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Patent Searching and Data


Title:
OILY FOOD AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081916
Kind Code:
A1
Abstract:
An object of the invention is to develop an oily food which has low viscosity relative to the oil content, (that is, if the viscosity is comparable, the food has a lower oil content and thus has a lower calorie, and if the oil content is comparable, the food has a lower viscosity), excellent taste, physical property and coating aptitude by an inexpensive and simple method and a method for producing the same. The present inventors made intensive studies for achieving the above object. As a result, a low-oil content and low-calorie oily food which can exhibit a lower viscosity if the oil content is comparable, and can achieve a lower oil content if the viscosity is comparable as compared with a conventional oily food material, has good texture and flavor, and can be variously applied can be produced by a simple method by subjecting dough after undergoing a refining step to conching at a lower oil content than conventional, preferably at a lower temperature thereby to change a dry state to a liquid state, that is, by performing conching in a state of a low fluidity thereby to apply high shear and to discharge oil and fat which is incorporated in tissue and does not contribute to the fluidity outside the tissue.

Inventors:
KATO MASAHARU (JP)
UGA HIROKO (JP)
KURAMORI KOICHI (JP)
MOTOIKE HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073358
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJI OIL CO LTD (JP)
KATO MASAHARU (JP)
UGA HIROKO (JP)
KURAMORI KOICHI (JP)
MOTOIKE HIDEKI (JP)
International Classes:
A23L33/20; A23G7/00
Domestic Patent References:
WO2004062384A12004-07-29
Foreign References:
JPH11113494A1999-04-27
JPH1099022A1998-04-21
JPH08504576A1996-05-21
JPS63301745A1988-12-08
JPH01137939A1989-05-30
JPH01252248A1989-10-06
JPH04237458A1992-08-25
JPH04356159A1992-12-09
JPH04325055A1992-11-13
JPH04346751A1992-12-02
JPH05260894A1993-10-12
JPH06506586A1994-07-28
JPH08504576A1996-05-21
JPH1099022A1998-04-21
Other References:
See also references of EP 2233014A4
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Claims:
リファイニングに供する生地の含油率が25重量%未満で、且つ、コンチング工程開始時の総油分に対する含油原料由来の非油固形分の比率が0.6以上であることを特徴とする油性食品の製造法。
含油原料がカカオマス、全脂粉乳、ココアパウダー、きなこからなる群より選ばれる1種以上である事を特徴とする請求項1記載の油性食品の製造法。
コンチング工程中、ドライ状態から略ウェット状態になった以降に油脂原料を加える請求項1乃至請求項2のいずれか1項記載の油性食品の製造法。
コンチング工程中、ドライ状態から略ウェット状態になった以降にレシチン及び又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)を加える請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の油性食品の製造法。
コンチング工程開始より前にショ糖脂肪酸エステルを加えられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の油性食品の製造法。
40℃における油性食品の生地の粘度(単位:p(ポイズ))が、次式:y=ax b に表される該当含油率xの粘度yよりも低粘度である油性食品。
ただし、
y:粘度(p)
x:含油率(重量%)
a:(0.2+2.8exp(-6c))×10 16
b:-9.4
c:油性食品中に含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)(重量%)
ただし、油性食品の粒度は30μm以下とする。
45℃における油性食品の生地の塑性粘度(単位:p(ポイズ))が、次式:y’=ax b に表される該当含油率xの粘度yよりも低粘度である油性食品。
ただし、
y’:塑性粘度(p)
x:含油率(重量%)
a:2.5×10 11
b:-5.43
ただし、油性食品の粒度は30μm以下とする。
Description:
油性食品並びにその製造法

 本発明は、従来のものに比べて同程度の 油率の場合には低粘度の、あるいは同程度 粘度の場合にはより低い含油率の油性食品 びその製造法に関するのである。

 油性食品はチョコレートやチョコレート類 いったものが例示され、その典型的なもの カカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳等 ら製造される。
これら油性食品の多くはチョコレート単独菓 子で30%以上、パンや焼き菓子、アイスクリー ムなどのコーティング用途などの場合は40%以 上の油脂分を含む比較的含油率の高い食品で ある。
また、油脂はカロリーが高いため、高油分食 品は肥満やメタボリックシンドロームを懸念 する人々は敬遠されがちの傾向にある。

 しかしながら、チョコレートの含油率は 粘度をはじめとする様々な物性やひいては 業性に影響し、また油性食品本来の持つ食 および風味にも影響する。特に単に油脂の 合量を下げるという方法で含油率を下げる 粘度が大幅に上昇し、他の食品との組合せ( コーティングやエンロービングといった)作 が困難になったり、粘度が上昇することに る付着量の増加、さらには組合せず単独で いる場合でも型に隅々まで流し込むことが 難になるという問題があった。

 また、「口溶け滑らかな」といわれる油性 品は固形分の粒度が小さく、全体としてみ 場合の油相に接する表面積が大きい為、油 がその表面すべてに行き渡るように延びて 油性食品の流動性に寄与する油脂が減少す と粘度が上昇する。
すなわち粒度が小さく且つ粘度を低くする為 には従来含油率を高くする必要があり、含油 率を下げるために粒度を大きくすると、低含 油率かつ粘度を現行品並みに押さえたとして も、既存の油性食品の口溶け滑らかさを大き く損ない、ざらざらとした食感になる。
このように含油率を減らすこと、特に粘度な ど他の物性を現行品の範疇から大きく変化さ せずに含油率を減らすことができれば市場的 にも貢献ができる。

 油性食品のカロリー低減に関してはすでに くつかのアプローチがなされている。
含油率を下げずに油脂組成や油脂の構造など を改質することで低カロリー化を目指す技術 、例えば、油脂の一部または全部をポリエス テル、ポリエーテル等の油脂代替物と置換す る(例えば特許文献1・特許文献2・特許文献3 特許文献4・特許文献5)方法、トリグリセリ に長鎖脂肪酸等を導入、油脂自体を改質し 難消化性にすること(例えば特許文献6・特許 文献7)で低カロリー化を図っている。
しかしながら、チョコレートをはじめとする 油性食品は、良好な口溶けのものを得るため に対称型のトリアシルグリセロールを多く含 む油脂を特定の結晶型で固化させる必用があ り、それゆえに単に油脂代替物への置換や長 鎖脂肪酸等の導入をするのみでは、口溶けの 悪化などを招きやすい問題がある。

 他には、チョコレート中の油脂分を減ら 、甘味剤を糖アルコールに置換する事で低 油率・低カロリーチョコレートを製造する 法が提案されているが(例えば特許文献8・ 許文献9) 、実質的にチョコレート中の油脂 が25重量%を越えるものであり、未だ低含油 という点に関しての低カロリー化は十分で い。すなわち、油脂分が少なすぎるとリフ イニング工程のミキシングにおいて各原料 粉体状態のままでドウとしてまとまらず、 合、ロール掛けができない等以後の作業が 難となる。すなわちロール掛けするにはあ 程度の粘性が必要であり、粉体状態ではす ってロールにくいこんでいかない。従って 各原料が十分混合でき、かつロール掛け出 る程度の粘性を得るために通常は油脂分を なくとも27重量%程度とする必要がある。

 さらに、砂糖分を一度水に溶解した後、 水乾燥して粒子の細かい砂糖分を調製する どの方法により含油率20~24.5重量%の低脂肪 ョコレートが提案されている(例えば特許文 10)。しかしこれも製造方法が複雑で容易に 造できず従来の工程や装置での製造が難し 。

 特に特殊な油脂を使用すること無く、また 来の製造工程で容易に製造できる低カロリ で非常に美味しいチョコレート類を提供す 発明として、砂糖や特定の低吸収糖および 定の乳化剤を併用することで含油率を19重 %~25重量%にまで下げる方法が提案されている (例えば特許文献11)。
特許文献11の提案はある程度の低含油率・低 ロリーは為し得てはいるが、低含油率化に う粘度の上昇に対する手段としては乳化剤 のみ頼るのみであり、含油率を下げた場合 低粘度用途への使用は記載されていない。

 総じて、現行の技術では低含油率、特に粘 や粒度といった物性を現行品並みに抑えた いうところまで為し得た低含油率油性食品 工業的に作るのは困難であり、食感および 味が良好で、種々の用途に供する事の可能 低含油率・低カロリー油性食品素材及びそ 製造法に対する市場からの要望が強かった

特開昭63-301745号公報

特開平1-137939号公報

特開平1-252248号公報

特開平4-237458号公報

特開平4-356169号公報

特開平4-325055号公報

特開平4-346751号公報

特開平5-260894号公報

特表平6-506586号公報

特表平8-504576号公報

特開平10-099022号公報

 低廉で平易な方法にて、含油率に対して 対的に低粘度、すなわち、同程度の粘度な ば低含油率低カロリーに、同程度の含油率 らより低粘度な、呈味性に優れ、物性やコ ティング適性に優れた油性食品ならびにそ 製造方法を開発することを本発明の目的と る。

 本発明者らは、上記目的を達成するために 意研究をおこなった結果、リファイン工程 経た生地を従来のものより低含油率にてコ チングすることにより、ドライ状態からリ ッド状態にせしめる事で、従来の油性食品 材に比して同程度の含油率なら低粘度の、 程度の粘度であるならより低い含油率で発 させることができ、しかも食感および風味 良好で、種々の用途に供する事の可能な低 油率・低カロリー油性食品を平易な方法に 製造できることを見出し、本発明を完成す に到った。
すなわち、本発明は、
(1)としては、リファイニングに供する生地の 含油率が25重量%未満で、且つ、コンチング工 程開始時の総油分に対する含油原料由来の非 油固形分の比率が0.6以上であることを特徴と する油性食品の製造法であり、(2)としては、 含油原料がカカオマス、全脂粉乳、ココアパ ウダー、きなこからなる群より選ばれる1種 上である事を特徴とする(1)記載の油性食品 製造法であり、(3)としては、コンチング工 中、ドライ状態から略ウェット状態になっ 以降に油脂原料を加える(1)乃至(2)のいずれ 1項記載の油性食品の製造法であり、(4)とし は、コンチング工程中、ドライ状態から略 ェット状態になった以降にレシチン及び又 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステ (PGPR)を加える(1)乃至(3)のいずれか1項記載の 油性食品の製造法であり、(5)としては、コン チング工程開始より前にショ糖脂肪酸エステ ルを加えられている(1)乃至(4)のいずれか1項 載の油性食品の製造法であり、(6)としては 40℃における油性食品の生地の粘度(単位:p( イズ))が、次式:y=ax b に表される該当含油率xの粘度yよりも低粘度 ある油性食品(ただし、y:粘度(p)、x:含油率( 量%)、a:(0.2+2.8exp(-6c))×10 16 、b:-9.4、c:油性食品中に含まれるポリグリセ ン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)(重量%) 油性食品の粒度は30μm以下とする)であり、( 7)としては、45℃における油性食品の生地の 性粘度(単位:p(ポイズ))が、次式:y’=ax b に表される該当含油率xの粘度yよりも低粘度 ある油性食品(ただし、y’:塑性粘度(p)、x: 油率(重量%)、a:2.5×10 11 、b:-5.43、油性食品の粒度は30μm以下とする) ある。

  
 本発明によって、平易な方法にて従来にな 、含油率に対して相対的に低粘度な、呈味 に優れ、物性やコーティング適性に優れた 性食品を製造できる利点がある。

 以下、本発明をより詳細に説明する。本 明において言うところの油性食品とは、油 が連続相を為す食品であれば特に限定はさ ないが、一例を挙げると、チョコレートや ョコレート様食品、グレーズ(糖を油脂中に 分散させたもので上掛けなどの目的で用いら れる)といったものが挙げられる。またチョ レートは、「チョコレート類の表示に関す 公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引 員会告示第16号)による「チョコレート生地 及び「準チョコレート生地」を含むもので って、カカオ豆から調製したカカオマス、 カオ脂、ココアパウダー及び糖類を原料と 、必要により他の食用油脂、乳製品、香料 を加え、チョコレート製造の工程を経たも をいい、またカカオマスを使用しない所謂 ワイトチョコレート生地をも包含するもの ある。

 チョコレート様食品とは、物性改良や製 コストの節約等の目的にて、ココアバター 一部または全部に代えて 他の油脂(CBEと称 れる1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド 型油脂に富むものと、CBRと称されるラウリン 系もしくは高エライジン酸タイプのハードバ ター、さらにはアイスコーチングと呼ばれる ものには不飽和脂肪酸や中鎖脂肪酸などを多 く含む液状油)を使用したものが挙げられる

 油性食品の配合原料は、「油脂原料」、 脂を含有する「含油原料」、それ以外の「 脂原料」に区分して説明する。本願におけ 油脂原料とは、配合原料として油脂単独の 態のものを指す。油脂の種類としては、特 限定はされないが所謂ハードバターが好適 あり、エライジン酸を構成脂肪酸とするト ンス型ハードバターやラウリン系ハードバ ー等のノーテンパリング型油脂、カカオ脂 カカオ脂代用脂等のテンパリング型油脂が 用できる。その他油脂の硬化、分別、エス ル交換等を施した加工油脂が利用できる。 料として例えば、菜種油、大豆油、ヒマワ 種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コー 油、サフラワー油、オリーブ油、カポック 、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、 ル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の 物性油脂、並びに、それらの油脂の硬化、 別、エステル交換等を施した加工油脂が例 できる。

 本願における含油原料とは原料の中に油脂 多く含むものを指す。特に断りが無い場合 、本願においては原料中の含油率が2重量% 上であるものを含油原料と称する。
典型的には、従来のチョコレートに用いられ る含油原料が挙げられる。一例としては、カ カオマス(含油率約55重量%)、全脂粉乳(同約25 量%)、ココアパウダー(同約10~25重量%)などが 、また一般的なチョコレートの原油原料とし ては用いられないものの、きなこ(同約23重量 %)などが好適に用いられる。本願発明におい は含油原料を上記のように定義したが、含 原料の中でも含油率の多少により本願発明 効果に違いがあり、含油率の多い含油原料 ど、その組織の中に強く保持されたままで 来の状態では油性食品の粘度の低下に寄与 ない油脂が多く存在し、その油脂がより多 搾り出される余地がある分、より効果的で る。(搾り出す工程についての詳細は、コン チング工程にて説明する)
また、上記以外にも脱脂粉乳(同約1重量%)や エーパウダー(同約1重量%)なども油脂を含む 料ではあるが、本願においては含油率が2% 満の原料は低脂原料の範疇とする。

 低脂原料としては、油脂を含んでいない 、含んでいても2%未満の原料を指す。特に 定はされないものの一例としては、糖類、 アルコール類、その他甘味料、食物繊維、 加物などが挙げられる。

 糖類・糖アルコール類としては特に限定は れないものの、従来のチョコレートに用い れる糖・糖アルコール類が好適に用いられ 。一例としては、糖類としては、単糖類、 リゴ糖類、糖アルコール類、水飴等が例示 きる。単糖類としては具体的には、グルコ ス、フルクトース、マンノース、キシロー を挙げることができる。またオリゴ糖類と ては、通常2糖類から6糖類までのものが含 れるが、具体的にはショ糖、マルトース、 糖、トレハロース、マルトトリオース等を げることができる。糖アルコール類として 具体的には、ソルビトール、マルチトール マンニトール、エリスリトール、キシリト ル、オリゴ糖アルコール等を挙げることが きる。
また、本願発明においては糖類・糖アルコー ル類は特に限定はされないものの、結晶水を 解離しにくい糖が望ましく、さらには無水の ものほど望ましい。結晶水を解離しにくい糖 類・糖アルコール類の一例としては、マルト ースが挙げられる。
食物繊維としては特に限定はされないが、一 例としてはポリデキストロース、デキストリ ン、結晶セルロース、セルロース、ヘミセル ロース、リグニン、寒天、グルコマンナン、 アルギン酸ナトリウム、キトサンなどが挙げ られる。

 添加物としては従来より油性食品に用い れている乳化剤は好適に用いられる。特に 定はされないが、望ましくはポリグリセリ 縮合リシノレイン酸エステルやレシチン、 に望ましくはショ糖脂肪酸エステルやポリ リセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪 エステルが好適に用いることができる。

 ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂 酸エステルの添加量も特に限定はされない 、最終的な油性食品全体に対して、0.05重量 %以上、望ましくは0.07重量%以上、更に望まし くは0.1重量%以上であることが好ましい。0.05 量%未満の場合は、コンチングの際に生地を まとめる機能が弱くショ糖脂肪酸エステルや ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加による 粘度の低減効果が得られにくい。
また、添加量の上限は3.0重量%以下、望まし は1.0重量%以下、更に望ましくは0.5重量%以下 であることが好ましい。3重量%を超える場合 、添加した乳化剤に見合うほどの効果が得 れにくく経済的でないし、また乳化剤独特 風味が最終的な油性食品の風味の中で顕実 しやすい。

 また、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセ ン脂肪酸エステルの添加はコンチングの際 生地をまとめる効果を期待できるため、少 くともコンチングの際に生地中に分散して る必要があるため、コンチング工程開始よ 前の時点で添加されていることが好ましい その生地をコンチングに供されることで粘 低減効果が高まる。一方コンチングの終わ た生地にショ糖脂肪酸エステルを添加して 期待された粘度低減効果は得にくい。
また、レシチンやPGPRは粘度を低減させる機 がある反面、コンチングの際に生地が軟ら かったり流動性を持つ(後述のコンチング工 に供される生地の含油率が高い状態と同様 現象が起こる)ため、コンチェのブレードか ら生地がすり抜けて生地にシアを十分にかけ にくい。そのため、レシチンやPGPRの添加は ンチング工程中、ドライ状態から略ウェッ 状態になった以降であることが好ましい。

 ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂 酸エステルのHLBは特に限定はされず、従来 り油性食品に用いられている公知のもので れば好適に用いられるが、望ましくはHLB5~16 で生地をまとめる力が強く粘度を下げる効果 を得やすい。
構成脂肪酸についても特に限定はされず、従 来より油性食品に用いられているものであれ ば好適に用いられるが、望ましくは飽和脂肪 酸、更に望ましくは炭素数16~20の脂肪酸が結 しているものの方が生地をまとめる力が強 粘度を下げる効果を得やすい。

 上記原料、すなわちカカオマスや糖類、粉 や油脂等を適切に混ぜ合わせドウと呼ばれ 可塑性のある塊にし、リファイニング工程 供する。
通常リファイニング工程は原料を微細化でき る方法であれば特に限定はされないが、典型 的にはチョコレート製造工程でよく用いられ るロールリファイニングの工程が挙げられる 。ロールリファイニングによる加工は、従来 の油性食品を製造工程においてよく用いられ る比較的平易な加工装置であるため、付加的 な設備を必要とせず、また短時間で大量の加 工が可能である点で望ましい。

 油脂、含油原料、低脂原料それぞれは、最 的な油性食品においてその配合量に特に限 はなく、既存の油性食品で用いられる範囲 配合が可能である。ただし、従来はリファ ニング工程に供される時点でのドウの含油 は通常27重量%程度であったが、本発明にお ては、上限は25重量%未満である必要があり 望ましくは23重量%未満が好ましい。
ロールリファイニング時にドウの含油率が高 い場合は粒子とロールが「すべる」と呼ばれ る現象が起こり、ロールリファイニングにか かりにくくなる上に、同程度の粘度でより低 い油脂含率である油性食品を得るという本願 の目的のひとつにそぐわない。
一方、含油率が低い場合はドウとしてのまと まりが悪くなりロールにかかりにくくなるが 、ロールフレークにすることができれば特に 下限はない。一例としては10重量%以上、望ま しくは15重量%以上が好ましい。

 リファイニング工程にて常法に準じた方法 て目的とする粒度にドウを微細化した後、 の微細化した生地をコンチング工程に供す が、最終的な油性食品の粒度を低くする必 が無い場合(一例としてはグレーズなどが挙 げられる)は原料の一部をリファイニング工 に供さずリファイニング工程に供された残 とあわせた上でコンチング工程に供しても まわない。もっとも、粒度の大きい油性食 は固形分の表面積が相対的に小さいため、 度の小さい油性食品に比べて、同含油率で 低粘度になるため、本願発明の機能は粒度 小さいものの方がより効果を実感しやすい そのため油性食品の粒度は30μm以下、望まし くは25μm以下、もっとも望ましくは22μm以下 あることが好ましい。
なお、上記記述されている粒度の測定方法は 複数の粒度分布をもつ粒子の集合を混和し、 しかも油脂を連続相とした中に粒子が分散し ている場合は油性食品としてその粒度分布を 測定することは困難で且つ製品を管理する上 では現実的ではないので、油性食品メーカー では比較的一般的である、マイクロメーター による測定をもって本発明の粒度の規定に用 いる。
より具体的にはマイクロメーター(一例とし 株式会社ミツトヨ社製 商品名「デジマチッ ク標準外側マイクロメーター MDC-M」など)に 測定面に融解した油性食品(油分が50%に満た ない場合は、液油により希釈し油分50%~60%)を 着させ、測定面同士を近接させていく。油 食品の付着量は、測定時にマイクロメータ 測定面の幅が狭まり、測定値が示された時 で油性食品が測定面よりはみ出す程度の量 あり、少なくとも測定面に一様に分布する 度をもって測定する。量が少ないと測定面 士の空隙に十分な量の粒子が存在せず測定 差が生じやすくなるので、測定面からはみ さない場合は測定値として用いない。測定 、測定面を清浄な状態にして再度同様の手 で5回測定し、最大と最小の値を除く3回の 均値をもって油性食品の粒度としている。

 本願発明においては、コンチング工程に される生地の含油率としては、リファイニ グ工程に供する生地の含油量の範囲と同様 上限は25重量%未満、望ましくは23重量%未満 更に望ましくは21重量%未満が好ましく、下 は15以上、望ましくは18重量%以上が好まし 。

 また、コンチング工程開始時の総油分に対 る含油原料由来の非油固形分の比率が相対 に大きい必要があり、含油原料固形分比率( 対油)(=(含油原料由来の非油固形分)/(コンチ グ工程開始時の生地の総油分)で規定される) が0.6以上であることが好ましく、望ましくは 0.7以上、更に望ましくは0.8以上であることが 好ましい。
含油原料固形分比率(対油)が低いと、相対的 コンチング工程に供されている含油原料が なくなるため、固形物中に保持されている 脂、すなわちドライコンチング時に固形分 ら絞り出される対象となる油脂の絶対量が なく、十分に粘度は下げることが出来ない 含油原料固形分比率(対油)が高い、望まし は0.6以上あることで含油原料の組織内の油 が内部にとどまらずに、低油分であっても 性食品の粘度を有意に低下させるのではな かと思料される。

 生地は上記含油率の範囲であり、且つ含油 料固形分比率(対油)が相対的に高く、さら 望ましくは前述のショ糖脂肪酸エステルや リグリセリン脂肪酸エステルが添加される とで、粘土のように適度な可塑性とまとま をもち、コンチェのブレードがスクウィー (squeeze「押しつぶす」「圧搾する」の意)す 際に、生地によりつよいシアがかかること 、含油原料の組織の中に強く保持されたま で本来の状態では油性食品の粘度の低下に 与しない油脂が効率的に搾り出されやすく る。
生地の含油率が高すぎると、本願の目的のひ とつである最終油分の低油分化にそぐわない はもちろんだが、生地が軟らかかったり流動 性を持つため、コンチェのブレードから生地 がすり抜けて生地にシアを十分にかけること が出来ない。
一方、生地の含油量が低すぎると今度は生地 として粘土状にまとまらずさらさらとしたフ レーク状のままで、やはりコンチェのブレー ドはすり抜けて生地にシアを十分にかけるこ とが出来ない。

 コンチング工程に供された生地は、最初は ドライ状態」と呼ばれる生地表面が、つや ない状態であり、このドライ状態にてコン ングされることで徐々にフレークが纏まっ 一体になり可塑性が生じる状態である「略 エット状態」と呼ばれる可塑性がある状態 経て、「ウエット状態」と呼ばれる、つや ある状態になる。通常はこのウエット状態 なってから、最終的な油性食品の配合に対 て不足分の油脂や乳化剤などを添加する。 願においては、少なくとも「略ウエット状 」、望ましくは「ウエット状態」において 望の分の油脂原料や乳化剤を添加するのが ましい。
ただし、ここで添加する乳化剤は、前述の「 粘土のように適度な可塑性とまとまりをもた せる」為のショ糖脂肪酸エステルやポリグリ セリン脂肪酸エステルといったもの以外の、 最終的な生地の粘度を低減させる効果のある 乳化剤であり、一例としては、レシチンやポ リグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PG PR)を添加するのが望ましい。

 ドライ状態でのコンチング温度は油性食品 の油脂の大半が融解していれば低い領域の が好ましく、特に限定はされないがココア ターやCBEなどのテンパリングタイプの油性 品においては望ましくは55℃以下、更に望 しくは50℃以下の低温で行われることが好ま しい。
低い温度領域でのコンチングは、シアがかか りやすい。上記のとおり、含油原料の組織の 中に強く保持されたままで本来の状態では油 性食品の粘度の低下に寄与しない油脂が効率 的に搾り出されやすくなる。
コンチングが十分に低い温度で行われないと 、少なくとも温度によるシアのかかりやすさ は従来品並みとなり、含油率に見合った粘度 、あるいは粘度に見合った含油率程度の低減 効果にとどまる。

 ドライ状態でのコンチング時間は長くす か、または強い剪断応力にて行うのが好ま い。特に限定はされないが、通常は30分以 、望ましくは60分以上が好ましい。

 なお、従来の油性食品の製造工程にあって 、コンチング工程に供された際に最初は「 ライ状態」であるものの、含油率が本願発 より高く速やかに「ウエット状態」に移行 る。本願における油性食品の製造工程にお ても、コンチング工程に供された際に最初 「ドライ状態」であるが、従来の油性食品 り低含油率であるため、この「ドライ状態 は長く持続される。
この低含油率での「ドライ状態」を長く、上 記に述べたとおり通常は30分以上維持するこ で、フレークが纏まって一体になり可塑性 生じる状態である「略ウエット状態」と呼 れる可塑性がある状態を経て、「ウエット 態」に移行する。

 ドライコンチング時の含油率は従来品も本 発明においても最終的な油性食品の含油率 下であり、最終的な油性食品の含油率に調 する為、油脂原料を追加することが多い(追 油と称する)。「ドライ状態」で追油をする 追油の量にもよるが、「ドライ状態」の生 は一気に「ウエット状態」になりがちであ 。
本願において追油の必要がある場合は、上記 の通り「ドライ状態」でのコンチングが、従 来のものに比べて同程度の含油率の場合には 低粘度の、あるいは同程度の粘度の場合には より低い含油率の油性食品に寄与しているた め、「ドライ状態」での追油は避け、少なく とも「略ウエット状態」、望ましくは「ウエ ット状態」になった後に追油をする方が望ま しい。ウエット状態になった以降の工程は従 来の油性食品のコンチング工程と同じであり 、従来公知の方法にて適宜実施すればよい。

 なお、本願発明者により、含油率xと粘度y 関係は指数関数y=ax b に近似できる点、さらにPGPRの添加量(c)と粘 との関係は添加量に一次的に比して低下す わけではなく、添加量が多くなるにつれそ 効果は徐々に減衰し、およそ1%程度添加する とその低減効果は頭打ちに、それ以上添加し ても粘度はほとんど低下しないことも明らか にされている。すなわち、cは関数中の定数a 決定する指数関数の指数に組み込まれるこ で添加量に伴う粘度yの低減とその減衰を近 似できる。上記の知見より、本願発明にて得 られた油性食品の生地は45℃において、次式 表される該当含油率xの粘度yよりも低粘度 ある。
式:y=ax b
ただし y:粘度(p)、 x:含油率(重量%)、
a:(0.2+2.8exp(-6c))×10 16
b:-9.4
c:油性食品中に含まれるポリグリセリン縮合 シノレイン酸エステル(PGPR)(重量%)
従来の油性食品に比べて同程度の含油率なら 低粘度の、同程度の粘度であるならより低い 含油率で発揮させることができるため、油性 食品の最終的な含油率は特定されないが粘度 と含油率の関係はある特定の曲線より低粘度 側となる。
 この本願発明の効果を十分に発揮した油性 品においては、aの値は(0.2+2.8exp(-6c))×10 16 、より望ましくは(0.2+1.5exp(-6c))×10 16 、もっとも望ましくは含油(0.2+exp(-6c))×10 16 であることが好ましい。aの値が小さいほど 同程度の含油率なら低粘度に、同程度の粘 ならより低い含油率とすることができる。
ただし、油性食品の粒度は30μm以下である。 性食品は粒度が粗くなるにつれて粒子の総 面積が減少するため、粘度は本願発明の効 を用いずとも落ちやすく、なにより、30μm 越えた油性食品は喫食時に口腔内にざらつ を感じやすい。油性食品、特にチョコレー 類としての口溶けを望む場合はその粒度は27 μm以下、望ましくは25μm以下、もっとも望ま くは22μm以下であることが好ましい。
なお、粒度の測定方法は上記記述の通りマイ クロメーターを用いる方法が一般的であり、 本規定の粒度規定についても上記マイクロメ ーターによる測定方法を用いるものとする。
この曲線の示す領域を具体的な製品において 示すと、C=0の場合は、含油率36重量%以下にお いては粘度が70p以下、含油率33重量%以下にお いては粘度が160p以下、含油率30重量%以下に いては粘度が391p以下、含油率27重量%以下に いては粘度が1053p以下、0<C≦0.2の場合は 含油率36重量%以下においては粘度が25p以下 含油率33重量%以下においては粘度が56p以下 含油率30重量%以下においては粘度が136p以下 含油率27重量%以下においては粘度が366p以下 、0.2<C≦0.4以下の場合は、含油率35重量%以 においては粘度が11p以下、含油率33重量%以 においては粘度が24p以下、含油率30重量%以 においては粘度が59p以下、含油率27重量%以 においては粘度が159p以下の領域がそれにあ たる。

 さらに、チョコレート類は塑性(ビンガム) 体を示し、剪断力がかかっても即流動せず ある一定の剪断応力(降伏値)をこえてはじめ て流動し始め、その後は剪断速度と剪断応力 が比例する特性がある。
この際に、剪断応力と剪断速度と粘度の関係 は以下のCassonの式で示される。
(τ)  0.5 =(η 0.5 ×(D)  0.5  + (τ 0 0.5
 ※τ:剪断応力 D:剪断速度
  η :塑性粘度(剪断速度が無限大の時の粘度)
  τ 0 :降伏値
  ただし(D)  0.5 はDの0.5乗、すなわちルートを意味する。
前出のPGPRによる粘度低減は降伏値の減少に 寄与するものの塑性粘度には殆ど影響しな ことも明らかにされている。
また、含油率xと塑性粘度y’の関係は指数関 y’=ax b に近似できる。上記の知見より、本願発明に て得られた油性食品の生地は45℃において、 式に表される該当含油率xの塑性粘度y’よ も低粘度である。
式:y’=ax b
ただし y’:塑性粘度(p)、 x:含油率(重量%)、
a:2.5×10 11
b:-5.43
従来の油性食品に比べて同程度の含油率なら 低塑性粘度の、同程度の塑性粘度であるなら より低い含油率で発揮させることができるた め、油性食品の最終的な含油率は特定されな いが塑性粘度と含油率の関係はある特定の曲 線より低塑性粘度側となる。
この本願発明の効果を十分に発揮した油性食 品においては、aの値は2.5×10 11 、より望ましくは2.3×10 11 、もっとも望ましくは含油2.0×10 11 であることが好ましい。aの値が小さいほど 同程度の含油率なら低塑性粘度に、同程度 塑性粘度ならより低い含油率とすることが きる。
また、粘度の場合と同様の理由で、粒度は油 性食品の粒度は30μm以下である必要があり、 ましくは25μm以下、もっとも望ましくは22μm 以下であることが好ましい。
この曲線の示す領域を具体的な製品において 示すと、含油率36重量%以下においては塑性粘 度が886p以下、含油率33重量%以下においては 性粘度が1420p以下、含油率30重量%以下におい ては塑性粘度が2383p以下、含油率27重量%以下 おいては塑性粘度が4223p以下の領域がそれ あたる。

 従来の方法では、なし得ない、あるいは に含油率だけを本願発明程度のものにする とが出来たとしても粘度が高く、限られた 途にしか使うことが出来ないものであり、 記曲線より低粘度側、低塑性粘度側の油性 品は既存の技術で為し得るのは困難である

 以下に本発明の実施例を示し、本発明を り詳細に説明するが、本発明の精神は以下 実施例に限定されるものではない。なお、 中、%及び部は重量基準を意味する。

 <実施例1、比較例1>
 ・ロールフレークの作製
表1の<ロールリファイナー投入生地配合> に従い溶解したカカオマスにココア、砂糖、 乳糖、ショ糖脂肪酸エステル(リョートー株 会社株式会社製)、全粉乳、ココアバター、 化剤を配合し、ミキサー(愛工舎株式会社製 AM30)にてドウ状になる程度(8~10分)に撹拌して ールリファイナー投入生地を作製し、ロー リファイナー投入生地をロールリファイナ (BUHLER社株式会社製「Three-roll mill SDY-300」) より粉砕し、ロールフレークを得た。

 ・コンチング
得られたロールフレークをコンチングマシン (株式会社三栄製作所製)にて表1記載の温度で 120分間ドライコンチングを行い、続いて表1 従い追油を行ったのち、リキッドコンチン を180分行い、最終的な油性食品を得た。
油性食品は40℃にて粘度を測定(東京計器株式 会社製、BH型粘度計、5号ローター、10rpmで測 )した。
また、塑性粘度はB型粘度計(BROOKFIELDモデルDV- III )45℃にて、回転数を12.5(rpm)、37.5、62.5、87 .5、112.5、137.5、162.5、187.5、212.5と変化させた 際の、その時の剪断速度と剪断応力を測定し 、Casson式にて外挿することで算出した。
また、油性食品の粒度の測定方法は[発明を 施するための最良の形態]に記載の方法にて 定を行い、すべての油性食品の粒度は22μm あった。

 <比較例2>
表1に従い、比較例2は比較例1で得られた最終 製品にさらに実施例1と同程度の粘度になる で追油をおこなった。また実施例1と同様の 法で測定した粒度は22μmであった。

 <表1>
※ 含油原料固形分比率(対油)
=(含油原料由来の固形分)/(コンチング工程開 時の生地の総油分)

 実施例1と比較例1は最終的に得られた油性 品の配合やドライコンチングの温度条件は じであるが、ドライコンチング時の含油率 低い実施例1は、最終製品対比で比較例1に比 べ粘度が60%程度にまで低くなった。
このことから、低含油率でドライコンチング をかけることが粘度の低下に大きく寄与する ことが明らかとなった。
比較例2は実施例1と最終製品の時点で同程度 粘度を有する従来法で作製された油性食品 はあるが、その最終含油率は35%まで上昇し 。
このことから、本願発明を用いることで、同 程度の粘度なら低含油率に、同程度の含油率 ならより低粘度の最終製品の油性食品が得ら れることが明らかになった。

 <実施例2・比較例3>
実施例1・比較例1の追油に粘度を低減させる 果があることが知られているPGPR(ポリグリ リン縮合リシノレイン酸エステル、阪本薬 株式会社製「CRS-75」)を0.4重量%加える以外は すべて実施例1・比較例1と同配合・同手順に 、実施例2と比較例3の最終製品の油性食品 得た。最終製品の油性食品の粘度を実施例1 同様の方法で測定し、表2にあわせて示した 。また実施例1と同様の方法で測定した粒度 双方ともに22μmであった。

 <表2>

 実施例2と比較例3は最終的に得られた油性 品の配合やドライコンチングの温度条件は じであるが、ドライコンチング時の含油率 低い実施例2は、最終製品対比で比較例3に比 べ粘度が60%程度にまで低くなった。
また、実施例2と比較例3はそれぞれにPGPRの効 果により粘度が低下しているものの、本願発 明の効果を用いた実施例2は比較例3に比べ、 度を更に低減することが可能であることが された。
このことから、低含油率でドライコンチング をかけることが粘度の低下に大きく寄与する ことが明らかとなった。

 <実施例3、実施例4、実施例5>
 ・ロールフレークの作製
表3の<ロールリファイナー投入生地配合> に従い溶解したカカオマスにココア、砂糖、 乳糖、ショ糖脂肪酸エステル(リョートー株 会社株式会社製)、全粉乳、ココアバター、 化剤を配合し、ミキサーにてドウ状になる 度に撹拌してロールリファイナー投入生地 作製し、ロールリファイナー投入生地をロ ルリファイナーにより粉砕し、ロールフレ クを得た。

 ・コンチング
得られたロールフレークをコンチングマシン (株式会社三栄製作所製)にて表3記載の温度で 120分間ドライコンチングを行い、続いて表2 従い追油を行ったのち、リキッドコンチン を180分行い、油性食品を得た。
つづいて実施例4はロールリファイナーに投 する生地の段階にてレシチンを加えず、ま ドライコンチングの温度条件を45℃にする以 外は実施例3と同様の工程にてロールリファ ナー、コンチングを行い、油性食品を得た (ロールリファイナーに投入する段階で添加 なかったレシチンは追油中のレシチンとあ せ添加し、最終製品としては同量のレシチ が配合されているようにした)
また、実施例5も表3に従い、ドライコンチン の含油率を21重量%、17重量%とする以外は実 例2と同様の工程にてロールリファイナー、 コンチングを行い、油性食品を得た。また実 施例1と同様の方法で測定した粒度はすべて22 μmであった。

 <表3>

 実施例3と実施例4は最終的に得られた油性 品の配合やドライコンチング時の含油率は じであるが、ドライコンチングの温度が60℃ から45℃へと下げ、さらにドライコンチング にレシチンを添加しない、すなわちドライ ンチング時につよいシアのかかる実施例4は 最終製品対比で実施例3に比べ粘度が80%以下 低くなった。
また、実施例4と実施例5は最終的に得られた 性食品の配合やドライコンチングの温度条 は同じであるが、ドライコンチング時の含 率を更に21重量%まで低下させる、すなわち ライコンチング時につよいシアのかかる実 例4は、最終製品対比で実施例4に比べ粘度 50%程度にまで低くなった。
このことから、ドライコンチングの際にレシ チンを低減させたり、温度を低下させたりす ることも低下に特に大きく寄与することが明 らかとなった。

 <実施例6>
表4に従い、実施例6はロールリファイナーに 入する生地の段階にてショ糖脂肪酸エステ を加えない以外は実施例5と同様の工程にて ロールリファイナー、コンチングを行い、油 性食品を得た。

 <実施例7>
表4に従い、実施例7はロールリファイナーに ショ糖脂肪酸はロールリファイナーに投入 る生地の段階にてショ糖脂肪酸エステルを えずにコンチングが終了した段階で生地に 加する以外は実施例5と同様の工程にてロー ルリファイナー、コンチングを行い、油性食 品を得た。
比較の為、実施例5の配合と物性を併記し、 終製品の油性食品の粘度を実施例1と同様の 法で測定し、表4にあわせて示した。また実 施例1と同様の方法で測定した粒度は実施例6 実施例7ともに22μmであった。

 <表4>

 実施例5と実施例6はドライコンチング時に ョ糖脂肪酸エステルが存在する以外は配合 温度等の条件は同じであるが、実施例6は実 例5には及ばなかった。一方、実施例7は全 同じ配合である実施例6よりも30%以上粘度が かった。このことから、シュガーエステル ドライコンチングの際に加えることで、粘 の低下に大きく寄与することが明らかとな た。
このことから、ドライコンチングの際にショ 糖脂肪酸エステルが存在していることが粘度 の低下にさらに寄与することが明らかとなっ た。

 <実施例8>
表5に従い、実施例8はドライコンチング時の 油率を更に22重量%まで低下させ、ドライコ チングの温度条件を45℃にし、さらにPGPRを0 .4重量%添加する以外は実施例1と同様の工程 てロールリファイナー、コンチングを行い 油性食品を得た。また実施例1と同様の方法 測定した粒度は22μmであった。
比較の為、実施例1、比較例1の配合と物性を 記した。

<表5>

 実施例8と比較例1は最終的に得られた油性 品の配合はPGPRが添加されている以外はすべ 同じであるが、ドライコンチング時の含油 が低くかつ低温で、すなわちドライコンチ グ時につよいシアのかかる実施例8は、最終 製品対比で比較例1に比べ粘度が10%以下にま 低くなった。
以上記述した実施例並びに比較例と既存の油 性食品の最終含油率と粘度の関係をPGPR=0のも のは図6に、PGPR=0.4のものは図7に、またの最 含油率と塑性粘度の関係を図8に示した。
<図6>
※ 関係式y=ax b
y:粘度(p)
x:含油率(重量%)
a:(0.2+2.8exp(-6c))×10 16
b:-9.4
c:PGPR(重量%)=0
<図7>
※ 関係式y=ax b
y:粘度(p)
x:含油率(重量%)
a:(0.2+2.8exp(-6c))×10 16
b:-9.4
c:PGPR(重量%)=0.4
<図8>
※ 関係式y’=ax b
y’:塑性粘度(p)
x:含油率(重量%)
a:2.5×10 11
b:-5.43
なお、表示は図6、図7、図8ともに両対数グラ フ。

 本願発明の技術を用いた実施例は同様の配 の比較例と比較した場合に明らかに同程度 含油率であっても粘度を低下させることが 能であり、また実施例は関係式y=ax b (ただし、a,bはそれぞれPGPRの添加量において 定の値であるところの)、すなわち、PGPR=0の 場合は、「粘度/最終含油率(PGPR=0)」の、 PGPR =0.4の場合は、「粘度/最終含油率(PGPR=0.4) 」 値を下回り、既存の技術で得られた比較例 関係式y=ax b を下回ることはなかった。
同様に本願発明の技術を用いた実施例は同様 の配合の比較例と比較した場合に明らかに同 程度の含油率であっても塑性粘度を低下させ ることが可能であり、また実施例は関係式y =ax b (ただし、a,bはそれぞれ所定の値であるとこ の)、すなわち、「塑性粘度/最終含油率」の 値を下回り、既存の技術で得られた比較例は 関係式y’=ax b を下回ることはなかった。

 本発明によって、平易な方法にて従来に い、含油率に対して相対的に低粘度な、呈 性に優れ、物性やコーティング適性に優れ 油性食品を製造できる。