと良好な結果となった。
 この結果を、同様に図3と図7に示す。なお 図7において、(G)は実施例13、(H)は実施例14、 (I)は実施例15の回路の染み込み量を観察した 果を示す図である。なお、この場合の耐酸 (耐塩酸劣化率)は、実施例13で3.7、実施例14 5.0、実施例15で3.6であり、耐塩酸劣化率で 問題ではなかった。

 上記に示すように、銅箔の表面に、銅-コバ ルト-ニッケル合金めっきによる粗化処理層 当該粗化処理層の上に形成されたコバルト- ッケル合金めっき層及び当該コバルト-ニッ ケル合金めっき層の上に、亜鉛-ニッケル合 めっき層を備えた印刷回路用銅箔において 前記亜鉛-ニッケル合金めっき層の総量が150~ 650μg/dm 2 であり、当該合金層中のニッケル比率の下限 値が0.16、上限値が0.40で、かつニッケル含有 が50μg/dm 2 以上ある印刷回路用銅箔は、ソフトエッチン グの際の染み込みを抑制できることが明らか であり、さらに樹脂と銅箔を二層にして高温 高圧で加熱圧着し、積層体(銅張積層板)とす 場合に、特に有効であることが確認できる

 印刷回路の製造工程で行われる処理が一 と高温となり、また製品となった後の機器 用中の熱発生があるが、このような状況の でも、銅箔と樹脂基材との間での接合力が 下することなく、さらに銅箔回路のソフト ッチングの際に、回路エッジ部の染み込み び変色を効果的に防止できるという優れた 果を有するので、半導体デバイスの小型化 高集積化が進む電子機器用印刷回路材料と て有用である。