Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
ADSORBENT DESULFURIZER FOR LIQUID PHASES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113445
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are an adsorbent desulfurizer for liquid phases made by loading gold nanoparticles with a mean particle diameter of 50 nm or less on a metal oxide, a desulfurizing method characterized by the fact that said desulfurizer is brought into contact with a liquid that includes sulfur-containing organic compounds, and a desulfurizer regeneration method characterized by the fact that the desulfurizer is heat-treated to remove the sulfur-containing organic compounds adsorbed onto said desulfurizer. This invention can remove even thiophene sulfur compounds, for which satisfactory removal was difficult with prior methods, to sulfur concentrations of 10 ppm and below. Also provided is a novel desulfurizer that can be regenerated with a simple treatment method after the desulfurizing treatment.

Inventors:
SAKURAI HIROAKI (JP)
KIUCHI MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054189
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 05, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
SAKURAI HIROAKI (JP)
KIUCHI MASATO (JP)
International Classes:
C10G25/00; B01J20/06; B01J20/34; C10G29/16
Foreign References:
JP2005007383A2005-01-13
US20060102522A12006-05-18
JPH02261895A1990-10-24
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA & PARTNERS (JP)
Patent business corporation 3 Edakuni [Hajime] patent firm (JP)
Download PDF:
Claims:
平均粒径50nm以下の金ナノ粒子を金属酸化物に担持してなる液相用吸着脱硫剤。
比表面積が1m 2 /g以上である請求項1に記載の脱硫剤。
請求項1に記載の金ナノ粒子担持金属酸化物を支持体上に固定化した液相用吸着脱硫剤。
処理対象が、硫黄含有有機化合物を含む液体燃料である請求項1に記載の脱硫剤。
請求項1に記載の脱硫剤を、硫黄含有有機化合物を含む液体と接触させることを特徴とする脱硫方法。
処理対象が硫黄含有有機化合物を含む液体燃料である請求項5に記載の脱硫方法。
処理対象の液体燃料が、チオフェン環を有する有機化合物を含むものである請求項6に記載の脱硫方法。
チオフェン環を有する有機化合物が、ジベンゾチオフェン及びアルキルジベンゾチオフェン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項7に記載の脱硫方法。
請求項5の方法によって脱硫処理を行った後、脱硫剤を加熱処理して該脱硫剤に吸着された硫黄含有有機化合物を除去することを特徴とする脱硫剤の再生方法。
請求項9の方法によって再生処理を行った脱硫剤を、請求項5の方法によって硫黄含有有機化合物を含む液体と接触させることを特徴とする脱硫方法。
  
Description:
液相用吸着脱硫剤

 本発明は、液相用吸着脱硫剤、及び該脱 剤を用いる脱硫方法に関する。

 公害防止、エンジンの燃費向上、将来の 動車用燃料電池システムへの対応等の観点 ら、ガソリン、灯油、軽油等の液体燃料に まれる硫黄濃度をより低減させることが要 されている。このため、液体燃料からの脱 技術の確立が重要な課題となっている。

 硫黄濃度が10ppm程度のいわゆるサルファ フリー燃料については、既に商品としての 給が開始されているが、現在、それ以上に 黄濃度を低減させる技術が求められている 特に、燃料電池用の燃料については、硫黄 度を0.1ppm以下にする必要があると言われて る。尚、本願明細書において、硫黄濃度のpp m表示は重量ppmであり、液体燃料油1g中に硫黄 分が元素として1μg含まれる場合を1ppmとする

 液体燃料中の硫黄濃度を減少させる方法 しては、液体燃料の製造工程では、コバル -モリブデン系触媒を用いた水素化脱硫法が 専ら用いられている。しかしながら、液体燃 料に含まれる各種硫黄化合物のうちでジベン ゾチオフェンは相対的に水素化の反応性が低 いために、水素化脱硫処理後にも液体燃料に 残存しやすいという問題点がある。特に、ジ ベンゾチオフェンの硫黄原子の周辺にアルキ ル基が置換された4,6-ジメチルジベンゾチオ ェン等は立体障害のため触媒表面での反応 が低く、難除去性化合物となっている。そ で、水素化脱硫触媒の改良が進められてお 、更に、酸化脱硫や吸着脱硫などの他法も 近検討されている。

 液相吸着脱硫法は、液体燃料を脱硫剤と 触させて硫黄化合物を吸着除去する方法で り、簡単な装置で実施できる特徴がある。 かしながら、脱硫剤が吸着飽和に達すると れ以上は脱硫できず、交換後の吸着剤は再 用できないため、産業廃棄物が多量に発生 るという問題がある。このため、使用後の 硫剤を再生して再使用することが望まれる 、チオフェン類の吸着脱硫剤において、こ ような性質を満たすものは知られていない

 現在、液相吸着脱硫剤として検討されてい 材料は、活性炭系、金属酸化物系、ゼオラ ト系及び金属系の4つのカテゴリーに分類で きる(下記非特許文献1参照)。これらの内で、 活性炭は、一般的な吸着剤として広く使用さ れており、比表面積が1000m 2 /g以上と非常に大きく、有機物一般の吸着能 に優れるが、含硫黄有機物だけを除去する 択的吸着については期待できない。また活 炭の加熱再生は一般的に行われているが、 生時に活性炭自体が一部分解される欠点が り、安全管理を適切に行わないと活性炭が 火したり、吸着物の分解時に一酸化炭素が 生して中毒事故などが起こる可能性がある

 酸化物系脱硫剤としては、酸化鉄、酸化 鉛などの材料が硫化水素を吸着するため実 化されているが、チオフェン系硫黄化合物 吸着剤として十分な性能を持つものはこれ で報告されていない。

 ゼオライト系脱硫剤は、比表面積が500m 2 /g以上と大きく、耐熱性もあり、イオン交換 による修飾で特性を大きく変えられるため 吸着脱硫剤としても検討されている。例え 、CuやCeでイオン交換したY型ゼオライト(Cu-Y , Ce-Y)がチオフェン類化合物の吸着剤として することが報告されている(下記特許文献2,3 参照)。しかしながら、脱硫後の再生法につ てはこれまでに報告がなく、本願発明者等 実験では、通常の加熱操作では再生使用が しいことが確認されている。

 金属系の脱硫剤については、金属種によ 有効に吸着除去できる硫黄化合物の種類が なり、Ni系脱硫剤がチオフェン類化合物に して優れた性能を示すことが知られている しかしながら、Ni系脱硫剤は、高温での水素 還元と特殊な安定化処理を経た後に200℃程度 の加熱下で吸着を行わせることが必要であり 、脱硫操作が非常に煩雑である。また、Niが 度安定な硫化物を形成すると再生は非常に 難である(下記特許文献1参照)。

 ところで、金属酸化物を担体として、そ 表面に貴金属ナノ粒子として担持した材料 、各種の化学反応に対して高い活性を有す ことが知られており、各種の化学反応用触 として用いられている。この様な貴金属触 では、一般に硫黄化合物は貴金属触媒の活 点に吸着して、触媒毒となることが知られ いる。このため、Pt, Pd等の貴金属触媒を脱 硫の目的に検討した報告はコバルト-モリブ ン系触媒と比べ少ないが、例えば、白金を オライトに担持した系が水素化脱硫に活性 示すことが最近報告されている(下記非特許 献4参照)。また、白金触媒に対し、金の添 により水素化脱硫性能の制御を試みた報告 あるが、貴金属として金のみを含む材料に いては脱硫触媒として報告された例はない

 硫黄化合物の内で、特にアルカンチオール (RSH)は、金の表面に規則正しく吸着して自 組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Monolayer)を形 成することが知られている。また、チオフェ ンについても、1995年のGaoらによるポリアル ルチオフェンのSAM形成の報告(下記非特許文 5参照)以来、SAM形成についても複数の研究 により実験的に確認されており、チオフェ ポリマーが導電性高分子として電子デバイ などへの応用が可能であることから、この 野での研究は盛んになりつつある。このよ に単純なチオフェンあるいはアルキルチオ ェンに関してはAu表面への吸着現象とその応 用が検討されているが、SAMとして単分子膜を 利用する目的からAuの単結晶が専ら用いられ おり、吸着量が少ないために、吸着脱硫剤 して用いられることは無く、液体燃料から 脱硫の対象として重要なジベンゾチオフェ 類の吸着については報告された例は無い。

特開平11-169601号公報 (財)石油産業活性化センター 技術企画  著,ペトロテック,11(2005), 835-840 千代田修著,触媒,47 (2005) 568 M. Xueら著, J. Colloid Interf. Sci., 298 (200 6) 535-542 M. Sugiokaら著, J. Jpn. Petrol. Inst., 45 (20 02) 342-354 Z. Gaoら著, Synthetic Metals 75 (1995) 5-10

 本発明は、上記した従来技術の問題点に みてなされたものであり、その主な目的は 液体燃料中に含まれる硫黄化合物に対して 効な液相吸着による脱硫剤、特に、従来の 法では十分に除去することが困難であった オフェン系硫黄化合物についても10ppmを下 る硫黄濃度となるまで除去することができ しかも、脱硫処理後に簡単な処理方法で再 用が可能な新規な脱硫剤を提供することで る。

 本発明者は、上記した目的を達成すべく 意研究を重ねてきた。その結果、各種の化 反応用触媒として知られている金のナノ粒 を担持した金属酸化物が、液体燃料中の硫 含有有機化合物に対して選択性の良い吸着 として作用し、特に、従来の方法では十分 低濃度まで除去が困難であったチオフェン 硫黄化合物についても、十分な低濃度まで 着除去できることを見出した。しかも、吸 処理後には、簡単な加熱処理によって、吸 された硫黄化合物を効率良く除去でき、吸 剤として再利用が可能となることを見出し ここに本発明を完成するに至った。

 即ち、本発明は、下記の液相用吸着脱硫剤 及び該脱硫剤を用いる脱硫方法を提供する のである。
1. 平均粒径50nm以下の金ナノ粒子を金属酸化 に担持してなる液相用吸着脱硫剤。
2. 比表面積が1m 2 /g以上である上記項1に記載の脱硫剤。
3. 上記項1に記載の金ナノ粒子担持金属酸化 を支持体上に固定化した液相用吸着脱硫剤
4. 処理対象が、硫黄含有有機化合物を含む 体燃料である上記項1に記載の脱硫剤。
5. 上記項1に記載の脱硫剤を、硫黄含有有機 合物を含む液体と接触させることを特徴と る脱硫方法。
6. 処理対象が硫黄含有有機化合物を含む液 燃料である請求項5に記載の脱硫方法。
7. 処理対象の液体燃料が、チオフェン環を する有機化合物を含むものである上記項6に 載の脱硫方法。
8. チオフェン環を有する有機化合物が、ジ ンゾチオフェン及びアルキルジベンゾチオ ェン類からなる群から選ばれた少なくとも 種の化合物である上記項7に記載の脱硫方法
9. 上記項5の方法によって脱硫処理を行った 、脱硫剤を加熱処理して該脱硫剤に吸着さ た硫黄含有有機化合物を除去することを特 とする脱硫剤の再生方法。
10.上記項9の方法によって再生処理を行った 硫剤を、請求項5の方法によって硫黄含有有 化合物を含む液体と接触させることを特徴 する脱硫方法。

 以下、本発明の脱硫剤、その製造方法及 使用方法について具体的に説明する。

  脱硫剤
 本発明の脱硫剤は、平均粒子径が50nm以下の 金ナノ粒子を金属酸化物に担持させた構造を 有するものである。

 この様な金ナノ粒子を担持した金属酸化 は、一酸化炭素やホルムアルデヒドの酸化 去、排ガス中のNOxの炭化水素による還元、 酸化炭素や二酸化炭素の水素化によるメタ ール合成反応、一酸化炭素と水から二酸化 素と水素を生成する水性ガスシフト反応、 ロピレンの選択酸化によるプロピレンオキ イド合成反応など各種の化学反応に対する 媒として、高い活性を示すことが知られて る。しかしながら、これまで、液相におい 硫黄化合物に対して選択的な吸着作用を有 ることは全く知られていない。

 本発明によれば、上記したナノサイズの 微粒子を金属酸化物に担持させた構造を持 物質が、液相において、硫黄を含有する各 の有機化合物に対して選択的吸着作用を有 、脱硫剤として有効であることが新たに見 された。

 本発明の脱硫剤は、ナノサイズの金粒子 金属酸化物担体の表面に均一に担持された 造を有することが好ましい。金属酸化物に 持された金微粒子は、ナノサイズという非 に微細な状態であるために、吸着に必要な の表面積が非常に大きく、優れた吸着性能 発揮できる。また脱硫後の吸着剤再生のた に必要な燃焼活性点は、金と金属酸化物の 合界面に形成されると考えられるので、こ 接合部分を多くするためにもできるだけ粒 が小さいことが好ましい。具体的には、金 子の平均粒子径は、金原子のサイズ以上で って50nm程度以下であればよく、好ましくは 1~10nm程度である。尚、本願明細書において、 金粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡法 による測定値の平均値、または粉末X線回折 定データからSherrerの式により計算された金 結晶子径の値であり、金ナノ粒子触媒の場 には両値はほぼ一致することを確認してい 。

 金粒子を担持する金属酸化物としては、 えば、ベリリウム、マグネシウム、アルミ ウム、ケイ素、カルシウム、スカンジウム チタン、バナジウム、クロム、マンガン、 、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウ 、ゲルマニウム、ストロンチウム、イット ウム、ジルコニウム、カドミウム、インジ ム、スズ、バリウム、ランタノイド元素等 金属元素を含む酸化物を用いることができ 。これらの金属酸化物は、上記金属元素を 種のみ含む単一金属の酸化物であってもよ 、2種以上の金属元素を含む複合酸化物であ ってもよい。これらの金属酸化物の内で、特 に、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッ ケル、亜鉛、ジルコニウム、ランタン、セリ ウム等の金属元素を一種又は二種以上含む金 属酸化物が好ましい。上記した単一金属の金 属酸化物及び複合酸化物は、必要に応じて混 合して用いることも可能である。なお、周期 律第2族元素のベリリウム、マグネシウム、 ルシウム、ストロンチウム、バリウムにつ ては、製造方法によっては、対応する酸化 の他に、水酸化物、塩基性炭酸塩等が含ま る場合がある。本発明では、金をナノ粒子 に担持する「酸化物」には、これらの水酸 物、塩基性炭酸塩等が含まれていても良い

 金ナノ粒子を担持した金属酸化物からな 本発明の脱硫剤において、金の含有量は、 をナノ粒子状態に保持できるよう調製でき 限りは特に制限はない。例えば、担体とし 用いる金属酸化物と調製法を適宜選択する とにより、金ナノ粒子と金属酸化物の合計 を基準として、0.1~60重量%程度の金含有量を 持つ脱硫剤を調製できる。

 本発明の脱硫剤、即ち、金ナノ粒子を担 した金属酸化物の形態は、その使用目的に じて適宜選択可能である。例えば、粉末状 用いることもできるし、顆粒状、ペレット 等に成形して用いることもできる。また支 体上に金ナノ粒子を担持した金属酸化物を 定化して、支持体の形状として用いること できる。支持体については、表面に金ナノ 子を担持した金属酸化物を固定化すること できれば支持体の形状は特に限定されず、 板状、ブロック状、繊維状、網状、ビーズ 、ハニカム状等何でも良い。例えばハニカ 状として用いる場合、粉末状で調製した脱 剤をハニカムの表面に付着させて用いるこ もできるし、ハニカムの表面に予め酸化物 担持しておき、後述する析出沈殿法等を適 してこの表面に金ナノ粒子を直接担持する ともできる。支持体の材質についても特に 定的ではなく、金ナノ粒子を担持させる条 や脱硫条件下において安定なものであれば く、例えば、各種のセラミックスを使用す ことができる。

 金ナノ粒子を担持させた状態における金属 化物の比表面積は、BET法による測定値とし 、1~2000m 2 /g程度であることが好ましく、5~1000m 2 /g程度であることがより好ましい。このよう 金ナノ粒子担持酸化物を得るためには、例 ば、金ナノ粒子を担持させる金属酸化物と て上記した範囲の比表面積を有するものを いればよい。

  脱硫剤の製造方法
 金属酸化物上に金をナノサイズの粒子とし 担持させる方法については、特に限定的で なく、例えば、以下の公知の調製法を採用 ることができる。
(a) 共沈法(特開昭60-238148号公報等)
(b) 析出沈殿法(特開平3-97623号公報等)
(c) コロイド混合法(Tsubota S. et al., Catal. Le tt., 56 (1998) 131)
(d) 気相グラフティング法(特開平9-122478号公 )
(e) 液相グラフティング法(Okumura M. et al., C hem. Lett., (2000) 396)

 これらの方法において、金微粒子を析出 せるための金の前駆体としては、採用する 法に応じて、例えば、金の水溶性化合物(例 えば、塩化金酸)や、金アセチルアセトナト 体等の加熱により気化する化合物等を用い ことができる。

 金属酸化物の原料についても、採用する 持方法に応じて、例えば、各種金属の硝酸 、硫酸塩、酢酸塩、塩化物等が用いること できる。具体的には、硝酸セリウム、硝酸 ルコニウム等の硝酸塩、硫酸チタン等の硫 塩、塩化セリウム、三塩化チタン、四塩化 タン等の塩化物等を用いることができる。

 共沈法(a)では、まず、これらの酸化物の 駆体と金の前駆体をアルカリ条件で同時に 殿させる。次いで、得られた金水酸化物と 化物前駆体の水酸化物の混合物の沈殿をろ 、水洗、乾燥の後、後述する熱処理を行う とにより金ナノ粒子を担持した酸化物が得 れる。

 (b)~(e)の調製方法では、酸化物の前駆体は 予め酸化物または水酸化物の形にしておいて から金の担持を行う必要がある。最初から酸 化物または水酸化物として市販されているも のを利用することも可能である。これらは、 特に形態を問わず、粉末状の製品の他、ビー ズ、ペレット、ハニカムなどでも良く、単一 組成でなくても、例えばセラミックハニカム 等の表面に酸化チタンをコーティングしたよ うなものも利用できる。以上のような酸化物 または水酸化物の表面に(b)~(e)の方法により の前駆体を担持させ、必要によりろ過、水 、乾燥の後、後述する熱処理を行うことに り金ナノ粒子を担持した酸化物を得ること できる。

 上記の調製法のうち共沈法と析出沈殿法 場合には、例えば、特公平5-325及び特公平6- 29137に示されているように調製中にクエン酸 グネシウムを加えることが金の粒径を小さ するために有効であり、この方法は、特に の担持量が多い場合に効果的に用いられる

 上記した公知の調製方法において、金を 終的に金属の状態にするためには、例えば 酸素含有雰囲気中、還元性ガス雰囲気中、 活性ガス雰囲気中等の各種の雰囲気中で熱 理すればよい。酸素含有雰囲気としては、 気雰囲気、あるいは酸素を窒素、ヘリウム アルゴン等で希釈した混合気体雰囲気など 利用できる。還元性ガスとしては、例えば 窒素ガスで希釈した1~10vol%程度の水素ガス 一酸化炭素ガス等を用いることができる。 活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウ 、アルゴンなどを利用できる。

 熱処理温度は、公知の金属金生成条件の 囲から適宜選択すればよく、通常室温~600℃ 程度が好ましい。安定かつ微細な金粒子を得 るためには、200~400℃程度がより好ましい。 処理時間は、例えば、1~12時間程度とすれば い。

  脱硫処理の対象物
 本発明の脱硫剤は、硫黄を含む各種の有機 合物を液相において吸着除去する方法に適 できる。この様な硫黄含有有機化合物とし は、例えば、チオール(R-SH)、スルフィド(R-S -R)、ジスルフィド(R-S-S-R)、テトラヒドロチオ フェン、チオフェン類化合物等を挙げること ができる。ここで、チオフェン類化合物とは 、チオフェン環を有する化合物群を意味する ものであり、例えば、チオフェン、アルキル チオフェン、ベンゾチオフェン、アルキルベ ンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、アル キルジベンゾチオフェン、ジアルキルジベン ゾチオフェン等を例示できる。

 本発明の脱硫剤は、液体燃料中に残存す 硫黄含有有機化合物、特に、チオフェン類 合物の吸着脱硫に有効に用いられる。本発 の脱硫剤を用いることによって、従来の方 では、10ppmを下回る硫黄濃度まで減少させ ことが困難であった4,6-ジメチルベンゾチオ ェンなどのチオフェン類化合物を10ppmを下 る硫黄濃度となるまで吸着除去することが 能となる。

 処理対象となる液体燃料の種類について 特に限定は無く、ガソリン、ケロシン、灯 、軽油、重油などのいずれでもよい。処理 の液体燃料に含まれる硫黄濃度についても に限定はないが、硫黄濃度の高い燃料油を 接処理すると必要とする脱硫剤の量が多く ることを考慮して、水素化脱硫等の方法で め硫黄濃度を50ppm以下としておくことが好 しく、10ppm以下としておくことがより好まし い。

  脱硫方法
 本発明の脱硫剤を用いる脱硫方法では、脱 対象とする液体、例えば、液体燃料を脱硫 と接触させることにより液体中の硫黄含有 機化合物を吸着して脱硫することができる 一般的な方法として、バッチ法とフロー法 2つの方法が挙げられる。

 バッチ法では、例えば、液体燃料を収容 た容器中に脱硫剤を投入し攪拌する方法を 用できる。脱硫剤の適切な使用量は実際に いる脱硫剤の種類により異なるが、例えば 液体燃料1リットルに対し脱硫剤1~500gの範囲 で用いることが好ましく、液体燃料1リット に対し脱硫剤10~100gの範囲で用いることがよ 好ましい。処理温度については、処理対象 燃料が液体の状態を保持できる温度であれ 特に限定されず、例えば室温において行え 良い。圧力についても特に限定的ではなく 加圧状態であっても良いが、通常は、大気 下で処理を行えばよい。

 脱硫剤を投入して一定時間経過後、液体 脱硫剤を分離することによって、含硫黄有 化合物量の減少した液体と脱硫剤とを得る とができる。処理時間については、硫黄化 物の濃度及び脱硫剤の使用量により異なる で、一概に規定できないが、例えば、1時間 ~数日間程度の範囲内において、目的とする 硫効果が得られるまで処理を行えばよい。

 分離された脱硫剤については、例えば、 述した方法によって、乾燥した後、空気中 加熱する方法などによって、再生し、再使 することができる。

 フロー法の場合には、脱硫剤を管型容器に 状に充填し、処理対象の液体を一定の流量 流通させればよい。この場合の液空間速度( LHSV)は、例えば、0.01~100 h ―1 程度、好ましくは0.01~1 h -1 程度の範囲内で設定することができる。脱硫 の際の温度条件、圧力条件などについては、 バッチ法の場合と同様に燃料が液体である範 囲であれば特に限定されない。外部からの加 熱源がない場合は常温にて行えば良い。液体 燃料が予め加熱された状態で供給される場合 には、そのままの温度で吸着脱硫を行うこと も可能である。

  再生方法
 上記した方法によって液体中の硫黄含有有 化合物を吸着脱硫した後、脱硫剤を加熱処 することによって、脱硫剤に吸着された硫 含有有機化合物を除去して、脱硫剤を再生 用することができる。尚、脱硫剤の加熱処 に際しては、必要に応じて、脱硫剤を溶剤 で洗浄し、乾燥した後に加熱することが望 しい。

 加熱処理は、不活性ガス中、希釈酸素中 空気中、水蒸気中、希釈水素中等の各種雰 気中で行うことができる。

 本発明の脱硫剤を構成する金ナノ粒子を担 した金属酸化物は、メタン、プロパン等の 化水素とO 2 の反応(燃焼反応)、CO等の炭素化合物とH 2 Oの反応(シフト反応等)、CO, CO 2,  アルデヒド等の炭素化合物とH 2 の反応(水素化反応)の何れに対しても触媒活 を有することが知られている。このため、O 2 , H 2 O, H 2 の何れかを含む雰囲気中で加熱処理を行うこ とによって、これらの分子と脱硫剤表面に吸 着した硫黄含有有機化合物との触媒反応や硫 黄含有有機化合物の燃焼反応を利用して、吸 着した硫黄含有有機化合物を効率的に除去す ることができる。

 雰囲気中のO 2 , H 2 O, H 2 等の濃度範囲については特に制限は無いが、 特にH 2 を含む場合には爆発組成を避けて設定するこ とが必要となる。圧力条件に関しては、燃焼 反応の場合は常圧で良いが、水素化反応等を 行う場合には10MPa程度以下で加圧することに り、反応促進が期待できる場合がある。加 温度については50~500℃程度、好ましくは100~ 400℃程度、より好ましくは150~400℃程度の範 で選択できる。加熱温度が高くなりすぎる 、金ナノ粒子の凝集が起こりやすくなるた 再生後の吸着性能が低下するので好ましく い。

 本発明の脱硫剤は、液相において、硫黄 有有機化合物に対して選択的な吸着作用を するものである。特に、液体燃料中の硫黄 合物濃度を従来技術では難しいレベルにま 下げることができる。

 本発明の脱硫剤は、この様な硫黄含有有 化合物に対する優れた吸着除去性能を利用 て、各種の用途に用いることができる。例 ば、従来の水素化脱硫プロセスによって硫 含有有機化合物の濃度を低下させた後、本 明の脱硫剤を充填した吸着塔を用いて硫黄 有有機化合物を吸着除去することによって 液体燃料中の硫黄濃度を10ppm以下とするこ が可能であり、特に、燃料電池用の燃料に いて望まれている硫黄濃度を0.1ppm以下まで 下させることも可能となる。

 また、上記の非特許文献1に記されている ように、ガソリンスタンドのタンクと給油機 の間に本発明の脱硫剤を充填したカラムを設 置し、自動車への給油の際に脱硫するような 用い方もできる。

試験例1における溶液中ジベンゾチオフ ェン濃度の時間変化を示すグラフである。 試験例2において脱硫剤使用量を変化さ せた際の吸着平衡後に溶液中に残存する硫黄 濃度(ジベンゾチオフェン濃度分析値から換 )と脱硫剤に吸着されたジベンゾチオフェン を示すグラフである。 試験例3における各試料の1回目(再生前) 及び2回目(再生後)の吸着操作でのジベンゾチ オフェン(DBT)、4,6-ジメチルジベンゾチオフェ ン(DMDBT)、ナフタレン(NA)の飽和吸着量を示す ラフである。 試験例4において、吸着-再生を繰り返 た際の各回吸着操作におけるジベンゾチオ ェン(DBT)の飽和吸着量を示すグラフである。 試験例5における再生処理の加熱温度と 、再生後の試料のジベンゾチオフェン(DBT)の 和吸着量との関係を示すグラフである。 試験例5において350℃での加熱再生処理を行 た際に、昇温中に発生したCO 2 量を温度に対してプロットしたグラフである 。 試験例6において、各試料について求め た試験溶液Eにおける4,6-ジメチルジベンゾチ フェン(DMDBT)の飽和吸着量を、試験溶液A及 CにおけるDBT, DMDBT, NAの吸着量と比較して示 すグラフである。

 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細 説明する。

  実施例1
 (1) 脱硫剤の調製
  脱硫剤1:金/酸化セリウム(Au/CeO 2 )
 塩化金酸[HAuCl 4 ・4H 2 O] (5mmol/L)の水溶液1000mLを70℃に加温し、KOHを 滴下してpHを7に調節した。酸化セリウム粉末 の7.7gを加え、ついでクエン酸マグネシウム 10mmol/L溶液を370mL加えた。一時間攪拌の後、 過、水洗、乾燥し、得られた粉末を空気中4 00℃で4時間焼成することにより、平均粒径5.5 nmの金ナノ粒子が酸化セリウム表面に担持さ た構造の脱硫剤1(Au/CeO 2 )(Au担持量11.3wt%)を調製した。尚、実施例にお ける金ナノ粒子の平均粒径は、粉末X線回折 定データからSherrerの式により計算された金 結晶子径の値である。

  脱硫剤2:金/酸化セリウム(Au/CeO 2 )
 使用する塩化金酸の量を減少させ、更に、 エン酸マグネシウムを無添加とすること以 は脱硫剤1の調製方法と同様にして、平均粒 径4.9nmの金ナノ粒子が酸化セリウム表面に担 された構造の脱硫剤2(Au/CeO 2 )(Au担持量1.0wt%)を調製した。

  脱硫剤3:金/酸化亜鉛(Au/ZnO)
 200mLの水に対し、炭酸ナトリウムNa 2 CO 8gを溶解した水溶液を70℃に加温した。ここ 、硝酸亜鉛14.2gと塩化金酸1.1gを200mLの水に溶 解した水溶液を70℃で加え、沈殿を生成させ 。一時間攪拌の後、ろ過、水洗、乾燥し、 られた粉末を空気中400℃で4時間焼成するこ とにより、平均粒径5.8nmの金ナノ粒子が酸化 鉛表面に担持された構造の脱硫剤3(Au/ZnO)(Au 持量10.0wt%)を調製した。

  脱硫剤4:金/酸化チタン(Au/TiO 2 )
 塩化金酸(5mmol/L)の水溶液1000mLを70℃に加温 、KOHを滴下してpHを7に調節した。酸化チタ 粉末の3.6gを加え、ついでクエン酸マグネシ ムの10mmol/L溶液を400mL加えた。一時間攪拌の 後、ろ過、水洗、乾燥し、得られた粉末を空 気中400℃で4時間焼成することにより、平均 径4.0nmの金ナノ粒子が酸化チタン表面に担持 された構造の脱硫剤4(Au/TiO 2 )(Au金担持量21.5wt%)を調製した。

  比較脱硫剤1:酸化セリウム(CeO 2 )
 脱硫剤1及び2の調製に用いた酸化セリウム 末をそのまま用いた。

  比較脱硫剤2:白金/酸化セリウム(Pt /CeO 2 )
塩化白金酸[H 2 PtC 6 ・6H 2 O](2mmol/L)の水溶液500mLを加熱し、KOHを滴下し pHを7に調節した。酸化セリウム粉末の6.5gを えた。一時間攪拌の後、ろ過、水洗、乾燥 、得られた粉末を空気中400℃で4時間焼成し 、更にH 2 (3%)+He(balance)混合ガスの流通下で350℃まで昇 してPtを還元して、平均粒径2.0nm以下の白金 酸化セリウム表面に担持された比較脱硫剤2 (Pt/CeO 2 )(Pt担持量3.0wt%)を調製した。

  比較脱硫剤3:セリウムイオン交換Y 型ゼオライト(Ce-Y)
硝酸セリウム[Ce(NO 3 ) 3 ・6H 2 O](0.2mol/L)の水溶液30mLにY型ゼオライト粉末0.75 gを加え、3日間振とう攪拌した。ろ過、洗浄 乾燥し、得られた粉末を空気中400℃で2時間 焼成することにより、セリウムイオン交換Y ゼオライト(Ce-Y)からなる比較脱硫剤3を調製 た。

  比較脱硫剤4:銅/酸化亜鉛(Cu/ZnO)
200mLの水に対し、炭酸ナトリウムNa 2 CO 3 の7.6gを溶解した水溶液を70℃に加温した。こ こに、硝酸亜鉛12.5gと硝酸銅4.3gを 300mLの水 溶解した水溶液を70℃で加え、沈殿を生成さ せた。一時間攪拌の後、ろ過、水洗、乾燥し た。得られた粉末を空気中400℃で4時間焼成 、更にH 2 (3%)+He(balance)混合ガスの流通下で400℃まで昇 してCuを還元して、平均粒径3.3nmの銅が酸化 鉛表面に担持された比較脱硫剤4(Cu/ZnO)(Cu担 量25.1wt%)を調製した。

 (2) 脱硫試験
 以下の試験溶液A, B, C, D, Eを調製した。

  試験溶液A
n-デカン(キシダ化学製、特級)を溶媒とし、 機硫黄化合物としてジベンゾチオフェン(関 化学製、特級)を39.9mg/L、溶液分析のための 部標準としてn-テトラデカン(キシダ化学製 特級)を39.5mg/L含む溶液を作製した。この溶 の硫黄濃度は9.5ppmに相当する。

  試験溶液B
試験溶液Aと同様にn-デカンを溶媒とし、有機 硫黄化合物としてジベンゾチオフェンを51.2mg /L含む溶液を作製した。この溶液の硫黄濃度 12.2ppmに相当する。

  試験溶液C
n-デカン(キシダ化学製、特級)を溶媒とし、 機硫黄化合物としてジベンゾチオフェン(関 化学製、特級)を22.7mg/L、4,6-ジメチルジベン ゾチオフェン(和光純薬製、特級)を23.1mg/L、 黄を含まない芳香族有機化合物としてナフ レン(和光純薬製、特級)を22.1mg/L、溶液分析 ための内部標準としてn-テトラデカン(キシ 化学製、特級)を26.5mg/L含む溶液を作製した この溶液の硫黄濃度はジベンゾチオフェン して5.4ppm、4,6-ジメチルジベンゾチオフェン として4.8ppm、合計10.2ppmである。

  試験溶液D
試験溶液Aと同様にn-デカンを溶媒とし、有機 硫黄化合物としてジベンゾチオフェンを43.2mg /L、溶液分析のための内部標準としてn-テト デカンを69.3mg/L含む溶液を作製した。この溶 液の硫黄濃度は10.3ppmに相当する。

  試験溶液E
n-デカン(キシダ化学製、特級)を溶媒とし、4, 6-ジメチルジベンゾチオフェン(和光純薬製、 特級)を46.7mg/L、溶液分析のための内部標準と してn-テトラデカン(キシダ化学製、特級)を45 .3mg/L含む溶液を作製した。この溶液の硫黄濃 度は9.7ppmに相当する。

  吸着および再生試験法
  試験例1
 上記した方法で調製した脱硫剤1、2及び比 脱硫剤1の各試料粉末を空気中300℃で30分加 して、吸着水を除去した後、シリカゲルを れたデシケータ中で室温まで冷やした。ス リュー管瓶にこの試料100mgを秤量し、試験溶 液Aを5mL加えて蓋をし、この時刻を吸着開始 刻とした。室温下、振とう機を用い、溶液 攪拌した。途中、脱硫剤1では8.5時間から24 間の間、脱硫剤2と比較脱硫剤1では27時間か 47時間の間に溶液温度を60℃に上げているが 、本試験例の実験条件においては吸着に対し てほぼ影響のないことを別途の実験で確認し ている。吸着開始後、数時間毎に、スポイト で溶液約0.1mLを抜き取ってFID-GCで溶液組成の 析をした。溶液中のジベンゾチオフェン濃 の時間変化を図1に示す。

 図1から、酸化セリウムに金ナノ粒子を担 持させた脱硫剤1及び2については、酸化セリ ムのみからなる比較脱硫剤1と比較してジベ ンゾチオフェンの吸着量が多く、特に、金の 担持量が多い(11.3wt%)脱硫剤1では、ジベンゾ オフェンの吸着量が非常に多いことが判る また、脱硫剤1及び2については、24時間以上 過すると吸着量は安定するのに対して、酸 セリウムのみからなる比較脱硫剤1では、5 間経過後に吸着量が減少する現象が確認で た。

 以上の結果より、酸化セリウムに金ナノ 子を担持させた脱硫剤1及び2を用いること よって、デカン溶液中の硫黄濃度10ppmレベル のジベンゾチオフェンを効果的に吸着脱硫で きることが明らかである。

  試験例2
 上記した方法で調製した脱硫剤1試料粉末を 空気中300℃で30分加熱して、吸着水を除去し 後、シリカゲルを入れたデシケータ中で室 まで冷やした。5本のスクリュー管瓶にこの 試料を各々26, 51, 101, 200, 300mg秤量したもの を入れ、試験溶液Bを各スクリュー管瓶に5mL えて蓋をし、この時刻を吸着開始時刻とし 。室温下、振とう機を用い、溶液を攪拌し 。吸着開始後74時間後(吸着平衡に達してい ことを確認している)にスポイトで溶液を抜 取り分析した。各々の分析溶液には内部標 物質として既知量の2,8-ジメチルジベンゾチ オフェン(東京化成製)を添加してFPD-GCで組成 析を行った。

 図2は、使用した脱硫剤重量と、吸着後に 試験例溶液中に残存する硫黄濃度及び脱硫剤 によって吸着されたジベンゾチオフェン(DBT) との関係を示すグラフである。尚、図2にお ける試験溶液中の硫黄濃度は、DBT濃度を硫黄 濃度に換算したものである。

 図2から、脱硫剤の使用量を増加するに従 って吸着されるジベンゾチオフェン(DBT)の総 が増加し、溶液に残存するDBTの量が減少す ことが明らかである。特に、脱硫剤300mgを いた場合には、5mLの試験溶液の初期DBT量(1.38 μmol)に近い1.37μmolのDBTが吸着して、吸着前に は12.2ppmであった硫黄濃度を0.1ppmまで減少さ ることができた。

  試験例3
 上記方法で調製した脱硫剤1、3、4及び比較 硫剤2~4を用いて、下記(1)~(3)の手順で吸着及 び再生実験を行った。

 (1)1回目の吸着
 各脱硫剤を空気中300℃で30分加熱して、吸 水を除去した後、シリカゲルを入れたデシ ータ中で室温まで冷やした。スクリュー管 に各脱硫剤100mgを秤量し、試験溶液Cを5mL加 て蓋をし、この時刻を吸着開始時刻とした 室温下、振とう機を用い、溶液を攪拌した 24時間以上経過し吸着平衡に達した時点で、 スポイトで溶液約0.1mLを抜き取ってFID-GCで溶 組成の分析をした。

 (2)再生
 上記方法で吸着実験を行った後、脱硫剤を 別し、ヘキサンで洗浄し、室温で乾燥した 乾燥後の脱硫剤粉末を石英ガラス反応管に 填し、前後に石英ウールを詰めて固定した 反応管にHe(80%)+O 2 (20%)のガスを100mL/minで流通しながら、350℃ま 10℃/minで昇温し、その後350℃で10min保持し 。この操作により、脱硫剤の表面に吸着し いた成分は、熱脱離または触媒燃焼により 去され、脱硫剤が再生された。反応管の出 ガスを質量分析計によりモニターすること 、この過程の進行状況を把握した。

 (3) 2回目の吸着
 上記した方法で各脱硫剤を再生させた後、 温に戻した脱硫剤粉末を秤量し、スクリュ 管瓶に入れた。この際、再生処理後に回収 れた脱硫剤量が減少したので、脱硫剤に対 る試験溶液の割合が上記(1)の吸着試験と同 となるように、脱硫剤粉末100mgに対して5mL なる割合で試験溶液Cを加えて蓋をした。24 間以上経過し吸着平衡に達した時点で、ス イトで溶液約0.1mLを抜き取ってFID-GCで溶液組 成の分析をした。

 溶液組成の分析結果から、脱硫剤粉末1g たりのジベンゾチオフェン(DBT)、4,6-ジメチ ジベンゾチオフェン(DMDBT)、及びナフタレン( NA)の吸着量を計算した。結果を図3に示す。

 図3から、金属酸化物に金ナノ粒子を担持 させた脱硫剤1、3及び4を用いた場合には、ジ ベンゾチオフェン類(DBT+DMDBT)を選択的に吸着 き、特にDBTの選択性が高いことが判る。ま 、セリウムイオンY型交換ゼオライト (Ce-Y) からなる比較脱硫剤2は、1回目の全体の吸着 量は脱硫剤1、3及び4よりも多いが、DBT, DMDBT,  NAをほぼ等モルで吸着しており、硫黄含有 機化合物に対する選択的吸着性は認められ かった。

 また、脱硫剤1,3及び4については、2回目 吸着試験においても、1回目の70%以上のジベ ゾチオフェン類(DBT+DMDBT)を吸着でき、再生 の吸着率は、比較脱硫剤2及び3と比べて格段 に高いことが明らかである。

 硫化水素の吸着剤として有効なCu/ZnO(比較 脱硫剤4)については、Auと同じIB族元素である Cuが多量に担持されているにもかかわらず、 ベンゾチオフェン類の吸着量は少なく、硫 含有有機化合物に対する吸着剤としての性 が劣ることが判る。

  試験例4
 下記(1)~(3)の方法で、ジベンゾチオフェン(DB T)の吸着及び脱硫剤の再生の繰り返し試験を った。尚、この試験は、再生後の脱硫剤の 収量の減少を防止するために、再生時の処 方法を工夫して行ったものである。

  (1)1回目の吸着
 脱硫剤1を100mg秤量し、容量20mLの梨型フラス コ(耐熱ガラス製)に入れ、フラスコごと電気 に入れ空気中350℃で30分加熱して、吸着水 除去した後、シリカゲルを入れたデシケー 中で室温まで冷やした。デシケータからフ スコを取り出して直ちにテフロン(登録商標) 栓をし、秤量して加熱脱水後の脱硫剤重量を 求めた。試験溶液Dを5mL加えてテフロン(登録 標)栓をし、この時刻を吸着開始時刻とした 。室温下、振とう機を用い、溶液を攪拌した 。24時間以上経過し吸着平衡に達した時点で 振とうを止めてフラスコを静置し脱硫剤粉 を沈降させた。スポイトで上澄み液を抜き ってFID-GCで溶液組成の分析をした。

 (2)再生
 上記方法で吸着実験を行った後、フラスコ 静置し脱硫剤粉末を沈降させた。静かにフ スコを傾けて脱硫剤粉末が流失しない程度 残りの上澄みの溶液を捨て、ヘキサンを約5 mL加えた。ヘキサンを加えて上澄みの溶液を てる操作を合計3回繰り返した後、フラスコ 内に窒素ガスを吹き込んでヘキサンを揮発さ せた。フラスコごと電気炉に入れ空気中350℃ で30分加熱して、脱硫剤を加熱再生した。加 後シリカゲルを入れたデシケータ中で室温 で冷やし、デシケータからフラスコを取り して直ちにテフロン(登録商標)栓をし、秤 して再生後の脱硫剤重量を求めた。このよ にフラスコから吸着剤粉末を取り出すこと く再生を行うことで、再生を4回行っても最 に用いた吸着剤の99%以上の重量を保つこと できた。

 (3)2回目以降の吸着と再生
 上記した方法で脱硫剤を再生させた後、フ スコ中の脱硫剤粉末100mgに対して5mLの割合 試験溶液Dを加えてテフロン(登録商標)栓を た(2回目の吸着開始)。室温下、振とう機を い、溶液を攪拌した。24時間以上経過し吸着 平衡に達した時点で、振とうを止めてフラス コを静置し脱硫剤粉末を沈降させた。スポイ トで上澄み液を抜き取ってGCで溶液組成の分 をした。以下、同様に再生と吸着の操作を り返した。再生を繰り返すうちに、吸着剤 末がフラスコ上部の器壁にも貼りついて溶 との接触が悪くなったために、4回目以降の 吸着においては吸着開始時に吸着溶液を入れ てテフロン(登録商標)栓をした後で、フラス を超音波洗浄器の水に浸して10秒~数分運転 ることで吸着剤粉末の分散を良くし、溶液 の接触を回復することができた。

 各回の吸着終了時の溶液組成の分析結果 ら、脱硫剤粉末1gあたりのジベンゾチオフ ン(DBT)の吸着量を計算した。結果を図4に示 。

 図4から、吸着-再生を繰り返し行っても 着量に大きな低下の無いことが明らかであ 。2回目と3回目においては吸着量が若干少な くなっているが、1~3回目の吸着では吸着開始 時に超音波洗浄器を用い吸着剤の分散性を良 くする操作を加えていないために、溶液との 接触状態が若干悪くなっているためと考えら れ、4、5回目の吸着では吸着量も安定し、1回 目吸着時の95%以上の吸着量を保つことができ た。

 以上の結果から、金属酸化物に金ナノ粒 を担持させた本発明の脱硫剤は、硫黄含有 機化合物、特に、ジベンゾチオフェン類に する選択的吸着性能に優れたものであり、 た、加熱による再生処理を行った後、十分 吸着性能を発揮でき、脱硫剤として再利用 可能であることが明らかである。

  試験例5
 上記方法で調製した脱硫剤1を用いて、下記 (1)~(3)の手順で吸着及び再生を行い、再生時 加熱温度の影響を調べた。

 (1)1回目の吸着
 7本のスクリュー管瓶に脱硫剤1を各100mgづつ 秤量した。空気中350℃で30分加熱して、吸着 を除去した後、シリカゲルを入れたデシケ タ中で室温まで冷やし、塩化カリウム飽和 液により相対湿度を85%に調節したデシケー の中に1晩放置して吸湿させた。尚、試験例 5は、再生時の加熱温度のジベンゾチオフェ (DBT)吸着量への影響を調べることを目的とす ることから、残存水分量の違いによるDBT吸着 への影響を排除するために、DBT吸着のスター ト前に一定条件で試料を吸湿させるよう条件 を統一している。

 各々のスクリュー管瓶に試験溶液Aを5mL加 えて蓋をし、この時刻を吸着開始時刻とした 。室温下、振とう機を用い、溶液を攪拌した 。24時間以上経過し吸着平衡に達した時点で スポイトで溶液約0.1mLを抜き取ってFID-GCで 液組成の分析をした。

 (2)再生
 上記方法で吸着実験を行った後、試験例4と 同様の操作でスクリュー管瓶の中の残存溶液 を捨て、ヘキサンで洗浄後、乾燥させた。ス クリュー管瓶1本は室温下(25℃)、シリカゲル 入れたデシケータ中で1晩放置した。スクリ ュー管瓶5本については、1本づつ電気炉に入 、設定温度を100, 150, 200, 250又は300℃とし 、空気中で30分加熱した。残りのスクリュ 管瓶1本については、中身の脱硫剤粉末を取 出して石英ガラス反応管に充填し、前後に 英ウールを詰めて固定し、反応管にHe(80%)+O 2 (20%)のガスを100mL/minで流通しながら、350℃ま 10℃/minで昇温し、その後350℃で30min保持し 。昇温途中に発生したCO2については、質量 析計及び光音響マルチガスモニタ(INNOVA社製) により濃度を測定した。

 このように脱硫剤を25, 100, 150, 200, 250, 300又は 350℃で熱処理後、シリカゲルを入れ たデシケータ中で室温まで冷やし、塩化カリ ウム飽和溶液により相対湿度を85%に調節した デシケータの中に1晩放置して吸湿させた。

 (3) 2回目の吸着
 上記した方法により各温度で加熱再生処理 に吸湿させた脱硫剤について、脱硫剤粉末1 00mgに対して5mLとなる割合で試験溶液Aを加え 蓋をした。24時間以上経過し吸着平衡に達 た時点で、スポイトで溶液約0.1mLを抜き取っ てFID-GCで溶液組成の分析をした。

 溶液組成の分析結果から、脱硫剤粉末1gあ りのジベンゾチオフェン(DBT)の吸着量を計算 した。1回目の吸着については、同一条件で 着した7本のスクリュー管瓶についていずれ 3.3±0.1μmol/g-触媒のDBT吸着量であった。各温 度で熱処理再生後の2回目のDBT吸着量につい 、熱処理温度とDBT吸着量との関係を図5に示 。図5から、脱硫剤1(Au/CeO 2 )については、100℃以下の熱処理温度では、2 目の吸着量は1回目に比べて大きく減少して おり、熱処理が十分でないことが判る。また 、200℃以上の熱処理温度では、2回目の吸着 は1回目とほぼ同じになり、完全に再生され いることが確認できる。

 図6は、350℃までの加熱した際に、加熱中に 発生したCO 2 量を温度に対してプロットしたグラフである 。CO 2 のピークは115℃と225℃の2つの温度で観測さ た。このうち低温側のピークはDBTを吸着し いないAu/CeO 2 試料についても観測され、空気中のCO 2 を吸着したものと考えられる。高温側のピー クはDBT吸着後のみに観測され、吸着したDBTが 触媒表面で燃焼してCO 2 となったものと考えられる。図6の網掛けで した部分に対応するCO 2 量は37.2μmol /g-触媒であり、1回目の吸着で吸 着していたDBT(3.3μmol/g-触媒)が全て燃焼してCO 2 になったと仮定した場合のCO 2 量(39.6μmol/g-触媒)と良く一致している。

  試験例6
 上記方法で調製した脱硫剤1、3及び4につい 、試験溶液E(ジベンゾチオフェン類として 4,6-ジメチルジベンゾチオフェンのみを含む 液)を用いて下記の手順で吸着実験を行った 。

 各脱硫剤を空気中350℃で30分加熱して、 着水を除去した後、シリカゲルを入れたデ ケータ中で室温まで冷やした。スクリュー 瓶に各脱硫剤100mgを秤量し、試験溶液Eを5mL えて蓋をし、この時刻を吸着開始時刻とし 。室温下、振とう機を用い、溶液を攪拌し 。24時間以上経過し吸着平衡に達した時点で 、スポイトで溶液約0.1mLを抜き取ってFID-GCで 液組成の分析をした。

 溶液組成の分析結果から、脱硫剤粉末1g たりの4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(DMDBT) の吸着量を計算した。結果を図7に示す。図7 は、更に、試験例1及び試験例3の結果から 出した試験溶液A(DBTのみを含む溶液)及び試 溶液C(DBT、DMDBT及びNAの混合溶液)を用いた吸 試験の結果も併せて示す。尚、試験溶液A、 C及びEの組成は、下記表1に示す通りである。

 図7に示す結果では、DBT、DMDBT及びNAを含 試験溶液Cを用いた吸着試験の結果、脱硫剤1 ,3及び4のいずれについても、DMDBTの吸着量と 較して、DBTの吸着量が多くなった。これは DBTとDMDBTが同じ吸着サイトに対し競争吸着 、メチル基がなく立体障害の少ないDBTの方 選択性良く吸着されていることによると思 れる。

 一方、DMDBT単独の溶液である試験溶液Eを用 た吸着試験では、DMDBT吸着量は、混合溶液 ある試験用液CからのDMDBT吸着量よりも格段 大きな値となった。脱硫剤1(Au/CeO 2 )について、DMDBT単独の溶液(試験溶液E)からの DMDBTの吸着量を、DBT単独溶液(試験溶液A)から DBT吸着量と比較すると、ほぼ97%に相当する であり、本発明の吸着剤が、DMDBTに対する 着性能に優れていることが確認できる。

 現在供給されているサルファーフリー燃 では、残存するジベンゾチオフェン類の中 、現状技術で最も難除去性の4,6-ジメチルジ ベンゾチオフェンが相対的に大きな部分を占 めている。図7に示された結果は、本発明の 硫剤が、微量に残存した4,6-ジメチルジベン チオフェンの除去に好適な特性を有するこ を示している。