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Patent Searching and Data


Title:
ABRASION RESISTANCE REINFORCING METHOD AND SLIDING STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054402
Kind Code:
A1
Abstract:
In an abrasion resistance reinforcing method of a sliding structure consisting of at least a pair of components in sliding relation and provided with a seal member on the sliding surface of one component, an abrasion resistant metal plated film exhibiting certain reactivity to the material of the seal member is provided on the sliding surface of the other component. An abrasion resistance reinforcing method and a sliding structure ensuring good workability of coating for imparting abrasion resistance and suppressing variation in abrasion resistance can thereby be provided.

Inventors:
MIZUTANI TOMOFUMI (JP)
OKADA KEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069123
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IHI CORP (JP)
MIZUTANI TOMOFUMI (JP)
OKADA KEIJI (JP)
International Classes:
F15B15/14; C23C18/18; C23C18/34; C25D5/12; C25D5/30; C25D7/10; F16J10/00; F16J15/16
Foreign References:
JP2004239372A2004-08-26
JPH1192912A1999-04-06
JPH11125248A1999-05-11
JP2001295093A2001-10-26
JP2002348699A2002-12-04
JP2005213564A2005-08-11
JP2007276396A2007-10-25
JPH0351576A1991-03-05
JP3454232B22003-10-06
JP2001289330A2001-10-19
Other References:
See also references of EP 2211061A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 摺動関係にある少なくとも一対の部品からなり、一方の部品の摺動面にはシール部材が設けられている摺動構造体の耐摩耗補強方法であって、
 前記シール部材の材料と一定の反応性を有する金属からなる耐摩耗性金属めっき膜を他方の部品の摺動面に設ける耐摩耗補強方法。     
 前記シール部材がフッ素樹脂、前記他方の部品がアルミニウムから形成され、前記他方の部品の表面に下地めっき膜としての無電解Ni-P-B(ニッケル-リン-ボロン)めっき膜を形成し、この下地めっき膜上に前記耐摩耗性金属めっき膜としてのRh(ロジウム)めっき膜を形成する請求項1記載の耐摩耗補強方法。
 摺動構造体は、前記他方の部品が中空状のハウジング、一方の部品が前記ハウジング内を摺動自在に可動すると共にピストンロッドが連接されたピストンであり、このピストンによって仕切られたハウジング内の2箇所の空隙に注入される作動油の圧力差によってピストンが可動するアクチュエータである請求項1記載の耐摩耗補強方法。
 摺動構造体は、前記他方の部品が中空状のハウジング、一方の部品が前記ハウジング内を摺動自在に可動すると共にピストンロッドが連接されたピストンであり、このピストンによって仕切られたハウジング内の2箇所の空隙に注入される作動油の圧力差によってピストンが可動するアクチュエータである請求項2記載の耐摩耗補強方法。
 摺動関係にある少なくとも一対の部品からなり、一方の部品の摺動面にはシール部材が設けられている摺動構造体であって、
 他方の部品の摺動面に前記シール部材の材料と一定の反応性を有する金属からなる耐摩耗性金属めっき膜が設けられている摺動構造体。
 前記シール部材がフッ素樹脂、前記他方の部品がアルミニウムから形成され、前記他方の部品の表面に下地めっき膜としての無電解Ni-P-B(ニッケル-リン-ボロン)めっき膜を形成し、この下地めっき膜上に前記耐摩耗性金属めっき膜としてのRh(ロジウム)めっき膜を形成する請求項5記載の摺動構造体。
 前記他方の部品が中空状のハウジング、前記一方の部品が前記ハウジング内を摺動自在に可動すると共にピストンロッドが連接されたピストンであり、このピストンによって仕切られたハウジング内の2箇所の空隙に注入される作動油の圧力差によってピストンが可動する請求項5記載の摺動構造体。
 前記他方の部品が中空状のハウジング、前記一方の部品が前記ハウジング内を摺動自在に可動すると共にピストンロッドが連接されたピストンであり、このピストンによって仕切られたハウジング内の2箇所の空隙に注入される作動油の圧力差によってピストンが可動する請求項6記載の摺動構造体。
Description:
耐摩耗補強方法及び摺動構造体

  本発明は、耐摩耗補強方法及び摺動構造 に関する。
  本願は、2007年10月24日に日本に出願された 特願2007-276396号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 摺動構造体の1つに、航空機用の各種アク チュエータがある。航空機用のアクチュエー タは、円筒状のハウジング内にベアリングを 介して摺接すると共にピストンロッド(駆動 )が連接されたピストンから構成されている その特徴として、航空機用のアクチュエー は、専用の潤滑性のある作動油によって駆 されるのではなく、航空機燃料によって駆 される場合が多い。航空機の場合、自重を 力軽くすることが要求されるので、専用の 滑油を航空機に搭載して駆動するのではな 、航空機が必ず搭載している燃料油を用い アクチュエータを駆動することが頻繁に行 れる。このように、航空機用のアクチュエ タは、潤滑油に比べて潤滑性が劣る航空機 料によって駆動されるので、その摺動面は 潤滑油によって駆動される一般的なアクチ エータに比較して摩耗しやすい。

 このような耐摩耗性における問題点を克服 るために、従来の航空機用のアクチュエー では、摺動面にCrめっきや無電解Niめっきを 施したり、WC-Co(タングステンカーバイド-コ ルト)を高速フレーム溶射によって被膜する とが行われている。また、DLC(Diamond like Car bon)やCrN(窒化クロム)等の硬質薄膜を、CVD(Chemi cal Vapor Deposition)あるいはPVD(Physical Vapor Depo sition)によって、成膜する技術が試されてい 。
 なお、本出願人は、航空機用のアクチュエ タの耐摩耗性に関する先行技術文献につい 調査したが、適切なものを発見できなかっ ので、航空機用のアクチュエータとは異な 機械部品の耐摩耗性に関する先行技術文献 して、下記特許文献1~3を提示する。

特開平3-51576号公報

特許第3454232号公報

特開2001-289330号公報

 ところで、Crめっきや無電解Niめっきを施 す手法は、めっき面を仕上げ加工する必要が あるため、作業性が悪いと共にコストが高く 、耐摩耗性も下記の溶射よりも劣る。WC-Coを 速フレーム溶射によって被膜する手法は、 ウジングの内周面にWC-Coを溶射すると共に 被膜表面を仕上げ加工する必要があるため 作業性が悪いと共にコストが高い。硬質薄 をCVD等によって製膜する手法は、硬質薄膜 性質が安定せず、耐摩耗性にバラツキが発 してしまう。

 本発明は、上述した問題点に鑑みてなさ たものであり、耐摩耗性を付与するための 膜の作業性が良く、かつ耐摩耗性のバラツ が少ない耐摩耗補強方法及び摺動構造体を 供することを目的とする。

 本発明は上記目的を達成するために、以下 手段を採用した。
  本発明に係る第1の耐摩耗補強方法では、 動関係にある少なくとも一対の部品からな 、一方の部品の摺動面にはシール部材が設 られている摺動構造体の耐摩耗補強方法に いて、シール部材の材料と一定の反応性を する金属からなる耐摩耗性金属めっき膜を 方の部品の摺動面に設けている。
  また、本発明に係る第2の耐摩耗補強方法 は、上記第1の耐摩耗補強方法において、シ ール部材がフッ素樹脂、他方の部品がアルミ ニウムから形成され、他方の部品の表面に下 地めっき膜としての無電解Ni-P-B(ニッケル-リ -ボロン)めっき膜を形成し、この下地めっ 膜上に耐摩耗性金属めっき膜としてのRh(ロ ウム)めっき膜を形成している。
 また、本発明に係る第3の耐摩耗補強方法で は、上記第1または第2の耐摩耗補強方法にお て、摺動構造体を、他方の部品が中空状の ウジングと、一方の部品が前記ハウジング を摺動自在に可動すると共にピストンロッ が連接されたピストンとし、このピストン よって仕切られたハウジング内の2箇所の空 隙に注入される作動油の圧力差によってピス トンが可動するアクチュエータとする。
 一方、本発明に係る第1の摺動構造体では、 摺動関係にある少なくとも一対の部品からな り、一方の部品の摺動面にはシール部材が設 けられている摺動構造体であって、他方の部 品の摺動面にシール部材の材料と一定の反応 性を有する金属からなる耐摩耗性金属めっき 膜が設けられる。
 また、本発明に係る第2の摺動構造体では、 上記第1の摺動構造体において、シール部材 フッ素樹脂、他方の部品がアルミニウムか 形成され、他方の部品の表面に下地めっき としての無電解Ni-P-B(ニッケル-リン-ボロン) っき膜を形成し、この下地めっき膜上に耐 耗性金属めっき膜としてのRh(ロジウム)めっ き膜を形成する。
 また、本発明に係る第3の摺動構造体では、 上記第1または第2の摺動構造体において、他 の部品が中空状のハウジング、一方の部品 前記ハウジング内を摺動自在に可動すると にピストンロッドが連接されたピストンで り、該ピストンによって仕切られたハウジ グ内の2箇所の空隙に注入される作動油の圧 力差によってピストンが可動する。

 本発明によれば、シール部材の材料と、 定の反応性を有する金属からなる耐摩耗性 属めっき膜を他方の部品の摺動面に設ける その結果、従来のWC-Coの高速フレーム溶射 よる被膜や、DLC等の硬質薄膜のCVD等による 膜とは異なり、耐摩耗性を付与するための 膜の作業性が向上し、かつ耐摩耗性のバラ キを少なくすることができる。

本発明の一実施形態に係わる航空機用 クチュエータA(摺動構造体)の断面図である 本発明の一実施形態に係わる航空機用 クチュエータAの要部拡大断面図である。 本発明の一実施形態における試験片の 形図である。 本発明の一実施形態における試験装置 構成図である。 本発明の一実施形態における試験結果( 摩耗量の他者比較)を示すグラフである。 本発明の一実施形態における試験結果( 摩耗量と表面粗さとの関係)を示すグラフで る。

符号の説明

 A…航空機用アクチュエータ、1…ハウジ グ(部品)、1a…ベアリング、1b…シール部材 1c…母材、1d…ジンケート処理膜、1e…無電 Ni-P-Bめっき膜、1f…Rhめっき膜(耐摩耗性金属 めっき膜)、2…ピストン(部品)、2a…ベアリン グ、2b…シール部材、3…ピストンロッド

 以下、図面を参照して、本発明の一実施形 について説明する。
 図1は、本実施形態に係る航空機用アクチュ エータA(摺動構造体)の断面図である。
 この航空機用アクチュエータAでは、円盤状 のピストン2(部品)と棒状のピストンロッド3( 動軸)とが、連接された状態で、中空円筒状 のハウジング1(部品)内に、収納されている。 ピストン2によって仕切られた、ハウジング1 の2箇所の空隙K1,K2に、外部から作動油が注 される。この作動油の圧力差によってピス ン2及びピストンロッド3が紙面左右方向に 動する。ハウジング1はアルミ合金から形成 れており、ピストン2及びピストンロッド3 、ステンレスから形成された一体部品であ 。

 ハウジング1には、ピストンロッド3との摺 面(円筒面)に、ベアリング1aとシール部材1b が設けられており、またピストン2には、ハ ジング1との摺動面(円筒面)に、ベアリング2 aとシール部材2bとが設けられている。ベアリ ング1a,2aは、ピストン2及びピストンロッド3 支持すると共に摩擦抵抗を低減するための のであり、樹脂から形成されている。シー 部材1b,2bは、作動油の漏れを防止するための ものであり、フッ素樹脂から形成されている 。
 このように構成された本航空機用アクチュ ータAは、航空機燃料(燃料油)を作動油とし 用いる。

 このような航空機用アクチュエータAにお いて、ハウジング1のベアリング1a及びシール 部材1bは、ピストンロッド3の摺動面S1(円筒状 の周面)と摺動し、またピストン2のベアリン 2a及びシール部材2bは、ハウジング1の摺動 S2(円筒状の内周面)と摺動する。

 図2は、上記摺動面S2の拡大断面図である この図2に示すように、ハウジング1の摺動 S2は、アルミ合金からなる母材1cの表面に、0 .5μm厚のジンケート処理膜1d、5.0μm厚の無電 Ni-P-B(ニッケル-リン-ボロン)めっき膜1e(下地 っき膜)、0.1μm厚のRh(ロジウム)めっき膜1f( 上げめっき膜)が順次積層された構造を有す 。なお、ピストンロッド3の摺動面S1は、母 であるステンレス上に例えばRh(ロジウム)め っき膜1fのみが形成されている。

 無電解Ni-P-Bめっき膜1eは、アルミ合金から る母材1cを補強するためのめっき膜である。 また、Rhめっき膜1fは、本実施形態における 摩耗性金属めっき膜に相当し、シール部材( ッ素樹脂)と一定の反応性を有する金属とし て選定されたRh(ロジウム)からなるめっき膜 ある。
 なお、ジンケート処理膜1dは、母材1c表面の 酸化膜等を除去するためのジンケート処理に よって形成されたものであり、めっき処理の 技術分野において周知のものである。

 このように構成された本航空機用アクチ エータAは、ハウジング1とピストン2との間 空隙に作動油が外部から注入されることに り、ピストン2が可動する。そのため、上記 耐摩耗強化膜が形成されたハウジング1の摺 面S2は、作動油が介在した状態で、ベアリン グ2a及びシール部材2bと摺動する。

 しかしながら、本航空機用アクチュエー Aでは、航空機燃料を作動油として用いる為 、上記摺動面における潤滑性は、専用の潤滑 油を作動油として用いる場合よりも劣る。本 航空機用アクチュエータAでは、シール部材2b に対する耐摩耗性を向上させるためにRhめっ 膜1fを設けている。

 一般に、フッ素樹脂が金属などの硬い材料 摩擦されたとき、バンド構造からフィルム の移着膜を相手摩擦面に形成し、この移着 が潤滑性に優れているために摩擦係数を小 くする効果があるとされている。しかし、 の移着膜は、摩擦面から剥離し易く、剥離 成形とが繰り返されることにより、フッ素 脂が摩耗すると考えられている。
 本実施形態では、シール部材2b(フッ素樹脂) がハウジング1の摺動面S2と摺動すると、Rh(ロ ジウム)がフッ素(F)に対して一定の反応性を することにより、Rhめっき膜1fの表面にフッ 物(剥離し難い移着膜)を形成し、シール部 2bに対する耐摩耗性を発揮する。

 以下では、本航空機用アクチュエータAのRh っき膜1fの耐摩耗性に関する実験結果につ て詳しく説明する。
 図3は試験片の外形図、また図4は試験装置 構成図である。試験片は、アルミ合金板の 面に上記Rhめっき膜1fと同等な積層膜Fが設け られたライナ板L1(上記ハウジング1と同等の の)と、ステンレスブロックの片面に上記シ ル部材2bと同等なシール部材Nが設けられた ールブロック片L2からなり、図示した寸法 有している。

 試験装置は、上記ライナ板L1を、積層膜Fが 面となるようにスライドトレイTの底に固定 し、このライナ板L1上にシール部材Nが所定荷 重で当接するように上記シールブロック片L2 配置している。また、上記航空機燃料(作動 油)と同等な試験油UをスライドトレイT内に充 填し、このスライドトレイTをモータMによっ 水平方向に往復運動させることにより、ラ ナ板L1とシールブロック片L2とを摺動させる 。また、この試験装置は、モータMを含む駆 設備を除いた全ての設備をチャンバC内に収 しており、このチャンバC内は、図示するよ うに、窒素ガス(N 2 ガス)雰囲気となっている。

 図5は、このような試験片及び試験装置を 用いた試験結果(摩耗量の他者比較)を示すグ フである。この摩耗量は、ロジウムめっき 摩耗量の平均を1としたときの相対的な摩耗 量を表す。図5に示すように、上記試験装置 用いて、複数の試験片を摺動させて得られ シール部材Nの摩耗量の平均値(最左の棒グラ フ)は、他の膜(HVOF膜、Ni-P-Bめっき膜またはハ ードCrめっき膜)を設けた試験片の摩耗量の1/3 以下である。したがって、本航空機用アクチ ュエータAのRhめっき膜1fが、ハウジング1の摺 動面に優れた耐摩耗性を付与することが確認 された。

 また、図6は、試験結果(摩耗量と表面粗 との関係)を示すグラフである。この摩耗量 、ロジウムめっきの摩耗量の平均を1とした ときの相対的な摩耗量を表す。図6に示すよ に、Ni-P-Bめっき膜を有すると共に仕上げ研 処理を行った試験片(三角印で示す)よりも、 上記試験片(四角印で示す)は表面の粗さが粗 。しかしながら、このNi-P-Bめっき膜の試験 の摩耗量よりも、上記試験片の摩耗量は同 あるいはそれ以下であった。したがって、 航空機用アクチュエータAのRhめっき膜1fは 表面粗さに起因して実現されているもので ないことが確認された。

 なお、本発明は、上記実施形態に限定され ものではなく、例えば以下のような変形例 考えられる。
(1)上記実施形態では、航空機用アクチュエー タAに本願発明を適用した。しかしながら、 願発明は航空機用アクチュエータA以外の各 摺動構造体に適用可能である。
(2)上記実施形態では、補強金属膜として無電 解Ni-P-Bめっき膜1eを採用し、また耐摩耗性金 めっき膜としてRhめっき膜1fを採用した。し かしながら、本発明は、これに限定されるも のではない。補強金属膜については、簿材を 補強できるだけの強度を有し、かつ、母材及 び耐摩耗性金属めっき膜と高密着性を有する ものであれば、Ni-P-Bめっき以外の膜や表面処 理であっても良い。耐摩耗性金属めっき膜に ついては、シール部材2bと一定の反応性を有 る金属からなるものであれば、Rh(ロジウム) 以外の金属であっても良い。

  本発明によれば、シール部材の材料と 一定の反応性を有する金属からなる耐摩耗 金属めっき膜を他方の部品の摺動面に設け ので、従来のWC-Coの高速フレーム溶射による 被膜や、DLC等の硬質薄膜のCVD等による製膜と は異なる。その結果、耐摩耗性を付与するた めの被膜の作業性が向上し、かつ耐摩耗性の バラツキを少なくすることができる。